【3631】 ○ ピエール・エテックス 「恋する男(女はコワイです)」 (62年/仏) (1963/11 東和) ★★★☆ (○ ピエール・エテックス/ジャン=クロード・カリエール 「破局」 (61年/仏) (2022/12 ザジフィルムズ) ★★★☆)

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エテックス監督の長編デビュー作&短編。共に軽妙で、軽くブラック・コメディ的。

「恋する男」「破局」.jpg
恋する男 HDレストア版 [DVD]」【映像特典】短編「破局」/「恋する男(女はコワイです)」「破局」

ピエール・エテックス 恋する男4.jpg 天文学の趣味に没頭してばかりの不器用な三十男(ピエール・エテックス)。ある日、父親(クロード・マッソ)から結婚を命じられ、色々な女性を求めて町恋する男(1962)1.jpgを歩いたが、この純情青年に振り向く女性はなかった。この家に下宿していたスウェーデンの美少女(カリン・ベズレー)にもプロポーズしたが、仏語のわからない彼女にはさっぱり。男は遂にナイトクラブでローレンス(ローランス・リニェール)という女と知りあったが、この女、大酒のみで困った性格だが、それでも優しく親切であった。とこ恋する男(1962)3.jpgろが、テレビの中で悩ましく歌う歌手(フランス・アルネル)を見て、彼はたちまちノボセる。部屋中を彼女のブロマイピエール・エテックス 恋する男3.jpgドで飾りたて、等身大の立看板まで持ち込む執心ぶり。この有様を見たスウェーデン娘の哀しみが彼に理解出来るワケもなく、苦心惨憺ようやく歌手の楽屋を訪ね、その夢と現実のあまりの差異に男は初めて大声で快活に笑った。スウェーデン娘が淋し恋する男(1962)2.jpgくパリを後にするとき、彼女こそ、彼の純情を理解した真実人生の伴侶にふさわしい女性であったことに彼は気づき後を追う―。

ピエール・エテックス 恋する男5.jpg 映画監督・俳優・イラストレーター・道化師など多彩に活躍したフランスのマルチアーティスト、ピエール・エテックス(1918-2016/87歳没)監督の1962年の長編監督デビュー作(原題:LE SOUPIRANT(英:THE SUITOR))。フランス本国で大ピエール・エテックス 恋する男8.jpgヒットし、喜劇映画ではジャック・タチの「ぼくの伯父さんの休暇」('53年/仏)以来恋する男(1962)ルイ・デリュック賞.jpgとなる「ルイ・デリュック賞」(毎年最高のフランス映画に与えられる、フランス映画界最古の映画賞)を受賞しています。

2022年12月24日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて開催の〈ピエール・エテックス レトロスペクティブ〉で公開された7作品の内の1つで、この作品のみが'63年に本邦公開済みで(当時の邦題は「女はコワイです」だった)、他の作品は"本邦初公開"でした(ただし、2015年11月13日(金)~ 12月20日(日)の約1ヶ月間、飯田橋にある東京日仏学院(アンスティチュ・フランセ東京)にて開催された「フレンチタッチ・コメディ!〜30年から現在までのフランス映画のコメディ特集」で、11月20日(金)に「幸福な記念日」('62年/12分)、「恋する男」('62年/83分)、「絶好調」('65年/13分)、「桃源郷」('71年/74分)が、12月6日(日)に「破局」('61年/11分)、「健康である限りは」('65年/80分)が、12月11日(金)に「ヨーヨー」('64年/99分)、「大恋愛」('68年/85分)が上映されているほか、同年11月21日(土)~29日(日)の第16回「東京フィルメックス映画祭」でも、在日フランス大使館とアンスティチュ・フランセ日本の共催で「特集上映ピエール・エテックス」が開催され、「ヨーヨー」「大恋愛」が上映されている。ただし、映画祭での上映であるため、ここでは'63年本邦公開の「恋する男(女はコワイです)」以外は、劇場公開されていない「桃源郷」を除き、「映画.com」に沿って2022年12月"本邦初公開"とした)。

恋する男(1962)4.jpg恋する男(1962)ル.jpg 非モテ系青年が結婚を決意し、女性と付き合おうとするも次々と失敗するコメディ。引き籠りの天文学オタクだけれども、女性には夢想的憧れを抱いているという、主人公の性格を如実に知らしめる演出が冒頭から巧みで、リアルさとオーバーにならない喜劇的演技のバランスがほど良かったように思います。

 たまたま主人公に近づいてきた女性は、美人だけれども厄介な女性で(ほぼ酔っ払い)、その女性とのやりとりが軽妙で笑え、そこから今度はテレビに登場した女性歌手に一目惚れしてしまって、妄想に浸るとまたオタク的気質全開。妄想がエスカレートして病んでいく展開は、ブラックユーモア的でもあります。

 最後、自分にとって大事な女性が実は一番身近にいたことに気づいたみたい。思いが通じ合ったのか、その辺りをぼかしているのが洒落ていると言えば洒落ているのかもしれないけれど、ストレートにハッピーエンドにしても良かったようにも思えました(一応、ほぼほぼハッピーエンドっぽいが)。


ピエール・エテックス 破局1.jpg 恋人から手紙を受け取った男。中には破かれた自分の写真が同封されていた!こちらも負けじと別れの手紙を書こうと奮闘するが、万年筆、インク、便箋、切手、デスク...なぜか翻弄されてどうしても返事を書くことができない―(「破局」)。

ピエール・エテックス 破局4.jpg ジャン=クロード・カリエールとの共同監督・脚本作ですが、セリフがなく、音を使ったギャグが冴える作品でした。何をやろうとしてもうまくいかない、こんなことって日常でもあるかも。ここまでそれが連続することはないにしても...。危ない、危ないと思わせて、実際そうなるところが上手いです。ただ、転落するラストは予想外でした。軽くブラック・コメディ的で、これは両作品に言えることかもしれません。

Le Soupirant[評価 7.2]
恋する男図1.jpgピエール・エテックス 恋する男cb.jpg「恋する男(女はコワイです)」●原題:LE SOUPIRANT(英:THE SUITOR)●制作年:1962年●制作国:フランス●監督:ピエール・エテックス●脚本:ピエール・エテックス/ジャン=クロード・カリエール●撮影:ピエール・ルバン●音楽:ジャン・パイヨー●時間:84分●出演:ピエール・エテックス/クロード・マッソ/デニース・ペロンヌ/ローレンス・リニエール/フランス・アルネル/カリン・ヴェスリ●日本公開:1963/11●配給:東和●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(24-07-23)(評価:★★★☆)●併映:「破局」(ピエール・エテックス)

Rupture[評価 6.9]
破局020.jpgピエール・エテックス 破局5.jpg「破局」●原題:RUPTURE●制作年:1961年●制作国:フランス●監督・脚本:ピエール・エテックス/ジャン=クロード・カリエール●撮影:ピエール・ルバン●音楽:ジャン・パイヨー●時間:12分●出演:ピエール・エテックス●日本公開:2022/12●配給:ザジフィルムズ●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(24-07-23)((評価:★★★☆)●併映:「恋する男」(ピエール・エテックス)


●「ルイ・デリュック賞」(1937年創設)これまでの受賞作
1937年 - 1949年
 1937年 どん底 Les Bas-fonds、ジャン・ルノワール
 1938年 Le Puritain、ジェフ・ムッソ (Jeff Musso)
 1939年 霧の波止場 Le Quai des brumes、マルセル・カルネ
 1940年(該当作なし)
 1941年(該当作なし)
 1942年(該当作なし)
 1943年(該当作なし)
 1944年(該当作なし)
 1945年 希望 Espoir, sierra de Teruel、アンドレ・マルロー
 1946年 美女と野獣 La Belle et la Bête、ジャン・コクトー
 1947年 パリ1900年 Paris 1900、ニコル・ヴェドレス
 1948年 Les Casse-pieds、ジャン・ドレヴィル (Jean Dréville)
 1949年 七月のランデヴー Rendez-vous de juillet、ジャック・ベッケル

1950年代
 1950年 田舎司祭の日記 Journal d'un curé de campagne、ロベール・ブレッソン
 1951年(該当作なし)
 1952年 恋ざんげ Le Rideau cramoisi、アレクサンドル・アストリュック
 1953年 ぼくの伯父さんの休暇 Les Vacances de monsieur Hulot、ジャック・タチ
 1954年 悪魔のような女 Les Diaboliques、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
 1955年 夜の騎士道 Les Grandes Manœuvres、ルネ・クレール
 1956年 赤い風船 Le Ballon rouge、アルベール・ラモリス (Albert Lamorisse)
 1957年 死刑台のエレベーター Ascenseur pour l'échafaud、ルイ・マル
 1958年 僕は黒人 Moi un noir、ジャン・ルーシュ
 1959年 日曜には埋葬しない On n'enterre pas le dimanche、ミシェル・ドラック (Michel Drach)

1960年代
 1960年 かくも長き不在 Une aussi longue absence、アンリ・コルピ
 1961年 Un cœur gros comme ça、フランソワ・レシャンバック
 1962年 不滅の女 L'Immortelle、アラン・ロブ=グリエ
     女はコワイです Le Soupirant、ピエール・エテックス
 1963年 シェルブールの雨傘 Les Parapluies de Cherbourg、ジャック・ドゥミ
 1964年 幸福 Le Bonheur、アニエス・ヴァルダ
 1965年 城の生活 La Vie de château、ジャン=ポール・ラプノー
 1966年 戦争は終った La guerre est finie、アラン・レネ(1回目)
 1967年 めざめ Benjamin、ミシェル・ドヴィル
 1968年 夜霧の恋人たち Baisers volés、フランソワ・トリュフォー
 1969年 すぎ去りし日の... Les Choses de la vie、クロード・ソーテ(1回目)

1970年代
 1970年 クレールの膝 Le Genou de Claire、エリック・ロメール
 1971年 Rendez-vous à Bray、アンドレ・デルヴォー (André Delvaux)
 1972年 戒厳令 État de siège、コスタ=ガヴラス
 1973年 サン・ポールの時計屋 L'Horloger de Saint-Paul、ベルトラン・タヴェルニエ
 1974年 平手打ち La Gifle、クロード・ピノトー (Claude Pinoteau)
 1975年 さよならの微笑 Cousin, cousine、ジャン=シャルル・タケラ
 1976年 判事ファイヤールあだ名はシェリフ Le Juge Fayard dit Le Shériff、イヴ・ボワッセ (Yves Boisset)
 1977年 ディアボロ・マント Diabolo menthe、ディアーヌ・キュリス (Diane Kurys)
 1978年 銀行 L'Argent des autres、クリスチャン・ド・シャロンジュ (Christian de Chalonge)
 1979年 王と鳥 Le Roi et l'oiseau、ポール・グリモー

1980年代
 1980年 Un étrange voyage、アラン・カヴァリエ (Alain Cavalier)
 1981年 Une étrange affaire、ピエール・グラニエ=ドフェール (Pierre Granier-Deferre)
 1982年 ダントン Danton、アンジェイ・ワイダ
 1983年 愛の記念に À nos amours、モーリス・ピアラ
 1984年 La Diagonale du fou、リシャール・ダンボ (Richard Dembo)
 1985年 なまいきシャルロット L'Effrontée、クロード・ミレール
 1986年 汚れた血 Mauvais Sang、レオス・カラックス
 1987年 右側に気をつけろ Soigne ta droite、ジャン=リュック・ゴダール
     さよなら子供たち Au revoir les enfants、ルイ・マル(2回目)
 1988年 読書する女 La Lectrice、ミシェル・ドヴィル(2回目)
 1989年 愛さずにいられない Un monde sans pitié、エリック・ロシャン

1990年代
 1990年 ピストルと少年 Le Petit Criminel、ジャック・ドワイヨン
     髪結いの亭主 Le Mari de la coiffeuse、パトリス・ルコント
 1991年 めぐり逢う朝 Tous les matins du monde、アラン・コルノー
 1992年 小さな王子が言いました Le petit prince a dit、クリスティーヌ・パスカル (Christine Pascal)
 1993年 スモーキング / ノー・スモーキング Smoking / No Smoking、アラン・レネ(2回目)
 1994年 野性の葦 Les Roseaux sauvages、アンドレ・テシネ
 1995年 とまどい Nelly et M. Arnaud、クロード・ソーテ(2回目)
 1996年 クリスマスに雪は降るの? Y aura-t-il de la neige à Noël?、サンドリーヌ・ヴェッセ (Sandrine Veysset)
 1997年 恋するシャンソン On connaît la chanson、アラン・レネ(3回目)
     マルセイユの恋 Marius et Jeannette、ロベール・ゲディギャン
 1998年 倦怠 L'Ennui、セドリック・カーン
 1999年 素敵な歌と舟はゆく Adieu, plancher des vaches !、オタール・イオセリアーニ

2000年代
 2000年 ココアをありがとう Merci pour le chocolat、クロード・シャブロル
 2001年 インティマシー/親密 Intimité、パトリス・シェロー
 2002年 ぼくの好きな先生 Être et avoir、ニコラ・フィリベール (Nicolas Philibert)
 2003年 ベルヴォー三部作 その一:素敵な夫婦 Un couple épatant / その二:逃亡 Cavale / その三:その後 Après la vie、リュカ・ベルヴォー (Lucas Belvaux)
     Les Sentiments、ノエミ・ルヴォフスキー (Noémie Lvovsky)
 2004年 キングス&クイーン Rois et reine、アルノー・デプレシャン
 2005年 恋人たちの失われた革命 Les Amants réguliers、フィリップ・ガレル
 2006年 レディ・チャタレイ Lady Chatterley、パスカル・フェラン
 2007年 La Graine et le Mulet、アブデラティフ・ケシシュ
 2008年 La Vie moderne、レイモン・ドゥパルドン
 2009年 預言者 Un prophète、ジャック・オーディアール (Jacques Audiard)

2010年代
 2010年 ミステリーズ 運命のリスボン Mystères de Lisbonne、ラウル・ルイス
 2011年 ル・アーヴルの靴みがき Le Havre、アキ・カウリスマキ
 2012年 マリー・アントワネットに別れをつげて Les Adieux à la reine、ブノワ・ジャコ
 2013年 アデル、ブルーは熱い色 La Vie d'Adèle、アブデラティフ・ケシシュ(2回目)
 2014年 アクトレス〜女たちの舞台〜Sils Maria、オリヴィエ・アサヤス


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