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28年ぶりの劇場公開。翻案は成功している。ベルモンドの1人三役。2日続けて観に行った。

「レ・ミゼラブル 2Kリマスター版 [Blu-ray]」ジャン=ポール・ベルモンド
1899年の大晦日の深夜、醜聞に巻き込まれた伯爵(ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ)が逃亡中に自殺した。逃亡を
助けた運転手のアンリ・フォルタン(ジャン=ピエール・ベルモンド)が状況証拠から伯爵殺害の嫌疑を受け、有罪になる。フォルタンの妻カトリーヌ(クレマンティーヌ・セラリエ)と幼い息子アンリはノルマンディーの海岸にある居酒屋でなんとか職を得る。彼女は吝嗇で残酷な主人ギヨーム(ルフュ)にこき使われながら夫の再審のため懸命に金を稼ぎ、ギヨームの手引きで売春までするが、アンリは脱獄に失敗して命を落とす。彼女は夫の後を追って自殺し、息子のアンリだけが遺される。1918年、成長したアンリはボクシングのチャンピオンになり、養父ギヨーム
から独立した。彼はその後1931年までチャンピオンの地位を守り、引退してトラック運送屋になった。同じ1931年、バレリーナのエリーズ(アレサンドラ・マルティネス)は弁護士の卵アンドレ・ジマン(ミシェル・ブジューナー)と結婚した。1939年、第2次世界大戦でパリはドイツの占領下になり、ユダヤ人のジマン夫妻はノルマンディーに引っ越す。その運送屋がアンリ・フォルタン(ベ
ルモンド=二役)だった。ノルマンディーも安全でないと知った夫妻は、アンリにスイス国境まで運んでくれるよう頼む。道中、非識字者のアンリはセーヌ川の古本屋(ダリー・カウル)から買った『レ・ミゼラブル』を読んでくれるようアンドレに頼む。力持ちの彼は、まるでジャン・ヴァルジャンだとよく人に言われていたのだ。前
科者ジャン・ヴァルジャン(ベルモンド=三役)が田舎の司教(ジャン・マレー)の慈愛に触れて人間らしさを取り戻す物語を聞いたこの日から、アンリ・フォルタンは小説のヴァルジャンのように、自分でなく人間愛のため
に生きていくことを決意する。アンリはジマンの娘サロメ(サロメ・ルルーシュ)をカトリックの寄宿学校に預ける。修道院長(ミシュリーヌ・プレール)は、サロメがユダヤ人と見抜きつつも彼女を庇護する。アンリのお蔭で国境にたどり着いたジマン夫妻だが、逃がし屋が独軍に通じており、亡命ユダヤ人たちは虐殺される。アンドレは重傷を負うが、近所の農家の夫婦もの(アニー・ジラルド、フィリップ・レオタール)に匿われる。一方捕虜になったエリーズは、独軍の慰安婦になることを拒否し、ドイツの強制収容所へ。アンリはペタン派の刑事(フィリップ・コルサン)に捕らえられ拷問に遭うが、同じ房にいた強盗団(ティッキー・オルガドほか)に助けられ脱走。強盗団はゲシュタポから情報を得て、空襲警報中の邸宅に盗みに入るのが仕事。アンリは助けられた義理から嫌々ながら手を貸す。そこへ連合軍上陸作戦の噂が入り、一同は早速レジスタンスに鞍替えする。ノルマンディーにあるギヨームの居酒屋は、今では息子(ルフュ=三役)が経営しているが、その海岸こそ連合軍の上陸地点だった。一同が居酒屋に着いた翌朝に作戦が始まり、アンリは居酒屋の裏手にあるトーチカを爆破して英雄になる。やがてパリも解放され、仲間と別れたアンリは、ギヨームの店で働いていた青年マリウスと共に、パリ郊外にリゾート風のレストランを買う。ジマン夫妻は未だ行方不明で、アンリがサロメを引き取る。実はアンドレはまだ地下に籠もったままだった。匿ってくれた夫婦の妻の方が彼に恋し、嫉妬しながらも妻から離れられない夫が、ドイツ軍の勝利という
嘘を吹き込んで彼を引き止めていたのだ。アンリは福祉などに力を尽くして地域の尊敬を集め、市長から自分の後任にと頼まれる。強制収容所で生き残ったエリーズ・ジマンが戻り、サロメと親子の再会を果たす。だがそこへアンリの昔の仲間が匿ってくれと言って現れ、彼らを追ってかつてアンリを拷問した元ペタン派の刑事もやって来る。アンリは血に飢えた昔の仲間が許せず、最後には逮捕に協力すらするが、逮捕される。刑事はアンリを裁判にかければ自分の対独協力も白日のもとに晒されると悟り、いったんはアンリを殺そうとするが、アンリの善良さに自らを恥じて自殺する。しかしアンリは刑事殺しの濡れ衣まで着せられそうになる。そのころスイス国境の山中ではアンドレ・ジマンを匿っていた夫婦がついに殺し合い、アンドレは初めて戦争が終わっていたことを知る。アンリの留守中にその店を支えるエリーズと、それにサロメと再会したアンドレは、一家の大恩人アンリの弁護を引き受ける。無罪を勝ち取って数年後、市長になったアンリは、美しく成長したサロメとマリウスの結婚式を執り行うのだった―。
1995年公開のクロード・ルルーシュの製作・監督・脚本作で、主演は「あの愛をふたたび」「ライオンと呼ばれた男」以来ルルーシュと3度目のタッグとなったジャン=ポール・ベルモンド。ヴィクトル・ユーゴーの原作を大幅にアレンジし、その物語にソックリの人生を送る男が主人公で、20世紀の激動の時代を舞台に描いた大河ロマン(第2次大戦前後に時代設定され、ドイツ軍のユダヤ人狩りにかなりの時間が割かれている。因みにクロード・ルルーシュはユダヤ人である)。1996年・第17回「ロンドン映画批評家協会賞 外国語映画賞」、同年・第53回「ゴールデングローブ賞 外国語映画賞」受賞作。
ジャン=ポール・ベルモンド
海外では評価も高く、またヒットもしたのに、日本ではシネマスクエア東急の単館ロードで終わってしまいました。トークイベントでの解説によれば、日本では当時、娯楽映画はCGなどを駆使したハリウッド映画の方に関心が行ってしまい、一方、フランス映画は、ゴダールやトリュフォーなどヌーベルバーグの監督を中心に"作家主義"的に語られることが多くなり、ジャン=ポール・ベルモンドのこうした作品は、日の目を見ない不遇の時代が続いたとのこと。ベルモンドという俳優そのものも、ゴダールの「勝手にしやがれ」などの作品の中で語られるのが主で、結果として、こうした作品に目が行かなかったのではないかということです。
本邦では1997年にVHS版とレーザーディスク版が「レ・ミゼラブル 輝く光の中で」というタイトルでリリースされて以来ソフト化されておらず、ずっと観る機会がありませんでした。それが、昨年['24年]、ベルモンド主演作をリマスター版で上映する「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選グランドフィナーレ(第4弾)」('24年6月28日~東京・新宿武蔵野館ほか)にて28年ぶりに劇場公開され、本作としての初日それを観ましたが、期待に違わず楽しめた3時間が短く感じられる作品で、2日目にまた観にいきました(その2日目が、仏文学者・翻訳家の野崎歓氏のトーク・イベント付きだった)。
まず、アンリ・フォルタン(父)として登場するジャン=ポール・ベルモンドは、アンリ・フォルタン(子)役のほか、劇中劇としての原作『レ・ミゼラブル』でジャン・ヴァルジャン役も務める1人三役で(オープニングシーンのベルモンドは、そのジャン・ヴァルジャンとしての彼であることが暫くして判る)、さらに、居酒屋を営む夫婦にこき使われながら育てられるアンリ(子)の子供時代は、原作の宿屋のテナルディエ夫婦にこき使われたコゼットにダブります(このことが、大人になったアンリが『レ・ミゼラブル』に惹かれる要因の1つにもなり、彼は自分がヴァルジャンでありコゼットであるとい言う)。
アンリ(子)を追う警部役のフィリップ・コルサンも、原作のジャヴェール警部との二役で、原作のジャヴェール警部は橋の欄干から飛び降り自殺しましたが、自殺死する点でもジャヴェール警部と同じです。コルサンは、原作のジャヴェール警部を、職務に忠実な男として尊敬しています(そこでアンリと意見が合わない)。
また、アンリ(父)の妻カトリーヌ役のクレマンティーヌ・セラリエも、同じく非業の死を遂げる、原作のゴゼットの母ファンティーヌとの二役です。さらには、吝嗇な居酒屋の主人ギヨーム(ルフュ)を演じたルフュも、店を継いだその息子役と、作中劇としての原作の宿屋のテナルディエの三役です(ギヨームはテナルディエを尊敬している。その点でアンリと意見が合わない)。こうしたことを確認しながら観るのも面白いです。
そのほか、アンリが一時仲間に加わる「強盗団」は、原作の悪党集団「パトロン=ミネット」の翻案で、そこから身を転じるレジスタンスは原作の共和派秘密結社「ABC(ア・ベ・セー)の友」の翻案でしょうか(原作で「ABCの友」に加入するのはマリウスなのだが)。
原作『レ・ミゼラブル』は劇中劇とし、本編は内容を大幅に改変しているわけですが、物語が原作とパラレルになっている点で、脚本がよく出来ていると思いました。しかも演出は見事であり、感動的させられます(1回目観て感動を味わい、2回目観て翻案を楽しんだという感じ)。結末のハッピーエンドはある程度見えていましたが、それでもカタルシス効果充分で、クロード・ルルーシュの翻案は成功したと思います。
ジャン=ポール・ベルモンド(1933生まれ)は当時62歳。渋みがあり、顔の皺の一つ一つに味わいがある感じ。ヴァルジャンに銀器を与える司教を演じたジャン・マレー(1913生まれ)(「美女と野獣」('46年/仏))は81歳で、貫録の演技。アンドレを匿うことで夫から心が離れてしまう妻を演じたアニー・ジラルド(1931生まれ)(「若者のすべて」('68年/伊・仏))も、演技達者ぶりを見せています(夫婦の愛憎劇はサスペンスフルでもあった)。
これまで観た「レ・ミゼラブル」映画の評価は以下の通り(◎が多いね)。ジャン・ギャバン版は原作を忠実に映画化しているとされており、リーアム・ニーソン版は、ジャン・ヴァルジャンとジャヴェール警部の葛藤を中心に描いていて、ジャヴェール警部が自殺したところで終わります。ヒュー・ジャックマン版はミュージカルで、ミュージカルのオリジナル脚本を忠実に映画化しているとされるようです。


◎ ジャン=ポール・ル・シャノワ 監督、ジャン・ギャバン主演 「レ・ミゼラブル」 ('57年/仏・伊)(186分) ★★★★☆
〇 ビレ・アウグスト監督、リーアム・ニーソン主演 「レ・ミゼラブル」 ('98年/米)(124分) ★★★☆
◎ トム・フーパー監督、ヒュー・ジャックマン主演 「レ・ミゼラブル」 ('12年/英)(158分) ★★★★☆
◎ クロード・ルルーシュ 監督、ジャン=ポール・ベルモンド主演 「レ・ミゼラブル」 ('95年/仏・伊)(175分) ★★★★☆
このジャン=ポール・ベルモンド版が、いちばん独創に富んでいると言えばそういうことになるかと思います(原作をベースとした別個の物語との言える)。先述の通り、新宿武蔵野館がそれまで'20年、'21年、'22年の3回にわたって上映してきた「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」('21年9月にベルモンドが亡くなり、'22年が言わば「1周忌上映」になってしまった)の第4弾「グランド・フィナーレ」('24年)で鑑賞したわけですが、観ることができて良かったです。
「レ・ミゼラブル」●原題:LES MISERABLES●制作年:1995年●制作国:フランス●監督・製作・脚本:クロード・ルルーシュ●撮影:クロード・ルルーシュ/フィリッペ・パヴァン・ド・チェカティ●音楽:ディディエ・バルベリヴィエン/エリック・ベルショー/フランシス・レイ/ミシェル・ルグラン/フィリップ・サーヴェイン(挿入歌:パトリシア・カース(作詞:ディディエ・バルブリヴィアン/作曲:フランシス・レイ))●原作:ヴィクトル・ユーゴー●時間:175分●出演:ジャン=ポール・ベルモンド/ミシェル・ブジュナー/アレサンドラ・マルティネス/サロメ・ルルーシュ/マルゴ・アバスカル/アニー・ジラルド/フィリップ・レオタール/クレマンティーヌ・セラリエ/フィリップ・クロワシル/ティッキー・オルガド/ウィリアム・レイメルジー/ジャン・マレー/ミシュリーヌ・プレール/ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ/ミカエル・コーエン/ジャック・ブーデ/ロベール・オッセン/ダリー・コール/アントワーヌ・デュレリ/ジャック・ガンブラン/ピエール・ヴェルニエ/ルフュ●日本公開:1996/08●配給:ワーナー・ブラザーズ●最初に観た場所:新宿武蔵野館(24-07-05)●2回目:新宿武蔵野館(24-07-06)(評価:★★★★☆)



フランソワ・メルラン(ジャン・ポール・ベルモンド)は、007ばりのスパイ・シリーズで人気の冒険小説作家だ。毎月、編集者のシャロン(ヴィットリオ・カプリオーリ)に新しいスパイものを提出し、目下メキシコを舞台にしてスパイ小説を執筆中。彼はアパートの窓越しに見染めた クリスティーヌ(ジャクリーン・ビセット)をヒロインとし、スーパーマンである秘密諜報員ボブ・セント・クレア(ベルモンド二役)がヒーローになって大
活躍する白日夢に浸ってしまう。夢の中での事件の発端はメキシコの港町で、米国諜報員が殺されたことから始まる。この事件究明のため、中近東にい たボブがアカプルコに派遣され、メキシコ諜報部の連絡員タチアナ(ジャクリーン・ビセット二役)と連絡をとる。アカプルコではボブとタチアナの命を狙うカルポフ(カプリオーリ二役)一味のために次々に危険が降りかかるが、ボブの大活躍によって何とか脱出する。カルポフはボブに一大仕掛けで挑戦してくる。それは海岸沿いのハイウェイに鏡の巨大な壁を築き、ドライ ブ中のボブを錯覚させようというものだ。ボブはハンドルを切りそこねて鏡の壁に大衝突。絶壁から海へと投げ飛ばされる。しかし 彼は...。そこでフランソワはヒーローを殺すわけにはいかないと我に返る。やがて、クリスチィーヌがフランソワの部屋にやって来るようになる。彼女は女子大生で社会心理学を専攻しているのだが、フランソワの小説を偶然読んだことから、なぜ彼の創造したスーパーマンが大衆に受ける のかを分析し、論文を書こうとしていた。そのクリスチィーヌが、編集者のシャロンと付き合い出したことを知って、フランソワは気が気でない。いっ そのことボブをアンチ・ヒーローにしやらどうなるか―。最後の仕上げを急ぐフランソワは、ボブを徹底してズッコケ三枚目にしてタチアナとのラブ・アフェ アを面白おかしく書き出した。フランソワはやっと書き上げた原稿を、窓からシャロンに投げつけた。そしてクリスチィーヌを抱きしめ、やっと自分のものにした―。
1973年のフィリップ・ド・ブロカ監督作で、「
「おかしなおかしな大冒険」●原題:LE MAGNIFIQUE●制作年:1973年●制作国:フランス/イタリア●監督・脚本:フィリップ・ド・ブロカ●製作:アレクサンドル・ムヌーシュキン/ジョルジュ・ダンシジェール●撮影:ルネ・マテラン●音楽:クロード・ボリング●時間:94分●出演:ジャン・ポール・ベルモンド/ジャクリーン・ビセット/ヴィットリオ・カプリオーリ/レイモン・ジェローム/ハンス・メイヤー/モニーク・タルベ/マリオ・ダヴィッド/ブルーノ・ガルサン/ジャン・ルフェーブルン●日本公開:1974/06●配給:エデン●最初に観た場所:新宿武蔵野館(24-07-02)((評価:★★★☆)

アイルランドの刑務所で生まれたマリー(ブリジット・バルドー)は、アナーキストの父のもとで幼い頃からテロ活動を続けてきた。中米での作戦中に父を亡くし、ひとりで逃亡生活を始めた彼女は、ある旅芸人一座に遭遇。一座の花形である歌手マリア(ジャンヌ・モロー)は、同じ名を持つコンビの相方を亡くしたばかりだった。一座はマリーをスペイン語式に「マリア」と呼んでペアを復活させ、2人はたちまち人気者となる。悪政に耐えかねた民衆の不満が高まるなか、一座は偶然にも革命軍を率いるフローレス(ジョージ・ハミルトン)と出会うが、やがてフローレスは銃弾に倒れてしまう。2人のマリアはフローレスの遺志を継ぎ、壮絶な戦いに身を投じていく―。
1965年公開の、ルイ・マル監督がブリジット・バルドーとジャンヌ・モローを主演とし、革命に揺れる20世紀初頭の中米を舞台に、同じマリアという名を持つ2人の女性の活躍をアクション映画や西部劇のパロディ満載で活写したコメディ。ルイ・マル監督による冒険活劇コメディというのが意外ですが、「
ブリジット・バルドー演じるマリーは元々はIRAの戦士みたいですが、ひょんなことから旅芸人の一座に加わり、ジャンヌ・モロー演じる踊り子マリアと共に、ストリッパーとして2人で客を沸かせるという流れは、当時31歳のブリジット・バルドーを迎え撃つ当時37歳ジャンヌ・モローという感じもしなくはないですが、16週間もの長く厳しい撮影期間を通して2人の間には戦友意識が生まれ、この作品で生涯の盟友となったそうです。
元々は戦いなどに興味のなかったジャンヌ・モローの演じるマリアが恋に落ち、いつの間にか立派な闘争集団のドンになる流れと、そこに手を貸す元バリバリの反体制派テロリストのブリジット・バルドー演じるマリア(元マリー)。女性の力が男性を凌駕するものとして描かれている作品であり(タイトルそのものが女性讃歌)、ルイ・マルらしいと言うよりジャンヌ・モローらしいと言えるかもしれません。ジャンヌ・モローはこの作品で「英国アカデミー賞海外女優賞」を受賞し、ブリジット・バルドーもノミネートされました。
も半端じゃないね。どうしてもルイ・マル監督作というイメージが湧かない(笑)。
「ビバ!マリア」●原題:VIVA MARIA!●制作年:1965年●制作国:フランス・イタリア●監督:ルイ・マル●製作:オスカル・ダンシヘルス●脚本:ルイ・マル/オスカル・ダンシヘルス●撮影:アンリ・ドカエ●音楽:ジョルジュ・ドルリュー●時間:122分●出演: ジャンヌ・モロー/ブリジット・バルドー/ジョージ・ハミルトン/クラウディオ・ブルック/カルロス・ロペス・モクテズマ/ポーレット・デュボスト●日本公開:1966/04●配給:ユナイテッド・アーティスツ●最初に観た場所:新宿武蔵野館(24-10-01)(評価:★★★☆)
ヘルシンキの百貨店で夜間警備員を務める冴えない男コイスティネン(ヤンネ・フーティアイネン)は、魅力的な女性ミルヤ(マリア・ヤルヴェンヘルミ)と出会う。2人はデートをし、コイスティネンは恋に落ちた。人生に光が射したと思った彼は、起業のため銀行の融資を受けようとするが、まったく相手にされなかった。それでも恋している彼は幸せだった。
しかし、実は恋人は彼を騙していた。ミルヤは、宝石強盗を目論むリンドストロン(イルッカ・コイヴラ)の手先だった。まんまと利用されたコイスティネンだったが、惚れたミルヤを庇って服役する。リンドストロンはそこまで読んで、孤独な彼を狙ったの
だ。馴染みのソーセージ売りアイラ(マリア・ヘイスカネン)の彼への思いには気づかぬまま、粛々と刑期を終え社会復帰を目指すコイスティネン。だがある日、リンドストロンと一緒のミルヤと居合わせた彼は、そこで初めて自分が利用されていたに過ぎないことを悟る―。
2006年公開の、アキ・カウリスマキ監督の、「
コイスティネンを演じるヤンネ・フーティアイネンは、アキ・カウリスマキ作品では前作「過去のない男」などに脇役出演し、今回がカウリスマキ作品で初めての主演。恋人のいない寂しい男を演じるにはマルチェロ・マストロヤンニに似ていて男前過ぎる気もしましたが、その分、寂しそうな姿は絵になっていました(職場でも孤立し、男たちは彼のことを蔑んでいるのに、女性たちは同情的であるのはこのイケメンのせい?)。一方、アキ・カウリスマキ作品主役級常連のカティ・オウティネンは、スーパーのレジ係の役でカメオ出演していました。
「街のあかり」●原題:LAITAKAUPUNGIN VALOT(英:LIGHTS IN THE DUSK)●制作年:2006年●制作国:フィンランド・フランス・ドイツ●監督・脚本・製作・撮影:アキ・カウリスマキ●時間:78分●出演:ヤンネ・フーティアイネン/マリア・ヤルヴェンヘルミ/イルッ
カ・コイヴラ/マリア・ヘイスカネン/ヨーナス・タポラ/ペルッティ・スヴェホルム/メルローズ(バンド)/カティ・オウティネン(カメオ出演)/パユ(犬)●日本公開:2007/07●配給:ユーロスペース●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(24-05-12)((評価:★★★☆)
フィンランドのヘルシンキに向かう列車の乗客の中にその男(マルック・ペルトラ)はいた。辿り着いた夜の公園で彼は一眠りしていたが、そこに現れた3人組の暴漢に身ぐるみ剥がれた上にバットで執拗に殴打され、半死半生の身で病院に搬送された。一時は死んだと診断された男だったが奇跡的に蘇生した。その後、港の岸辺で再び昏倒していた男を救ったのは、コンテナに住むニーミネン(ユハニ・ニユミラ)一家であった。徐々に回復していった彼であったが、一家の妻カイザ(カイヤ・パリカネン)
に何者か問われたときに、答えられなかった。彼は、頭を殴られたことにより、それまでの記憶、それまでの自分を失ってしまっていたのだ。そんな「過去を失った男」である彼に港町の人々は快く手を貸してくれる。コンテナ一家の主人は金曜日にスープを配給する救世軍の元に男を連れて
行き、「人生は後ろには進まない」と励ます。地元の悪徳警官アンティラ(サカリ・クオスマネン)は彼に空きコンテナを貸し与え、男はその前にじゃがいも畑を作り、拾ったジュークボックスを置いた。職安では身分がないという理由で門前払いされたが、救世軍の事務所で仕事を得ることが出来た。そして、そこに属する下士官の女性イルマ(カティ・オウティネン)と仲を深めながら、男は徐々に人間としての生活を取り戻していく―。
アキ・カウリスマキ監督の2002年公開作。「
コンテナで暮らすような貧しい暮らしをしている人々の方が役人などより、不遇の男に対してよほど親切だったなあ。そんな貧しい人が「ディナーに行く」といっておめかししているので、どんなレストランに行くのかと思ったら...(笑)。救世軍が貧しい人々のスープを配るというのは、現代でも同じなのか。神田神保町に日本本営があるけれど...。それにしても、救世軍の弁護士って年寄りだったけれど有能だったなあ。拘留された男の許にその弁護士を遣わして彼の身柄を救ったのもイルマだったという、この辺りは分かりやすかったです。
この年の「パルム・ドール」はロマン・ポランスキー監督の「戦場のピアニスト」でしたが、優秀な演技を披露した犬に贈られる「
因みに、救世軍の女性を演じて「カンヌ国際映画祭女優賞」を受賞したカティ・オウティネンは「
「過去のない男」●原題:MIES VAILLA MENNEISYYTTA(仏:L'HOMME SANS PASSE、英:THE MAN WITHOUT A PAST)●制作年:2002年●制作国:フィンランド・ドイツ・フランス●監督・脚本・製作:アキ・カウリスマキ●撮影:ティモ・サルミネン●音楽:レーヴィ・マデトーヤ●時間:97分●出演:カティ・オウティネン/マルック・ペルトラ/アンニッキ・タハティ/マルコ・ハーヴィスト&ポウタハウカ(救世軍バンド)/ユハニ・ニユミラ/カイヤ・パリカネン/エリナ・サロ/サカリ・クオスマネン/アンネリ・サウリ/オウティ・マエンパー/ペルッティ・スヴェホルム/タハティ(犬のハンニバル)●日本公開:2003/03●配給:ユーロスペース●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(24-04-29)((評価:★★★★)

伝統的スタイルのレストラン"ドゥブロヴニク"で給仕長を務めるイロナ(カティ・オウティネン)は、市電の運転士である夫ラウリ(カリ・ヴァーナネン)とつましく幸せに暮らしていた。しかし不況の影響でラウリは整理解雇、"ドゥブロヴニク"も大手チェーンに買収されイロナたち従業員は失職してしまう。働き盛りを過ぎた中年の夫婦は職探しに苦労する。イロナは場末の安食堂のコック兼給仕の仕事に就くが、税務調査のゴタゴタで給料がうやむやに。妻の給料を食堂経営者に請求しに行ったラウリは
、袋叩きにされ港に放り出される。安宿でしばらく静養したラウリが帰宅すると、家財は差し押さえられており、イロナはラウリの妹のもとに身を寄せていた。イロナの元同僚で"ドゥブロヴニク"のドアマンだったメラルティン(サカリ・クオスマネン)の紹介で仕事にありついたラウリは、彼にレストランの開業を提案される。夫婦は決意して事業計画を立てるが、資金を借してくれる銀行がない。ラウリはクルマを売った金をカジノで増やそうとするが
、全額スッてしまう。途方に暮れるイロナだったが、求職に訪れた美容院で偶然、"ドゥブロヴニク"の元経営者スヨホルム夫人(エリナ・サロ)と再会する。引退して生きがいを失っていた夫人は、イロナの計画を聞いて出資を申し出る。ラウリとメラルティンは、"ドゥブロヴニク"の元シェフでアルコール依存症のラユネン(マルク・ペルトラ)を探し出し、治療施設に送り込んで更生させる。"ドゥブロヴニク"の元従業員たちが揃い、イロナとラウリのレストラン"ワーク"が開店した。ランチタイムになっても客が入らず不安になるが―。
この作品、漫画家の吉野朔美(1950-2016/57歳没)の『こんな映画が、―吉野朔実のシネマガイド』('01年/PARCO)にも取り上げれていましたが、吉野朔美氏は、この監督は「間」を作るのが上手い人で、「......」の部分ばかりで出来上がっていてセリフが極めて少ないのが特徴であると。ナルホド(そう言えば、「孤高のグルメ」の俳優・松重豊がアキ・カウリスマキ監督の作品が大好きだという)。
一方で、元経営者に偶然出会い、彼女が引退して生きがいを失い、金の使い道を持て余していた(いつの間に蓄財した? 店を売却した金か)というのはややご都合主義とみる向きもあるかもしれません。この部分は寓話的と言うか、大人のメルヘンのようにも感じました。監督インタビューによると、結末はハッピーエンドにするしかなかったが、本当は結末をもっと非情なものにしたいと思っていたので、自身でも納得がいかないという気持ちもあったとのことです(これに対し、前作「
ラスㇳ、店を開店しランチタイムになっても客が入らず不安がる夫婦ですが、しばらくすると1人入り2人入り、やがて満員となった上、ディナーの団体予約まで入る―。喜びを噛みしめて店の前で一服し、空を見上げる夫婦の表情がいいです。吉野朔美氏は、「見終わった時、少し上向きな気分になっている気持ちの良い映画です。こうゆうのは作ろうと思ってもなかなかできない」と。何気ない小さなエピソードの積み重ねなのだなあ。吉野朔美はこの監督の上手さをよく見ていたと改めて思いました。偶然も重要だが、その機会を掴める心構え・準備が必要であるということ。『
「浮き雲」●原題:KAUAS PILVET KARKAAVAT(英語:DRIFTING CLOUDS)●制作年:1996年●制作国:フィンランド●監督・脚本・製作:アキ・カウリスマキ●撮影・音楽:ティモ・サルミネン●時間:98分●出演:カティ・オウティネン/カリ・ヴァーナネン/エリナ・サロ/サカリ・クオスマネン/マルク・ペルトラ/マッティ・オンニスマー/ピエタリ(犬)●日本公開:1997/07●配給:ユーロスペース●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(24-12-07)(評価:★★★★)
イリス(カティ・オウティネン)は母(エリナ・サロ)と継父(エスコ・ニッカリ)と暮らす冴えない独身女性。マッチ工場に勤めるが、両親は彼女の収入をあてにして働かず、家事までさせる始末。質素な身なりゆえか男性との出会いもなく、味気ない日
々を送るイリス。ある給料日、イリスはショーウィ
ンドーで見かけた派手なドレスを衝動買いする。両親に咎められ返品を命じられるが、かまわずドレスを着てディスコに行くと、アールネ(ヴェサ・ヴィエリッコ)という男に声をかけられる。一流企業に勤める彼の豪華なアパートで一夜を共にする二人。アールネに惚れ、さらなるデートを取り付けようとするイリス。自宅へ招き両親にまで会わせるが、あの夜のことは遊びだったとアールネは告げる。後日、妊娠していたことを
知ったイリスは、一緒に子供を育てるようアールネに手紙を書く。しかし返事は小切手と、中絶を求める短い言葉だけ。放心して町へ彷徨い出たイリスは、クルマに撥ねられ流産する。さらに追い打ちをかけるように、母に心労をかけたと
して継父から勘当される。兄(シル・セッパラ)のアパートに転がり込み、悲嘆に暮れるイリス。やがて意を決した彼女は、薬局で殺鼠剤を購入し、水に溶かして「毒」を作りボトルに入れてハンドバッグにしまう。アールネのアパートを訪ねると女が出てくる。入れ違うように中に入り、「お酒」と言うとアールネが二人分持ってくる。「氷も」と言い、アールネが取りに行っている間、彼のグラスに毒を注ぐ。「お別れに来
たの。もうご心配要らないわ」小切手を返し
イリスは去る。安心したアールネは酒を飲み干す。帰りにイリスがバーに寄りビールを飲みながら本を読んでいると、酔った男がナンパしてくる。イリスは微笑みかけ、彼のグラスに毒を注ぐ。翌日、イリスは実家に行き、母と継父に食事を用意する。ウォッカのボトルに残りの毒を全部入れ、自分は隣の部屋で一服しながら音楽を聴く。両親が死んだのを確認して家を出る。翌日工場で働いていると、二人の刑事がやってくる―。
主演は「パラダイスの夕暮れ」に続いてカティ・オウティネン。ただし、「パラダイスの夕暮れ」「真夜中の虹」のような主人公たちの先行
きに希望を持たせるような話でもなく、むしろ、主人公のイリスがシリアルキラーみたになってしまうため(4人殺害した?)、後味の悪い作品と言えるかもしれません。こうした救いに無い終わり方をする作品は、カウリスマキ監督作では珍しいと言えます。したがって一般にはウケないかもしれませんが、個人的には、こうしたハッピーエンドではない作品も好きです。
主人公が唯一の理解者であると思われる兄の家に駆け込むと、室内にジュークボックスやビリヤード台がある洒落た感じの佇まいで、彼は意外と器用に生きているのかも(このシル・セッパラ演じる兄のキャラクターは、アキ・カウリスマキの兄ミカ・カウリスマキ監督、シル・セッパラ主演の「ゾンビ・アンド・ザ・ゴースト・トレイン」('91年/フィンランド)という作品に引き継がれているようだ)。家族の中で彼女だけが割食っている感じで、男女格差というのもモチーフとしてあるように思われます。簡単に女を捨てる男、娘に生活の糧をアテにする義父―こうした輩への批判が込められているのは勿論で、その意味では、フェニミズム映画とも言えるかと思います。
「マッチ工場の少女」●原題:TULITIKKUTEHTAAN TYTTO(英: THE MATCH FACTORY GIRL)●制作年:1990年●制作国:フィンランド●監督・脚本:アキ・カウリスマキ●製作:アキ・カウリスマキ/クラス・オロフソン/カティンカ・ファラーゴ●撮影:ティモ・サルミネン●時間:69分●出演:カティ・オウティネン/ヴェサ・ヴィエリッコ/エリナ・サロ/エスコ・ニッカリ/シル・セッパラ●日本公開:1991/03●配給:シネセゾン●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(24-11-23)((評価:★★★★)

北国の炭鉱が閉山し失業したカスリネン(トゥロ・パヤラ)。「南へ行け」と父からキャデラックのコンバーチブルを譲り受けた。父は拳銃自殺した。旅の途中二人組の強盗から有り金を全部奪われてしまう。辿り着いた港で日雇い労働者として働き出す。駐車監視員のイルメリ(スサンナ・ハーヴィスト)から違反を見逃してもらったかわりに食事をご馳走した。その夜彼女の家でベッドを共にした。翌朝寝ていると息子のリキ(エートゥ・ヒルカモ)に起こされ「仕事に行かないの?」と尋ねられる。シングルマザーのイルメリはいくつかのバイトを掛け持ちしていた。カスリネンは街に出て仕事を捜すがなかなか見つからない。安く泊まれる「教会宿泊所」を追い出され、やむを得ず父の車を売る。駅でシケモクを拾って火をつけようとしていたら強盗の一人を見つける。追い詰めたらナイフを出してきた。そ
れを奪って床に押さえつけたところで警察が来た。強盗殺人未遂、凶器所持、公務執行妨害でカスリネンに1年11か月の懲役刑が下る。駅には不当逮捕を裏付けるであろう監視カメラがあったのに。イルメリと息子が刑務所に面会に来る。出所したら結婚しようと約束する。イルメリのことで侮辱してきた
看守を殴り懲罰房に入れられる。イルメリとリキから差し入れのケーキが届く。ケーキの中には金鋸が入っていた。それを使い、同室者のミッコネン(マッティ・ペロンパー)と共に脱獄に成功する。売った車を取り戻し、イルメリを迎えに行き結婚式をあげる。カスリネン、ミッコネンは闇の業者に国外逃亡のための偽造パスポートを依頼する。業者から銃と車を借り、銀行強盗をして資金を調達する。ミッコネンが金のことで業者とトラブルになり刺される。それをみたカスリネンは業者二人を撃つ。ミッコネンを埋葬したあと、カスリネン、イルメリ、リキの3人は真夜中の港に停泊する貨物船アリエル号でメキシコをめざす―。
「ハードボイルドロマン」という触れ込みもあり、確かに「脱獄」を描いた箇所もありますが、誰かが言っていたように、ティム・ロビンスの用意周到さも(「
カウリスマキ監督作品の常連マッティ・ペロンパーが演じる、主人公と刑務所で同室の男ミッコネンが良かったです(主人公が監房に入ったとたんに彼がいて、マッティ・ペロンパー、どんな役でもやるなあと(笑))。最初は不愛想で脱獄にも乗り気でなかったように見えましたが、実は同じような思いを秘めていた。共に脱獄した後は、カスリネンとイルメリの結婚式の立会人を務めたりもします。もう一人の立会人がそこらの警備員か何かなのが可笑しいですが(こうしたユーモアがカウリスマキ監督らしい)。
そのミッコネン、最後は、偽造パスポートの闇業者がカネを総獲りしようとしたことに抗って刺されてしまい、貨物船「アリエル号」で逃避行にタ旅立とうとするカスリネンらに対し、(自分の死体を)ごみ捨て場に埋めてくれと言うのがあまりに切な過ぎました。〈自由〉の夢はカスリネンら3人に託したということでしょう。

ニカンデル(マッティ・ペロンパー)はゴミの収集人。相棒と二人、収集車に乗ってゴミを集めて回る。仕事帰りにスーパーで買い物をしていると手首から血が出ていた。レジ係の女性イロナ(カティ・オウティネン)が親切に手当してくれた。ニカンデルは彼女に一目惚れする。年配の同僚(エスコ・ニッカリ)から「俺は独立してのし上がるつもりだ。一緒にやろう。」と誘われ、その気になったが、同僚は仕事中に急死してしまう。ショックを受けたニカンデルはバーで酔って暴れ、留置所に入れられた。そこで出会ったメラルティン(サカリ・クオスマネン)という失業中の男に自分の会社を紹介し、一緒に働くことになる。仕事中に
偶然イロ
ナに再会し、デートに誘う。ビンゴホールに連れて行ったら「わたしたちうまくいかない」と振られてしまう。イロナはスーパーの店長(ペッカ・ライホ)からクビを言い渡される。悔しくて事務所の手提げ金庫を盗んだ。帰り道、ニカンデルを見つけドライブをねだった。二人は郊外のホテルに泊まりゆっ
くり話をした。翌朝、海を見ながら初めてキスをした。イロナがアパートに帰ると刑事が待っていた。彼女が取り調べを受けている間、ニカンデルはこっそりと金庫をスーパーの事務所に戻す。ニカンデルがイロナのアパートに行くとルームメイト(キッリ・ケンゲス)しかいなかった。彼女は荷物を纏めて出て行ったらしい。ニカンデルは車で探し回ったが見つからない。イロナはホテルが満室だったのでベンチで夜を明かし、朝になってニカンデルの部屋のベルを鳴らした。ニカンデルはコーヒーを出した。彼が仕事をしている間、イロナは彼のベッドで眠った。同棲が始まり、イロナは衣料品店で働き出したが、二人の心はすれ違う。夕食後、イロナが「散歩に行きたい」と言うのでニカンデルが「一緒に行こう」と言うと「独りがいいの」
と答える。メラルティン夫婦と一緒に4人で映画を観て、酒を飲もうと約束をしたのにイロナはすっぽかす。寂しく情けない思いをしたニカンデルはヘソをまげ、彼女をアパートから追い出す。レコードを聴いたり、パブで酒を飲んで自分を慰めたが、どうしても彼女に会いたかった。イロナは勤め先の店長(ユッカ=ペッカ・パロ)と高級レストランで食事をしていたが、気分が乗らず「帰るわ。ご馳走さま」と中座し、ニカンデルの部屋へ行き、留守だったが彼のレコードを聴きながら寝入ってしまった。その頃ニカンデルはパブの帰り道、暴漢におそわれてケガをして倒れていた。翌日、搬送された病院にメラルティンが見舞いに来た。やっぱりイロナに会いたい。病院を抜け出して彼女の店に行った。「迎えに来た。新婚旅行に行こう」「いいわね」二人をメラルティンは港まで送った―。
1986年公開の、アキ・カウリスマキ監督の、長編3作目で、「労働者(プロレタリアート)3部作」第1作。今に見られるカウリスマキ映画の独特の作風の雛形が出来上がった作品とされ、さらに、既にそれは完成形と言えるものになっています。また、アキ・カウリスマキ監督作の常連となるマッティ・ペロンパーとカティ・オウティネンの初共演作でもあります(ただし、マッティ・ペロンパーの方は、アキ・カウリスマキ監督と親交のあるジム・ジャームッシュ監督のオムニバス映画「
「パラダイスの夕暮れ」●原題:VARJOJA PARATIISISSA(英: SHADOWS IN PARADAISE)●制作年:1986年●制作国:フィンランド●監督・脚本:アキ・カウリスマキ●製作:ミカ・カウリスマキ●撮影:ティモ・サルミネン●時間:78分●出演:マッティ・ペロンパー/カティ・オウティネン/サカリ・クオスマネン/エスコ・ニッカリ/キッリ・ケンゲス/ペッカ・ライホ/ユッカ=ペッカ・パロ/ヴァンテ・コルキアコスキ/マリ・ランタシラ/ アキ・カウリスマキ(カメオ出演)●日本公開:2000/04●配給:ユーロスペース●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(24-10-10)(評価:★★★☆)