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同一労働同一賃金の法的要請を人事管理の観点から解説している点がユニーク。


『同一労働同一賃金を活かす人事管理』['21年]
本書は、同一労働同一賃金の法的要請は人事管理に大きな影響を及ぼすが、人事管理の在り方を決めるものでもないし決めるべきものではないとの考え方のもと、人事管理の観点からすると同一労働同一賃金の法的要請はどう解釈するべきなのか、同一労働同一賃金は、賃金を合理的に決めるうえでどのような意味があるのかを検討し、企業のとるべき非正社員の人事管理・賃金管理の方向を解説したものです。
第1章「非正規労働者の雇用と賃金」では、非正規労働者の雇用について、労働市場全体における位置やその構成、正規労働者との賃金格差や仕事のレベルなどの実態を統計資料から読み解くとともに、それらを踏まえ、同一労働同一賃金を検討するにあたっての留意点ついて、賞与、退職金など基本給以外の賃金要素と、役職等の高レベルの仕事に就く非正規労働者の基本給を挙げています。
第2章「同一労働同一賃金の法規制の捉え方」では、パートタイム・有期雇用労働法によって策定された「同一労働同一賃金ガイドライン」を人事管理の観点から読み解き、そのポイントを整理するとともに、人事管理からみたガイドラインに欠ける3つの視点として「賃金の全体性」「賃金の関連性」「市場均衡」の3つの視点を挙げてそれぞれ解説し、その上で、企業が同一労働同一賃金に対してどう取り組むべきか、その基本姿勢を示しています。
第3章「派遣労働者の同一労働同一賃金」」では、派遣労働者の同一労働同一賃金について、ガイドラインによれば賃金や賃金以外の待遇の決定のルールはどうなるのかを解説し、人事管理からみた賃金決定のポイントを整理しています。
第4章「同一労働同一賃金のための賃金の基礎理論」では、企業にとっての「あるべき賃金」は多様性を持つが、その多様性を超えた「基本理論」があるとし、人事管理にとっての同一労働同一賃金の意味を解説するとともに、賃金決定の2つの原則としれ、「内部公平性原則」と「外部競争性原則」を挙げ、この2つの原則は緊張関係にあるとしています。
第5章「制約社員と人事管理」では、同一労働同一賃金を実現するために人事管理は何をすべきであるのか、同一労働同一賃金を考える上で「同一労働同一賃金は人事管理の一部」であるとの視点と、「非正社員は制約社員の1タイプ」であるとの視点の2つの視点を示すとともに、伝統的人事の特徴とその崩壊について述べた上で、人事管理改革の今後の方向性としての「多元型人事管理」のもとでの賃金決定の諸原則を解説しています。
第6章「総合職の制約社員化と人事管理」では、総合職が制約社員化してきている現状において、正社員の制約社員化における課題と、これからの人事管理の方向を示しています。
第7章「同一労働同一賃金に応える賃金」では、正社員の賃金の現状と今後の行方、同一労働同一賃金を実現するためのパート社員の賃金、同じく高齢社員の賃金、さらに賞与、退職金、諸手当の同一労働同一賃金について解説しており、パートについては「逆Y字型」の人事管理モデルを提唱しています。
法律が求める同一労働同一賃金とは何かを人事管理の観点から解説している点がユニークであると思いましたが、それにとどまらず、企業が同一労働同一賃金に対してどう取り組むべきか、その基本姿勢を示した上で、今後の人事管理の在り方や制度策定の方向性まで示している良書であるように思いました。人事パーソンにはご一読をお勧めします。
後半部分は、前著『正社員消滅時代の人事改革―制約社員を戦力化する仕組みづくり』('12年/日本経済新聞出版社)や『高齢社員の人事管理―戦力化のための仕事・評価・賃金』('14年/中央経済社)に書かれていることとダブったりもしますが、冒頭で、同一労働同一賃金の法的要請はどう解釈するべきなのかということを今回新たに論じた上で、ちゃんと論旨が繋がっていくのは、著者の理論体系がしっかりしているためではないかと思いました。

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中小企業のユニークな福利厚生制度の数々を紹介した本です。まず、全3章構成の第1章「中小企業の福利厚生制度の現状」で、本書執筆のために実施したウェブ調査をもとに、中小企業の福利厚生制度の現状と課題を分析しています。





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二宮 孝 氏(㈱パーソネル・ブレイン)





















採用・選考などその外のテーマについても、実際に実務で起こり得る場面を想定して、"実践テクニック"的なことにまで踏み込んで解説されていて、執筆者個人の見解も織り込まれていたりし、執筆者の経験からくる思い入れが随所に込められている点が、本書の、一見「教科書」のようで通常の教科書らしからぬところではないでしょうか。




前半の1・2章がワークライフバランスについての概説と先進企業の導入事例、後半の3・4章が、ワークライフバランス導入のステップと、「育児休業」「介護休業」「短時間勤務制度」などの各制度メニューの解説となっています(最終章(第5章)はデータ編)。
但し、第4章で紹介されている「ワークライフバランスの各種制度とメニュー」の中には、中小企業でも出来なくはないと思われるものもあるし、中小企業向けの助成金なども紹介されています。








著者は、中堅・中小企業に適合する人事・賃金制度を紹介した書籍などで定評のある人事コンサルタントですが、本書では、成果主義の問題点を解消する切り札として「職種別賃金」制度の導入を提唱しています。



普段は人事専門誌に賃金・人事制度の取材記事を執筆している著者が、一般向けに書き下ろしたものですが、内容的にはやはり賃金人事制度の"取材記事"であり、端的に言えば「事例集」です。
そうした考えに沿って、管理者のレベルアップやトップの強いリーダーシップ、社員との信頼関係などが必要であるとし、プロジェクト方式での人事制度改革の導入の進め方や、成果を出せる風土・環境はどうやって作るのか、目標管理制度や人事考課はどうあるべきかなどを説いています。



浜辺 陽一郎 氏(弁護士・早稲田大学大学院法務研究科教授)
執行役員制度について、執行役との違いも含めた法的な位置づけから、規程の策定など導入の実務までが、詳しくわかりやすく書かれています。

本書では、成果主義の人事・報酬システムをいかにして成功させるかということを「戦略」的視点から捉え、業績と人件費のバランスを図り、適正総額人件費の枠内で報酬を支払うためには、資格・等級はどうすべきか、賞与や月例給与はどうすべきか、業績評価はどう改革すべきかなどについて、具体的な制度策定や運用に踏み込んで述べられています。
本書は、アメリカの賃金・人事制度の特長から積極的に学びつつ、日本的な伝統を生かした日本型職務・成果主義を、豊富なコンサルティング経験に基づいて具体的に提唱しています。
本書前書きにもありますが、人事制度の中でも特に賃金制度(報酬政策)の紹介に重点を置いて書かれています。
著者は本書において、人件費の構造改革の要を「人件費の変動費化」に置き、契約社員制度、社内請負契約、社内自立法人化、戦略的配置転換、戦略別会社設立などを提唱しています。
本書では、人事・賃金制度のこれからを展望したうえで(第1章)、人事制度を策定するにあたっては、まず仕事をベースとする「職務基準」でいくのか能力をベースとする「職能基準」でいくのか、両者をミックスさせたものにするかを決めなければならないとし、それぞれの等級制度の具体例で説明しています(第2章)。
戦略人材コンサルのウイリアムマーサー社(現マーサーヒューマンリソースコンサルティング社)による本書は、SHRM(戦略的人材マネジメント)がテーマですが、制度に踏み込んで書かれているため、書名どおり実践的です。
執行役員制=大企業のものというイメージがある中で、中堅・中小企業に対する経営改革、取締役制度改革の一環としての執行役員制を、そのメリットや形態と併せて提唱しています。


年俸制は、大企業の管理職層を中心に'90年代中盤から2000年にかけて一気に導入が進みましたが、年俸制にテーマを絞った実務者向けの書籍は意外に少ないのではないかと思います。
舞田竜宣 氏
"10年後"と言うよりは、現在の人事制度の方向性とこれからの人事部のあり方といったところでしょうか。