【023】 ○ 中村 壽伸 『こんなに会社が変わる執行役員制―即実行できる中堅・中小企業の役員・管理職改革』 (1999/12 エルコ ) ★★★★

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執行役員と取締役は兼務すべきでない。中小企業に向けた執行役員制制度の提唱は示唆に富む。

こんなに会社が変わる執行役員制4.JPGこんなに会社が変わる執行役員制.jpgこんなに会社が変わる執行役員制-即実行できる中堅・中小企業の役員・管理職改革』〔'99年〕

執行役員と取締役.jpg 執行役員制=大企業のものというイメージがある中で、中堅・中小企業に対する経営改革、取締役制度改革の一環としての執行役員制を、そのメリットや形態と併せて提唱しています。

 著者の提唱する執行役員制における〈執行役員〉とは米国のオフィサーに近いもので、〈取締役〉(ディレクター)は本来的な役割や求められる資質が〈執行役員〉とまったく違うことをわかりやすく説明し(日本企業の従来の〈取締役〉はオフィサーに近い)、社員の「上がり」は取締役でなく執行役員とすべきであるとしています。

 この本の出版当時('99年)、あいまいな「日本型」執行役員制の導入が多くの企業で見られましたが、著者の主張は明快で、〈執行役員〉と〈取締役〉は兼務しない方がいいい と言っています。
 
 確かに、オーナー会社などで、会社資産の処分など経営に関する重大な決定に際して実質的な発言権の無い取締役が役員会に出ていたり、取締役でありながら経営計画の策定にほとんど関与しておらず現業部門の管理・監督に明け暮れている人がいたりするわけで、この人たちは本来は〈取締役〉であるより〈執行役員〉であるべきでしょう。

 取締役・執行役員・管理職のそれぞれの評価のあり方にも踏み込んで書かれています。
 すでに執行役員にした社員に対し今更のように能力評価をしている会社もある(その必要があるのならば、彼らは〈執行役員〉ではなく、それ以前の〈社員〉であるべき)、そうした状況を見ると、今日でも示唆に富む本だと思います。

《読書MEMO》
●執行役員制は3点セットで威力を発揮(人員削減、社内分社化・カンパニー制、取締役会改革)(24p)
●役員はexecutive、その内、取締役はdirector、執行役員はofficer(28p)
●社長と代表取締役は違う-代取は商法上の名代にすぎない(44p)
●事業部制(P/Lのみ)とカンパニー制(B/Sも)は違う(49p)
●米国ではプレジデントは取締役会が任命する執行役員の筆頭のこと(通常CEOを兼ねる)(98p)
●執行役員はアカウンタビリティ・リスポンスビリティで評価すべきで、能力があるとか積極性があるとかで評価すべきではない

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