【3709】 ○ アンソニー・ホロヴィッツ (山田 蘭:訳) 『殺しへのライン (2022/09 創元推理文庫) ★★★★

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ホーソーン・シリーズ第3弾。クリスティ作品の現代版。それなりに期待に応えた。

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殺しへのライン (創元推理文庫 Mホ 15-7) 』['22年]

 『メインテーマは殺人』の刊行まであと3ヵ月。プロモーションとして、探偵ダニエル・ホーソーンと私、作家のアンソニー・ホロヴィッツは、初めて開催される文芸フェスに参加するため、チャンネル諸島のオルダニー島を訪れた。どことなく不穏な雰囲気が漂っていたところ、文芸フェスの関係者のひとりが死体で発見される。椅子に手足をテープで固定されていたが、なぜか右手だけは自由なままだった―。

 2021年8月刊行の原著タイトルは"A Line to Kill "。「週刊文春ミステリーベスト10(2022年)」海外部門・第2位、「このミステリーがすごい!(2023年版)」海外編・第2位、「本格ミステリ・ベスト10(2023年)」海外篇・第2位、「ミステリが読みたい!(2023年)」海外篇・第2位と、年末ミステリランキングでいずれも2位でした(因みに、この年は『われら闇より天を見る』(クリス・ウィタカー)が「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」「ミステリが読みたい!」において3冠制覇)。

 帯に「あの『カササギ殺人事件』の続編登場!」とありますが、実際には『メインテーマは殺人』(2017)、『その裁きは死』(2018)に続くホーソーン・シリーズの第3弾であり、元刑事の探偵ダニエル・ホーソーンが言わばホームズ役で、私ことアンソニー・ホロヴィッツがワトソン役ということになります(私がホーソンの事件を記録した第1作『メインテーマは殺人』の販売戦略についてエージェントと打ち合わせするところから物語は始まる)。

 今回は、いつも以上にアガサ・クリスティ作品へのオマージュが色濃く、まさにクリスティのミステリの現代版と言えるもので、最初からそのことを意識して書かれた作品のように思いました。

 ある種「観光ミステリ」であること(クリスティ作品では枚挙に暇がない)、「孤島での連続殺人事件」や「10人を超える容疑者」(『そして誰もいなくなった』『白昼の悪夢』か)、いったん解決したかに見えて、最後の最後にまったく異なる事実が明らかになるという展開...等々。ほぼ読み解き不可能な(笑)、「隠されていた人物相関」(『ナイルに死す』『鏡は横にひび割れて』などがそうであり、特に、『鏡は横にひび割れて』に近い)―いい点だけでなく、後出しジャンケン的な点(笑)を含めてクリスティ作品っぽかったです。

 それでも、容疑者の人数が多いかかわらず、キャラクターの描き分けがしっかり出来ていて、すいすい読めました。この点は作者の力量かと思います。「年末ミステリランキング4年連続3冠」の後に作品で、読者の要求水準は高くなってしまっていますが、それなりに期待に応えた作品ではないかと思います。

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