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幸村関連の20の「謎」を解き明かす。読みやすい。内容は意外とオーソドックスか。


『真田幸村「英雄伝説のウソと真実」 (双葉新書)』2016年NHK大河ドラマ「真田丸」第35回「犬伏」大泉洋(真田信幸)/堺雅人(真田信繁)/草刈正雄(真田昌幸)
これも、先に取り上げた『真田四代と信繁』('05年/平凡社新書)同様、2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」による真田幸村ブームに合わせて刊行された本です。著者(歴史家、フリーの著述業)によれば、真田幸村は日本人に最も愛されている戦国武将であるとともに、通説と実像のギャップが大きいもの特徴であるとのことで、そうした幸村の不正確さについて、「彼について記した一級史料が絶対的に不足している」ことを理由にあげています。
本書は、幸村や幸村に関連する内容―例えば、その父・真田昌幸、更に真田家そのものの事績―を含めて、まず20の謎を抽出し、それぞれの項目の謎を解き明かしつつ、新しい解釈を示すよう努めたものであるとのことです。従って、それぞれの項目(謎其の一~謎其の二十)は個々に完結したストーリーになっているためどこからでも読めますが、本書全体で真田幸村の一代記となるよう、それを時系列で並べ、時間的な流れで追えるようにもなっているとのことです。
類書は真田家3代乃至4代にわたって解説されているものが結構多いようですが、本書も真田幸村に関する項目以外に、純粋に父・真田昌幸に関する項目が7項目ばかりあり、大河ドラマも9月頃まで信繁(幸村)よりむしろ昌幸中心にやっていましたから、やはり父・昌幸の存在は大きいなあという気がします。
「第1次上田合戦」や「第2次上田合戦」、「犬伏の別れ」、「大阪夏の陣」「大阪冬の陣」など重点項目を集中的に解説しているのが本書のメリットで(事前に全体の流れの方は大まかなところ知っておいた方がよいということにもなるが)、ただ、20の謎と言っても、それほど新鮮と言うか、突飛なものは無かったようにも思います。
徳川軍を2度にわたって撃退した上田城
「犬伏の別れ」などについても詳しくは書かれていますが、他書にもある記述が大半を占めます。研究され尽くしているのでしょうか。大河ドラマなどは、原作無しの三谷幸喜氏の脚本(実質、三谷幸喜氏が原作者)ということもあってか、むしろ結構大胆な解釈を採り入れていたような...(三谷氏は新聞の連載コラムで、時代考証者と相談して、'可能性のあるもの'を採用しているといった趣旨のことを書いていたように思うが、'可能性のある'という言葉が微妙)。
ただ、本書は読み物としても読み易く、新書で250ページ超ですが、楽しく最後まで読めました。「謎」の深さはともかく、「謎」を解き明かすというスタイルで、一応読者を引っ張っていき、無理やり奇抜なところに落とし込むのではなく、オーソドックスに纏めているという感じでしょうか。「幸村」中・上級者には全く物足りないと思いますが、自分のような初心者には有難い本です。



章のウェイトとしては、一章の幸綱に46ページ、二章の信綱に16ぺージ、三勝の昌幸に122ぺージ、四章の信繁(幸村)に60ページ、五章の信之に22ページという配分になっていて、昌幸に信繁の倍以上の紙数を割いていることになりますが、2016年のNHK大河ドラマの方でも、1月から始まって9月25日の放送回で昌幸が没するまで、殆ど、かつてNHKの新大型時代劇「真田太平記」('85.04~'86.03)で真田幸村(信繁)を演じた草刈正雄が演じるところの昌幸が中心に描かれていたことと呼応し合っていうようにも思われます(当時、9月25日の放送回終了直後は「昌幸ロス」とまで言われた)。
2016年に信州・上田市に旅行に行き真田の郷なども巡ってきましたが、「信州上田・真田丸大河ドラマ館」が一番混んでいました。上田城跡公園内の上田市民会館を模様替えして1年間の期間限定で「大河ドラマ館」にしてしまったようだけれど。以前からある「真田氏歴史館」にも大河ドラマで使われた衣装などがあったりし
て、しっかりNHKとタイアップしていました。むしろ、真田氏本城跡(城跡も何も残ってないが真田の郷が一望できる)や真田氏館跡・御屋敷公園などの方が、落ち着いた雰囲気で、戦国武将になった気分、乃至は「強者どもが夢のあと」的な感慨を味わえたような気もします。




慶長15年、天下統一を図る家康(萬屋錦之介)は、大坂城の豊臣秀頼(小倉一郎)一党を討つための準備を進めている。一方、真田昌幸(片岡千恵蔵)・幸村(松方弘樹)父子も九度山で戦いの決意を固めていたが、昌幸は家康の間者に殺害され、幸村の妻・綾(萩尾みどり)は自刃を遂げる。幸村は穴山小助(火野正平)のみ残して他の家臣を上田城へ帰し、家康側についた兄・信幸(梅宮辰夫)と決別、亡父の遺志を継ぎ、家康の首をとる決心をする。家康の送った服部半蔵(曽根晴美)に殺された戸沢白雲斎(浜村純)の残した人名帖から、猿飛佐助(あおい輝彦)、霧隠才蔵(寺田農)、海野
六郎(ガッツ石松)、望月六郎(野口貴史)、筧十蔵(森田健作)、由利鎌之助(岩尾正隆)、根津甚八(岡本富士太)、三好伊三入道(真田広之)、三好清海入道(秋野暢子)などの草の者を集める。フランキー砲試射を見に来る家康を暗殺するために幸村と十勇士は出発するが、計画を見抜いた家康配下の半蔵の忍者部隊に幸村は片目を射抜かれる。家康は幸村達を豊臣が雇っ
た牢人と決めつけ、豊臣氏に叛逆の意図ありと口実を作り、徳川連合軍40万を大坂へ向けて進撃、1614年10月大坂冬の陣が始まる。報償金目当ての者、ひと旗上げようとする者が大坂に集まり、幸村と十勇士も大坂へ向かう。大坂城では徳川を迎え打つ軍議が開かれ
、籠城を主張する豊臣譜代衆と、野戦を主張する幸村達牢人衆が対立するが、淀君(高峰三枝子)の一言で籠城と決定、幸村は鉄壁の出城「真田丸」を作る。幸村は、小助に天竺渡来の麻薬を持たせ遊女たちと共に前田軍に送り込んで前田軍を骨抜きにし、翌日の合戦で真田軍が圧勝する。家康は和議の交渉を進め、フランキー砲の偶発に驚愕した淀君も和議に応じてしまうが、和議が済むと家康は大坂城の堀を埋めつくし、裸同然の無防備な城に一変させてしまう。そして、1615年4月大坂夏の陣が始まる―。
1979(昭和54)年公開の中島貞夫監督による東映"何でもあり"時代劇。冒頭、いきなり夜空から巨大隕石が落下してくる場面があり(「妖星ゴラス」('62年/東宝)かと思った
けれど、映画会社が違ったか)。この星に乗ってやってきたのがどうやら猿飛佐助だったらしく、最後は独りまた宇宙へ帰っていきます。超能力が使えるならばそれをもっと使えばいいのに、刀や徒手空拳で東映時代劇の殺陣の流儀に沿って闘っているというのもおかしいし、と思ったら、「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前」と思い出したように九字を切る(とても宇宙から来たとは思えない)―という具合に、突っ込みどころは多く、穿った見方をすれば、そうした突っ込みどころを愉しむ映画なのかもしれません。
その外にも、真田昌幸(片岡千恵蔵)が、家康の間者が放った猫にひっかかれて死んでしまったり(猫の爪に毒が塗ってあった)、三好清海入道が朝鮮から連れてこられた姫君で切支丹のジュリアおたあ(秋野暢子)の変名であって、しかも
テレパシスト能力を有し、人の心を読み取ることが出来るという設定になっいていたり(三好清海入道の弟・三好伊三入道役は真田広之)、幸村が敵に片目を射抜かれて途中から"独眼竜政宗"みたいに眼帯をしていたり、加藤
清正(丹波哲郎)が大阪城内の座敷牢みたいなところでトラを飼っていたり...。幸村が十勇士だけ引き連れて徳川の大軍と戦っているのも非現実的ですが、極めつけはラストで、幸村が家康との一騎打ちの末その首を刎ね、家康の首が空高くぶっ飛びます(公開当時は「家康の首が50メートル飛ぶ!」という宣伝がなされていた)。
こうした荒唐無稽な内容でありながらも、ベースはNHK大河ドラマ「真田丸」などでもお馴染みの展開であり(ある意味、ラストの家康の死を除いては、後の「
の昌幸、萬屋錦之介の家康、高峰三枝子の淀君と、配役が超豪華です(思えば、片岡千恵蔵が「
難点の1つは、その十勇士達の個性がそれほど活かされておらず、真田の郷にいる時でも訓練行動の時から同じようなユニフォームで動き回っていて、何だかレインジャー部隊にしか見えない点でしょうか。正直、後でスチール写真で誰が誰だったか確認した次第(「将軍家光の乱心 激突」のように千葉真一こそ出ていないが、JACの面々は出ているみたい)。ただ動き回っているだけで、あまり演技させてもらっていない俳優達が可哀そうです。強いて言えば、三好清海入道を女性にしたことで、秋野暢子にドラマ部分を担わせた印象もありますが、これもちょっと弱かったか。別に難点は1つではなく、他に難点はと言われれば幾つでもありますが、むしろ突っ込みどころがあり過ぎてコメントし辛いという、超豪華「B級」時代劇、といった感じの作品でした。
「真田幸村の謀略」●制作年:1989年●監督:中島貞夫●特撮監督:矢島信男●脚本:笠原和夫/松本功/田中陽造/中島貞夫●撮影:赤塚滋●音楽:佐藤勝●時間:148分●出演:松方弘樹/寺田農/あおい輝彦/ガッツ石松/野口貴史/森田健作/火野正平/岩尾正隆/岡本富士太/真田広之/秋野暢子/片岡千恵蔵/梅宮辰夫/萩尾みどり/北村英三/村居京之輔/和田昌也/橘麻紀/谷川みゆき/浜村純/丹阿弥谷津子/小泉美由記/木村英/岡麻美/田中みき/市川好朗/志茂山高也/勝野賢三/タンクロウ/萬屋錦之介/小坂和之/進藤盛裕/茂山千五郎/金子信雄/香川良介/小林昭二/林彰太郎/江波杏子/川浪公次郎/壬生新太郎/曽根晴美/笹本清三/春田純一/福本清三/大矢敬典/木谷邦臣/平河正雄/奔田陵/志賀勝/丸平峰子/小峰隆司/池田謙治/司裕介/畑中伶一/山田良樹/藤沢徹夫/平沢彰/唐沢民賢/波多野博/阿波地大輔/宮城幸生/大城泰/秋山勝俊/高並功/泉好太郎/五十嵐義弘/小倉一郎/高峰三枝子/上月左知子/桜町弘子/松村康世/富永佳代子/星野美恵子/森愛/戸浦六
宏/梅津栄/野口元夫/白井滋郎/疋田泰盛/土橋勇/成田三樹夫/遠藤征慈/宮内洋/丘路千/中村錦司/丹波哲郎●公開:1979/09●配給:東映(評価:★★☆)
中島貞夫(なかじま・さだお)映画監督。2023年6月11日死去(88歳没)