「●よ 米澤 穂信」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 「●る モーリス・ルブラン」【1408】 モーリス・ルブラン 『怪盗紳士ルパン』
「●「週刊文春ミステリー ベスト10」(第1位)」の インデックッスへ 「●「このミステリーがすごい!」(第1位)」の インデックッスへ 「●「ミステリが読みたい!」(第1位)」の インデックッスへ
新シリーズは「意外性」という共通項で結ばれる作品群。やや作り過ぎ?

『可燃物』['23年]
2023(令和5)年「週刊文春ミステリーベスト10」(国内部門)第1位、2024 (令和6)年「このミステリーがすごい!」(別冊宝島)(国内編)第1位、2024年「ミステリが読みたい!」(早川書房)(国内部門)第1位の「3冠」達成作。因みに、2024年「本格ミステリ・ベスト10」(探偵小説研究会)は第2位、、2024年「本格ミステリ大賞」(本格ミステリ作家クラブ)も次点。群馬県警本部の刑事部捜査第一課の葛(かつら)警部が不可解な事件に挑む短編集で、新シリーズということになりますが、相変わらずベストテンに強い作家です。
「崖の下」... 群馬県のスキー場で5人連れのスキー客のうち、4人と連絡が取れないことが分かった。遭難者のうち男性2人が、スキー場のコースから約300メートル離れた崖の下で発見された。1人は意識不明の重体で救急搬送され、もう1人は頸動脈を刺されたことによる失血死であった。状況的に犯人は救急搬送された男性だと葛警部は考えたが、凶器が見当たらなかった―。
犯人はどうやって、殺害したのか? これ、みんな「つらら」が凶器だと思うのでは。その裏をかいている点は旨いけれど、本人も苦痛に喘いでいるはずで、そうした状況でそんな考え浮かぶなあ。ちょっと意外過ぎ。
「ねむけ」... 強盗傷害事件の容疑者がいるが、物証が無いため逮捕できない。その容疑者の運転するワゴン車が、深夜の交差点で軽自動車と衝突事故を起こす。過失運転で容疑者を検挙できないか。葛たちの聞き込みの結果、深夜の事故にも関わらず4件の目撃証言があった。葛は目撃者の4人には何らかの繋がりがあるはずだと考えるが―。
タイトルがネタばれ気味だが、それは読後に振り返って思うことであって、目撃者の4人には何らかの繋がりがあるはずだと考える、その繋がりがなんであるかという点で、読者の一般的な予想を裏切ってみせる。違った意味での共通点はあったわけだけど、偶然過ぎる気も。
「命の恩」... 榛名山で人間の右上腕部が発見され、警察による捜査が行われ、バラバラの遺体が次々に見つかった。遺体にはいくつかの不審な点があった。そして、なぜ家族連れで賑わう場所にバラバラにした遺体を捨てたのか―。
収録作品の中でも複雑な構造を持つ作品。 中盤で犯人が逮捕されるが、実はそこからが本番。ただし、フツーの人間が恩義のためにここまでやるだろうかという疑問も。行為自体は極めて猟奇的で、まともな神経では実行できないと思った。
「可燃物」... ゴミ集積所にあった可燃物のゴミが、連続で放火されるという事件が発生した。葛たちが捜査を始めると、容疑者が特定される前に犯行がピタリと止まった。犯行の動機は何か? なぜ放火は止まったのか? 犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが―。
犯人が放火をした目的が、途中から見当はついたものの、あまりに意外だった。生ゴミだから燃えにくい、風が弱いからと大火事にならないというのはあくまで蓋然性の話ではないか。
「本物か」... ファミリーレストランで立て籠もり事件が発生した。店内の状況が分からない中、葛は店から逃げてきた客やスタッフから話を聞くが、証言がどこか噛み合わない―。
なかなか面白いオチだった。葛がどの時点で"真相"に気づいたかというと、かなり早い時点から少なくとも何か変だと感じていたことは、読み直してみてわかるという、そんな楽しみ方もできる作品だった。
「意外性」という共通項で結ばれる作品群で、思い込みに囚われず真相に迫る葛警部にうってつけの事件群でもありました。ただ、「意外性」にこだわった分、作り過ぎている印象もあったでしょうか。


米カリフォルニア州の海沿いの町ケープ・ヘイヴン。自称無法者の少女ダッチェス・ラドリーは、30年前に自身の妹シシーを亡くした事故から立ち直れずにいる母親スターと、まだ幼い弟ロビンとともに、世の理不尽に抗いながら懸命に日々を送っていた。町の警察署長ウォーカー(ウォーク)は、件(くだん)の事故で親友のヴィンセント・キングが逮捕されるに至った証言をいまだに悔いており、過去に囚われたまま生きていた。彼らの町に刑期を終えたヴィンセントが帰って来る。彼の帰還は町の平穏を乱し、ダッチェスとウォークを巻き込んでいく。そして、ダッチェス姉弟の身に新たな悲劇が降りかかる―。





2021(令和3)年下半期・第166回「直木賞」、2021(令和3)年度・第12回「山田風太郎賞」受賞作。① 2021(令和3)年度「週刊文春ミステリー ベスト10(週刊文春2021年12月9日号)」(国内部門)第1位、② 2022(令和4)年「このミステリーがすごい!(宝島社)」(国内編)第1位、③「2022本格ミステリ・ベスト10(原書房)」国内ランキング第1位、④ 2022年「ミステリが読みたい!(ハヤカワミステリマガジン2022年1月号)」(国内編)第1位の、国内小説では初の「年末ミステリランキング4冠」達成。2022年・第19回「本屋大賞」第9位。そして先月['22年5月]、2022年・第22回「本格ミステリ大賞」も受賞(もろもろ併せて「9冠」になるとのこと(下記《読書MEMO》参照))。
作者のこれまでの警察物や海外ものとはがらっと変わった時代物で、しかも荒木村重という戦国武将の中では数奇な生涯を送った人物を取り上げたのも良かったと思います(NHKの大河ドラマでは、'14年の岡田准一主演の「軍師官兵衛」で、田中哲司の演じた荒木村重が印象深い)。
因みに、主要登場人物の一人、荒木村重の妻・千代保(荒木だし。村重の妻だが、正室か側室かは不明だそうだ)は「絶世の美女」と称されたそうですが(大河ドラマでは村重に隠れて囚われた官兵衛の世話をしていた)、有岡城落城後に捕えられるも城主の妻として潔くすべてを受け入れ、京の六条河原で一族の者とともに処刑されています。一方、荒木村重の方は、だし等一族が処刑されたことを知ると「信長に殺されず生き続けることで信長に勝つ」ことを誓って尼崎城から姿を消したとのこと。そうした村重の信長の逆を行くという思いは、この作品でも示唆されているように思われます。


「軍師官兵衛」●脚本:前川洋一●演出:田中健二ほか●プロデューサー:中村高志●時代考証:小和田哲男●音楽:菅野祐悟子●出演:岡田准一/(以下五十音順)東幹久/生田斗真/伊吹吾郎/伊武雅刀/宇梶剛士/内田有紀/江口洋介/大谷直子/大橋吾郎/忍成修吾/片岡鶴太郎/勝野洋/金子ノブアキ/上條恒彦/桐谷美玲/黒木瞳/近藤芳正/塩見三省/柴田恭兵/春風亭小朝/陣内孝則/高岡早紀/高橋一生/高畑充希/竹中直人/田中圭/田中哲司/谷原章介/塚本高史/鶴見辰吾/寺尾聰/永井大/中谷美紀/二階堂ふみ/濱田岳/速水もこみち/吹越満/別所哲也/堀内正美/眞島秀和/益岡徹/松坂桃李/的場浩司/村田雄浩/山路和弘/横内正/竜雷太(ナレーター)藤村志保 → 広瀬修子●放映:2014/01~12(全50回)●放送局:NHK







実直さが評判の離婚弁護士リチャード・プライスが殺害された。未開封のワインボトルで殴打され、砕けたボトルで喉を刺されていたのだが、これは裁判の相手方が彼に対して口走った脅し文句に似た方法だっ
た。プライスは一千万ポンドの財産をめぐる離婚訴訟を受け持っていて、その相手はアキラ・アンノという有名な小説家であり、彼女は多くの人がいるレストランで、プライスにワインのボトルでぶん殴ってやると脅しともとれる言葉を言い放っていたのだ。現場の壁には謎の数字"182"がペンキで乱暴に描かれていて、、被害者は殺される直前に奇妙な言葉を残していた。私ことアンソニー・ホロヴィッツは、元刑事の探偵ホーソーンによって、この奇妙な事件の捜査に引き摺り込まれていく―。
ミステリーベスト10」(週刊文春2020年12月10日号)第1位、「2021本格ミステリ・ベスト10」(原書房)第1位、「ミステリが読みたい!」(ハヤカワ・ミステリマガジン2021年1月号)第1位を獲得し、3年連続ミステリランキング全制覇、つまり3年連続での4冠を達成しています。


売れっ子作家のアンソニー・ホロヴィッツは、知り合いで元刑事のダニエル・ホーソーンから今捜査している事件をもとにホーソーン自身の本を書いてほしいと依頼される。事件とは、自分の葬儀を手配したダイアナ・クーパーが、その6時間後に殺害され、死の直前に「損傷の子に会った、怖い」というメールを息子のダミアンに送っていたというものだ。ダイアナは、かつて、道に飛び出してきた幼い少年ティモシーを事故で死なせ、その兄弟ジェレミーに重い障害を負わせていた。ダミアンは、10年前の交通事故のことを聞かれて激怒。ダイアナがハンドルを握らなくなったこと、住み慣れた家を売り転居したことなどを挙げ、まるで自分が被害者だという顔をして話す。ホーソーンは仕事でスティーヴン・スピルバーグと打ち合わせ中のアンソニーを強引に連れ出し、無理やりダイアナの葬儀に出席させる。その葬儀で、埋葬の際に柩を下ろした瞬間、ティモシーお気に入りの童謡が流れ出し、取り乱したダミアンは顔色を変え一人帰ってしまうが、やがて自宅で惨殺死体で発見される。アンソニーとホーソーンは、葬儀屋のロバート・コーンウォリスを訪ね、ティモシーの父親アランから葬儀の日程の確認の電話があったという情報を得る。勝手に執筆を始めたことを著作権エージェントのヒルダに責められたアンソニーだったが、秘密裡にアランを訪ねるために出かけてく―。
2017年8月刊行の原著タイトルは"The Word Is Murder"。作者の『

1955年7月、サマセット州にあるパイ屋敷の家政婦の葬儀が、しめやかに執りおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけて転落したのか、或いは? 彼女の死は、小さな村の人間関係に少しずつひびを入れていく。燃やされた肖像画、屋敷への空巣、謎の訪問者、そして第二の無惨な死が。病を得て、余命幾許もない名探偵アティカス・ピュントの推理は―(上巻・アラン・コンウェイ作『カササギ殺人事件』)。
(翌'19年に発表された「本屋大賞」の翻訳小説部門でも第1位。'19年4月発表の第10回「翻訳ミステリー大賞」も同読者賞と併せて受賞。これらを含めると「7冠」になるとのこと)。年末ミステリランキングはこれまで('20年まで)に『二流小説家』(デイヴィッド・ゴードン)と『


2015(平成27)年度「週刊文春ミステリー ベスト10」(国内部門)第1位。2016(平成28) 年「このミステリーがすごい!」(国内編)第1位、2016年「ミステリが読みたい!」(早川書房主催)第1位(因みに、作者は前作『満願』に続いて2年連続の「週刊文春ミステリー ベスト10」「このミステリーがすごい」「ミステリが読みたい!」3冠を達成したことになる)。2016(平成28)年・第13回「本屋大賞」第6位。


米澤 穂信 氏








2010 (平成22) 年度「週刊文春ミステリーベスト10」(海外部門)第1位作品であり、早川書房の「ミステリが読みたい! 2011年版」(海外編)でも第1位。

映画「ゴールデンスランバー」('10年/東宝)監督:中村義洋 




