【3584】 ○ 濱谷 浩 (監修:多田亞生/片野恵介) 『生誕100年 写真家・濱谷浩 (2015/07 クレヴィス) ★★★★

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民俗学的記録を超える写真表現を追求した「雪国」「裏日本」を堪能した。

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生誕100年 写真家・濱谷浩』['15年](26.5 x 19.5 x 2.2cm)
写真家・濱谷浩2.jpg写真家・濱谷浩m.jpg 濱谷浩(1915-1999/83歳没)の先に取り上げた『濱谷浩写真集 市の音―一九三〇年代・東京』('09年/河出書房新社)は濱谷浩の没後10年目の記念写真集でしたが、2015年刊行のこちらは生誕100年の記念写真集です(戦後70年の節目でもある)。民俗学への傾倒とともに人間と風土を見つめ続けた代表作『雪国』、『裏日本』からの抜粋をはじめ、1930年代の写真家としての出発点から1960年代の安保闘争までの国内で撮影された主要なモノクローム作品までの200点を通して、写真家・濱谷浩の足跡を辿ります。
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 第1章「モダン東京」、第2章「雪国」、第3章「裏日本」、第4章「戦後昭和」、第5章「學藝諸家」という章立てです。時期的には「雪国」と「學藝諸家」が自身で区分するところの第1期(1930-1950)で、「裏日本」が第2期(1951-1970)になり、第3期(1970‐)の作品は取り上げていません。

 活動前半期にあたる1930年代から60年代の仕事に注目している一方、1960年代で区切られていて、以降の後期の作品が収められていないのは、解説にもあるように、2015年に新潟県立近代美術館で開催された「生誕100年 写真家・濱谷浩―人間とは何か、日本人とは何か 1930s-1960s」がこの写真集のベースになっているためです。

写真家・濱谷浩う.jpg ではなぜその写真展が濱谷浩の前中期の作品まで取り上げ、後期作品を取り上げなかったかというと、全部取り上げて散漫になるより、ある程度時期を絞った方がいいとキュレーターが考えたからとのことです。また、戦時中に新潟県高田市に疎開しており(代表作の1つに、1945年8月15日に疎開先の新潟県高田で撮影した《終戦の日の太陽》がある)、「雪国」「裏日本」といった作品に重きを置いた方が、新潟の人たちには親しみやすいということもあったのでしょう。

写真家・濱谷浩5.jpg 従って、生涯の作品傾向の推移を網羅的にカバーしたものではないというとは踏まえておいて、「雪国」や「裏日本」といったテーマに沿った写真群を眺めると、それはそれで味わい深いものがあり、「全部取り上げて散漫になるより、ある程度時期を絞った方がいい」と考えたキュレーターの意図に、写真集を通して嵌りました。特に、民俗学的記録を超える写真表現を追求した「雪国」「裏日本」を堪能しました(個人的に、自分が昭和30年代に雪国・裏日本に住んでいたということもある)。実際のところ、写真集『雪国』(毎日新聞社)は1956年、『裏日本』(新潮社)1957年の刊行で、今では入手が難しくなっており、「雪国」「裏日本」にフォーカスした本写真集は貴重です。

 一方でこの人には、『辺境の町ウルムチ』('57年/平凡社)、『見てきた中国』('58年/河出書房新社)など、早い時期に海外で撮った写真を収めた写真集などもありますが、こちらも入手困難です。本写真集の第1章の「モダン東京」も、「雪国」や「裏日本」とう写真家・濱谷浩4.jpgって変わって洒落ていて、まさにモダンないい感じです。この人のさらに別の写真集も見てみたくなりました。
  
《読書MEMO》
●目次:
時代の渦/濱谷浩
あいさつにかえて―濱谷浩氏と歩いた街角/酒井忠康
地域に文化の芽をまく―高田の濱谷浩/德永健一
一貫した真摯な姿勢/野町和嘉
第1章 モダン東京
第2章 雪国
第3章 裏日本
第4章 戦後昭和
第5章 學藝諸家
濱谷浩の半世紀―『潜像残像』から読み解く「写真家・濱谷浩」/藤田裕彦
福縁そして陽の名残り/多田亞生
年譜/加藤絢
主要文献/多田亞生、片野恵介

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This page contains a single entry by wada published on 2025年4月13日 05:00.

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