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個人的ベスト3は、①「女主人」、②「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」、③「豚」。



『Kiss Kiss』『キス・キス (ハヤカワ・ミステリ文庫)
』(田口俊樹:訳)'14年新訳版(カバーイラスト:ハッタノリカズ) 『異色作家短篇集〈1〉キス・キス (1974年)
』『キス・キス (異色作家短編集)
』(開高健:訳)'74年改訂新版/'05年新装版


『キス・キス』はロアルド・ダール(Roald Dahl、1916-1990/享年74)の1946年刊行の第一短編集『飛行士たちの話』('81年/ハヤカワ・ミステリ文庫)、1953年刊行の第二短編集『あなたに似た人』('57年/ハヤカワ・ミステリ)に続く1960年刊行の第三短編集で、その後、1974年に第四短編集『来訪者』('89年/ハヤカワ・ミステリ文庫)が刊行されています。『キス・キス』は本邦では、1960年に早川書房より開高健(1930‐1989)の訳で「異色作家短篇集〈1〉」として刊行され('74年に改訂新版)、2005年に新装版が出ましたが、2014年にハヤカワ・ミステリ文庫で田口俊樹氏による新訳版がでました。
『異色作家短編集〈第1集〉キス・キス』ロアルド・ダール(開高 健:訳)(1960/12 早川書房)
「女主人」 "The Landlady"
夜遅くようやく新しい赴任地に着いた17歳のビリーは、ふと目に入った『お泊りと朝食』という文字と値段の安さに惹かれてその家を滞在先に決める。そこには優しそうにみえる女主人がいた。宿帳を見るとそこに書いてある二人の名前に何となく見覚えが―。初っ端からブラック。徐々に真実が見えてくるところが怖いです。アメリカ探偵作家クラブ最優秀短編賞受賞作。この作品は、CBSで1955年から1962年に放映された「ヒッチコック劇場(Alfred Hitchcock Presents)」で第184話「ロンドンから来た男」(1961)(ヒッチコック劇場の「話数」は本邦のものを採用)として映像化されています。原作で17歳の主人公が22歳のちょうど大学を出るか出ないかくらいの若者(ディーン・ストックウェル)に変更されていて、冒頭、彼が酒場に立ち寄り、たまたま壊れた店のレジを直してあげるというエピソード付きで、意外としっかり者という感じ。泊まることにした宿の女主人(パトリシア・コリンジ)が終始機
嫌よく、その分怖さとユーモアが同居した(所謂ブラック
ユーモアという感じか)作品でした。原作と同じく、女主人の意図を仄めかすところで終わっていますが、このことが原作の最大の上手さのポイントであり、それを生かしていると言えます。ちょっと「サイコ」('60年)を思い出しました。モーテル経営のノーマン青年も最初は親切な好青年として登場しますが、はく製作りが趣味らしいと分かったところから何だか不気味に見えてきます。
Alfred Hitchcock Presents - Season 6 Episode 19 #210."The Landlady"(1961)(「ロンドンから来た男」)
また、BBCで1979年から1988年に放映されたドラマシリーズ「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(Tales of the Unexpected)」では、全9シリーズ112話の内の、第1シリーズ第5話(全シリーズ通し番号。以下、同)「女主人」(1979)としてドラマ化されています。女主人(シヴォーン・マケナ)の宿にやってくる青年(レオナルド・プレストン)は18歳と、原作に近い設定で、ヒッチコック劇場版より頼りない感じ。女主人公の意図を仄めかすところ
で終わっている原作に対し、こちらは、彼女がこれから「仕事」にかかろうとするところまで映像化していて、原作の"ネタ"解説的になっています(先行する二人の犠牲者も出てくる)。しっかり者に見える青年が女主人の罠に落ちるヒッチコック劇場の方が上でしょうか。ロアルド・ダール劇場版はロアルド・ダールが冒頭解説で登場しているくらいですから、仮に「原作で描かれなかったその先」を映像化するとこうなるものとみていいのでしょう。
Tales of the Unexpected - The Landlady (1979)(「女主人」)
「ウィリアムとメアリー」 "William and Mary"
オックスフォードの哲学教授ウィリアムは癌に侵され、余命いくばくもなくなったとき、医師ランディに、脳だけを生かす実験に協力するよう頼まれ、これを受け入れて死んでいく。遺書で事の次第を読んだ妻のメアリイは、ランディ医師の病院に赴く―。ラストの妻が怖いです。自分が長年押さえつけていた妻からどういう目に遭うかということも考えておかなければならなかったということか。
「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中で、第1シリーズ第3話「ウィリアムとメアリー」(1979)としてドラマ化されています。ドラマではウィリアムが既に亡くなっているところから始まって、ランディ医師がメアリーにいろいろと状況を説明するようになっていますが、基本的には原作通りです(映像化作品を観ても新たな気づきがあるという感じではない)。ちょっと不気味ですが、最後のメアリーのタバコの吸いっぷりでユーモラスに締めたという感じでしょうか。
Tales of the Unexpected - William and Mary (1979)(「ウィリアムとメアリー」)
「天国への道」 "The Way up to Heaven"

フォスター夫妻はニューヨークの6階建の大邸宅に住む富豪で何不自由ない暮らしに見えるが、妻は夫の底意地の悪さに辟易している。その妻がパリにいる娘に会いに出かける日、フライトの時間に間に合わないと焦る妻は、まだぐずぐず屋敷内にいる夫を呼びに玄関まで来た。そして鍵を開けかけて、中から聞こえる音に耳をすまし、瞬時ためらったものの、そのまま夫を置き去りにして空港へと急ぐ。それから3週間。妻が自邸に戻ってみると、どうやら夫は―。これって、"未必の故意"?「ロアルドダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第9話でドラマ化(「天国へのエレベーター」(1979))されていて、「エデンの東」('55年)、「刑事コロンボ/別れのワイン」('73年)

のジュリー・ハリスが妻を演じています。ラストは暗示的な原作に対して、ああ、こーゆーことだったのかと"目に見える"結末となっていて、殆ど原作の"オチ"解説みたいな感じでした。つまり、彼女は、夫が乗っているはずのエレベーターが中空で停まっているのに気づいたけれど、知らない素振りをしたわけで、これは"未必の故意"以上かも。
Tales of the Unexpected - The Way up to Heaven(1979)(「天国へのエレベーター」)Julie Harris
「牧師の愉しみ」 "Parson's Pleasure"
ロンドンの骨董商のボギス氏は、田舎の農家に掘り出し物があることを知り、怪しまれないように牧師の格好で家を訪れ、お目当ての家具を手に入れるために交渉する。今回は名人作の衣装戸棚が見つかり、これで大金持ちになり、業界での名声も得られると有頂天だったが、安く買い叩こうと「脚だけがほしいのだが...」と言ったのが運のつきで、車を取りに戻っている間に、売主は親切心から、戸棚の躯体部分を解体してしまう―。ダールの短編集でお馴染み、農家のラミンズ、バート、クロードの親子トリオが絶妙に可笑しいです。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第3シリーズ第31話でドラマ化(「アンティークの家具」(1980))されています。
原題タイトルは「牧師の愉しみ」ですが、骨董商ボギス氏が牧師に化けているのであっ
て、ドラマでは、民家を訪ねたら本物の牧師が出てきて慌てるという場面が冒頭にあります。全体としては原作以上でも以下でもないですが、第6話「首」にも執事役で出ていたジョン・ギールグッドの演技達者と、ラミンズ、バート、クロードの親子トリオが実写で見られるのが良いです。
Tales of the Unexpected - Parson's Pleasure(1980)(「アンティークの家具」)John Gielgud
「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」 "Mrs Bixby and the Colonel's Coat"
ビクスビー夫人はニューヨークの歯科医の妻で、月に一度、伯母の介護という名目でボルチモアに出かけ、そこで「大佐」と呼ばれる渋い中年男との逢瀬を楽しんでいたが、やがて別れがやってきて、手切れ金代わりに高価なミンクのコートを貰う。彼女はコートを質屋に預け、質札を拾ったことにして夫への説明を切り抜けようとするが―。質屋にコートを自分で取りに行かなかったのが失敗原因ですが、夫も.........ということなのでしょう。この作品は「ヒッチコック劇場」で第193話「中年夫婦のために」(1960)としてドラマ化されています(「女性専科第一課 中年夫婦のために」)

。ヒッチコック自身が演出していて、原作がいいということもありますが、あらすじを知ったうえで観ていても楽しめました。主役のオードリー・メドウズはいかにもヒッチコックが好んで使いそうな感じの女優でした。
Alfred Hitchcock Presents - Season 6 Episode 1 #192."Mrs. Bixby and the Colonel's Coat"(1961)(「中年夫婦のために」)Audrey Meadows


また、「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第1話「南部から来た男」に続く第2話「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」(1979)としてドラマ化されています。これも「天国へのエレベーター」と同じくジュリー・ハリス主演ですが、「ヒッチコック劇場」版と比べると弱いか。
Tales of the Unexpected - Mrs Bixby and the Colonel's Coat(1979)(「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」)Julie Harris
「ロイヤルゼリー」 "Royal Jelly"

若き養蜂家アルバート・テイラーは、子宝に恵まれたばかりだが、乳飲み児の娘の食が細くて、妻ともどもとても心配している。そこで彼は、ミルクにロイヤルゼリーを混ぜることを思いつき、娘の食欲を回復させることに成功したが、娘は次第に女王蜂さながらになってきて―。シュ
ールな恐怖です。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第2シリーズ第10話でドラマ化(「新案育児法」(1980))されていて、妻を「わらの犬」('71年)のスーザン・ジョージが演じています。コレ、原作のラストはSF仕立てになっているわけではなく、「ノイロ-ゼ妻」が幻覚妄想状態になっているということなのでしょう。
Tales of the Unexpected - Royal Jelly(1980)(「新案育児法」)
Susan George
「ジョージー・ポージー」 "Georgy Porgy"
私ことジョージー・ポージーは若い牧師だが、幼い頃の母親の異常な性教育のお蔭で女性恐怖症となり、女性と付き合ったことがまだ無い。だが、劣情は人一倍強く、教区の独身女性たちの誘惑も激しいため、それらを押し留めるのに苦慮している。そんな折、珍しく清楚で溌剌としてミス・ローチと巡り会い、勧められるままアルコールの飲み物を啜り、気分が高揚して勢いで彼女に迫るも、やり方が拙かったらしく、彼女はいたくおかんむり。私は思わず彼女の口の中に飛び込み、今やその十二指腸の上に小部屋を作って、ほとぼりが醒めるまでしばらくのんびりを
決め込んでいる―。ということで、これも終盤いきなりシュールになりますが、ネズミを使って雄と雌でどちらが性欲が強いか実験しているのが可笑しかったで
す。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第2シリーズ第18話でドラマ化(「ママの面影」(1980)されており、牧師を誘惑するジョーン・コリンズは、第6話「首」(1979)にも不倫妻役で出ていましたが、今回は母親との一人二役が楽しめます。これも映像化作品のラストからみるに、原作の終わりの方は、主人公の「ノイロ-ゼ牧師」が幻覚妄想状態になっているということなのでしょう。教会に来た女性たち全員が裸に見える(笑)というあたりが伏線でしょうか。
Tales of the Unexpected - Georgy Porgy(1980)(「ママの面影」)Joan Collins
「始まりと大惨事―実話―」 "Genesis and Catastrophe"
ドイツの国境に近い町で、一人の男の子が生まれる。母親にとっては4人目の子だが、これまでは皆幼くして亡くなってしまっていた。健やかに育ってと母親は祈るような気持ちだが、様子を見に来た酔っ払いの税官吏の夫は、子供の小ささを指摘する。見るに見かねた医者がふたりの仲をとりもち、子供の未来をともに祝福するようにと諭す。さてその子とは―。最後の方になって、「実話」(邦題のみに付されている)の意味が分かります。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第2シリーズ第21話でドラマ化(「父親になる日」(1980))されていて、酔っ払いの父親を
ルキノ・ヴィスコンティ監督の「地獄に堕ちた勇者ども」('69年)で ナチ指揮官アッシェンバッハを演じたヘルムート・グリーム(「ルートヴィヒ」('69年)にも大佐の役で出ていた)が演じています(今回も税官吏と言うより軍人っぽい)。物語のオチは、原作以上に最後ぎりぎりまでわからないようになっています(ただ、原作を読み、オチを知っていて観るとイマイチか)。
Tales of the Unexpected - Genesis and Catastrophe(1980)Helmut Griem(「父親になる日」)
「勝者エドワード」 "Edward the Conqueror"
ルイーザとエドワードは初老の夫婦。あるとき庭仕事をしていて、見慣れぬ猫を見つける。猫を家に入れ
たまま、ルイーザがピアノ
を弾くと、猫はリストの曲に反応する。猫の顔にはリストと同じ位置にホクロがあり、ルイーザはこの猫がリストの生まれ変わりに違いないと思い込むが、エドワードは取り合わない。ルイーザが猫のために特別料理を用意している間、エドワードは猫を伴って庭に出て行く。料理が出来たが、肝心のリスト猫はどこなのか―。開高健は「暴君エドワード」と訳していますが、「暴君」としてしまうと、猫をリストの生まれ変わりだと思い込んで、夫そっちのけで猫に特別料理を作っている妻の方が「暴君」であるともとれるので、ここはやはり「勝者」が妥当でしょう。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中で、第1シリーズ第7話「暴君エドワード」(1979)としてドラマ化されています。夫婦を演じたのは、「旅路」('58年)、「オリエン
ト急行殺人事件」('74年)のウェンディ・ヒラーと「市民ケーン」('41年)、「第三の男」('49年)のジョセフ・コットン。これは原作を更にひと捻りしたのか、それともこれがそのまま原作の解題なのか、どちらにもとれるラストが微妙でした。原作との関係において"傑作"と言え、第1シリーズのエピなので、ロアルド・ダール自身の案でこうなったのかもしれません。
Tales of the Unexpected - Edward the Conqueror(1979)(「暴君エドワード」)Joseph Cotten
「豚」 "Pig"
レキシントンは生後2ヶ月で孤児となり、大叔母に育てら、菜食主義者の彼女の手ほどきで料理を習い、腕前をめきめき上げた。その叔母が死ぬと、遺言に従いニューヨークに行って、さらに料理修行に励むつもりだった。ところが、菜食しかしていないレキシントンは、はじめて食べた豚肉の旨さにとりつかれる。豚肉の仕入先を求めて、屠殺場に赴くが、どうしたことか豚を絞め殺すためのベルトコンベアーに乗せられてしまう―。最後、やはりシュールでした。
「世界チャンピオン」 "The Champion of the World"
ガソリンスタンドの共同経営者クロードとゴードンは、ミスター・ヘイゼル所有の森で密猟をすることする。ミスター・ヘイゼルは成金で、上流階級に入り込むための手段として、年に一度、自分の森でキジの狩猟会を催している。その前に、睡眠薬入りのレーズンを使った狩猟法でごっそりキジをせしめ、ヘイゼルの鼻を明かしてやろうというわけだ。ことは予定通り進んだはずだったが―。開高健訳では「ほしぶどう作戦」。「クロードの犬」のクロードとゴードンがまたも登場し、何か企みをするのも同じですが、「クロードの犬」の時は金儲けのためでしたが、今回は成金の鼻を明かすため。そして、今回も失敗でした(おそらく逃げたキジは森に帰るのだろう)。因みに、この話はロアルド・ダール自身によって児童文学として翻案されていて、『チョコレート工場の秘密』などのロアルド・ダールの児童文学作品の代表的挿画家であるクェンティン・ブレイクの挿絵入りで子どもが読めるものとなっています。
『ダニーは世界チャンピオン (ロアルド・ダールコレクション 6)』
"Landlady(全文)

全体の中で個人的には「女主人」「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」「豚」が良かったでしょうか。順位をつければ、①「女主人」、②「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」、③「豚」。「女主人」「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」はヒッチコック劇場版の映像化作品(それぞれ「ロンドンから来た男」「中年夫婦のために」)も良かったです(映像化作品では「中年夫婦のために」が一番か)。好みはおそらく人によって違ってくると思いますが、「ウィリアムとメアリー」「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」「天国への道」に見られるように夫婦物は押しなべてブラックで、訳者あとがきで「O・ヘンリーの名短編集『賢者の贈り物』に出てくるような中睦まじくも麗しい夫婦とは言えない夫婦ばかりで、そのあたりがいかにもダールである」(笑)とあり、まさにその通りでした。
The Landlady

「ヒッチコック劇場(第184話)/ロンドンから来た男」●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 6 E 19-#210)THE LANDLADY●制作年:1961年●制作国:アメリカ●本国放映:1961/02/21●監督:ポール・ヘンリード●脚本:Robert Bloch●原作:ロアルド・ダール「女主人」●時間:30分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/パトリシア・コリンジ/ディーン・ストックウェル/Laurie Main●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放映局:日本テレビ(評価★★★★)

「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第5話)/女主人」●原題:Tales of the Unexpected -THE LANDLADY●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/21●監督:ハーバート・ワイズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「女主人」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/シヴォーン・マケナ/レオナルド・プレストン●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
「予期せぬ出来事 3枚組BOX [DVD] JVDD1157」(「南から来た男」「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」「ウィリアムとメリー」「おとなしい凶器」「女主人」「首」「暴君エドワード」「海の中へ」「天国へのエレベーター」)

「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第3話)/ウィリアムとメアリー」●原題:Tales of the Unexpected -WILLIAM AND MARY●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/07●監督:ドナルド・マクウィニー●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「ウィリアムとメアリー」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/エレイン・ストリッチ/マリウス・ゴーリング/リチャード・ハンプトン/ジミー・マック●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)

「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第9話)/天国へのエレベーター」●原題:Tales of the Unexpected -THE WAY UP TO HEAVEN●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/05/19●監督:サイモン・ラングトン●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「天国への道」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジュリー・ハリス/ローランド・カルヴァー/アンガス・マッケイ/ジェレミー・ロングハースト●日本放映:1980/06●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)

「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第31話)/アンティークの家具」●原題:Tales of the Unexpected -PARSON'S PLEASURE●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国
放映:1980/11/30●監督:ジョン・ブルース●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「牧師の愉しみ」●時間:27分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジョン・ギールグッド/バーナード・マイルズ/リー・モンタギュー/ゴッドフリー・ジェームス●DVD発売:2006/09●発売元:JVD(評価★★★☆)
「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 第三集 [DVD]」(「負け犬」「動かぬ証拠」「最高の同居人」「死者の悪口にご用心」「隠された悪意」「アンティークの家具」「音響捕獲機」「満ち潮」「望みすぎた女」「パーティ」「妻の遺産」「おとり捜査」)
Mrs. Bixby and the Colonel's Coat

「ヒッチコック劇場(第193話)/中年夫婦のために」●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 6 E 1-#192)MRS. BIXBY AND THE COLONEL'S COAT●制作年:1960
年●制作国:アメリ
カ●本国放映:1960/09/27●監督:アルフレッド・ヒッチコック●脚本:Halsted Welles●原作:ロアルド・ダール「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」●時間:30分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/オードリー・メドウズ/レス・トレメイン/ステファン・チェイス/サリー・ヒューズ/ハワード・ケイン●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放映局:日本テレビ(評価★★★★)
「ヒッチコック劇場 第ニ集 バリューパック [DVD]」【Disc1】「兇器」「亡霊の見える椅子」「女性専科第一課 中年不夫婦のために」所収

「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第2話)/ヴィクスビー夫人と大佐のコート」●原題:Tales of the Unexpected -MRS. BIXBY AND THE COLONEL'S COAT●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/03/31●監督:サイモン・ラングトン●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジュリー・ハリス/マイケル・ホーダーン/リチャード・グリーン/フレデリック・ファーリー/サンドラ・ペイン●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
Julie Harris/Sandra Payne
Susan George

「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第10話)/新案育児法」●原題:Tales of the Unexpected -ROYAL JELLY●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/03/01●監督:ハーバート・ワイズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「ロイヤルゼリー」●時間:26分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ティモシー・ウェスト/スーザン・ジョージ/アンドリュー・レイ●日本放映:1980/07●放映局:東京12チャンネル(現テレビ
東京)(評価★★★☆)
「予期せぬ出来事 第二集 BOX [DVD]」(「永遠の名作」「見知らぬ乗客」「ママの面影」「或る夜の事件」「新案育児法」「ヒッチハイク」「父親になる日」「男の夢」「疑惑」「ハエとり紙」「骨董屋の結婚」「太りすぎに注意」)

「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第18話)/ママの面影」●原題:Tales of the Unexpected -GEORGY PORGY●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/26●監督:グレアム・エヴァンズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「ジョージー・ポージー」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジョーン・コリンズ/ジョン・アルダートン/ラリー・バウワーズ/マーガレッタ・ス>コット●日本放映:1980/07●放映局:東京12
チャンネル(現テレビ東京)(評

価★★★☆)
Joan Collins(pin-up/1980 in GEORGY PORGY/2012.Age79)
「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第21話)/父親になる日」●原題:Tales of the Unexpected -EDWARD THE CONQUEROR●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/05/17●監督:ハーバート・ワイズ●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「始まりと大惨事―実話―」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ヘルムート・グリーム/Zhivila Roche/ハナ・マリア・プラブダ/Alastair Llewellyn/グラハム・シード●日本放映:1980/08●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)

「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第7話)/暴君エドワード」●原題:Tales of the Unexpected -EDWARD THE CONQUEROR●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/05/05●監督:サイモン・ラングトン●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「勝者エドワード」●時間:30分●出
演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ウェンディ・ヒラー/ジョゼフ・コットン/フィル・ブラウン●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★★)
「予期せぬ出来事 3枚組BOX [DVD] JVDD1157」(「南から来た男」「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」「ウィリアムとメリー」「おとなしい凶器」「女主人」「首」「暴君エドワード」「海の中へ」「天国へのエレベーター」)



■TVシリーズ「ヒッチコック劇場」Alfred Hitchcock Presents (CBS 1955.10.2~62.7.3)○日本での放映チャネル:日本テレビ(1957~63)声:熊倉一雄(アルフレッド・ヒッチコック) Alfred Hitchcock Presents


■TVシリーズ「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」Tales of the Unexpected (BBC 1979.3.24~88.5.13)○日本での放映チャネル:東京12チャンネル(現テレビ東京)(1980)/ミステリチャンネルなど
●「ロアルド ダール劇場 予期せぬ出来事」東京12チャンネルで1980年放映時のラインアップ(本国での全9シリーズ112作中)()内は放映時タイトル。
1 南から来た男 Man From the South [#1]
2 ヴィクスビー夫人と大佐のコート Mrs Bixby and the Colonel's Coat [#2]
3 ウィリアムとメリー(永遠の結婚) William and Mary [#3]
4 おとなしい凶器 Lamb to the Slaughter [#4]
5 女主人 The Land lady [#5]
6 首 Neck [#6]
7 暴君エドワード Edward the Conqueror [#7]
8 海の中へ(イチかバチか) A Dip in the Pool [#8]
9 天国へのエレベーター The Way Up to Heaven [#9]
10 永遠の名作 Skin [#11]
11 見知らぬ乗客 Galloping Foxley [#12]
12 ママの面影 Georgy Porgy [#18]
13 或る夜の事件 Poison [#14]
14 新案育児法 Royal Jelly [#10]
15 ヒッチハイク The Hitch-Hiker [#13]
16 父親になる日 Genisis and Catastorophe [#21]
17 男の夢 Mr Botibol's First Love [#22]
18 疑惑 The Umbrella Man [#20]
19 ハエとり紙 The Flypaper [#26]
20 骨董屋の結婚 The Ordery World of Mr. Appleby [#24]
21 太りすぎにご注意 Fat Chance [#15]
22 顔役 The Man at the Top [#25]
23 クリスマスに帰る Back for Christmas [#23]
24 風景画 A Picture of a Place [#27]
25 負け犬 The Stinker [#32]
26 動かぬ証拠 Shattorproof [#40]
27 最高の同居人 The Best of Everything [#38]
28 死者の悪口にご用心 Never Speak Ill of the Dead [#42]
【1960年単行本・1974年改訂新派版[早川書房・異色作家短編集〈1〉(開高健:訳)]・2005年新装版[早川書房(開高健:訳)]/2014年文庫化[ハヤカワ・ミステリ文庫(田口俊樹:訳)]】
《読書MEMO》
●早川書房・異色作家短篇集(新装版刊行年/写真は旧・改訂新版)
1.ロアルド・ダール『キス・キス』開高健訳、2005年
2.フレドリック・ブラウン『さあ、気ちがいになりなさい』星新一訳、2005年
3.シオドア・スタージョン『一角獣・多角獣』小笠原豊樹訳、2005年
4.リチャード・マシスン『13のショック』吉田誠一訳、2005年
5.ジョルジュ・ランジュラン『蠅』稲葉明雄訳、2006年
6.シャーリイ・ジャクスン『くじ』深町眞理子訳、2006年
7.ジョン・コリア『炎のなかの絵』村上啓夫訳、2006年
8.ロバート・ブロック『血は冷たく流れる』小笠原豊樹訳、2006年
9.ロバート・シェクリイ『無限がいっぱい』宇野利泰訳、2006年
10.ダフネ・デュ・モーリア『破局』吉田誠一訳、2006年
11.スタンリイ・エリン『特別料理』田中融二訳、2006年
12.チャールズ・ボーモント『夜の旅 その他の旅』小笠原豊樹訳、2006年
13.ジャック・フィニイ『レベル3』福島正実訳、2006年
14.ジェイムズ・サーバー『虹をつかむ男』鳴海四郎訳、2006年
15.レイ・ブラッドベリ『メランコリイの妙薬』吉田誠一訳、2006年
16.レイ・ラッセル『嘲笑う男』永井淳訳、2006年
17.マルセル・エイメ『壁抜け男』中村真一郎訳、2007年





「ヒッチコック劇場(第136話)/指」('60年)スティーブ・マックイーン/ニール・アダムス/ピーター・ローレ
『あなたに似た人(Someone Like You)』はロアルド・ダール(Roald Dahl、1916-1990/享年74)の1953年刊行の第二短編集で、1954年の「アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)」受賞作です(短編賞)。因みに第一短編集は1946年刊行の『飛行士たちの話』('81年/ハヤカワ・ミステリ文庫)、第三短編集は1960年刊行の『
『あなたに似た人』は、田村隆一訳で1957年にハヤカワ・ポケットミステリで刊行され、その後1976年にハヤカワ・ミステリ文庫で刊行(創刊ラインアップの一冊)されましたが、その際には、「味」「おとなしい兇器」「南から来た男」「兵隊」「わがいとしき妻よ、わが鳩よ」「海の中へ」「韋駄天のフォックスリイ」「皮膚」「毒」「お願い」「首」「音響捕獲機」「告別」「偉大なる自動文章製造機」「クロウドの犬」の15編を所収していました。そして、この田口俊樹氏による〔新訳版〕は、「Ⅰ」に「味」「おとなしい凶器」「南から来た男」「兵士」「わが愛しき妻、可愛

DVD化されたりしています(このように当時放映されず後にDVD化されたエピソードや、今も本邦未ソフト化のエピソードもあるため、ロアルド・ダール劇場の「話数」は原則通り本国のものを採用)。ドラマ版は原作をどう表現しているかを観る楽しみもあり、この原作のドラマ化作品「ワインの味」に関して言えば、まずまず楽しめました(緊迫感のあとのスッキリした気分は、ドラマの方が効果大だったかも)。
料理の支度をしながら愛する夫の帰りを待っている妻メアリ。しかし、帰ってきた夫からもたらされたのは別れの言葉だった。彼女は絶望して、とっさに夫を殺害するが、凶器の仔羊の冷凍腿肉を解凍して調理し、それを刑事たちにふるまう。刑事たちは何も知らずに殺人の凶器となった証拠を食べてしまう―。松本清張の短編集『

移せないかと考えた」(渡辺剣次編『13の凶器―推理ベスト・コレクション』('76年/講談社))と創作の動機を明かしています。この作品は次に述べる「南から来た男」と同じく、CBSで1955年から1962年に放映された「ヒッチコック劇場(Alfred Hitchcock Presents)」で第84話「兇器」(1958)(ヒッチコック劇場の「話数」は邦順を採用)として映像化されています。映像化してどれくらいリアリティがあるかと思われるプロットですが、そこはさすがにヒッチコックでした。作品の核であるユーモアは、リアティによって支えられているのだなあと。ラストの主人公の笑みは、2年後に撮られる「
因みに、「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第4話でドラマ化(「おとなしい凶器」(1979))されていますが(主演は「わらの犬」('71年)のスーザン・ジョージ)、最初に実際に外部の者の犯行であったような映像を見せていて、観る者に対するある種"叙述トリック"的な造作になっています。好みはあると思いますが、個人的には、実際に無かったことを映像化するのはどうかなと思いました。
プールそばのデッキチェアでのんびりしている私は、パナマ帽をかぶった小柄な老人が、やって来たのに気づく。アメリカ人の青年が、老人の葉巻に火をつけてやる。いつでも必ずライターに火がつくと知って、老人は賭けを申し出、あなたが、そのライターで続けて十回、一度もミスしないで火がつけ
られるかどうか、自分はできない方に賭けると。十回連続でライターに火がついたら、青年はキャデラックがもらえ、その代り、一度でも失敗したら、小指を切り落とすと言う。青年は迷うが―。この作品は、金原瑞人氏の訳で『南から来た男 ホラー短編集2』('12年/岩波少年文庫)にも所収されています。
この「南から来た男」は「ヒッチコック劇場」で1960年にスティーブ・マックイーンとニール・アダムス(当時のマックイーンの妻)によって演じられ((第136話「指」)、監督はノーマン・ロイド(ヒッチコックの「逃走迷路」('42年)で自由の女神から落っこちる犯人を演じた俳優でもあり、「ヒッチコック劇場」で19エピソード、「ヒッチコック・サスペンス」で3エピソードを監督している)、"南から来た男"を演じたのはジョン・ヒューストン監督の「
出るのが興味深く、緊迫感においてスティーヴン・バウアー版を上回っているように思います(IMDbのスコアもマックイーン版は
「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では第1シリーズ第1話として1975年に、ホセ・フェラー(老人)、マイケル・オントキーン(青年)主演でドラマ化(邦題も「南から来た男」)されています。舞台は原作通りリゾートになっていて、老人はちゃんとパナマ帽を被っています。派手さは無いけれど原作にほぼ忠実です(IMDbのスコアは
吉行淳之介はこの短編の初訳者である田村隆一との対談で、あのラストで不気味なのは「老人」ではなく「妻」の方であり、夫の狂気に付き合う妻の狂気がより強く出ていると指摘しています。そう考えると、結構"深い"作品と言えるかと思います。
私と妻はブリッジをやるためにスネープ夫妻が来るのを待っている。私も妻も夫妻のことはあまり好きではないが、ブリッジのために我慢する。妻はふと、いったい、スネープ夫妻が2人きりの時はどんな様子をしているのか、マイクを取り付けて聞いてみようと言う。そいて、それを実行に移し、聞こえてきた2人の会話は、ブリッジにおけるインチキの打ち合わせだった。それを聞いた妻は―。夫婦そろって悪事に身を染める場合、妻主導で、夫は妻の尻に敷かれていたという状況もあり得るのだなあ(「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第2シリーズ第17話でドラマ化(1980)されているが、日本でDVD化はされていない)。
(オークション・プール)に参加する。嵐が来ているので、ミスター・ボディボルは有り金全部を短い距離につぎ込むが、朝起きると嵐は収まり、船は快走していて、彼は大いに嘆く。しかし、ある作戦を思いつき、それは、船から人が落ちれば船は救助のため遅れるはずだというもので、自分が落ちた現場を目撃するのに最適な人を探し始める―。ブラックでコミカルと言うか、悲喜劇といった感じ。他人を突き落とすことを考えないで、自分で飛びこんだ分、悪い人ではないのでしょうが。この作品も「ヒッチコック劇場」で第103話「賭」(1958)として映像化されていて、「兇器」と同じく、ヒッチコック
自身が監督しています。クル
ーズ船は借り切ったのかなあ。主役の俳優は、この体形で海に飛び込んで大丈夫かな思ったけれど、見事な飛込みぶりでした。スタントだとは思いますが、「落ちる」のではなく「飛び込み」をしていました。老婦人が見ていない隙に落ちるのだから、これでもいいのかも(でも、アスリートぽかった)。
この作品は「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第8話「海の中へ」(1979)としてドラマ化されていて、やはり主人公は太っていますが、こちらは「落ちて」いました。こちらも立派なクルーズ船を使っていましたが、ヒッチコック版の方がモノクロフィルムの強みと言うか、重厚感が
あったように思います。この映像化作品単独で観ても面白いのですが、それは原作の面白さに依るものであり、ヒッチコック版と比べると、同じ短編でありながら、ヒッチコック自身が演出したことで醸されている重厚感には及ばないでしょうか。繰り返しになりますが、コメディ映画は、リアルかつシリアスに作り込めが作り込むほど、ユーモアが映えるように思います(因みに原題が "Dip in the Sea"でなく"Dip in the Pool"となっているのは、"Dip in the Sea"だと「海水浴」になってしまうのと、"Dip"とすることで「賭場(Pool)に浸る」という意味に懸けたのではないか)。
れもドラマシリーズ「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出
来事」の中で第2シリーズ第12話「見知らぬ乗客」(1980)として映像化されています。主演のジョン・ミルズ(「ライアンの娘」('70年/英・米)のオスカー俳優でサーの称号が与えられている)はさすがの演技達者ぶりで、若き日のフォックスリーを演じたジョナサン・スコット=テイラー(前年に「オーメン2」('79年/米)でダミアン少年を演じている)のいじめっ子ぶりも強烈でした。
ら追い払われそうになったドリオリは、自分はこの絵描きの描いたものを持っていると叫ぶ―。タイトルから何となくどういうことか分かりましたが、さすがにラストはブラックで、ちょっと気持ち悪かったです。とは言え、同時に、主人公の哀れさも滲みます。これも「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中で第2シリーズ第11話「永遠の名作」(1980)として映像化されています。カンヌには画商が老人を住まわせると言っていたホテルは存在しないというところまではよく分からなかったですが、ラストの額縁に入った一枚の絵を見せられれば、それだけで充分でした。
動かすか、万が一噛まれた時の処置はどうするか等々、様々な作戦を立てるが―。ハリーのインド人医師に対する人種差別意識と重なり、風刺っぽい皮肉が効いています。この作品もまた「ヒッチコック劇
場」で第124話「毒蛇」として映像化されていますが、原作をいくつか変えています。大きなものとしては、ハリーと"ティンバー"(原作の「私」)の一人の女性をめぐる微妙な関係と、結末のドラマ独自のどんでん返しがあります。普通、原作をいじるとダメになることが多いですが(特に結末)、ヒッチコック自身が演出しているこの作品は原作とはまた違った"味"がありました。
また、「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では第2シリーズ第14話「或る夜の事件」(1980)としてドラマ化されていて、こちらもハリーの妻と"ティンバー"の不倫などを織り込んで話を膨らませていますが、その部分をここまで"見える化"してしまったのはどうだったかなと思いました(同じく改変はしているが、ヒッチコック版の方がいいか)。
ざけて穴に頭を突っ込んで抜けなくなってしまう。バジル卿は、鋸と斧を持ってくるよう執事に命じるが、彼が手にしたのは斧だった―。芸術至上
主義の本分からして、実際、斧で妻の首を切落としかねない感じでしたが...。浮気妻への"心理的"復讐と言ったところだったでしょうか。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第6話でドラマ化(「首」(1979))されています。実際に広大な庭にムーアっぽい彫刻を幾つも据えていました。ラストは、斧を振り下ろすところでストップモーションになっています。
茹でたりすると電磁波を発信するという話がありましたが、最近は園芸店やホームセンターで、「電磁波を吸収する効果があるサボテン」というのが売られています。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第4シリーズ第41話でドラマ化(「音響捕獲機」(1981))されていますが、 ハリー・アンドリュースが演じるクロースナーは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」('85年/米)でクリストファー・ロイドが演じた"ドグ"っぽい感じのマッドサイエンティストぶり(でも、こっちの方が4年早い)。ただ、映像化したからと言って何か新たな発見があるような内容でもなかったです。

因みに、スティーブ・マックイーンの初主演映画は、「ヒッチコック劇場」の「指」に出演した2年前のアービン・S・イヤワース・ジュニア監督の「マックイーンの絶対の危機(ピンチ)」('58年)で、日本公開は'65年1月。日本での'72年のテレビ初放送時のタイトルは「SF人喰いアメーバの恐怖」で、'86年のビデオ発売時のタイトルも「スティーブ・マックィーンの人喰いアメーバの恐怖」だったので、「人喰いアメーバの恐怖」のタイトルの方が馴染みがある人が多いのではないでしょうか。宇宙生物
が隕石と共にやって来たという定番SF怪物映画で、怪物は田舎町を襲い、人間を捕食して巨大化していきますが、これ、"アメーバ"と言うより"液体生物"でしょう(原題の"The Blob"はイメージ的には"スライム"に近い?)。この液体生物に立ち向かうのがマックイーン(当時、クレジットはスティーブン・マックイーンで、役名の方がスティーブになっている)らが演じるティーンエイジャーたちで、スティーブン・マックイーンは実年齢27歳で高校生を演
じています(まあ、日本でもこうしたことは時々あるが)。CGが無い時代なので手作り感はありますが、そんなに凝った特撮ではなく、B級映画であるには違いないでしょう。ただそのキッチュな味わいが一部にカルト的人気を呼んでいるようです。スティーブ・マックイーン主演ということで後に注目されるようになったことも影響しているかと思いますが、「人喰いアメーバの恐怖2」(ビデオ邦題「悪魔のエイリアン」)('72年)という続編や「ブロブ/宇宙からの不明物体」('88年)というリメイク作品が作られています。
国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/12●監督:アラステア・リード●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「味」●時間:26分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ロン・ムーディー/アントニー・キャリック/Mercia Glossop/デビー・ファーリントン●DVD発売:2008/01●発売元:JVD(評価★★★☆)
「ヒッチコック劇場(第84話)/兇器」●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 3 E 28-#106)LAMB TO THE SLAUGHTER
「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第4話)/おとなしい凶器」●原題:Tales of the Unexpected -LAMB TO THE SLAUGHTER●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/04/14●監督:アラン・ピックフォード●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「おとなしい凶器」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/スーザン・ジョージ/マイケル・バーン/ブライアン・ブレスト●日本放映:1980/05/10●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)
「ヒッチコック劇場(第136話)/指」●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 5 E 15-#168)MAN FROM THE SOUTH●制作年:1959年●制作国:アメリカ●本国放映:1960/01/03●監督:

映局:日本テレビ(評価★★★★)

「新・ヒッチコック劇場(第15話)/小指切断ゲーム」●原題:Alfred Hitchcock Presents -P-2.MAN FROM THE SOUTH●制作年:1985年●制作国:アメリカ●本国放映:1985/05/05●監督:スティーブ・デ・ジャネット●製作:レビュー・スタジオ●脚本:スティーブ・デ・ジャネット/ウィリアム・フェイ●音楽:ベイジル・ポールドゥリス●原作:ロアルド・ダール「南から来た男」●時間:24分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/スティーヴン・バウアー(青年)/メラニー・グリフィス(若い女)/ジョン・ヒューストン(カルロス老人)/キム・ノヴァク(女)/ティッピ・ヘドレン(ウェートレス)●日本放映:1988/01/0


局:テレビ東京●日本放映(リバイバル):2007/07/08●放映局:NHK-BS2(評価★★★☆)
新・ヒッチコック劇場「南部から来た男」(1985)"Man From The South"(日本放送時のタイトル「小指切断ゲーム」) 


「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第1話)/南から来た男」●原題:Tales of the Unexpected -MAN FROM THE SOUTH●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/03/24●監督:マイケル・タクナー●脚本:ケビン・ゴールドスタイン・ジャクソン●原作:ロアルド・ダール「南から来た男」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ホセ・フェラー/マイケル・オントキーン/パメラ・スティーヴンソン/シリル・ルッカム/ケティ・フラド●日本放映:1980/04/19●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
「ヒッチコック劇場(第103話)/賭」●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 3 E 35-#113)A DIP IN THE POOL●制作年:1958年●制作国:アメリカ●本国放映:1958/06/01●監督:アルフレッド・ヒッチコック●脚本:フランシス・コックレル●原作:ロア
「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第8話)/海の中へ」●原題:Tales of the Unexpected -A DIP IN THE POOL●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/05/19●監督:マイケル・タクナー●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「賭」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジャック・ウェストン/グラディス・スペンサー/マイケル・トラウトン/ジャナ・シェルドン/ポーラ・ティルブルック●日本放映:1980/06●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)
ロッピング・フォックスリー」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジョン・ミルズ/アンソニー・スティール/ポール・スパリアー/ジョナサン・スコット・テイラー●日本放映:1980/06●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
C●本国放映:●1980/04/28●監督:ハーバート・ワイズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「首」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/デレク・ジャコビ/ルーシー・ガッテリッジ/ボリス・イザロフ/ドナルド・ピカリング/Teris Hebrew●日本放映:1980/06●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)




「ヒッチコック劇場(第124話)/毒蛇」●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 4 E 1-#118)POISON●制作年:1958年●制作国:アメリカ●本国放映:1958/10/05●監督:アルフレッド・ヒッチコック●脚本:ケイシー・ロビンソン●原作:ロアルド・ダール「毒」●時間:30分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/ウェンデル・コーリー/ジェームズ・ドナルド/アーノルド・モス/ドゥリーン・ラング●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放映局:日本テレビ(評価★★★★)
「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第14話)/或る夜の事
件」●原題:Tales of the Unexpected -POISON●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/28●監督:グレアム・エヴァンズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「毒」●時間:23分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/アンドリュー・レイ/アンソニー・スティール/ジュディ・ギーソン/サイード・ジャフリー●日本放映:1980/07●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)
「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第6話)/首」●原題:Tales of the Unexpected -NECK●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/28●監督:クリストファー・
マイルズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「首」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジョーン・コリンズ/マイケル・オルドリッジ/ピーター・ボウルズ/ジョン・ギールグッド●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第41話)/音響捕獲機」●原題:Tales of the Unexpected -THE SOUND MACHINE●制作年:1981年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国
「マックイーンの絶対の危機(ピンチ)(人喰いアメーバの恐怖)」●原題:THE BLOB●制作年:1958年●制作国:アメリカ●監督:アービン・S・イヤワース・ジュニア●製作:ジャック・H・ハリス●脚本:ケイト・フィリップス/セオドア・シモンソン●撮影:トーマス・スパルディング●音楽:ラルフ・カーマイケル●原案:アービン・H・ミルゲート●時間:86分●出演:スティーブ・マックイーン/アニタ・コルシオ/アール・ロウ/ジョージ・カラス/ジョン・ベンソン
/スティーヴン・チェイス/ロバート・フィールズ/アンソニー・フランク/ジェームズ・ボネット/オーリン・ハウリン●日本公開:1965/01●配給:アライド・アーティスツ(評価★★★)



アメリカとソ連の宇宙船が謎の飛行物体に捉えられるという事件が起こり、米ソ間が一触即発の状態になるものの、英国の情報機関である MI6はその宇宙船が日本周辺から飛び立っているという情報を掴み、その真偽を確かめるために、ジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)が日本に派遣されることになる。ボンドは敵の目を欺くため、英国の植民地の香港の売春宿で、情報部により用意された現地の女性リン(ツァイ・チン)の手引きによって、寝室になだれ込んだ殺し屋にマシンガンで銃撃され死んだことに。その後ビクトリア・ハーバー内に
停泊するイギリス海軍の巡洋艦上で水葬され、その遺体を回収したイギリス海軍の潜水艦で隠密裏に日本へ。日本上陸後は、蔵前国技館で謎の女アキ(若林映(あき)子)と会い、彼女を通じて日本の公
安のトップ・タイガー田中(丹波哲郎)に会うが、在日オーストラリア人の捜査協力者のヘンダーソンは直後に殺されてしまう。その殺し屋は大里化学工業の本社から送られた者だと知ったボンドは、化学薬品を取り扱うビジネスマンを装って大里化学工業の東京本社に赴き、大里社長とその秘書ヘルガ・ブラント(カリン・ドール)と接触する―。 (右:サンヨー・テレビ「日本」の梱包)
事件の背後にはスペクターの影があり、ボンドはタイガー田中の助けを得てスペクターの秘密基地に潜入、宿敵ブロフェルド(「大脱走」('63年)、「
Mie Hama as Kissy Suzuki in "You Only Live Twice"(1967)
最初は日本に潜入したボンドをリードする公安エージェントの女性役が浜美枝で、ボンドが地方に行って出会う海女のキッシー鈴木の役が若林映子だったそうで、この配役は「キングコング対ゴジラ」('62年/東宝)を観て浜を知ったスタッフからの若林映子と併せての指名だったとのことです(若林映子は個人的
には「
ということで、若林映子がエージェント(アキという役名になった)を演じ、浜美枝の方がキッシー鈴木役になったとのこと。但し、海女役になった浜美枝は、ロケ地に来て潜れないということが判明し、ショーン・コネリーに同伴していた妻の
キッシーが潜るシーンはスタントするなどしたとのことで、撮影に際しては結構ドタバタだった面もあったようです。
点では、昭和40年代前半の日本の風景を映し出していて貴重かも。都内では、旧蔵前国技館、銀座四丁目交差点、ホテルニューオータニなどで、地方では富士スピードウェイ、神戸港、 姫路城、鹿児島県坊津町などでロケをしています。日本的なものを都会と地方、現代と伝統の両面からピックアップしている意欲は買えますが、一方で、姫路城で手裏剣で塀を傷つけたりするなどのトラブルも生じさせています。
オープニングの影絵は浮世絵のイメージ? イアン・フレミングは親日家ではあったものの、日本文化に対する外国人特有の偏見や誤解もあり、あまりに奇異な見方であると思われる部分は丹波哲郎が撮影陣に進言して直させたりもしたようですが、ボンドと若林演じるアキや丹波演じるタイガーなど日本の公安との橋渡し役が横綱・佐田の山(!)だったり、タイガーの移動手段が地下鉄「丸ノ内線」の深夜の
専用車両(!)だったり(中野坂上駅でロケ。タイガーのオフィスは地下鉄の駅の「地下」にある。公安は顔を知られてはならず、そのため下手に地上を歩けないからというその理由がこじつけ気味)、さらに公安所属の特殊部隊が全員忍者装束(!)で日本刀を背負っていたりと、ち
ょっ
と飛躍し過ぎていて、さすがの丹波哲郎でも口を挟みにくかった部分もあったのか(まあ、いいかみたいな感じもあったのか)、結果として「!」連続の珍品で、ボンドが日本人に変装することなども含
め、現実味という観点からするとどうかなあと思わざるを得ません(非現実性はロアルド・ダールらしく、また007らしくもあるのだが。因みに丹波哲郎は、英語が不得手な浜美枝の降板を要請する英国側スタッフに対し、ここまできたらそれは難しいと交渉するくらいの英語力はあったが、発音は日本語訛りであったため、作中での本人の英語の台詞は吹き替えられている)。
まあ、かなりの部分を日本で撮影しているということで、映像的価値並びに珍品的価値(?)を加味して星半個オマケといったところでしょうか。アジア人が最初にボンド・ガ
ールになった作品であり、この次にアジア人ボンド・ガールが誕生したのは「
若林映子は、
ホテルのパーティに招かれた6人の男女客たちが、霧深い夜道を車を連ねて帰路に着く途中、竹原(鶴賀二郎)が誤って沼に落ちる。助けようとした
一平(西條康彦)も深みにはまり、後続車の万城目淳(佐原健二)と江戸川由利子(桜井浩子)、葉山(滝田裕介)と今日子(若林映子)が辛じて救出。霧が深くこれ以上車で先へ進めないので、淳たちはずぶ濡れの北原と一平をかかえて途方に暮れるが、沼の向う側に灯のついた洋館を発見、そちらに向かう。洋館の中は何十年も放置され荒れていたが、階上の方へ淳が行ってみると、そこで巨大なクモに突然襲われる。驚いて階投を転がり降りた淳は、九十年前いたという蜘蛛男爵の館みたいだと言う。その頃、地下のワイン倉庫にいっていた葉山は、例の巨大なクモに襲われ傷つく。淳たちは、はじめてここがまさに蜘蛛男爵の館であることに気づき、館から逃げ出そうとするが―。
洋館は、コラムニストの泉麻人氏も言っていましたが、アルフレッド・ヒッチコックの映画「レベッカ」('40年/米)に出てくる邸宅みたいな雰
囲気があって良かったですが、男爵の死んだ娘がクモになり、娘の死を悲しんだ男爵自身もクモになっていまったという話はやや強引か(まあ、「ウルトラQ」は"強引"なスト-リーが多いのだが)。この回の視聴率は35.7%と(「ウルトラQ伝説」等による)シリーズ全27話の中では上位にくる数字を出しています。このシリーズ、総天然色版でDVDが出ているので、それでもう一度作品を鑑賞するとともに、若林映子や桜井浩子のファッションを見直してみるのもいいかも。

「ウルトラQ(第9話)/クモ男爵」●制作年:1965年●監督:円谷一●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション●脚本:金城哲夫●撮影:内海正治●音楽:宮内国郎●特技監督:小泉一●出演:佐原健二/西條
康彦/桜井浩子/若林映子/滝田裕介/鶴賀二郎/永井柳太郎/岩本弘司/石坂浩二(ナレーター)●放送:1966/02/17●放送局:TBS(評価:★★★) 
作:ハリー・サルツマン/アルバート・R・ブロッコリ●脚本:

●原作:イアン・フレミング●時間:117分●出演:ショーン・コネリー/丹波哲郎/若林映子/浜美枝/ドナルド・プレザンス/島田テル/カリン・ドール/チャールズ・グレイ/ツァイ・チン/ロイス・マクスウェル/デスモンド・リュウェリン/バーナード・リー●公開:1967/06●配給:ユナイテッド・アーティスツ (評価:★★★☆)




「キングコング対ゴジラ」('62年/東宝) 若林映子/浜 美枝(共演:高島忠夫)







外界から隔離された巨大なチョコレート工場がある大きな町の片隅で、貧乏な暮らしを余儀なくされている少年チャーリーとその一家。ある日、チョコレート工場の工場主ウィリー・ワンカ氏が、自社のチョコレートの中に5枚のゴールデンチケットを隠し、チケットを引き当てた5人の子供を工場見学に招待すると発表する―。

但し、挿絵は、柳瀬訳のクウェンティン・ブレイク(Quentin Blake、1932年生まれ)のものが良く、大型本である『まるごと一冊ロアルド・ダール』('00年/評論社)によるとロアルド・ダールは何人かの画家と組んで仕事をしているようですが、クウェンティン・ブレイクとのコンビでの仕事が最も多く、また、クウェンティン・ブレイクの絵は、ちょっとシュールな話の内容よくマッチしたタッチであるように思います。
このお話は、メル・スチュアート監督(「夢のチョコレート工場」('71年/米)ジーン・ワイルダー主演)と、先に述べたティム・バートン監督(「チャーリーとチョコレート工場」('05年/米))によってそれぞれ映画化されていますが、ジョニー・デップがチョコレート工場の工場主ワンカ氏に扮した後者「チャーリーとチョコレート工場」は比較的記憶に新しいところで、ジョニー・デップの演技力というより、演
出に「バットマン」シリーズのティム・バートン色を感じましたが、ストーリー的には原作を忠実になぞっています。男の子がパイプに詰まったり、女の子が巨大なブルーベリーに変身してしまったりするのもCGを使って再現していますが(映画館で近くに座った男の子が「CGだ、CGだ」といちいち口にしていた)、庭園のモニュメントや芝生はパティシェによって作られた本物の菓子だったそうです。
ティム・バートン「チャーリーとチョコレート工場」('05年/米)
但し、ジョニー・デップ扮するワンカ氏が、幼少時代に歯科医である厳格な父親に半ば虐待に近い躾を受けたことがトラウマになっている"アダルトチルドレン"として描かれているのは映画のオリジナルで、これに原作の続編である『ガラスの
大エレベーター』('05年/評論社)の話をミックスさせて、ラストはワンカ氏がチャーリーとその家族を通して新たな「家族」に回帰的に出会う(トラウマを克服する)というオチになっており、やや予定調和的である気もしますが、プロセスにおいて悪ガキが散々な目に遭い、一方のワンカ氏はケロッとしている(或いはふりをしている)という結構サディスティックな「毒」を孕んでいるため、こうしたオチにすることでバランスを保ったのではないでしょうか(映画はそこそこヒットし、映画館はロード終盤でも週末はほぼ満席。結構口コミで観に行った人が多かったのか)。結局は「家族愛」に搦め捕られてしまったワンカ氏といった感じで、個人的には、折角の「毒」を弱めてしまった印象が無くもありません。
「2001年宇宙の旅」「サタデー・ナイト・フィーバー」「鳥」「サイコ」「ベン・ハー」「水着の女王」「アフリカの女王」「アダムス・ファミリー」「スター・ウォーズ」といった映画作品へのオマージュも込められていて、後でまた観直してみるのも良し。音楽面でもクイーンやビートルズ、キッスへのオマージュが込められています。こうした味付けもさることながら、ビジュアル面で原作の(クウェンティン・ブレイクの絵の)イメージと一番違ったのは、チョコレート工場で働くウンパ・ルンパ人(柳瀬訳は「ウンパッパ・ルンパッパ人」)でしょうか。ワンカ氏がアフリカの何処かと思しきジャングルの地から連れてきた小人たちですが、色黒のオッサンになっていたなあ。演じたのはディープ・ロイというケニア生まれのインド人俳優で、インドで26代続くマハラジャの家系だそうですが、この映画で165人のウンパルンパ役をこなしたとのことです。個人的には原作も映画も(特にそこに込められた毒が)好きですが、映画は子どもも楽しんでいたのでは。
ロアルド・ダールは学校を卒業して、まず石油会社に入社して最初の勤務地が東アフリカで、第二次世界大戦では空軍パイロットとして活躍したとのことですが、乗
った飛行機が燃料切れを起こして墜落、九死に一生を得たとのこと。その後、文筆家として活動するようになり、まずアフリカで聞いた話やパイロット時代の経験を生かして短編小説を書き始め、やがて児童文学の方へ進んだとのことです。初期の作品は、自伝的短編集『


「チャーリーとチョコレート工場」●原題:CHARLIE & CHOCOLATE FACTORY●制作年:2005年●制作国:アメリカ●監督:ティム・バートン●製作:ブラッド・グレイ/リチャード・D・ザナック●脚本:ジョン・オーガスト●撮
影:フィリップ・ルースロ●音楽:ダニー・エルフマン●原作:ロアルド・ダール●時間:115分●出演:ジョニー・デップ/フレディ・ハイモア/デヴィッド・ケリー/ヘレナ・ボナム=カーター/ノア・テイラ/ミッシー・パイル/ジェームズ・フォックス/アナソフィア・ロブ/アダム・ゴドリー/アダム・ゴドリー/ディープ・ロイ/クリストファー・リー/ジュリア・ウィンター/ジョーダン・フライ/フィリップ・ウィーグラッツ/リズ・スミス●日本公開:2005/09●配給:ワーナー・ブラザーズ●最初に観た場所:丸の内TOEI2(05-10-23)(評価:★★★☆) アナソフィア・ロブ(AnnaSophia Robb) in 「ソウル・サーファー」('11年)/「チャーリーとチョコレート工場」('05年)






口やかましい妻との生活に心底嫌気がさした著名な写真家ポール・ガレスコ(ディック・バン・ダイク)は、誘拐事件を偽装して妻フランセス(アントワネット・バウアー)を殺害し、以前から手なずけていた前科者のダシュラー(ドン・ゴードン)を廃車置き場に呼び出し、椅子に縛り付けた妻を写した写真と脅迫状に指紋を付けさせた後に彼を射殺、自分の足も撃ち抜き、身代金の受け渡しの際に犯人に撃たれたように装った―。
シリーズ第27話。犯人のポールは「この世からお前が消えてくれれば良いのと何度も願った」ほど、妻のフランシスを憎んでいたとのことで、元々のシナリオには、コロンボの聞き込みに対し、写真集出版社の社長が、「もともとポールは財産を彼女に半分渡していたんだが、数年前、彼は神経衰弱になってね、フランシスはそれを利用して裁判所に彼の管理能力の喪失を訴え、財産のすべてを自分の管理下に置いてしまったんだ。それにナイーブな彼には、フランシスと争うだけのガッツはない」とのセリフがあったそうです。
ナルホドね。助手のローナ(ジョアンナ・キャメロン)の美脚の魅力に駆られて犯行を決意したのかな。でも、かなり冷徹というか、完全犯罪に近い線、いっていたように思います。それが、コロンボに纏わりつかれているうちに、だんだん表情が曇ってくる...。
犯人役のディック・バン・ダイクは、「メリー・ポピンズ」('64年)よりも、主役だった「チキ・チキ・バン・バン」('68年、原作は007シリーズで知られるイアン・フレミングが唯一著した童話)の方が、学校の課外授業でリアルタイムで観たということもあって印象に残っています(当時、主題歌のソノシートを買って「チュリ・バンバン」とか英語で歌っていた。山本リンダのカバー・ヴァージョンもあったなあ)。
コロンボが救済所のシスター(ジョイス・バン・パタン、第39話「黄金のバックル」では犯人役を演じる)にホームレスと間違えられたり、たまたまポールの第二の犯行現場に居合わせた「貧乏は恥にあらず」とのたまう浮浪紳士トーマス(ヴィット・スコッティ、またまた登場。第19話「別れのワイン」のレストランの支配人役、第20話「野望の果て」でテーラーの主人役、第24話「白鳥の歌」の葬儀屋に続いて、今度はとうとう"職無し"に)との遣り取りがあったりと、鮮やかな結末だけでなく、その外の部分も楽しめます。
「刑事コロンボ(第27話)/逆転の構図」●原題:NEGATIVE REACTION●制作年:1974年●制作国:アメリカ●監督:アルフ・ケリン●製作:エヴァレット・チェンバース●脚本:ピーター・S・フィッシャー●音楽:バーナード・セイガル●時間:95分●出演:ピーター・フォーク/ディック・バン・ダイク/アントワネット・バウアー/ジョイス・バン・パタン/マイケル・ストロング/ドン・ゴードン/ジョアンナ・キャメロン/ヴィット・スコッティ●日本公開:1975/12●放送:NHK(評価:★★★★) 

「チキ・チキ・バン・バン」●原題:CHITTY CHITTY BANG BANG制作年:1968年●制作国:イギリス●監督:


