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作りすぎていないのがいい。復刊版で登場人物の四半世紀後の「今」が書き下ろされた。

お引越し ひこ・田中 復刊.jpgお引越し ひこ・田中 旧.jpg お引越し ひこ・田中 文庫.jpg お引越し ひこ・田中 文庫新.jpg  心が叫びたがってるんだ。DVD_.jpg
お引越し (Best choice)』『お引越し (講談社文庫)』『《新装版》お引越し (講談社文庫)』「心が叫びたがってるんだ。 [DVD]
お引越し (福音館創作童話シリーズ)』(2013)(装画:奈良美智)

 1991(平成3)年・第1回「椋鳩十児童文学賞」受賞作。

 今日とうさんが引越しをした。かあさん泣いた。とうさんもお引越しの日泣いてた。大人が泣いたら、子どもは泣けない。3人だった家がこれから、かあさんと私、2人になる。2人が別れるには私のせいやないって、とうさんもかあさんも言うたけど、私のせいやないのに私に関係ある。あんまりや。両親の離婚を突然知った11歳のレンコ(漆場漣子)。彼女の悩みは深まっていく―。

お引越し-111.JPG 1990年刊行の第1回「椋鳩十児童文学賞」受賞作ですが、むしろ相米慎二(1948‐2001/享年53)監督の映画「お引越し」('93年)の原作として知られているかもしれません。「椋鳩十児童文学賞」は鹿児島市が市制100周年を記念して設けた児童文学の新人賞で、第2回が森絵都氏のデビュー作『リズム』に授与されたりしていますが、第24回の2014年をもって終了しています。

映画「お引越し」('93年)

お引越し dvd.jpg 映画「お引越し」と比べると、原作は映画のようにレンコが理科室でボヤを起こしたり、自分でチケットやホテルを予約して家族の琵琶湖行きを実行したりするといった事件や展開などはなく、ごく普通の小学生のごく普通の生活が、両親が離婚状態になって変わっていく、そうした日常の中で、11歳の少女の心模様がどう揺れ、母親や父親との関係性がどう変化し、少女自身がどう成長していったかを、少女の主観を通して生き生きと描いています(文章にリズムがある)。従って、映画も良かったですが、原作は作りすぎていない分、これはまた読者に訴えかけるものがあり、(「映画の力」に対する)「文学の力」というものを感じました。

お引越し (HDリマスター版) [DVD]

 1990年の刊行後、1995年に文庫化され、2013年の復刊に際し、2013年現在の「登場人物たちの今」を描いた挿話が書き下ろされ、巻末に付されています。その前に、1990年の「あと話」というのがあって、中学生になったレンコのボーイフレンドのミノル(大木実)、友達のサリー(橘理佐)の"今"が2人の言葉で語られていましたが、「忘れたころのあと話」と題された今回の書き下ろし部分では、おおよそ四半世紀後の36歳になった大木実の今、橘理佐の今、更にはレンコこと漆場漣子の今が、それぞれ自らの言葉で語られています。時間の流れを経て主人公たちが大人になっている現在の様が語られるというのはなかなか興味深く(月日の経つのは早いなあ)、作者のこの作品に対する愛着のようなものも感じました。

干刈 あがた 『ウホッホ探険隊』.jpg かつて、離婚に踏み切ろうとしている主人公の女性と、そのことを自分たちなりに受け止めようとしている小学生の長男・次男とのやりとりを通して、当時としては新しいタイプと言える家族の形を模索した、干刈あがた(1943‐1992/享年49)の『ウホッホ探険隊』('84年/福武書店)とい猛スピードで母は 単行本.jpgう芥川賞候補にもなった作品がありましたが、作品のモチーフとして両親が離婚している、或いは離婚状態にあるといった設定を持ってくることは、今や児童文学に限らず文学の世界においても珍しいことではなくなっているようです(長嶋有の芥川賞受賞作『猛スピードで母は』('02年/文藝春秋)もそうだった。やはり、子どもは父親ではなく母親と一緒に暮らすことになるのが多いようだが)。

 最近はアニメの世界でも、長井龍雪監督の「心が叫びたがってるんだ。」('15年)という作品がありました(この度「実写」映画化され、本日[2017年7月22日]公開)。主人公の少女が小学生の頃、憧れていた山の上のお城(ラブホテル)から、父親と見知らぬ女性(浮気相手)が車で出てくるところを目撃、「お城から出てくる王子様とお姫様」だと思い込み、それを母親に話したことにより両親の離婚を招いてしまい、家を去る父親から「全部お前のせいじゃないか」と言われ、ショックを受けた少女は口をきけなくなり、高校2年生になった今も、「話すと腹痛が起きる」という、トラウマを抱えているという設定でした。

心が叫びたがってるんだ。 .jpg 小学生の時のトラウマを高校生になっても引き摺っているわけですが(PTSDと言えるか。但し、離婚は主人公のせいとは言えず、父親が間違っているのは明白ではないか)、それにしても主人公がいろんな局面でそれを引っ張りすぎている印象もあり、これだと周りの方が疲れてしまうのではないかなあ。時にはちょっと突き放した方が、お互いにとって良かったりもするのではないでしょうか。ジュニア向けの作品ですが、個人的にはあまりいいとは思いませんでした(『お引越し』の11歳の小学生レンコの方がずっと逞しいと言えるか)。

お引越し  0s.jpgお引越し  5.png「お引越し」●制作年:1993年●監督:相米慎二●脚本:奥寺佐渡子/小此木聡●撮影:栗田豊通●音楽:三枝成彰●原作:ひこ・田中「お引越し」●時間:124分●出演:中井貴一/田畑智子/桜田淳子/須藤真里子/田中太郎/茂山逸平/森秀人/千原しのぶ/笑福亭鶴瓶/青木秋美(現:遠野なぎこ)●公開:1993/03●配給:ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画=アルゴプロジェクト●最初に観た場所(再見):北千住・シネマブルースタジオ(17-07-19)(評価:★★★★)
【2563】 相米 慎二 「お引越し」(1993/03 ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画=アルゴプロジェクト) ★★★★

心が叫びたがってるんだ。00.jpg心が叫びたがってるんだ。DVDS160_.jpg「心が叫びたがってるんだ。」●制作年:2015年●監督:長井龍雪●製作:斎藤俊輔●脚本:岡田麿里●撮影:森山博幸●音楽:ミト/横山克(主題歌:乃木坂46「今、話したい誰かがいる」)●原作:超平和バスターズ(長井龍雪・岡田麿里・田中将賀)●時間:119分●声の出演:水瀬いのり/内山昂輝/雨宮天/細谷佳正/藤原啓治/吉田羊●公開:2015/09●配給:アニプレックス●最初に観た場所:シネマサンシャイン池袋(15-09-21)(評価★★★)

【1990年単行本[福武書店]/1995年文庫化・2008年新装版[講談社文庫]/2013年単行本新装復刊版]】

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現在もこれからも続く問題を扱っている。アイヌ差別表現問題については文脈の中で検証すべき。

宿題ひきうけ株式会社 古田足日 旧版.jpg宿題ひきうけ株式会社 古田足日 新版.jpg 宿題ひきうけ株式会社 理論社名作の愛蔵版 旧版.jpg 宿題ひきうけ株式会社 理論社名作の愛蔵版 古田.jpg
『宿題ひきうけ株式会社』[旧版]/『新版 宿題ひきうけ株式会社』/『宿題ひきうけ株式会社』[フォア文庫旧版]/『新版 宿題ひきうけ株式会社 (フォア文庫)』[フォア文庫新版]

 サクラがおか団地の村山タケシ宅に集まった5年生のヨシヒロ、アキコ、ミツエ、サブローは、宿題を効率的に肩代わりして金を稼ぐ「宿題ひきうけ株式会社」を設立して数百円の収入を得るが、クラス内で起きた「地球儀事件」によって会社の存在を担任教師に知られ解散する―(第1章「宿題ひきうけ株式会社」)。6年生になったタケシたちは、新担任の三宮先生が語った「花忍者」という物語を契機に、宿題や入学試験の持つ「やばん」さ=「人間を大切にしない」ありように気づき、未来の試験と宿題がどうあるべきか考え始める―(第2章「むかしと今と未来」)。新聞部員として活動するタケシらは、「ひとりの成績がよくなればひとりの成績が悪くなる」構造を持ち子どもたちを競争させる学校教育のあり方が、人間を選抜し振り古田足日.jpg落としていくピラミッド型の会社組織につながっていることに気づく。子どもたちは日本国憲法の勉強会を始め、「試験・宿題なくそう組合」を立ち上げて活動し始める―(第3章「進め ぼくらの海賊旗」)。

 今年['14年]6月に亡くなった古田足日(ふるた・たるひ、1927-2014/享年86)の作品で、初出は雑誌「教育研究」。挿絵は連載時から久米宏一が担当し、連載終了後、理論社の小宮山量平に促され、一部手を加えて1966(昭和41)年2月単行本化され、'67(昭和42)年・第7回日本児童文学者協会賞を受賞し、作者の代表作となりました。

古田足日(ふるた・たるひ、1927-2014/享年86)

 この作品が愛蔵版や文庫版も出されて広く長く読まれた理由は、子どもたちが宿題代行会社を自分たちで作るという発想がユニークで面白く、また、そうした子供たちが活き活きと描かれているとともに、ストーリー展開が一定のリアリティを保っていることがあったのではないでしょうか。個人的には自分も、課題図書の中から本書を選んで読書感想文を書いた一人です。

 今読み直すと、高度動経済成長下で過熱化する受験競争の問題のみならず、同時代に起こった電電公社の人員削減問題を取り上げるなど、構造不況・リストラなど当時の社会・経済問題を色濃く反映していることが窺えます。子どもを中心とする事件とともに、アキコの兄が勤めるヤマト電機が行った強制的な人員の配置転換と、それに抵抗する労働組合の活動などが並行して描かれています(考えてみれば子どもたちも、第1章では「株式会社」を作ったのに、第3章では「労働組合」を作るという構図になっている)。第2章にある「やばん」さ=「人間を大切にしない」というテーマを通して、宿題・試験の持つ問題が、資本主義の競争社会といった社会構造が引き起こす問題とパラレルな関係にあることを伝えているように思います。子ども時代に読んだ時は、そこまでは意識しなかったように思いますが、時代を反映しながらも、ある意味、現在もこれからも続いていくのであろう問題を扱っているとも言えます。

 この物語は'96年には後半を大幅に改稿した新版が刊行されていて、これは旧版に引用された宇野浩二「春をつげる鳥」(1926年発表)と関連して、アイヌ民族差別に該当する記述があったことが原因となっていますが、その経緯は新版のあとがきに詳しく書かれています(旧版にあとがきは無く、一方で新版のあとがきは殆どこの問題のことで費やされている)。それによると、第2章で引用された宇野浩二の「春をつげる鳥」自体にアイヌ民族差別にあたる記述があったということで、新版では物語を差し替えるとともに、「やばん」ということについてもっと掘り下げて書いています。

 結果的に新版の方はややクドくなった印象もありますが、旧版に民族差別にあたる表現があったのだから仕方がないのかも(直接的に差別していると言うより、差別的イメージを助長する恐れがあるといった印象なのだが)。そもそも、30年以上も経ってどうしてその問題が指摘されたのかというのはありますが、作者が「春をつげる鳥」がアイヌ民族を差別した作品であることを全面的に認め、更に、自身の引用の仕方や独自の表現にまで率直に、且つ徹底的に自己批判しているので、やはり新版を「決定版」とすべきなのでしょう(北海道にいないはずのイノシシを持ち出したのは差別というより勉強不足だったという気もするが、こうしたこともアイヌ民族の自然観に対する自らの無知として総括している)。

 「春をつげる鳥」がアイヌ側からみて差別的作品であることへの気づきが遅れた原因としては、その指摘は作者自身が'95年に北海道ウタリ協会の人から電話を受けたことに端を発するのですが、その時点で作者が調べてみても、(作者自身が予想した通り)そうした観点での指摘はどの文学事典や解説にも無かったということによるかと思います。作者は、こうした見方は、宇野浩二研究を深めるためにも必要な観点であるとしていましたが、版元は、旧版の回収を書店や図書館に求めたそうです。但し、図書館などでは旧版・新版ともに置いているところが多いようです。旧版が無いと、どこが「差別」なのか分からないよね。そこだけ捉えるのではなく、文脈の中で検証することが大事なのではないでしょうか。

【1966年単行本[理論社(絵:久米宏一)]/1977年文庫化[講談社文庫]/1979年再文庫化[フォア文庫(画:久米宏一)]/1996年9月新版[理論社『新版 宿題ひきうけ株式会社』(絵:久米宏一)]/1996年11月文庫化[フォア文庫『新版 宿題ひきうけ株式会社』(画:久米宏一)]/2001年[理論社(新・名作の愛蔵版)『新版 宿題ひきうけ株式会社』(イラスト:長野ヒデ子)]/2004年再文庫化[フォア文庫愛蔵版『新版 宿題ひきうけ株式会社』(画:久米宏一)]】

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「懐かしい未来図」。実際にはまだ未来図のままだが、少しずつ実現出来ている部分も。

空中都市008青い鳥文庫.jpg空中都市008 アオゾラ市のものがたり 1.jpg空中都市008 アオゾラ市のものがたり 2.jpg  『日本沈没 上下巻セット』.jpg
空中都市008―アオゾラ市のものがたり』(1969/02 講談社)[装丁・挿絵:和田 誠]『日本沈没 上下巻セット (カッパノベルス)
空中都市008 アオゾラ市のものがたり (講談社青い鳥文庫)
空中都市008―アオゾラ市のものがたり 和田誠.jpg 空中都市008に引っ越してきた、ホシオくんとツキコちゃん。ここはいままで住んでいた街とはいろんなことがちがうみたい。アンドロイドのメイドさんがいたり、ふしぎなものがいっぱい......じつはこのお話、1968年に作者が想像した未来社会、21世紀の物語なのです。さあ、今と同じようで少しちがう、もうひとつの21世紀へ出かけてみましょう!(「青い鳥文庫」より)。

 1968(昭和43)年に「月刊PTA」(産経新聞発行)に「あおぞら市のものがたり」というタイトルで連載され、1969年に単行本刊行された際に「空中都市008」がタイトルとなった小松左京(1931-2011)のSF児童文学で、2003年版「青い鳥文庫」の作者まえがきで、2002年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一氏が小学田中 耕一 記者会見2.jpg空中都市008―アオゾラ市のものがたり.jpg生の頃この作品の愛読者だったことを知って感激したとあります(オリジナルは入手困難だが、「青い鳥文庫」版も和田誠氏の挿画を完全収録しているのがありがたい)。

 作品の中で主人公たちが月に行く場面がありますが、この作品が書かれた当時は米ソが宇宙進出競争をしていて、この作品の発表の翌年1969(昭和44)年にアメリカがアポロ11号で人類を月に送り込んでいます。この作品では月には既に都市があって、月で生まれ育った「月っ子」たちがいることになっています。

スケッチブック.jpg このように、この作品に出てくる様々な未来像は、21世紀になっている現在からみてもまだ先の「未来像」のままであるものが多くありますが、方向性として全然違っているというものは少ないように思われ、そこはさすが科学情報に精通していた作者ならではと思われます。子どもの頃に思い描いていたという意味で、「懐かしい未来図」という言葉を思い出してしまいますが、あの時の"未来図"が本当ならば今頃スゴイことになっている? (人々はエア・カーや動く歩道で移動しているとか...)。実際にはそれほど変っていないかなあ。但し、少しずつ実現出来ている部分も一部あるなあと思いました。

スケッチブック


「ぼくら」1969年7月号付録.jpg 例えば、ホシオたちの家族が移り住んだ空中都市は、「50かいだてアパートの36かい」ということになっていますが、今ならそういうところに住んでいる人はいるなあと(但し、ホシオたちの場合は「可動キャビン」方式で家ごと引っ越してきたのだが)。

 「ファクシミリ・ニュース」というのは今で言えばインターネットによるニュース配信であり、1000人乗れるという「ジャンボ・ジェット」もそれに近いところまでいっているし、「エアクッション・カー」という車輪を使わない鉄道は、今で言うリニアモーター・カーでしょうか。

「ぼくら」1969年7月号付録

 道路の「標識システム」は今で言うカーナビゲーションに近いかも。「電子脳」(今で言う「コンピュータ」)が故障して、都市の交通システムが麻痺してしまうという話は、例えばシステムの不具合で金融機関のATMが仕えなくなったといった近年の出来事を思い出させ、クルマが使えないので人々が皆、久しぶりに自転車に乗ってみたらこれが意外と良かったというのも、エコ・ブームや健康ブームを想起させます。

 この物語はNHKで連続人形劇としてテレビドラマ化され、月曜から金曜の18:05-18:20の放送時間帯で1年間にわたり空中都市008 グラフNHK.jpg放映されました(「空中都市008」1969年4月-1970年4月、全230回)。音楽は富田勲(1932-2016)が担当しています。ひ番組の絵葉書.jpgと続きの話は原則として1週間単位で終わったため、原作のエピソード以外に多数の書き下ろしがあります。「チロリン村とくるみの木」(1956年-1964年、全812回)「ひょっこりひょうたん島」(1964年-1969年、全1,224回)に続くNHKの平日夕方の人形劇シリーズ第3弾でしたが、技術的にはよく出来ていたように思います。ただ、人形やセットに費用がかかり過ぎたのと、指向としては「サンダーバード」(1965年-1966年)などを目指したため人形がリアルになり過ぎて「ひょっこりひょうたん島」のキャラのような可愛さが足りず、視聴率が伸び悩んだということもあって1年足らず(全230回)で放送終了となりました(次番組「ネコジャラ市の11人」(1970年-1973年、全668回)と比べても放送回数はかなり少なかったことになる)。
番組の絵葉書

地球になった男 (新潮文庫 こ 8-1)』『日本沈没(上・下)(カッパ・ノベルズ)
『地球になった男.jpg『日本沈没』.jpg 原作者の小松左京は「空中都市008」放送終了時の頃は、日本万国博覧会のサブ・テーマ委員、テーマ館サブ・プロデューサー(チーフ・プロデューサーは岡本太小松 左京(0.jpg郎)として1970年の日本万国博覧会開催の準備に追われており、放送終了を残念がる暇も無かったのではないでしょうか。『地球になった男』('71年/新潮文庫)などの短編集の刊行もあり、'73年には『日本沈没』(カッパ・ノベルズ)で日本推理作家協会賞を受賞するなどした一方で、テレビなどにもよく出ていましたが、この人、この頃が一番太っていて、すごくパワフルな印象がありました。

「日本沈没」1973.jpg「日本沈没」101噴火.jpg 特に、'73年3月発売の『日本沈没』は驚くほどの売れ行きを示し、その年の年末までに上下巻累計で340万部が刊行され作者最大のベストセラーになり、社会現象化して映画にもなりました。映画「日本沈没」('73年/東宝)は、その年の12月に公開されており、黒澤明作品でチーフ助監督を務めた経験がある森谷司郎が監督、橋本忍が脚本「日本沈没」小林火.jpgで、製作費5億円と当時としては大作でありながら製作期間は僅か4か月と短かったですが、約880万人の観客を動員し、16億4,000万円という'74年邦画配給収入第1位となるヒットを記録しました。この映画、原作よ「日本沈没」1藤岡・いしだ.jpgりメロドラマっ「日本沈没」1973 小松.jpgぽいという評価と、スペクタクルに重点が置かれていて良いという評価に分かれるようですが、何と比べるかでしょう(映画では小野「日本沈没」1973竹内.jpg寺(藤岡弘)とヒロインの玲子(いしだあゆみ)がやけに簡単にくっついてしまう印象を受けた)。小松左京自身も小野寺の海底開発興業の同僚役でカメオ出演していたほか、原作『日本沈没』執筆時のブレーンとなった地球物理学者の竹内均(1910-2004)が、プレートテクトニクスを説明する科学者・竹内教授というそのままの設定でゲスト出演していました(後に「ニュートン」の記事の中で「迫真の演技である、として皆にからかわれた」と書いている)。

「日本沈没」18.jpg

iPad 版「空中都市008」音楽(唄:初音ミクvs中山千夏)/中山千夏(1970)/初音ミク(2010)       
空中都市008 アプリ版 .jpg中山千夏(1970).jpg初音ミク.jpg 「空中都市008」は2010年にiPad専用のオーディオビジュアルノベルとしてApp Storeで配信され、作中の登場人物の台詞が声優によって読み上げられるほか、物語の進行に合わせたBGMが再生され、かつてのNHKの放送で番組主題歌を歌った中山千夏が初音ミクとコ1小松左京.jpgラボして誕生したテーマソングや、小松左京のボイスコメントなども収録されているそうですが、「まさか本がこんなことになっちまうとは、私自身がSF作家のくせに思いもよりませんでした」とのコメントを寄せた小松左京は、その翌年2011年の7月に肺炎の完全読本 さよなら小松左京.jpg小松左京マガジン 第46巻_.jpg小松左京マガジン47.pngため80歳で亡くなっています(健康時にはタバコを1日3箱吸うヘビースモーカーだった)。「小松左京マガジン」が没後もしばらく刊行され続けていたことなどからみても、その作品には今も根強いファンがいるものと思われます。
完全読本 さよなら小松左京』['11年/徳間書店]/「小松左京マガジン 第46巻」(2012.09)/「小松左京マガジン〈第47巻〉」(2012.12)

宇宙人ピピ.jpg宇宙人ピピ シングル .jpg 因みに、小松左京原作で「空中都市008」より以前にテレビ番組になったものには「宇宙人ピピ」(1965年4月-1966年3月、全52回)があります。宇宙人"ピピ"と彼を取り巻く地球人との騒動を描いたコメディドラマで、ピピはアニメーション、円盤は写真で描かれていて、日本で最初の実写とアニメの画面合成によるテレビドラマシリーズです(小松左京が大阪から原稿を送り週1回の放送を1人でこなすのは困難だったことから、脚本は平井和正との合作となっている)。"ピピ"の声は中村メイコでした。NHKのアーカイブで観たら、形式はコメディなのですが、中身は子どもの塾の問題とか扱っていて、結構シリアスだった?(因みに、現存するのは第37話(1965年12月23日放送)と第38話(1965年12月30日放送)の2本のみ)

銀河少年隊 title.jpg銀河少年隊01.jpg 「空中都市008」は人形美術及び操作を糸あやつり人形の竹田人形座が担当しましたが、同じ竹田人形座による人形美術及び操作の担当でこれに先行するものにとして、NHKの日曜の17:45-18:00の15分の時間帯(後に木曜の18:00-18:25の25分の時間帯に変更)で、「銀河少年隊」(1963年4月-1965年4月、全92回)がありました(さらにその前に「宇宙船シリカ」(1960年9月-1962年3月、全227回)というのもあった)。「銀河少年隊」は人形芝居と銀河少年隊 sono.jpg手塚治虫2.jpgアニメーションを合成したもので、原作は手塚治虫(因みに「宇宙船シリカ」の原作は星新一)。太陽のエネルギーが急速に衰え、地球を含めた太陽系の惑星は極寒に襲われ、数年後には太陽系の全生物が死滅してしまうという危機を救うために、花島六平少年率いる銀河少年隊が活躍するというもの。アニメ部分は虫プロの作品を多く手がけてきた若林一郎が脚色をして、スケールの大きい物語となって④冨田 勲.jpgおり、金星人の美少女アーリアも登場、宇宙服や宇宙船の操縦席など小道具もよくできていたように思いますが、竹田喜之助(1923-1979)って相当な"凝り性"だった? 音楽は「空中都市008」と同じく「宇宙人ピピ」「銀河少年隊」も富田勲(1932-2016)が担当しています(「宇宙船シリカ」も富田勲)。


空中都市008(中山千夏).jpg「空中都市008」●脚本:高垣葵●音楽:冨田勲(主題歌:中山千夏)●人形美術及び操作:竹田人形座●原作:小松左京●出演(声):里見京子/若空中都市008 [DVD].jpg山弦蔵/太田淑子/平井道子/山崎唯/藤村有弘/松島トモ子/熊倉一雄/古今亭志ん朝/松島みのり/大山のぶ代●放映:1969/04~1970/04(全230回)●放送局:NHK NHK人形劇クロニクルシリーズVol.3 竹田人形座の世界~空中都市008~ [DVD]

 空中都市0083.jpg


「日本沈没」19732.jpg「日本沈没」s48.jpg「日本沈没」●制作年:1973年●監督:森谷司郎●脚本:橋本忍●撮影:村井博/木村大作●音楽:佐藤勝●原作:小松左京●時間:140分●出演:「日本沈没」11.png小林桂樹丹波哲郎藤岡弘いしだあゆみ/滝田裕介/中丸忠雄/加藤和夫/村井国夫/夏八木勲「日本沈没」丹波0.jpg「日本沈没」夏八木.jpg高橋昌也/地井武男/鈴木瑞穂/神山繁/中条静夫/名古屋章/中村伸郎/二谷英明/島田正吾/(以下クレジットなし):小松左京/竹内均/田中友幸/中島春雄●公開:1973/12●配給:東宝(評価:★★★☆)

銀河少年隊 02.jpg「銀河少年隊」●脚本:若林一郎●音楽:冨田勲●人形製作:竹田喜之助(竹田人形座)●アニメーション:虫プロダクション●原作:手塚治虫●出演(声):安藤哲(ロップ[第1部])/白坂道子(ロップ[第2部以降])/若山弦蔵(花島博士[第1部])/天地総子(ポイポイ[第1部])/永井一郎(ダー[第1部]、テックス刑事[第2部])/安田まり子/相模武/太田淑子/高見理沙/木下喜久子/滝口順平/牟田悌三(語り[第1部])●放映:1963/04~1965/01(全92回)●放送局:NHK

宇宙人ピピ   .jpg宇宙人ピピ 00.jpg「宇宙人ピピ」●脚本:小松左京/平井和正●音楽:冨田勲(主題歌:中村メイコ)●人形製作:竹田人形座●原作:小松左京●出演:中村メイコ(声)/安中滋/北条文栄/福山きよ子/梶哲也/安田洋子/小林淳一/大山尚雄/黒木憲三/酒井久美子/峰恵研/蔭山昌夫/加藤順一/乾進/中島浩二/若柳東穂/大山のぶ代/小泉博●放映:1965/04~1966/03(全52回)●放送局:NHK

宇宙人ピピ 主題歌.png

【1969年単行本[講談社]/1981年文庫化[角川文庫]/2003年再文庫化[講談社・青い鳥文庫]】
  

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ゲームのノベライゼーションみたいで面白かった。巻末の「白蛇伝」の変遷史が参考になる。

渡辺 仙州/石原 依門 『白蛇伝』.jpg白蛇伝 渡辺2.jpg 白蛇伝 渡辺.jpg
白蛇伝』(2005/03 偕成社)

 白娘(パイニャン)こと白素貞は、千年前に白蛇であったころ親切にされた若い薬売りに恩返ししたいとの一心で、かつて白娘と戦って完敗し、以降は白娘に尽くすようなった小青(シャオチン)を引き連れ、仙界から人間界に舞い戻る。そして、恩人の子孫で薬売りの許仙(きょせん)に巡り会うが、白娘の周りを、妖魔打倒を使命とする僧・法海(ほうかい)や、仙界及び人間界に対し反乱を企む妖魔・胡媚娘(フーメイニャン)一派らがつけ狙う。そうした中、白娘と許仙の恋の行方は―。

白蛇伝 movie.jpg 2005(平成17)年3月の偕成社刊。「小学上級から一般向け」とのことです辺 仙州/石原 依門 『白蛇伝』_4.jpgが、これがなかなか面白かったです。映画「白蛇伝」('58年/東映)と比べると、登場人物の数が圧倒的に多く、映画ではそのほとんどが割愛されていたことになります。
「白蛇伝」('58年/東映)

 巻末に「人物事典」が付されていますが、主要登場人物だけで50人ぐらいいて(その半分近くは妖魔なのだが)、ゲーム絵師の石原依門氏がデザインしたそれぞれのキャラクターのイラストがページごとに挿入されています。話そのものが、まるでRPGのようで(戦闘場面はバトルゲームのよう)、あたかもゲームのノベライゼーションを読んでいるようであり、そうしたこともあってか、ストーリーとそれらのイラストもよくマッチしているように思えました。

 「白蛇伝」は中国古代の四大民間伝説の一つとされ、またその中で「牛郎織女」(七夕伝説)と並んで最もよく知られているものですが、巻末の解説で、「白蛇伝」という話の成り立ちが詳しく解説されており、参考になりました。

 「白蛇伝」の書物としての起源は、唐代の伝奇小説「李黄」(現存する最古のものは『太平広記』(北宋)の中にある)、『清平山堂話本』(明代)にある「西湖三塔記」、明末に馮夢竜(ふうぼうりゅう)が編纂した『警世通言』の中にある「白娘子永鎮雷峰塔」などだそうです。

 この3つはどれも、白蛇の精が主人公の青年に害をなす妖魔として描かれており、「李黄」では、青年は白蛇の妖魔に誘惑された末に殺されてしまうとのこと、「西湖三塔記」では道士が白蛇を捕えて塔に閉じ込めたために青年は死なずにすみ、「白娘子永鎮雷峰塔」では僧・法海が白娘を雷峰塔に封印して終わるとのことです。

 これらをもとに民間で口承されていく中で、白娘が青年に恩返しするという話に変遷していったとのこと。僧・法海は、「白娘子永鎮雷峰塔」では、許宣(許仙)の命を救った正義の味方だったのが、民間で伝承されるうちに、「白娘と許仙の恋を邪魔するおせっかい坊主」にされてしまったとのことです。

 「正義の白蛇」となった民間伝承の「白蛇伝」は、劇の台本としては清代の黄図珌(こうとひつ)による『雷峰塔伝奇』(1738年)、方成培(ほうせいばい)による『雷峰塔伝奇』(1771年)、小説としては、陳遇乾(ちんぐうけん)の『義妖伝』(1809年)があり、これらが現在、児童文学も含め、中国で売られている「白蛇伝」の元になっているということです。

 ですから、中国人の持つ「白蛇伝」のイメージには「李黄」や「西湖三塔記」は含まれず、「白娘、小青、許仙、法海の4人が出てくる物語」としてあるとのこと、白蛇が薬売りに助けられ、恩返しをしに人の姿となって人間界に舞い戻るが、法海によって雷峰塔に閉じ込められるという基本パターンは共通しているものの、その中でさらに無数のパターンがあるようです。

 これまで何千年も生きてきた白蛇の精が、永遠の生命とすべての魔力を放棄し、愛する人と共に生きる数十年の生を選択するという本書のエンディングは、やはりいいなあと思わせるものがあります(白娘って、そうした一途に愛を貫く"ひたむきさ"の一方で、意外と"天然ボケ"なところも併せ持っていて面白い。まあ、"天然ボケ"は、お嬢様キャラとしての編者の脚色だとは思うが)。

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数学関係者の働きかけにより復刊された児童文学の名著。物語としても面白い。

算法少女 文庫.jpg算法少女 (ちくま学芸文庫)』['06年] 算法少女 1973.jpg算法少女 (1973年)』  
算法少女 元.jpg
 1973(昭和48)年10月刊行、1974(昭和49)年度・第21回「産経児童出版文化賞」受賞作。

 父・千葉桃三から算法の手ほどきを受けていた町娘のあきは、寺に算額を奉納しようとしていた旗本子弟・水野三之助一団に出遭うが、掲額された算額の誤りに気づいてついそれを指摘してしまい、関流宗統・藤田貞資の直弟子であることを日頃から鼻にかけていた三之助の怒りを買う。その場は穏便に引き下がろうとしたあきだったが、執拗な三之助の追及に対し逆に三之助を論破してしまい、そのことが評判となって算法家としても知られる久留米藩主・有馬頼徸から姫君の教育係として召抱えたいとの申し入れがあり、それを阻止しようとする藤田貞資の画策により、関流を学ぶもう1人の"算法少女"と算術対決をさせられることになる―。

 児童文学者である著者は、子供の頃に父親から江戸時代に女性が書いた和算書があるという話を聞いて、国会図書館でその『算法少女』(1775年刊行)という古書と出会ってこの物語の想を得たということですが、単に和算に優れた少女の話というだけでなく、史実を織り交ぜながらも、藩政に絡む色々な謎めいた人物が登場して、物語としても面白かったです(小学校高学年以上向けと思われるが、大人でも充分楽しめる)。

 あきと彼女に和算を教わる子供達を通して、江戸時代の庶民の生活の中での算術の需要というのもよく伝わってきたし、あきの父で学者肌の貧乏医者・千葉桃三と、世事に長けた俳人であきの才能を世に知らしめようと尽力する谷素外の取り合わせも面白く、最後に谷素外の意外な正体(?)も明かされる...。
 もともと、古書『算法少女』の著者「壺中隠者」と「平氏(章子の印)」とは誰なのか長らく不明だったようですが(あとがきは谷素外)、研究者により、「壺中隠者」とは医師・千葉桃三だということが判明したとのこと(その娘が章子)。

算法少女.jpg 「ちくま学芸文庫版あとがき」によれば、本書の出版から十数年を経て増刷が打ち切られた時、「本も商品ですから」と著者は増刷を諦めてかけていたのが「復刊ドットコム」に登録され、その後も多くの数学関係者の働きかけがあって30年ぶりの復刊に至ったとのこと。
 本書の中には代数問題だけでなく幾何問題も出てきて、「学芸文庫」に入っているのは、「児童文学」と言うより「数学(科学)」という分類になっているためのようですが、箕田源二郎の数多い挿画までも余さず復刻されていて、実際にどういう道具を使ってそうした問題を解くのかなどが分かるのが良かったです。

 【2006年文庫化[ちくま学芸文庫]】

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森田作品は出来にムラあり(?)。80年代前半の松田優作と秋吉久美子がいい。

家族ゲーム(ポスター).jpg 家族ゲーム.jpg   森田 芳光 「それから」.jpg  の・ようなもの.jpg   ウィークエンド・シャッフル.png
「家族ゲーム」チラシ/「家族ゲーム [DVD]」「それから [DVD]」 「の・ようなもの [DVD]」「映画パンフレット 「ウィークエンド・シャッフル」監督 中村幻児 出演 秋吉久美子/泉しげる/風間舞子/池波志乃/秋川リサ/渡辺えり子

家族ゲーム1.jpg「家族ゲーム」2.jpg「家族ゲーム」1.jpg 森田芳光(1950-2011)監督・脚本の「家族ゲーム」('83年/ATG)は、家族が食卓に横一列に並んで食事するシーンなど凝ったカットの多い作品でしたが、個人的には、川沿いの団地へ松田優作(1949‐1989/享年40)が演じる家庭教師が小舟に乗って赴く冒頭シーンと、教え子が無事に志望校に合格した後の家族全員の食事の席で、その家庭教師が食卓をぐちゃぐちゃにしてしまうラストが印象的でした。
Kazoku gêmu (1983)
Kazoku gêmu (1983) .jpg 冒頭シーンはアクション映画のパロディ(?)。ラストはかなり唐突な気もしましたが、おそらく家族が一緒に後かたずけをすることを余儀なくされ、その結果初めて家族が一体となる―という、ある意味、カタストロフィではなくハッピーエンドと見るべきなのかもしれません。全体を通して、松田優作のぼそぼそっと小声で早口で話す演技は、映画の家庭教師の特異なキャラクターとよくマッチしていたように思います(第57回「キネマ旬報ベスト・テン」第1位作。第5回「ヨコハマ映画祭」作品賞受賞作。森田芳光監督は、その演出・脚色に対して「芸術選奨新人賞」を受賞)。

探偵物語 松田優作.jpg 松田優作は、翻訳家でミステリ評論家でありハードボイルド作家でもある小鷹信光(1936-2015)の原案によるNTV系ドラマ「探偵物語」や、作家赤川次郎薬師丸ひろ子のために書き下ろした小説探偵物語 パンフレット.jpg探偵物語.jpgが原作である根岸吉太郎監督の映画「探偵物語」('83年/角川春樹事務所)で見せたような、コミカルな面のある軽めのキャラクターがハマっていたように思い、また彼自身、自然体でそうした役柄を演じているように感じました。
 
 
 映画「探偵物語」('83年)予告/音楽:加藤和彦(主題歌:薬師丸ひろ子)
探偵物語 松田優作 薬師丸ひろ子11.pngtantei-thumb-240x131-8361.jpg 「探偵物語」はTV版に比べて映画の方のストーリーはイマイチで(TV版「探偵物語」とは全く別物の話。先にも述べたように、テレビは小鷹信光が原案者、映画は赤川次郎原作なので違って当然だが)、恋愛ドラマ的要素が入る分、薬師丸ひろ子の演技力不足が痛く、澤井信一郎監督の 「Wの悲劇」('84年/角川春樹事務所)より前の彼女の演技は素人並Wの悲劇.jpgみではなかったでしょうか。「セーラー服と機関銃」('82年/角川春樹事務所)では相米慎二(1948-2001)監督の魔術的演出に救われていましたが、「探偵物語」では、岸田今日子のような演技達者を起用して脇を固めようとしてはいるものの、そんな演技未熟の薬師丸ひろ子を相手に演技している松田優作の苦闘ぶりが目につきました。玉川大学文学部就学のため一時芸能活動を休止していた薬師丸ひろ子の復帰第一弾を角川事務所が企画した作品であり、あくまでも薬師丸ひろ子が主人公の探偵(ごっこ)物語であって、脇だけ固めても主役があまりに未熟では...。それでも映画はヒットし、ラストの新東京国際空港での松田優作と薬師丸ひろ子の"身長差30センチ"キスシーンは当時話題となったのは、彼女がアイドルとしていかに人気があったかということでしょう。松田優作に関して言えば、TV版の方がハードボイルド・ヒーローでありながらずっこけたような面があるという点で、より"優作らしい"演技だったと言えるかも。

Wの悲劇 薬師丸 三田.jpg 薬師丸ひろ子が舞台女優を目指す劇団員を演じた「Wの悲劇」は、夏樹静子(1938- 2016)の原作は劇中劇として用いられているだけで、ストーリーは別物です("原作者"の夏樹静子氏は、劇場にこの作品を観に行って初めてそのことを知り、唖然としたという)。劇団の演出家蜷川幸雄.jpg役で蜷川幸雄(1935-2016)が出演し、実際に劇中劇の演出も担当しています。三田佳子がベテランらしい渋い演技を見せ(日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞)、薬師丸ひろ子もそれに触発されwの悲劇 高木美保.jpg演技開眼したのか、そう悪くない演技でした(高木美保の映画デビュー作でもあり、主人公を陥れようとする敵役だった)。夏樹静子の原作は、その後、テレビドラマとしてそれそれアレンジされながら繰り返し作られることとなります('83年TBS(秋吉久美子主演)、'86年フジテレビ(高峰三枝子主演)、'01年テレビ東京(名取裕子主演)、'10年TBS(菅野美穂主演)、'12年テレビ朝日(武井咲主演))。

時をかける少女 1983 併映.jpg 因みに、「探偵物語」と「Wの悲劇」の併映作品はそれぞれ「時をかける少女」('83年/角川春樹事務時をかける少女 1983 2.jpg所)、「天国にいちばん近い島」('84年/角川春樹事務所)でした。共に大林宣彦監督、原田知世主演で、「時をかける少女」は、原作は筒井康隆が学習研究社の「中三コース」1965(昭和40)年11月号にて連載開始し、「高一コース」1966(昭和41)年5月号まで全7回掲載したものであり、原田知世の映画デビュー作でした。 筒井康隆「時をかける少女」長尾みのる.jpg配役発表の時点では原田知世は当時圧倒的人気を誇っていた薬師丸ひろ子「時をかける少女」図1.jpgのアテ馬的存在でしたが、「時をかける少女」一作で薬師丸ひろ子と共に角川映画の二枚看板の一つになっていきます。「時をかける少女」は筒井康隆の原作の舞台を尾道に移して、大林監督の「尾道三部作」(他の2作は「転校生」「さびしんぼう」)の第2作目という位置づけになっていますが、後に「SFジュブナイルの最高傑作」とまで言われるようになった原作に対し、原田知世の可憐さだけでもっている感じの映画になってしまった印象がなくもない作品でした。

「時をかける少女」主題歌作詞・作曲:松任谷由実/筒井康隆『時をかける少女』('72年/鶴書房盛光社・SFベストセラーズ)カバー:長尾みのる/挿絵:谷俊彦/解説:福島正実

大林宣彦 転校生8.jpg「転校生」vhs.jpg 「尾道三部作」の中でいちばんの秀作と思われる「転校生」('82年/松竹)に比べるとやや落ちるでしょうか。「転校生」は、原作は山中恒(この人も「高一コース」とかにちょっとエッチな青春小説を連載していた)の『おれがあいおれがあいつであいつがおれで.jpgつであいつがおれで』で、旺文社の「小6時代」に1979年4月号から1980年3月号まで連載されたもの。男の子と女の子が0転校生 1982.jpg神社の階段から転げ落ち、そのはずみで心と身体が入れ替わってしまう話ですが、二人が入れ替わるまでをモノ田中小実昌 .jpgクロで、入れ替わってからはカラーで描き分け、また8ミリ映像も効果的に挿入しながら、古き良き町・尾道を魅力的に活写していました。この作品にはまだ、自主制作映画のようなテイストがあったなあ。ある意味、原作をも超えていたように思います。第4回「ヨコハマ映画祭」作品賞受賞作で、田中小実昌(1925-2000)が「喜劇映画ベスト10」に選んでいたことがあります。
山中 恒『おれがあいつであいつがおれで (旺文社創作児童文学)』['80年/旺文社]

 「転校生」は公開当時はそれほど注目されませんでしたが、「時をかける少女」の方は、角川の「探偵物語」との抱き合わせでの宣伝活動もあってヒットし、角川では'97年に白黒映画でリメイク作品が作られましたが個人的には未見、'06年には細田守監督によるアニメ映画も作られました。細田守監督のアニメ「時をかける少女」は、原作の出来事から約20年後を舞台に、原作の主人公であった芳山和子の姪である紺野真琴が主人公として繰り広げる青春ドラマになっています(原作:筒井康隆となっているが中身は別物と言っていい)。筒井康隆は「新しく付け加えられたシチュエーションというのは、突っ込もうと思えばいくらでも突っ込める」としながらも、「本当の意味での二代目」とコメントしています。また、富野由悠季は「演出が優れており、実写より上手くまとまっている」としながらも、「高校生しか出てこないのでただの風俗映画に見える、キャラクターが活かしき時をかける少女 (2006).jpg時をかける少女 2006 2.jpgれていない」としていますが、(昨年['08年]7月にCXで2度目のテレビ放映されたのを観た)個人的感想は筒井氏の前者と富野氏の後者に近いでしょうか。主人公たちの「告白したい!」という台詞が「SEXしたい!」と自分には聞こえるとまで富野由悠季は言い切りましたが、鋭い指摘だと思います('10年に更にそのアニメの実写版のリメイクが作られている(主演はアニメ版の主人公の声を務めた仲里依紗)。'16年に日本テレビでテレビドラマ化された「時をかける少女」はまたオリジナルに戻っている(主演は黒島結菜)。テレビドラマ化はこれが5回目になる)
時をかける少女 限定版 [DVD]

天国にいちばん近い島 Wの悲劇s.jpg天国に一番近い島 2.jpg 「Wの悲劇」の併映作品だった「天国にいちばん近い島」は、個人的にはイマイチもの足りない映画でしたがこれもヒットし、舞台となったニューカレドニアに初森村桂.jpgめてリゾート・ホテルが建ったとか(バブルの頃で、日本人観光客がわっと押しかけた)。原作者・森村桂(1940-2004)が行った頃はリゾート・ホテルなど無かったようです。舞台は美しいけれど、バブルは崩壊したし、原作者が自殺したということもあって、今となってはちょっと侘しいイメージもつきまとってしまいます(森村桂の自殺の原因はうつ病とされている)。

「それから」松田優作/小林薫
それから [DVD].jpgそれから 松田優作/小林薫.jpg 「家族ゲーム」の後、松田優作が森田芳光監督と再び組んだ「それから」('85年/東映)は、評論家の評価は高かったですが(松田優作は文芸作品はこれが初めてではなく、「家族ゲーム」「探偵物語」の前年、泉鏡花原作、鈴木清順監督の「陽炎座」('81年/日本ヘラルド映画)で文芸作品デビューを果たしており、既に高い評価を得ていた)、個人的にはミスキャストだったように思え(何だか肩に力入り過ぎ)、松田優作や小林薫のロボットのような独特のエロキューションもちょっと違和感が感じられたし、作品自体も漱石の原作のイメージ(勝手に自分が抱いているイメージだが)とやや食い違ったものになってしまったような気がします。

 

「の・ようなもの」(1981 ヘラルド).jpgの・ようなもの1.jpg 森田芳光監督には、「の・ようなもの」('81年/N.E.W.S.コーポレーション)というある若手の落語家の日常と恋を描いた劇場用映画デビュー作があり、映画のつくりそのものはやや荒削りな面もありましたが、落語家の世界の描写に関しては丹念な取材の跡がみてとれ(森田監督は日大落研出身)、落語家志望の青年に扮する伊藤克信のとぼけた個性もいいし、彼が通うソープ嬢エリザベス役の秋吉久美子も"軽め"のしっとりした演技で好演しています(第3回「ヨコハマ映画祭」作品賞受賞作)。

愛と平成の色男/.jpg愛と平成の色男.png 愛と平成の色男/バカヤロー2.jpg「愛と平成の色男/バカヤロー!2 幸せになりたい。」
財前直見 写真集「とってもいいよ!」.jpg武田久美子 1989 .bmp 結局、森田芳光という監督の演出力はよくわかりません。監督の力量なのか役者のお陰なのか...。「愛と平成の色男」('89年/松竹)などは、ストーリーもどうしょうもないし(石田純一にぴったりとも言えるが)、役者もみんな下手くそなのに、結果として、当時はグラビアアイドルで、役者としては殆ど新人に近かった鈴木保奈美、財前直美、鈴木京香、武田久美子の4人を女優としていっぺんに発掘したことになっているし...映画初出演だった鈴木京香などは、この映画の出演を機にNHKの朝の連ドラに抜擢されています。
とってもいいよ!―財前直見写真集』(1988/11)/『マイディア ステファニー―武田久美子写真集』(1989/09)
鈴木保奈美/鈴木京香
鈴木保奈美.jpg鈴木京香2.jpg 鈴木保奈美はカネボウのCMモデル、財前直美は東亜国内航空の沖縄キャンペーンガール、鈴木京香はカネボウの水着キャンペーンガール出身。少女モデルから歌手になった武田久美子は中学生時代の1981年11月、東大駒場祭「第2回東大生が選ぶアイドルコンテスト'81」に自身で応募し、総数1263人の中で優勝、「東大生が選んだアイドル」として一時人気を博し、後に「逆噴射家族」('84年/Aシャッフル 1983.jpgTG)を撮る石井聰亙監督の34分の短編映画「シャッフル」('81年/ATG)にヒロインとして映画初出演(製作は'81年12月、一般劇場公開は'83年秋)したりしたものの、やがてマイナーに(「シャッフル」は大友克洋の短編漫画「RUN」の映画化で、自分を裏切った女を殺したチンピラと、彼を追う刑事の話で、日本版43才でもなぜ武田久美子でいられるのか.jpg「タクシードライバー」とも言われたが、個人的にはよくわからなくてイマイチ)。それが、昭和が終わったこの年に刊行された"貝殻ビキニ"の写真集が売れに売れて人気復活。この頃は、CMもグラビアも撮影と言えば3泊4日でハワイでというのが当たり前のバブル期でした。時の流れを感じますが、武田久美子だけ今もって肉体派路線を継続中? 「シャッフル [DVD]
43才でもなぜ武田久美子でいられるのか: 美ホルモンをアップして更年期を迎え撃つ』['11年]

 因みに、「愛と平成の色男」と併映の「バカヤロー!2 幸せになりたい。」('89年/松竹)は、森田監督の製作総指揮・脚本による4人の若手監督によるオムニバスで、岩松了監督(第3話)のチェッカーズの藤井郁弥が、山のようなレコードを抱え、CD全盛の世に取り残された男に扮する「新しさについていけない」と、成田裕介バカヤロー2 幸せになりたい 新しさについていけない.jpgバカヤロー2 幸せになりたい 女だけがトシとるなんて.jpg監督(第4話)の山田邦子が再就職に苦戦するハイミスに扮した「女だけがトシとるなんて」が良かったように思います。あとの2話は、本田昌広監督(第1話)の小バカヤロー2 幸せになりたい 小林.jpg林稔侍が家族のためにとったニューカレドニア旅行のチケットを会社から顧客に回すように言われた旅行代店社員を演じた「パパの立場もわかれ」と、堤真一が深夜のバカヤロー!2 堤.jpgコンビニでバイトしてお客の扱いで頭を悩ますうちに妄想ノイローゼになっていく男を演じた鈴木元監督(第二話)の「こわいお客様がイヤだ」(堤真一にとっては初主演映画。他に爆笑問題の太田光・田中裕二が映画初出演、太田光は後に「バカヤロー!4」('91年)の第1話を監督している)でした。

ウィークエンド・シャッフル 秋吉久美子.jpgウィークエンド・シャッフル(1982) ぴあ.gif 秋吉久美子は柳町光男監督の「さらば愛しき大地」('82年/プロダクション群狼)のような重い作品でその演技力を見せつける一方、ピンク映画出身の中村幻児監督の「ウィークエンド・シャッフル」('82年/幻児プロ=らんだむはうす)では、「の・ようなもの」以上に軽いノリで演じています。強盗(泉谷しげる)が主婦らに児童誘拐犯と間違えられ、さらに主婦(秋吉久美子)の偽夫の役回りを演じさせられるというハチャメチャなストーリーの原作は筒井康隆で、秋吉久美子、池波志乃、秋川リサら女ウィークエンド・シャッフル 秋吉久美子 泉谷しげる.jpgウィークエンド・シャッフル スチール.jpg優陣が惜しげもなく脱いでいますが、スラップスティク・コメディ調であるためにベタベタした現実感がなく、さらっと乾いた感じの作品に仕上がっています(ただ、原作のシュールな雰囲気までは出し切れていないか)。秋吉久美子って「70年代」というイメージのある女優ですが、80年代の作品を観ても、演技の幅が広かったなあと改めて思わされます。
 
「ウィークエンド・シャッフル」('82年/幻児プロ=らんだむはうす)(秋吉久美子/泉谷しげる) 
「ウィークエンド・シャッフル」9.jpg「ウィークエンド・シャッフル」T.jpg
 

「家族ゲーム」12.jpg「家族ゲーム」●制作年:1983年●監督・脚本:森田芳光●製作:佐々木志郎/岡田裕/佐々木史朗●撮影:前田米造●原作:本間洋平「家族ゲーム」●時間:106分●出演:松田優作伊丹十三/由紀さおり/宮川一朗太/辻田順一/松金よね子/岡本かおり/鶴田忍/戸川純/白川和子/佐々木志郎/伊藤克信/加藤善博/土井浩一郎/植村拓也/前川麻子/渡辺知美/松野真由子/中森いづみ/佐藤真弓/小川隆宏●公開:1983/06●配吉祥寺パーキングプラザ.jpgテアトル吉祥寺.jpg吉祥寺ピカデリー.jpg給:ATG●最初に観た場所:テアトル吉祥寺 (84-02-11)(評価:★★★★☆)●併映:「転校生」(大林宣彦)
テアトル吉祥寺 (1999年〜吉祥寺ピカデリー) 1979年、吉祥寺パーキングプラザ(右写真・現)地下1階にオープン。2000(平成12)年5月22日閉館

探偵物語38.jpg探偵物語 松田優作 dvd.jpg「探偵物語」(TVドラマ)●演出:村川透/西村潔/澤田幸弘/長谷部安春/加藤彰/小澤啓一/小池要之助●制作:伊藤亮爾/紫垣達郎/山口剛●脚本:丸山昇一/那須真知子/佐治乾/柏原寛司/宮田雪●音楽:鈴木清司●原案:小鷹信光●出演:松田優作/成田探偵物語 松田優作2.jpg探偵物語 倍賞美津子.jpg三樹夫/山西道広/竹田かほり/ナンシー・チェニー/平田弘美/橘雪子/重松収/倍賞美津子/佐藤蛾次郎/中島ゆたか/片桐竜次/草薙幸二郎/清水宏/広京子/川村京子/三原玲奈/真辺了子/戸浦六宏/熊谷美由紀(松田美由紀)●放映:1979/09~1980/04(全27回)●放送局:日本テレビ

左から竹田かほり、倍賞美津子、松田優作、ナンシー・チェニー

探偵物語 熊谷美由紀.jpg
第1話「聖女が街にやって来た」 松田優作/熊谷美由紀(松田美由紀)

岸田今日子/秋川リサ
探偵物語 .jpg探偵物語 松田優作 薬師丸ひろ子ru1.jpg探偵物語 長谷沼君江/岸田今日子1.jpg秋川リサ2.jpg 「探偵物語」●制作年:1983年●監督:根岸吉太郎●製作:角川春樹●脚本:鎌田敏夫●撮影:「探偵物語」岸田.jpg仙元誠三●音楽:加藤和彦(主題歌:薬師丸ひろ子)●原作:赤川次郎●時間:106分●出演:薬師丸ひろ子/松田優作/秋川リサ/岸田今日子/北詰友樹/坂上味和/藤田進/中村晃子/鹿内孝/荒井注/蟹江敬三/財津一郎/三谷昇/林家木久蔵/ストロング金剛/山西道広/清水昭博/榎木兵衛/加藤善博/草薙良一/清水宏●公開:1983/07●配給:角川春樹事務所●最初に観た場所:東急名画座 (83-07-17)(評価:★★☆)●併映:「時をかける少女」(大林宣甦れ!東急名画座3.jpg甦れ!東急名画座1.jpg東急文化会館.jpg東急名画座 1.jpg彦) 東急名画座 (東急文化会館6F、1956年12月1日オープン、1986年〜渋谷東急2) 2003(平成15)年6月30日閉館
 
 
 
Wの悲劇 [DVD].jpg「Wの悲劇」●制作年:1984年●監督:澤井信一郎●製作:角川春樹●脚本:荒井晴彦/澤井信一郎●撮影:仙元誠三●音楽:久石譲(主題歌:薬師丸ひろ子)●原作:夏樹静子●時間:108分●出演:薬師丸ひろ子/三田佳高木美保 Wの悲劇.jpg子/世良公則/三田村邦彦/仲谷昇/高木美保/蜷川幸雄/清水浩治/内田稔/草薙二郎/南美江/絵沢萠子/藤原釜足/香野百合子/志方亜紀子/幸日野道夫/西田健/堀越大史/渕野俊太/渡瀬ゆき●公開:1984/12●配給:東映/角川春樹事務所●最初に観た場所:新宿武蔵野館 (85-01-15)(評価:★★★★)●併映:「天国にいちばん近い島」(大林宣彦)
新宿武蔵野館(2019(令和元)年5月)
新宿武蔵野館42.JPG新宿 武蔵野館(1936年).jpg旧・新宿武蔵野館 (1920年武蔵野館オープン、1928年に現在の「新宿武蔵野館」の地に新築移転(モノクロ写真:新宿 武蔵野館(1936年))。1968年、武蔵野ビルを改装し7階に「新宿武蔵野館」として再オープン。1994年には同一ビルの3階にミニシアターとして「シネマ・カリテ(中黒あり)1・2・3」がオープン。2002年「新宿武蔵野館」を「新宿武蔵野館1」に改称し、同時に「シネマ・カリテ1・2・3」を「新宿武蔵野館2・3・4」に改称。2003(平成15)年9月30日「新宿武蔵野館1」閉館。それに伴い3階の「新宿武蔵野館2・3・4」を「新宿武蔵野館1・2・3」に改称し4館体制から3館体制となる。(2012年12月22日、武蔵野興業により新宿NOWAビル地下1階に2スクリーンの「シネマカリテ」がオープン)

岸部一徳 in「時をかける少女」
「時をかける少女」岸部2.jpg時をかける少女 原田c47.jpg「時をかける少女」●制作年:1983年●監督:大林宣彦●製作:角川春樹●脚本:剣持亘●撮影:前田米造●音楽:松任谷正隆(主題歌:原田知世(作詞・作曲:松任谷由実))●原作:筒井康隆●時間:104分●出演:原田時をかける少女 dvd.jpg時をかける少女 1983 3.jpg東急名画座 1.jpg知世/高柳良一/尾美としのり/津田ゆかり/岸部一徳/根岸季衣/内藤誠/入江若葉/高林陽一/きたむらあきこ/上原謙/入江たか子●公開:1983/07●配給:東映●最初に観た場所:東急名画座 (83-07-17)(評価:★★★)●併映:「探偵物語」(根岸吉太郎)
時をかける少女 [DVD]」入江たか子 /上原謙
「時をかける少女」上原・入0.jpg「時をかける少女」上原・入江.jpg


転校生 [DVD]
転校生 1982 .jpg転校生 1982ド.jpg転校生 1982 01.jpg「転校生」●制作年:1982年●監督:大林宣彦●製作:森岡道夫/大林恭子/多賀祥介●脚本:剣持亘●撮影:阪本善尚●原作:山中恒「おれがあいつであいつがおれで」●時間:112分●出演:尾美としのり/小林聡美/佐藤允/樹木希林/宍戸錠/入江若葉/中川勝彦/井上浩一/岩本宗規/大転校生 1982 02.jpg山大介/斎藤孝弘/柿崎澄子/山中康仁/林優枝/早乙女朋子/秋田真貴/石橋小大林宣彦 転校生ド.jpg百合/伊藤美穂子/加藤春哉/鴨志田和夫/鶴田忍/人見きよし/志穂美悦子●公開:1982/04●配給:松竹●最初に観た場所:大井武蔵野舘 (83-07-17)●2回目:テアトル吉祥寺 (84-02-11)(評価:★★★★☆)●併映(1回目):「の・ようなもの」(森田芳光)/「ウィークエンド・シャッフル」(中村幻児)●併映(2回目):「家族ゲーム」(森田芳光)

「転校生」志穂美悦子/小林聡美
 

時をかける少女 文庫.jpg時をかける少女2006 1.jpg「時をかける少女(アニメ)」●制作年:2006年●監督:細田守●製作:渡邊隆史/齋藤優一郎●脚本:奥寺佐渡子●音楽:吉田潔●原作:筒井康隆●時間:98分●声の出演:仲里依紗/石田卓也/板倉光隆/原沙知絵/谷村美月/垣内彩未/関戸優希子●公開:2006/07●配給:角川ヘラルド映画(評価:★★☆)
        
天国に一番近い島 lp.jpg天国に一番近い島 dvd.jpg「天国にいちばん近い島」●制作年:1984年●監督:大林宣彦●製作:角川春樹●脚本:剣持亘●撮影:阪本善尚●音楽:朝川朋之(主題歌:原田知世)●原作:森村桂●時間:102分●出演:原田知世/高柳良一/朝川朋之/赤座美代子/泉谷しげる/高橋幸宏/小林稔侍/小河麻衣子/入江若葉/室田日出男/高橋幸宏/松尾嘉代/乙羽信子●公開:1984/12●配給:東映●最初に観た場所:新宿武蔵野館 (85-01-15)(評価:★★☆)●併映:「Wの悲劇」(澤井信一郎) 「天国にいちばん近い島 デジタル・リマスター版 [DVD]
乙羽信子(夫がニューカレドニアの海で戦死した戦争未亡人・石川貞)
乙羽「天国にいちばん近い島」.jpg

高橋幸宏(1952-2023/70歳没)in「天国にいちばん近い島」(1984)/坂本龍一(1952-2023/71歳没)in「戦場のメリークリスマス」(1983)/細野晴臣(1947- )in「居酒屋兆治」(1983)
天国にいちばん近い島 高橋幸宏.jpg戦場のメリークリスマス 6.jpg居酒屋兆冶 細野.jpg


藤谷美和子 それから.jpgそれから 笠智衆.jpegそれから.jpg「それから」●制作年:1985年●監督:森田芳光●製作:黒沢満/藤峰貞利樹●脚本:筒井ともみ●撮影:前田米造●音楽:梅林茂●原作:夏目漱石●時間:130分●出演:松田優作藤谷美和子/小林薫/笠智衆/中村嘉葎雄/草笛光子/風間杜夫/美保純/イッ「それから」1985年.jpgセー尾形/森尾由美/羽賀研二/それから 笠智衆.jpg川上麻衣子/遠藤京子/泉じゅん/一の宮あつ子/小林勝彦/佐原健二/加藤和夫/水島弘/小林トシエ/佐藤恒治/伊藤洋三郎●公開:1985/07●配給:東映●最初に観た場所:新宿ミラノ座 (85-11-17)(評価:★★☆)
 

の・ようなもの3.gifの・ようなもの2.jpg「の・ようなもの」●制作年:1981年●監督・脚本:森田芳光●製作:鈴木光●撮影:渡部眞●音楽:塩村宰●原作:本間洋平●時間:103分●出演:秋吉久美子/伊藤克信/尾藤イサオ/でんでん/小林まさひろ/大野貴保/麻生えりか/五十嵐知子/風間かおる/直井理奈/入船亭扇橋/内海好江/鷲尾真知子/吉沢由起/小宮久美子/三遊亭大井武蔵野館・大井ロマン.jpg大井武蔵野館 地図.jpg楽太郎/芹沢博文/加藤治子/春風亭柳朝/黒木まや●公開:1981/09●配給:N.E.W.S.コーポレーション=日本へラルド映画●最初に観た場所:大井武蔵野館 (83-03-13)(評価:★★★☆)●併映:「転校生」(大林宣彦)/「ウィークエンド・シャッフル」(中村幻児)
 
大井武蔵野館・大井ロマン(1985年8月/佐藤 宗睦 氏)
大井武蔵野館(閉館日)(1999年1月/ぼうすの小部屋・おでかけ写真展より)
大井武蔵野館 閉館日2.jpg
大井武蔵野館2.jpg大井武蔵野館.jpg大井武蔵野館 1999(平成11)年1月31日閉館。
                                              
                         
 
                                                                                                   
鈴木保奈美/財前直見/武田久美子/鈴木京香
鈴木保奈美.jpg財前直美.jpg武田久美子.jpg鈴木京香.jpg「愛と平成の色男」●制作年:1989年●監督・脚本:森田芳光●製作:鈴木光●撮影:仙元誠三●音楽:野力奏一●時間:96分●出演:石田純一/鈴木保奈美/財前直見/武田久美子/鈴木京香/久保京子/桂三木助/佐藤恒治●公開:1989/07●配給:松竹●最初に観た場所:渋谷松竹(89-07-15)(評価:★☆)●併映:「バカヤロー!2」(本田昌広/鈴木元/岩松了/成田裕介、製作総指揮・脚本:森田芳光)

渋谷松竹1.jpg渋谷松竹sibuyatoei1.jpg渋谷東映・松竹・全線座shibuya.jpg渋谷松竹 1938年、前身の松竹系「東京映画劇場」オープン。1990(平成2)年9月16日、隣接の「渋谷東映」と共に閉館 (1985年道玄坂「ザ・プライム」6Fにオープンしていた渋谷松竹セントラル(2003年~「渋谷ピカデリー」)が後継館となる(2009(平成21)年1月30日「渋谷ピカデリー」閉館))(⑦渋谷東映/⑨渋谷松竹/⑬全線座(1977年閉館))


p映画シャッフル.jpg91syahhuru.jpg「シャッフル」●制作年:1981年大井武蔵野館・大井ロマン2.jpg●監督・脚本:石井聰亙(石井岳龍)●製作:秋田光彦●撮影:笠松則通●音楽:ヒカシュー●原作:大友克洋●時間:34分●出演:中島陽典/森達也/室井滋/武田久美子●公開:1981/12(1983)●配給:ATG●最初に観た場所:大井ロマン(89-07-15)(評価:★★☆)●併映:「レッドゾーン」(神有介)

第2話「こわいお客様がイヤだ」堤真一/第3話「新しさについていけない」竹中直人
バカヤロー2 幸せになりたい こわいお客様がイヤだ.jpgバカヤロー2 幸せになりたい 竹中.jpg「バカヤロー!2 幸せになりたい。」●制作年:1989年●製「バカヤロー!2 幸せになりたい。」2.jpg作総指揮・脚本:森田芳光●監督:本田昌広(第1話「パパの立場もわかれ」)/鈴木元(第2話「こわいお客様がイヤだ」)/岩松了(第3話「新しさについて「バカヤロー!2 幸せになりたい。」.jpgいけない」)/成田裕介(第4話「女だけがトシとるなんて」)●製作:鈴木光●撮影:栢原直樹/浜田毅●音楽:土方隆行●時間:98分●出演:(第1話)小林稔侍/風吹ジュン/高橋祐子/橋爪功/(第2話堤真一/金子美香/イッセー尾形/太田光/田中裕二/金田明夫/島崎俊郎/銀粉蝶/ベンガル/宮田早苗(第3話)藤井郁弥/荻野目慶子/尾「バカヤロー2」橋本2.jpg美としのり/柄本明/佐藤恒治/竹中直人/広岡由「バカヤロー2」柄本.jpg里子/(第4話)山田邦子/香坂みゆき/辻村真人/水野久美/加藤善博/桜金造●公開:1989/07●配給:松竹●最初に観た場所:渋谷松竹(89-07-15)(評価:★★★)●併映:「愛と平成の色男」(森田芳光)

第1話「パパの立場もわかれ」小林稔侍(旅行代理店社員・岡田良介(パパ))/橋爪功(部長・笠松好司)/第3話「新しさについていけない」柄本明(電器屋・寄貝やすし)

池波志乃/秋川リサ/渡辺えり子/泉谷しげる
「ウィークエンド・シャッフル」スチール.jpgウィークエンド・シャッフル ビデオカバー.jpg「ウィークエンド・シャッフル」●制作年:1982年●監督:中村幻児●製作:渡辺正憲●脚本:中村幻児/吉本昌弘●撮影:鈴木史郎●音楽:山下洋輔(主題歌:ジューシィ・フルーツ)●原作:筒井康隆「ウィークエンド・シャッフル」●時間:104分●出演:秋吉久美子/伊大井武蔵野館 閉館日.jpg大井武蔵野館.jpg武雅刀/泉谷しげる/池波志乃/渡辺えり子/秋川リサ/新井康弘/村上不二夫/尾口康生/永井英里/野上正義/芦川誠/春風亭小朝/美保純●公開:1982/10●配給:幻児プロ=らんだむはうす●最初に観た場所:大井武蔵野館 (83-03-13)(評価:★★★)●併映:「転校生」(大林宣彦)/「の・ようなもの」(森田芳光) 大井武蔵野館 閉館日(1999(平成11)年1月31日)


さらば愛しき大地3.jpgさらば愛しき大地 poster.jpg「さらば愛しき大地」●制作年:1982年●監督:柳町光男●製作:柳町光男/池田哲也/池田道彦●脚本:柳町光男/中上健次●撮影:田村正毅●音楽:横田年昭●時間:120分●出演:根津甚八/秋吉久美子/矢吹二朗/山口美也子/蟹江敬三/松山政路/奥村公延/草薙幸二郎/小林稔侍/中島葵/白川和子/佐々木すみ江/岡本麗/志方亜紀子/日高シネマスクエアとうきゅうMILANO2L.jpgシネマスクエアとうきゆう.jpgシネマスクウエアとうきゅう 内部.jpg澄子●公開:1982/04●配給:プロダクション群狼●最初に観た場所:シネマスクウェア東急(82-07-10)(評価:★★★★☆)
シネマスクエアとうきゅう 1981年12月、歌舞伎町「東急ミラノビル」3Fにオープン。2014年12月31日閉館。

 
《読書MEMO》
筒井康隆『時をかける少女』
『時をかける少女 (ジュニアSF)』(1967年3月20日/鶴書房盛光社)(時をかける少女/悪夢の真相/果てしなき多元宇宙)/『時をかける少女 (SFベストセラーズ)』(1972年/鶴書房盛光社)/『時をかける少女』(1976年/角川文庫)
『時をかける少女』図2.jpg 時をかける少女 (SFベストセラーズ).jpg 時をかける少女 (角川文庫).jpg
『時をかける少女 (SFベストセラーズ)』奥付・目次(併録:「悪夢の真相」)
時をかける少女 目次2.jpg.png.jpg

筒井康隆『ウィークエンド・シャッフル』
『「ウィークエンド・シャッフル」』単行本.jpg『「ウィークエンド・シャッフル」』講談社文庫.jpg『「ウィークエンド・シャッフル」』角川.jpgウィークエンド・シャッフル (1974年9月24日)』(装幀:下田一貴)(佇むひと/如菩薩団/「蝶」の硫黄島/ジャップ鳥/旗色不鮮明/弁天さま/モダン・シュニッツラー/その情報は暗号/生きている脳/碧い底/犬の町/さなぎ/ウィークエンド・シャッフル)/『ウィークエンド シャッフル (講談社文庫) 』/『ウィークエンド・シャッフル (角川文庫)』(カバーイラスト:山藤 章二


田中小実昌 .jpg田中小実昌(作家・翻訳家,1925-2000)の推す喜劇映画ベスト10(『大アンケートによる日本映画ベスト150』('89年/文春文庫ビジュアル版))
○丹下左膳餘話 百萬兩の壺('35年、山中貞雄)
○赤西蠣太('36年、伊丹万作)
大林宣彦 転校生ロード.jpg○エノケンのちゃっきり金太('37年、山本嘉次郎)
○暢気眼鏡('40年、島耕二)
○カルメン故郷に帰る('51年、木下恵介)
○満員電車('57年、市川昆)
○幕末太陽傳('57年、川島雄三)
転校生('82年、大林宣彦)
○お葬式('84年、伊丹十三)
○怪盗ルビイ('88年、和田誠)


●【文化庁メディア芸術祭アニメ部門シンポジウム】
リメーク映画の金字塔「時をかける少女」が大賞受賞
細田守監督が富野由悠季監督と公開"辛口"トーク
富野由悠季:細田守.jpg富野「僕が細田監督の『時かけ』の嫌な点は、現代の高校生を安易に描いているんじゃないのかと。主人公たちの『告白したい!』という台詞が『SEXしたい!』と僕には聞こえるんです。ただの風俗映画になっているんじゃないかという危うさを感じるんです。アニメという実写映画以上に記号的なものを使って、映画的構造の中で単に風俗映画にしてしまうのはもったいないぞと。作品としてスタイリッシュな分、若者たちが無批判で受け入れてしまう可能性があるわけです。ウラジミール・ナブコフの小説を原作にした『ロリータ』('62)や文化革命を背景にした『小さな中国のお針子』(2002)といった素晴らしい作品があります。映画をつくる人間は、これぐらいの社会的視野を持っていて欲しいんです。その点、奥寺さん脚本の『時かけ』は高校生しか出てこないのが不満なんです。せっかく叔母さんという面白いキャラクターがいるのに、活かしきれてなくもったいない。もっと社会性があってよかったと思います。演出力が優れているだけに残念です」

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女性教師と子どもたちの交流。傑作だからこそ批判の対象になる。

兎の眼1.jpg 『兎の眼』(灰谷健次郎).jpg 兎の眼2.jpg  灰谷健次郎.jpg 灰谷健次郎(1934‐2006/享年72)
兎の眼 (理論社の大長編シリーズ)』〔'74年(イラスト・長谷川知子)〕『兎の眼 (新潮文庫)』〔'84年〕『兎の眼 (フォア文庫愛蔵版)』〔'04年(イラスト・長新太)〕

 1974(昭和49)年1月刊行、1975(昭和50)年度・第8回「日本児童文学者協会新人賞」受賞作。

 '06年11月に72歳で亡くなった児童文学作家・灰谷健次郎(はいたに・けんじろう)は、大阪の教育大学を卒業後17年間勤めた小学校教諭を退職してアジア各地を放浪したのちに、'74年にこの作品で児童文壇にデビューしました。

 この作品は、新任女性教師の小谷先生と、その学校の生徒である塵芥処理所の子どもたちとの交流を描いたもので、'74(昭和49)年に理論社から刊行されましたが、この本ぐらい児童文学界で批評や議論の対象となった本は、他には数少ないのではないかと思われます。

 この小説に対し、描かれている人物像が善悪パターン化されているのではないかとの批判もありますが、小谷先生自身が、夫との関係に問題を抱えるなど、旧来の物語にある天使のように完璧な教師としては描かれていないことからみても、必ずしもその批判は当たらないのではと思います。
 そうすると今度は、児童文学にそうした夫との別れ話のようなことを持ち出すのはどうかという批判もあって、大人も子ども読む本というものの難しさを感じます。

 自閉症でハエの飼育に固執する鉄三に対し、小谷先生やその生徒が理解を示すことで彼が自分を取り戻すプロセスには感動しました。
 自閉症児は特定の事象に固執する傾向がありますが、その固執するものに対し誰かが共感を示すことが自閉症児に欠けているとされる〈社会性〉の習得・強化に良い影響を与えるというのは、ごく近年の自閉症研究の成果のはずで、30年以上前に書かれたこの物語では、そのことがすでにしっかり織り込まれているのは驚きと言えます。
 ただ、鉄三が感謝状が貰えるような話にまでもっていく必要も無かったのでは...。ちょっとやりすぎ。

 賞賛も批判もありますが、児童文学の領域を拡げた1冊であることに間違いないと思います。

 【1974年単行本・1978年(理論社の大長編シリーズ )・1987年・1996年改版・2004年文庫愛蔵版〔理論社〕/1984年文庫化[新潮文庫]/1998年再文庫化[角川文庫]】 

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戦時を生き抜いた少年の成長物語。"導師"的存在の〈佐脇老人〉が味がある。

ぼんぼん.jpg          ぼんぼん1.jpg 『ぼんぼん第1部』 今江祥智.jpg 今江祥智 氏(略歴下記)
ぼんぼん (理論社の大長編シリーズ―ぼんぼん)

 1973(昭和48)年1月刊行、1974(昭和49)年度・第14回「日本児童文学者協会賞」受賞作で、太平洋戦争とその後の時代を生き抜いた少年とその家族を描いた著者の自伝的作品の第1部であり、本書では戦争直前から終戦までを辿っています。

 主人公の小学校4年生の洋は、タイトル通り、関西の比較的裕福な家庭の子ですが、戦争直前に父親を病気で失うなどの辛い体験もします。
 戦時下における家族や学校生活の日常が柔らかい関西弁の会話で描かれていて、小学生の目で見た〈戦争〉というものが、オヤツなどの生活面の変化や、兄や学校の先生など大人たちの態度の変化を通して、子どもならではの感性に沿ってよく描かれています。

 父のいない母子を助けるのが、家族に恩義があるという佐脇さんという元ヤクザの老人で、この人が洋の良き導き手になりますが、気骨ある反戦老人でありながら、思春期の入り口にある洋に様々な手ほどきをしたりして、なかなか味があります。
 全体を通して洋の成長物語として読める本書の中では、この〈佐脇老人〉の"導師"的存在が大きな比重を占めているように思えます(この物語は第4部まで続編があり、第4部では洋は成人して教師になっています)。

わが街角 早乙女.jpg 以前に読んだ同じ戦争児童文学というべきものに、早乙女勝元氏の『わが街角』('73年/新潮社(全5巻)、'86年/新潮文庫(上・中・下)、'05年/草の根出版会〔『小説東京大空襲(第1巻・第2巻-わが街角(上・下)』)があり、こちらは東京の下町を舞台にした早乙女氏の自伝的大河小説で(ボリューム的には中高生~大人向けか)、作者が1945年3月に12歳で経験した「東京大空襲」が物語のクライマックスになっていますが、『ぼんぼん』の方は、その3日後の「大阪空襲」が物語の頂点になっています。
わが街角〈下〉 (新潮文庫)

 因みに、早乙女勝元氏も今江祥智氏も、同じ1932(昭和7)年生まれです。

【1973年単行本・1982年改版〔『ぼんぼん第1部』―理論社の大長編シリ-ズ〕・1995年単行本〔理論社〕/1987年文庫化[新潮文庫]/2010年再文庫化[岩波少年文庫]】

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今江 祥智(いまえ・よしとも):
1932年大阪市に生まれる。同志社大学文学部卒業。童話や小説をはじめ、翻訳や評論の仕事も多い。'91年までの作品は「今江祥智の本」全37巻と「今江祥智童話館」全17巻(理論社)にまとめられているほか、「マイ・ディア・シンサク」(新潮社)「そらまめうでてさてそこで」(文渓堂)「日なたぼっこねこ」(理論社)「まんじゅうざむらい」(解放出版社)「帽子の運命」(原生林)翻訳「パプーリとフェデリコ三部作」(バンサン、ブックローン)四部作をまとめた「ぽんぽん全1冊」(理論社)評論集「幸福の擁護」(みすず書房)などがある。野間児童文学賞、路傍の石文学賞、小学館児童出版文化賞などを受賞。

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