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スピルバーグ版はダイナミック、スタイリッシュで見応えがあり良かった。旧作に肉迫したか。

「ウエスト・サイド・ストーリー」 ('21年/米) レイチェル・ゼグラー/アリアナ・デボーズ(米アカデミー助演女優賞受賞) [下右]「ウエスト・サイド・ストーリー」「ウエスト・サイド物語」配役対比
「ウェスト・サイド・ストーリー」('21年/米)は、スティーブン・スピルバーグ監督が、ロバート・ワイズ監督の「ウェスト・サイド物語」('61年/米)を60年ぶりにリメイクしたものです。「ウェスト・サイド物語」はよく知られるように、元は「ロミオとジュリエット」を、ニューヨークの一角で対立抗争するポーランド系アメリカ人の少年非行グループ「ジェット団」と、
新参のプエルトリコ系アメリカ人の少年非行グループ「シャークス団」の若者に置き換えた(この翻案は振付家ジェームズ・ロビンズのアイデア)舞台
ミュージカルで、作曲家バーンスタインの協力で1957年にブロードウェイで上演され、それをロバート・ワイズとジェローム・ロビンズが共同監督で映画化し、映画としてもヒットしたものです。
旧作「ウエスト・サイド物語」は、アカデミー賞の作品賞をはじめノミネートされた11部門中10部門を受賞していて(この中には作品賞、監督賞とともにジョージ・チャキリスとリタ・モレノがそれぞれ助演男優賞と助演女優賞を受賞、ロバート・ワイズは4年後に「サウンド・オブ・ミュージック」でも監督賞を受賞している)、「トゥナイト」「アメリカ」「マン
ボ」「クール」「マリア」など、映画の中で歌われる曲も多くの人を魅了しました。「AFIアメリカ映画100年シリーズ」の、2004年の「アメリカ映画主題歌ベスト100」では「雨に唄えば」「サウンド・オブ・ミュージック」と並んで3曲が選ばれ、また2006年の「ミュージカル映画ベスト」では「雨に唄えば」続いて第2位(第3位が「オズの魔法使」、第4位が「サウンド・オブ・ミュージック」)にランクインしています。」このミュージカル映画史上の"名作"とされるオリジナルへのスピルバーグ監督の挑戦が注目されました。
結果的に日本での評価は割れているようですが、カメラワークはダイナミックで、ダンスはスタイリッシュで見応えがあり、個人的には前作を超えたとまでは言わないものの、良かったように思います。スピルバーグ監督に何を期待するかにもよりますが、あまり特別な期待を抱いていなかったせいか、技術的に洗練されている点が観ていて心地よかったです。
前作との違いを挙げれば、差別による分断を若者だけの問題でなく社会的問題として捉えていて、LGTBなどの問題にも触れていて、さらに銃社会への批判などが強調されている点が現代風でしょうか。これは町山智浩氏からの受け売りになりますが、「ジェントリフィケーション」(都市において低所得者層の居住地域が再開発によって活性化し、その結果、地価が高騰すること)の問題なども反映されているとのこと。確かに、再開発による「立ち退き」問題も強調されていたように思います(リンカーン・センター建設中の地でロケしている)。
あと、ポーランド系とプエルトリコ系の対立と言いながらも、前作では例えばベルナルドを演じたジョージ・チャキリスはギリシャ系、マリアを演じたナタリー・ウッドはロシア系だったりして、「シャークス団」の
メンバーも実は白人俳優が多く、せいぜい"ドグの店"のドグを演じたネッド・グラスが本物のポーランド系、アニタを演じたリタ・モレノが本物のプエルトリコ系ぐらいだったのに対し、今回は、ベルナルドを演じたデヴィッド・アルヴァレスはキューバ系 マリアを演じたレイチェル・ゼグラー(3万人が参加したオーディションから選ばれたという)、アニタを演じたアリアナ・デボーズ(アカデミー賞助演女優賞にノミネートされた)は共にプエルトリコ系で、そのあたりはこだわったようです(プエルトリコ系同士の会話はスペイン語になるが、本国公開ではポリティカル・コレクトネスの立場か英語字幕をつけなかったという)。
前作のアニタ役のリタ・モレノ(アカデミー賞助演女優賞受賞)が、白人と結婚したプエルトリコ移民で、トニーが働きポーランド系の若者が集まる店(前作の"ドグの店"に該当)の店主役で出ているのが嬉しいです(1931年生まれ。製作総指揮も務め、米国でこの映画が公開された翌日に満90歳になった)。でも、前作でネッド・グラスが演じたポーランド系移民のドグは、ナチスの迫害を逃れて米国に来たということが暗示されていたので、抜け落ちてしまった部分もあり、まあ新旧、一長一短というところでしょうか。
個人的評価は旧作の方が若干上ですが、新作も頑張ってそれに肉迫したと言えるように思い、両方とも星4つとしました(「ロミオとジュリエット」からの翻案は舞台化の際の成果なので、映画としての両作の間でハンデは付けなかった)。

「ウエスト・サイド・ストーリー」●原題:WEST SIDE STORY●制作年:2021年●制作国:アメリカ●監督:スティーヴン・スピルバーグ●製作:スティーヴン・スピルバーグ/ケヴィン・マックコラム/クリスティ・マコスコ・クリーガー●脚本:トニー・クシュナー●撮影:ヤヌス・カミンスキー●音楽:レナード・バーンスタイン/デヴィッド・ニューマン●原作:アーサー・ローレンツ●時間:156分●出演:アンセル・エルゴート/ レイチェル・ゼグラー/アリアナ・デボーズ/デヴィッド・アルヴァレス/マ
イク・ファイスト/ジョシュ・アンドレス/コリー・ストール/リタ・モレノブライアン・ダーシー●日本公開:2022/02●配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン●最初に観た場所:上野・TOHOシネマズ上野(シアター2)(22-03-03)(評価:★★★★)
TOHOシネマズ上野

「ウエスト・サイド物語」●原題:WEST SIDE STORY●制作年:1961年●制作国:アメリカ●監督:ロバート・ワイズ/ジェローム・ロビンズ●製作:ロバート・ワイズ●脚本:アーネスト・レーマン●撮影:ダニエル・L・ファップ●音楽:レナード・バーンスタイン/デヴィッド・ニューマン●原作:アーサー・ローレンツ●時間:152分●出演:ナタリー・ウッド/リチャード・ベイマー/ジョージ・チャキリス/リタ・モレノ/ラス・タンブリン/サイモン・オークランド/ネッド・グラス●日本公開:1961/12●配給: ユナイテッド・アーティスツ●最初に観た場所:吉祥寺・テアトル吉祥寺(82-09-23)(評価:★★★★)
リタ・モレノ(1961/2021)

【2018年・米アカデミー賞授賞式】1962年にミュージカル映画「ウエスト・サイド・ストーリー」でアカデミー助演女優賞を受賞したリタ・モレノ。56年後の2018年アカデミー賞授賞式にプレゼンターとして、同じドレスで登場した(当時86歳)。
アリアナ・デボーズ 2022年・米アカデミー助演女優賞






胸部外科医のメイフィールド(レナード・ニモイ)は、上司のハイデマン博士(ウィル・ギア)との心臓移植の拒絶反応を抑える新技術の共同研究の成果を、他の研究グループが発表する前に先手を打って発表すべきだと考えていたが、ハイデマン博士はもっと治験が必要だとして発表を認めない。そんな折、博士が心臓の病に倒れ、博士の主治医でもあるメイフィールドが手術をすることになるが、手術を補佐した看護婦のシャロン(アン・フランシス)は、メイフィールドが縫合糸に何か細工をしたことに気づく。真面目な彼女は自分の疑問を確認しようとするが、その最中にメイフィールドに殺されてしまう―。
「刑事コロンボ」第15話で、レナード・ニモイの冷静な犯人役が際立っている作品。むしろ、コロンボの方がメイフィールドのデスクを叩いて激昂するという珍しい場面(台詞上は「ハイデマン博士の面倒をよくみることだ。もし死んだら、当然われわれは検死解剖を要求する。そして、単なる心臓発作による死亡なのか、糸のためなのかを確認するからな」―言葉使いも荒い)があったりするので、ますますメイフィールドの冷静さが浮き彫りにされるわけですが、この「冷静さ」がコロンボによる事件解決の伏線になっていたわけだなあ(実はコロンボの「激昂」そのものも、メイフィールドを窮地に追い詰め、彼に次の行動を起こさせてボロを出させるための演技だったわけだが)。
犯人だとは分かっているけれど、証拠が出ない―それが最後の最後で閃いた、土壇場の逆転劇であるとするならば、その直前にコロンボがメイフィールドに対し表向きは負けを認めて一旦引き下がったのは、まだ逆転の可能性はあるという思いを裡に秘めた演技半分、悔しいという本音半分だったのでしょうか。とにかく、それぐらい手強い相手だったということなのでしょう。それにしても、ミスター・スポックことレナード・ニモイ、昔からああいう独特のマスクだったんだなあ。
但し、TV版「宇宙大作戦/スタートレック」は1966年から1969年に全米で放映されており、このコロンボ出演('73年)の前のこと(従って、彼が「コロンボ」に出演していた時には既に「レナード・ニモイ=スポック博士」のイメージが浸透していたことになる)、TV版が映画「スタートレック」になったのが'79年で、その後、「スタートレックⅥ」まで作られましたが(新シリーズを含めると2009年までに11作映画化されている)、「Ⅲ・Ⅳ」をレナード・ニモイ、「Ⅴ」をカーク船長ことウィリアム・シャトナーが監督しています。
因みに、宇宙艦エンタープライズ号のカーク船長役のウィリアム・シャトナーも、'76年に「刑事コロンボ」の第38話「ルーサン警部の犯罪」に犯人役で出演しています(第63話「4時02分の銃声」でも再び犯人役を演じている)。
その「ルーサン警部の犯罪」は、本物の警部が犯罪を犯すわけではなく、テレビの人気ミステリ・シリーズで名警部役を演じている俳優が犯人であるという、あたかも「刑事コロンボ」を意識したかのような背景で、ウィリアム・シャトナー演じるところの犯人が「ルーサン警部」の立場からコロンボと一緒に事件の謎を解いていくという凝った設定ですが、事件そのものは余りに状況証拠が多すぎて、コロンボにとってはあまり難事件とは言えなかったかも。
最後に決め手となる物的証拠も、犯人の指紋の拭き忘れという凡ミスに拠るもので、強いて言えば、犯人が殺人を犯した自分自身とルーサン警部という架空のキャラクターとの区別がつかなくなっている(?)のが、
犯罪心理面での見所でしょうか。そうしたことも含め、レナード・ニモイの冷静な犯人像に比べると、ウィリアム・シャトナーのこのエピソードにおける犯人像はかなり弱々しく思えました(それにしても、ウィリアム・シャトナー、若いなあ)。
個人的には、「スタートレック」シリーズを劇場で観たのは「Ⅲ」くらいまでかなあ(「Ⅲ」では初代「宇宙大作戦」の原作者(生みの親)ジーン・ロッデンベリーが原作者としてクレジットされている)。「新スタートレック」 「スタートレック:ディープ・スペース・ナイン」といったTV版も一部ビデオで観たので、もう、どれがどれだか分らなくなってしまいましたが、作品の出来不出来はともかく、やはり最初に観た「Ⅰ」が印象に残りました(「ヴィジャー」って何かと思ったらそういうことだったのか、という衝撃があった)。
いずれにせよ、このTVシリーズと映画化作品が全米で絶大な人気を得たのは事実で、トレッキーまたはトレッカーと呼ばれる熱心なファンがアメリカのみならず世界中の宇宙関連事業関係者にも多いと言われています。そうした現象を逆手に取ってパロディ化したディーン・パリソット監督、ティム・アレン主演の「ギャラクシー・クエスト」('99年/米)というのもありました。20年前TVシリーズ「ギャラクシー・クエスト」で宇宙の英雄である「エンタープライズ号」ならぬ「プロテクター号」乗組員を演じて
人気を博すも、今は売れずにファンへのサイン会
やイベントを糧にして生活を送っていた俳優たちが、他の星の宇宙人の侵略に苦しむ中「ギャラクシー・クエスト」の電波を自星で受信し、架空のドラマだとは思わずに歴史ドキュメンタリーと信じて助けを求めてきた宇宙人たちによって実際の宇宙戦争に巻き込まれるという二重構造に、「スタートレック」のパロディを絡ませた三重構造の形を取っていて、なんだかオリジナルより面白かったような...。今思えば、当時「エイリアン4」('97年)までの出
演を終えたシガニー・ウィーバー(「
因みに、「溶ける糸」でメイフィールドに殺されてしまう優しく真面目な看護婦役のアン・フランシス(1930-2011)は、ロープウェイでのラストシーンが印象的な「刑事コロンボ」シリーズ第8話「
は、「
アン・フランシス&レスリー・ニールセン 「禁断の惑星」(1956)
「刑事コロンボ(第15話)/溶ける糸」●原題:A STITCH IN CRIME●制作年:1973年●制作国:アメリカ●監督:ハイ・アヴァバック●製作:ディーン・ハーグローヴ●脚本:シャール・ヘンドリックス●ストーリー監修:ジャクソン・ギリス●時間:73分●出演:ピーター・フォーク/レナード・ニモイ/ウィル・ギア/アン・フランシス/ニナ・タルボット/ジャレッド・マーティ/ヴィクター・ミラン/アニタ・コルシオ●日本公開:1973/10●放送:NHK-UHF(評価:★★★★)

「スタートレック」●原題:STAR TRECK●制作年:1979年●制作国:アメリカ●監督:ロバート・ワイズ●製作:ジーン・ロッデンベリー●脚本:ハロルド・リヴィングストン/レナード・ニモイ●撮影:リチャード・H・クライン
アン/ウォルター・ ケーニッグ/ジョージ・タケイ/パーシス・カンバータ/スティーブン・コリンズ/メイジェル・バレット/ニシェル・ニコラス●日本公開:1980/07●配給:パラマウント映画=CIC●最初に観た場所:渋谷パンテオン(80-07-14)●2回目:大井ロマン(85-02-09)(評価:★★★☆)●併映(2回目):「スター・トレック2 カーンの逆襲」(ニコラス・メイヤー)/「スター・トレック3 ミスター・スポックを探せ!」(レナード・ニモイ) 

「スタートレックII カーンの逆襲」●原題:STAR TREAK 2 THE WRATHOF KHAN●制作年:1982年●制作国:アメリカ●監督:ニコラス・メイヤー●製作:ロバート・サリン●脚本:ジャック・B・ソワーズ/ニコラス・メイヤー●撮影:ゲイン・レシャー●音楽:ジェームズ・ホーナー●時間:113分/117分(ディレクターズ・カット版)●出演:ウィリアム・シャトナー/レナード・ニモイ/デフォレスト・ケ
リー/ジェームズ・ドゥーアン/ニシェル・ニコルズン/ジョージ・タケイ/ウォルター・ケーニッグ/ビビ・ベッシュ/メリット・バトリック/カースティ・アレイ/ポール・ウィンフィールド/リカルド・モンタルバン/ジャドスン・スコット/ジョン・ウィンストン●日本公開:1983/02●配給:パラマウント映画●最初に観た場所:大井ロマン(85-02-09)(評価:★★★)●併映:「スター・トレック」(ロバート・ワイズ)/「スター・トレック3 ミスター・スポックを探せ!」(レナード・ニモイ)

「スタートレックⅢ ミスター・スポックを探せ!」●原題:STAR TREAK 3 THE SEARCH FOR SPOCK●制作年:1984年●制作国:アメリカ●監督:レナード・ニモイ●製作:ロバート・サリン●脚本:ジャック・B・ソワーズ/ニコラス・メイヤー●撮影:チャールズ・コレル●音楽:ジェームズ・ホーナー●原作:ジーン・ロッデンベリー●時間:105分●出演:ウィリアム・シャトナー/レナード・ニモイ/デフォレスト・ケリー/ジェームズ・ドゥーアン/ニシェル・ニコルズン/ジョージ・タケイ/ウォルター・ケーニッグ/メリット・バトリック/ロビン・カーティス/クリストファー・ロイド/マーク・レナード/デイム・ジュデ
ィス・アンダーソン/キャシー・シリフ/ロバート・フックス/フィリップ・R・アレン/ジェームズ・B・シッキング/ジョン・ラロケット/ティーヴン・リスカ/ポール・ソレンセン/フィル・モリス/ミゲル・フェラー●日本公開:1984/06●配給:パラマウント映画●最初に観た場所:大井ロマン(85-02-09)(評価:★★★)●併映:「スター・トレック」(ロバート・ワイズ)/「スター・トレック2 カーンの逆襲」(ニコラス・メイヤー)



「ギャラクシー・クエスト」●原題:GALAXY QUEST●制作年:1999年●制作国:アメリカ●監督:ディーン・パリソット●製作:マーク・ジョンソン/チャールズ・ニューワース●脚本:デビッド・ハワード/ロバート・ゴードン●撮影:イェジー・ジェリンスキー●音楽:デヴィッド・ニューマン●時間:102分●出演:ティム・アレン/シガニー・ウィーバー/アラン・リックマン/トニー・シャルーブ/サム・ロックウェル/ダリル・ミッチェル/エンリコ・コラントーニ/パトリック・ブリーン/ミッシー・パイル/ジャスティン・ロング/ロビン・サックス/ジェド・リース/ジェレミー・ハワード/ケイトリン・カラム/ジョナサン・フェイヤー●日本公開:2000/01●配給:ユナイテッド・インターナショナル・ピクチャーズ(評価:★★★★)


