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テンポが良いサクセス・ストーリー。成功の裏側も描いていて楽しめた。
「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」チラシ

1954年、シェイクミキサーのセールスマン、レイ・クロック(マイケル・キートン)に8台もの注文が飛び込む。注文先はマック(ジョン・キャロル・リンチ)とディック(ニック・オファーマン)のマクドナルド兄弟が経営するカ
リフォルニア州南部にあるバーガー・ショップ「マクドナルド」だった。合
理的なサービス、コスト削減、高品質という、店のコンセプトに勝機を見出したクロックは兄弟を説得し、「マクドナルド」のフランチャイズ化を展開する。しかし、利益を追求するクロックと兄弟の関係は次第に悪化し、クロックと兄弟は全面対決へと発展してしまう―。
ジョン・リー・ハンコック監督の2016年製作映画(本国公開2016年12月7日、日本公開2017年7月29日)で、「マクドナルド」の"創業者"(founder)"レイ・クロックの成功とその裏側を描いた実話風ビジネスドラマです。レイ・クロックの「マクドナルド」に纏わる話は、本で読んだり(自伝『成功はゴミ箱の中に』
は有名)、或いは、マクドナルドで教育研修を担当していた人の講演セミナーを聴いたりすることがあり知っていましたが(元社員の人は大体セミナーの冒頭にレイ・クロックの話をする)、映画はテンポが良くて、しかも内容がサクセス・ストーリーなので(成功の裏側も描いていて)楽しめました。『成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝―世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者 (PRESIDENT BOOKS)』

マクドナルド兄弟の店(1940年カリフォルニア州サンバーナーディノにオープン)実物/映画
壮大なフランチャイズ・ビジネスで利益を追求しようとするレイ・クロックと、小規模でも堅実な道を歩もうとするマクドナルド兄弟との確執に焦点を当てていて、フェイスブックの創業者間の対立を描いた「ソーシャル・ネットワーク」('10年)と似ている部分もありますが、本国の批評家の間では2010年ゴールデングローブ賞の作品賞を獲得した「ソーシャル・ネットワーク」ほどには(今のところ)評価されていないようです。ただ、個人的には「ソーシャル・ネットワーク」より面白かったです。
マクドナルド フランチャイズ1号店(1955年4月シカゴ郊外にオープン、現在はMcDonald's Corporation Museum)
この映画の日本版のキャッチ・コピーの1つに「英雄か。怪物か。」というのがありますが、本国版のキャッチ・コピーは"He took someone else's idea and America ate it up."で、「他人のアイデア」とあるように、30秒以内に注文客に商品を渡すといったマクドナルドのコンセプト自体は、レイ・クロックの独創ではないことをより明確に打ち出しています。この映画はマクドナルド社の協力無しに作られているわけですが、それでもレイ・クロックという人物を、アクの強さがあるにせよ、進取の気性に富み、スモール・ビジネスをビッグ・ビジネスに変えた傑物として描いている部分が大きいように思いました。
中盤でレイ・クロックが、人から"創業"はいつか聞かれて答えに窮する場面があったのが印象に残りました(創業したのはマクドナルド兄弟だから)。それが、ビジネスが拡張すると、彼自身が"ファウンダ―(創業者)"を名乗るようになり、終いにはマクドナルド兄弟から経営権を全面的に買い取って、兄弟には「マクドナルド」という名を使わせないようにします。マクドナルド兄弟に「マクドナルド」という名を使わせないというのもスゴイですが、兄弟が交換条件として求めた「永続的に利益の1%」を支払うという件については、契約書には記さず"紳士協定"ということにして、必ず守ると言いながら反故にし、兄弟の店はやがて閉店することになったことを映画は最後に伝えています。
こうした「目的のためには手段を選ばず」的な面はあるものの、52歳のうだつの上がらないシェイクミキサーのセールスマンだった男が、あれよあれよという間に外食産業の帝国を築いてしまうというのは、まさにアメリカン・ドリームを象徴するような話であるには違いありません。成功の条件は、ひたすら「根気強く」ということでしょうか。但し、映画で描かれる彼は、人の能力(やる気と言うべきか)を見抜く才能があり、そうして得た人材を適材を適所に配置することに長け、また、いいタイミングで自身の右腕となる参謀的な人物と出会えたという運もあったようです。
マクドナルド兄弟が革新的な"スピード・サービス・システム"を編み出したプロセスが描かれているのが興味深かったです。まさに、テーラーの"科学的管理法"であり、映画の中でも言われているように、ヘンリー・フォードの"フォード・システム"です。但し、外食産業で一番最初にフォード・システムを取り入れたのは1930年創業のKFC(ケンタッキーフライドチキン)であり、1940年に最初のマクドナルドを開いたマクドナルド兄弟が考えたようなことを、当時は既に組織的に導入していたのではないかと思われます。
KFCはフランチャイズ・ビジネスという点でもマクドナルドのずっと先輩格にあたるわけですが、マクドナルドもフランチャイズ・ビジネス抜きには考えられないわけで、そうした観点から見ればレイ・クロックも"ファウンダ―(創業者)"と言えなくはないと思います。彼は「マクドナルド」という商標にこだわったため、マクドナルド兄弟との対立が深まったという気もします。なぜ、「クロック」とせず「マクドナルド」にこだわったのかが、映画の中でも、また本物のレイ・クロックが登場する記録映像の中でも明かされていたのが興味深かったです(両親はチェコ系ユダヤ人であり、クロックという姓は当時の米国ではマイノリティ=被差別層を想起させる姓ということになる)。

「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」('14年)でアカデミー主演男優賞にノミネートされたマイケル・キートンがレイ・クロックを好演しています。マイケル・キートン主演のビジネス・ムービーと
言えば、ロン・ハワード監督の米国に進出した日本の自動車メーカーを舞台とした「ガン・ホー」('86年)がありましたが、あれから30年経っているのかあ(髪の毛が薄くなるのも無理はない)。「バードマン」で、かつてのスーパーヒーロー、バードマン役で人気があったが今は落ち目の中年俳優を演じて、一気に"演技派"の評価を得ましたが("中年以降の人生の逆転劇"という点ではこの「ファウンダー」も同様)、マイケル・キートン自身もかつてはティム・バートン監督の「バットマン」('89年)と「バットマン・リターンズ」('89年)にバットマンことブルース・ウェイン役で出演していました。

「バットマン」で彼が演じたバットマンはとにかく暗く、映画自体が暗かったです。ロビンも出てこないし、昔テレビでやっていた実写版の「怪鳥人間バットマン」('66‐'67年)とは随分違う感じがしました。映画は米国ではヒットしたようですが、日本では宣伝の割りにはイマイチだったように思います。"ジョーカー"を演じたジャック・ニコルソンのギャラの高さが話題になった記憶があります。

シリーズ第2作の「バットマン・リターンズ」は、ペンギン男にダニー・デヴィート、新登場のキャット・ウーマンにミシェル・ファイファーを配しましたが、共に主役のマイケル・キートンを完全に喰ってしまう怪演を見せ、第1作よりちょっとだけ面白かったかも。何れにせよ、マイケル・キートンは、主演であるのに第1作でジャック・ニコルソンに喰われ、第2作でダニー・デヴィート、ミシェル・ファイファーに喰われるという損な役回りだったようにも思います。
マイケル・キートンはシリーズ3作目で、ティム・バートンの監督降板と共にバットマン役(二代目)をヴァル・キルマー(「トゥームストーン」('93年))に譲っています。ただし、ヴァル・キルマーのバットマン役はシリーズ第3作「バットマン フォーエヴァー」('95年)だけで、バットマン役はその後、第4作「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」('97年)ではジョージ・クルーニー、クリストファー・ノーラン監督の「ダークナイトトリロジー三部作」と言われる第5作「バットマン ビギンズ」('05年)、第6作「ダークナイト」('08年)、第7作「ダークナイト ライジング」('12年)ではクリスチャン・ベール(「ザ・ファイター」('11年))、第8作「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」('16年)、第9作「ジャスティス・リーグ」('17年)ではベン・アフレック(「アルゴ」('12年))と変遷していきます。ただし、第8作「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」、第9作「ジャスティス・リーグ」は、DCコミックスの実写化映画作品を、同一の世界のクロスオーバー作品群として扱った「DCエクステンデッド・ユニバース」シリーズのそれぞれ第2作と第5作という位置づけにあり、純正なバットマン映画とは言い難い気もします。最初に演じたマイケル・キートンが最も嵌り役だった思いますが、次に挙げるとすれば、最多の3作出演のクリスチャン・ベールだったでしょうか。ただし、彼も、「ダークナイト」ではジョーカーを演じたヒース・レジャー(1979-2008(28歳没))( 「ブロークバック・マウンテン」('05年/米))に喰われ気味でした。
話を「バッドマン」第1作に戻して、ゴッサムシティの裏社会を牛耳るマフィアのグリソム(ジャック・ニコルソン演じるグリソムの部下でその右腕だったジャック・ネーピアは、グリソムの愛人に手を出してその怒りを買って罠に嵌められ、化学工場で警官隊に追い詰められ、そこに現れたバットマンと格闘の末に化学薬品の液槽に転落してしまい、一命は取りとめたものの肌は真っ白に漂白され、顔面は麻痺、精神に異常をきたしてしまい、そこから「ジョーカー」と名乗り始めて、グリソムら裏社会の大物たちを次々と殺害し、街を支配するようになるというのが話の流れ。ジョーカーとバッドマンの間にはもともと因縁があったというとになる)を演じたのが「シェーン」(53年/米)のジャック・パランス(1919-2006)。ジャック・パランスは「バグダッド・カフェ」('87年/西独)で"いい人"を演じたらと思ったらまた悪役府復帰で、
この年はシルヴェスター・スタローン、カート・ラッセルがライバル刑事役でダブル主演したアクション映画「デッドフォール」('89年/米)でも犯罪組織のボスを演じ、二人の刑事を抹殺できないまでも失脚させるべく罠を仕掛け、押収品を横流しする悪徳刑事として、果てにはFBI捜査官殺しにまで仕立て上げるという役でで出ています。スタローンが時折みせるコメディタッチはイマイチ。一方、カート・ラッセルはアクションでスタローンに拮抗していました。でも、個人的には、老ジャック・パランスの悪役が嬉しかったです。ただし、「シティ・スリッカーズ」('91年/米)でまた、気骨あるが根はいい人の役で出ていて、アカデミー賞助演男優賞、ゴールデングローブ賞助演男優賞 をダブル受賞しています。
「ファウンダー ハンバー
ガー帝国のヒミツ」●原題:THE FOUNDER●制作年:2016年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・リー・ハンコック●製作:ドン・ハンドフィールド/ジェレミー・レナー/アーロン・ライダー●脚本:ロバート・シーゲル●撮影:ジョン・シュワルツマン●音楽:カーター・バーウェル●時間:115分●出演:マイケル・
キートン/ニック・オ
ファーマン/ジョン・キャロル・リンチ/リンダ・カーデリニ/パトリック・ウィルソン/B・J・ノバク/ローラ・ダーン/ジャスティン・ランデル・ブルック/ケイト・ニーランド●日本公開:2017/07●配給:KADOKAWA●最初に観た場所:渋谷シネパレス(旧渋谷パレス座)(17-07-30)(評価★★★☆)
ジョン・キャロル・リンチ TV「ボディ・オブ・プルーフ 死体の証言」('11年~'13年)/「ラッキー」('17年/米)監督




渋谷パレス座 1948年渋谷パレス座オープン。1990年6月閉館。1992年3月14日「渋谷シネパレス」として改築オープン。2003年6月~2館体制(スクリーン1:182席/スクリーン2:115席)。上写真「ハイローリング」('77年/米)(1978/12 公開)/「恋人たちの予感」('89年/米)(1989/12 公開)2018年5月28日「渋谷シネパレス」閉館。2018年7月2日「シネクイント」(旧PARCO SPACE PART3)(2016年8月7日閉館)の後継館として再オープン(スクリーン1:162席、スクリーン2:115席)。

「ガン・ホー」●原題:GUNG HO●制作年:1986年●制作国:アメリカ●監督:ロン・ハワード●製作:デボラ・ブラム/トニー・ガンツ●脚本:ローウェル・ガンツ/ババルー・マンデル●撮影:ドナルド・ピーターマン●音楽:トーマス・ニューマン●時間:11
1分●出演:マイケル・キートン/ゲディ・ワタナベ/ミミ・ロジャース/山村聰/クリント・ハワード/サブ・シモノ/ロドニー・カゲヤマ/ジョン・タトゥーロ/バスター・ハーシャイザー/リック・オーヴァートン●日本公開:(劇場未公開)VHS日本発売:1987/11●発売元:パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン(評価:★★★☆)

「バットマン」●原題:BATMAN●制作年:1989年●制作国:アメリカ●監督:ティム・バートン●製作:ジョン・ピータース/ピーター・グーバー●脚本:サム・ハム/ウォーレン・スカーレン●撮影:ロジャー・プラット●音楽:ダニー・エルフマン(主題歌:プリンス)●原作:サム・ハム●時間:127分●出演:マイケル・キートン/ジャック・ニコルソン/キム・ベイシンガー/ロバート・ウール/パット・ヒングル/ビリー・ディー・ウィリアムス/マイケル・ガウ/ジャック・パランス/リー・ウォーレス●日本公開:1989/12●配給:ワーナー・ブラザース(評価★★☆)
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「バットマン・リターンズ」●原題:BATMAN RETURNS●制作年:1992年●制作国:アメリカ●監督:ティム・バートン●製作:デニーズ・ディ・ノヴィ/ティム・バートン●脚本:ダニエル・ウォーターズ●撮影:ステファン・チャプスキー●音楽:ダニー・エルフマン(主題歌:スージー・アンド・ザ・バンシーズ)●原作:ボブ・ケイン●時間:126分●出演:マイケル・キートン/ダニー・デヴィート/ミシェル・ファイファー/クリストファー・ウォーケン/マイケル・ガウ/パット・ヒングル/マイケル・マーフィー/ヴィンセント・スキャベリ●日本公開:1992/07●配給:ワーナー・ブラザース(評価★★★)
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クリスチャン・ベール in「ダークナイト」('98年)

「ダークナイト」●原題:THE DARK KNIGHT●制作年:2008年●制作国:アメリカ・イギリス●監督:クリストファー・ノーラン●製作:クリストファー・ノーラン/チャールズ・ローヴェン/エマ・トーマス●脚本:クリストファー・ノーラン/ジ
ョナサン・ノーラン●撮影:ウォーリー・フィスター●音楽:ハンス・ジマー/ジェームズ・ニュートン・ハワード●原作:ボブ・ケイン/ビル・フィンガー「バットマン」●時間:152分●出演:クリスチャン・ベール/ヒース・レジャー/アーロン・エッカート/マギー・ジレンホール/マイケル・ケイン/ゲイリー・オールドマン/モーガン・フリーマン/メリンダ・マックグロウ/ネイサン・ギャンブル/ネスター・カーボネル●日本公開:2008/08●配給:ワーナー・ブラザース(評価:★★★☆)


「怪鳥人間バットマン」(Batman) (ABC 1966~1968) ○日本での放映チャネル:フジテレビ(1966~1967)/WOWOW

「デッドフォール」●原題:TANGO & CASH●制作年:1989年●制作国:アメリカ●監督:アンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキー●製作:ジョン・ピーターズ/ピーター・グーバー●脚本: ランディ・フェルドマン●撮影:ドナルド・E・ソーリン●音楽:ハロルド・フォルターメイヤー●時間:106分●出演:シルヴェスター・スタローン/カート・ラッセル/ジャック・パランス/テリー・ハッチャー/ジェフリ
ー・ルイス/エドワード・バンカー/ブライオン・ジェームズ/ロバート・ツダール/ジェームズ・ホン/マルク・アレイモ/マイケル・J・ポラード/マイケル・ジェッター/フィル・ルーベンスタイン/フィリップ・タン/ルイス・アークエット/ロイ・ブロックスミス/クリント・ハワード/グレン・モーシャワー●日本公開:1990/03●配給:ワーナー・ブラザース(評価:★★★)
《読書MEMO》
●「エスクァイア」編集部による歴代バットマン映画俳優ランキング(「バットマン」オリジナル・ムービー('66年)を含む)
第1位: マイケル・キートン/「バットマン」(1989年)、「バットマン リターンズ」(1992年)
第2位: クリスチャン・ベール/「バットマン ビギンズ」(2005年)、「ダークナイト」(2008年)、「ダークナイト ライジング」(2012年)
第3位: アダム・ウェスト/「バットマン」(1966年)
第4位: ヴァル・キルマー/「バットマン・フォーエヴァー」(1995年)
第5位: ジョージ・クルーニー/「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」(1997年)
第6位: ベン・アフレック/「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」(2016年)、「ジャスティス・リーグ」(2017年)





独ローゼンハイムから米国に旅行に来ていた中年夫婦はラスベガス近郊でケンカとなり、夫(ハンス・シュタードルバウアー)は妻ジャスミン(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)をハイウェイの途中に置いて行ってしまう。ジャスミンは大きなトランクを抱えて砂漠を歩き、寂れたモーテル兼カフェ兼ガソリンスタンド「バグダッド・カフェ」に辿り着くが、カフェの女主人ブレンダ(CCH・パウンダー)も夫婦ゲンカをして夫を追い出したばかりで、息子や娘は勝手気ままで母親を手伝おうともしない。そこにステイすることにしたジャスミンは、勝手に店を掃除してしまうなどし、そうした彼女の振る舞いが気に入らないブレンダは最初の内は彼女を嫌うが―。
「バグダッド・カフェ」(奇妙な名前だが、ルート66沿いに実在するモーテルの名)には、女主人ブレンダ(CCH・パウンダーが好演。ギアナ出身の英国育ちで、今でこそ米国の映画やTVドラマなどでお馴染だが、当時はこれが映画での初の大役)のほかに、日々虚無的に夜遊びに明け暮れる娘、カウボーイ気取りの売れない画家、ピアノの弾けないピアニストなどが集い、そこはまるで社会の吹きだまりのような場所です(ローザ・フォン・プラウンハイムの「
そこにある時から滞在することになった太っちょの外国人女性ジャスミンによってそうした人々皆が癒されていく過程が、劇的な出来事を挿入しているわけでもないのに、旨く描かれています(ジャスミンを演じるマリアンネ・ゼーゲブレヒトはあまり喋らないが、存在感があってその印象は強烈)。そしてやがては、ジャスミンに皆の人気が集まるのを嫉妬していた女主人ブレンダも―。
労働許可証を持っていないため強制送還されたジャスミンが、再びこの地を訪れブレンダと再会する場面は感動的ですが、老画家ルディのジャスミンによせる恋心(「
"ロード・ムービー"ならぬ"ロードサイド・ムービー"。その"ロードサイド"にあったのは、"血縁"に拠らない「心の家」「アナザー・マイホーム」だったといった感じでしょうか。癒されたい気分の時に観るのにお奨めです。


「バグダッド・カフェ」●原題:BAGDAD CAFE(OUT OF ROSENHEIM)●制作年:1987年●制作国:西ドイツ●監督:パーシー・アドロン●製作・脚本:パーシー・アドロン/エレオノーレ・アドロン●撮影:ベルント・ハインル●音楽:ベルント・ハインル●時間:91分●出演:マリアンネ・ゼーゲブレヒト/CCH・パウンダー/ジャック・パランス/クリスティーネ・カウフマン/モニカ・カローン/ダロン・フラッグ/ジョージ・アキラー/G・スモーキー・キャンベル/ハンス・シュタードル●日本公開:1989/03●配給:KUZUIエンタープライズ●最初に観た場所:シネマライズ渋谷(地階) (89-03-05) ●2回目:シネマライズ 渋谷(地階)(89-03-12) (評価★★★★☆)



「父親は強い男でなければならない」ということか。アラン・ラッドが降りて役を得たジェームズ・ディーン。
」早川書房.jpg)

「ジャイアンツ」('56年)はエドナ・ファーバー女史のベストセラー小説の映画化作品ですが、完成3日後にジェームズ・ディーンが事故死するという不幸もあって話題を呼び、当時アメリカでも日本でも大ヒットしたとのこと。
ジェームズ・ディーンの老け役の演技には批評家の間で賛否があったものの、ディーンのスタニフラフスキー流演技が、ロック・ハドソンの古典派演技と好対照を成している点でも興味深い作品です。
ある家族の前に突然現れた流れ者という設定は、同じジョージ・スティーブンス監督の前作「シェーン」('53年)と似ていますが、流れ者の"シェーン"を演じたアラン・ラッドが、実は「ジャイアンツ」の同じく"流れ者"であるジェット・リンク役に予定されていたのが、アラン・ラッドが役を降りたために、監督に直訴していたジェームズ・ディーンの願いが叶い、ジェット・リンク役が彼に回ってきたという経緯があります。
「シェーン」に出てくる家族の父親は、シェーンに一方的に助けられ何とか悪徳牧畜業者から家族を守りますが、これでは家長としての面目は丸つぶれではないでしょうか。奥さんはシェーンに惹かれ、シェーンも奥さんに惹かれている―その想いを断ち切るかのようにシェーンは去っていきますが、この後の夫婦の関係という観点から考えると、ハッピーエンドとは言い切れないモヤモヤしたものが残ります。

おいても、原作における主人公の役を演じているのに映画の中では準主役級にされてしまっていたように、大スターと言えるほどの俳優ではなかったのが、この「シェーン」1作で一気にハリウッドの大スターとなります。ところが、その後は大した作品に出ておらず、60年代を過ぎて人気にも陰りが出てからはノイローゼになり、最後は睡眠薬の多用が原因で亡くなっています(享年50)。
一方のシェーンの敵役の殺し屋のウィルソン(酒場でコーヒーしか飲まないところが却って凄味があった)を演じたジャック・パランス(1919-2006)は、その後も性格俳優として活躍し、どちらかと言うと相変わらず悪役が多かったですが、パーシー・アドロン監督の「
が「カウボーイ体験ツアー」に軽い気持ちで参加し、予期せずにもそこで自らを見つめ直し、自己を取り戻していくという話で(当時のアメリカの不況を反映している面もあったのかも)、「カウボーイ体験ツアー」なるものがあるのを初めて知りましたが、ジャック・パランスはツアーの教官役の老齢のカウボーイを演じ、当時72歳でしたが、老境に達していい味を出していました。「
映画の中でジャック・パランス演じるベテラン・カウボーイは心臓病で急死し、残された3人は、素人のまま「牛追い」の旅をすることになるわけですが(ジョン・ウェインの「赤い河」を意識したかのような牛追いシーンがあった)、実際のジャック・パランス本人は'06年に87歳で老衰のため亡くなっています。

「ジャイアンツ」●原題:GIANT●制作年:1956年●制作国:アメリカ●監督:ジョージ・スティーブンス●製作:ジョージ・スティーヴンス/ヘンリー・ジンスバーグ●脚本:フレッド・ジュイオル/アイヴァン・モファット●撮影:ウィリアム・C・メラー/エドウィン・デュパー●音楽:デミトリー・ティオムキン/レイ・ハインドーフ●原作:エドナ・ファーバー「ジャイアンツ」●時間:201分●出演:ジェームズ・ディーン/エリザベス・テーラー/ロック・ハドソン/ジェー
ン・ウィザース/キャロル・ベイカー/チル・ウィリス/メーセデス・マッキャンブリッジ/サル・ミネオ/ロッド・テイラー/ナポレオン・ホワイ
ティング/ジュディス・エヴリン/ポール・フィックス/エルザ・カルデナス/フラン・ベネット/デニス・ホッパー/マーセデス・マッケンブリッジ●日本公開:1956/12●配給:ワーナー・ブラザーズ●最初に観た場所:早稲田松竹(77-12-21) (評価★★★★)●併映:「理由なき反抗」(ニコラス・レイ)
「シェーン」●原題:SHANE●制作年:1953年●制作国:アメリカ●監督:ジョージ・スティーブンス●製作:ジョージ・スティーヴンス●脚本:A・B・ガスリー・Jr●撮影:ロイヤル・グリグス●音楽:ヴィクター・ヤング●原作:ジャック・シェーファー「シェーン」●時間:118分●出演:アラン・ラッド/ヴァン・ヘフリン/ジーン・アーサー/ブランドン・デ・ワイルド/ジャック・パランス/ペン・ジョンスン/エドガー・ブキャナン/エミール・メイヤー/エリシャ・クック・Jr./ダグラス・スペンサー/ジョン・ディエルケス●日本公開:1953/10●配給:パラマウント映画●最初に観た場所:高田馬場パール座(77-12-20) (評価★★★☆)●併映:「駅馬車」(ジョン・フォード) 



・ガン
ツ/ババルー・マンデル●撮影:ディーン・セムラー●音楽:マーク・シェイマン●時間:112分●出演:ビリー・クリスタル/ダニエル・スターン/ブルーノ・カービー/ヘレン・スレイター/ジャック・パランス/パトリシア・ウェティグ/ノーブル・ウィリンガム/デヴィッド・ペイマー/フィル・ルイス/ジェフリー・タンバー/カイル・セコー/トレイシー・ウォルタ/ロバート・コスタンゾ/イヤードリー・スミス/ジェイク・ジレンホール(映画初出演)/ダニエル・ハリス/フランク・ウェルカー●日本公開:1992/03●配給:東宝東和 (評価★★★) 「