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作りすぎていないのがいい。復刊版で登場人物の四半世紀後の「今」が書き下ろされた。


『お引越し (Best choice)』『お引越し (講談社文庫)
』『《新装版》お引越し (講談社文庫)
』「心が叫びたがってるんだ。 [DVD]
」
『お引越し (福音館創作童話シリーズ)』(2013)(装画:奈良美智)
1991(平成3)年・第1回「椋鳩十児童文学賞」受賞作。
今日とうさんが引越しをした。かあさん泣いた。とうさんもお引越しの日泣いてた。大人が泣いたら、子どもは泣けない。3人だった家がこれから、かあさんと私、2人になる。2人が別れるには私のせいやないって、とうさんもかあさんも言うたけど、私のせいやないのに私に関係ある。あんまりや。両親の離婚を突然知った11歳のレンコ(漆場漣子)。彼女の悩みは深まっていく―。
1990年刊行の第1回「椋鳩十児童文学賞」受賞作ですが、むしろ相米慎二(1948‐2001/享年53)監督の映画「お引越し」('93年)の原作として知られているかもしれません。「椋鳩十児童文学賞」は鹿児島市が市制100周年を記念して設けた児童文学の新人賞で、第2回が森絵都氏のデビュー作『リズム』に授与されたりしていますが、第24回の2014年をもって終了しています。
映画「お引越し」('93年)
映画「お引越し」と比べると、原作は映画のようにレンコが理科室でボヤを起こしたり、自分でチケットやホテルを予約して家族の琵琶湖行きを実行したりするといった事件や展開などはなく、ごく普通の小学生のごく普通の生活が、両親が離婚状態になって変わっていく、そうした日常の中で、11歳の少女の心模様がどう揺れ、母親や父親との関係性がどう変化し、少女自身がどう成長していったかを、少女の主観を通して生き生きと描いています(文章にリズムがある)。従って、映画も良かったですが、原作は作りすぎていない分、これはまた読者に訴えかけるものがあり、(「映画の力」に対する)「文学の力」というものを感じました。
1990年の刊行後、1995年に文庫化され、2013年の復刊に際し、2013年現在の「登場人物たちの今」を描いた挿話が書き下ろされ、巻末に付されています。その前に、1990年の「あと話」というのがあって、中学生になったレンコのボーイフレンドのミノル(大木実)、友達のサリー(橘理佐)の"今"が2人の言葉で語られていましたが、「忘れたころのあと話」と題された今回の書き下ろし部分では、おおよそ四半世紀後の36歳になった大木実の今、橘理佐の今、更にはレンコこと漆場漣子の今が、それぞれ自らの言葉で語られています。時間の流れを経て主人公たちが大人になっている現在の様が語られるというのはなかなか興味深く(月日の経つのは早いなあ)、作者のこの作品に対する愛着のようなものも感じました。
かつて、離婚に踏み切ろうとしている主人公の女性と、そのことを自分たちなりに受け止めようとしている小学生の長男・次男とのやりとりを通して、当時としては新しいタイプと言える家族の形を模索した、干刈あがた(1943‐1992/享年49)の『ウホッホ探険隊』('84年/福武書店)とい
う芥川賞候補にもなった作品がありましたが、作品のモチーフとして両親が離婚している、或いは離婚状態にあるといった設定を持ってくることは、今や児童文学に限らず文学の世界においても珍しいことではなくなっているようです(長嶋有の芥川賞受賞作『猛スピードで母は』('02年/文藝春秋)もそうだった。やはり、子どもは父親ではなく母親と一緒に暮らすことになるのが多いようだが)。
最近はアニメの世界でも、長井龍雪監督の「心が叫びたがってるんだ。」('15年)という作品がありました(この度「実写」映画化され、本日[2017年7月22日]公開)。主人公の少女が小学生の頃、憧れていた山の上のお城(ラブホテル)から、父親と見知らぬ女性(浮気相手)が車で出てくるところを目撃、「お城から出てくる王子様とお姫様」だと思い込み、それを母親に話したことにより両親の離婚を招いてしまい、家を去る父親から「全部お前のせいじゃないか」と言われ、ショックを受けた少女は口をきけなくなり、高校2年生になった今も、「話すと腹痛が起きる」という、トラウマを抱えているという設定でした。
小学生の時のトラウマを高校生になっても引き摺っているわけですが(PTSDと言えるか。但し、離婚は主人公のせいとは言えず、父親が間違っているのは明白ではないか)、それにしても主人公がいろんな局面でそれを引っ張りすぎている印象もあり、これだと周りの方が疲れてしまうのではないかなあ。時にはちょっと突き放した方が、お互いにとって良かったりもするのではないでしょうか。ジュニア向けの作品ですが、個人的にはあまりいいとは思いませんでした(『お引越し』の11歳の小学生レンコの方がずっと逞しいと言えるか)。

「お引越し」●制作年:1993年●監督:相米慎二●脚本:奥寺佐渡子/小此木聡●撮影:栗田豊通●音楽:三枝成彰●原作:ひこ・田中「お引越し」●時間:124分●出演:中井貴一/田畑智子/桜田淳子/須藤真里子/田中太郎/茂山逸平/森秀人/千原しのぶ/笑福亭鶴瓶/青木秋美(現:遠野なぎこ)●公開:1993/03●配給:ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画=アルゴプロジェクト●最初に観た場所(再見):北千住・シネマブルースタジオ(17-07-19)(評価:★★★★)
【2563】 相米 慎二 「お引越し」(1993/03 ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画=アルゴプロジェクト) ★★★★

「心が叫びたがってるんだ。」●制作年:2015年●監督:長井龍雪●製作:斎藤俊輔●脚本:岡田麿里●撮影:森山博幸●音楽:ミト/横山克(主題歌:乃木坂46「今、話したい誰かがいる」)●原作:超平和バスターズ(長井龍雪・岡田麿里・田中将賀)●時間:119分●声の出演:水瀬いのり/内山昂輝/雨宮天/細谷佳正/藤原啓治/吉田羊●公開:2015/09●配給:アニプレックス●最初に観た場所:シネマサンシャイン池袋(15-09-21)(評価★★★)
【1990年単行本[福武書店]/1995年文庫化・2008年新装版[講談社文庫]/2013年単行本新装復刊版]】



落としていくピラミッド型の会社組織につながっていることに気づく。子どもたちは日本国憲法の勉強会を始め、「試験・宿題なくそう組合」を立ち上げて活動し始める―(第3章「進め ぼくらの海賊旗」)。



空中都市008に引っ越してきた、ホシオくんとツキコちゃん。ここはいままで住んでいた街とはいろんなことがちがうみたい。アンドロイドのメイドさんがいたり、ふしぎなものがいっぱい......じつはこのお話、1968年に作者が想像した未来社会、21世紀の物語なのです。さあ、今と同じようで少しちがう、もうひとつの21世紀へ出かけてみましょう!(「青い鳥文庫」より)。
生の頃この作品の愛読者だったことを知って感激したとあります(オリジナルは入手困難だが、「青い鳥文庫」版も和田誠氏の挿画を完全収録しているのがありがたい)。
このように、この作品に出てくる様々な未来像は、21世紀になっている現在からみてもまだ先の「未来像」のままであるものが多くありますが、方向性として全然違っているというものは少ないように思われ、そこはさすが科学情報に精通していた作者ならではと思われます。子どもの頃に思い描いていたという意味で、「懐かしい未来図」という言葉を思い出してしまいますが、あの時の"未来図"が本当ならば今頃スゴイことになっている? (人々はエア・カーや動く歩道で移動しているとか...)。実際にはそれほど変っていないかなあ。但し、少しずつ実現出来ている部分も一部あるなあと思いました。
例えば、ホシオたちの家族が移り住んだ空中都市は、「50かいだてアパートの36かい」ということになっていますが、今ならそういうところに住んでいる人はいるなあと(但し、ホシオたちの場合は「可動キャビン」方式で家ごと引っ越してきたのだが)。


原作者の小松左京は「空中都市008」放送終了時の頃は、日本万国博覧会のサブ・テーマ委員、テーマ館サブ・プロデューサー(チーフ・プロデューサーは岡本太
郎)として1970年の日本万国博覧会開催の準備に追われており、放送終了を残念がる暇も無かったのではないでしょうか。『地球になった男』('71年/新潮文庫)などの短編集の刊行もあり、'73年には『日本沈没』(カッパ・ノベルズ)で日本推理作家協会賞を受賞するなどした一方で、テレビなどにもよく出ていましたが、この人、この頃が一番太っていて、すごくパワフルな印象がありました。
特に、'73年3月発売の『日本沈没』は驚くほどの売れ行きを示し、その年の年末までに上下巻累計で340万部が刊行され作者最大のベストセラーになり、社会現象化して映画にもなりました。映画「日本沈没」('73年/東宝)は、その年の12月に公開されており、黒澤明作品でチーフ助監督を務めた経験がある森谷司郎が監督、橋本忍が脚本
で、製作費5億円と当時としては大作でありながら製作期間は僅か4か月と短かったですが、約880万人の観客を動員し、16億4,000万円という'74年邦画配給収入第1位となるヒットを記録しました。この映画、原作よ
りメロドラマっ
ぽいという評価と、スペクタクルに重点が置かれていて良いという評価に分かれるようですが、何と比べるかでしょう(映画では小野
寺(藤岡弘)とヒロインの玲子(いしだあゆみ)がやけに簡単にくっついてしまう印象を受けた)。小松左京自身も小野寺の海底開発興業の同僚役でカメオ出演していたほか、原作『日本沈没』執筆時のブレーンとなった地球物理学者の竹内均(1910-2004)が、プレートテクトニクスを説明する科学者・竹内教授というそのままの設定でゲスト出演していました(後に「ニュートン」の記事の中で「迫真の演技である、として皆にからかわれた」と書いている)。


「空中都市008」は2010年にiPad専用のオーディオビジュアルノベルとしてApp Storeで配信され、作中の登場人物の台詞が声優によって読み上げられるほか、物語の進行に合わせたBGMが再生され、かつてのNHKの放送で番組主題歌を歌った中山千夏が初音ミクとコ
ラボして誕生したテーマソングや、小松左京のボイスコメントなども収録されているそうですが、「まさか本がこんなことになっちまうとは、私自身がSF作家のくせに思いもよりませんでした」とのコメントを寄せた小松左京は、その翌年2011年の7月に肺炎の





「空中都市008」は人形美術及び操作を糸あやつり人形の竹田人形座が担当しましたが、同じ竹田人形座による人形美術及び操作の担当でこれに先行するものにとして、NHKの日曜の17:45-18:00の15分の時間帯(後に木曜の18:00-18:25の25分の時間帯に変更)で、「銀河少年隊」(1963年4月-1965年4月、全92回)がありました(さらにその前に「宇宙船シリカ」(1960年9月-1962年3月、全227回)というのもあった)。「銀河少年隊」は人形芝居と
アニメーションを合成したもので、原作は手塚治虫(因みに「宇宙船シリカ」の原作は星新一)。太陽のエネルギーが急速に衰え、地球を含めた太陽系の惑星は極寒に襲われ、数年後には太陽系の全生物が死滅してしまうという危機を救うために、花島六平少年率いる銀河少年隊が活躍するというもの。アニメ部分は虫プロの作品を多く手がけてきた若林一郎が脚色をして、スケールの大きい物語となって
おり、金星人の美少女アーリアも登場、宇宙服や宇宙船の操縦席など小道具もよくできていたように思いますが、竹田喜之助(1923-1979)って相当な"凝り性"だった? 音楽は「空中都市008」と同じく「宇宙人ピピ」「銀河少年隊」も
![空中都市008 [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E7%A9%BA%E4%B8%AD%E9%83%BD%E5%B8%82008%20%5BDVD%5D.jpg)


「日本沈没」●制作年:1973年●監督:森谷司郎●脚本:橋本忍●撮影:村井博/木村大作●音楽:佐藤勝●原作:
小林桂樹/丹波哲郎/藤岡弘/いしだあゆみ/滝田裕介/中丸忠雄/加藤和夫/村井国夫/夏八木勲/
高橋昌也/地井武男/鈴木瑞穂/神山繁/中条静夫/名古屋章/中村伸郎/二谷英明/島田正吾/(以下クレジットなし):小松左京/竹内均/田中友幸/中島春雄●公開:1973/12●配給:東宝(評価:★★★☆)







が、これがなかなか面白かったです。映画「


「ちくま学芸文庫版あとがき」によれば、本書の出版から十数年を経て増刷が打ち切られた時、「本も商品ですから」と著者は増刷を諦めてかけていたのが「復刊ドットコム」に登録され、その後も多くの数学関係者の働きかけがあって30年ぶりの復刊に至ったとのこと。.jpg)





森田芳光(1950-2011)監督・脚本の「家族ゲーム」('83年/ATG)は、家族が食卓に横一列に並んで食事するシーンなど凝ったカットの多い作品でしたが、個人的には、川沿いの団地へ松田優作(1949‐1989/享年40)が演じる家庭教師が小舟に乗って赴く冒頭シーンと、教え子が無事に志望校に合格した後の家族全員の食事の席で、その家庭教師が食卓をぐちゃぐちゃにしてしまうラストが印象的でした。




みではなかったでしょうか。「セーラー服と機関銃」('82年/角川春樹事務所)では相米慎二(1948-2001)監督の魔術的演出に救われていましたが、「探偵物語」では、岸田今日子のような演技達者を起用して脇を固めようとしてはいるものの、そんな演技未熟の薬師丸ひろ子を相手に演技している松田優作の苦闘ぶりが目につきました。玉川大学文学部就学のため一時芸能活動を休止していた薬師丸ひろ子の復帰第一弾を角川事務所が企画した作品であり、あくまでも薬師丸ひろ子が主人公の探偵(ごっこ)物語であって、脇だけ固めても主役があまりに未熟では...。それでも映画はヒットし、ラストの新東京国際空港での松田優作と薬師丸ひろ子の"身長差30センチ"キスシーンは当時話題となったのは、彼女がアイドルとしていかに人気があったかということでしょう。松田優作に関して言えば、TV版の方がハードボイルド・ヒーローでありながらずっこけたような面があるという点で、より"優作らしい"演技だったと言えるかも。
役で蜷川幸雄(1935-2016)が出演し、実際に劇中劇の演出も担当しています。三田佳子がベテランらしい渋い演技を見せ(日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞)、薬師丸ひろ子もそれに触発され
演技開眼したのか、そう悪くない演技でした(高木美保の映画デビュー作でもあり、主人公を陥れようとする敵役だった)。夏樹静子の原作は、その後、テレビドラマとしてそれそれアレンジされながら繰り返し作られることとなります('83年TBS(秋吉久美子主演)、'86年フジテレビ(高峰三枝子主演)、'01年テレビ東京(名取裕子主演)、'10年TBS(菅野美穂主演)、'12年テレビ朝日(武井咲主演))。
因みに、「探偵物語」と「Wの悲劇」の併映作品はそれぞれ「時をかける少女」('83年/角川春樹事務
所)、「天国にいちばん近い島」('84年/角川春樹事務所)でした。共に大林宣彦監督、原田知世主演で、「時をかける少女」は、原作は筒井康隆が学習研究社の「中三コース」1965(昭和40)年11月号にて連載開始し、「高一コース」1966(昭和41)年5月号まで全7回掲載したものであり、原田知世の映画デビュー作でした。
配役発表の時点では原田知世は当時圧倒的人気を誇っていた薬師丸ひろ子
のアテ馬的存在でしたが、「時をかける少女」一作で薬師丸ひろ子と共に角川映画の二枚看板の一つになっていきます。「時をかける少女」は筒井康隆の原作の舞台を尾道に移して、大林監督の「尾道三部作」(他の2作は「転校生」「さびしんぼう」)の第2作目という位置づけになっていますが、後に「SFジュブナイルの最高傑作」とまで言われるようになった原作に対し、原田知世の可憐さだけでもっている感じの映画になってしまった印象がなくもない作品でした。
「尾道三部作」の中でいちばんの秀作と思われる「転校生」('82年/松竹)に比べるとやや落ちるでしょうか。「転校生」は、原作は山中恒(この人も「高一コース」とかにちょっとエッチな青春小説を連載していた)の『おれがあい
神社の階段から転げ落ち、そのはずみで心と身体が入れ替わってしまう話ですが、二人が入れ替わるまでをモノ
クロで、入れ替わってからはカラーで描き分け、また8ミリ映像も効果的に挿入しながら、古き良き町・尾道を魅力的に活写していました。この作品にはまだ、自主制作映画のようなテイストがあったなあ。ある意味、原作をも超えていたように思います。第4回「ヨコハマ映画祭」作品賞受賞作で、田中小実昌(1925-2000)が「喜劇映画ベスト10」に選んでいたことがあります。
れていない」としていますが、(昨年['08年]7月にCXで2度目のテレビ放映されたのを観た)個人的感想は筒井氏の前者と富野氏の後者に近いでしょうか。主人公たちの「告白したい!」という台詞が「SEXしたい!」と自分には聞こえるとまで富野由悠季は言い切りましたが、鋭い指摘だと思います('10年に更にそのアニメの実写版のリメイクが作られている(主演はアニメ版の主人公の声を務めた仲里依紗)。'16年に日本テレビでテレビドラマ化された「時をかける少女」はまたオリジナルに戻っている(主演は黒島結菜)。テレビドラマ化はこれが5回目になる)。
「Wの悲劇」の併映作品だった「天国にいちばん近い島」は、個人的にはイマイチもの足りない映画でしたがこれもヒットし、舞台となったニューカレドニアに初
めてリゾート・ホテルが建ったとか(バブルの頃で、日本人観光客がわっと押しかけた)。原作者・森村桂(1940-2004)が行った頃はリゾート・ホテルなど無かったようです。舞台は美しいけれど、バブルは崩壊したし、原作者が自殺したということもあって、今となってはちょっと侘しいイメージもつきまとってしまいます(森村桂の自殺の原因はうつ病とされている)。![それから [DVD].jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%8B%E3%82%89%20%5BDVD%5D.jpg)
「家族ゲーム」の後、松田優作が森田芳光監督と再び組んだ「それから」('85年/東映)は、評論家の評価は高かったですが(松田優作は文芸作品はこれが初めてではなく、「家族ゲーム」「探偵物語」の前年、泉鏡花原作、鈴木清順監督の「
森田芳光監督には、「の・ようなもの」('81年/N.E.W.S.コーポレーション)というある若手の落語家の日常と恋を描いた劇場用映画デビュー作があり、映画のつくりそのものはやや荒削りな面もありましたが、落語家の世界の描写に関しては丹念な取材の跡がみてとれ(森田監督は日大落研出身)、落語家志望の青年に扮する伊藤克信のとぼけた個性もいいし、彼が通うソープ嬢エリザベス役の秋吉久美子も"軽め"のしっとりした演技で好演しています(第3回「ヨコハマ映画祭」作品賞受賞作)。

「愛と平成の色男/バカヤロー!2 幸せになりたい。」


鈴木保奈美はカネボウのCMモデル、財前直美は東亜国内航空の沖縄キャンペーンガール、鈴木京香はカネボウの水着キャンペーンガール出身。少女モデルから歌手になった武田久美子は中学生時代の1981年11月、東大駒場祭「第2回東大生が選ぶアイドルコンテスト'81」に自身で応募し、総数1263人の中で優勝、「東大生が選んだアイドル」として一時人気を博し、後に「
「タクシードライバー」とも言われたが、個人的にはよくわからなくてイマイチ)。それが、昭和が終わったこの年に刊行された"貝殻ビキニ"の写真集が売れに売れて人気復活。この頃は、CMもグラビアも撮影と言えば3泊4日でハワイでというのが当たり前のバブル期でした。時の流れを感じますが、武田久美子だけ今もって肉体派路線を継続中? 「
監督(第4話)の山田邦子が再就職に苦戦するハイミスに扮した「女だけがトシとるなんて」が良かったように思います。あとの2話は、本田昌広監督(第1話)の小
林稔侍が家族のためにとったニューカレドニア旅行のチケットを会社から顧客に回すように言われた旅行代店社員を演じた「パパの立場もわかれ」と、堤真一が深夜の
コンビニでバイトしてお客の扱いで頭を悩ますうちに妄想ノイローゼになっていく男を演じた鈴木元監督(第二話)の「こわいお客様がイヤだ」(堤真一にとっては初主演映画。他に爆笑問題の太田光・田中裕二が映画初出演、太田光は後に「バカヤロー!4」('91年)の第1話を監督している)でした。
秋吉久美子は柳町光男監督の「
優陣が惜しげもなく脱いでいますが、スラップスティク・コメディ調であるためにベタベタした現実感がなく、さらっと乾いた感じの作品に仕上がっています(ただ、原作のシュールな雰囲気までは出し切れていないか)。秋吉久美子って「70年代」というイメージのある女優ですが、80年代の作品を観ても、演技の幅が広かったなあと改めて思わされます。

「家族ゲーム」●制作年:1983年●監督・脚本:森田芳光●製作:佐々木志郎/岡田裕/佐々木史朗●撮影:前田米造●原作:本間洋平「家族ゲーム」●時間:106分●出演:松田優作/





三樹夫/山西道広/竹田かほり/ナンシー・チェニー/平田弘美/橘雪子/重松収/倍賞美津子/佐藤蛾次郎/中島ゆたか/片桐竜次/草薙幸二郎/清水宏/広京子/川村京子/三原玲奈/真辺了子/戸浦六宏/熊谷美由紀(松田美由紀)●放映:1979/09~1980/04(全27回)●放送局:日本テレビ



「探偵物語」●制作年:1983年●監督:根岸吉太郎●製作:角川春樹●脚本:鎌田敏夫●撮影:
仙元誠三●音楽:加藤和彦(主題歌:薬師丸ひろ子)●原作:赤川次郎●時間:106分●出演:薬師丸ひろ子/松田優作/秋川リサ/岸田今日子/北詰友樹/坂上味和/藤田進/中村晃子/鹿内孝/荒井注/蟹江敬三/財津一郎/三谷昇/林家木久蔵/ストロング金剛/山西道広/清水昭博/榎木兵衛/加藤善博/草薙良一/清水宏●公開:1983/07●配給:角川春樹事務所●最初に観た場所:東急名画座 (83-07-17)(評価:★★☆)●併映:「時をかける少女」(大林宣


彦) 東急名画座 (東急文化会館6F、1956年12月1日オープン、1986年〜渋谷東急2) 2003(平成15)年6月30日閉館![Wの悲劇 [DVD].jpg](/book-movie/archives/Wの悲劇 [DVD].jpg)
子/世良公則/三田村邦彦/仲谷昇/高木美保/蜷川幸雄/清水浩治/内田稔/草薙二郎/南美江/絵沢萠子/藤原釜足/香野百合子/志方亜紀子/幸日野道夫/西田健/堀越大史/渕野俊太/渡瀬ゆき●公開:1984/12●配給:東映/角川春樹事務所●最初に観た場所:新宿武蔵野館 (85-01-15)(評価:★★★★)●併映:「天国にいちばん近い島」(大林宣彦)

「時をかける少女」●制作年:1983年●監督:大林宣彦●製作:角川春樹●脚本:剣持亘●撮影:前田米造●音楽:松任谷正隆(主題歌:原田知世(作詞・作曲:松任谷由実))●原作:筒井康隆●時間:104分●出演:原田




「転校生」●制作年:1982年●監督:大林宣彦●製作:森岡道夫/大林恭子/多賀祥介●脚本:剣持亘●撮影:阪本善尚●原作:山中恒「おれがあいつであいつがおれで」●時間:112分●出演:尾美としのり/小林聡美/佐藤允/樹木希林/宍戸錠/入江若葉/中川勝彦/井上浩一/岩本宗規/大
山大介/斎藤孝弘/柿崎澄子/山中康仁/林優枝/早乙女朋子/秋田真貴/石橋小
百合/伊藤美穂子/加藤春哉/鴨志田和夫/鶴田忍/人見きよし/志穂美悦子●公開:1982/04●配給:松竹●最初に観た場所:大井武蔵野舘 (83-07-17)●2回目:テアトル吉祥寺 (84-02-11)(評価:★★★★☆)●併映(1回目):「の・ようなもの」(森田芳光)/「ウィークエンド・シャッフル」(中村幻児)●併映(2回目):「家族ゲーム」(森田芳光)
「時をかける少女(アニメ)」●制作年:2006年●監督:細田守●製作:渡邊隆史/齋藤優一郎●脚本:奥寺佐渡子●音楽:吉田潔●原作:筒井康隆●時間:98分●声の出演:仲里依紗/石田卓也/板倉光隆/原沙知絵/谷村美月/垣内彩未/関戸優希子●公開:2006/07●配給:角川ヘラルド映画(評価:★★☆)








セー尾形/森尾由美/羽賀研二/
川上麻衣子/遠藤京子/泉じゅん/一の宮あつ子/小林勝彦/佐原健二/加藤和夫/水島弘/小林トシエ/佐藤恒治/伊藤洋三郎●公開:1985/07●配給:東映●最初に観た場所:新宿ミラノ座 (85-11-17)(評価:★★☆)








「愛と平成の色男」●制作年:1989年●監督・脚本:森田芳光●製作:鈴木光●撮影:仙元誠三●音楽:野力奏一●時間:96分●出演:石田純一/鈴木保奈美/財前直見/武田久美子/鈴木京香/久保京子/桂三木助/佐藤恒治●公開:1989/07●配給:松竹●最初に観た場所:渋谷松竹(89-07-15)(評価:★☆)●併映:「バカヤロー!2」(本田昌広/鈴木元/岩松了/成田裕介、製作総指揮・脚本:森田芳光)



「シャッフル」●制作年:1981年
●監督・脚本:石井聰亙(石井岳龍)●製作:秋田光彦●撮影:笠松則通●音楽:ヒカシュー●原作:大友克洋●時間:34分●出演:中島陽典/森達也/室井滋/武田久美子●公開:1981/12(1983)●配給:ATG●最初に観た場所:大井ロマン(89-07-15)(評価:★★☆)●併映:「レッドゾーン」(神有介)
「バカヤロー!2 幸せになりたい。」●制作年:1989年●製
作総指揮・脚本:森田芳光●監督:本田昌広(第1話「パパの立場もわかれ」)/鈴木元(第2話「こわいお客様がイヤだ」)/岩松了(第3話「新しさについて
いけない」)/成田裕介(第4話「女だけがトシとるなんて」)●製作:鈴木光●撮影:栢原直樹/浜田毅●音楽:土方隆行●時間:98分●出演:(第1話)小林稔侍/風吹ジュン/高橋祐子/橋爪功/(第2話)堤真一/金子美香/イッセー尾形/太田光/田中裕二/金田明夫/島崎俊郎/銀粉蝶/ベンガル/宮田早苗(第3話)藤井郁弥/荻野目慶子/尾
美としのり/柄本明/佐藤恒治/竹中直人/広岡由
里子/(第4話)山田邦子/香坂みゆき/辻村真人/水野久美/加藤善博/桜金造●公開:1989/07●配給:松竹●最初に観た場所:渋谷松竹(89-07-15)(評価:★★★)●併映:「愛と平成の色男」(森田芳光)













○エノケンのちゃっきり金太('37年、山本嘉次郎)
富野「僕が細田監督の『時かけ』の嫌な点は、現代の高校生を安易に描いているんじゃないのかと。主人公たちの『告白したい!』という台詞が『SEXしたい!』と僕には聞こえるんです。ただの風俗映画になっているんじゃないかという危うさを感じるんです。アニメという実写映画以上に記号的なものを使って、映画的構造の中で単に風俗映画にしてしまうのはもったいないぞと。作品としてスタイリッシュな分、若者たちが無批判で受け入れてしまう可能性があるわけです。ウラジミール・ナブコフの小説を原作にした『ロリータ』('62)や文化革命を背景にした『


灰谷健次郎(1934‐2006/享年72)

今江祥智 氏(略歴下記)
