【3708】 ○ アガサ・クリスティ (中村能三:訳) 『ハロウィーン・パーティー (1971/12 ハヤカワ・ミステリ) ★★★★ (○ チャールズ・パーマー 「名探偵ポワロ(第63話)/ハロウィーン・パーティ」 (10年/英) (2012/02 NHK-BSプレミアム) ★★★☆)

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精神的な動機の犯罪(?)。人間のどろっとした欲望も関係していて面白かった。

ハロウィーン・パーティ00.jpg
『ハロウィーン・パーティー(ハヤカワ・ミステリ) 』['71年(中村能三:訳)]『ハロウィーン・パーティ (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-26)』['77年(中村能三:訳)]『ハロウィーン・パーティー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)』['03年(中村能三:訳)]『ハロウィーン・パーティ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫)』['23年(山本やよい:訳)]
ペーパーバック(2003・2015・2018)
ハロウィーン・パーティ pb.jpg ウドリー・コモンの「リンゴの木荘」でハロウィーン・パーティの飾りつけの準備中に殺人を目撃したことがあると言い出した13歳の少女、ジョイスが翌日、パーティ用に用意された水の入ったバケツに首を押し込まれて溺死しているのが見つかった。パーティに出席していたアリアドニ・オリヴァ夫人は、ただちにエルキュール・ポアロに助けを求める。ジョイス殺しと彼女が見たという殺人の謎を解き明かすため、ポアロはウドリー・コモンに住む旧友、スペンス元警視を訪ね、捜査に乗り出す―。

 アガサ・クリスティの1969年に発表された作品で、クリスティが生涯に遺した66作の長編ミステリのうち、発表順で60番目にあたり、『親指のうずき』('68年)と『フランクフルトへの乗客』('70年)の間になり、66作の長編のうちポワロが登場するのは33作で、その中では31作目ということになります。ただし、65番目のポワロものの最終作『カーテン』('75年)と最後66番目のミス・マープルものの最終作『スリーピング・マーダー』('76年)はともに1943年に執筆されているので、実際の執筆順で言えば、全体で終わりから5番目、ポワロもので終わりから2番目となります。

 ということで作者晩年期の作品で、本作にも少し出てきますが、英国は1965年11月から死刑執行を5年間停止する時限立法が可決されており(その後、1969年12月に死刑廃止を決定)、犯人は今の日本の量刑相場だと死刑でしょうが、結局、死刑にはならないのだろなあと思ったりしました。

 一方、60年代はビートルズの活動期でもあり(1970年に事実上の解散)、本作でも長髪の若者とか出てきます。時代を反映してかどうか分かりませんが、登場人物がESP(超能力)を話題にするかと思えば、ポアロをコンピュータに喩える場面もあります。

 いろいろな意味で精神的な動機の犯罪(?)でした。でも、人間のどろっとした欲望も関係していて、その両者が絡み合っていたということで、結果的には面白かったです。

 初めて読んだとき、途中で、論理的な根拠も無いまま感覚的に犯人が判ったかなと思いましたが、やっぱり外れていました。やや後出しジャンケン的なきらいもありましたが、愉しめました。ミステリ半分、ブラックメルヘン乃至サイコ的な要素半分といったところでしょうか。

名探偵ポアロ 第63話 ハロウィーン・パーティ 2010.jpg名探偵ポアロハロウィーン・パーティ5.jpg デビッド・スーシェ主演のテレビシリーズの「ハロウィーン・パーティ」(第63話)では、原作のプロットを活かしながら、サブエピソードや脇役のキャラクターを整理していて、魔女伝説などもプラスされていますが、総じて、超自然的ムードにはいささか乏しく、むしろ子供たちが躊躇ない悪意の手にかかる筋立てや、犯人の動機と心理の身勝手さにおぞましさが感じられるものとなっています。あくまでミステリ部分に焦点を当て、丁寧に物語を作らられていた分、神秘的だったりメルヘンチックな部分は抑えられ、説明的であったとも言えます(この作品に限らず、映像化するとそうなる傾向はある)。

名探偵ポアロハロウィーン・パーティ.jpg ラストで、エルキュール・ポワロ(デビッド・スーシェ)とジュディス・バトラー(アメリア・ブルモア)とオリヴァ夫人(ゾーイ・ワナメイカー、「アガサ・クリスティー ミス・マープル(第4話)/予告殺人」 ('05年/英))の3人が森の中を散策しながら会話するシーンがあり、ジュディスが娘ミ名探偵ポアロ ハロウィーン・パーティ 3.jpgランダ(アリー・ヒギンズ)の「亡き父親」について作り話していたのは、娘には「強い父親」像が必要だったからと、ちゃんとその理由をジュディス本人に言わせていました。1つの解釈かもしれませんが、原作より丁寧か? 彼女は「女」から娘の将来を想う「母」になっていったということでしょうか(「どろっと」感を抑えた?)。

名探偵ポアロ ベネチアの亡霊.jpg名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊.jpg 原作が同じく『ハロウィーン・パーティー』であるケネス・ブラナー監督・主演の映画化作品「名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊」('23年/米)はどのような作りになっているのか観てみたいと思いました。ケネス・ブラナーが「オリエント急行殺人事件」('17年)、「ナイル殺人事件」('22年)の次にこの作品を選んだというのも興味深いです(ただし、舞台をベネチアにするなど、かなり設定を変えている?)。
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名探偵ポアロ(第63話)/ハロウィーン・パーティ2010.jpg名探偵ポワロDVDコレクション 37号 (ハロウィーン・パーティー) [分冊百科] (DVD付)』  
メアリー・ヒギンズ(ミランダ・バトラー)  
名探偵ポアロ ハロウィーン・パーティ3.jpg「名探偵ポワロ(第63話)/ハロウィーン・パーティ」●原題:AGAHTA CHRISTIE'S POIROT SEASON11:HALLOWE'EN PARTY●制作年:2010年●制作国:イギリス●本国放映:2010/10/27●監督:チャールズ・パーマー●脚本:マーク・ゲイティス●時間:89分●出演:デビッド・スーシェ/ゾーイ・ワナメイカー(アリアドニ・オリヴァ)/デビッド・イェラ名探偵ポアロ ハロウィーン・パーティ キング他.jpgンド(ジョージ)/アメリア・ブルモア(ジュディス・バトラー)/デボラ・フィンドレイ(ロウィーナ・ドレイク)/メアリー・ヒギンズ(ミランダ・バトラー)/ソフィー・トンプソン(レイノルズ夫人)/ジョージア・キング(フランシス・ドレイク)/イアン・ハラード(エドムンド・ドレイク)/フィネラ・ウールガー(ウィチカー先生)●日本放映:2012/02/08●放映局:NHK-BS2(評価:★★★☆)

ジョージア・キング(フランシス・ドレイク)/デボラ・フィンドレイ(ロウィーナ・ドレイク)


【1971年新書化[ハヤカワ・ポケットミステリ(中村能三:訳)]/1977 年再文庫化[ハヤカワ・ミステリ文庫(中村能三:訳)]/2003年再文庫化[ハヤカワ・クリスティー文庫〔新訳版〕(山本やよい:訳)]】


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