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夏、海、鎌倉、心中ゲーム? と70年代の虚無的ムード漂う作品。


「日活100周年邦画クラシックス GREATシリーズ 十八歳、海へ HDリマスター版 [DVD]」
[Prime Video]「十八歳 、海へ」
『十八歳、海へ (集英社文庫)』
実家から予備校の夏期講習を受けに東京の姉の自宅アパートに滞在中の高校生・有島佳(森下愛子)は、二浪中の予備校生・桑田敦夫(永島敏行)に誘われて鎌倉の夜の海に訪れる。そして砂浜で、佳たち
と同じ予備校の浪人生・森本英介(小林薫)が暴走族のリーダーと海に入っていく度胸試しをするのを偶然目撃する。数時間後、夜明けの海で2人きりになった佳と敦夫は、遊び半分で英介たちの真似をして海に入ると、彼女は海の息苦しさと気持ち良さを同時に体験し、不思議な感覚を覚える。しかし、たまたま通りかかった裕福な老人(小沢栄太郎)に心中と勘違いされて助けられた後、「もう心中しないように」と諭されて小切手を渡される。英介がホテルでバイトをしていると聞いた佳は心中未遂遊びを思いつき、彼のホテルに敦夫と泊まって少しずつ睡眠薬を飲み始める。その直前に佳と会っていた英介は、異変を感じて2人の部屋に入り、昏睡状態の2人と老人の連絡先のメモを見つけると、急いで救急車を呼ぶ。病室で目を覚ました佳は、連絡を受けて駆けつけた姉・悠(島村佳江)から「英介が警察沙汰にならないようメモを持ち帰った」と伝えられ、
余計なお節介だと不機嫌になる。退院した佳は敦夫と同棲を始め、そのまま姉に会おうとせず、心配した姉は英介に頼んで妹の様子を伺ってもらうが、妹から構わないよう言われてしまう。数日後、佳と敦夫は海水浴客で賑わう鎌倉の海に再び訪れ、敦夫はもう一度心中未遂遊びで老人から金を貰うことに誘うが、佳は「あの人はもう信じてくれない」と断る。数日後、夏期講習も終わりに近づき、会えるのも僅かとなった佳と敦夫は、英介に再びホテルに泊めて貰えるようにお願いする。その直後、数年前から家族に居場所を知らせていなかった英介のもとに、彼を偶然見かけた父(鈴木瑞穂)が現れる。しかし、父は英介の今の生活を否定して今すぐホテルを辞めるよう強要し、箱根のホテルに英介の名前で部屋を予約。後から来るよう言われる。ホテルを辞めさせられた英介は佳に会い、「心中未遂遊びをしたいが騙す相手がいない」との彼女の言葉に、父を騙すことを思いつく。英介は父が自身のために予約した部屋を佳と敦夫に貸してその場を後にし、2人はホテルの庭にある太い木で心中未遂遊びをするため首を吊ろうとする―。
藤田敏八監督の「帰らざる日々」('78年/日活)の翌年1979年作で(同年9月に日活→にっかつに社名変更)、夏、海、鎌倉、心中ゲーム(狂言心中による小遣い稼ぎ?) と70年代の虚無的ムード漂う作品。そう言えば、同じ藤田敏八監督の「八月の濡れた砂」('71年/ダイニチ映配、この作品の後、日活は「ロマンポルノ」路線に転じた)も夏の湘南を舞台にしていたなあと。若者の激情が迸る印象のあった「八月の濡れた砂」に比べると、こちらはもう70年代の終わりの方で、やや疲れ切ったムードでしょうか(一方で、迫りくるバブルの気配も感じられる)。

原作は、中上健次(1946‐1992/享年46)の23歳までの60年代作品を収めた初期短編集『十八歳、海へ』(1977年 集英社刊)の中の1編「隆男と美津子」で、この短篇集は「十八歳」「JAZZ」「隆男と美津子」「愛のような」「不満足」「眠りの日々」「海へ」の7編を収めますが、「十八歳」は青春小説としてなかなか良かったです(これ、作者が18歳の時に書き始めたらしい処女作。「俺十八歳」として1966年、作者20歳の時に「文藝首都」に掲載される)。「JAZZ」「海へ」などは散文詩的な作品で(文庫解説の津島佑子氏は「海へ」を絶賛しているが、「JAZZ」の方が好きという人がいてもおかしくない)、ユビというペッティング・ペットが出てくる「愛のような」は幻想小説、シュールレアリスム小説っぽく、川端康成の「片腕」や村上春樹「緑色の獣」を想起させました。それに対して「隆男と美津子」は、津島佑子氏によれば上手に書かれた「現代小説」とのこと。確かに、この中で映画化するとすればやはりこれなのかなという感じです(「現代」の若者の心中を描いた小説では、笹沢左保が1962年に発表した「六本木心中」など先行作品がある)。
原作では、主人公の「俺」は心中ゲームを繰り返す「隆男と美津子」に対して傍観者的な位置づけで、物語の語り手として一歩引いた状態であるのに対し、映画では、隆男に該当する永島敏行が演じる「敦夫」が一応の主人公ですが、「俺」に該当する小林薫が演じる「英介」がかなり前面に出てきて、敦夫や森下愛子が演じる「佳」に絡むだけでなく、佳の姉の、島村佳江が演じる「悠」にまで絡んできます(二人でいきなりロタ島へいくところがバブルの先駆けっぽい)。
森下愛子/永島敏行/小林薫/島村佳江
敦夫と佳のうち、心中ゲームに嵌っているのはどちらかというと佳の方で、やや病的な印象も。それに対し、敦夫の方は、半分は小遣い稼ぎが目的で、半分は佳に振り回されてただそれに従っているだけで影が薄く、英介も含めた同じ予備校に通う3人(英介は5浪くらいしているのか)の中では最も没個性的な存在になっています。その分、小林薫と島村佳江の演技力のせいもあってか、原作には全くない英介と佳の姉・悠のサイドストーリーの方がかなり前面に出ていて、二人が旅行に行ったのを自分に対する裏切りと捉えた佳が、ますます死に向かうという流れになっています。
そうしてみると、病んではいるけれどキャラとしては一貫している佳が、この映画の主人公と言えるのではないと思います。英介と悠に対しては、姉である悠よりも、英介の方に対して裏切られたという気持ちを抱いたみたいで、結局のところ内心では、というか海で暴走族と度胸試しをするのを見た時から英介のことが実は好きだったということでしょう(ここが原作との最大の違い)。
ただ、その英介が、最初はカッコ良かったけれども、実は金持ちの医師の息子で、父親を憎みながらも、悠の姉を強引に手に入れ、悠と敦夫の心中ゲームを父への復讐の手段にしようとするなど、実は結構エゴイストっぽい人格だとわかるにつれ、ややがっかり。ただし、小林薫はこの複雑なキャラを見事に演じ切っています。
でも、観終わった後に虚無的なムードが残るのは、まさにこの作品の狙いなのかも。森下愛子が演じる危ういながらも一貫しているキャラが、ばらばらになりそうなこの作品を底支えしていて、やはり作品の一番の魅力だったかもしれません(彼女の演技はときどき"地"に見えるが、これも監督の演出力の賜物なのか。ヌードはオマケのようなもの。因みに、森下愛子と永島敏行は、前年の東陽一監督の「 サード」('78年/ATG)でも共演している)。
それにしても1979年は、いずれも同じく中上健次の原作である、神代辰巳監督の「赫い髪の女」('79年/にっかつ)が2月に、柳町光男監督の「十九歳の地図」('79年/群狼プロ)が12月に公開されていて、"中上健次イヤー"みたいな感じだったのだなあ。


小沢栄太郎(鎌倉の海近くの大邸宅に暮らす裕福な老人。心中未遂ごっこ中の佳と敦天を助け、自宅の風呂を貸した後、二人に説教をしているところ。佳のヌードを覗き見して驚いているわけではない(笑)。)
「十八歳、海へ」●制作年:1979年●監督:藤田敏八●製作:佐々木志郎/結城良煕●脚本:田村孟/渡辺千明●撮影:安藤庄平●音楽:チト河内●原作:中上健次「十八歳、海へ」より「隆男と美津子」●時間:88分●出演:永島敏行/森下愛子/小林薫/小沢栄太郎/島村佳江/下絛アトム/鈴木瑞穂/深水三章●公開:1979/08●配給:にっかつ●最初に観た場所:神保町シアター(22-09-07)(評価:★★★☆)
【1970年文庫化[集英社文庫]】


早朝の新宿駅、飯田行き急行に乗りこむ野崎辰雄(永島敏行)。父・文雄の突然の訃報が作家を志していた辰雄に6年振りの帰郷を促したのである。―1972年、夏、辰雄の母、加代(朝丘雪路)は若い女のもとに走った夫・文雄(草薙幸二郎)と別居し母一人子一人の生活を送っていた。高校三年だった辰雄は溜り場の喫茶店の真紀子(浅野真弓)に思いを寄せていた。そんな辰雄の前に真紀子と親しげな同じ高校の隆三(江藤潤)が現われた。マラソン大会があった日、辰雄は隆三に挑んだが、デッドヒー
トの末、かわされてしまう(実は隆三はズルしていたのだが)。数日後、辰雄の気持を知った隆三は、辰雄をからかうが、隆三と真紀子がいとこ同志とも知らず、むきになる辰雄に隆三は次第に好意を持つようになる。卒業後、東京に出ようと思う辰雄、学校をやめて競輪学校に入る夢を持つ隆三、そして真紀子の三人は徐々に友情を深めていく。夏休み、盆踊りのあった晩、辰雄と隆三は真紀子が中村(中尾彬)という妻のいる男と交際しており、既に子供を宿していると知らされ、裏切られた気持で夜の街を彷徨い歩く。翌日、二日酔でアルバイトをしていると、隆三が辰雄を助けようとして足に大怪我を負ってしまい、彼の競輪への夢も潰える。飯田に近づくと、辰雄は見送りに来ていた同棲中の螢子(根岸とし江)が列車に乗っているのを見つけた。それは彼の母に会いたい一心の行為であり、結局辰雄は螢子を連れていくことになる。飯田に着くと、父は隆三の運転する車で轢死したことを知らされる。隆三も重傷を負っており、昏睡状態の彼を前に、辰雄は6年前の苦い思い出を噛み締めるる。父の葬儀の夜、真紀子が北海道に渡ったことを知らされる。翌朝、かつて隆三と走った道を歯を食い締って走る辰雄と、その後を自転車で追う螢子の姿があった―。
キャバレーのボーイをしている青年を演じた永島敏行(1956年生まれ)は、同年「
物語は1978年26歳の現在から、1972年18歳の高校3年の夏を振り返りつつ、舞台も現在の東京から高校時代の長野県飯田に向かいそこで終わるという構成で、これを'79年に名画座で観た時は、70年代の鬱屈した時代の雰囲気が肌に合わなかったせいか、それほどいいと思わなかったのですが、テレビの深夜枠で放送されたのを再見したりするうちに、時間の経過とともにだんだん佳作に思えてきて、今回、43年ぶりに映画館でちゃんと観てみると、そうした時代が懐かしく思えて、しかも、ラストはちょっと泣けました(年齢のせい?)。
若い男の子が年上の女性に惹かれるって、よくあるパターンだなあ。永島敏行演じる主人公の辰雄が思いを寄せる喫茶店のウェートレス・真紀子を演じたのは浅野真弓(1957年生まれ)。彼女ほどの美人であればなおさらのことでしょう(NHKの少年ドラマシリーズ「タイム・トラベラー」('71年)(原作:筒井康隆)でヒロインを演じていた島田淳子という少女が後の浅野真弓だとかなり後になって知ったが、'84年にミュージシャンの柳ジョージと結婚し、芸能界から引退した)。
辰雄は、中学校の同級生の由美が自分のことを好いてくれているのに、その気持ちには応えてあげれない。そのくせ、二人きりになると手を出してしまうのだが、これは由美の方が誘ったのか。
竹田かほり(1958年生まれ)は、この由美のような役をやるの(上手いと言うよりも)向いていたなあ(彼女は、同じ年['78年]からの「
が、こちらも'82年にミュージシャンの甲斐よしひろと結婚し、芸能界から引退した)。

'80年に根岸季衣と改名する前の根岸とし江が出ていて(1954年生まれ、女優としては現時点['22年]でも完全に現役で、一方で、反原発運動もやっている)、辰雄の母親役の朝丘雪路はスナックのママらしく、由美の母親役の吉行和子(1935年生まれ、この人も女優としては現時点['22年]で現役)は小料理屋の女将しく、その愛人役の中村敦夫は男気あるヤクザらしく、真紀子を孕ませた中村役の中尾彬はプレイボーイらしく、小松方正は公金横領の末に地方に逃げて最後に首を吊る男らしく(笑)―と、脇役陣が結構しっかりした映画だったと改めて思いました。
竹田かほり
「帰らざる日々」●制作年:1978年●監督:藤田敏八●製作:岡田裕●脚本:藤田敏八/中岡京平●撮影:前田米造●音楽:アリス(主題歌「帰らざる日々」作詞・作曲:谷村新司
)●原作:中岡京平●時間:99分●出演:江藤潤/永島敏行/朝丘雪路/根岸とし江(根岸季衣)/浅野真弓/竹田かほり/中村敦夫/中尾彬/吉行和子/小松方正/草薙幸二郎/丹波義隆/加山麗子/阿部敏郎/高品正広/深見博/加山麗子/日夏たより●公開:1978/08●配給:日活●最初に観た場所:飯田橋・ギンレイホール(79-05-23)●2回目:神田・神保町シアター(22-08-28)(評価:★★★★)●併映(1回目):「
谷村 新司(たにむら・しんじ)
中尾 彬(なかお・あきら) 

ギンレイホール 1974年1月3日飯田橋にオープン 2022年11月27日閉館


いとしていた。和恵には下積み時代に世話になったが、だからといって縛られたくはなかったのだ。その娘が危篤になり、和恵は坂巻に電話するが、坂巻は作曲家の久保(財津一郎)やプロデューサーの西田(名古屋章)らとレコーディング中でそれどころではない。帰宅時に乗ったタクシーで、運転手が、蛇が飼育箱ごと行方不明になったというニュースの話をする。坂巻が自宅マンションに帰ると、ドアの下の隙間に蛇のようなものが見え、ドアを開けるとドアチェーンが落ちていた。 部屋に入ってシャワーを浴びようとすると、鏡を通
して見知らぬ黒衣の女(楠侑子)がソファにいることに気づく。女は「あなたは明日の夜、12時13分にお亡くなりになります」と坂巻の死を予告する。坂巻は部屋を飛び出し、むしゃくしゃした気持ちのまま行きつけのクラブへ行くと、ママ(荒砂ゆき)が迎えてくれた。ふと気づくと、奥のテーブルに先ほど部屋にいた女が座って坂巻を見ている。それ以降、坂巻は女につきまとわれる。和恵に嫌がらせかと問い詰めるが、彼女は覚えがないと言う。道路沿いで女に出会った際に、彼が押し倒して車に轢かれたはずの女が忽然と消えたのを目の当たりにして彼の怯えは頂点に達し、久保に相談する。久保や西田も彼の異変に気づいて心配し、女が予告した時間まで二人とも坂巻の自宅で一緒にいることにする―。
「恐怖劇場アンバランス」の第2話(制作№7)で、の藤田敏八(「
「厳しい演出で知られた蜷川幸雄が、自身若い頃には実際どのような演技をしていたのか」的な気持ちで観てしまいましたが、財津一郎、名古屋章といった芸達者と互して主役を張るだけの演技をしていたように思います。強迫神経症的な状況に追い込まれる主人公を、意外とクセ無くリアルに演じていたと思います。
ラスト近くで、坂巻の妻・和恵(藤田佳子)が、黒衣の女(楠侑子)と似たような雰囲気で坂巻・久保・西田ら3人の前に現れニンマリするところが、一つ読み解きのヒントかと思いますが、坂巻だけでなく久保(財津一郎)や西田(名古屋章)もそうした不思議な経験をするため、「全部が主人公の坂巻の妄想でした」では説明しきれない造作
になっていて、これはこのシリーズの一つの特徴かもしれません。
黒衣の女を演じた楠侑子は1933年生まれで撮影時36歳でした(劇作家の別役実(1937-2020)の妻で、渋谷の山手教会地下「ジァン・ジァン」で毎年男優一人を招いて別役作品を上演し続けていた。イラストレーターのべつやくれいは娘)。当時、名古屋章(1930年生まれ)よりは若かったですが、財津一郎(1934年生まれ)、蜷川幸雄(1935年生まれ)よりは年上でした。


また、坂巻の行きつけのクラブのママを演じた荒砂ゆき(1939年生まれ)は、谷崎潤一郎原作、神代辰巳監督・脚本の「鍵」('74年)に主演で出ますが、「ウルトラQ(第24話)/ゴーガの像」('66年)に「田原久子」の旧芸名で、アリーン(リャン・ミン)役でも出ていて、ああ、そう言えばこの「恐怖劇場アンバランス」も円谷プロだったかと改めて思ったりした次第です。

掘り起こすと、そこに
は数百年前に入定した僧のミイラが手だけを動かして鉦を叩いている。復活したミイラは次第に生気を取り戻し、定助(大和屋竺)として村人と暮らすようになるが、生前の過度の禁欲の反動からか、老婆にちょっかいを出し、知恵遅れの後家と交わり、金色の「お仏様」を産み落とす。最初は畏怖の念を抱いてた村人たちも、すぐに彼を「入定の定助」とバカにするようになり、その振る舞いに呆れた挙句―。

この「木乃伊の恋」は、
監督は鈴木清順で、「
上田秋成の「春雨物語」は、村上春樹の『騎士団長殺し』のモチーフとしても使われていますが、円地文子版及びこの映像化
作品では、先に挙げた「春雨物語」の江戸時代の話(原作の中で原典である「二世の縁」のおそらく円地文子自身によるものと思われる全訳(下に前半部分を抜粋)が叙述されているが、これが意外と軽妙でいい)を挟んで、「笙子」を主人公とする現代の話があります(原典は仏教批判ともとれるが、円地文子は「二世の縁」における甦った定助の「性」への我執をモチーフとしつつ、実は現代の話としての「拾遺」を通して、布川の「性」及び笙子自身の「性」つまりは男女の「性」への〈我執〉をテーマとしているようだ)。
こうして見ると確かにサスペンスと言えばサスペンスですが、「春雨物語」の部分が映像的にぶっ飛んでいて(それがいいとい人もいるかもしれないが)個人的にはややついていけなかったです。後の清順作品に見られる映像的な美意識はあまり感じられず、ミイラにしても「お仏様」にしてもただただ気持ち悪かったです。このシリーズ13話のうち、どの系統にも属さない異色作であり、なぜこれを第1話にもってきたのか、その意図がよく分かりませんでした(異質だからこそ敢えて第1話にもってきたのか?)。

「恐怖劇場アンバランス(第2話)/死を予告する女」●制作年:1969年(制作№7)●監督:藤
田敏八●監修:円谷英●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:小山内美江子●音楽:冨田勲●出演:蜷川幸雄/財津一郎/名古屋章/藤田佳子/荒砂ゆき/中原成男/小林寛/田中賎男/中ことみ/福田えみこ/福光洋子/楠侑子/青島幸男(解説)●放送:1973/01/15●放送局:フジテレビ(評価:★★★☆) 蜷川幸雄×

「恐怖劇場アンバランス(第1話)/木乃伊(ミイラ)の恋」●制作年:1970年(制作№10)●監督:鈴木清順●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/フジテレビ●脚本:田中陽
造●音楽:冨田勲●原作:円地文子「二世の縁 拾遺」●出演:渡辺美佐子/浜村純/大和屋竺/加藤真知子/田中筆子/瀧那保代/昔々亭桃太郎/早
川研吉/白田和男/中原淑子/中原成男/相生千恵子/関陽子/市来まさみ/恒吉雄一/羽鳥靖子/川津祐介/青島幸男(解説)●放送:1973/01/08●放送局:フジテレビ(評価:★★★)


夏の朝の海岸で、西本
清(広瀬昌助)は、大学生らに襲われ置き去りにされた少女・三原早苗(テレサ・野田)を救い出すが、少女の姉の三原真紀(藤田みどり)に自分が妹を襲ったと疑われてカ
ッとなり、真紀を襲う。一方、西本の同級生の友人で、高校がいやで退学した野上健一郎(村野武範)は、秀才の川村修司(中沢治夫)がプラトニックな交際をしていた稲垣和子(隅田和世)に悪戯をしたことを言い、川村はその悔しさから和子を呼び出して襲い、それによって和子は自殺する―。
藤田敏八(1932-1997)監督の'71年作品で、'71年と言えば大学紛争が後退を余儀なくされた直後であり、目標を失った当時の若者のシラけた雰囲気をよく伝えている作品とされ
ています。但し、その時代にその世代に達していないと、観てもぴんとこない部分もあるかも。散文詩的な作り方を織り交ぜたりしているので、随所に見られる抒情的な映像イメージは印象に残りましたが
ストーリーが繋がりにくく、湘南を舞台にした青春映画なのに何だか暗いなあとか、どうしてこの若者たちはこんなことばかりしているのかとか、初めて観たときはそんな感じで、後で観直してみて、あぁ、70年代の閉塞感ってこんな感じかという印象を改めて受けました。

今観るとレトロ感に溢れた作品であり、藤田みどり、テレサ・野田、隅田和世といった女優陣そのものにノスタルジーを感じます。沖雅也
(1952-1983/享年31(自死))が当初の主演予定でしたが、バイク事故のため急きょ広瀬昌助(1946-1999/享年53)に主役が代わっており、ただし予告スチールには真ん中に沖雅也が写っています(ポスターには沖雅也の顔が正面からは写ってなく隠れているものの方を部分合成して使用
している)。そのことはともかくとして、村野武範などはデビューしたてではありましたがこの時すでに26歳で、高校生にも不良にも見えないのがやや難点で、翌年にはNTV系の青春ドラマ「飛び出せ!青春」の教師役におさまっています。
この作品の音楽にはメイン・テーマと主題歌があって、BGMのようなムーディ・ポップス調のメイン・テーマに対して、当時19歳の「石川セリ」が歌う主題歌「八月の濡れた砂」(この映画主題歌が石川セリのデビュー曲で、レコード・デビューは翌年)の方は演歌みたいだなあと思っていたら、後に「石川さゆり」がカバーしています(テーマと主題歌のどちらも映画に合っている。要するにポップス調も演歌調もフィットしてしまう、そういう映画なのかも)。
日活がロマンポルノに路線変更する前の青春映画路線の最後の作品ですが、石原慎太郎原作・石原裕次郎主演の往年の青春映画「狂った果実」('56年/日活)を意識してたようなカメラ撮りがあったりする一方で、内容的にはもうこの頃はヤクザが出てきたりレイプシーンがあったりして、かなりB級色が強くなっているように思います。公開時の併映は蔵原惟二監督の「不良少女魔子」('71年/ダイニチ映配)で、この2作を最後に日活は「にっかつロマンポルノ」路線へと製作方針を転換させます。
藤田敏八監督はその後も、原田芳雄、桃井かおり主演の焦燥感に苛まれている28歳の青年・坂東宏(原田芳雄)を主人公とした「赤い鳥逃げた?」('73年)などを撮っていますが、これは東宝映画。同じ年に日活では、桃井かおり主演で「エロスは甘き香り」('73年)を撮っており、秋吉久美子主演の「赤ちょうちん」('74年)や「妹」('74年)も日活映画、更には江藤潤、永島敏行主演の「
藤田敏八監督の映画人としてのデビューは、三島由紀夫原作・蔵原惟繕監督「愛の渇き」('67年/日活)における脚本担当でしたが、この人は結局、70年安保の挫折感とその後の虚無感を描いた映画を10年近く撮り続けたという感じがします(鈴木清順監督
の「



敏八●脚本:藤田敏八/峰尾基三/大和屋竺●撮影:萩原憲治●音楽:むつひろし(主題歌:「八月の濡れた
砂」(作詞:吉岡治/作曲:むつひろし/歌:石川セリ))●時間:91分●出演:広瀬昌助/村野武範/剛たつひと/赤沢直人/隅田和世/藤田みどり/テレサ
・野田(テレサ野
田)/三田村元/八木昌子/奈良あけみ/渡辺文雄/地井武男/原田芳雄/山谷初男/藤田みどり/中沢治夫/英原穣二/野村隆/赤塚直人/原田千枝子/新井麗子/重盛輝江/田畑善彦/溝口拳/中平哲仟/市村博/大浜詩郎/木村英幸/野村隆/長
浜鉄平/小島克巳/衣あけみ/光でんすけ/ザ・ハーフ・ブリード/●公ギ

信/殿山泰司/地井武男/佐原健二/江波多寛児/青木義朗/阿藤海/戸浦六宏/加村赳雄/山谷初男/広瀬正一/大出洋行/古山桂治●公開:1973/02●配給:東宝●最初に観た場所:飯田橋・ギンレイホール(79-05-23)(評価:★★★)●併映:「八月の濡れた砂」(藤田敏八)/「

「エロスは甘き香り」●制作年:1973年●監督:藤田敏八●脚本:大和屋竺●撮影:萩原憲治●音楽:樋口康雄●時間:98分●出演:桃井かおり/伊佐山ひろ子/川村真樹/高橋長英/山谷初男/五条博/谷本一/橘田良江●公開:1973/03●配給:日活●最初に観た場所:池袋文芸地下(79-11-25)(評価:★★☆)●併映:「





「サード」('78年3月/ATG)は、少年院にいる"サード"という少年の、大人達から浮ついた励ましの言葉をかけられたところで決して満たされることのない鬱々とした日々を描いた作品。彼は元々、「大きな町へ行く」ことを夢見る高校生男女の4人組の1人で、資金稼ぎに始めた売春がもとで事件を起こし少年院へ送られてきたのだった―。
ただ、"オシ"という無口な少年をはじめ、"トベチン"、"アキラ"、"漢字"、脱走を試みる"ⅡB"といった少年達は皆、自閉的ながらもユニークで、こういうキャラは寺山の半自伝的作品にもあったかも(そう言えば"短歌"と呼ばれている少年もいた)。
永島敏行(1956年生まれ。現在、俳優兼「農業コンサルタント」?)は、この作品が映画初出演でしたが、演技はそれほど悪くないけれども良くもないと言うか、あまり陰が感じられず、同年に主演した藤田敏八(1932‐1997/享年65)監督の「
「サード」は、主人公を演じた永島敏行よりも、主人公の女友達役の森下愛子(1958年生まれ、この作品が映画初出演。吉田拓郎と結婚し、いったん芸能活動を休止したが、その後また復帰し、宮藤官九郎脚本の作品の常連に)の陰のある演技が良く、「帰らざる日々」で主人公の青年が高校時代に思いを寄せた喫茶店のウェイトレス役の浅野真弓(1957年生まれ)や、中学時代の同級生役の竹田かほり(1958年生まれ、同年の「桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール」('78年4月/日活)が映画初主演)などの演技も良かったように思います(橋本治原作の「桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール」は思春期の女の子をヴィヴィッドに描いていて単純に面白かった)。


寺山修司は「サード」以前にも、羽仁進監督の「初恋・地獄変」('68年/ATG)の脚本を羽仁進と共同で書いていて、これは、救護院にいた少年が彫金師に引き取られて成長する様を、少年の過去と現在を交互に織り交ぜ、そこにインタビューや隠し撮りなどのドキュメンタリーの手法も入れて描いたものですが、こちらは「サード」と違って、寺山の色が薄いと言うより、どの部分が寺山修司でどの部分が(多分ゴダールの影響を受けたらしい)羽仁進の部分かということが、観ていて何となく分かってしまう―その点では、必ずしも成功したコラボだったようには思えませんでした。
出演俳優の1人だった

「![サード ≪HDニューマスター版≫ [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%89%20%E2%89%AAHD%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E7%89%88%E2%89%AB%20%5BDVD%5D.jpg)
作:前田勝弘●脚本:
間:103分●出演:永島敏行/吉田次昭/森下愛子/志方亜紀子/片桐夕子/峰岸徹/内藤武敏/島倉千代子/西塚肇/根本豊/池田史比古/佐藤俊介/鋤柄泰樹/若松武 /飯塚真人/宇土幸一/渋谷茂/尾上一久/藤本新吾/岡本
「

「桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール」●制作年:1978年●監督:小原宏裕(おはらこうゆう)●製作:岡田裕●脚本:金子成人●撮影:森勝●音楽:長戸大幸●原作:

「初恋・地獄篇」●制作年:1968年●監督:羽仁進●脚本:脚本:
「やさしいにっぽん人」●制作年:1971年●監督:東陽一●製作:高木隆太郎●脚本:東陽一/前田勝弘●撮影:池田伝一●音楽:東陽一/田山雅光●時間:112分●出演:河原崎長一郎/緑魔子/伊丹十三/伊藤惣一/石橋蓮司/蟹江敬三/渡辺美佐子/寺田柾/横山リエ/大辻伺郎/平田守/東山千栄子/桜井浩子/秋浜悟史/陶隆司●公開:1971/03●配給:東プロ●最初に観た場所:●最初に観た場所:●最初に観た場所:新宿・紀伊國屋ホール(82-03-27)(評価:★★★☆)●併映:「日本妖怪伝サトリ」(東陽一) 



緑魔子 in「







、'77年に歌手デビューしたばかりのホリプロの"新人"片平なぎさを売り出すためのプロモーション映画ともとれるものでした(「ブラック・ジャック」の実写版は加山雄三と本木雅弘がそれぞれブラック・ジャックを演じたものが知られているが、この作品でブラック・ジャックを演じたのは宍戸錠)。
映画チラシ/DVD「
劇場公開は1977年11月26日で、同時上映は「昌子・淳子・百恵 涙の卒業式〜出発(たびだち)〜」でしたが、僅か2週間で上映打ち切りになったとのこと。珍品というか、今では一種のカルトムービーのような評価になっているようです。原作と
の対比で見ると面白く、結構笑えます(原作の方がずっとマトモ)。3年後に鈴木清純監督の「
「瞳の中の訪問者」●制作年:1977年●監督:大林宣彦●製作:堀威夫/笹井英男●脚本:ジェームス三木●撮影:阪本善尚●音楽:宮崎尚志●原作:手塚治虫 「春一番(「ブラック・ジャック」)」●時間:100分●出演:片平
なぎさ/宍戸錠/山本伸吾/志穂美悦子/峰岸徹/和田浩治/月丘夢路(特別出演)/長門裕之(特別出演)/大林宣彦/(以下、友情出演)千葉真一/壇ふみ/藤田敏八●公開:1977/11●配給:ホリプロ=東宝(評価:★★★?)
大林宣彦(テニス審判)



「ブラック・ジャック」●演出:手塚眞●制作:諏訪道彦●音楽:松本晃彦●原作:手塚治虫●出演(声):大塚明夫/水谷優子/富田耕生/川瀬晶子/阪口大助/江川央生/渋谷茂/山田義晴/滝沢ロコ/渡辺美佐/小形満/後藤史彦/佐藤ゆうこ●放映:2004/10~2006/03(全63回)●放送局:読売テレビ