【2090】 ○ ピーター・ハモンド (原案:コリン・デクスター) 「主任警部モース(第13話)/ラドフォード家の遺産」 (90年/英) (2000/11 日本クラウン 【VHS】) ★★★★

「●TV-M (主任警部モース)」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【2131】 「主任警部モース(第14話)/死を呼ぶドライブ
「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ 「●て コリン・デクスター」の インデックッスへ

ラストまで飽きさせない展開である上に、諸々のもやもやが最後一度にスッキリする。

第13話/ラドフォード家の遺産 dvd.jpg 第13話/ラドフォード家の遺産 dvd.jpg 第13話/ラドフォード家の遺産.jpg
Inspector Morse: Sins of the Father [DVD] [Import]」(ラドフォード家の遺産)

第13話/ラドフォード家の遺産 01.jpg 150年もの歴史を誇るラドフォード醸造社の社長トレヴァー(アンディ・ブラッドフォード)が酒樽の中で死体で見つかる。ライバル企業からの買収問題に揺れるラドフォード家では、自立再建派の被害者と会社売却派の弟スティーブン(ポール・シェリー)との間に確執があり、更にスティーブンは、元秘書の妻を差し置いて、兄トレヴァーの妻ヘレン(キム・トンソン)と親密状態にある。兄の死によって新社長となり、会社を売却の方に舵を切るかに思えたスティーブンだったが、彼もまた殺害され、酒樽の中で見つかる。息子2人を亡くしたチャールズ(ライオネル・ジェフリーズ)とその妻イザベル(イザベル・ディーン)が、会社の自立再建か売却かを決める重役会議を召集する。一方、トレヴァーの秘書ゲイルは、鉄道オタクの薬剤師ブリースと交際しているが、モースが事件を探る中で、ブリースとその母親は、ラドフォード社の創業に纏わる秘密があるらしいことが判る。そして、その秘密を知っているらしい弁護士ネルソンも殺害されてしまう―。

第13話/ラドフォード家の遺産 vhs.jpg 英国ITVの「主任警部モース」シリーズの第13話で、1990年に本国で放映され、2000年に日本語字幕付きVHSが発売されています。原題は「父親たちの罪」の意。監督は、「シャーロック・ホームズの冒険(第25話)/四人の署名」 ('78年/英)などのピーター・ハモンド。

Inspector Morse - Sins of the Father [VHS] [Import]

 関係者が揃って口をつぐむため、モースは皆何か隠していると訝しみ、やや不機嫌そう。事件解決には相当に難儀しましたが、第1・第2の犯行(兄弟の殺害)と、第3の弁護士の殺害が密接に関係しているとの見当をつけながらも、両事件の犯人を切り離して考えることで犯人逮捕に至り、事件は一件落着したかに―しかし、モースは何となく腑に落ちない...。

 一旦は事件が解決したように見えた後で、部下の部長刑事(ここではルイス)の何気ない言葉から真相に気づくというのは、「バーナビー警部(第47話)/消えないセピア色」('06Ye Olde Fighting Cocks, St Albans, Herts, UK - The Sins of the Fathers (1990).jpg年/英)にもあります。ルイスの言葉遣いは庶民派で、弁護士の事務所にかかってきた犯人からと思われる電話の言葉遣いは上流階級のものだったということなのでしょう(その違いから閃いた)。鉄道オタクの薬剤師(それにしてはモデルのような美人の黒人の恋人がいる)の母親の言葉遣いは"庶民派"であり、よって犯人ではなく、実は母親は、第3の犯行が息子の仕業だと思って彼を庇ったのでした。

Ye Olde Fighting Cocks, St Albans, Herts, UK - The Sins of the Fathers (1990) in Movie Location

 トレヴァーが持っていた「会社の評価額が高すぎる」という殺害される直前に3年前の日付で書かれた手紙の意味がずっと謎であり(売却反対派の彼ならば、その逆のことを言うのが自然である)、観ていて理解できなかったのが、最後にその謎が氷解する展開も見事で、ラストまで飽きさせない展開である上に、諸々のもやもやが一度にスッキリするという、「IMDb」のレーティングが7.8と、前作「邪悪の蛇」の8.0に続いてある程度高いのも頷けるエピソードでした。
Lisa Harrow
Lisa Harrow.gif スティーブンの妻(リサ・ハーロウ)が、夫とは躰だけの関係で結婚したと割り切って、ラドフォード家の人々には愛想をつかしながらも、自宅室内プールでオペラ「椿姫」を聴きながらスイミングに勤しみ、ナイスボディだけは維持しているというのがなかなか良かったです(義姉に自分の夫を「貸し出してもいいのよ」と言う発想がスゴイね。体力ありそうだし、一時、彼女が真犯人ではないかと...)。まあ、彼女にはラドフォード家の遺産相続人である2人の子供もいるわけだし、伝統を重んじ(カネへの執着もさることながら、それ以上に)不名誉を嫌うラドフォード家の人々の価値観の方に尋常ならざるものInspector Morse Sins of the Fathers [Audiobook].jpgがあるわけで、彼女が愛想をつかすのも無理はないといったところでしょうか(但し、彼女にとっても財産は魅力的であるが故に、こうした割り切り方になるわけか。納得)。

「主任警部モース(第13話)/ラドフォード家の遺産」●原題:INSPECTOR MORSE:THE SINS OF THE FATHERS●制作年:1990年●制作国:イギリス●本国放映:1990/01/10 ●監督:ピーター・ハモンド●脚本:ジェレミー・バーナム●原案:コリン・デクスター●時間:104分●出演:ジョン・ソウ/ケヴィン・ウェイトリー/アンディ・ブラッドフォード/イザベル・ディーン/サイモン・スレイター/リサ・ハーロウ/カミラ・エインズリー/キム・トンソン●VHS発売:2000/11●発売元:日本クラウン(評価:★★★★)

Inspector Morse: Sins of the Fathers [Audiobook] [Audio Cassette] (1993)

Categories

Pages

Powered by Movable Type 6.1.1