【283】 ◎ マーク・ピーターセン 『日本人の英語 (1988/04 岩波新書) ★★★★★ (○ マーク・ピーターセン 『続・日本人の英語 (1990/09 岩波新書) ★★★★)

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英文に内在する論理構造を知ることができる良書。

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日本人の英語 (岩波新書)続・日本人の英語』 岩波新書 〔'88年/'90年〕

 英語における冠詞や前置詞、時制や関係代名詞、受動態などの使い方を通して、英文に内在する論理構造を知ることができる好著です。

 日本人の英語表現のよくある誤謬を単に正すのではなく、日本語と英語のもともとの発想や論理の隔たりがどこにあるのかを、ユーモアを交えながら説き明かしていく展開は、楽しく読めて、かつ奥が深いものであり、日本語と英語の両方に通じた著者の慧眼を示すものです。
 面白いだけでなく、ある意味、今まで誰も示さなかった習得の近道かも知れません。

 例えば冒頭の、「名詞にaをつける」のではなく、むしろ「aに名詞をつける」のだという話は、初めての人には何を言っているのかよく解らないかもしれませんが、読んでみればaもtheも名詞につけるアクセサリーのようにしか思っていなかった人は「目からウロコ」の思いをするのではないでしょうか。
 ここを理解するだけでも元が取れてしまう1冊です。

 '90年には「続」編が出ていて、構成は、冠詞、前置詞、副詞、時制、知覚動詞、使役動詞というように「正」編とほぼ同じですが、日本文学や映画から素材を選び、比較文化論的エッセイ風の色合いが強まった感じがします。 

 それは冒頭の、アメリカ人は日本人を the Japanes eと言うのに、自分たちを the Americans と言わず、Americans というのはなぜだろうという疑問提示にも表れていて、著者による「文化論的」謎解きに触れたときには、思わずう〜んと唸ってしまいました。

 全体的には、「続」も「正」と同様に楽しく、また「正」よりスイスイ読めますが、先に多少時間をかけてでも「正」の方を読んでおいた方がいいかも。

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