「●語学」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1224】 岩田 一男 『英単語記憶術』
教養書と実用書の両方の要素を備えている『英語に強くなる本』。
『英語に強くなる本―教室では学べない秘法の公開 (カッパ・ブックス)』['61年](カバーデザイン:田中一光/表紙・本文イラスト:真鍋 博)/『英単語クロスワード―綴りと意味を、正確に覚える本 (カッパ・ブックス)
』['68年](カバーデザイン:田中一光/推薦文:城山三郎)/岩田 一男(1910-1977)
『英語に強くなる本』は1961年刊行で、発売時わずか3カ月で100万部を突破し、最終的に147万部を売り上げ、その年のベストセラーで第1位となっています。個人的には本書に関しては"遅れてきた世代"であったため、改訂新版で読みましたが、手元にあるものは、昭和45年刊行時点で初版から数えて305版となっています。
まず第1章で、日本人はなぜ英語ができないのかという問題提起をしており、日本人に共通の誤りとして、①基礎的英語の不足、②むずかしいことを言おうとする、③日本語で英語を考える、④やさしい英語を使いこなせない、⑤日英の発想法の違いがのみこめていない、の5つを挙げ、生きた英語を使えるようになるためのポンインを示しています。基本ルールは、英語で考えるようになるのが理想的で、やさしい英語をとにかく使ってみること、直訳を避けることであるとしています。
イラスト:真鍋 博
以下、第2章から第10章にかけて、日本人はなぜ発音に弱いのか、単語はどう覚えるのが科学的か、やさしい言葉で話すにはどうすればよいか、生きている英語・死んでいる英語とは何か、学校で教えてくれない英語のルール、英語を話すコツ、英語を読む秘訣、英語の底に流れるもの、そして最後に、外国に行く法と続きます。
日本人が陥りがちな暗記や直訳など小手先のテクニックにとらわれることなく、英語という言語の本質に迫りながら多彩な例文を多数用いて分かりやすく解説しており、教養書と実用書の両方の要素を備えているように思いました。受験生というより、ある程度のレベルの英語の学習経験・習得があり、また、英語を使う必要に迫られているビジネスパーソン向けという感じでしょうか。
高度経済成長期の、東京でのアジア初のオリンピック開催の3年前に刊行されて、日本人ビジネスマンもこれからは英語が話せ、海外で活躍できるようにならなければならないという気運の中での刊行であったことがベストセラーになった要因としてあるかもしれませんが(最終章が「外国に行く方法」となっていることに時代を感じる)、内容的には結構学術的な面もあって、それを著者の技量でかみ砕いて書いているわけで、当時のビジネスパーソンって勉強熱心だったのだろうとも思います。
章の内容の流れから分かるようように、基本的に「会話」から入っていきます。サブタイトルに「教室では学べない」とありますが、学校教育でも応用可能と思われる部分はあります。但し、現実の学校の英語教育カリキュラムが「会話」ではなく「文法」重視でずっときているし、結局、その流れは、本書刊行後半世紀の間、部分的には変わっても(自分のいた高校は英語に強いのがウリで「LL教室」があったが)、全体としてはどれほど文法偏重から抜け出たか疑問です。ここに来て、大学入試センター試験が来年度[2021年1月]から大学入学共通テストに移行し、英語でリスニングの配点比率が現行の2.5倍になるとのことですが、(個人的には英語教育の改革を追っかけているわけではないが)グローバル化の流れの中で、今までの「文法」重視のツケである実用面での遅れを、慌てて取り戻そうとしている印象も受けます。
そうした意味では、本書は今読んでも(ある意味皮肉なことかもしれないが)十分に示唆的であり、教養書と実用書の両方の要素を兼ね備えたその性質は、取り上げているトピック面でところどころ昭和の懐かしさを感じる部分はあるものの、読者に伝えるべく内容という面ではそれほど経年劣化していないように思います(実際、2014年にちくま文庫で文庫化されている)。
本書では、「発音」の次に「単語」を取り上げていますが、外国語の習得において「単語」の知識が重要なのは、先に取り上げた加藤周一の『読書術』('62年/カッパ・ブックス)にもありました。その意味で、同じ著者による『英単語クロスワード』は、楽しみながら英単語を覚えられるスグレモノです。
英単語クロスワードは、80年代終わり頃にブームがあり、近年また、"脳トレ"の流れで"ナンクロ"風のものなどが出てきてブームが復活するのかどうかといったところですが、最初のブームのさらに20年前に『英単語クロスワード』という本を出しているというのは、ある意味スゴイことかもしれません(しかも、今でも十分楽しみながら使える)。
著者は一橋大学の教授であったため、同大学で著者の英語の授業を受けた作家の城山三郎が、裏表紙の推薦文を書いています。
『英語に強くなる本: 教室では学べない秘法の公開 (ちくま文庫)』['14年]
『英語に強くなる本』...【2014年文庫化[ちくま文庫]】
【読書MEMO】
●1961年(昭和36年)ベストセラー
1.『英語に強くなる本』岩田一男(●光文社カッパ・ブックス)
2.『記憶術』南 博(●光文社カッパ・ブックス)
3.『性生活の知恵』謝 国権(池田書店)
4.『頭のよくなる本』林 髞(●光文社カッパ・ブックス)
5.『砂の器』松本清張(■光文社カッパ・ノベルズ)
6.『影の地帯』松本清張(●光文社カッパ・ノベルズ)
7.『何でも見てやろう』小田 実(河出書房新社)
8.『日本経済入門』長洲一二(●光文社カッパ・ブックス)
9.『日本の会社』坂本藤良(●光文社カッパ・ブックス)
10.『虚名の鎖』水上 勉(■光文社カッパ・ノベルズ)








『試験にでる英単語』にも実は試験に出やすい順に英単語を列挙した章がありますが、文法書でそれをやるとは、大胆と言えば大胆。英文法を体系的に理解する上での良し悪し論はあるかと思いますが、自分には合っていたし、今読んでも、文法書として優れているのではないかと。
森一郎(1923-1991)は日比谷高校の教諭だった人で、同じシリーズの『試験にでる現代国語』『試験にでる古文単語』の著者
・勝山正躬(1912-1989)は灘高校の校長でしたが、両著者のこのシリーズの本は2人の没後も改訂されています。日比谷・灘両校はかつては東大進学者数を巡ってのライバル校同士でしたが、ここでは今も競い合ってる?






'74年に刊行されロングセラーとなった旧版『英単語連想記憶術』の、語彙数を増やし2色刷にした24年ぶりの改訂新版(「デラックス版」とのこと)ですが、旧版には自分が英単語の習得で周囲から遅れをとっていた時に、それにより一気に語彙数を挽回すること出来、大変お世話になったという思い出があります。


「sympathy 心配し同情する」、「insurance 飲酒は乱す、保険は遺族を保証する」といった語呂合わせによる記憶方法であり、森一郎の『試験にでる英単語』(こちらも'97年に改訂され、'02年にはCD付のものが出ている)が、語源、つまり単語を接頭語や接尾語などにパーツ分けして憶える方式をとっているのとは、暗記方法が根本的に異なります。
この『英単語連想記憶術』の改訂新版が出ていることは最近知ったのですが、ウノカマキリの表紙イラストまでほぼ同じで、2色刷りになったことを除いては「復刻版」と言ってもよいのでは。いったんこのやり方で憶えると、もうこの方式から逃れられない?と思いつつ、読み返してみると結構、元の語呂は忘れているのに単語の意味は頭に入っているものもあれば、あまり使わずに忘れてしまったものもあり、それでも、読み返しているうちに思い出し、特に小松慶司郎の挿絵と組対になっているものは、すぐに記憶が蘇ってきました(イラストは右脳を刺激するので記憶促進に有効であるという説は、ある程度当たっているように思う)。
謳い文句どおり、"実践"ですぐに役立つビジネス英単語集。

単行本や新書でベストセラーになったものから、NHKで出しているシリーズもの、TOEIC公式ガイドから果ては「超右脳式」とかいうものまで当たりましたが、結局スピーキングに関してはこの本が一番役に立ちました(CD付きではないので、発音は別として)。


本書は「角川oneテーマ21」の1冊ですが、「英語やり直し」ということでテーマがはっきりしています。

![『最新日米口語辞典 [増補改訂版]』.jpg](http://hurec.bz/book-movie/%E3%80%8E%E6%9C%80%E6%96%B0%E6%97%A5%E7%B1%B3%E5%8F%A3%E8%AA%9E%E8%BE%9E%E5%85%B8%20%EF%BC%BB%E5%A2%97%E8%A3%9C%E6%94%B9%E8%A8%82%E7%89%88%EF%BC%BD%E3%80%8F.jpg)

初版が'77年、増補版が'82年とずいぶん以前であるのに古さを感じさせないのは、日本語の抽出の仕方が口語とは言えオーソドックスで、時代を経ても使われ続けられるものを選んでいるためと思われます。このあたりは、編纂者の識見のなせる技でしょうか。


この辞典のもう1つの特徴は、アメリカ俗語に対応する日本の俗語のマニアックとも思える蒐集ぶりです(訳編者が70年代に大学生を中心に集めたという)。試しに bear とか bitch とか bush という語を引いて見ればわかりますが、完全に〈日本語俗語辞典〉と化しています。日本にだってこんなに俗語はあるぞ〜みたいな。多分〈日本語の俗語〉の方も、一般の読者には初めて知るものの方が圧倒的に多いかと思います。

