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フランス風の笑い(エスプリ)を体現したような作品。

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パリの古い下町に住む「ぼくの伯父さん」ことユロ氏(ジャック・タチ)が、自動化されアメリカナイズされたモダンな住宅やプラスチック工場で悪戦苦闘するコメディ「ぼくの伯父さん(Mon Oncle)」は、ジャック・タチ(1907-1982)監督の長編第2作「ぼくの伯父さんの休暇(Les Vacances de Monsieur Hulot))」('53年/仏)に続く長編第3作で、日本ではこちらの方が早く公開されています(タチが演じるユロ伯父さんが登場するのは「ぼくの伯父さんの休暇」と同じだが、直接のストーリー関係はない)。爆笑を誘うような場面はほとんど無いですが、知らず知らずのうちにくすっと笑っていて、観終えてからどこで笑ったか考え、またそこで思い出し笑いするといった、フランス風の笑い
(エスプリ)を体現したような作品。1958年・第11回「カンヌ国際映画祭 審査員特別賞」を受賞したほか、米国で1958年・第31回「アカデミー賞外国語映画賞」を受賞していますが、この作品ではそのモダンな住宅のセットも話題になり、ジャック・タチのモダニスト的な資質も注目されました(映画は小説化されていて、文庫化もされている)。
「ぼくの伯父さん」の1シーンとセットのレプリカ(パリ)
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一方、「ぼくの伯父さんの休暇)」は、海辺の避暑地にやって来てバカンスを楽しむユロ氏が、行く先々で珍妙な騒動を巻き起こすというもので、ストーリーらしいストーリーは存在せず、いわゆる「スケッチ・コメディー」(ポートレイト・ムービー形式のコメディ)に仕立てていますが、こちらもフランス人らしいエスプリの効いたコメディ作品であり、「ぼくの伯父さん」以前にジャック・タチのスタイルが出来上がっていたことを窺わせます。「ぼくの伯父さん」と違ってモノクロ映画ですが、これはこれで強い印象がありました。この作品は、1953年度の「ルイ・デリュック賞」を受賞していますが、コメディでは初のことと思われます。原題を直訳すると「ユロ氏の休暇」となり、伯父さんとの表現は出て来ませんが(本編中にもそのような言及は無い)、邦題がこのようになったのは、長編3作目「ぼくの伯父さん」の方が日本では先に公開されたためです(こちらも小説化されていて、文庫化もされている)。

先にピエール・エテックスの「ヨーヨー」('62年/仏)などの作品を取り上げましたが、ピエール・エテックスはジャック・タチのもとで映画作りの方法を学んでいます。少ないセリフや立ち振る舞い、街の人々を巻き込みながら起こる不運や偶然にニヤリとしてしまう感覚は両者の作品に共通するものであり、ピエール・エテックスがジャック・タチ作品からさまざまな要素を吸収しているのが、彼の映画から見て取れます。日本語版Wikipediaによると、彼は「ぼくの伯父さん」にも出演していたとあります(もちろん、この作品のユロ伯父さんを演じるのはジャック・タチであり、ピエール
・エテックスはどこに出ていたか思い出せない。また、英語版Wikipediaでは出演確認ができない)。まあ、ジャック・タチ監督の"弟子筋"といったとことろでしょうか。
Tati as M. Hulot(ジャック・タチ in「ぼくの伯父さん」('58年/仏))
「ぼくの伯父さん」「ぼくの伯父さんの休暇」とも、初めて観た際の評価は★★★でしたが、ネットで再見して、懐かしさのあまり(笑)★1つ加えました(初見の際には気づかなかったジャック・タチの洗練されたセンスも評価修正の要因)。

「ぼくの伯父さん」●原題:MON ONCLE(英題:My Uncle)●制作年:1958年●制作国:フランス・イタリア●監督・製作・脚本:ジャック・タチ●撮影:ジャン・ブールゴワン●音楽:アラン・ロマン/フランク・バルチェッリーニ●時間:120分●出演:ジャック・
タチ/アラン・ベクール/ジャン=ピエール・ゾラ/アドリアンヌ・セルヴァンティ/ドミニク・マリー/ルシアン・フレジス/ベティ・シュナイダー/イヴォンヌ・アルノー/ピエール・エテックス(?)●日本公開1958/12:●配給:新外映●最初に観た場所:日仏学院(82-09-25)(評価:★★★★)
「ぼくの伯父さんの休暇」●原題:LES VACANCES DE MONSIEUR HULOT(英題:Monsieur Hulot's Holiday, Mr. Hulot's Holiday)●制作
年:1953年●制作国:フランス●監督・製作・脚本:ジャック・タチ●撮影:フレッド・オラン/ジャック・タチ●音楽:アラン・ロマン●時間:88分●出演:ジャック・タチ/ナタリー・パスコー/ルイ・ペロー/アンドレ・デュボワ●日本公開:1963/08●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所:日仏学院(82-09-25)(評価:★★★★)
