「●人事・賃金制度」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【027】 鍋田 周一 『これからの人事がわかる本』
本書はインディペンダント・コントラクターの「具体的」提唱の先駆け。
『「人件費の構造改革」で会社は蘇る―変動人件費を定着させる新しい雇用形態へのチャレンジ』
著者は本書において、人件費の構造改革の要を「人件費の変動費化」に置き、契約社員制度、社内請負契約、社内自立法人化、戦略的配置転換、戦略別会社設立などを提唱しています。
これらは主に雇用形態に関するものですが、そのメリットや法的な立場の違いについてわかりやすくまとめ、営業委託契約書の見本なども載せています。
インディペンダント・コントラクターのような概念がまだそれほど普及していなかった(あるいは一部の特殊な業態においてしか成り立たないものであると思われていた)'00年の出版であることを考えると、先駆性と具体性に優れ、今もって役立つ本だと思います。
同時に、こうした多様な雇用の形態や新たな事業体を模索することが、大企業に限って求められている人材戦略・事業戦略ではなく、中小企業の経営者・管理者も、従来の固定概念を除いて取り組むべき問題であることを本書は示唆しています。
著者は九州地方を中心に、主に中小企業を対象とした経営指導を行ってきた若手コンサルタントですが、「エネルギーをかけても変わらない人材に期待はできない」といった発言には過激さも感じるかも知れませんが(同じことはGEのジャック・ウェルチも言っていますが)、「経営者の善し悪しは、カネの使い方とプライベートの常態でわかる」などの言葉とともに、著者自らのコンサル経験を通して得られた教訓であることがわかるだけに、説得力があります。
《読書MEMO》
●これからの雇用形態...
・1.契約社員(94p)
・2.社内請負契約-契約社員との違いは雇用ではなく個人事業主(103p)
・3.社内自立法人化-グループ会社の法人経営者になる(123p)
●経営者の善し悪しは、カネの使い方とプライベートの状態でわかる(160p)
●小手先のリストラは、大きな時間の損失になる(230p)