「●い 池波 正太郎」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【406】 池波 正太郎 『男の作法』
「●映画」の インデックッスへ「●黒澤 明 監督作品」の インデックッスへ「●「カンヌ国際映画祭 パルム・ドール」受賞作」の インデックッスへ(「影武者」)「●「毎日映画コンクール 日本映画大賞」受賞作」の インデックッスへ(「影武者」)「●「ブルーリボン賞 作品賞」受賞作」の インデックッスへ(「影武者」) 「●「報知映画賞 作品賞」受賞作」の インデックッスへ(「影武者」)「●池辺 晋一郎 音楽作品」の インデックッスへ(「影武者」)「●仲代 達矢 出演作品」の インデックッスへ(「影武者」)「●山﨑 努 出演作品」の インデックッスへ(「影武者」)「●志村 喬 出演作品」の インデックッスへ(「影武者」)「●大滝 秀治 出演作品」の インデックッスへ(「影武者」)「●藤原 釜足 出演作品」の インデックッスへ(「影武者」)「●倍賞 美津子 出演作品」の インデックッスへ(「影武者」)「●桃井 かおり 出演作品」の インデックッスへ 「○日本映画 【制作年順】」の インデックッスへ(「影武者」)「●や‐わ行の外国映画の監督②」の インデックッスへ「●エンニオ・モリコーネ音楽作品」の インデックッスへ(「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」)「●クリント・イーストウッド 出演・監督作品」の インデックッスへ(「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」)「●クラウス・キンスキー出演作品」の インデックッスへ(「夕陽のガンマン」)「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ ○東宝DVD名作セレクション(黒澤明監督作品)(「影武者」)
本書を読んで、映画の鑑賞法の原点に立ち返るのもいいのではないか。


『映画を見ると得をする (新潮文庫)』「映画を見ると得をする もっと映画が面白くなる」[Kindle版]
『映画を見ると得をする (ゴマブックス)』['80年]
著者は言います。なぜ映画を見るのかといえば、人間は誰しも一つの人生しか経験できない。だから様々な人生を知りたくなる。しかも映画は、わずか2時間で隣の人を見るように人生を見られる。それ故、映画を見るとその人の世界が広がり、人間に幅ができてくる―と。
まさに至言ではないでしょうか。本書は、シネマディクト(映画狂)を自称する著者が、映画の選び方から楽しみ方、効用を縦横に語り尽くしたものです。個人的に印象に残ったポイントをいくつか拾っていくと―
原題をそのまま題名にするのが流行っている。何かイメージがわく題名なら、中身もいい。... 日本語でいい題がつくときは、映画としてもいいものであるとして、「料理長(シェフ)殿、ご用心」 ('78年/米)がその例で、原作の小説より映画の方がよくできていたとしている。
外国映画の「大作」は絶対に観るに値する。失敗作でさえも見るべきところがいっぱい。... 映画自体は失敗作でも、大作はセットも素晴らしいし、ロケにも金をかけていて、「ナイル殺人事件」('78年/英)などは本当にエジプトに行って撮っている」わけでしょと。個人的は、観光映画としても楽しめる要素があったなあ。もし、ツアー旅行にいったらこんな感じなのかなと。

戦前の日本映画には凄い大作があった。例えば「残菊物語」「元禄忠臣蔵」。... 溝口健二の「残菊物語」('39年/松竹)は個人的にも完璧な恋愛・人情ドラマだと思った。「元禄忠臣蔵」('41-'42年/松竹)で、松の廊下を原寸通りに作っちゃったというのも凄いと(確かに)。歴史の中にしか存在しなかったものを、ぼくらの眼前に再現してくれているのが大作の価値だと。
「難解きわまる映画」というものがある。ときにはそういう映画で自分を鍛える。... アラン・レネはどれも難しいと。フェリーニは「81/2」('63年/伊・仏)から後はみなわからなくなっちゃって、「アマルコルド」('73年/伊・仏)で昔のフェリーニに戻って、これはだれが観ても素晴らしかったが、ところが今度「カサノバ」('76年/伊)を撮ったら、やっぱりわからないと。主演のドナルド・サザーランドが、終わってから、「自分は一体どういう役をやったのかさっぱりわからない...」と、いったそうで、ぼくもパリで観たが退屈したと。
ポルノをつくっている会社の映画にも、時には観るべきものがある。例えば「赫い髪の女」。... 「赫い髪の女」('79年/にっかつ)は、中上健次の原作がいいし、男と女の愛欲を探究しているものだから、凄いけれど、いやな感じはないと。
「巨匠」の作品必ずしも秀作にあらず。ただし、美術的感覚に見るべきものあり。... 「道」('54年/伊)を作ったころのフェリーニは、大道芸人の可哀そうな女とか哀れな男に本当に共感を持っていたと思うが、フェリーニ自身が大巨匠になっておかしくなってしまったと。
黒澤明然り。ただし、筆を持たせたら素晴らしく、「影武者」('80年/東宝)のスケッチなどは大したものであると(著者自身が絵を描くからそう感じるのだろう)。個人的には、かつての黒澤作品のダイナミズムは影を潜め、映画は映像美・様式美に終始してしまった印象。カンヌ国際映画祭でパルムドールを撮ったのは、その様式美がジャポニズムとして受けたのでは。勝新太郎が黒澤監督と喧嘩して主役を降りたけれど、もともと勝新太郎向きではなかった? 映画の完成披露試写会を勝新太郎が観に来たていて、「面白くなかった...俺が出ていたらもっと面白くなってたよ」と言ったそうだ。
「役者を汚して、血を噴出させる」のがリアリズムという日本映画の馬鹿の一つ覚え。... 最初にやったのが黒澤明の「椿三十郎」('62年/東宝)で、黒澤さんが悪いんじゃなく、黒澤監督としてはちょっと珍しいことをやってみたに過ぎない、それを猫も杓子も真似しちゃったから困ったものだと。
映画評論を読めば、自分自身の「好み」や「個性」がわかってくる。それが値打ち。... 推薦できる評論家として、飯島正、南部圭之助、双葉十三郎を挙げ、淀川長治さんなんかの映画評論を一般のファンは当てにしたらいいんじゃないかと思うと(そう言えば、本書のカバー裏の著者紹介は淀川長治が書いている)。

ハリウッドの西部劇とマカロニ・ウエスタン。その大きな違いの一つは「女の描き方」。... マカロニ・ウエスタンには女の匂いがぷんぷんするような女が出てきて男とからみ合うが、アメリカの方は「女なんか全然数のうちじゃない...」といった男がいっぱい出てくると。また、マカロニ・ウエスタンの特徴はサディスティックであることで、拷問シーンなどでもユーモアがないとのこと。
確かに「荒野の用心棒」('64年/伊)がそうだった。クリント・イーストウッド演じる「名無しの男」はボロボロにやられていた。ただし、著者は、黒澤明の「用心棒」を無断でかっぱらった「荒野の用心棒」が面白くないはずがないと(「名無しの男」というのも「用心棒」の「桑畑三十郎」がその場で思いついた名前であることをなぞっている)。
「夕陽のガンマン アルティメット・エディション [DVD]」
因みに、「荒野の用心棒」(原題の意味は「一握りのドルのために」)の続編は「続・荒野の用心棒」('66年/伊、セルジオ・コルブッチ監督・フランコ・ネロ主演)で
はなく「夕陽のガンマン」('65年/伊・西独・スペイン、セルジオ・レオーネ監督・ クリント・イーストウッド主演、原題の意味は「もう数ドルのために」)であり、その続編(出来事としては前二作より以前の話だが)「続・夕陽のガンマン」('65年/伊・西独・スペイン・米、セルジオ・レオーネ監督・クリント・イーストウッド主演、原題の意味は「善玉、悪玉、卑劣漢」)と併せて「ドル箱三部作」または(主人公の名がでないため)
「名無しの三部作」と言われています。「荒野の用心棒」は黒澤明の「用心棒」と同じで、互いに相争う2組の悪党どもの対立をイーストウッド演じる主人公が一層煽り、けしかけながら、双方を壊滅状態に追い込むという話
なのに対し、「夕陽のガンマン」は、共に腕利きの同業者にして宿命のライバルたる2人の賞金稼ぎが、時に相争い、時には紳士協定を結んで互いに協力しながら、いずれも多額の懸賞金を狙うという話。ただし、クリント・イーストウッド演じる「名無しの男(あだ名はモンコ(Manco)、スペイン語で「片腕」)」が単なる金目当て賞金稼ぎなのに対し、リー・ヴァン・クリーフが演じるモーティマー大佐には別の目的があった―。続編の方が本編より上とされる作品の1つで(年代が古い、米国映画でない、邦題がまるきり違うなどの理由であまり取り沙汰されないが)、この1作でリー・ヴァン・クリーフはマカロニ・ウェスタンのスターとなりました(敵役は「荒野の用心棒」に続いてジャン・マリア・ヴォロンテ)。
最近ではヴィスコンティの遺作「イノセント」。歴史に残るセックスシーンの1つだろう。... 「イノセント」('76年/伊・仏)のそれは素晴らしかったと。夫婦が別荘に行って、ちょうど春で、ぽかぽか温かくなり、庭に花が咲き乱れ、男がだんだん興奮してくる...。全身を写すところもあったが、たいていは胸から上しか写さず、それでいて本当にエロチックなシーンだったと。
洒落たフランス映画を観た後で「フランス料理を食べたい」という女の子なら悪くない。... フランス映画を観た後では鮨屋よりフランス料理を食べに行きたくなるが、逆の場合もあり、それが「最後の晩餐」('73年/伊・仏)であると(確かに)。四人の主人公が死ぬまで食べ続ける映画だった。マルコ・フェレーリは巨匠ではないが相当の監督だと。
例えば「忠臣蔵」を一本観ただけで、その人の世界がグーンと広くなっちゃう。... 「旅芸人の記録」('75年/ギリシャ)という映画を観れば、自然にギリシャという国に興味を持って、ギリシャに歴史を読んでみよう、ギリシャの生活について何か探して読んでみようということになり、それをやれば、ぼくの持っている世界が広がっていくわけだと。まさに、本書のエッセンスがここに述べられているように思いました。
この本が出たころは、映画と言えば(テレビで観ることもあったとは思うが)基本的にみんな映画館で観たのだろうなあ。それが、レンタルビデオの時代を経て、今やAmazon PrimeやNetflixの時代へと移りつつあり、昨今は、映画を倍速で視聴するユーザーが急増しているようです。今一度、本書を読んで映画鑑賞の在り方の原点に立ち返るののいいのではないかと思いました。
「影武者[東宝DVD名作セレクション]」 山﨑努(信玄の弟・武田信廉)/仲代達矢(武田信玄、影武者)

「影武者」●制作年:1980年●制作国:日本・アメリカ●監督:黒澤明●製作:黒澤明/田中友幸●外国版プロデューサー:フランシス・コッポラ/ジョージ・ルーカス●脚本:黒澤明/井手雅人●撮影:斎藤孝雄/上田正治
●音楽:池辺晋一郎●時間:180分●出演:仲代達矢/山﨑努/萩原健一/根津甚八/油井昌由樹/隆大介/大滝秀治/桃井かおり/倍賞美津子/室田日出男/阿藤海/矢吹二朗/志村喬/藤原釜足/清水綋治/清水のぼる/山本亘/音羽久米子/江幡高志/島香裕/井口成人/松井範雄/大村千吉●公開:1980/04●配給:東宝●最初に観た場所:飯田橋・佳作座(81-02-14)(評価:★★★)
志村喬(信玄の父・田口刑部、信玄に追放され、信長の手先として送り込まれる)/大滝秀治(信玄家臣・山縣昌景)
倍賞美津子(側室・於ゆうの方)/桃井かおり(側室・お津弥の方) 黒沢明監督「影武者」、カンヌ映画祭の最高賞に(1980年5月23日)[日本経済新聞]/日劇(1981年閉館)

「荒野の用心棒」●原題:PER UN PUGNO DI DOLLARI(英:A FISTFUL OF DOLLARS)●制作年:1964年●制作国:イタリア・西ドイツ・スペイン●監督:セルジオ・レオーネ●脚本:ヴィクトル・アンドレス・カテナ/ハイメ・コマス・ギル/セルジオ・レオーネ●製作:アリゴ・コロンボ/ジョルジオ・パピ●音楽:エンニオ・モリコーネ●時間:96分(完全版100分)●出演:クリント・イーストウッド/ジャン・マリア・ヴォロンテ(ジョニー・ウェルズ名義)/マリアンネ・コッホ/ホセ・カルヴォ/ヨゼフ・エッガー/アントニオ・プリエート/ジークハルト・ルップ/ウォルフガング・ルスキー/マルガリータ・ロサノ/ブルーノ・カロテヌート/マリオ・ブレガ●公開:1965/12●配給:東宝(評価:★★★★)
ジャン・マリア・ヴォロンテ「荒野の用心棒」(密輸業ギャング一家ロホ兄弟の末弟ラモン・ロホ)/「夕陽のガンマン」(凶悪犯の賞金首エル・インディオ)

「夕陽のガンマン [DVD]」

「夕陽のガンマン」●原題:PER QUALCHE DOLLARO IN PIU(英:FOR A FEW DOLLARS MOREA)●制作年:1965年●制作国:イタリア・西ドイツ・スペイン●監督:セルジオ・レオーネ●脚本:セルジオ・レオーネ/ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ●製作:アルトゥーロ・ゴンザレス/アルベルト・グリマルディ●音楽:エンニオ・モリコーネ●時間:130分(米国版132分)●出演:クリント・イーストウッド/リー・ヴァン・クリーフ/ジャン・マリア・ヴォロンテ/マリオ・ブレガ/ルイジ・ピスティッリ/クラウス・キンスキー/パノス・パパドプロス/トーマス・ブランコ/フランク・ブラナ
/ホセ・マルコ/ヨゼフ・エッガー●公開:1967/01●配給:ユナイテッド・アーティスツ(評価:★★★★)
リー・ヴァン・クリーフ/クラウス・キンスキー
ジャン・マリア・ヴォロンテ in「荒野の用心棒」(1964)/「死刑台のメロディー」(1972)



【1987年文庫化[新潮文庫]】
《読書MEMO》
●続編の評価が本編に匹敵するかそれ以上であるとされる作品([]内はIMDb評価)
・「荒野の用心棒」('64年)[7.9]<「夕陽のガンマン」('65年)[8.2](「続・夕陽のガンマン('66年)[8.8])
・「ゴッドファーザー」('72年)[9.2]≒「ゴッドファーザー PART II」('74年)[9.0]
・「エイリアン」('79年)[8.5]≒「エイリアン2」('86年)[8.4]
・「マッドマックス」('79年)[6.8]<「マッドマックス2」('81年)[7.6]
・「ターミネーター」('84年)[8.1]<「ターミネーター2」('91年)[8.6]
・「バットマン ビギンズ」('05年)[8.2]<「ダークナイト」('08年)[9.0]


ある絵画の展示会で、明智探偵(天知茂)は黒真珠のイヤリングをしていた美女(岡江久美子)に出会う。その後、ゴッホの「星月夜」を画商の蕗屋裕子が手に入れたと発表され、西洋美術館が入手しようと名乗りを上げていると噂されていた。明智は展覧会場で、同級生で東京美術大学の教授・北原(久富惟晴)から蕗屋裕子を紹介してもらうが、彼女が例の黒真珠の美女だった。そこには蕗屋画廊の顧客で美術収集家の徳田礼二郎(高橋昌也)と、画商の宍戸(長塚京三)も来ていた。その後、明智の事務所に無記名の封筒が届き、文代(藤吉久美子)が開けると、中には百万円が入っていて、絵は偽物に違いないので入手経路を調べてほしいとあった。明智は、裕子を訪ねるが、彼女は絵の入手経路
を明かさない。一方、この絵を前にして、徳田は「偽物だよ」と呟く。宍戸は、あの絵が本物なら時価十億は下らず、そんな大金を裕子がどうやって工面したか謎であり、偽者の可能性が高いことを明智に説明する。明智は宍戸を尾行し、ホテルで徳田の家のお手伝い・ユミエ(東千晃)と関係を持っていることを知る。彼女は聖ヨハネ病院の元看護婦で、同じ病院に勤める元恋人の小池(伊藤克信)から復縁を迫られていた。徳田邸ではカメラマン志望の恋人・富山(貞永敏)との交際を反対された徳田の一人娘・ユカ(代日芽子)が徳田と口論の末、家を飛び出し車で出かけていった。徳田と約束をしていた裕子から仕事が長引いてまだ京都駅にいるという電話が入り、それを受けたユミエが徳田に知らせに行くと徳田が血を流して倒れていた―。
2017(平成29)年に、テレビ朝日で渡瀬恒彦主演の「
は思っていないと思いますが、明智がその喫煙を制止する文代の目を盗んでタバコを美味そうに吸う場面があったりして、ひやっとします。もっと最近では、今年['20年]3月30日放送開始のNHKの朝ドラ「エール」でテレビドラマ初出演の志村けんが、3月29日に新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなり、山田耕筰をモデルとする役で5月1日放映分から登場して、これも実質"追悼放映"になってしまったということがありました。
そして、同じく新型コロナウイルスによる肺炎のため4月23日に亡くなったのが、この「黒真珠の美女」の"美女"こと岡江久美子です。近年ではTBS「はなまるマーケット」の総合司会(1996年~2014年)のイメージが強く、また、かつてはNHKの「連想ゲーム」での名解答者(1978年~1983年)ぶりから「才女」のイメージがありますが、別冊スコラで『岡江久美子写真集 華やかな自転』を出したのが'82年で、フォトジェニックな女優でもありました(写真集は当時25歳。翌年、大和田獏と結婚)。
この「黒真珠の美女」の撮影時の岡江久美子は28歳で、若くして着物も似合うからなかな
監督の貞永方久(さだなが まさひさ、1931-2011/79歳没)は九州大学法学部出身。卒業後、松竹京都撮影所演出部に入社して映画監督になっていますが、こうしたテレビ映画の演出も多数あり、特にABCテレビの「必殺シリーズ」では第2作(中村主水シリーズの第1作)である「必殺仕置人」('73年、全26話、山﨑努、藤田まこと主演)から参加し、劇場版「必殺仕掛人 春雪仕掛針」('74年/松竹)では監督も務めています。TVシリーズの「必殺仕掛人」('72~'73年、全33話、林与一、緒形拳主演)は「必殺シリーズ」の第1作で、「必殺仕置人」の前番組にあたり、第1作「必殺仕掛人」の原作は池波正太郎の「仕掛人・藤枝梅安」ですが、後番組の「必殺仕置人」の方は「必殺仕掛人」の枠組みだけ踏襲したTVオリジナルでした。「必殺仕掛人」は、当時のフジテレビの笹沢佐保原作の「
映画「必殺仕掛人 春雪仕掛針」は、「必殺仕掛人」('73年/松竹、田宮二郎主演)、「必殺仕掛人 梅安蟻地獄」('73年/松竹、緒形拳主演)に続く「必殺仕掛人」シリーズ第3作(最終作)で、第1作と第2作の監督は松本清張原作の「


岩下志麻演じる千代を堕落させる悪役・勝四郎を夏八木勲が演じていたりして、今観るとなかなかのキャスティング、林与一ばかりか、TV版では直接手を下すことがほとんどない仕掛人の元締め・音羽屋半右衛門役の山村聰も立ち回りをやるし、岩下志麻は「きつい女」役がもうすでに板についている感じでした。ただ、哀しい話ではあるのですが、今一つ哀しみが伝わってきにくいのは、千代が
梅安に「あんたが私を捨てなければ私は今頃...」と恨み節ばかり言っているせいもあるでしょうか(千代にとって梅安は"最初の男"だった)。梅
安は第1作と違って原作通り、かつて自分が結果的に自分の妹を殺してしまったことを自覚している作りになっているので、自分には所帯を持つ資格はないと思ったのではないでしょうか(と思ったら、「あの頃映画 松竹DVDコレクション」のキャッチに「私は人殺しですからね、人並みの夢を持っちゃいけねえ...」とあった)。それくらい梅役の心の闇は深く、ここにきてまた悪の世界に堕ちてしまった千代を...。シリーズで一番暗い作品かもしれませんが、この陰の深さは映画的には悪くないように思います。
「江戸川乱歩 美女シリーズ(第25話)/黒真珠の美女」●制作年:1985年●監督:貞永方久●プロデューサー:川田方寿/佐々木孟●脚本:山下六合雄●音楽:鏑木創●原作:江戸川乱歩「心理試験」●時間:92分●出演:天知茂/藤吉久美子/小野田真之/荒井注/岡江久美子/高橋昌也/久富惟晴/長塚京三/東千晃/代日芽子/貞永敏/堀之紀/伊藤克信/北町嘉朗/秋山武史●放送局:テレビ朝日●放送日:1985/08/03(評価:★★★☆)
「必殺仕掛人 春雪仕掛針」●制作年:1974年●監督:貞永方久●製作:織田明●脚本:安倍徹郎●音楽:鏑木創●撮影:丸山恵司●原作:池波正太郎●時間:89分●
出演:緒形拳/林与一/山村聰/岩下志麻/夏八木勲/高橋長英/竜崎勝/地井武男/高畑喜三/花澤徳衛/佐々木孝丸/村井国夫/ひろみどり/荒砂ゆき/相川圭子●公開:1974/02●配給:松竹(評価:★★★☆)
「必殺仕掛人」●監督:深作欣二(1)(2)(24)/三隅研次(3)(4)(9)(12)(21)(33)/大熊邦也(5)(8)(14)(16)(27)(30)、松本明(6)(7)(15)(19)(23)(32)/松野宏軌(10)(11)(13)(17)(20)(25)(28)/長谷和夫(18)(22)(26)(29)(31)/ほか●プロデューサー:山内
久司(朝日放送)/仲川利久(朝日放送)/櫻井洋三(松竹)●脚本:池上金男(池宮彰一郎)(1)(4)(5)(28)/国弘威雄(國弘威雄)(2)(10)(11)(18)(25)(31)(33)/安倍徹郎(安部徹郎)(3)(8)(12)(20)(21)(28)/山田隆之(6)(7)(9)(13)(15)(19)(23)(32)/石堂淑朗(14)(27)/ほか●音楽:(オープニング)作曲:平尾昌晃「仕掛けて仕損じなし」●原作:池波正太郎『仕掛人・藤枝梅安』より●出演:緒形拳/林与一/山村聡/津坂匡章/太田博之/中村玉緒/松本留美/岡本健/ 野川由美子/(ナレーション(オープニング、エンディング))睦五郎(作: 早坂暁)●放映:1972/09~1973/04(全33回)●放送局:朝日放送 

![乱 デジタル・リマスター版 [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E4%B9%B1%20%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E7%89%88%20%5BDVD%5D.jpg)

「乱」●制作年:1985年●制作国:日本・フランス●監督:黒澤明●製作:セルジュ・シンベルマン/原正人●脚本:黒澤明/小国英雄/井手雅人●撮影:斎藤孝雄●音楽:武満徹●衣装:ワダエミ●時間:162分●出演:仲代達矢/寺尾聡/根津甚八/隆大介/原田美枝子/宮崎美子/野村武司/井川比佐志/ピーター/油井昌由樹/加藤和夫/松井範雄/伊藤敏八/鈴木平八郎/児玉謙次/渡辺隆/東
郷晴子/南條玲子/神田時枝/古知佐知子/音羽久米子/加藤武/田崎潤/植木等●公開:1985/06●配給:東宝=日本ヘラルド映画(評価:★★☆)


ショートエッセイ1編につき2点ずつ全部で80の自筆画があって、それらが文章とのとり合わせで、どれも味わい深いものでした。





鮨やそばの食べ方、ビールの飲み方など食事のマナーについて書かれた部分が印象に残っていましたが、読み返してみて、スーツ、和服、帽子、時計などの身につけるものにもかなりこだわりがあったのだなあと思いました。どうしてそうすることが良いのかしっかりと理由が書かれていて、かつ全体に押しつけがましさがなく、さらっと読める点がいいです。

秋山小兵衛は歌舞伎役者でテレビの「鬼平犯科帳」にも時々出ていた2代目中村又五郎(1914-2009/94歳没)をイメージしたらしいですが、昔のテレビ版の山形勲(1915-1996)の方が最近の藤田まこと(1933-2010/76歳没)よりイメージ的には「粋」の部分で近かったかも(CX系では、加藤剛(1938-2018/80歳没)、山形勲コンビの「剣客商売」(70年代)と藤田まことの「剣客商売」(90年代以降)の間に、加藤剛、中村又五郎コンビの「剣客商売」(80年代)も単発で2度作られており、1つがこの「辻斬り」で('82年12月放映)、もう1つが「誘拐(かどわかし)」('83年3月放映))。





実在した幕府の火付盗賊改方長官・長谷川平蔵(通称「鬼の平蔵」)をモデルにした、池波正太郎(1920‐1990)の代表作「鬼平犯科張」の記念すべき第1巻で、平蔵を始め、お馴染みの主要登場人物の何人かの出自がわかります。
平蔵のキャラクターが既にくっきりと描かれてはいるものの、所収の「啞の十三」から「妖盗葵小僧」までの12編はむしろ「盗賊」たちの物語であり、著者自身のあとがきにもあるように、最初は物語の束ね役として平蔵を登場させていたのが、平蔵自身をもっと中心に据えて書こうと思い、単行本化に際して「鬼平犯科張」というタイトルにしたようで、これが長いシリーズの始まりとなったようです(「鬼平犯科帳」というタイトルは、編集者が、岩波新書の『犯科帳-長崎奉行の記録』('62年)から思いついたとのこと)。
この「鬼平犯科帳」は、'69(昭和44)年にCX系列で、長谷川平蔵を八世松本幸四郎(初代松本白鸚)が演じるTVドラマシリーズとしてスタートして好評を博し、第1シーズンだけで64話放映され、'75(昭和50)年の第3シーズンまで120話近く放映さ
、二代目中村吉右衛門を主役とするシリーズが始まり、'01(平成13)年まで9シーズンに渡って、レギュラー版だけで130話以上を演じています(実父・松本幸四郎(白鸚)よりも倍近く年数がかかっているが、回数的には父親を超えたことになる)。70年代、80年代、90年代と、それぞれに人気番組であり続けたというのは、やはり、原作の力が大きいとも言えるのではないでしょうか。
'95年には小野田嘉幹監督の「鬼平犯科帳 劇場版」('95年/松竹)として映画化され、中村吉右衛門以下、テレビシリーズの面々が出演しましたが、「鬼平犯科帳」の映画化作品はこの1作のみです(その後、'21年に、山下智彦監督、十代目松本幸四郎主演の「鬼平犯科帳 血闘」が公開された)。ゲストは大阪の盗賊の元締・白子の菊右衛門に藤田まこと、江戸の女盗賊の頭目・荒神のお豊に岩下志麻。盗賊2代目狐火勇五郎には、ロックバンドツイストのボーカル世良公則。平蔵の息子・辰蔵には、NHK連続ドラマ「春よ、来い」('94年)に出演した東根作寿英。
狐火を名乗る盗賊による、凶悪な犯行が起こる。しかし本物の狐火・勇五郎(世良公則)の犯行ではなく、その弟・文吉(遠藤憲一)によるものだった。火付盗賊改方長谷川平蔵(中村吉右衛門)はおまさ(梶芽衣子)を利用し、文吉一味は御用となる。一方荒神のお豊(岩下志麻)と、江戸進出を目論む大阪一帯を牛耳る大盗賊の白子の菊右衛門(藤田まこと)は手を組み、また、お豊は鬼平を討つための画策し、平蔵の息子・辰蔵(東根作寿英)に目を付けて誘惑する―。
幾つかのテレビ脚本を組み合わせたようで、105分の中に、平蔵と反抗期の息子との関係や、平蔵と昔の女・お豊との関係などいろいろな話が織り込まれています。そのため、映画を観ていてもテレビを観ている印象がありました。ただ、ゲストが大物女優岩下志麻なので、ああ、映画だなあと。岩下志麻は、この映画の20年以上前に出演した、同じく池波正太郎原作の「必殺仕掛人」の劇場版、貞永方久監督
の「
「鬼平犯科帳(1)」●演出
:小野田嘉幹/高瀬昌弘/田中徳三/富永卓二/原田雄一/吉田啓一郎/大洲齋/杉村六郎●制作:能村庸一/桜林甫/佐生哲雄●脚本:小川英/井手雅人/田坂啓/野上龍雄
/下飯坂菊馬/安藤日出男/星川清司/櫻井康裕/保利吉紀/安倍
徹●音楽:篠原敬介●原作:池波正太郎「鬼平犯科帳」●出演:二代目中村吉右衛門/
「鬼平犯科帳(2)」1990/10~1991/03(全19回)/「鬼平犯科帳(3)」1991/11~1992/05(全19回)/「鬼平犯科帳(4)」1992/12~1993/05(全18回)/「鬼平犯科帳(5)」1994/03~07(全13回)/「鬼平犯科帳(6)」1995/07~11(全10回)/「鬼平犯科帳(7)」1997/04~07(全12回)/「鬼平犯科帳(8)」1998/04~06(全9回)/「鬼平犯科帳(9)」2001/04~05(全5回)(全137話)/「鬼平犯科帳スペシャル」2005~2016(全14回)(通算151話)
「鬼平犯科帳 劇場版」●制作年:1995年●監督:小野田嘉幹●製作:村上光一/櫻井洋三●脚本:野上龍雄●音楽:津島利章●撮影:伊佐山巌●原作:池波正太郎●時間:105分●出演:二代目中村吉右衛門/多岐川裕美/東根作寿英/久我陽子/高橋悦史/神山繁/御木本伸介/勝野洋/尾美としのり/真田健一郎/木村栄/三代目中村歌昇/梶芽衣子/三代目江戸家猫八/蟹江敬三/綿引勝彦/藤巻潤/江戸家まねき猫/岩下志麻/藤田まこと/石橋蓮司/世良公則/本田博太郎/平泉成/遠藤憲一/峰岸徹●公開:1995/11●配給:松竹(評価:★★★☆)
「鬼平犯科帳スペシャル 山吹屋お勝」(2005年2月20日)監督:石原興/出演:(ゲスト俳優) 床嶋佳子/橋爪功/嶋田久作/金田明夫/田中要次/曽我廼家文童/平泉成/吉田栄作
「鬼平犯科帳スペシャル 兇賊」(2006年2月17日)監督:
「鬼平犯科帳スペシャル 一本眉」(2007年4月6日)監督:
「鬼平犯科帳スペシャル 引き込み女」(2008年10月17日)監督:酒井信行/出演:(ゲスト俳優)余貴美子/羽場裕一/佐々木すみ江/松金よね子/石倉三郎/七代目市川染五郎
「鬼平犯科帳スペシャル 雨引の文五郎」(2009年7月17日)監督:
「鬼平犯科帳スペシャル 高萩の捨五郎」(2010年6月18日)監督:斎藤光正/出演:(ゲスト俳優)塩見三省/遠野なぎこ/北原佐和子/若松武史/春田純一/火野正平/津川雅彦