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シリーズ"らしい"ほろ苦い結末。モースと美女のやり取りが見所?(トロイのクリケットも)
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「Inspector Morse: Deceived By Flight [DVD] [Import]」
「モース警部シリーズ Vol.10「欺かれた過去」【字幕版】 [VHS]」
モースは、大学OBのクリケット・チームの試合のためにロンドンに来ていた、学友の弁護士ドンに呼び出されて久々の再会を果たす。彼はモースに何か相談したがっているようだが、モースが訊いても話さない。その後、彼の方からモースに連絡をしてくるが、モースは書店爆破事件の捜査で手が離せない。その翌日ドンはリード線をくわえて感電死死体となって発見される。モースは休暇中のルイスを説得し、ドンが所属していた、脚の不自由な事業家ローランドが率いるOBクリケットチームに、彼を代わりの選手として潜入させる。トニーの妻ケイト(シャロン・モーン)はラジオ局のDJで、トニーの隣室のフォスター夫婦(ジオフリー・ビーヴァーズ、ジェーン・ブッカー)の夫ピーター・フォスターは何やらクリケット・チームを探っているようだった。そんな中、OBチームのクリケットの試合中に選手控室でピーターが何者かに殺されてしまう―。
英国ITVの「主任警部モース」シリーズの第9話で、1989年に本国で放映され、1999年に日本語字幕付きVHSが発売されています。
ドンの妻でラジオ局のDJのケイトは若くて美人で、モースは夫を亡くした彼女を慰めるうちに彼女に惚れてしまった感じですが、フォスター夫婦の妻フィリッパも美人で、モースはこちらにも接近、双方ともモースに悪からぬ印象を抱いているようで、モースがフィリッパとクリケットのOB試合を観戦しているところへケイトが現れ、女性同士がバッティングした感じ(ケイトはぷぃと去ってしまった)。更に、ピーターが殺害されたことで、モースは2人の「未亡人」の間に挟まった形になりましたが、まあ、原作においてもモースは不思議と女性にモテるキャラではあるので、これはアリかなと。
Morse & kate Donn
モースは、フィリッパとクリケット試合を観ながら、変なユニフォーム来て不可思議なルールで行われるスポーツとこき下し、それでもクリケットが好きそうなフィリッパのために自分もこのスポーツを好きになろうかなと冗談を言いますが(これって彼女へのアプローチ?)、結局居眠りしてしまって、ルイスの折角のファインプレーも見逃した...。そこに起きたフィリッパの夫ピーターの殺害事件。
実はピーターとフィリッパのフォスター夫婦は本物の夫婦ではなく、英国からのヘロイン密輸出の捜査に2年越しで当たっている所謂「麻薬Gメン」でした。OBクリケットチームが怪しいと、わざとモースを通して事件未解決の中での海外遠征を認めさせ、水際でヘロイン密輸輸出の現場を抑えようとしてドーバーに張り込んでいるところへ、モースも事件の真相を追って現れます。そこでモースが見たものは...(因みにドーバーは英国の都市であり、フランスでは「ドーバー海峡」を「カレー海峡」と呼ぶ)。
2件の殺人事件もヘロイン密輸出も解決を見ないまま船が出そうになる―その時モースに突然の閃きが訪れるという、結構ハリウッド映画的なスリルはありましたし、結末も意外でした。ヘロイン密輸出の犯人に対しては、モースも思わず「なぜだ」と問い詰めたくなるし、一方の旧友ドンの殺害事件につていても...。
このシリーズ"らしい"ほろ苦い結末でした。振り返ってみれば、2件の殺人事件に何か動機上の関連がありそうに思えたのがまず第一のミスリード要因だったでしょうか。モース独特の理詰めの推理は勿論ありましたが、最後は直観による解決だったような気もして、その辺りはややシリーズ"らしくない"真相への導き方だったようにも思います。むしろ、モースと美女2人の遣り取りが見所だったとも言えます。
警察官がクリケット・チームに潜入していきなり好プレーを連発することが可能かと言うのはありますが、ルイス巡査部長役のケヴィン・ウェイトリーは、一時プロのクリケット選手を目指していたということで、コリン・デクスターの原案がそもそもケヴィン・ウェイトリーの"クリケット愛"に捧げられたものであるとのことです。

一方で、ネスカフェ・ゴールド・ブレンドのTVコマーシャルに出ていたシャロン・モーンが演じるケイトに、「コーヒーは嫌い。飲むと頭が痛くなる」と言わせているのは、脚本家のお遊びか。
Sharon Maughan pictured in the Nescafé Gold Blend instant coffee adverts which ran between 1987 to 1992

「主任警部モース(第10話)/欺かれた過去」●原題:INSPECTOR MORSE:DECEIVED BY FLIGHT●制作年:1988年●制作国:イギリス●本国放映:1989/01/18●監督:アンソニー・シモンズ●脚本:アンソニー・ミンゲラ●原案:コリン・デクスター●時間:104分●出演:ジョン・ソウ/ケヴィン・ウェイトリー/アマンダ・ヒルウッド/シャロン・モーン/ノーマン・ロッドウェイ/ジオフリー・ビーヴァーズ/ジェーン・ブッカー/ダニエル・マッセィ/ブライアン・プリングル/ニッキー・ヘンソン●VHS発売:1999/08●発売元:日本クラウン(評価:★★★☆)
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運河で首と両手脚が切断された死体が見つかる。時を同じくして、オックスフォード大学時代の同級生で同大学の学寮長を務める旧友アレックス・リース(バリー・フォスター)から、ケリッジ博士(テニエル・エヴァンス)が失踪していると相談を受けたモース。死体の状況から殺害されたのは博士だと思われたが...。一方、博士課程を修了したばかりのデボラ・バーンズ(ビーティ・エドニー)は、自分が特別研究員になれなかったのはケリッジ博士が反対票を投じたからだと思い込み博士に直接尋ねると、ケリッジは反対したのは自分ではなく、学寮長のリースだと言う。リースは彼女の博士論文の指導担当で、共著で本を出し、更には2人の間に肉体関係まであったのだが―。
リースまで殺されてしまったのは、実力の無い彼が"漁夫の利"を得たことに対する犯人の恨みでしょうか。女子大生の研究成果を自分のものとし、肉体関係まで持っておいて研究員には推さないというのは、まあ、殺されても仕方無いという感じでしたが。
それにしてもモースは、捜査中にビールを飲む回数がどんどん多くなるなあ。しかも、独身の気安さからか、リースの秘書キャロルに声掛けして彼女の行きつけのジャマイカ料理のレストランで歓談しています。
と呑みたがっているように見えました(上司のストレンジ警視正に罵倒され、歯医者にも苛められ、その上事件の解決が困難を極めれば、自宅でオペラを聴くだけではストレスは解消されないか)。


オックスフォード大学の学寮長候補ハンベリー卿の大邸宅から、数点の絵画が盗まれ、モースはルイスと気乗りしない窃盗事件の捜査を開始するが、窃盗事件の後に失踪していた絵の所有者ハンベリー卿が、邸の敷地内で死体となっているのを発見する。更に、邸付近でブレーキに細工されたクルマの事故に遭遇、亡くなった男は、邸で子守に雇われていたフランス人のミシェル(イリーナ・ブルック)の恋人ロジャーで、ミシェルはレディ・ハンベリー(パトリシア・ホッジ)から突然の解雇を言い渡されていた。ロジャーの所持品から脅迫文が見つかり、ハンベリー卿を何らかのネタで脅迫していたらしい―。
ラストで実行犯が殺人容疑で逮捕され、手錠を掛けられて連行されますが(かなり惨め)、一方のレディは娘と別れの言葉を交わす(手錠を掛けられることもない)―でも、裁判が始まったら「殺人」と「殺人教唆」は同等の扱いであり、この場合むしろ「殺人教唆」の方が罪が重いんじゃないかな。
今回からこれまでの検死医マックスに代わって女医ラッセル(アマンダ・ヒルウッド)が登場、モースが「お嬢さん」と呼ぶと「ドクター」と呼んで欲しいと、早速2人はぶつかっています。
「主任警部モース(第8話)/ハンベリー・ハウスの殺人」●原題:INSPECTOR MORSE:GHOST IN THE MACHINE●制作年:1988年●制作国:イギリス●本国放映:1989/01/04●監督:●脚本:ジュリアン・ミッチェル●原案:コリン・デクスター●時間:104分●出演:ジョン・ソウ/ケヴィン・ウェイトリー/アマンダ・ヒルウッド/マイケル・ゴドリー/パトリシア・ホッジ/クリフォード・ローズ/バーナード・ロイド●VHS発売:1999/06●発売元:日本クラウン(評価:★★★☆)

(2020年映画タイアップカバー)『
本書を読む前は、直木賞を受賞した作者が地元・釧路でサイン会やトークセッションを行っているのをニュース報道などで見て、何となく違和感がありましたが、読んでみると釧路町の各場所の地名が実名で出ているようだし(「ホテルローヤル」自体も作者の父親が開業したホテルの名前をそのまま使っていて、但し、作者の実家は看板屋ではなく理容室であったとのこと)、モチーフがラブホテルであっても、地元の人は何か郷土愛的な親しみやすさを感じるのかもしれません。更には、失われた建物や空間に対するノスタルジーなどもあるのではないでしょうか(実際には、この連作が纏まった頃に作者の父が当ホテルを廃業したそうで、実際のホテルローヤルが無くなって小説の「ホテルローヤル」の方が残る形となった)。
映画「ホテルローヤル」('00年)


夕闇迫るオックスフォードで、なかなか来ないウッドストック行きのバスにしびれを切らして、2人の娘がヒッチハイクをすることに。その晩、ウッドストックの酒場の中庭で、2人の娘の1人シルビアが死体で見つかる。シルビアはその日、もう1人の娘とバス停でバスを待っていたのを目撃されていたのだが、バスに乗った形跡はなく、彼女は赤いクルマの何者かの誘いに乗ったようだ。また、彼女が持っていた封筒の宛先は、勤務先の秘書部長ジェニファー・コールビーになっていた。もう1人の娘は誰でどこに消えたのか、なぜ名乗り出ないのか? テレズ・バレイ警察のモース主任警部は、ルイス部長刑事とともに事件捜査に当たる―。
大学講師バーナードは大学の正教授を目指していて(その割には年齢を喰っている)、妻のマーガレットはその尻を叩いている感じでしたが、あまりに妻に言われ続けると、女子大生を誘惑して気晴らしをしたいという気になるのか(それとも単なるスケベ老人か)。夫がシルビアを轢き殺したと思い込んだマーガレットは、クルマのタイヤを破棄したりして(確かにシルビアをヒッチしたのはバーナードだったが、シルビアの事故死に殺人の疑念があることは報じられていなかったのか)懸命に証拠隠滅を図るけれども、これも夫のためと言うより、その地位を守るため。しかし、その頃には、最初の2人の娘の目撃者であるとともに、超人的記憶力を持つ推理好きお婆さんの証言で、クルマの持主は特定されていた...。![Inspector Morse:Last Bus to Woodstock [VHS].jpg](http://hurec.bz/book-movie/Inspector%20Morse%EF%BC%9ALast%20Bus%20to%20Woodstock%20%5BVHS%5D.jpg)




バレリーは若いフランス語の補助教員ディヴィッド・エイカムとも、女子校の校長ドナルド・フィリップソンとも関係していたということなのでしょう。それを知った女性副校長(彼女は男性には関心が無い。つまりレズビアン?)は、そのことをネタに校長を脅して副校長の座を掴んだということのようです(フランス語教師はクビになって別の学校へ転職した?)。校長はバレリーの母親グレース(フランセス・トーメルティ)とも関係していて、グレースはバレリーがジョージの子供ではないことを仄めかしていますが、どうやらジョージも血の繋がりのない娘バレリーと関係していたみたいで、そのことに頭にきたグレースが校長との不倫に走り、その現場を見てしまった娘バレリーがショックを受けて家を出たというのが、2年前の彼女の失踪の原因だったようです。
「主任警部モース(第5話)/キドリントンから消えた娘」●原題:INSPECTOR MORSE:LAST SEEN WEARING●制作年:1988年●制作国:イギリス●本国放映:1988/03/08●監督:エドワード・ベネット●脚本:トーマス・エリス●原作:コリン・デクスター●時間:104分●出演:ジョン・ソウ/ケヴィン・ウェイトリー/ピーター・マッケリー/フランセス・トーメルティ/メリッサ・シモンズ/フィリップ・フレサートン/スザンヌ・ベルティシュ/グリーン・ヒューストン/ジュリア・サワルハ/エリザベス・ハーレー●VHS発売:1999/04●発売元:日本クラウン●日本放映:2001/05 (NHK-BS2)(評価:★★★★)
◎ Here are some favorite episodes (or characters or scenes or...):

ある日、ランピオン刑事はラロジエール警視の所属する"スタークラブ"の集会に参加する。名士達が集まる会場で、ラロジエール警視は、かつての上官で大富豪のドラリーブ大尉と感動の再会を果たす。しかし、警視が大尉の屋敷での家族との食事会に招かれた数日後、滞在先の火事により大尉が亡くなったとの悲報が警視にもたらされる。大尉は孫のような年の娘アルベルティーネと結婚したばかりで、大尉によって多くの親族が養われていた屋敷へ、その若妻の兄が、大尉の遺言によりその全財産の相続人となった妹を連れて乗り込んで来る―。
冒頭、科学的捜査に執心するランピオンとそれを軽んじる警視との間に確執があり、そこへ大尉の訃報が入り、警視は実の父親を失ったような思いに駆られ虚脱状態に。事件の捜査どころか刑事を辞めるとまで言い出し、話は一体どうなるのかと思いましたが(事件現場にランピオンから貰ったキノコのバスケットを抱えて悄然と立ち、親族から「あの人、大丈夫」と言われているのが可笑しい)、そこから警視の"復活"に至るまでのサイドストーリーはサイドストーリーとして楽しめ、むしろデヴィッド・スーシェ版が原作を改変してまでポワロが最初から事件に関与していたのに比べると、前半部分で警視が事件捜査に直接関与しない分、原作に近かったかも。
原作と同じく死体が上がるのは3体。原作の妙味は、それらが自殺・事故・他殺とそれぞれ死亡原因が異なることが考えられる点と、AがBを殺害し、CがDを殺害したという一般的な推理を、例えばAがDを殺害したとすればどうかという具合に置き換えてみないと事件の謎は解けないという点で、細部のキャラクターの改変はあるものの、この原作のポイント部分はきっちり抑えていたと思われます。親族たちが若妻の死を願う気持ちが、個々の"妄想"を映像化することで巧く表現されていたりした点も含め、十分楽しめました。
「若妻」の「兄」は、 原作でも大尉の親族を屋敷から追い出して財産の"総取り"を狙う悪い奴なのですが、この映像化作品では、登場早々に見るからにワルそう。親族の中で唯一そうした"妄想"に駆られることのなかったセリアが、婚約者を差し置いてこんな男に惹かれる気持ちが知れないですが、一見しっかり者に見える女性がジゴロ風の男が好きだったということがあってもおかしくないのかも。田舎の生活にやや飽きがきていて、更には婚約者との結婚後に待っている平凡な牧場暮らしにもあまり魅力を感じていなかった矢先だったというのもあるかもしれません。或いは、深読みすれば、婚約者の欲得やその中に潜む危険な何かを本能的に嗅ぎ取っていて、その反動だったのかも(婚約者が性的不能であることも暗示されている。加えて言えば、大尉の焼死にこのジゴロ風の男が関与していたことも暗示されていて、これらは原作には無い設定)。
このシリーズ、何れも細部にコメディ風のアレンジをしていますが、一方で、原作の抑えるべきところはきっちり抑えていたりもし、特にこの作品についてはそのことが言え、ロケに使われたドラリーブ大尉の屋敷なども豪勢でした。本場英国のクリスティ物テレビ映画にほぼ負けていない一作ではないかと。
「クリスティのフレンチ・ミステリー(第8話)/満潮に乗って」」●原題:LES PETITS MEURTRES D'AGATHA CHRISTIE/ LE FLUX ET LE REFLUX(Flux and Reflux)●制作年:2010年●制作国:フランス●本国上映:2011/4/15●監督:エリック・ウォレット●脚本:Sylvie Simon●出演:アントワーヌ・デュレリ/マリウス・コルッチ/マリー・ドゥナルノー/Alexandre Zambeaux/Yves Pignot/Blandine Bellavoir/Nicky Marbot/Dominique Labourier/Luce Mouchel/Pascal Ternisien●日本放映:2011/09●放映局:AXNミステリー(評価:★★★★)

ジョイスやジョージも参加するミッドサマー・ワーシー聖歌隊が大会に向け猛練習の最中、メンバーの一人コナーが突然心臓発作で倒れ、軽症だったためにそもまま帰宅するが、自分の忘れ物を取りに来たステファンが、偶然コナーの携帯電話を見つけ届けに行くと、コナーは何者かに頭を殴られ
死んでいた。キッチンのゴミ箱からは「お前の嘘つきな心臓」と書かれた紙とともに、豚の心臓が見つかる―。(第50話「壊れかけた聖歌隊」)
そうこうしている内に、教会の周辺でメンフクロウを観察をしていたサムという男が、墓地で遺体で発見され、実際に殺害された場所は彼が以前不動産管理を任されていたハーツメイドというジャイルズの屋敷の納屋だったようだ―。結局、ギャンブルで大損こいたコナーとレオという男とジャイルズが、ジャイルズの妻キャロラインが相続したバッハの肖像画の贋作を売って儲けようとしたところ(コナーはかつて贋作画家だった!)、本物を手にしたコナーがそれを売ってエレンと駆け落ち資金にしようとしたということからの仲間割れが原因だったのか。
妻キャロラインに薬を飲ませて入水自殺に見せかけ殺そうとしたジャイルズが一番のワルか。男たちの喧嘩を仲裁しようとして池にドボンしたジョーンズ巡査に続いて、キャロラインを助けようとしたバーナビーもびしょ濡れに。スティーブンという男性も最初はやや怪しかったけれど、キャロラインに対する純愛のみの男だったわけで、事件解決後暫くしたら彼女と結ばれる? エレンの方は、妻と縒りを戻すのを諦めたローレンスが家をおん出て、彼女はバーナビーからコナーが自分のために描いてくれた絵を返してもらい、コナーの想い出に生きるのでしょう。
だんだん刑事らしくなってきたジョーンズは(次回「第51話「呼ばれた殺人者」で巡査部長に昇進する)、バーナビー宅でシャワーを浴びていた際の歌声を見込まれてコナーの代わりに聖歌隊のテノール担当になっていましたが、指揮者ローレンスはヤケクソになったのか聖歌大会の場にも現れず、前から聖歌隊の一員だった検視官ブラード博士が熱弁を振るって皆を鼓舞し、ローレンスの代わりに指揮棒を振ってミッドサマー・ワーシー聖歌隊が優勝!と、やや出来過ぎた作りですが、事件のプロセスが暗めであるだけに、"お口直し"的エンディングということでいいのではないでしょうか。
田舎町エルバートンで、大手スーパー「グッドフェア」の進出を巡り、議会と一部住民が対立していた。ある晩、村の集会で、グッドフェア側は、スーパーを誘致すれば、世帯向け物件を提供するほか、建設予定地の汚染土壌浄化を行うと住民に説明したが、賛成
派と反対派の間で小競り合いが起きて収拾がつかなくなる。その頃、集会を抜け出した子供達が製材工場で男性の刺殺体を発見、被害者の名はフランク・ホップカークと判明し、現場にあった凶器と思われる高級ナイフは、地元で料理教室を経営している女性ローズのものと判るが、警察の問いに彼女は、ホップカークが偽名で料理を習いに来ていたが、ナイフが何時なくなったのかは覚えがないと言う―。(第49話「ビジネスの総決算」)
スーパー反対派のオーランドは馬の調教師をしている妻ジニー差し置いてローズに執心、ジニーは当てつけにパブ店主を愛人にするものの、その愛人もジニーに入れ込むという、この料理教室のオバさんのモテぶりは不思議。ホップカークも彼女目当てに料理教室に通っていた? 躰を許さないというのが却って男が惹かれる要因なのでしょうか、それとも、調教師ジニーの"調教"(SM強要)に男達は付き合い切れなかったということだったのかも。
狩猟場では「コスプレ人間罠」ごっこみたいな変てこなビジネスをやっているし(ちゃんとお客がいるわけだ)、村の女性司祭は雑貨屋店主と不倫しているし、こんな誰もが乱脈な環境だと、子供達も製材所で隠れて酒と煙草に耽るようになってしまうということなのでしょうか。死体を見つけてショックを受けるどころか、「学校に行って友達に話さなくっちゃ」と、むしろ新たな刺激を見つけて張り切っている様子です。


「バーナビー警部(第49話)/ビジネスの総決算」●原題:MIDSOMER MURDERS:COUNTRY MATTERS●制作年:2006年●制作国:イギリス●本国上映:2006/09/10●監督:リチャード・ホルトハウス●製作:ブライアン・トゥルー=メイ●脚本:アンドリュー・ペイン●時間:102分●出演:ジョン・ネトルズ/ジェイソン・ヒューズ/ジェーン・ワイマーク/バリー・ジャクソン/クレア・ホルマン/ティム・ハーディ●日本放映:2010/05●放映局:AXNミステリー(評価:★★★)



これは私の、私たちの愛のはずだった―。夫の不実を疑い、姑の視線に耐えられなくなった時、桃子は誰にも言えぬ激しい衝動に身を委ねるのだが......。夫婦とは何か、愛人とは何か、〈家〉とは何か、妻が欲した言葉とは何か。『悪人』『横道世之介』の作家がかつてない強度で描破した、狂乱の純愛。本当に騙したのは、どちらなのだろう?―。(新潮社サイトより)


役所の給与係バレットが散弾銃で殺される。バーナビーは、彼の部屋にあったオークションの切り抜きの絵の持ち主であるパブ店主ジャックに事情を聞きに行く。店主はバレットを「誰にでも好かれる男」と話すが、パブで働き、バレットの家で掃除の仕事もしていたルビーは「最低の男」だと言う。店主は、父親のものだった絵を、相続税を逃れるため売却しようとしたのを、それを知ったバレットに脅迫されていたのだった。バレットはその他にも、問題児を9人引き取って育てた地元の名士ウェーバリーを、その内の一人と密通していたというデマを流すとして脅し、石油採掘をしているというフロリアン夫妻についても脅迫ネタを探していたらしい。また、彼ら全員の家の掃除の仕事をしていたルビーも盗癖を知られて脅され、フロリアン夫妻についての情報を取るようバレットに指示されていた。バレットは夫妻が別荘を持つフェナコム湾にある魚屋のレシートを持っていたが、バーナビーが魚屋を訪ねると、店主ピーターは以前に香港で警官をしていた人物で、捜査にも協力的だった。フロリアン夫妻はよく沖の岩礁付近に出かけたが、そこには沈没船があるという噂があった―。
面白かったです。今回も登場人物は皆怪しげ。見るからに怪しげな人物は犯人ではないというのがパターンになっているようで、そのことを念頭に置きつつも(つまり、まともに見える人が犯人に違いないと思って観つつつも)、やはり騙されてしまいます。と言っても、今回のケースなどは、犯行動機が最後の最後にならないと分からないから無理もないかも。海外での昔の出来事を巡る復讐劇でした。
お宝探しの夫婦は夫婦で、殺人事件解決後はお宝の隠し場所を追及されてシラを切り通すも、ジョーンズが誤ってペットボトルを倒したことから井戸の存在が明らかになり...と、ジョーンズは推理ではバーナビーの足元にも及ばないものの、"本人の能力以外"のところで意図せず事件の解決に貢献しているなあ(スコットから交替して才気煥発ぶりが目立ったため、ここらでほどほどに調整している?)。
ルビーを演じたジュリア・マッケンジーは、2009年からグラナダ版「アガサ・クリスティー ミス・マープル」でミス・マープルを演じることになりますが、ここではパブの手伝いと掃除人の仕事の掛け持ちと忙しく、その上、パブの店主の内縁の妻みたいになっていて、家から鉄砲が出てきて、互いに相手が犯人ではないかと疑心暗鬼になり、"夫婦喧嘩"の末に鉄砲が暴発、自ら警察を招き入れることになって、窃盗癖も白状するという、ミス・マープルとは全く異なる役どころを演じているのが興味深かったです(でも、どことなく品のある感じ)。

ニュートンの森にひっそりと佇むウィンヤード屋敷は、近頃幽霊が出ると噂になり、地元の子供たちの肝試しスポットとなっていた。ある日、物件探しでこの屋敷に惹かれた夫婦が、屋敷から車に戻ったところで何者かに絞殺されてしまう―。(第44話「真相の眠る屋敷」)
う~ん、双子の兄弟で自分が知能も人格も全ていいところばかり取ってしまって、弟には悪いところばかりいったからと言って、そのことに後ろめたさを感じて弟の罪を被るかなあというのはありますが、実際ジャックは子供にも好かれるいい人という感じで、自分を愛してくれた女性とも会えて、まあ最後は犯人に殺されなくて良かったという感じでしょうか。
チャーリーも充分に怪しいのですが、それまでに怪しい人物が目一杯出てくるので、初登場の時は相対的にまともに見えてしまうという、いつもながらの巧みなミスリードのさせ方でした。ある程度まで混迷を深めた段階で、少年がチャーリーをジャックだと思って「ジャック」と呼びかけて反応が無かったという、視聴者から見れば分かり易い謎解きの手立て示したのは親切か。
本作から第9シーズン。バーナビーは、スコット巡査部長の病欠で、代わりに巡査ジョーンズ(ジェイソン・ヒューズ)を警官の制服からスーツに着替えさせて巡査部長代理として共に捜査に当たらせますが(「キミ、やってみるか?」って感じだったね)、もしかしてこの人、スコットより優秀? 一方のスコットは、結局、前シーズンを最後に、このシリーズに復帰することは無かったようです(やや気の毒)。
ミッドサマー・バートンで年一度開催されるオークアップル祭。お祭り気分の中、マリオン・スレードの水死体が発見される。彼女は精神安定剤のダイラシンを多量に服用しており自殺かと思われたが、肩には押さえつけられたような痕があったバーナビーとジョンは捜査を開始、聞き込みを続けるうちに、マリオンに8年前に食中毒で死亡した娘がいたことを知らされる。その後ベラのかつての同級生マークが、自分の犬を祭りのドッグショーに出すと言っていたが現れず、森で首を切られて死んでいるのが見つかる。彼もマリオンと同様にダイラシンを飲まされて殺されたのだった―(第45話「カーニバルの傷痕」)
今回も怪しげな人物が目一杯出てきますが、極めつけは「
お祭り男の旦那はプロのコメディアンを目指していて実入りのある仕事はしておらず、その旦那にあなたコメディアンにはなれない、なぜならば「あなたの人生そのものがコメディなのよ」と言い放つ妻。その妻も医師と浮気していて、この医師(医者なのにヘビースモーカー)も好色...といった具合に、犯人を除く残りの人たちの方が問題ありではないかと思わせるような村の人々でした。
「バーナビー警部(第44話)/真相の眠る屋敷」●原題:MIDSOMER MURDERS:THE HOUSE IN THE WOODS●制作年:2005年●制作国:イギリス●本国上映:2005/10/09●監督:ピーター・スミス●製作:ブライアン・トゥルー=メイ●脚本:バリー・シンナー●時間:102分●出演:ジョン・ネトルズ/ジェイソン・ヒューズ/ジェーン・ワイマーク/バリー・ジャクソン/ジョージ・ベイカー●日本放映:2010/04●放映局:AXNミステリー(評価:★★★☆)
「バーナビー警部(第45話)/カーニバルの傷痕」●原題:MIDSOMER MURDERS:DEAD LETTERS●制作年:2006年●制作国:イギリス●本国上映:2006/02/26●監督:レニー・ライ●製作:ブライアン・トゥルー=メイ●脚本:ピーター・ハモンド●時間:102分●出演:ジョン・ネトルズ/ジェイソン・ヒューズ/ジェーン・ワイマーク/バリー・ジャクソン/エリザベス・スプリッグス/リチャード・キャント●日本放映:2010/04●放映局:AXNミステリー(評価:★★★☆)





●2020年ドラマ化(「半沢直樹(2020年版)」)【感想】
めるけれどプロセスは読めない」という意味でよかったのではないか。尾上松也、片岡愛之助とほかにも歌舞伎役者が出ているが、とりわけ香川照之、市川猿之助
の「顔芸」はこうした"劇画"調の「現代の時代劇」的ドラマと相性がいいのかもしれないと思った(片岡愛之助や進政党幹事長役の柄本明も含め「顔芸」合戦の様相を呈していた(笑))。





2009(平成21)年・第43回「吉川英治文学賞」受賞作。
原作では、東大大学院生の島崎国男、捜査一課刑事の落合昌夫、オリンピック警備本部幕僚長の息子でテレビ局勤務の須賀忠の3人が東大で学部の同級生ということになっていますが、テレビ版では、落合昌夫(竹野内豊)ではなく、(原作には全く登場しない)その妹の落合有美(黒木メイサ)が島崎(松山ケンイチ)、須賀(速水もこみち)と同級ということになっていて、しかも有美は国男に恋心を抱いてどこまでも彼に付いていこうとする設定になっているため、国男が村田(笹野高史)と一緒に爆破計画を練っている傍にちょこんと居るのが違和感ありました。男だけで逃亡するのと、恋人連れで逃亡するのでは、随分と物語の性質が変わってくるのでは...とやや気を揉みましたが、その外の部分は思った以上に原作に忠実に作られていて、ドラマの方も楽しめました。
原作では、国男がオリンピックの開催阻止を決意する前の時期と、決意して行動に移していく時期とをフラッシュバック手法で交互に見せ、しかも前半部は決意する前の普通の大学院生だった時期の方に比重を置いて書かれているため、この大人しそうな青年が本当に爆破犯に変貌していくのだろうかという関心からも読み進めることができましたが、ドラマにそこまで求めるのは無理だったか。
また、原作では、特に冒頭の方で、昭和39年という時代を感じさせるアイテムやグッズ、社会背景に関する話などがマニアックなくらい出てきてシズル感を高めていましたが、ドラマではその辺りが端折られていたのがやや残念でした(時代を感じさせるのはクルマと看板だけ。それだけでも結構苦労したため、他のところまで手が回らなかった?)。
2020年の東京オリンピックは、"大義なき五輪"と言われ、その分、開催立候補前は開催に対して"何となく反対"という雰囲気が優勢だったのが、開催決定後は、"何となく期待する"みたいな風に変わってきているような印象も受けますが、では、1964年の東京オリンピックの(ヤクザさえ抗争活動を休止するような)"大義"とは何であったのか、多かれ少なかれ、そうした当時における"大義"に思いを馳せることができる作品でもあるかと思います。

「オリンピックの身代金~テレビ朝日開局55周年記念」●監督:藤田明二●脚本:東本陽七/七橋斗志夫●原作:奥田英朗「オリンピックの身代金」●出演:竹野内豊/松山ケンイチ/黒木メイサ/天海祐希/沢村一樹/速水もこみち/斎藤工/吹石一恵/笹野高史/國村隼/岸部一徳●放映:2013/11/30~12/01(全2回)●放送局:テレビ朝日



![ジョンとメリー [VHS].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%BC%20%5BVHS%5D.jpg)
![ジョンとメリー [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%BC%20%5BDVD%5D.jpg)

![卒業 [DVD] L.jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E5%8D%92%E6%A5%AD%20%5BDVD%5D%20L.jpg)
マンハッタンに住む建築技師ジョン(ダスティン・ホフマン)のマンションで目覚めたメリー(ミア・ファロー)は、自分がどこにいるのか暫くの間分からなかった。昨晩、独身男女が集まるバーで2人は出会い、互いの名前も聞かないまま一夜を共にしたのだった。メリーは、整頓されたジョンの家を見て女の影を感じる。ジョンはかつてファッションモデルと同棲していた過去があり、メリーはある有力政治家と愛人関係にあった。朝食を食べ、昼食まで共にした2人は、とりとめのない会話をしながらも、次第に惹かれ合っていくが、ちょっとした出来事のためメリーは帰ってしまう―。
脚本は「シャレード」('63年)の原作者ジョン・モーティマーですが、構成の巧みさもさることながら、演じているダスティン・ホフマンとミア・ファローがそもそも演技達者、とりわけダスティン・ホフマン演じるジョンの、そのままメリーに居ついて欲しいような欲しくないようなその辺りの微妙に揺れる心情が可笑しく(ジョンの方に感情移入して観たというのもあるが)ホントにこの人上手いなあと思いました(でも、ミア・ファローも良かった)。
最後に互いの気持ちを理解し合えた2人が、そこで初めて「ぼくはジョンだ」「私はメリーよ」という名乗り合う終わり方もお洒落(その時に大方の日本人の観客は初めて、そっか、2人はまだ名前も教え合っていなかったのかと気づいたのでは。アメリカ人だったら普通は最初に名乗るけれど、アメリカ人が見たらどう感じるのだろうか)。観た当時は、これが日本映画だったら、もっとウェットな感じになってしまうのだろうなあと思って、ニューヨークでの一人暮らしに憧れたりもしましたが、逆に、ニューヨークのような大都会で恋人も無く一人で暮らすということになると、(日本以上に)とことん"孤独"に陥るのかも知れないなあとも思ったりして。
そうした大都会での孤独をより端的に描いた作品が、ダスティン・ホフマンがこの作品の前に出演した同年公開のジョン・シュレシンジャー(1926-2003/享年77)監督の「真夜中のカーボーイ」('69年)であり、ジョン・ヴォイトが、"いい男ぶり"で名を挙げようとテキサスからニューヨークに出てきて娼婦に金を巻き上げられてしまう青年ジョーを演じ、一方のダスティン・ホフマンは、スラム街に住む怪しいホームレスのリコ(一旦は、こちらもジョーから金を巻き上げる)役という、その前のダスティン・ホフマンの
主演作であり、彼自身の主演第1作だったマイク・ニコルズ監督の「卒業」('67年)の優等生役とはうって変った役柄を演じました(「卒業」で主人公が通うコロンビア大学もニューヨーク・マンハッタンにある)。
映画デビューした年に「卒業」でアカデミー主演男優賞ノミネートを受け(この作品、今観ると「サウンド・オブ・サイレンス」をはじめ「スカボロ・フェアー」「ミセス・ロビンソン」等々、サイモン&ガー
ファンクルのヒット曲のオン・パレードで、そちらの懐かしさの方が先に立つ)、主演第2作・第3作が「真夜中のカーボーイ」(これもアカデミー主演男優賞ノミネート)と「ジョンとメリー」であるというのもスゴイですが、ゴールデングローブ
賞新人賞を受賞した「卒業」の、その演技スタイルとは全く異なる演技をその後次々にみせているところがまたスゴイです(「卒業」で英国アカデミー賞新人賞を受賞し、「真夜中のカーボーイ」と「ジョンとメリー」で同賞主演男優賞を受賞している)。
3作品共にアメリカン・ニュー・シネマと呼ばれる作品ですが、その代表作として最も挙げられるのは「真夜中のカーボーイ」でしょう。ニューヨークを逃れ南国のフロリダへ旅立つ乗り合いバスの中でリコが息を引き取るという終わり方も、その系譜を強く打ち出しているように思われます。「真夜中のカーボーイ」も「ジョンとメ
リー」も傑作であり、ダスティン・ホフマンはこの主演第2作と第3作で演技派としての名声を確立してしまったわけですが、個人的には「ジョンとメリー」の方が、ラストの明るさもあってかしっくりきました。一方の「真夜中のカーボーイ」の方は、ジョーとリコの奇妙な友情関係にホモセクシュアルの臭いが感じられ、当時としてはやや引いた印象を個人的には抱きましたが、2人の関係を精神的なホモセクシュアルと見る見方は今や当たり前のものとなっており、その分だけ、今観ると逆に抵抗は感じられないかも(但し、原作者のジェームズ・レオ・ハーリヒー自身はゲイだったようだ)。![ミスター・グッドバーを探して [VHS].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%92%E6%8E%A2%E3%81%97%E3%81%A6%20%5BVHS%5D.jpg)
ダイアン・キートン演じる主人公の教師はセックスでしか自己の存在を確認できない女性で、原作は1973年にニューヨーク聾唖学校の28歳の女性教師がバーで知り合った男に殺害された「ロズアン・クイン殺人事件」という、日本における「東電OL殺人事件」(1997年)と同じように、当時のアメリカ国内で、殺人事件そのものよりも被害者の二面的なライフスタイルが話題となった事件を基にしており、当然のことながら結末は「ジョンとメリー」とは裏腹に暗いものでした。主人公の女教師は最後バーで拾った男(トム・ベレンジャー)に殺害されますが、その前に女教師に絡むチンピラ役を、当時全く無名のリチャード・ギアが演じています(殺害犯役のトム・ベレンジャーも当時未だマイナーだった)。
何れもニューヨークを舞台にそこに生きる人間の孤独を描いたものですが、ニューヨークを舞台に男女の出会いを描いた作品がその後は暗いものばかりなっているかと言えばそうでもなく、ロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープの演技派2人が共演した「恋におちて」('84年)や、メグ・ライアンとトム・ハンクスによるマンハッタンのアッパーウエストを舞台にしたラブコメディ「ユー・ガット・メール」('98年)など、明るいラブストーリーの系譜は生きています(「ユー・ガット・メール」は1940年に製作されたエルンスト・ルビッチ監督の「街角/桃色(ピンク)の店」のリメイク)。
「恋におちて」はグランド・セントラル駅の書店での出会いと通勤電車での再会、「ユー・ガット・メール」はインターネット上での出会いと、両作の間にも時の流れを感じますが、前者はクリスマス・プレゼントとして買った本を2人が取り違えてしまうという偶然に端を発し、後者は、メグ・ライアン演じる主人公は絵本書店主、トム・ハンクス演じる男は安売り書店チェーンの御曹司と、実は2人は商売敵だったという偶然のオマケ付き。そのことに起因するバッドエンドの原作を、ハッピーエンドに改変しています。
トム・ハンクスとメグ・ライアンは「めぐり逢えたら」('93年)の時と同じ顔合わせで、こちらもレオ・マッケリー監督、ケーリー・グラント、デボラ・カー主演の
(●今度は韓国系の男女を主人公にした、ニューヨークでの再会物語が作られた。海外移住のため離れ離れになった幼なじみの2人が、24年の時を経てニューヨークで再会する7日間を描いた、セリーヌ・ソン監督のラブストーリー作品「パスト ライブス/再会」('23年)である。
とソウルでそれぞれの人生を歩んでいた。2人はオンラインで再会を果たすが、互いを思い合っていながらも再びすれ違ってしまう。そして12年後の36歳、ノラは作家のアーサー(ジョン・マガロ)と結婚していた。ヘソンはそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れ、2人はやっと巡り合うのだが―。


公開:1969/12●配給:20世紀フォックス●最初に観た場所:三鷹東映(78-01-17)(評価:★★★★☆)●併映:「ひとりぼっちの青春」(シドニー・ポラック)/「草原の輝き」(エリア・カザン)三鷹東映 1977年9月3日、それまであった東映系封切館「三鷹東映」が3本立名画座として再スタート。1978年5月に「三鷹オスカー」に改称。1990(平成2)年12月30日閉館。
「真夜中のカーボーイ」●原題:MIDNIGHT COWBOY●制作年:1969年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・シュレシンジャー●製作:ジェローム・ヘルマン●脚本:ウォルド・ソルト●撮影:アダム・ホレンダー●音楽:ジョン・バリー(主題曲「真夜中のカーボーイ」ハーモニカ演奏:トゥーツ・シールマンス)●原作:ジェームズ・レオ・ハーリヒー「真夜中のカーボーイ」●時間:113分●出演:ジョン・ヴ
ファー・ソルト/ボブ・バラバン●日本公開:1969/10●配給:ユナイテッド・アーティスツ●最初に観た場所:早稲田松竹(78-05-20)(評価:★★★★)●併映:「俺たちに明日はない」(アーサー・ペン)
マン●脚本:バック・ヘンリー/カルダー・ウィリンガム●撮影:ロバート・サーティース●音楽:ポール・サイモン
ニエルズ/エリザベス・ウィルソン/バック・ヘンリー/エドラ・ゲイル/リチャード・ドレイファス●日本公開:1968/06●配給:ユナイテッド・アーティスツ●最初に観た場所:池袋・テアトルダイヤ(83-02-05)(評価:★★★★)●併映:「帰郷」(ハル・アシュビー)


キー●音楽:デイヴ・グルーシン●時間:106分●出演:ロバート・デ・ニーロ/メリル・ストリープ/ハーヴェイ・カイテル/ジェーン・カツマレク/ジョージ・マーティン/デイヴィッド・クレノン/ダイアン・ウィースト/ヴィクター・アルゴ●日本公開:1985/03●配給:ユニヴァーサル映画配給●最初に観た場所:テアトル池袋(86-10-12)(評価:★★★)●併映:「愛と哀しみの果て」(シドニー・ポラック)




「パスト ライブス/再会」●原題:PAST LIVES●制作年:2023年●制作国:アメリカ●監督・脚本:セリーン・ソン●製作:デイヴィッド・イノヨーサ/クリス
チン・ヴァション/パメラ・コフラー●撮影:シャビエル・キーシュナー●音楽:クリストファー・ベア/ダニエル・ローセン●時間:106分●出演:グレタ・リー/ユ・テオ/ジョン・マガロ/ユン・ジヘ/チェ・ウォニョン●日本公開:2024/04●配給:ハピネットファントム・スタジオ●最初に観た場所:Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下(24-05-06)((評価:★★☆)

1851年創業のソース工場プラマー社のピリ辛ソースは、英国内外で愛され、売れ続けていたが、いつしか経営難に陥り、フィールドウェイ社から買収話がもちかけられていた。今年の年次総会でプラマー社の一族が集まった時、工場見学に来ていた男が殺される―。
被害者の死体が全裸で高熱消毒のベルトコンベアから出てきたというのが凄いね。検視官ブラード博士が、今回の死体は"見もの"だと言ってるぐらいですから、確かに充分にユニーク且つグロテスク。バーナビーらの調べで、
殺害された男はフィールドウェイの社員デクスター・ロックウッドで、消毒される前にフォークリフトでソース瓶の壁に挟まれて圧死していたことが判り、彼は買収会社の社員であるだけでなく、祖父がプラマー社の創業メンバーの一人でありながら、解雇され自殺したという過去経緯もありました。
プラマー社の経営権は、母親と3人の兄弟・妹にあるものの、長男レイフは社長でありながらも会社経営よりバードウォッチングに執心しており、実質的にはその妻ヘレンが経営を仕切っていて、残るアンセルム、キャロラインの弟妹は遊び人みたいな感じで、工場を売却することで金を得たいと考えていますが、大株主の母親と長男がそれを拒んでいるという状況です。
一族の中でも最も意外な線が犯人だったというのはこのシリーズらしいですが、夫が妻を庇って全ての罪を被ろうとしていたのに、妻の方は夫が所有し大事にしている森を売って(そっか、自分の森だったのか)経営を立て直そうとしていて、その齟齬が哀しいなあ。こうなると、純粋な人ではあるが、社長なのにあまりにも経営から逃げ続けてきた夫も問題ありでしょう。
「バーナビー警部(第42話)/斜陽の喧騒」●原題:MIDSOMER MURDERS:SAUCE FOR THE GOOSE●制作年:2005年●制作国:イギリス●本国上映:2005/04/03●監督:レニー・ライ●製作:ブライアン・トゥルー=メイ●脚本:アンドリュー・ペイン●時間:102分●出演:ジョン・ネトルズ/ジョン・ホプキンズ/ジェーン・ワイマーク/バリー・ジャクソン/ジェームズ・フリート/ジェラルディン・アレクサンダー●日本放映:2010/04●放映局:AXNミステリー(評価:★★★☆)

息子ジョンが亡くなっても、科学者一家ランサム家の父親グレゴリーはあまり悲しんでいないところから、バーナビーが一家の家系に疑問を抱き始めるのは比較的分かり易い展開でした。科学者一家と対立する「千里眼」一家カーヴィ家(千里眼って遺伝するのか)のジミーの奥さんエマは、赤ん坊の千里眼に怯えている感じで、その赤ちゃんと奥さんを牧師が無理矢理赤ちゃんに洗礼を受けさせるために連れ去ります。
超能力ブームみたいなものがずっと続いている村というのも変わっているいるけれど、村人の中で超能力者を自認するのは胡散臭そうな人ばかり。そうした風潮を改め、村人を教化するという牧師の意気込みは一見真っ当なように見えましたが、な~んだ、自分の布教成績を上げて栄転を果たしたい(これ以上の僻地(?)へ飛ばされたくない)ということだったのかあ。そもそも、エマへの接し方が最初から怪しかった...(赤ん坊が洗礼を受ければ千里眼の呪縛から解き放たれると強引に説得したわけか)。
村の超能力ブームの背景には、マル(カーヴィ家の父親)が昔、ブレーキがかかってない状態で坂の上に停められた無人トラックが暴走して小学校に突っ込むのを予知して、大勢の生徒達を救ったという出来事があったためでした。そのマルは、今は世捨て人のような生活を送っています。
マルが、事件解決後、旅立つカーリーを心配そうに見送るバーナビー夫妻に対して「彼女は大丈夫」と言ったかと思うといつの間にか消えてしまったのはカッコ良過ぎ。でも、マルが大丈夫といったからにはカーリー大丈夫なのでしょう。前エピソード(「第39話/闇に下る鉄槌」)の、子供が犯人で、しかも、頭の弱い叔父を実行犯として操っていた...といった話などと比べて、後味は悪くありませんでした(と言うか、こっちの方が断然いい)。
「バーナビー警部(第40話)/千里眼の系譜」●原題:MIDSOMER MURDERS:SECOND SIGHT●制作年:2005年●制作国:イギリス●本国上映:2005/01/23●監督:リチャード・ホルトハウス●製作:ブライアン・トゥルー=メイ●脚本:トニー・エッチェルズ●時間:102分●出演:ジョン・ネトルズ/ジョン・ホプキンズ/ジェーン・ワイマーク/ローラ・ハワード/バリー・ジャクソン/オーウェン・ティール●日本放映:2010/03●放映局:AXNミステリー(評価:★★★★)