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作者の自伝的長編青春漫画、かつ「劇画」名付け親による「劇画」誕生秘話。面白い。
『劇画漂流 [文庫版] コミック 全2巻 完結セット』
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2009(平成21)年・第13回「手塚治虫文化賞大賞」を受賞した辰巳ヨシヒロ(1935-2015/79歳没)の自伝的青春漫画作品で、1995(平成7)年から「まんだらけ」のカタログ誌『まんだらけマンガ目録』の8号から22号まで15話連載され、1998(平成10)年からは新創刊された『まんだらけZENBU』が掲載誌となり、2006(平成18)年に33号で打ち切られ、全48話で連載終了しています(何れも季刊誌で発表され12年にわたる連載だった)。
「まんだらけ」の編集者で、当時59歳の作者に「劇画」の歴史のようなものを描き残さないかと提案した浅川満寛(1965年生まれ。早稲田大学で美術史を専攻、卒論は「初期つげ義春論」)が、連載中に「まんだらけ」から青林工藝社に移ったこともあり、本書は青林工藝社から刊行されています(後に英語版やスペイン語版も刊行され、2010年度アイズナー賞最優秀アジア作品賞(最優秀実話作品賞)、第39回アングレーム国際漫画祭世界の視点賞受賞。この作品をもとにしたエリック・クー監督による映画「TATUMI―マンガに革命を起こした男」('14年/シンガポール)は、第64回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」正式出品となった)。
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兄の桜井昌一とともに漫画家を目指す幼少期から始まり、自身の作風を従来の「漫画」と区別するために誕生した「劇画」(辰巳ヨシヒロがその名付け親ということになる)、および「劇画工房」の設立、その後の活動を描いた長編青春漫画です。戦後間もない1948(昭和23)年から始って1960(昭和35)年の安保闘争の時代までを描いたところで終了しています。
作中では辰巳ヨシヒロは勝見ヒロシ、兄の桜井昌一も本名の辰巳義興ではなく勝見興昌として登場していますが、他の漫画家や出版関係者らは基本的に実名で登場しており、「劇画」誕生秘話として記録的要素の濃い内容となっていますが、事実であるだけに興味深く、また面白く読めます。
売れるまでは出版社に作品を持ち込んでは断られ、やはり漫画家の世界は競争が激しいなあと思わされましたが、少し売れるようになってくると、今度は最初の方で世話になった出版社ではなくよその出版社のために書くと、前の出版社から圧力がかかるなど、これはこれで大変そう。
後半は、その所謂かつて世話になった出版社で、辰巳ヨシヒロ自身も短編集『影』の編集長を務めた「八興・日の丸文庫」の山田兄弟と、元日の丸文庫の顧問で「劇画工房」の主要メンバーだった辰巳ヨシヒロ、松本正彦、さいとう・たかを囲い込んで、名古屋の出版社「セントラル文庫」の漫画家兼編集者として短編集『街』を編集した久呂田まさみとの『影』vs. 『街』の"仁義なき戦い"が描かれています。
本書にもあるように、山田社長と敵対していた久呂田は、日の丸文庫から辰巳らを切り離すため、セントラル文庫の社長に3人を上京させることを提案し、渡された資金を全部飲み代として使い込んでしまう(酒に逃避する性癖だったようだ。酒癖も悪く、酔った席で態度が横柄なさいとう・たかををぶん殴ったりしたそうだ)等の紆余曲折を経て、東京都国分寺市のアパートに居を構えます。これにより、国分寺市は後に多数の劇画漫画家が集まり劇画文化の中心地になりますが、藤子不二雄の『まんが道』(まんがみち)や石ノ森章太郎の『章説 トキワ荘の青春』、映画「トキワ荘の青春」('96年)にも描かれた豊島区椎名町の「トキワ荘」と同時期に、都内の別のところに新進漫画家の拠点があったことはあまり知られていないかもしれません。
やや中途半端で終わった感じがなくもなく、作者はこの後、自ら貸本マンガの出版に乗り出した勝見ヒロの孤軍奮闘と、つげ義春らとの交流、そして貸本出版界が滅んでいくまでを描きたかったようですが、あとがきによると「まんだらけ」の都合で果たせなかったとあります。この作品で「劇画工房」のメンバーだったさいとう・たかをのことはよく描かれていますが、つげ義春は、トキワ荘をふらっと訪ねる1場面があるだけです。
因みに、「劇画工房」の当初メンバーは辰巳ヨシヒロ、石川フミヤス、K・元美津、桜井昌一、山森ススム、佐藤まさあき。後にさいとう・たかを、松本正彦も参加しています。K・元美津は1996年没。辰巳の兄・桜井昌一は2003年没で、辰巳はこの作品を桜井へのレクイエムであるとしています。佐藤まさあきは2004年没。松本正彦は2005年没で、「劇画」ではなく「駒画」を創立し、「劇画工房」を去った彼でしたが、その保管していた文書や手紙が本書に多く転載されていて、本書の記録的価値を高めています。
本書刊行後、石川フミヤスが2014年に亡くなり、そして作者・辰巳ヨシヒロが2015年に、さらにはさいとう・たかをが昨年['21年]亡くなっていて、寂しい限りです。でも、そうした当時のことを訊くことができる人がいなくなっている分だけ本書の価値があると言えるかもしれません。
因みに、個人的には、辰巳ヨシヒロは自分の卒業高校の大先輩にあたります。
【2013年文庫化[講談社漫画文庫(上・下)]】






15世紀前半のヨーロッパのP王国では、C教という宗教が中心となっていた。地動説は、その教義に反く考え方であり、研究するだけでも拷問を受けたり、火あぶりに処せられたりしていた。その時代を生きる主人公・ラファウは、12歳で大学に入学し、神学を専攻する予定の神童であった。しかし、ある日、地動説を研究していたフベルトに出会ったことで地動説の美しさに魅入られ、命を賭けた地動説の研究が始まる―。
こうした設定自体が、なかなかユニークだと思いましたが、第1巻で主人公が死んじゃうのですねえ。後、どうするんだろうと思ったら、どんどん次の人というか次の世界に話を繋げていくようです。これって、結構。描く側はたいへんだと思いますが、ちゃんと構想は出来上がっているのでしょう。


夫の借金と自殺、自身の病気と自殺未遂、AV女優など様々な職業を経験―と、波乱に満ちた人生を送ってきた私は、36歳にして25歳年上の男性と恋をする―。
この作品を読んで思い出されるのが、'05(平成17)年3月にこれもイースト・プレスから刊行された漫画家・吾妻ひでお氏の『失踪日記』('05年)で、こちらは'05(平成17)年度・第34回「日本漫画家協会賞大賞」、'05(平成17)年・第9回「文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞」、'06(平成18)年・第10回「手塚治虫文化賞マンガ大賞」を受賞しました。過去に「漫画三賞」(小学館や講談社といった出版社が主催ではない賞であることが特徴の1つ)と言われるこれら三賞すべてをを受賞した漫画家は吾妻ひでお氏のみです(このほかにフリースタイル刊行「
吾妻ひでお氏の『失踪日記』は、うつ病からくる自身の2回の失踪(1989年と1992年のそれぞれ約4か月間)を描いたものでした。1回目の失踪の時は雑木林でホームレス生活をしていて、2回目の失踪の時はガス会社の下請け企業で配管工として働いていたという具合に、その内容が異なるのが興味深いですが、1回目の失踪について描かれた部分は「極貧生活マニュアル」みたいになっていて、2回目は下請け配管工の「お仕事紹介」みたいになっています。



「月刊コミックビーム」の2007(平成19)年7月号から翌年の1月号にかけて連載された作品に加筆修正したもの。「エスプ長井勝一漫画美術館主催事業」として、「江戸川乱歩×丸尾末広の世界 パノラマ島綺譚」展が今年(2011年)3月に宮城県塩竈市の「ふれあいエスプ塩竈」(生涯学習センター内)で開催されており(長井勝一氏は「月刊漫画ガロ」の初代編集長)、3月12日に丸尾氏のトークショーが予定されていましたが、前日に東日本大震災があり中止になっています。主催者側は残念だったと思いますが、原画が無事だったことが主催者側にとってもファンにとっても救いだったでしょうか。
個人的には、昔、春陽堂の春陽文庫で読んだのが初読でしたが、ラストの"花火"にはやや唖然とさせられた印象があります。原作者自身でさえ"絵空事"のキライがあると捉えているものを、漫画として視覚的に再現した丸尾末広の果敢な挑戦はそれ自体評価に値し、また、その出来栄えもなかなかのものではないかと思われました。
但し、本当に描きたかったのは、後半のパノラマ島の描写だったのでしょう。海中にある「上下左右とも海底を見通すことのできる、ガラス張りのトンネル」などは、実際に最近の水族館などでは見られるようになっていますが、その島で行われていることは、一般的観念から見れば大いに猟奇変態的なものです。

たことがあり(タイトルは「天国と地獄の美女」)、正月(1月2日)に3時間の拡大版(正味142分)で放映されています。明智小五郎役は天知茂、パノラマ島を造成する人見広介役は伊東四朗で(山林王・菰田源三郎と二役)、菰田千代
子(源三郎の妻)役が叶和貴子(当時25歳)、その他に小池朝雄、宮下順子、水野久美らがゲスト出演しています。パノラマ島
自体は再現し切れていないというのがもっぱらの評価で、実際観てみると、特撮も駆使しているものの、ジャングルとか火山とかの造型が妙に手作り感に溢れています(特撮と言うより"遠近法"?)。ただ、逆にこの温泉地の地獄巡り乃至"秘宝館"的キッチュ感が後にカルト的な話題になり、シリーズの中で最高傑作に推す人もいます(叶和貴子は第21話「白い素肌の美女」(原作『盲獣』(実質的には『一寸法師』)('83年)、北大路欣也版第3話「赤い乗馬服の美女」(原作『何者』)('87年)でも"美女役"を務めた)。
「江戸川乱歩 美女シリーズ(第17話)/天国と地獄の美女」●制作年:1982年●監督:井上梅次●プロデューサ:佐々木
孟/植野晃弘/稲垣健司●脚本:
「江戸川乱歩 美女シリーズ(天知茂版)」●監督:井上梅次(第1作-第19作)/村川透/長谷和夫/貞永方久/永野靖忠●プロデューサー:佐々木孟●脚本:宮川一郎/井上梅次/長谷川公之/ジェームス三木/櫻井康裕/成沢昌茂/吉田剛/篠崎好/江連卓/池田雄一/山下六合雄●撮影:平瀬静雄●音楽:鏑木創●原作:江戸川乱歩●出演:天知茂/五十嵐めぐみ(第1作-第19作)/高見知佳(第20作-第23作)/藤吉久美子(第24作・第25作)/大和田獏(第1作)/柏原貴(第6作-第19作)/小野田真之(第20作-第25作)/稲垣昭三(第1作)/北町嘉朗(第1作・第4作-第9作)/宮口二郎(第2作・第3作)/荒井注(第2作-第25作)●放映:1977/08~1985/08(天知茂版25回)【1986/07~1990/04(北大路欣也版6回)、1992/07~1994/01(西郷輝彦版2回)】●放送局:テレビ朝日

1 1977年8月20日 氷柱の美女 『吸血鬼』 三ツ矢歌子 12.6%
11 1980年4月12日 桜の国の美女 『黄金仮面II』 古手川祐子 15.9%
21 1983年4月16日 白い素肌の美女 『盲獣』(『一寸法師』) 叶和貴子 13.3%
ジェームズ三木 脚本家、作家、演出家、元歌手。
「善人の条件」●制作年:1989年●監督・脚本・原作:ジェームス三木●撮影:坂本典隆●音楽:羽田健太郎●時間:123分●出演:津川雅彦/すまけい/小林稔侍/橋爪功/井上順/イッセー尾形/山下規介/森三平太/浪越徳治郎/柳生博/松村達雄/丹波哲郎/小川真由美/桜田淳子/山岡久乃/野際陽子/汀夏子/守谷佳央理/野村昭子/小竹伊津子/鷲尾真知子/松金よね子/浅利香津代/泉ピン子/黒柳徹子●公開:1989/05●配給:松竹(評価:★★★)
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「桜の国」の主人公は七波ですが、その父・旭の負っているものも重い。それに加え、七波の親友であり、弟・凪夫に思いを寄せる利根東子。七波の父を追っての広島行きは、彼女に引っ張られてのことですが、彼女は被爆一家と付き合うことを親から禁じられていて、ここに1つ、被爆者に対する差別というのがテーマとして浮き彫りにされています。
「夕凪の街 桜の国」('07年/「夕凪の街 桜の国」製作委員会)




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