「●TVドラマ①50年代・60年代制作ドラマ」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1520】「ウルトラQ (第14話)/東京氷河期」
「○日本映画 【制作年順】」の インデックッスへ
「ウルトラシーリーズ」全体を怪獣路線に導いたエポックメイキング的な作品。

火星怪獣ナメゴン 佐原健二(万城目淳)/桜井浩子(江戸川由利子)/江川宇礼雄(一ノ谷博士)
半年前に打ち上げた火星ロケットのカプセルが、ある日地球へ送り返されて来た。カプセルは火星の地表に衝突し、木っ端微塵に散ったはずなのにと、人々はガク然となった。しかも、カプセルの中には、ウズラの卵大の金色の丸い玉が二つまぎれ込んでいたのだ。学者たちは、火星人が人類の宇宙開発の成功を祝福して、贈り物をよこしたに違いないと楽観した。ところが宇宙開発局の金庫から三千万円とともに、保管されていた金色の丸い玉が盗まれてから、しばらくして大蔵島の洞窟の中に恐ろしい怪物が出たという報せが入った。淳、由利子、そして、一平の三人は、さっそくその島へ飛んだ。その洞窟の中にはギャングが倒れており、三千万円の札束が散らばっていた。だが、金色の丸い玉はどこにも見当たらなかった。その時、一匹の怪物が洞窟を突き破って出現した。金色の丸い玉は、なんと火星怪獣の卵だったのである。となると、もう一個の卵は一体どこへ?それは由利子の胸にペンダントに姿を変えて、ぶら下っていたのだ―。(「ウルトラQ・あらすじ集」より)
「ウルトラQ」は'66(昭和41)年1月から7月まで27回にわたって放映されましたが、この第3話「宇宙からの贈りもの」は、円谷一監督、金城哲夫脚本で、1966年1月16日放送。「ウルトラQ」は'64年(昭和39)から'65(昭和40)年の間にシリーズ全話撮影を終えてから放送がスタートしていますが、この「宇宙からの贈りもの」は制作№は5で、実際に撮影されたのは'64年10月下旬~11月中旬になります(因みに制作№4の「あけてくれ!」(監督:円谷一、脚本:小山内美江子)は、シリーズの放送終了後の'67年12月14日に放送された)。
登場するナメクジに似た姿の怪獣ナメゴン(劇中では単に「火星怪獣」と呼称している)は、島で万城目(佐原健二)を追い詰めるも誤って海に転落、海水によって全身が溶けてしまったことで塩分に弱いと判明するという流れ。そのため、終盤、一平(西條康彦)によって由利子(桜井浩子)のペンダントに姿を変えていたもう1個の卵が孵化してナメゴンが再び現れ、一ノ谷博士(江川宇礼雄)の邸宅の庭を徘徊するも、近くの海に落っこちるだろうみたいな楽観的予測をするナレーションで終わっていて、本当に大丈夫なのかなと。
このようにストーリーは間尺の関係か尻切れトンボですが、ナメゴンがよく出来ていたので○です。移動ギミックは映画「モスラ対ゴジラ」('64年/東宝)、「三大怪獣地球最大の決戦」('64年/東宝)の幼虫モスラのもの(ミニチュア自走用の車両を内蔵して自走)を流用し、湿気を出すために撮影のたびに霧吹きで水を表皮に吹き付けていたそうです(因みに、卵が膨らむシーンは風船で表現された)。
最初期に制作されたこの第3話はTBSでの検討用素材としても用いられ、ナメゴンが好評であったため「ウルトラQ」シーリーズの作品全体が怪獣路線になったとされているそうで、「ウルトラQ」の企画時のタイトルが「アンバランス」だったことからも窺えるように、後の「怪奇大作戦」('68年~'69年)みたいな怪奇路線でいくこちとも当初は選択肢としてあったようです。その意味では、「ウルトラシーリーズ」全体を怪獣路線に導いたエポックメイキング的と言うか決定的な作品と言えなくもないかと思います(小山内美江子脚本の「あけてくれ!」がシリーズ放送期間内に放映されなかった一因にもなっている)。
因みに、'66(昭和41)年1月の「ウルトラQ」放送開始直前に刊行された「少年マガジン」の'65(昭和40)年第53号(12月26日号)で「『ウルトラQ』の怪獣たち特集」というのをやっていて、そこにナメゴンも出てきて、走行中のパトカーを襲って大暴れする絵が描かれていましたが、そうしたシーンは本編にはありませんでした。結構いい加減(笑)。

「ウルトラQ(第3話)/宇宙からの贈りもの」●制作年:1964年●監督:円谷一●監修:円谷英二●制作:円谷英二●脚本:金城哲夫●撮影:内海正治●音楽:宮内国郎●特技監督:川上景司●出演:佐原健二/西條康彦/桜井浩子/江川宇礼雄/田島義文/加藤春哉/佐藤功一/岡部正/池田生二/田崎潤/(ノンクレジット)金城哲夫/(ナレーター)石坂浩二●放送:1966/01●放送局:TBS(評価:★★★☆)
田崎潤(宇宙開発局・坂本長官)
●「ウルトラQ」(全27話)制作順ラインアップ
放送回/制作順/脚本No./放送日(1966年)/サブタイトル/登場怪獣・宇宙人/脚本/特技監督/監督/視聴率
4/1/1/1966年1月23日/マンモスフラワー/巨大植物ジュラン/金城哲夫・梶田興治/川上景司/梶田興治 35.8%
22/2/2/5月29日/変身/変身人間 巨人・巨蝶モルフォ蝶/北沢杏子(原案:金城哲夫)/川上景司/梶田興治 26.9%
25/3/3/6月19日/悪魔ッ子/悪魔ッ子リリー/北沢杏子(原案:熊谷健)/川上景司/梶田興治 31.5%
3/5/5/1月16日/宇宙からの贈りもの/火星怪獣ナメゴン/金城哲夫/川上景司/円谷一 34.2%
12/6/7/3月20日/鳥を見た/古代怪鳥ラルゲユウス/山田正弘/川上景司/中川晴之助 32.6%
2/7/11/1月9日/五郎とゴロー/巨大猿ゴロー/金城哲夫/有川貞昌/円谷一 33.4%
17/8/9/4月24日/1/8計画/1/8人間/金城哲夫/有川貞昌/円谷一 31.7%
27/9/4/7月3日/206便消滅す/四次元怪獣トドラ/山浦弘靖・金城哲夫(原案:熊谷健)/川上景司/梶田興治 35.2%
8/10/10/2月20日/甘い蜜の恐怖/モグラ怪獣モングラー/金城哲夫/川上景司/梶田興治 38.5%
6/11/8/2月6日/育てよ!カメ/大ガメ ガメロン・万蛇怪獣怪竜、乙姫/山田正弘/小泉一/中川晴之助 31.2%
1/12/12/1966年1月2日/ゴメスを倒せ!/古代怪獣ゴメス・原始怪鳥リトラ/千束北男/小泉一/円谷一 32.2%
9/13/13/2月27日/クモ男爵/大グモ タランチュラ/金城哲夫/小泉一/円谷一 32.4%
5/14/15/1月30日/ペギラが来た!/冷凍怪獣ペギラ/山田正弘/川上景司/野長瀬三摩地 34.8%
14/15/16/4月3日/東京氷河期/冷凍怪獣ペギラ/山田正弘/川上景司/野長瀬三摩地 36.8%
11/16/17/3月13日/バルンガ/風船怪獣バルンガ/虎見邦男/川上景司/野長瀬三摩地 36.8%
13/17/27/3月27日/ガラダマ/隕石怪獣ガラモン/金城哲夫/的場徹/円谷一 35.7%
26/18/19/6月26日/燃えろ栄光/深海生物ピーター/千束北男/的場徹/満田かずほ 30.8%
21/19/18/5月22日/宇宙指令M774/キール星人・ルパーツ星人・宇宙エイ ボスタング/上原正三/的場徹/満田かずほ 30.9%
15/20/21/4月10日/カネゴンの繭/コイン怪獣カネゴン・カネゴン(両親)/山田正弘/的場徹/中川晴之助 28.5%
18/21/24/5月1日/虹の卵/地底怪獣パゴス/山田正弘/有川貞昌/飯島敏宏 28.9%
19/22/23/5月8日/2020年の挑戦/誘拐怪人ケムール人/金城哲夫・千束北男/有川貞昌/飯島敏宏 28.6%
23/23/14/6月5日/南海の怒り/大ダコ スダール/金城哲夫/的場徹/野長瀬三摩地 30.1%
20/24/26/5月15日/海底原人ラゴン/海底原人ラゴン・海底原人ラゴン(子)/山浦弘靖・大伴昌司・野長瀬三摩地/的場徹/野長瀬三摩地 34.0%
24/25/22/6月12日/ゴーガの像/貝獣ゴーガ/上原正三/的場徹/野長瀬三摩地 27.0%
16/26/28/4月17日/ガラモンの逆襲/隕石怪獣ガラモン・宇宙怪人セミ人間/金城哲夫/的場徹/野長瀬三摩地 31.2%
7/27/20/2月13日/SOS富士山/岩石怪獣ゴルゴス/金城哲夫・千束北男/的場徹/飯島敏宏 32.5%
10/28/25/3月6日/地底超特急西へ/人工生命Ⅿ1号/山浦弘靖・千束北男/的場徹/飯島敏宏 32.6%
(制作№4.)
28/4/6/1967年12月14日/あけてくれ!/異次元列車/小山内美江子/川上景司/円谷一 19.9%

トンネル工事をするうちに反対側からのトンネルに行きあたった一作業員(大村千吉)が、突然「怪物を見た!」と叫び、狂気のようになった。洞窟の中には長さ1メートル半ぐらいの楕円形の塊が発見された。作業員たちは奇怪な物体に当惑し、すぐ調査を依頼することにした。しかし工事現場からの通報で現場にかけつけた学者たちにも皆目判らない物体だった。淳(佐原健二)、由利子(桜井浩子)、一平(西條康彦)の三人も取材に、現場にやって来ていた。困惑する人々、そのうちジロー(村岡順二)という科学好きな少年が「あれは古代のもので、たしかに、これと同じものをどこかで見た」といい出した。記憶をたどったジローが、70キロ離れたところの洞仙寺附近で見たというので、洞窟に入った淳と由利子を残して一平たちはジローとともに洞仙寺へ急いだ。寺の和尚(森野五郎)が見せてくれた一枚の絵、それはリトラとゴメスが闘っているものだった。この絵は裏山にある洞窟の中から発見したものだという。これによって例の物体がリトラのサナギであり、作業員の
みたという怪物はゴメスに間違いないことを知った一平たちは、淳たちのことを心配してすぐに引返した。その頃、洞窟に入った淳と由利子は、ゴメスに遭遇し、襲撃されていた。ゴメスが冬眠状態から生きかえったのだ。このゴメスを倒すには、宿的リトラに頼むほかはない。だが、リトラはさなぎから脱皮する気配も見せない。そうしているうちにも、淳たちの身に危険が迫るのだった―。(「ウルトラQ・あらすじ集」より)
'66(昭和41)年1月から7月まで27回にわたって放映された「ウルトラQ」の記念すべき第1話で、'66年1月2日放送。制作時期は'65(昭和40)年2月~3月で、制作No.12。放映に際して第1回にもってきたのは、リトラという二大怪獣の激突があり、派手さがあると見たのではないでしょうか。因みに「ウルトラQ」は'64年から'65年の間にシリーズ全話撮影を終えてから放送がスタートしています(これが「ウルトラマン」('66 年7月~'67年4月)になると、怪獣の作製が放送に追いつかなくなり、そのため高視聴率のまま番組終了となった)。
因みに、ゴメスは身長が10メートルという設定で、ゴメスの着ぐるみは「モスラ対ゴジラ」('64年/東宝)で制作されたゴジラを流用、リトラは「三大怪獣 地球最大の決戦」('64年/東宝)での操演用のラドンを使用し作られたたそうです。
怪獣オタク(?)のジロー少年が大活躍で、仕舞いにはリトアに「シトロネラアシッド(強力溶解液)を使うんだ!早く!」と指示している! 自分の弱点であるシトロネラ酸を喰らったゴメスは暴れ狂ったのち横転して息絶え、リトラの勝利に喜ぶジローだが、その直後、リトラも命を落とし、ゴメスの亡骸に覆いかぶさる―つまり、シトロネラアシッドはリトア自身の命を削る最後の武器でもあったということで、まあ、リトアだけ生き残っても、現代に餌となる大トカゲもいないわけで、このあたりはうまく出来ているという感じでしょうか。
でも、この頃の怪獣はそう大きくはないとは言え、二頭も一度に斃れたら、映画「大怪獣のあとしまつ」('22年/東映・東宝)ではないですが、"あとしまつ"たいへんだろうなあ。



航空ショーの見学に来たハヤタ・フジ・フジ隊員の弟サトル(川田勝明)。メフィラス星人が突如現れ、人間代表としてフジ・アキコ隊員の弟であるサトルを誘拐。地球を売り渡す承諾の言葉を要求し、あの手この手でサトルを拷問する。しかし、交渉は決裂し、業を煮やしたメフィラスはサトルを閉じ込め、フジ隊員を巨大化させて街中で暴れさせる。さらに、ケムール人、バルタン星人、ザラブ星人を突如都心に出現させ、自らの力を人類に見せつける。サトルと共に円盤に閉じ込められていたハヤタ隊員は事態を見て変身しようとするも、メフィラスに動きを止められてしまう。しかし、メフィラスの宇宙船が爆発し、その衝撃でベーターカプセルのスイッチが入り何とか変身、ウルトラマンはメフィラス星人と激しい戦いを繰り広げるが―。
「ウルトラマン」の第33話で、'66年7月24日放映。監督は鈴木俊継、脚本は金城哲夫。メフィラス星人初登場の巻ですが(後に「ウルトラマンタロウ」(73年)、「ウルトラマンメビウス」('07年)などにも登場)、「悪質宇宙人メフィラス星人」という呼称も凄いけれども、「誘拐怪人ケムール人(二代目)」「凶悪宇宙人ザラブ星人(二代目)」「宇宙忍者バルタン星人(三代目)」を配下に置いているというのがまた凄く、相当の実力者?(知能指数1万以上、ウルトラマンと同等以上の能力を持つと言われ、様々な超能力を発揮し、反重力光線やテレポート能力を有する。科学捜査隊のフジ・アキコ隊員を巨大化させて暴れせた)。
ウルトラマンとの戦いでは、両手から放つ光線でウルトラマンの技を防ぎ、肉弾戦でも互角。このようにタフでありながらも知能は高く、暴力を嫌う紳士を自称しており、力づくによる地球制服ではなく、人間の心に挑戦して説得による地球制服を
図ろうとします。しかし、その交渉相手にサトル少年を選び、「永遠の命を与える」「星の王子にする」などの甘言や、拷問によって「あなたに地球をあげます」と言わせようと画策しているところが可笑しいです(この「地球あげます」が禁じられた言葉ということのようだ)。
高知能指数の宇宙人と言うより、子どもをたぶらかそうとするどこかの単なる怪しいオッさんのようなキャラにも思えますが、初代ウルトラマンに登場した最強の相手の1つと言え、地球侵略を企みながら、ウルトラマンに倒されることなく生き延びた稀有な存在でした。



東京上空に強力な電波を発する飛行物体が出現するが、御殿山の科学センター付近で突如信号が途絶える。科学特捜隊のアラシ隊員(石井伊吉)が現場へ急行すると、そこで発見したのは何かの力によって全く動かなくなった科学センターの職員たちであった。そしてアラシ隊員も、待ち伏せていたバルタン星人が放つ光線によって仮死状態にさせられてしまう。対話を試みた科学特捜隊は、バルタン星人らが宇宙旅行中に母星を失い宇宙船の修理のために立ち寄ったという事実を聞かされる。そして彼らは地球が自分たちの住み良い惑星だと確認し、総移住を強行しようとする。その人口の数なんと"20億3000万"―。
このバルタン星人の来訪はまさに移民問題を想起させるような内容になっていて、「地球に移住することにした」と宣言するバルタン星人に対しハヤタ隊員は「人類の民俗や風習に馴染み、法律を守るなら良いだろう」と答えます。勝手に承諾してしまっていいのかなというのはありますが、ハヤタ隊員=ウルトラマン=神ですからいいのでしょう(笑)。
「ウルトラマン(第2話)/侵略者を撃て」●制作年:1966年●監督:飯島敏宏●脚本:千束北男(飯島敏宏)●特殊技術:的場徹●音楽:宮内国郎●時間:30分●出演:小林昭二/黒部進/石井伊吉(毒蝮三太夫)/二瓶正也/桜井浩子/津沢彰秀/(ゲスト出演)藤田進/飯田覚三/幸田宗丸/緒方燐作/(スーツアクター)古谷敏/佐藤武志/(ナレーター)石坂浩二●放送局:TBS●放送日:1966/07/24(評価:★★★☆)●放送局:TBS(評価:★★★☆)

「ウルトラマン」●演出:円谷一ほか●監修:円谷英二●制作:円谷特技プロダクション●脚本:金城哲夫ほか●音楽:宮内国郎●出演:小林昭二/黒部進/石井伊吉(毒蝮三太夫)/二瓶正也/桜井浩子/平田昭彦/津沢彰秀●放映:1966/07~1967/04(全39回)●放送局:TBS

花畑を楽しむ3人の女学生。そのうちの一人香織(松坂慶子)が見たこともないような花びらをじっくり観察しているうちに、気を失ってしまう。香織は特殊な血液型で、同じ血液型のアマギ隊員(古谷敏)が協力。何の病気かは不明で、異常に血小板が減っているとのこと。その夜、看護師は香織が病室にいないのに気づき、みんなで探すことに。アマギが地下室で香織を見つけたかと思うと、殴られて気絶してしまう。地下には輸血用の血液が保管されていて、アマギの首には香織に血を吸われたらしき跡が残されていた。香織の持っていた花びらのようなものは宇宙細菌ダリーで、血液を吸う細菌だった。しかし、現代の医学では香織を治す方法がない。見張っていたにもかかわらず、再び香織は病室から姿を消してしまう―。
このダン=ウルトラセブンの決心は、このシリーズが「ミクロ」の世界に初めて挑戦したことと重なってます。意識したのは本作の2年前に公開されたリチャード・フライシャー監督の「ミクロの決死圏」('66年/米)であり、そのことは、細菌怪獣の「ダリー」という名が、「ミクロの決死圏」が日本で紹介される際「サルバドール・ダリが美術を担当」と記述されることが多かったことに由来しているようです(実際にはサルバドール・ダリはこの映画には関係していない)。円谷プロの「ミクロの決死圏」への挑戦ともとれるかと思います。
あと、当時15歳の松坂慶子が香織役で出ているのも見どころかもしれません。古谷敏が演じるアマギ隊員は香織のことを好きになったみたいですが、確かにこの頃の松坂慶子は美少女です。

地球防衛軍はタケナカ参謀(佐原健二)のもと瀬川博士(向井淳一郎)と前野律子博士(田村奈巳)で新型水爆8000個分の威力を持つ惑星攻撃用超兵器R1号を完成させる。ダン(森次浩司)は兵器の開発には反対で、実験の中止を希望している。兵器をテストするために、前野博士は生物がいないと見られるギエロン星を選ぶ。実験は成功し、ギエロン星は爆破されてしまう。悲しい面持ちで見ていたダンは宇宙パトロールへ出発する。その頃、基地に宇宙観測艇から、ギエロン星から攻撃を受けたと連絡が入る。ギエロン星の怪物が地球に向かっていて、ホーク1号に乗ったダンとフルハシ(石井伊吉)が現場へ。基地では博士達が話し合っていて、ギエロン星には生物がいて、R1号の攻撃で変異したらしいと言っている。ホーク3号が地球に降り立ったギエロン星人にミサイルを発射し、爆死したかのように見えたのだが―。
ウルトラホーク3号に搭載した新型ミサイルによる攻撃でギエロン星獣の体はバラバラになり、全ては終わったかと思いきや、夜になるとバラバラになっていた体が集結してギエロン星獣は復活(だから「再生怪獣」)、放射能をまき散らしながらより強靭になっていて、ウルトラホーク1号、3号からのミサイル攻撃も効果は無く、星獣はウルトラセブンセブンのアイスラッガーさえも跳ね返してしまいます(それでも、セブンは星獣の片翼をもぎとり、手に持ったアイスラッガーで喉元を斬ってなんとか星獣を倒す。結構、原始的)。
前野律子博士を演じた田村奈巳(1942年生まれ)は、「ウルトラQ(第5話)ペギラが来た!」('66年)で南極基地越冬隊員・久原羊子役、「ウルトラマン(第35話)怪獣墓場」('67年)で月ロケットセンター所員役でも出ており、近年は露出が減りましたが、岡本喜八監督の「
「ウルトラQ(第5話)ペギラが来た!」('66年1月30日放送)は―
ともに雪上車が空中に舞い上がり、無気味なうなり声が辺りにひびきわたった。そこへ、表へ出でいた伊東隊員(伊吹徹)が、氷づけになったように転がり込んで来て、「怪物を見た」「クレパスで野村隊員をみつけた」と虚ろに叫んだ。淳はすぐにそのクレパスに向かうと、そこへペンギン状の化物が白い息をはきながら現われた―。
個人的感想は、まず単なる一パイロットに過ぎない万城目がなぜ行方不明の南極観測隊員の捜索をしなくてはいけないのか、その辺りが引っ掛かったのと、その後のストーリー展開ものったりしていて、南極のセットだけで費用をかけすたのか、未知の生物に襲撃されて南極基地がパニックになるということにもならず、イマイチでした(カラー版で今観ると、田村奈巳の美貌が数少ない見どころの1つか)。ただし、このペギラは、同じウルトラQの第14話「
「ウルトラセブン(第26話)/超兵器R1号」●制作年:1968年●監督:鈴木俊継●脚本:金城哲夫●音楽:冬木透●特殊技術:的場徹●時間:30分●出演:森次浩司(森次晃嗣)/菱見百合子(ひし美ゆり子)/中山昭二/石井伊吉(毒蝮三太夫)/阿知波信介/古谷敏/佐原健二/田村奈巳/向井淳一郎●放送局:TBS●放送日:1968/03/31(評価:★★★☆)
弘●撮影:内海正治●音楽:宮内国郎●特技監督:川上景司●出演:佐原健二/田村奈己(田村奈巳)/松本克平/森山周一郎/伊吹徹/黒木順/石島房太郎/岡豊/今井和雄/石坂浩二(ナレーター)●放送日:1966/01/30●放送局:TBS(評価:★★★)



海岸で休んでいたアンヌ(菱見百合子)の元へ男の子がやって来て、シーホース号の海底開発を今すぐ止めさせないと、大変なことになると予告する。ダン(森次浩司)がアンヌのところへ戻って来ると、沖に見えるシーホース号が炎を上げて燃え始めた。連絡を受けた基地からハイドランジャーが発進して探索すると、海底基地は爆破され近くで潜水艦のようなものを目撃する。アンヌは男の子の顔を覚えていたので、近くの小学校で男の子を探すが、全員違っていた。地球防衛軍ではマナベ参謀(宮川洋一)が子供の声でかかってきた電話を録音してあり、みんなに聞かせ始めると、海底はノンマルトのものだと言っていた。ダンはノンマルトはもともと地球人のことだが、人間とは別の生き物がいるのかと、ノンマルトの正体を考える.。アンヌは事件を予告してきた男の子が海辺の岩の上に座っているのを見つける―。
ダン(ウルトラセブン)の故郷M78星雲では地球人のことをノンマルトと呼んでいるが、少年の言うノンマルトとはいったい何者なのか? アンヌが少年を見つけ出し、ノンマルトとは何なのかということを尋ねると、それに対する少年の答は「本当の地球人さ ずっとずっと大昔 人間より前に地球に住んでいたんだ でも人間から海に追いやられてしまったのさ 人間は今では自分たちが地球人だと思ってるけど本当は侵略者なんだ」という驚くべきものだった―。

一方で、冒頭、ダンとアンヌは海水浴に来ていて、アンヌは首まで砂に埋まり、ダンは海で魚を仕留めてくるという、絵にかいたようなレジャーモード(アンヌの水着姿も見ることができるし)。ラストでも二人して波打ち際を走り、日活青春映画のワンシーンみたいだったりします。
「ウルトラセブン(第42話)/ノンマルトの使者」●制作年:1968年●監督:満田穧(かずほ)●脚本:金城哲夫●特殊技術:高野宏一●音楽:冬木透●時間:30分●出演:森次浩司(森次晃嗣)/菱見百合子(ひし美ゆり子)/中山昭二/石井伊吉(毒蝮三太夫)/阿知波信介/古谷敏/二瓶正也/宮川洋一/天草四郎●放送局:TBS●放送日:1968/07/21(評価:★★★☆)


頻繁に発生する人間蒸発事件を宇宙人の仕業と断定した地球防衛軍は、精鋭チーム"ウルトラ警備隊"に出動を要請する。早速、捜査を開始したフルハシ隊員(石井伊吉(毒蝮三太夫)とソガ隊員(阿知波信介)の前に突如現れ、警告を発する謎の風来坊。彼はモロボシ・ダン(森次浩司)と名乗り、宇宙人を迎撃するために有効な作戦を提案した。果たして、彼の正体は?
途中、「地球防衛軍」の秘密基地が紹介され、キリヤマ隊長(中山昭二)率いる「ウルトラ警備隊」が、ヤマオカ長官(藤田進)、タケナカ参謀(佐原健二)、ヤナガワ参謀(平田昭彦)らの「地球防衛軍」の指示のもと出動する部隊であることが分かるほか、キリヤマ隊長、ソガ隊員、フルハシ隊員、アマギ隊員(古谷敏)、友里アンヌ隊員(菱見百合子)の年齢、隊歴、出身地、特技といったプロフィール紹介があります。
この回で早速、ウルトラセブン=モロボシ・ダンが所有する、小さなカプセルに入った怪獣(カプセル怪獣)の一種「ウィンダム」が登場。ウルトラセブンがクール星人と闘う前に、彼らの宇宙船と前哨戦のような闘いを繰り広げ、やられそうになるとモロボシ・ダンにカプセルに呼び戻されますが、これが「ポケットモンスター」の元ネタになったとされているようです。
そして、この回における敵の「クール星人」は、資料によると身長2メートル、体重75キログラムと小さいのですが、肥大化した脳と退化した四肢が特徴的な彼らは進化の最終形態にあり、知能指数は何と5万とのこと(「
と。そして、捕らえた地球人を人質に地球防衛軍に全面降伏を迫るも拒否され、直接攻撃に移行、目に見えない宇
宙船からの攻撃で京浜工業地帯を壊滅状態にしてしまうという流れ。でも最後は、宇宙船に入り込まれたウルトラセブンに破れ死亡、宇宙船も爆破されます(このあたりは宇宙での戦い)。
「ウルトラセブン(第1話)/姿なき挑戦者」●制作年:1967年●監督:円谷一●脚本:金城哲夫●特殊技術:高野宏一●音楽:冬木透●時間:30分●出演:中山昭二/森次浩司(森次晃嗣)/菱見百合子(ひし美ゆり子)/石井伊吉(毒蝮三太夫)/阿知波信介/古谷敏/佐原健二/宮川洋一/藤田進/平田昭彦/佐原健二●放送局:TBS●放送日:1967/10/01(評価:★★★☆)




地球防衛軍:タケナカ参謀(佐原健二)/ヤマオカ長官(

ある日、銀座のデパートにピグモンが出現し、科学特捜隊に保護される。ピグモンの言葉を解析したところ、怪獣の酋長ジェロニモンが60匹以上の怪獣を復活させ、科学特捜隊とウルトラマンに復讐するという。直ちに迎撃に出動する科学特捜隊だが、イデ隊員(二瓶正也)の様子がおかしい―。
酋長怪獣ジェロニモンは、ジェロニモがモチーフであることは明らか(今の時代だと検閲でアウトか)。ただし、対白人抵抗戦「アパッチ戦争」に身を投じた実際の戦士ジェロニモ(1829-1909)は、本作のように部族の酋長と誤解されている例も多いですが、実際は酋長でも部族の「指導者」でもなく、シャーマンだったそうです。しかしながら、怪獣ジェロニモンに死んだ怪獣を甦らせる能力を付与していることから、その辺りは事前に調べて、シャーマンとしての呪術能力を持たせたのかもしれません。
お陰で、科学特捜隊がピグモンに案内された場所に行ってみれば(怪獣に案内してもらっているというのが可笑しいが、それ以前に、ピグモンの言葉を解するためにイルカの言葉を研究している博士に協力してもらったというのも可笑しい)、そこでは第25話「怪彗星ツイフォン」の彗星怪獣ドラコと第22話「地上破壊工作」の地底怪獣テレスドンが"再生"されていて(当初の予定はゴモラとレッドキングを"再生"させる予定だだったが、着ぐるみの都合でドラコとテレスドンという微妙な取り合わせ(笑)になったようだ)、ピグモンが現れたのも"再生"の結果でしたが、ドラコとテレスドンの二頭が暴れた後に、"元締め"のジェロニモンが登場すします(何と鳥の羽根が武器!)。
最高視聴率を記録したのは、春休み中の放送だったとかも関係した?(放送曜日は日曜なのだが)。哀切感と懐かしさ、先に述べたようなイルカ語などの突っ込みどころと、いろいろな意味で、ランキング上位にくるのは分かる気がします。
棲星怪獣ジャミラ
国際平和会議に参加予定の各国の代表者が乗った飛行機や船ばかりを狙った、謎の爆破が頻発する。科学特捜隊はこの問題を解決するべく、パリ本部のアラン隊員(ピエール・ピロッツ)と一緒に捜査に乗り出す。そして、飛行機
や船を破壊をしていたのは「見えない円盤」であることがわかる。科学特捜隊はイデ隊員(二瓶正也)が開発したスペクトルα線、β線、γ線でこれを破壊。見えない円盤の中から出てきた怪獣を見て、アラン隊員はそ
の正体を確信する。この怪獣はかつて有人衛星に乗っていた宇宙飛行士のジャミラ。つまり元人間だった。米ソの宇宙開発競争が盛んだった時代、ジャミラの乗った有人衛星は遭難して惑星に不時着し、その失敗を隠すために祖国はジャミラを見捨てた。過酷な宇宙環境に耐えるうちに怪獣になったジャミラ。その恨みを晴らすために、ジャミラは各国の代表者が集まる国際平和会議を狙ったのだった。祖国に見捨てられて怪獣になってしまったという悲しい過去を持つ怪獣ジャミラ。国際平和会議の会場に向けて周りを焼き尽くしながら進むジャミラに、ウルトラマンが立ち向かう―。
このエピソードの中
では、昨年['21年]亡くなった二瓶正也(1940-2021/80歳没)が演じるイデ隊員に焦点が当てられていますが(武器開発担当でありながら、ジャミラが元人間と知って、ジャミラを倒すことを拒否する。これを咎めるのが石井伊吉(毒蝮三太夫)のアラシ隊員)、観直してみると、イデ隊員のそうした苦悩が描かれる一方で、桜井浩子演じるアキ子隊員に叱られたじたじになったり、逆に、兵器の開発中にアキ子隊員にコーヒーを差し入れて貰いちょっといい雰囲気になったする場面もあったのだなあと改めて思いました(イデ隊員、研究室ではスーツ姿だった)。
結局、姿を現したジャミラは農村を焼き払って人々は逃げまくるわけですが、「ウルトラマン」でこうしたゴジラ映画のような住民の避難シーンが大々的に描かれるには珍しいとのこと(みんな泥棒みたいな唐草模様の風呂敷を背負っているのが可笑しい。柱時計を抱えている人も)。ジャミラがソ連に現れないで、どうして日本に現れたかというと、日本で国際平和会議が開かれようとしてたからということで説明はつくか。
国際平和会議の会場として国代々木競技場第一体育館前でロケしていて、ジャミラが出てくるシーンではそれをミニチュアで再現しているのは立派。この頃って、前の東京オリンピックが終わってまだ2年しか経っていなかったのだなあ。国際的なものを象徴するとしたら、やはり東京オリンピック関係の施設ということになったのでしょう。
突っ込みどころも多いですが、やはりウルトラマンのスーツアクターの古谷敏も演じていて切なさを感じたというジャミラの最期の哀れさがいちばん効いているでしょうか(水に弱いとは!)。樋口真嗣監督も、「人類を守るとうことが命を奪うということになるという問題にちゃんと向き合っている」と評価しています。
「ウルトラマン(第23話)/「故郷は地球」●制作年:1966年●監督:実相寺昭雄●脚本:佐々木守●特殊技術:高野宏一●音楽:冬木透●時間:30分●出演:小林昭二/黒部進/石井伊吉(毒蝮三太夫)/二瓶正也/桜井浩子/(ゲスト出演)ピエール・ピロッ)/(スーツアクター)古谷敏/(ナレーター)浦野光●放送局:TBS●放送日:1968/09/08(評価:★★★☆)●放送局:TBS●放送日:1966/12/10(評価:★★★☆)

![まぼろし探偵 第4巻 [DVD]5_.jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%81%BE%E3%81%BC%E3%82%8D%E3%81%97%E6%8E%A2%E5%81%B5%20%E7%AC%AC4%E5%B7%BB%20%5BDVD%5D5_.jpg)




日の丸新聞社の記者・黒星十郎(花咲一平)はある日自分のことを「兄貴」と呼ぶやくざ風の青年と出会う。その事を聞いた当の"兄貴"である黒猫五郎(花咲一平、二役)は
黒星本人に成り済まして彼の給料を前借りしたりする。図に乗った"偽黒星"は、吉野博士(カワベキミオ)からロケットの書類を奪って外国に売るという計画を立てる。しかし、その頃には、少年記者・富士進(加藤弘)に偽物の存在が見抜かれていた。ま

ぼろし探偵(加藤弘、二役)は本物の黒星に確実なアリバイを作ってやるため、富士警部(大平透)に黒星を明日まで警視庁で預かって欲しいと要請する。富士警部は、大塚刑事(鈴木志郎)に命じて、黒星に逮捕状を出す。ロケットの書類を奪い取った偽黒星は、吉野博士を殴って気絶させ、一緒にいた娘の吉野さくら(吉永小百合)を誘拐するが―。
「まぼろし探偵」は1959(昭和34)年4月1日から1960(昭和35)年3月27日にかけて、全52回にわたり水曜18:15-18:45に放送されたもので(第28回から日曜の朝に変更)、原作は、1957年に『少年画報』に連載された桑田次郎(桑田二郎、1935-2020/85歳没)の漫画です(原作では「日の丸新聞社」は「少画新聞」)。また、当時14歳(中学2年生)だった吉永小百合の「赤胴鈴之助」に続くテレビ出演番組として
この第17話「犯人黒星十郎?」は、第1話「謎の怪電波」(武田信玄の子孫の復讐劇?)、第8話「れい迷教?」(当時流行りの新興宗教批判?)などと並んで面白いとされているエピソードですが、この回に限らず、同じKRT(現TBS)で前年スタートの「月光仮面」よりは全体的に洗練されてきているのではないでしょうか。この回で言えば、黒星記者に成りすましたチンピラのやることが、給料を前借り、かつ丼の注文、紳士服や靴、テレビの購入といったやたら生活染みたものであったりとか、依然、突っ込みどころは多いのですが、それはそれでまた別に意味での愉しみと言えるでしょう。
まぼろし探偵は第1話の時から世間に周知の存在であるという設定であり、富士登警部(第1話から途中まで天草四郎、途中から大平透に交代)もまぼろし探偵に全幅の信頼を置いていますが(まぼろ探偵に言われて黒星記者をほとんど人権蹂躙的に逮捕してしまうくらい(笑))、そのくせ"まぼろし探偵"の正体が今さっきまで目の前にいた自分の息子・進少年であることにはいつまでも気がつきません(主題歌の2番に「親に心配かけまいと、あっという間の早変わり」とある)。
因みに、漫画で描かれるまぼろし探偵はバイクを操りますが、テレビ版は〈まぼろし号〉というフェアレディをベースにしたクルマが愛車で、これは探偵役の加藤弘がバイクに乗れなかったために用意されたとする説がありますが、加藤弘はまぼろし号の運転も無免許で行っていたと証言しています(バイクに乗ったスチール写真もあり、DVDカバーなどに使われ
ている)。結構、撮影現場って道交法の遵守とかに関してはいい加減だったのかも(私有地内ならいいのか?)。この他、飛行シーンはジェット機で、これはミニチュア特撮を駆使しています。特撮は、「
吉野博士の娘、進のガールフレンドのさくら役という設定の吉永小百合は、テレビ番組放映中に人気が出て忙しくなったのか、最初の頃は進と一緒に事件について考えたりしていたのに、この頃にはスタート時ほど出ずっぱりではなく、この回にしても、中盤以降で父親の吉野博士と一緒に出てきて、あっという間に誘拐されてしまいます。誘拐グループが彼女を担ぎ上げて「わっしょい、わっしょい」と大声を出して運び(祭かいな)、すぐさま、まぼろし探偵に見つかってしまう。しかし、最後、まぼろし探偵も(博士から授かった電波ピストルを持っているのだが)徒手空拳の取っ組み合い。まあ、これは「月光仮面」も、宇宙人である「ナショナルキッド」でさえ最後はそうでしたが。それにしても少年の割には強い!
花咲一平のシーリーズ唯一の一人二役の作品で、この人の演技、観ていて楽しいです。黒星十郎のキャラクターは、後の「
どの回も楽しく突っ込めますが、この回の最大の突っ込みどころは、花咲一平が演じる黒星十郎が、"偽黒星"の時は右頬にマジックでつけたような大きな黒子(ホクロ)がある点ではないでしょうか。観ていて今本物が出ているのか偽物が出ているのか分かりやすくしたのでしょうが、この黒子のことを誰も気づかないというのが、進行上の"お約束"ということなのでしょう。普通だったら「黒星さん、顔にマジックがついてますよ」って誰か言うだろうけれどね(笑)。
因みに、吉永小百合はラジオのデビュー作がラジオ東京(現・TBSラジオ)の「赤胴鈴之助」('57年1月-'59年2月)であるのに対し、テレビのデビュー作がこの「まぼろし探偵」('59年4月-'60年3月)だと思っていたという人がいましたが、テレビのデビュー作もKRテレビ版の「赤胴鈴之助」('57年10月-'59年3月)です。一方、映画デビューは、「まぼろし探偵」の放映が始まる前月の'59年3月に公開の松竹映画「朝を呼ぶ口笛」でした。これは新聞配達を続けながら、夜間高校へ進学することを目指している中学生の少年が、母親が病気入院したところに父親の手術が重なって、両親と幼
い弟妹がいる家計を支えるために、学校も新聞配達も辞めて町工場で働くことにし、夢が消え落ち込んではいたところ、新聞販売店の仲間たちの力添えや配達先の少女の励ましに支えられ、再び以前の生活に戻ることができたというもの。その主人公の少年を励ます少女役が吉永小百合で、少年は少女に淡い想いを抱くも、最後、少女は父親の転勤で大阪に行くことになるという、言わば"ボーイ・ミーツ・ガール"&"別れ"というストーリーですが、この少年を演じていたのが「まぼろし探偵」こと富士進役の加藤弘でした。映画の方では、当時14歳の吉永小百合の方が加藤弘より大人びて見え、加藤弘の方は吉永小百合に励まされる役どころということもあってか、子供っぽく見えるので、加藤弘は「まぼろし探偵」で大変身を遂げたように思いました。
「まぼろし探偵(第17話)/犯人黒星十郎?」●制作年:1959年●監督:近藤竜太郎●企画:神山雄二●脚本:柳川創造●原作:桑田次郎(桑田二郎)●音楽:大塚一男●出演:加藤弘/吉永小百合/大平透/利根はる恵/花咲一平/カワベキミオ/藤田弓子●放送局:KRT(現TBS)●放送日:1959/07/22(評価:★★★☆)
1959- 4- 1 水 18:15-18:45 謎の怪電
1959- 5- 20 水 18:15-18:45 れい迷教?
1959- 8- 5 水 18:15-18:45 ゆうれい島
1959-11- 8 日 9:00- 9:30 クラーク東郷・後篇
43 1960- 1- 24 日 9:00- 9:30 謎のジョーカー・前篇 

「朝を呼ぶ口笛」●制作年:1959年●監督:生駒千里●製作:桑田良太郎●脚本:光畑碩郎●撮影:篠村荘三郎●音楽:鏑木創●原作:吉田稔「新聞配達」(全国中小学生綴り方コンクール文部大臣賞受賞)●時間:62分●出演:加藤弘/織田政雄/井川邦子/鳥居博也/羽江マリ/田村高廣/瞳麗子/山内明/殿山泰司/沢村貞子/吉永小百合/田村保/吉野憲司/田中晋二/真塩洋一/土紀洋兒/井上正彦/人見修/後藤泰子/村上記代/秩父晴子●公開:1959/03●配給:松竹(評価:★★★☆)



カメラマン青年・森辰也(佐々木功)は、元金貸業の女社長・加原連子(八代万智子)と彼女のマンションに暮らすヒモだが、真木ミチ(真里アンヌ)という恋人も
いたりし、一方で、個展を開きたいと考え、連子に金を出してもらったりもしている。しかしその金を、ヤクザまがいの山西成光(今井健二)に因縁をつけられて巻き上げれてしまう。山西は実は連子の会社の元社員だった。連子から「あなたは私のペットなのよ」と言われ、激高した辰也は、連子を絞め殺してしまう。遺体を車で山中に運び、木に縛りつけ、ガソリンをかけて燃やしてしまうが、その時、連子が目をゆっくり開けこちらを見つめた気がした。マンショ
ンに戻って大金の入ったトランクを見つけ喜ぶ辰也。そんな辰也の前に、連子の妹と称する松美(集三枝子)という女が現れる。一方、辰
也が連子を殺害したことに気がついた山西は、またしても佐々木功を強請ろうとするが、辰也はその山西を撲殺する。ところが、その現場を松美に見られ、今度は松美から「あなたは私のペットよ」と言われたため、咄嗟に松美も絞め殺してしまう。そして、トランクの金を元
手に門馬支配人(大泉滉)の画廊で個展を開くが、会場を飾るはずのミチのヌード写真が全て、連子、山西、松美の死体の写真にすり替わっていた。そのミチは女郎蜘蛛の群れに殺され、そして辰也も―。
この「蜘蛛の女」は傑作と推す人は多いですが、個人的にはちょっと"ベタ"過ぎる印象でしょうか。役者としての佐々木功(現ささきいさお)がじっくり味わえるのが最大のメリットで(篠田三郎監督、浅丘ルリ子主演「
佐々木功は、役者としての「佐々木功」とアニメソング歌手としての「ささきいさお」と芸名を使い分けていましたが、結局「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」などアニメソングで多くのヒット曲を持つことの方であまりに有名になってしまい、芸名を「ささきいさお」に表記統一してしまいます。元々は俳優であり、シルヴェスター・スタローンなどの吹き替えで声優としても知られています。

辰也をペット扱いするまさに「蜘蛛女」連子役の八代万智子(1939年生まれ)は、「マグマ大使」('66年)にマ
モル(江木俊夫)の母親役で出ていましたが(父親役は岡田眞澄)、「プレイガール」('69年-'76年)でもレギュラーでした(演技の幅が広いが、この作品では完全に悪女系の女性を演じている)。この人は結婚を機に芸能界を引退しています。連子の「妹」松美役の集三枝子(1949年生まれ)は、この後、東映映画で大信田礼子主演の
「ずべ公番長」シリーズの準レギュラーになりましたが、'73年くらいと若いうちに引退したようです。

真理アンヌ(1948年生まれ。父親がインド人で母親が日本人)は、「ウルトラマン(第32話)果てしなき逆襲」('67年)に科学特捜隊インド支部・パティ隊員役で出ています。因みに、「ウルトラセブン」で菱見百合子が演じた「友里アンヌ隊員」の役名は、第1期ウルトラシリーズを企画した金城哲夫(1938-1976/37歳没)が真理アンヌのファンだったことからその名になったとのことです(この人は吉本興業所属の現役)。
この「蜘蛛の女」の場合、結局、主要登場人物は皆(悪人ばかりだったけれど)死んでしまったわけだなあ(大泉滉は何ともないけれど、善人でも悪人でもないから(笑))。第12話「墓場から呪いの手」に続いて主人公が殺害した女性の"妹"が出てくるわけですが、今回の「松美」は自分で鏡に向かって鏡は無い方がいいと言い(鏡に映った松美は連子の姿になる)、「私が連子だとは(辰也は)まだ気がつかない
とまで言っているので(つまり、単なる辰也の思い過ごしではないということ。視聴者向け解説?)、妹と言うより連子の化身なのでしょう(最後には"生身"の連子自身が出てくるし)。
「恐怖劇場アンバランス(第13話)/蜘蛛の女」●制作年: 1969年(制作№4)●監督:井田探(もとむ)●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:滝沢真里●音楽:冨田勲●出演:八代万智子/集三枝子/真理アンヌ/今井健二/滝川早苗/山口勲/相良孝子/高品格/大泉滉/若水ヤエ子/佐々木功/青島幸男(解説)●放送:1973/04/02●放送局:フジテレビ(評価:★★★☆)

マンションの一室で夜中に男が浴室へ女性の死体を引きずり、バラバラに解体しようとしている。男はバラバラにした死体を油紙に包んで車で運びへ、川や下水、山中に投棄する。その男・桑田哲也(山本耕一)は、会社の経理課長で、自分が帳簿操作の不正をしたのを知っている女性・月村久美(牧紀子)に、口封じのためだけに結婚を匂わせていたが、久美は桑田を愛していたので、それを承知の上で桑田と付き合っていた。ところが桑田がその
夜別れ話を切り出したため、久美は会社に何もかもバラすと言い、そこで桑田は凶行に及んだのだった。久美の遺体の始末は上手くいったかに見えたが、翌日から桑田の身の回りに、遺体の断片が現れるなど、奇妙な出来事が起こり始める。警察が桑田の家にやって来る。何者かが桑田の部屋から警察に電話したのだった。桑田は久美の妹・のり子(松本留美)を疑い、彼女に会
いに行くと、姉がアパートに帰ってないことを心配して桑田のところへ行こうと思っていたという。深夜アベックが久美の遺体の一部が入った包みを見つけ、久美の手はアベックを襲って男を殺す。車には久美の指紋が残されていて、警察にのり子が呼ばれた。中川刑事(入川保則)とのり子は行方不明の久美の消息を掴むため、交際相手の桑田の部屋に行くが、桑田は何かに激しく脅えていた。桑田が寝ていると久美の手が這ってきて、気づいた桑田は驚いてそれを窓へ投げ捨てる。久美の手はバラバラになった自分の躰を集め始めていた。桑田はのり子を殺すつもりで、久美のことで話したいことがあると電話で呼び出すが―。
「恐怖劇場アンバランス」の第12話で、満田穧(みつた・かずほ)監督、若槻文三脚本。ここに来て、これまで続いたサスペンス調から「恐怖劇場」の名に相応しいホラー調に一気に戻って"原点回帰"した印象ですが、実は、放送された全13話の内、制作順でいくとこの作品が「制作№1」で、'69年制作です。従って、元々はこのシリーズは、こうしたホラー路線で行こうとしていたのだということが分ります。それが、制作No.8以降は原作付きのサスペンスに路線変更しています(放映順は制作順と異なる)。
れ)の"役者ぶり"でしょうか(熱演!)。「アフタヌーンショー」(テレビ朝日)でリポーターを務め、川崎敬三との「そうなんですよ、川崎さん」の名文句が有名となって、そちらの印象が強くて、また、役者としても「主役」で出ているものは少ないのではないかと思います(山本耕一は早稲田大学文学部卒。そう言えば、役者としてデビューしてレポーターに転じた阿部祐二も早稲田大学政治経済学部卒だなあ)。
女優陣も、久美を演じた牧紀子(1940年生まれ)は、多くのドラマに出ていますが、同じ年に「怪奇大作戦(第18話)/死者がささやく」('69年/TBS)での田原澄子役などもありました。この人は、亡くなっていますが没年不詳のようです。久美の妹・のり子役の松本留美(1949年生まれ)もテレビドラマに多数出演していて、こちらは、近年も反町隆史主演の「リーガル・ハート〜いのちの再建弁護士〜」('19年/テレビ東京)にレギュラーキャストとして出演するなど現役です。
村山清(平田満)、美津子(岡江久美子)夫妻は、千葉県の郊外に念願の一戸建てを買い引っ越してきた。引越当日の深夜、2階寝室で寝ていた清の片腕に、突然女の手首がとりついた。夢だと思ったが、女の手首がとりついた左腕がだるくなってきた。クラシック音楽のトランペットの音色を聞いただけで、左腕が激しく痛みだしたり、3歳の甥が清の左腕に手首がぶらさがっていると恐がったり、美津子までノイローゼになりそうだった。ある日美津子は、この辺りで昔から開業している医者に、自分達が住んでいる場所の歴史を聞き出した。それによると、戦前は日本陸軍の兵営が近くにあり、ちょうど美津子達の家がある所に島倉という大尉の一家が住んでいた。島倉大尉(井上純一)と政略結婚をさせられた綾子(中島はるみ)という女性と、彼女に恋心をいだいた大尉の弟・康次郎に腹を立てた大尉が、軍刀で綾子の手首を切り落としたのだった―。
「恐怖劇場アンバランス(第12話)/墓場から呪いの手」●制作年: 1969年(制作№1)●監督:満田穧(みつた・かずほ)●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:若槻文三●音楽:冨田勲●出演:山本耕一/松本留美/牧紀子/藤あきみ/渚健二/上田忠好/村上不二夫/内藤綱男/依田英助/川村依久子/和久井節緒/溝呂木但/磯野のり子/小林千枝子/矢野宏/田辺和佳子/入川保則●放送:1973/03/26●放送局:フジテレビ(評価:★★★☆)

企業の営業部に勤務するサラリーマンの犬飼市郎(梅津栄)(39歳)は、真面目だが出世欲は無く、平社員であってもマイペースで生きていくのがよいと、課長昇進を断り続けてきた。しかし、営業部長の高井(中丸忠雄)の強引な手配で、課長昇進が決まってしま
う。犬飼はプレッシャーから心身のバランスを崩し、夜も寝つけず、絶対に穴をあけてはならない早朝会議に遅刻してしまう。いったんは会社に着いたものの、階段で会った営業部員の八木(二瓶正也)に、「あれ、課長、朝の会議は大丈夫なんですか?」と言われて、そのまま逃げ出してしまう。初めての競馬に行き、さらにストリップ劇場、トルコ風呂と、彼の逃避行は続く。会社では、課長に昇進したばかりの犬飼が蒸発したということで大騒ぎで、出世こそがサ
ラリーマンの勲章だと思ってる役員や幹部たちは、犬飼の妻(津島恵子)が犬飼は「出世より自分の時間が欲しい」と言っていたという、その犬養の心情が全く理解できない。犬飼は、昇進祝いに同僚と行ったバーへ足を運び、その時気になったホステスの宇多子(冨士眞奈美)に心情を吐露、宇多子が得意とする秋田音頭で盛り上がると、そのまま彼女のアパートでへ。宇多子の夫が籍を入れたま失踪したと聞いた犬飼は、偽装自殺をして自身の戸籍を抹消し、宇多子の夫に成り代わって生きてゆ
くことを思いつき、宇多子も
乗り気になるが、実行に移そうと思った矢先に、置き忘れた手帖から足がついて、同僚に踏み込まれる。いったんは自宅に戻った犬飼だったが、改めて「偽装自殺」計画を実行に移し、再度宇多子の元へ。ところが、失踪したはずだった宇多子の夫(向井精七)が戻ってきていて、痛めつけられ追い出される。独りきりとなり、世間では「自殺した」ことになっている犬飼は―。
「恐怖劇場アンバランス」の第10話で、'70年制作、'73年放映。監督は満田穧(みつた・かずほ)。原作は、樹下太郎(1921-2000)の「消失計画」(『サラリーマンの勲章』('64年/ポケット文春)所収)です。この「恐怖劇場アンバランス」シリーズは、制作No.8以降、オリジナル脚本のホラー路線から、原作ありのサスペンス路線に"路線変更"しており、この「サラリーマンの勲章」は、制作順としては放映されたものの中で一番最後(制作№13)になりますが、当初の「ホラー劇場」的なシリーズの内容から最も"遠くに来た"という感じでしょうか(「ウルトラシリーズ」の二瓶正也などが出演していることで、円谷プロ制作だった思い出すくらい)。ところが、人によっては、幽霊も出てこなければ殺人事件も起きないこの作品が「一番怖い」という人もいて、人によって受け止め方が違ってくる点が、このシリーズの一つの面白いところかもしれません。
そうした"マイノリティ"の犬飼に着眼してドラマ化したところが面白いと思いますが(犬飼を演じた梅津栄(1928-2016/享年88)はこの作品が唯一の主演作だそうだ)、令和の今の時代は「課長になりたくない」というサラリーマンが3、4割いるとも言われているので、先見の明があったと言えるかもしれません。ただし、当時としても、ドロップアウトしてみたいという潜在的な欲求は多くの人の心の底にあったのではないでしょうか。「人間蒸発」と言う言葉が流行った時
期でもあり、多くの小説や映画、ドラマでモチーフとして用いられ、実際、当時は事件としても日常茶飯にあったと思います。この作品の中でも、津島恵子(1926-2012/享年86)演じる犬飼の妻が子供にパパは出張中だと言いくるめようとして、逆に「蒸発しちゃったんじゃないの」と言われてしまいます。でも、この奥さん、ラストで「自殺した」夫の遺影を前に、「私は夫が死んだとは思えないわ。あの人は今もどこかで自分らしく生きているんじゃないかしら」と言っていて、結構夫のことを理解している人だなあと(ちゃんと夫がお金を残してくれているというのもあるかもしれないが)。
当面の生活資金もあるし、ラストは、当初の望み通り、朝の喫茶店で一人静かに(いや、秋田音頭を口ずさみながら)コーヒーを飲むシーンで終わっています。でも、予め決めていたこととは言え、家族も会社の人間とも関係を絶ち、さらには、惚れた宇多子とも一緒になれなかったので、孤独感が漂っているようにも思えます。つまり、自由との引き換えに孤独になってしまったと...。この作品が"怖い"としたらそのあたりではないかと思います。
犬飼は意外と強い人間で、それでもやっていけるかもしれないけれども、自分はどうだろうと考えると、まあ、フィクション世界、空想世界だけの話にしておこう―ということになるのではないでしょうか。でも、犬飼のように、ちょっとしたことを契機に自らドロップアウトすることが自分にだってあるかもしれない―高い所を怖がる人は、誤って「落ちる」のが怖いのではなく、自ら「飛び降りてしまう」ことが怖いのだと言われるように―そうした思いを駆り立てるところが、このドラマの怖さではないかと思います。
「恐怖劇場アンバランス(第10話)/サラリーマンの勲章」●制作年: 1970年(制作№13)●監督:満田穧(かずほ)●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:上原 正三●音楽:冨田勲●原作:樹下太郎「消失計画」●出演:梅津栄/冨士真奈美/中丸忠雄/南広/神田隆/二瓶正也/横山リエ/向井精七/鶴賀二郎/中村上治/香忍/伊東潤一/広田直美/伊藤静江/野島ひとみ/津島恵子●放送:1973/03/12●放送局:フジテレビ(評価:★★★

初老の仕立て屋・服部康吉(西村晃)は、娘・笛子(夏珠美)と一緒に新宿へ買い物に出掛けた際に、チンピラ三人組が娘にちょかいをかけてきたため、たまたま持参していた洋服の仕立て鋏で男たちを刺してしまう。これが過剰防衛に当たるとされ、懲役一年の実刑判決が下されるが、チンピラたちは罪に問われなかった。その後、服部は模範囚だったことから半年で釈放され、事件を担当した老刑事・八坂(花沢徳衛)が気になって服部の営む仕立て屋を訪ねると、服部はいたが娘は結婚したとのことだった。実は八坂が服部を訪ねたのは、事件の際のチンピラ三人が服部に小銭をせびっていて、服部はそれに対し、断るどころか進んで金を渡して
いるということを聞きつけたからだった。チンピラたちは依然あちこちでゆすりたかりのような
ことを繰り返していて、一方、服部の娘が結婚したというのは嘘で、実は家出していたのだった。八坂は横須賀のゴーゴークラブで踊る笛子を探し出し、会ってみると、酒は飲むはタバコはふかすはの変わりようだった。一方、ある晩、公園でチンピラ三人がまたしてもカップルを脅迫しようと企んでいたが、今回は八坂らが張り込んでいて、彼らを取り押さえた。と、そこにいたのは―。
「恐怖劇場アンバランス」の第7話(制作№12)で、'70年制作、'73年放映。原作は、山田風太郎の「黒幕」(『夜よりほかに聴くものもなし』('62年/東都書房、後に現代教養文庫、広済堂文庫、光文社文庫、角川文庫)所収)です。監督はこの5年後に「

尤も、この「夜が明けたら」というのは、劇中、クラブで浅川マキ(1942-2010/享年67)が歌っている彼女の曲の名であり、1969年7月にシングルレコード発売されています(CDの音質に対して本人は懐疑的であったため、存命中はその意向により作品の大部分が廃盤状態だった)。笛子(夏珠美)が朗読している『冠婚葬祭入門』(カッパ・ブックス)は塩月弥栄子(1918-2015/享年96)の1970年のベストセラーです(カッパ・ブックスで単巻で発行部数300万部を超えた唯一の本)。場面の変わり目で映し
出される建設中の高層ビルは「京王プラザホテル」です(1971年6月開業時は、霞が関ビルを抜き日本で最も高い超高層ビルであった)。冒
頭、新宿の街で笛子がチンピラにちょっかいを掛けられ、服部が歩道橋に駆け付ける場面は、複数の望遠レンズでも撮っていることから、一発勝負の" ゲリラ撮影"だったと思われます(1960年代中盤にソニーがポータブル・ビデオカメラを開発し、それが普及して、ゲリラ撮影が世界的に流行った)。このように、1960年代が終わり1970年に入ったばかりという時代の雰囲気が横溢している作品でした。
笛子を演じた夏珠美(当時22歳)は映画「月光仮面」('58年)などの子役出身で、それが10年後には梅宮辰夫(1938-2019/享年81)主演の「不良番長」シリーズ('68-'72年)のレギュラーになるわけですが(一応ヒロイン役)、ここでは、お嬢さんっぽいビフォアーと、あばずれっぽいアフターを演じ分けていました。
この「恐怖劇場アンバランス」シリーズは、制作No.8以降、オリジナル脚本のホラー路線から、原作ありのサスペンス路線に"路線変更"していて、この「夜が明けたら」のラストの意外性も、原作に負うところが大きいのだろうとは思います。でも、映像化することで、時代の背景などが垣間見れて、それは映像的にも貴重であるし、原作を時代のシズル感をもって改めて味わうことが出来るように思いました。
「恐怖劇場アンバランス(第7話)/夜が明けたら」●制作年: 1970年(制作№12)●監督:黒木和雄●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:滝沢真理●音楽:冨田勲●原作:山田風太郎「黒幕」●出演:西村晃/山本燐一/夏珠美/根岸一正/矢野間啓治/吉田潔/山本一栄/木下桂子/栗田幸子/福光洋子/新田喜美江/三田登喜子/浅川マキ/花沢徳衛●放送:1973/02/19●放送局:フジテレビ(評価:★
★★☆)

地方紙・甲信新聞社に「杉本隆治の連載小説を読みたいので定期購読したい」との手紙が東京から届く。当の小説家・杉本隆治(井川比佐志)は気を良くするが、1カ月後につまらないから購読をやめたいとの手紙が届く。腑に落ちない杉本は、手紙の差出人
を申し込んだ日から止めた日までの1カ月間の記事をチェックすると、東京から来たカップルの心中事件が目を引く。杉本は芳子がホステスとして勤めるキャバレーに自ら行き、芳子(夏圭子)に会って「僕の小説のどこが面白かった?」とカマを掛けるが答えは曖昧で、芳子が自分の小説を読んでいないと確信する。今度は芳子が杉本の周辺を調べ始め、杉本のマンションのベランダで杉本に好意を持っている甲信新聞の女性編集員・ふじ子(吉野よし子)の姿を確認する。杉本の方も芳子に、新作のアイディアができたとして偽装心中の話をしれカマを掛け、彼女の反応を見る。ある日、芳子は杉本とふじ子をハイキングに誘い、ふじ子は芳子の手作り弁当を口にしようとするが―。

原作が文庫で50ページほどで、かつては30分ドラマ枠で放送されることが多かったのが、80年代以降、「2時間ドラマ」枠で放送されるのが定番化しています。直近の2016年のテレビ朝日版(田村正和・広末涼子)では舞台を金沢に移したりもしています(2020年のNHK「黒い画集~証言~」も舞台を東京から金沢に変えている。金沢と言えば「ゼロの焦点」なのだが)。それに限らず、2時間ドラマになってからの作品は改変が多く、2時間もたせるために原作にいろいろ足している印象を受けます。
そうした中、「恐怖劇場アンバランス」の一話として'70 年に作られ(制作№11)、第6話として'73年に放映されたこの「地方紙を買う女」は(「恐怖劇場アンバランス」は'69年7月から'70年3月にかけて制作されながら、放映が延びていた。シリーズごと3年間お蔵入りしていたことになる)、正味45分、コンパクトに纏まっていてほぼ原作通りであり、下手に足し算するよりも、よく作品の雰囲気を伝えているように思います。監督はフジテレビのディレクターだった森川時久で、当時このシーリーズを演出した鈴木清順、藤田敏八、神代辰巳、黒木和雄といった人たちがまださほど実績が無かったのに対し、森川時久は人気ドラマ「若者たち」を手掛け、その劇場版で'66年に映画監督デビューも果たしていました。
小説家・杉本を演じた井川比佐志の演技もいいし、謎の女・芳子の夏圭子(当時26歳)も良かったです。ただ、原作と全く同じに作られているかというと、原作では山本圭が演じるトップ屋が出てきません(芳子の身許調査は杉本が探偵社に依頼して行う)。したがって、ラストの井川比佐志と山本圭の論争(言い争い)もありません。この部分が、小山内美江子による脚本の見せどころだったのかもしれませんが、個人的には蛇足だったように思います(他にも細部でも原作との違いはある。例えば、芳子の夫は刑務所にいて今度刑期を終えるのではなく、満州に抑留されていて帰還することになったなど。これは、時代背景を原作から10年以上ずらしているため)。また、原作では、杉本は芳子のことを「芳ベイ」と呼ぶようになるまでに親密の情を抱いていますが(そこが主人公の辛さ)、ドラマでは杉本から見て「容疑者」としてのイメージの方が凌駕しているように思います。
シーリーズの中でもよく出来ている方だと思いますが、その良さは原作に依るところ大であり、ドラマ版は"蛇足"もあったりして、これもまた、原作を超えるまではいってないと思います。原作のスゴイ点は、主に芳子の視点及び心理描写で話が進んでいくことで、普通はこのスタイルだと「倒叙法」になりますがそうなっておらず、それでいて推理小説として成り立っていることです(ドラマは冒頭に犯行シーンがあり「倒叙法」になり切っている)。この手法は、行き過ぎた"叙述トリック"になる恐れもありますが、本作ではそうなっていないどころか、芳子と杉本の心理的な探り合いを際立たせています。これもまた松本清張の"社会派推理小説"群の一環を成す作品ですが、技術的な面でも優れていると思います。
因みに、作中で杉本隆治が新聞に連載している『野盗伝奇』は、松本清張の実際の作品であり、西日本スポーツなどブロック紙系の新聞に連載され1957年11月に光風社より刊行(後に角川文庫で文庫化)されていて、「地方紙を買う女」を「小説新潮」に連載していた時期と重なり、このあたりに清張に茶目っ気が窺えます。
「恐怖劇場アンバランス(第6話)/地方紙を買う女」●制作年: 1970年(制作№11)●監督:森川時久●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:小山内美江子●音楽:冨田勲●原作:松本清張「地方紙を買う女」 ●出演:井川比佐志/夏圭子/山本圭/吉野よし子/中村美代子/中島葵/横森久/可知靖之/飯沼慧/金井進二/早川純一/大林丈史/松谷量子/前川哲男/青島幸男(解説)●放送:1973/01/29●放送局:フジテレビ(評価:★★★☆)



前衛劇団「からしだね」は落ち目の劇団であり、此度もちゃんとした劇場ではなく、潰れた映画館を借りての公演だが、演出家の犬尾(唐十郎)は今回の公演作「眼」を大成功させ、起死回生を図るつもりでいる。しかし、その思いが強すぎて過激な演出を思いつき、悪霊役を演じる白浜(三谷昇)に、二階席から滑車を使ってステージへ降りてくる演技を命じる。喘息持ちの白浜が気乗りしないままやってみて、1回目のテストは成功、しかし、照明係のジュン(星紀一)に押されての2回目に、バランスを崩して落下死してしまう。犬尾は、団員の山口(橋爪功)やヨーコ(緑魔子)
らを"共犯者"に巻き込んで、ボイラーでその遺体燃やしてしまう。ところがボイラー内から叫び声が上がり、白浜はまだ生きていたようだ。その後、団員らが白浜を見たという話があり、犬尾も彼の咳声を聞く。犬尾は「邪魔する気か」とわめき、ボイラーの扉を開け、焼けた骸骨を奥に押し込む。悪霊役はヨーコがやることになり、ヨーコの役は犬尾に憧れて田舎から出てきた少女・西野ツル(小
野千春)がやることに。一方、稽古中に白浜の幻影を見た山口は、もうやってられないと出ていく。「邪魔をする奴は殺してやる」と言う犬尾に怖れを抱いたヨーコは逃げようとするが、犬尾に追い詰められ刺殺される。犬尾はその遺体もまたボイラーに。ツルがボイラーでヨーコの遺体を見つけたと言っても、「夢なんだよ」と。そこへスポットライトが当たり、夢と現実の区別がつかなくなった犬尾は、今度はツルを絞め殺す。そして、何も知らず様子を見に着たマネージャーの坂井(早川保)の前で狂気の一人芝居を演じ始め、舞台の上からスクリーン上の少年時代の海岸に彷徨い出て―。
「恐怖劇場アンバランス」の第4話(制作№6)で、監督は山際永三、脚本は市川森一。そして、60・70年代に時代の最先端を走った状況劇場を率いていた唐十郎が、リアルタイムで"落ち目の劇団"の演出家を演じています。冒頭に、子供時代の犬尾が海岸で拾った義眼を見知らぬ女の子に持っていかれる回想シーンがあり、それが犬尾がいま演出している芝居のモチーフになっていたり、彼がツルの中にその女の子の面影を見たり、ツル=女の子を殺して、舞台から海岸に彷徨い出るラストに(最後は消えた?)繋がっているようですが、そうしたもやっとしたモチーフ(市川森一創案?)よりも、どんどん壊れていく男・犬尾を演じた唐十郎の生身のインパクトの方が相対的には強かったです。ただ、アイデンティティ・クライシスはこの当時からの唐十郎のテーマでもありました。


その他にも、'63年に日本公開されたイングマール・ベルイマンの「第七の封印」風の悪魔のお面(映画では"死神"。「月光仮面」にもこの手のお面を付けた敵役は出てくるが)を終始つけたまま演技している三谷昇、「最近テレビにも出始めた役者」という設定に当時は重なったのではないかと思われる橋爪功、いかにもこの話の60年代的な雰囲気に馴染む緑魔子など、周辺や細部にも見どころ

は多いのですが、唐十郎の怪演が大方のところを持っていってしまったという印象でしょうか。終盤、展開が加速的にシュールなっていく感じをよく体現していました。第2話「死を予告する女」の蜷川幸雄と同じく、他人に演出を施す人間は自らも演技達者なのだなあと思わされます(まあ、唐十郎の場合、自身も舞台に立っていたが)。
初期戯曲にみられるモチーフの源泉になっているとのこと。この作品も、山際永三監督、市川森一脚本ではありますが、、個人的には、この作品自体を〈唐十郎演出〉作とみてもいいように思いました(ラストの一人芝居は本人の即興だったとか)。個人的評価は、義眼のモチーフについていけなかったものの、レア度を加味して星3つ半としました(「義眼」の意味については、
「恐怖劇場アンバランス(第4話)/仮面の墓場」●制作年: 1969年(制作№6)●監督:山際永三●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:市川森一●音楽:冨田勲●出演:
唐十郎/早川保/三谷昇/星紀一/小野千春/高野浩幸/天野照子/鶴ひろみ/橋爪功/緑魔子/青島幸男(解説)●放送:1973/01/29●放送局:フジテレビ(評価:★★★☆)

ある病院で、何者かが夜中に侵入してカルテが荒らされる異変があった。翌日、岡田正男(岡田英次)はその病院に来ていた。胃が変で、急激に痩せ、医者は胃潰瘍だと言うが...。病院の看護婦・明子(春川ますみ)から話があると言われ、岡田は彼女に会う。明子は昨日、病院に侵入したのが岡田ではないかと聞き、岡田が否定すると、実は岡田はガンであると打ち明ける。本当のことを告げた方が良いと思ったと。岡田は帰途、自分はじき死ぬのだとヤケになり、階段にしゃがんで涙していると、若い女が「おじさん、あたしと遊ぼうよ」と声を掛け、岡田を連れ出す。女は連れの若い男(石橋蓮司)と一緒に踊るが、岡田はそんな気になれない。家への帰途、今度は見知らぬ男に声を掛けられ、男は名刺を差し、鈴木正助(田中春男)と名乗る。鈴木は岡田の全てを知っていると言う。名前、年齢、勤務先はもちろん、妻が2年前に事故で亡くなっていることも、子供が無いことも、岡田が胃ガンで余命1年の命であることも。彼はあなたの死の恐怖を和らげてあげるという。実は、鈴木も肺ガンで岡田より長くは生きられないらしい。鈴木は岡田に、先が短いがん患者同士互いを殺し合う「ゲーム」をしようと誘う。お互いがいつ自分を殺すのか、どうやって相手を殺そうかと考えている間は死の恐怖から逃れられると。殺人者になるのは死刑が怖いからで、お互い余命1年程度の身な
ら死刑も怖くないと話す。岡田は、自分は仕事に打ち込むとして、この申し出を断ろうする。岡田が病院へ行くと医者が岡田の兄が心配して弟の病状を聞きに来たというが、岡田には兄はいない。明子は代休で何も知らなかったが、医者は岡田の兄と名乗る人物は岡田の妻が亡くなったことも知っていたと話す。ある日、岡田が常務(増田順司)から静養を言い渡される。岡田の兄を語った人物が、会社に岡田が胃ガンであることを知らせたのだ、岡田は、打ち込もうと思った仕事もなくなり落胆する。マンションの前まで来ると、明子が待っていて、岡田と一緒に住み、ここから病院へ通うと言う。二人の同居生活が始まるが、明子は岡田の面倒を看てくれて、暫くは平穏な日々が続き、岡田は、同居しているうちに、明子に恋心を抱き始める。そんな折、鈴木の脅しが始まり、岡田は、次々と命を狙われるような出来事に遭遇するようになる―。
「恐怖劇場アンバランス」の第3話(制作№9)で、監督は、第9話「死体置場(モルグ)の殺人者」(制作№3)に続いて長谷部安春(放映順である「話数」と制作№がちょうど逆)。原作は西村京太郎の「殺しのゲーム」(『完全殺人』(角川文庫)所収)。西村京太郎と言うより、シリーズ第7話「夜が明けたら」の原作者・山田風太郎に作風が近いのではないかと思ったりしましたが、ラストはまさにミステリー作家ならではの衝撃のどんでん返しでした。
このシリーズの他のエピソードにもありますが、当時、本人へのガン告知が義務化されていなかったという前提条件のもとに成り立っている話ではあり、かつてはドラマなどで、ガンと知らされていない本人の前で無理して明るく振る舞うも、やがて泣き出して本人に知れるというのが"定番"としてあったりしました。ただ、今の時代には当てはまらない状況設定であることを割り引いても、これはこれで面白かったように思います。
かったし、ぽっちゃり系の春川ますみもでいかにも包容感ありそうな感じでいいです。時代を反映していると思ったのは、石橋蓮司が演じる若い男が、岡田にチキンレースっぽい賭けを仕掛けて、結局、恋人と共にクルマごと海に落ちてしまう
場面で、いわば"時代の虚無感"を象徴しているでしょうか。作品的には"賭けの敗者"という位置づけで、ラストと対比させているのかもしれません。石橋蓮司は、「

「恐怖劇場アンバランス(第3話)/殺しのゲーム」●制作年: 1970年(制作№9)●監督:長谷部安春●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:若槻文三●音楽:冨田勲●原作:西村京太郎「殺しのゲーム」●出演:岡田英次/石橋蓮司/米岡雅子/田中春男/増田順司/松本染升/小川幾太郎/和田啓/山岡勢津子/小沢美知子/永谷悟一/春川ますみ/青島幸男(解説)●放送:1973/01/22●放送局:フジテレビ(評価:★★★★)


いとしていた。和恵には下積み時代に世話になったが、だからといって縛られたくはなかったのだ。その娘が危篤になり、和恵は坂巻に電話するが、坂巻は作曲家の久保(財津一郎)やプロデューサーの西田(名古屋章)らとレコーディング中でそれどころではない。帰宅時に乗ったタクシーで、運転手が、蛇が飼育箱ごと行方不明になったというニュースの話をする。坂巻が自宅マンションに帰ると、ドアの下の隙間に蛇のようなものが見え、ドアを開けるとドアチェーンが落ちていた。 部屋に入ってシャワーを浴びようとすると、鏡を通
して見知らぬ黒衣の女(楠侑子)がソファにいることに気づく。女は「あなたは明日の夜、12時13分にお亡くなりになります」と坂巻の死を予告する。坂巻は部屋を飛び出し、むしゃくしゃした気持ちのまま行きつけのクラブへ行くと、ママ(荒砂ゆき)が迎えてくれた。ふと気づくと、奥のテーブルに先ほど部屋にいた女が座って坂巻を見ている。それ以降、坂巻は女につきまとわれる。和恵に嫌がらせかと問い詰めるが、彼女は覚えがないと言う。道路沿いで女に出会った際に、彼が押し倒して車に轢かれたはずの女が忽然と消えたのを目の当たりにして彼の怯えは頂点に達し、久保に相談する。久保や西田も彼の異変に気づいて心配し、女が予告した時間まで二人とも坂巻の自宅で一緒にいることにする―。
「恐怖劇場アンバランス」の第2話(制作№7)で、の藤田敏八(「
「厳しい演出で知られた蜷川幸雄が、自身若い頃には実際どのような演技をしていたのか」的な気持ちで観てしまいましたが、財津一郎、名古屋章といった芸達者と互して主役を張るだけの演技をしていたように思います。強迫神経症的な状況に追い込まれる主人公を、意外とクセ無くリアルに演じていたと思います。
ラスト近くで、坂巻の妻・和恵(藤田佳子)が、黒衣の女(楠侑子)と似たような雰囲気で坂巻・久保・西田ら3人の前に現れニンマリするところが、一つ読み解きのヒントかと思いますが、坂巻だけでなく久保(財津一郎)や西田(名古屋章)もそうした不思議な経験をするため、「全部が主人公の坂巻の妄想でした」では説明しきれない造作
になっていて、これはこのシリーズの一つの特徴かもしれません。
黒衣の女を演じた楠侑子は1933年生まれで撮影時36歳でした(劇作家の別役実(1937-2020)の妻で、渋谷の山手教会地下「ジァン・ジァン」で毎年男優一人を招いて別役作品を上演し続けていた。イラストレーターのべつやくれいは娘)。当時、名古屋章(1930年生まれ)よりは若かったですが、財津一郎(1934年生まれ)、蜷川幸雄(1935年生まれ)よりは年上でした。


また、坂巻の行きつけのクラブのママを演じた荒砂ゆき(1939年生まれ)は、谷崎潤一郎原作、神代辰巳監督・脚本の「鍵」('74年)に主演で出ますが、「ウルトラQ(第24話)/ゴーガの像」('66年)に「田原久子」の旧芸名で、アリーン(リャン・ミン)役でも出ていて、ああ、そう言えばこの「恐怖劇場アンバランス」も円谷プロだったかと改めて思ったりした次第です。

掘り起こすと、そこに
は数百年前に入定した僧のミイラが手だけを動かして鉦を叩いている。復活したミイラは次第に生気を取り戻し、定助(大和屋竺)として村人と暮らすようになるが、生前の過度の禁欲の反動からか、老婆にちょっかいを出し、知恵遅れの後家と交わり、金色の「お仏様」を産み落とす。最初は畏怖の念を抱いてた村人たちも、すぐに彼を「入定の定助」とバカにするようになり、その振る舞いに呆れた挙句―。

この「木乃伊の恋」は、
監督は鈴木清順で、「
上田秋成の「春雨物語」は、村上春樹の『騎士団長殺し』のモチーフとしても使われていますが、円地文子版及びこの映像化
作品では、先に挙げた「春雨物語」の江戸時代の話(原作の中で原典である「二世の縁」のおそらく円地文子自身によるものと思われる全訳(下に前半部分を抜粋)が叙述されているが、これが意外と軽妙でいい)を挟んで、「笙子」を主人公とする現代の話があります(原典は仏教批判ともとれるが、円地文子は「二世の縁」における甦った定助の「性」への我執をモチーフとしつつ、実は現代の話としての「拾遺」を通して、布川の「性」及び笙子自身の「性」つまりは男女の「性」への〈我執〉をテーマとしているようだ)。
こうして見ると確かにサスペンスと言えばサスペンスですが、「春雨物語」の部分が映像的にぶっ飛んでいて(それがいいとい人もいるかもしれないが)個人的にはややついていけなかったです。後の清順作品に見られる映像的な美意識はあまり感じられず、ミイラにしても「お仏様」にしてもただただ気持ち悪かったです。このシリーズ13話のうち、どの系統にも属さない異色作であり、なぜこれを第1話にもってきたのか、その意図がよく分かりませんでした(異質だからこそ敢えて第1話にもってきたのか?)。

「恐怖劇場アンバランス(第2話)/死を予告する女」●制作年:1969年(制作№7)●監督:藤

「恐怖劇場アンバランス(第1話)/木乃伊(ミイラ)の恋」●制作年:1970年(制作№10)●監督:鈴木清順●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:田中陽
造●音楽:冨田勲●原作:円地文子「二世の縁 拾遺」●出演:渡辺美佐子/浜村純/大和屋竺/加藤真知子/田中筆子/瀧那保代/昔々亭桃太郎/早
川研吉/白田和男/中原淑子/中原成男/相生千恵子/関陽子/市来まさみ/恒吉雄一/羽鳥靖子/川津祐介/青島幸男(解説)●放送:1973/01/08●放送局:フジテレビ(評価:★★★)

さおり(小橋玲子)の友人・秋子(松木路子)のもとに、那須のホテルへの差出人不明の招待状が届く。彼女はその招待に応じてホテルに
行き、SRIのメンバーがホテルのスタッフに変装するなどしてのガードのもと、さおりと共にホテルに泊まることに。彼女たちの部屋には謎めいた雪女の絵が飾られていた。
秋子は、今回の招待は死んだはずの自分の父からのものではないかと考える。 そして彼女の周りに謎の男達がうろつき始める。やがて銃を持った男が捕らえられ、警察の取り調べで、15年前のダイヤ盗難事件の犯人の一味であ<ることが分かる。彼女の父はそのグループの首謀者だったのだ。部屋の雪女の絵から地図を入手した彼女は、地図に書かれた場所に行ってダイヤを手に入れるが、一味が彼女を追って来る。雪降る中、ダイヤをばらまき助けを求めながら荒野を逃げる彼女。 突如、地平の彼方に巨大な雪女の顔が現れる―。


めに大雪の中、夏タイヤの赤いスポーツカーで無理矢理坂道を登るシーンを撮った、とか予算にも恵まれず大変だったそうです。そして、結局これがシリーズ最終作になりました。タイトルはモロに「怪奇」ですが、内容は娘と父母の愛情物語の色合いが濃かったです。
なぜ、彼女のことを母親を知らない的矢が「君とそっくりなおかあさん」と言うのかと思ったら、すぐ後で三沢(勝呂誉)が、牧(岸田森)や野村(松山省二)と野原に散らばったダイヤを探しながら、「ある時の気象条件によって自分自身の影が雪のスクリーンに映し出されることがある」と説明しています(雪女役も松木路子だったということ
か)。「雪女の現象っていうのはだいたいそんなようなもんだ」とまで言われてしまうとエエーッと言いたくなりますが、「しかし、現在は広い原っぱにばら撒かれたダイヤモンドを探すことの方がはる
かに難しい」って、どういう文脈になっているのか(笑)。視聴者に深く突っ込まれないようにするため? ダイヤが見つかる可能性に比べれば、雪女現象の方が簡単に起こり得ると言いたい?
因みに、このエピソードでヒロインの秋子(雪女と二役)を演じた松木路子(1946年生まれ)は、デビュー当時は聖みち子の芸名で活動していましたが、1968年に当時の本名である松木路子に改名、26歳の時にテレビドラマ監督の永野靖忠と結婚し、1974年引退後2児をもうけますが、この間、70年に主演したライオン奥様劇場「罪人形」が高視聴率をマーク、70年代には「昼帯(ひるおび)の女王」と呼ばれるほど昼ドラマなどで活躍しています。さらに、夫・永野の病死(肝臓がん)により今度は「経済のため」和服デザインの仕事をし、2013年アメリカ人の大学教員と国際結婚、帰国後は1998年に着物デザイナーとしてデビューし、女優業も再開して、最近では料理教室の運営やコラム執筆も手掛けるというマルチぶりを見せています。
「怪奇大作戦(第26話)/ゆきおんな」●制作年:1969年(制作№26)●監督:飯島敏宏●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/TBS●脚本:藤川桂介●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/岸田森/松山省二/小橋玲子/原保美/小林昭二/小松方正/松木路子/阿部希郎/稲吉靖/宮浩之/上西弘次/大木史郎/山口雅生/小松方正岡﨑夏子●放送:1969/03/09●放送局:TBS(評価:★★★☆)


京都の寺で仏像が消失する事件が連続発生する。牧は考古学の権威・藤森教授を大学に訪ねるが、そこに助手として働いていた須藤美弥子(斉藤チヤ子)が彼の目にとまる。その夜、美弥子は盛り場で「京都を売って下さい」というビラを若者に配っていた。牧が彼女に話を訊くと、美弥子は仏像の美しさを分からない人々から京の都を買いたいのだと言う。
牧は京都を愛する彼女の話を聞き、次第に二人の距離は近くなる。一方、仏像消失事件は更に続出、その現場には常に美弥子らしき人物が訪れていたという。事件との関連を感じながらも、牧は彼女に惹かれていく。そんな中、SRIでは物質電送の原理を解明し、現場から発信装置を発見する。苦悩しつつ美弥子を尾行する牧。やがてある寺で、彼女が発信装置を取り付ける現場を目撃する―。
監督は第23話「呪いの壷」と同じく実相寺昭雄で、「呪いの壷」の制作№が16でこの「京都買います」が17なので、出張ロケで2作続けて撮ったのでしょう。但し、やっつけ仕事で作っ印象は全くなく、むしろシリーズの中でも最高傑作との誉れ高いエピソードとなっています。
カドミウム光線により仏像を物質転送させるというのが、怪奇モノとは言え随分粗っぽいようにも思いますが、観ていくうちにいつの間にか牧と美弥子の"恋愛モノ"になっていき、そんなことはどうでもよくなって、古都を背景とした、しっとりとした大人のラブストーリーとして楽しめます(放送当時の評価は低かったようだが、後に再評価されるようになった)。
因みに、場面ごと違った寺や同じ寺でも別の場所でロケしていて、出てくる寺は、①金戒光明寺・長安院(美弥子を追う牧)、②平等院・鳳凰堂(堂の前に座る美弥子)、③金戒光明寺・三門(語らう牧と美弥子)、④萬福寺・天王殿(現場検証するSRIメンバーら)、⑤東福寺・通天橋(共に歩く牧と美弥子)、⑥金戒光明寺・阿弥陀堂(美弥子を見張る牧)、⑦慈照寺・観音殿[銀閣](庭園を歩く牧)、⑧化野念仏寺・西院の河原(石仏群の中を歩く牧)、⑨常寂光寺・仁王門(萱葺き屋根の門を歩く牧)、⑩二尊院・栄子内親王墓(石灯篭の間でたたずむ牧)、⑪光悦寺・参道(門をくぐり石畳をステップする牧)、⑫祇王寺(ラストの尼寺)と、ざっとみてもこれだけある凝り様!!
最終的には牧の捜査によって教授の犯行が暴かれ、美弥子も当事者(と言うより共犯だけどなぜか逮捕されていない)であるため二人の恋は悲恋に終わり、牧が訪ねた尼寺で美弥子は出家して正蓮尼という尼さんになっているわけですが、牧が立ち去ろうとして正蓮尼こと美弥子を振り返ると、彼女はなんと仏像になっていた―。
「怪奇大作戦(第25話)/京都買います」●制作年:1969年(制作№17)●監督:実相寺昭雄●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/TBS●脚本:山浦弘靖●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/岸田森/松山省二/小橋玲子/原保美/小林昭二/斉藤チヤ子/岩田直二/佐藤祐爾●放送:1969/03/02●放送局:フTBS(評価:★★★★)


SRIは殺人を犯した犯人が心神喪失で無罪となり精神病院に送られるものの、じき恢復して退院してしまうといという事態を目の当たりにする。そして、一連のことの背後にある女性がいることを突き止める。その女性・美川冴子(姫ゆり子)には、家族が精神異常者に惨殺されるが、刑法第39条第1項「心神喪失者ノ行為ハ之ヲ罰セス」(当時)が適用され、犯人は精神鑑定で無罪になったという過去がある。実は、科学者である冴子が復讐のため、法律を逆利用した「狂わせ屋」を開業していたのだ。それは冴子が開発した特殊な機械により、人間を一時的に精神異常に仕立て上げ、その間に殺人を犯させることで無罪にするというものだった―。
1969(昭和44)年2月23日の放映後、1984(昭和59)年に岡山放送で再放映されたのを最後に再放送されておらず、1984年のビデオ化、1991年にはLDも発売されたものの発売と同時に回収され、1995年のLD-BOX所収を最後に(当LD-BOXは発売前に回収された)、その後ソフト化もされていない作品です。
監督は満田穧(かずほ)で「『怪奇大作戦』での監督作品はこの作のみ(後継番組の「恐怖劇場アンバランス」(フジテレビ)では複数作監督している)、脚本は山浦弘靖。牧史郎(女性科学者の罠に嵌って一時的に狂気に陥り、仲間を撃ち殺そうとする!)役の岸田森はこの脚本に惚れ込み、港区瑞聖寺の境内に当時あった自宅を撮影場所として提供したとのことです。
しかしながら、この回は実質「欠番」(放送禁止)になってしまったわけで、その理由は公式には発表されていませんが、このことを扱った本などでは、「精神異常者の描写に問題があるため」「差別用語が頻発するため」といった推測がなされています。個人的には、いつものように事件を振り返るエピローグで、
原保美演じる的矢所長が「ニッポンのように精神異常者が野放しにされている国はないよ」と言い放ち、「政府はもっと考えてくれなきゃねえ」とまで言ってしまっているのが、後でこれはまずいということになったのではないかと思います。自粛したのか外からの圧力があったのか、圧力があったとすればどのレベルからの圧力かはわかりませんが。
「怪奇大作戦(第24話)/狂鬼人間」●制作年:1969年(制作№25)●監督:満田穧(かずほ)●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/TBS●脚本:山浦弘靖●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/岸田森/松山省二/小橋玲子/原保美/小林昭二/姫ゆり子/笹岡勝治/和田良子/大村千吉/水野小夜子/代田英介/入江正徳/杉田紘助/林よし子/山田圭介/新裕子●放送:1969/02/23●放送局:TBS(評価:★★★☆)

京都で、老人が縁側で骨董の壺をのぞき込んだところ、目が焼かれ絶命するという奇怪な事件が発生し、その後も古い壷を買った人物が次々に謎の死を遂げる。京都府警の依頼を受け、町田警部と共に府警の鑑識を訪れたSRIのメンバーは、壷を売った店の店員の日野統三と
いう青年に目をつける。統三はある陶芸家の息子で、その陶芸家は店からの要望に応えて壷を作り、その壷は数百年前の値打ち物として店に並べられるのだった。統三は病に侵されていたが、そうでなければ父の後を継ぎ父と同じ贋作者となるはずだった。 父の作品にその名を冠することができない贋作者の息子として悔しさを秘め、統三はとある山中から謎の土を持ち帰る。SRIはその土を調べるが、それは光に刺激されて有害なリュート線を放射するものだった―。
監督はTBS社員だった頃の実相寺昭雄、脚本は石堂淑朗。話
としては不本意のまま贋作を売らざるを得なかった若者の復讐劇といったところですが、ラストでSRIに犯行を覚られ、追い詰められてとった行動が、寺1つ燃やして焼身自殺(リュート線自殺でもある)するというものでした。犯人である主人公には彼のことを心配する恋人もいたりして、ちょっと哀しい結末でした。
この寺を燃やすシーンが凄かったです。京都・妙顕寺を燃やしているのですが、燃え方があまりにリアルで、放映時には本当に火事になったと思われ、電話が殺到したとか。実際はもちろん本物の妙顕寺ではなく6分の1の模型(通常1/20サイズで作られるミニチュアを1/6サイズで作った)を燃やしているのですが、極めて精
緻に作られていたため、視聴者から本物と思われたみたいです(実在の門と焼け落ちるミニチュアの伽藍を合成したりしている)。
「怪奇大作戦(第23話)/呪
いの壺」●制作年:1969年(制作№16)●監督:実相寺昭雄●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/TBS●脚本:石堂淑朗●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/岸田森/松山省二/小橋玲子/原保美/小林昭二/花ノ本寿/北村英三/浮田左武郎/松川純子/北原将光/西山辰夫●放送:1969/02/16●放送局:TBS(評価:★★★★)
石堂淑朗(1932-2011)

的矢(原保美)に大学時代の親友・伊藤(神田隆)から電話がかかってくる。 彼の会社では前社長が急死して今の社長(宇佐美淳也)が就任したばかりだが、その社長室にある絵とそっくりの女神ダイアナ(キャシー・ホーラン)が歩き回っていたというのだ。 的矢は牧(岸田森)と共に
夜に会社に忍び込むと、絵からダイアナが抜け出しドアをすり抜けて出て行ってしまう。 後を追う二人。ダイアナは一人残っていたプログラマの岡(杉裕之)に矢を向ける。彼は新社長の命令で殺人プログラムを制御していたのだった。彼は的矢たちと共に逃げる際にプログラムを止め忘れ、安全だと思われたエレベータ内で二人が見ている前でダイアナの矢に射抜かれる。その後、的矢と牧が調査にあたっている最中にも、ダイアナが抜けだし、第二の殺人が目前で行われるが阻止出来なかった。二番目の殺人の犠牲者は社長で、実はこれは、今度専務から新社長になった社長の息子(平田昭彦)の仕業だったのだ―(第20話「殺人回路」)。
脚本は市川森一と福田純(「
惜しむらくは、ダイアナって結局ホログラムみたいなものであるわけですが、ホログラムに人が殺せるのかという点がひっかかるところです。最初の宇佐美淳也演じる社長の死は、もともと社長は心臓が悪かったということで心臓麻痺で説明できるにしても、杉裕之演じる若いプログラマが「ホログラムの矢」に斃れたことの方は、どういう原理なのか説明つかないと思われ、もやっとした印象が残ってしまいます。まあ、こうした終わり方は、このエピソードに限ったことではなく、次に取り上げる第22話の「果てしなき暴走」などは、犯人が分からず仕舞いのまま終わっていますが...。
深夜の第三京浜高速道で、自動車3台が暴走する三重衝突事故が起きる。
捜査中の三沢は「トータス」号をヒッピー(久里みのる)のカップルに奪われるが、彼らも、やはり事故を起こす。さらに、三沢(勝呂誉)が同乗した野村(松山省二)のクルマも、運転中に野村が人が変わったようになり暴走、事故になりかける。どうやら、女優・眉村エミ(久万里由香)を乗せた赤いスポーツカーが通ると、排気ガスを浴びた後続の車が次々と事故を起こして
いるようだ。野村が運転するクルマも偶然それに遭遇し、排気ガスを浴びたのだった。捜査の結果、疑わしい人物は比較的簡単に特定出来たのだが―(第22話「果てしなき暴走」)。
いやー、ホントに迷宮入りのまま終わってしまいました。SRIは、事故を引き起こしていたのは赤いスポーツカーのエンジンオイルに仕込まれた神経ガスだとその「原理」までは突き止めたのですが、被疑者に「俺じゃねぇ...頼まれたんだ...」と言い残されて死なれてしまうし。脚本の市川森一によると、「自分たちがよしと思っているものが凶器になる」という逆の発想で執筆したのことで、ラストについては、「これは犯人が捕まらない話というより、今の車社会全体が犯人だという風に、それを誰かに押
しつけるのは文明批評にならないと思ったんです。車社会全体への警告にするには、犯人を拡散して〈あなたも〉犯人の一人だと言った方がいいと思ってわざとそうしたんです」と、語っています(ハンドルを握る限りは誰でも加害者になり得るということか)。
犯人不明のまま終わるのでフラストレーションは残りますが、時代の雰囲気は出ていたでしょうか。劇中に牧(岸田森)の「東京は半径50キロのところに200万台近くがひしめきあってんだ。それがいっぺに暴走したら怖いだろうね」「交通事故なら50秒に1件、犠牲者は38秒に1人」といったセリフがありますが(後者は「38分」の言い間違えだろう、因みに第9話「散歩する首」に野村のセリフとして「39分に1人死亡、41秒に1人負傷者だ」というのがある)、当時は第1次交通戦争の真っただ中で、1970年の交通事故死者が1万6765人(沖縄を除く)で過去最悪となっています(因みに2019年の交通事故死者数は過去(1948年以降)最少の3215人)。「迷宮入り」にも訳があるということで、一応「○」にしました。
「怪奇大作戦(第20話)/殺人回路」●制作年:1969年(制作№22)●監督:福田純●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/TBS●脚本:市川森一/福田純●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/岸田森/松山省二/小橋玲子/原保美/小林昭二/平田昭彦/宇佐美淳也/神田隆/キャシー・ホーラン/杉裕之●放送:1969/01/26●放送局:TBS(評価:★★★☆)


「怪奇大作戦(第22話)/果てしなき暴走」●制作年:1969年(制作№24)●監督: 鈴木俊継●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/TBS●脚本:市川森一●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/岸田森/松山省二/小橋玲子/原保美/小林昭二/万里由香/久里みのる/近藤宏/椎谷健二/五條真紀/柳家せん一/中島恵美子●放送:1969/02/09●放送局:TBS(評価:★★★☆)

住宅街で夜間に一人で歩いていたらしい女性のバラバラ惨殺死体が発見されるが、町田警部(小林昭二)と牧(岸田森)で怨恨説と流し説で意見が分かれる。警察は切断面から日本刀による犯行と推定。悲鳴を聞いた者がいないことから、どこか別の場所で殺害されて、ここに遺棄されたと考え
た。それに対し牧は、流しの犯行であり、第二、第三の事件も起こり得ると助言するが、警察は聞き流す。そして、同じ現場で第二のバラバラ殺人が起きるが、的矢(原保美)には、現場の状況と死体の状態から「かまいたち」のような現象が起こったとしか思えなかった。そこで、現場近くの工場で働く、集団就職で地方から出てきた一人の青年(加藤修)が容疑者に浮かぶが、あくまでも牧の直観によるもので、野村(松山省二)の目には彼は犯人には見えなかった―。
監督は長野卓で、脚本は上原正三。牧の推理もかなり直感頼みでしたが、最後、SRIが勝負を賭けたのが、SRI紅一点のさおり(小橋玲子)を囮りにして犯人をおびき出すことだったとは! 彼女が犯人に殺られてしまったかと思って、野村などは滅茶苦茶興奮して、彼女への想いが迸っていましたが(笑)、事前に作戦のネタを知らされてなかったのかなあ。まあ、身内も勘違いするぐらい精巧なダミーだったと言いたいのでしょう(その割には、どう見てもぎこぎこと動くマネキンにしか見えなかったが)。
結局、捕まった犯人は取り調べに対して黙秘を続け、自分の世界に閉じこもってしまい、犯行動機は明かされないまま終わってしまいます。しかるに、それまでの流れで、この犯人は優秀だったけれど経済的に恵まれなくて、集団就職で東京へ出てきてブルーカラーとして働いている(だが通信教育で勉強は続けている)、そうした境遇から、職場でも寡黙で、かつての仲間と一緒の時も打ち解けず、常に鬱屈とした何かを抱えている―といったその背景が見えてくるように思います。そうして見ると、彼の黙秘には、かなり重いものがあるように思いました(因みに、この年の10月-11月に「永山則夫連続射殺事件」が起きており、それをモデルにしたのではないかとも言われている)。
ただ、彼が優秀なのは分かりますが、「真空状態を人工的に作り出す」と言っても、屋外でどうやってそれをやったのでしょうか。SRIが検証したというのはあくまで実験装置の中での検証で、外での検証ってやっていないわけで、この辺りの"緩さ"は相変わらずだなあ
(笑)。でも、そうした突っ込みどころはあるけれど、今で言うところの格差社会の問題を扱った先駆と取れなくもないエピソードでした。

場所は美登利峠(架空の地名か)。夜になると散歩する首が出没し、驚いたドライバーが次々と事故を起こす。しかし警視庁では、単なる交通事故としか見てない。今朝世田谷で発見された変死体も交通事故死という判断だという。その死体の解剖結果から、血液中にジキタリスという植物の猛毒成分が発見された。実は、強い強心作用を持つジキタリスとを使って死人を生き返らせるという妄想と執念に憑りつかれた一人の科学者により、交通事故の犠牲者を検体にして死体を蘇生させる為の異様な人体実験が行われていたのだった。調査に来た牧(岸田森)は、現場に居合わせた峰村(鶴賀二郎)と以前に出会ったことがあるのを思い出し、事件解明の手掛かりを掴もうとする―。
監督は「
プロセスはとても面白くて、最後まで一気に見せるし、マッドサイエンティストも単なるマッドではなく、リベンジファクターを有していました。しかしながら、観終わってみると、何だか分かったような分からなかったような点もある気もしました。まず、犯人は鏡のトリックを使いつつ、自分も女性に変装してが美女のマスクを被り、生首役を演じていたということでしょうか。それにしては、最初の方の、人魂のようにゆらゆら舞う生首はリアルで、どちらのトリックでも実現不可能のように思いました。「散歩する首」というのは気の利いたタイトルですが、肝心のその部分のトリック説明がなかったように思います。
それと、峰村が捕まって連行されるときに、律子の遺体が起き上がり、ウソ泣き男の守(別れたかった女が事故死してくれて内心は嬉しいのだが)を指さし、それを見て峰村は「勝った!勝ったぞ!大崎に勝ったぞ!今度こそ、大崎を土下座させてやるんだ!」と喜びますが(要するに自分の実験が成功して死者が甦ったと思ったわけだ)、笑いながら峰村が連行された後、ナレーションで「律子の死体の硬直の状態、冷却の状態、死斑の状態は、死後約10時間、つまり彼女の肉体は転落事故の起きた前夜の8時に、やはり死亡していたのである。人間の生と死の間には、人間の知恵では解き得ない何かがある。何かが...」と入ります。
死後硬直で説明しているわけでもないし、どうなっているのかなあと思ったら、SRIにおける恒例のエピローグで、所長の的矢(原保美)が「死んだ肉体の中から、殺されるという女の恐怖だけが蘇ったんだろうかねぇ〜」って。その後、野村(松山省二)が首のトリックがわからないと言うので、的矢所長はさおり(小橋玲子)を使ってトリックを証明してみせるけれど(これも「散歩する首」というところまで説明しきれていないが)、そっちの方は説明しておいて、死体が起き上がったことはもうそれ以上は話題にはしていません。でも、この辺りが「怪奇大作戦」っぽいと言えばそう言えます。「怪奇を暴け~」と謳ってますが、決して全部を「暴く」ことはしないのです。

「怪奇大作戦(第9話)/散歩する首」●制作年:1968年(制作№9)●監督:小林恒夫●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/TBS●脚本:若槻文三●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/岸田森/松山省二/小橋玲子/原保美/鶴賀二郎/都築克子/笠達也/本間文子/中井啓輔/糸博/園田裕久/維田修二/伊藤慶子●放送:1968/11/10●放送局:TBS(評価:★★★☆)

アメリカとソ連の宇宙船が謎の飛行物体に捉えられるという事件が起こり、米ソ間が一触即発の状態になるものの、英国の情報機関である MI6はその宇宙船が日本周辺から飛び立っているという情報を掴み、その真偽を確かめるために、ジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)が日本に派遣されることになる。ボンドは敵の目を欺くため、英国の植民地の香港の売春宿で、情報部により用意された現地の女性リン(ツァイ・チン)の手引きによって、寝室になだれ込んだ殺し屋にマシンガンで銃撃され死んだことに。その後ビクトリア・ハーバー内に
停泊するイギリス海軍の巡洋艦上で水葬され、その遺体を回収したイギリス海軍の潜水艦で隠密裏に日本へ。日本上陸後は、蔵前国技館で謎の女アキ(若林映(あき)子)と会い、彼女を通じて日本の公
安のトップ・タイガー田中(丹波哲郎)に会うが、在日オーストラリア人の捜査協力者のヘンダーソンは直後に殺されてしまう。その殺し屋は大里化学工業の本社から送られた者だと知ったボンドは、化学薬品を取り扱うビジネスマンを装って大里化学工業の東京本社に赴き、大里社長とその秘書ヘルガ・ブラント(カリン・ドール)と接触する―。 (右:サンヨー・テレビ「日本」の梱包)
事件の背後にはスペクターの影があり、ボンドはタイガー田中の助けを得てスペクターの秘密基地に潜入、宿敵ブロフェルド(「大脱走」('63年)、「
Mie Hama as Kissy Suzuki in "You Only Live Twice"(1967)
最初は日本に潜入したボンドをリードする公安エージェントの女性役が浜美枝で、ボンドが地方に行って出会う海女のキッシー鈴木の役が若林映子だったそうで、この配役は「キングコング対ゴジラ」('62年/東宝)を観て浜を知ったスタッフからの若林映子と併せての指名だったとのことです(若林映子は個人的
には「
ということで、若林映子がエージェント(アキという役名になった)を演じ、浜美枝の方がキッシー鈴木役になったとのこと。但し、海女役になった浜美枝は、ロケ地に来て潜れないということが判明し、ショーン・コネリーに同伴していた妻の
キッシーが潜るシーンはスタントするなどしたとのことで、撮影に際しては結構ドタバタだった面もあったようです。
点では、昭和40年代前半の日本の風景を映し出していて貴重かも。都内では、旧蔵前国技館、銀座四丁目交差点、ホテルニューオータニなどで、地方では富士スピードウェイ、神戸港、 姫路城、鹿児島県坊津町などでロケをしています。日本的なものを都会と地方、現代と伝統の両面からピックアップしている意欲は買えますが、一方で、姫路城で手裏剣で塀を傷つけたりするなどのトラブルも生じさせています。
オープニングの影絵は浮世絵のイメージ? イアン・フレミングは親日家ではあったものの、日本文化に対する外国人特有の偏見や誤解もあり、あまりに奇異な見方であると思われる部分は丹波哲郎が撮影陣に進言して直させたりもしたようですが、ボンドと若林演じるアキや丹波演じるタイガーなど日本の公安との橋渡し役が横綱・佐田の山(!)だったり、タイガーの移動手段が地下鉄「丸ノ内線」の深夜の
専用車両(!)だったり(中野坂上駅でロケ。タイガーのオフィスは地下鉄の駅の「地下」にある。公安は顔を知られてはならず、そのため下手に地上を歩けないからというその理由がこじつけ気味)、さらに公安所属の特殊部隊が全員忍者装束(!)で日本刀を背負っていたりと、ち
ょっ
と飛躍し過ぎていて、さすがの丹波哲郎でも口を挟みにくかった部分もあったのか(まあ、いいかみたいな感じもあったのか)、結果として「!」連続の珍品で、ボンドが日本人に変装することなども含
め、現実味という観点からするとどうかなあと思わざるを得ません(非現実性はロアルド・ダールらしく、また007らしくもあるのだが。因みに丹波哲郎は、英語が不得手な浜美枝の降板を要請する英国側スタッフに対し、ここまできたらそれは難しいと交渉するくらいの英語力はあったが、発音は日本語訛りであったため、作中での本人の英語の台詞は吹き替えられている)。
まあ、かなりの部分を日本で撮影しているということで、映像的価値並びに珍品的価値(?)を加味して星半個オマケといったところでしょうか。アジア人が最初にボンド・ガ
ールになった作品であり、この次にアジア人ボンド・ガールが誕生したのは「
若林映子は、
ホテルのパーティに招かれた6人の男女客たちが、霧深い夜道を車を連ねて帰路に着く途中、竹原(鶴賀二郎)が誤って沼に落ちる。助けようとした
一平(西條康彦)も深みにはまり、後続車の万城目淳(佐原健二)と江戸川由利子(桜井浩子)、葉山(滝田裕介)と今日子(若林映子)が辛じて救出。霧が深くこれ以上車で先へ進めないので、淳たちはずぶ濡れの北原と一平をかかえて途方に暮れるが、沼の向う側に灯のついた洋館を発見、そちらに向かう。洋館の中は何十年も放置され荒れていたが、階上の方へ淳が行ってみると、そこで巨大なクモに突然襲われる。驚いて階投を転がり降りた淳は、九十年前いたという蜘蛛男爵の館みたいだと言う。その頃、地下のワイン倉庫にいっていた葉山は、例の巨大なクモに襲われ傷つく。淳たちは、はじめてここがまさに蜘蛛男爵の館であることに気づき、館から逃げ出そうとするが―。
洋館は、コラムニストの泉麻人氏も言っていましたが、アルフレッド・ヒッチコックの映画「レベッカ」('40年/米)に出てくる邸宅みたいな雰
囲気があって良かったですが、男爵の死んだ娘がクモになり、娘の死を悲しんだ男爵自身もクモになっていまったという話はやや強引か(まあ、「ウルトラQ」は"強引"なスト-リーが多いのだが)。この回の視聴率は35.7%と(「ウルトラQ伝説」等による)シリーズ全27話の中では上位にくる数字を出しています。このシリーズ、総天然色版でDVDが出ているので、それでもう一度作品を鑑賞するとともに、若林映子や桜井浩子のファッションを見直してみるのもいいかも。

「ウルトラQ(第9話)/クモ男爵」●制作年:1965年●監督:円谷一●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション●脚本:金城哲夫●撮影:内海正治●音楽:宮内国郎●特技監督:小泉一●出演:佐原健二/西條
康彦/桜井浩子/若林映子/滝田裕介/鶴賀二郎/永井柳太郎/岩本弘司/石坂浩二(ナレーター)●放送:1966/02/17●放送局:TBS(評価:★★★) 
作:ハリー・サルツマン/アルバート・R・ブロッコリ●脚本:

●原作:イアン・フレミング●時間:117分●出演:ショーン・コネリー/丹波哲郎/若林映子/浜美枝/ドナルド・プレザンス/島田テル/カリン・ドール/チャールズ・グレイ/ツァイ・チン/ロイス・マクスウェル/デスモンド・リュウェリン/バーナード・リー●公開:1967/06●配給:ユナイテッド・アーティスツ (評価:★★★☆)




「キングコング対ゴジラ」('62年/東宝) 若林映子/浜 美枝(共演:高島忠夫)




「ナショナルキッド」は、1960(昭和35)年8月から翌年4月まで日本教育テレビ(NET、現テレビ朝日)系で、毎週木曜日の18:15 - 18:45に放送された
東映製作の実写番組で、第1部:「インカ族の来襲」(全13回)、第2部:「海底魔王ネルコン」(全9回)、第3部:「地底魔城」(全8回)、第4部:「謎の宇宙少年」(全9回)の全39回が放映され、この第1部:「インカ族の来襲」は'60年8月4日から10月27日まで放送されました。「月光仮面」などと同じく、TV版が先で、漫画はTVでのヒットを受けての漫画化です(「まぼろし探偵」は漫画が先)。
ヒーローが普段はそのことを隠して普通人として暮らしているのは、先行のTV番組「月光仮面」('58-'59年)、「まぼろし探偵」('59-'60年)(共にKRT(現TBS))などと同様ですが、月光仮面、まぼろし探偵が日常においては探偵であるのに対し、ナショナルキッドは、物故した世界的権威の科学者・旗博士の孫で、宇宙研究所所長を務めている青年・旗竜作が普段の姿という設定。しかし、実の正体は「3万光年彼方のアンドロメダからやってきたスーパーヒーロー」となっています(ここが、月光仮面、まぼろし探偵があくまでも"人間"であることとの大きな違い)。
第1部の「インカ族の来襲」は、「地球人の無謀な核使用を止めさせるため」として、金星からインカ人が飛来、地球人を全滅させるために暗躍を始める―といった導入で始まりますが、ナショナルキッドは(どういう経緯か、既に第1回から"正義の味方"として大人にも子供にも認知済み)、金星どころか、3万光年彼方のアンドロメダ銀河からやってきたわけです。どこでそれが"旗博士の孫"という血縁関係になるのかよく分かりませんが、とにかく次元を超越する能力を持つということで、「3万光年の旅」に関してはあっという間だったのかも(但し、アンドロメダ銀河は実際には地球から約240万光年の距離に位置し、この辺りはややいい加減)。
こちらが宇宙人ならば相手の金星インカ人も宇宙人であり(そうと言われないと宇宙人に見えない。「俺たちひょうきん族」のデビルマンのモデルか?)、金星インカ人が突然姿を消したり"壁抜け"したりすれば、ナショナルキッドも突然現れ"壁抜け"もこなす―これだけスゴイ能力を持っているのに、互いの格闘シーンは東映時代劇の殺陣みたいで、しかも「刀」ならぬ徒手空拳、「手刀」で相手と戦っているというのが微笑ましいです。互いに銃や火器も使いますが、相手に対する決定打にはならず、やはり毎回、後のナショナル劇場「水戸黄門」('69-'11年)に受け継がれたのではないかと思われるような大立ち回りになります。しかし、1話完結ではないので、金星インカ人たちは「今日は負けた、覚えとれ」と言って去っていく―「覚えとれ」という捨て台詞が、親日、親日本語の度合いの深さを物語っています。普通、宇宙人は使わないよ、こんな台詞―といった具合に、今は「突っ込み所」の多さで楽しめますが、当時は日本中の子供が観ていて視聴率は50%強、あの「鉄腕アトム」を抜いたそうです。
ナショナルキッドこと旗竜作を演じたのは小嶋一郎(第1、第2部)と巽秀太郎(第3、第4部)で、旗青年の助手・小畑尚子(通称チャコ)を志村妙子(当時16歳)が演じていますが、すでに堂々たる演技ぶりです。その前の「新・七色仮面」の最後の方に出ていた時は、本名の「太地喜和子」でクレジットされていましたが、ここでは太地喜和子ではなく「志村妙子」になっています。
この「志村妙子」演じる尚子(チャコ)は、その演技力が買われたのか、自ら敵地に潜入したりするような積極的な役回りが次第に多くなり、第2部:「海底魔王ネルコン」(全9回)の第5話「尚子の死刑台」(通算第18話)では、潜入した先で敵に捕らえられ、電気のこぎりで頭から躰を真っ二つに切断されそうになる危機に見舞われたりしています。

この第1回には、本間千代子(当時15歳)が金星インカ人に洗脳される山田博士の娘役で出ているほか、女優陣では旗青年に力を貸す科学者・水野博士の娘・良子(よしこ)役で阿久津克子(当時19歳)が最初から出ており、更に回が進むと、インカ金星人の隊長アウラ役で野川美子もタイツ姿で出てきます。
男優陣では、室田日出男が航空管制官役でチョイ役出演、
八名信夫がインカ金星人の一人に扮しています。八名信夫は、東映フライヤーズ(現:日本ハム)に投手として入団したものの故障で現役を引退して役者に転じた人で、入団した球団の親会社が東映だったのが縁だったのではないかと思われます。
その他にも意外な俳優が出ていたりするようですが、クレジットに名前が殆ど出てこないので知りようがなく、そのことがマニアックなファンの間では探索ネタとなっているようです。
'14年現在DVD化されておらず(最初の頃は無かったけれど、途中から「明る~いナショナ~ル」のCMソングが入るようになったのが逆に仇になったのか?)、VHSで観ましたが、衛星放送「東映チャンネル」などでたまに放映されているようです(レア度で星半分オマケ)。
第1回 謎の円盤来襲
第1回 深海観測艇バチスカーフの遭難
第3回 真田博士の正体
地底魔城 第2回

秀太郎/志村妙子(太地喜和子)/斎藤紫香/福島卓/木村英世/清水徹/岡田みどり/原一夫/亀井明/河合絃司/岩上瑛/山口勇/本間千代子/八名信夫/室田日出男/林宏●放
映:1960/08~1961/04(全39回)●放送局:日本教育テレビ(現テレビ朝日) 




滅亡したバラダイ王国の巨億の財宝の在り処を示す3つの「黄金の鍵」を得るため、王国に敵対したサタン一族の末裔「サタンの爪」が日本在住のアフナリカ・シャバナン殿下宅に押し入って殿下を殺害し、その1つを奪う。鍵の1つは既に「サタンの爪」が持っており、残る1つの在り処も知っているらしい。新聞でも事件は報じられたが、殿下の死は臥せられる。事件現場にいたお手伝いは、サタンの爪を見た恐怖から寝込んでしまい入院、祝探偵事務所の祝十郞(大瀬康一)らは警察と共に彼女から殿下がアルバムを大事にしていたと聞き出し、そのアルバムを調べてみると写真が1枚ない。そこにお手伝いの悲鳴が聞こえ、看護婦が「患者さんが大変です」と駆け込んでくる。祝らが慌てて病室に戻った時にはお手伝いは既に毒殺されていて、看護婦の姿は無かった―。
「月光仮面」は、KRT(現TBS)と宣弘社が制作し、1958(昭和33)年2月24日から1959(昭和34)7月5日まで放送されたテレビ冒険活劇で、第1部:「どくろ仮面篇」(71話)、第2部:「バラダイ王国の秘宝」(11話)、第3部:「マンモス・コング」(11話)、第4部:「幽霊党の逆襲」(13 話)、第5部:「その復讐に手を出すな」(14話)の全130話から成ります。第1部が放映回数が多く、そのは後減っているのは、第1部は「月金のベルト」で午後6時から10分番組として放映されていたものが第2部から日曜の午後6時からの30分番組となったためです(第3部の途中から午後7時のゴールデン・タイムにスライド)。劇画化もされましたが、あくまでTVの方が先です。
原作は川内康範(1920-2008/享年88)、月光仮面(配役テロップの出演者のところで"月光仮面 ...?"と出る)の普段の姿である私立探偵・祝十郎は大瀬康一が演じ、その他に、祝探偵事務所の助手・袋五郎八、カボ子を谷幹一、久里千春(資料では日輪マコだが番組クレジットでは久里千春)らが演じています(シーズンによって配役が若干変動した)。
元々、前番組のスポンサーだった武田薬品が番組提供を降りるという話があり、広告代理店である宣弘社(現・電通アドギア)にとっては武田薬品の意向如何によらずその枠は"マストバイ"の状況となり、急遽プロダクションを設立し、番組制作にも乗り出したという経緯で(宣弘社は作詞家・
26歳の若手・船床定男(1932-1972/享年40)の監督への抜擢もそのためで、大瀬康一も当時は大部屋俳優。しかし、蓋を開ければ大人気番組となり、平均視聴率は40%、最高視聴率は67.8%(東京地区)を記録し、当初1クール(3ヵ月)で終わる予定が1年半続くことになりました。高視聴率は続いて「放送時間になると銭湯から子供たちの姿が消える」とまでも言われましたが、月光仮面のマネをして高所から飛び降りて怪我をする子供が相次いだために打ち切られたとのことです(一部では死者も出たとの話も)。大瀬康一は3年後に「隠密剣士」の主役に起用されます。
この第2部の最初あたりは、まだ低予算の影響が残っていて、室内シーンは宣弘社の社長の自宅を使ったりしたそうで、野外シーンもどこかの空き地で撮影したりしている感じで、月光仮面がコンクリート塀の脇から、それまでかくれんぼでもしていたかのように登場するといった緩いテンポ感です。これが第3部の「マンモス・コング」になるとテンポアップし、"身長15メートル"のコングが登場する関係からミニチュアを使った特殊撮影なども行われています(それでも、コングに対する自衛隊の出撃場面などは、自衛隊の観閲式や訓練に便乗して撮影するなどしたという。スタッフには節約癖が身についてしまっていた?)。作品の質としては後の方(第3部以降)がより洗練されているけれど、この第2部あたりのまったり感も悪くないと思います。
「サタンの爪」(左写真)の容貌
は、とにかく顔がデカイという印象で、その上、第1部の「どくろ仮面」(右写真)とあまり変わり映えがしないのが可笑しいです。更に、その「サタンの爪」の名の由来である"爪"は、手袋に"付け爪"を張り付けただけのものに過ぎず、ここまでくると微笑ましい(?)。この「サタンの爪」は、殿下を襲う前に「黄金の鍵」の背景事情を視聴者に丁寧に説明してくれるし、月光仮面と出くわすごとに、お互いに相手を倒す機会であるのに、「いずれ決着をつける時が来るであろう」み
たいな感じで先延ばししている―でも、これで、視聴者は「次回も観なくては」ということになっていったのだろなあ。川内康範って人は意外と長けたストーリーテラーだったのかもしれません。
CSチャンネル「ファミリー劇場」でシリーズが再放映された際に、他話





三沢(勝呂誉)は久しぶりに会った友人・鬼島明(山中紘)の家でくつろいでいたが、家の前で偶然見かけた鬼島の父・竹彦(浜村純)の話をした際の鬼島夫妻の様子から、鬼島と竹彦の間に確執があることが窺えた。急にテレビの映りが変になったところで話にキリをつけ、三沢は鬼島の誘いで一泊することに。その夜、三沢は就寝中に何者に襲われ、手に傷を負う。同じ頃、帰宅途中のサラリーマンが刃物で殺害され、三沢は手の傷から事件の容疑者となってしまう。証拠不十分で釈放された三沢だが、その帰り道にまたも何者かに襲われる。三沢の事件を知った鬼島は一人暮らしの父の家を訪ねるが、竹彦は会おうともせず、一人"子供部屋"に戻り、ベビーベッドに横たわる何かに向かって話しかけるのだった。翌晩、竹彦の家を見張っていた三沢は、酒に酔った竹彦をタクシーで家まで送り届けた女性に会うが、女性を自分の車内に残して竹彦を自宅に送る間に、女性は何者かに襲われ、三沢は自宅に逃げ帰った彼女の後を追うが、女性の部屋に着くと女は既に息絶えていた。三沢はまたも容疑者にされるが、これも証拠不十分で釈放に。自分が襲われた晩に鬼島宅でテレビ画像が乱れたことを警察の町田警部(小林昭二)に告げ、それが警察の今回の事件の聞き込みと一致したことから、犯行時にテレビ画面を乱すほどの強力な電波が出ていることが判明、調べてみると、その電波の発信源は竹彦の家だった―。
「怪奇大作戦」は円谷プロダクションが制作し、TBS系で1968(昭和43)年9月から1969(昭和44)年3月まで毎週日曜日19:00-19:30に全26話が放送された、SRI(科学捜査研究所)の活躍を描いた特撮テレビドラマ。2007年にNHKデジタル衛星ハイビジョンで「怪奇大作戦 セカンドファイル」(全3回)、2013年にNHK-BS2で「怪奇大作戦 ミステリー・ファイル」(全4回)としてリメイク放映されて、この間BS-2などでオリジナルの再放映もされています。オリジナルは最初の方、回が浅い間はやや方向性がバラバラだったような感じでしたが、この第7話「青い血の女」辺りになると、大体定まってきたかなという感じでした。
サラリーマン、三沢、女性を襲ったのは《殺人人形》で、早くから画面に登場しますが、これは完全に機械仕掛けのからくり人形。その殺人人形を操っているのは誰なのか。ラストで警察が竹彦の部屋に踏み込む際に、竹彦は、ここには4歳の女の子がいるだけだと拒みますが、そこで彼らが見たものは―。
う~ん。竹彦は、自分を見捨てていく子どもたちの代わりに《女の子》を作って(高額の特許料で生活しているようだから発明家なのだろう)これを偏愛していたけれど、その《女の子》が老人である竹彦に代わって老人を見捨てる者を襲っているうちに"彼女"も自我を持つようになるとともに成熟し、竹彦から自由になりたいと考え、「あたしも老人を捨てて独立するの。だから、あたしも殺さなきゃ...」ということで"自殺"することになるわけか。なかなか凝ったレトリックだったなと思います。
「青い血の女」というタイトルから成熟した女性が出てくると思われがちですが、結局"自我を持った人形"だったわけで(老人の少女愛、人形愛というのは川端康成っぽい?)、但し、自殺して「血を流した」という意味においては半ば"人間"であり、しかしながら「血が青かった」という意味では"人間"ではなかったという、こうしたレトリックにおいても、シリーズの中では佳作とされるべきものではないかと思います。
この「青い血の女」は大井武蔵野館で観ましたが、併映作品の1つに「恐怖劇場アンバランス(第9話)死体置場(モルグ)の殺人者」('73年/フジテレビ、長谷部安春監督)がありました。「恐怖劇場アンバランス」は円谷プロが「怪奇大作戦」に続いて制作した本格オムニバスホラーの1時間ドラマで、「ウルトラQ」の企画時のタイトルだった「ア
ンバランス」を冠しており、「怪奇大作戦」のSRIのようなレギュラーメンバーがおらず「ウルトラQ」のようなスタイルで、内容的には「怪奇大作戦」にも増して大人向けの色合いが濃くなっています。内容が過激で、台本の段階かそれ以前でストップし放映されなかったものが幾つかあり、おおよそ3年のお蔵入り期間を経て放映された13話のうち、制作No.7まではオリジナル脚本によるホラー路線で、制作No.8以降は原作付きのサスペンスに路線変更しています(放映順は制作順と異なる)。その原作者というのが、円地文子、西村京太郎、松本清張、山田風太郎、仁木悦子、樹下太郎といった錚々たるメンバーで、監督も、まだ巨匠扱いされる以前の鈴木清順、藤田敏八、神代辰巳、黒木和雄あたりだったりします。また、作り手として知られる人たち(大和屋竺、蜷川幸雄、唐十郎)が主演俳優として出演しているのも、今観ればレア感があります。
この第9話「死体置場(モルグ)の殺人者」(制作No.3)のあらすじは―
というもので、背景が「白い巨塔」('66年/大映)みたいで、水上と涼子(演じるのは元「プレーガール」メンバーの西尾三枝子)のベッドシーンもあったりして、完全に大人向けになっています。ゾンビなった村田が脱がされた背広をまた着直しているし(結局、水上の妄想か。但し、ゾンビ村田は涼子の前にも現れるし、更には自宅にも)、包帯ぐるぐる巻きになって家に帰ったのに、村田の妻が「あなたどうしたの?」程度にしか驚かないし(これは人が死ぬ前に近しい者の前に現れるという超常現象か)、野坂昭如(特別出演)演じる、水上の教授昇進祝いに水上宅に来ていた友人「
坂野」が、唐突に死体が甦る話をし始める(しかもセリフ棒読み)違和感など、突っ込みどこ
ろは多いですが、怪奇モノ(怪談×モダンホラー)としてはオーソドックスだったでしょうか、いや、オーソドックスと言うより"ベタ"と言うべきか。あくまで今観て思うことで、リアルタイムで見ていた頃は結構怖がって観ていたかもしれません(そのことを加味して、星半分オマケ)。

![怪奇大作戦2 [VHS].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E6%80%AA%E5%A5%87%E5%A4%A7%E4%BD%9C%E6%88%A62%20%5BVHS%5D.jpg)
「怪奇大作戦(第7話)/青い血の女」●制作年:1968年●監督:鈴木俊継●監修:円谷英二●制作:円谷英二●脚本:若槻文三●特技:高野宏一●音楽監督:山本直純●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/原保美/岸田森/松山省二/小橋玲子/小林昭二/山中紘/浜村純●放送:1968/10/27●放送局:TBS●最初に観た場所(再見):大井武蔵野館(83-03-24)(評価:★★★☆)●併映:「恐怖劇場アンバランス(第9話)死体置場(モルグ)の殺人者」(長谷部安春)/「ウルトラQ/東京氷河期」(野長瀬三摩地)/「怪奇大作戦/死神の子守歌」(実相寺昭雄)
「恐怖劇場アンバランス(第9話)/死体置場(モルグ)の殺人者」●制作
年:1969年(制作№3)●監督:長谷部安春●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクシ
ョン/フジテレビ●脚本:山浦弘靖●音楽:冨田勲●出演:久富惟靖/西尾三枝子/向精七/渥美国泰/柳川慶子/高杉哲平/熊倉重之/鈴木勇作/小池泰光/酒井郷博/宮島邦継/斉藤リカ/倉石和
旺/野坂昭如(特別出演)/中原早苗/高橋幸雄●放送:1973/03/05●放送局:フジテレビ●最初に観た場所(再見):大井武蔵野館(83-03-24)(評価:★★★☆)●併映:「怪奇大作戦(第7話)/青い血の女」(鈴木俊継)/「ウルトラQ/東京氷河期」(野長瀬三摩地)/「怪奇大作戦/死神の子守歌」(実相寺昭雄)


矢)/松山省二(野村)/小橋玲子(小川)/小林昭二(町田)●放映:1968/09~1969/03(全26回)●放送局:TBS


「ウルトラQ」もさることながら、個人的には、やはり「ウルトラマン」('66~'67年)「ウルトラセブン」('67~'68年)辺りが懐かしく、とりわけ「ウルトラセブン」はシリーズを通しても質量ともピークであったように思います(主題歌のレコードだったかソノシートだったかを買ったなあ)。
「ウルトラセブン」の最終回、密かにダン(森次浩司)を想うアンヌ隊員(菱見百合子)に対し、ダンは僕は人間じゃなくてM78星雲から来たウルトラセブンなんだと告白、「びっくりしただろう」と言うと、アンヌが「ううん、人間であろうと宇宙人であろうとダンはダンに変わりない」と言い、最後の戦いを終えたらM78星雲に帰らなければと言うダンことウルトラセブンに「行かないで」と言ってすがろうとしていたのが、今思えばスゴイなあと思いました(ダンはそれを突き放してウルトラセブンに変身する)。
中高年向け週刊誌などで時折組まれる「懐かしのヒーロー」特集などによくあるように、どういった俳優が科学特捜隊やウルトラ警備隊のメンバーを演じたといった表記はなく、ハヤタ隊員、モロボシ・ダン隊員、フジ・アキコ隊員、アンヌ隊員いった役名のみの記載となっています。松坂慶子など後に有名になる女優が子役時代やアイドルとして売り出し中の頃に宇宙人役や宇宙人に操られる人間役で結構出演していたりもするのですが、そうした場合も
同様に本書の中においては役名のみで表記され、あくまでも「怪獣」「宇宙人」を中心に据えた作りになっている点などは、(そのことで物足りなさを感じる中高年もいるかもしれないが)本来の"永久保存版"という趣旨にそぐった作りとなっているように思いました。
「ウルトラマン」●演出:円谷一ほか●監修:円谷英二●制作:円谷特技プロダクション●脚本:金城哲夫ほか●音楽:宮内国郎●出演:小林昭二/黒部進/石井伊吉(毒蝮三太夫)/二瓶正也/桜井浩子/平田昭彦/津沢彰秀●放映:1966/07~1967/04(全39回)●放送局:TBS 





「ウルトラセブン(第49話)/史上最大の侵略(後編)」●制作年:1968年●監督:満田かずほ(穧)●脚本:金城哲夫●特殊技術:高野宏一●音楽:冬木透●時間:30分●出演:山昭二/森次浩司(森次晃嗣)/菱見百合子(ひし美ゆり子)/中石井伊吉(毒蝮三太夫)/阿
知波信介/南廣/佐原健二/宮川洋一/藤田進●放送局:TBS●放送日:1968/09/08(評価:★★★☆)
「ウルトラセブン」最終回#2 衝撃の告白![5ウルトラセブン Vol.12 [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/5%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%BB%E3%83%96%E3%83%B3%20Vol.12%20%5BDVD%5D.jpg)
(第49話)藤田 進(地球防衛軍・ヤマオカ長官)


毎日新報の女性カメラマン江戸川由利子(桜井浩子)は、出稼ぎに出て戻らない父を探して上京した少年・治男(佐藤秀明)に会い、それを記事にしようと社に戻るが、真夏の東京を突然冷気が襲い、氷が張り吹雪になるという異変が発生していたため、関デスク(田島義文)に南極探検の経験者に会って原因を探るよう命じられる。
由利子が星川航空のパイロット万城目淳(佐原健二)に相談すると、以前に南極で遭遇した怪獣"ペギラ"の仕業ではないかと言う。社では、南極の原子炉の暴発で氷が溶け、寒波と共に北上したのが原因だと一蹴されるが、その時急に上空が黒雲におおわれ、その中からペギラが現われて東京は大混乱に。ペギラを退治するには、南極のコケから採れるペギミンHが要るため、淳が飛行機で入手に向うが、機内に潜んでいた男(有馬昌彦)が、自分がペギミンHを取りに行くと言い張る。彼はかつての零戦の名パイロットで、実は治男の父親だった―(「ウルトラQ・あらすじ集」より抜粋)。
'66(昭和41)年1月から7月まで27回にわたって放映された「ウルトラQ」の内、この「東京氷河期」は第14話で、第13話が"ガラモン"の「ガラダマ」、第15話が「カネゴンの繭」と、この辺りのラインアップはなかなかのもの。"ガラモン"も"ペギラ"もシリーズで2度登場しますが、「ガラダマ」と「東京氷河期」は共に視聴率36.8%と、シリーズの中で最高数字を記録しています(同人誌「空想特撮シリーズ ウルトラQ調査報告書」によると、近年になってヤマダ マサミ 著『ウルトラQ伝説』('98年/アスキー刊)等に掲載された視聴率にいくつかの間違いが確認され、「東京氷河期」の36.8%は、第11話の「バルンガ」と並んで、第8話「甘い蜜の恐怖」の38.5%に次ぐ第2位だだったとのこと)。
「東京氷河期」(制作No.15)は、同年1月に放映された第5話「
"ペンギン怪獣"が空を飛ぶというのは柔軟な発想というか、むしろペギラのずんぐりした体型からみてかなり強引ですが(口から冷気を吹き出すことの方がもっと強引か?)、温暖化した南極から北極へ移動する途中で飛行機を攻撃し、羽田空港をパニックに陥れ、ついでに東京の街を氷河期状態にしてしまうわけです。
因みに、このシリーズの第1話は、古代怪獣ゴメスが登場する「
ある日の朝、突然、東京のビル街の中心地に変動が起き、アスファルトに亀裂が入り、ビルは傾き、皇居の濠には直径が一メートルもある植物の根が出現する。地下街では、壁を破って巨大なつたが伸びて来て、人間の血を吸おうとする。やがて、ビルを突き破り、局大な植物の芽が頭をもたげ、ゆっくりと巨大なつぼみが開きはじめる―。(「ウルトラQ・あらすじ集」より抜粋)。
ビデオソフトのジャケットなどでよく使われているのは、この「マンモスフラワー」のスチールで、左の写真を例に挙げれば、万城目淳(佐原健二)、戸川一平(西條康彦)、江戸川由利子(桜井浩子)の3人の主要登場人物が皇居のお濠に植物怪獣を認めた場面になります。登場怪獣がいきなり「植物」で、ビルの上に大きな花を咲かせるというのがなかなか味があっていいのですが、番組の初回としてはインパクトが弱いと思われたのか、第4話での放送になっています。ただし、この回で、万城目淳の職業が小さな航空会社のパイロットであり、自称「SF作家」であって、戸川一平がその助手で、江戸川由利子が毎日新報のカメラマンであることが分かるようになっているので、本来ならやはり第1話だったのだろなあと思います。
また、「一の谷博士」役で出ている江川宇禮雄は、本名は江川ウレオ、ウィリー・メ
ラー(1902-1970/享年68)であり、1902(明治35)年にドイツ極東艦隊海軍病院薬局長として来日したドイツ人と河内出身の日本女性の間に次男として生まれています(両親は離婚し、父は長男を連れてドイツに帰国)。清水宏監督の「





「ウルトラQ(第4話)/マンモスフラワー」●制作年:1964年●監督:梶田興治●監修:円谷英二●制作:円谷英二●脚本:金城哲夫/梶田興治●撮影:内海正治●音楽:宮内国郎●特技監督:川上景司●出演:佐原健二/西條康彦/桜井浩子/江川宇礼雄/高田稔/堺左千夫/中山豊/雨宮貞子/向井淳一郎/津田光男/丘照美/岡豊/井上大助/坂本晴哉/石坂浩二(ナレーター)●放送:1966/01●放送局:TBS(評価:★★★☆)



宇宙移民が行われている2200年代、アダムス機長(レスリー・ニールセン)が率いる宇宙船は、20年前に移住して消息を絶った移民団の捜索のために、惑星第4アルテアへ着陸するが、アルテア移民団の生き残りは、モービアス博士(ウォルター・ピジョン)と、アルテアで誕生した彼の娘アルティラ(アン・フランシス)の2人と、博士が作った万能ロボット・ロビーだけだった。博士によれば、アルテアにはかつて高度に進化し、発達した科学を創り上げた先住民族が存在したが、原因不明の滅亡を遂げ、そして移民団も正体不明の怪物に襲われて自分達以外は死んでしまったという―。

アダムス機長を演じたレスリー・ニールセンが昨年('10年)11月に亡くなった(享年84)のに続いて、アルティラを演じたアン・フランシスも今年('11年)1月に亡くなり(享年80)、寂しい限りです。TV番組「ハニーにおまかせ」('56年~)の私立探偵役のアン・フランシスも、「裸の銃(ガン)を持つ男」('86年)のレスリー・ニールセンも、この映画では2人とも20代でしょうか。この作品を観ると、永遠に2人とも若いままでいるような錯覚に陥ります。
「禁断の惑星」がシェイクスピアの「テンペスト」を下敷きにしていることはよく知られていて、最初に劇場(名画座ミラノ、すでに「名画座料金」ではなくなっていた)で観た時も、同時期の作品「宇宙水爆戦」('55年)などに比べてよく出来ているように思いました。
「宇宙水爆戦」の方は結構キッチュ趣味と言えるかも。惑星間戦争で絶滅の危機にある星の異星人の科学者が、地球の科学者に協力を依頼するが、実はその星の指導者は地球を支配して移り住むことを企んでいた―というストーリーですが、最後、事件が一見落着したかと思ったら、宇宙船内に潜んでいた宇宙昆虫人間みたいなミュータントに襲われそうになるという―このとってつけたように出現するミュータントがポスターなどではメインになっていて、それだけストーリーは印象に残らないといことでしょうか。ストーリー的にも怪物キャラクター的にも、当時流行ったSFパルプマガジンの影響を強く受けているようです(そのこともキッチュ感に繋がる要因か。でもこのキッチュ感こそが、この作品の根強い人気の秘密かも)。
一方、「禁断の惑星」に出てくる有名キャラクターは万能ロボット「ロビー」で、これを参照したのが60年代に作られたテレビ番組「宇宙家族ロビンソン」に出てくるロボット(愛称:フライデー)だったりし、先駆的な要素も結構あったわけです(「宇宙家族ロビンソン」には外にも「宇宙水爆戦」も参考にしている箇所が幾つかある)。
因みに、このロボットは、「刑事コロンボ」の第23話「愛情の計算」('74年)にも"ゲスト出演"して
おり(下半身の造りが二本脚から台座型に変わっている)、人工知能研所の所長である犯人のアリバイ作りに一役買っていますが、ロボットのキー・ボードを叩く手つきの大雑把さを見ると、ちょっと所長の代役をさせるには無理な感じも。
(こちらは娘を庇ってだが)使われましたが、真犯人ではないと分かっていながら拘束するのはいかがなものでしょうか(「恋におちたコロンボ」の脚本はピーター・フォーク自身が手掛けている)。但し、フェイ・ダナウェイの演技力はさすが。70年代のシリーズ作に比べ見劣りがする90年代のシリーズ作(特に後期作品)の中では、ひときわ映える名犯人役と言っていいのではないでしょうか。



をはじめフセイン大統領、ホメイニなど様々な人物をコケにし、「裸の銃を持つ男PART2 1/2」('88年)では当時のアメリカ大統領
ジョージ・ブッシュをコケにしています。「裸の銃を持つ男PART33 1/3 最後の侮辱」('94年)までプリシラ・プレスリー、ジョージ・ケネディ、O・J・シンプソンという共演トリオは変わらず和気藹々といった雰囲気でしたが、O・J・シ
ンプソンは'94年に発生した元妻の殺害事件(「O・J・シンプソン事件」)の被疑者となってしまいました(刑事裁判で殺人を否定する無罪判決となったが、民事裁判では殺人を認定する判決が下った)。
「禁断の惑星」という作品は、ストーリーも凝っているように思われ、「テンペスト」をなぞるだけでなく、「イドの怪物」という精神分析的な味付けがされていて、ファーザー・コンプレックスがモチーフになっているように、フロイディズムの影響も濃く滲んでいます。
ている彼の演技とは全く異なる演技をしているし(昔の怪獣映画の宝田明や夏木陽介の感じ、乃至は、背景も含めると「キャプテンウルトラ」('67年)の中田博久の方がより近いか)、いろいろと見所が多い作品です(「なぜウチの中にビオトープがあるのか?」とか、突っ込み所も含めて)。
尚「キャプテンウルトラ」にも、「宇宙警察パトロール隊」と共に「宇宙船シュピーゲル号」(なぜか「鏡」を意味するドイツの有名週刊誌の名前)に乗り込み、バンデル星人や怪獣たちと戦い続ける万能ロボット「ハック」が登場しますが、こちらは「ゴジラ」以来の日本の"伝統"か(この番組の制作
会社は東映)、着ぐるみっぽいロボットでした。このシリーズは、脚本が番組放送に追いつかなくなった「ウルトラマン」と、その後継番組として構想されていた「ウルトラセブン」との間の所謂「つなぎシリーズ」だったので、書割りのような背景からも察せられる通り、番組制作予算は限られていたようです。その後ウルトラ・シリーズでお決まりとなる"紅一点"の女性隊員は、ここでは「アカネ隊員」ですが、「ウルトラマン」で桜井浩子が演じた「フジ・アキコ隊員」、「ウルトラセブン」で菱見百合子が演じた「アンヌ隊員」と並んで、この「キャプテンウルトラ」で城野ゆきが演じた「アカネ隊員」も、今も
って人気があるようです。いわばフジ・アキコ隊員の後輩格、アンヌ隊員の先輩格になりますが、アカネ隊員は紅一点と言うより"準主役"と言った方がいいかも。アカネ隊員は番組の最初から準主役級でいたわけでなく、レギュラーメンバーだった「キケロ星人ジョー」(演じていたのは無名時代の
SFパルプマガジン風ファッション
万能ロボット・ロビー登場
なぜウチの中にビオトープがあるのか?
アン・フランシス/レスリー・ニールセン




「宇宙水爆戦」●原題:THIS ISLAND EARTH●制作年:1955年●制作国:アメリカ●監督:ジョセフ・ニューマン●製作:ウィリアム・アランド●脚本:フランクリン・コーエン/エドワード・G・オキャラハン●撮影:クリフォード・スタイン/デビッド・S・ホスリー●音楽:ジョセフ・ガ―シェンソン●原作: レイモンド・F・ジョーンズ●時間:86分●出演:フェイス・ドマーグ/レックス・リーズン/ジェフ・モロー/ラッセル・ジョンソン/ランス・フラー●配給:ユニバーサル・ピクチャーズ●日本公開:1955/12)●最初に観た場所:新宿・名画座ミラノ(87-05-17)(評価:★★★☆) 「



●原案:ロバート・スペクト●音楽:ディック・デ・ベネディクティス●時間:74分●出演:ピーター・フォーク/ホセ・ファーラー/ロバート・ウォーカー/ジェシカ・ウォルター/リュー・エヤーズ/リー・H・モンゴメリー/アーサー・バタニデス/ジョン・ザレンバ/ウィリアム・ブライアント/ルー・ワグナー/バート・ホランド●日本公開:1974/08●放送:NHK総合(評価:★★★)「
「新・刑事コロンボ/恋におちたコ

「裸の銃(ガン)を持つ男」●原題:THE NAKED GUN:FROM THE FILES OF POLICE SQUAD!●制作年:1988年●制作国:アメリカ●監督:デヴィッド・ザッカー●製作:ロバート・K・ウェイス●脚本:ジェリー・ザッカー/ジム・エイブラハムズ/デヴィッド・ザッカー/パット・プロフト●撮影:ロバート・スティーヴンス●音楽:アイラ・ニューボーン●時間:85分●出演:レスリー・ニールセン/プリシラ・プレスリー/ジョージ・ケネディ/O・J・シンプソン/リカルド・モンタルバン/ナンシー・マルシャン●配給:UIP映画配給●日本公開:1989/04(評価:★★★☆) 


「キャプテンウルトラ(第9話)/怪生物バンデルエッグあらわる」●制作年:1967年●監督:加島昭●脚本:鈴木良武/伊東恒久●音楽:冨田勲●時間:92 分●出演:中田博久
/小林稔侍/城野ゆき/伊沢一郎/安中滋/佐川二郎/桐島好夫/川田信一/(以下、非レギュラー)八名信夫/三重街恒二/大槻憲/木内博之/比良元高●放送局:TBS●放送日:1967/06/11(評価:★★★)


城野ゆき(アカネ隊員)

