【2802】 ○ 跡部 蛮 『真田幸村「英雄伝説のウソと真実」 (2015/10 双葉新書) ★★★☆

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幸村関連の20の「謎」を解き明かす。読みやすい。内容は意外とオーソドックスか。

真田幸村「英雄伝説のウソと真実」 .jpg真田幸村「英雄伝説のウソと真実」L.jpg 真田丸 犬伏の別れ.jpg
真田幸村「英雄伝説のウソと真実」 (双葉新書)』2016年NHK大河ドラマ「真田丸」第35回「犬伏」大泉洋(真田信幸)/堺雅人(真田信繁)/草刈正雄(真田昌幸)

 これも、先に取り上げた『真田四代と信繁』('05年/平凡社新書)同様、2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」による真田幸村ブームに合わせて刊行された本です。著者(歴史家、フリーの著述業)によれば、真田幸村は日本人に最も愛されている戦国武将であるとともに、通説と実像のギャップが大きいもの特徴であるとのことで、そうした幸村の不正確さについて、「彼について記した一級史料が絶対的に不足している」ことを理由にあげています。

 本書は、幸村や幸村に関連する内容―例えば、その父・真田昌幸、更に真田家そのものの事績―を含めて、まず20の謎を抽出し、それぞれの項目の謎を解き明かしつつ、新しい解釈を示すよう努めたものであるとのことです。従って、それぞれの項目(謎其の一~謎其の二十)は個々に完結したストーリーになっているためどこからでも読めますが、本書全体で真田幸村の一代記となるよう、それを時系列で並べ、時間的な流れで追えるようにもなっているとのことです。

 類書は真田家3代乃至4代にわたって解説されているものが結構多いようですが、本書も真田幸村に関する項目以外に、純粋に父・真田昌幸に関する項目が7項目ばかりあり、大河ドラマも9月頃まで信繁(幸村)よりむしろ昌幸中心にやっていましたから、やはり父・昌幸の存在は大きいなあという気がします。

上田城.jpg 「第1次上田合戦」や「第2次上田合戦」、「犬伏の別れ」、「大阪夏の陣」「大阪冬の陣」など重点項目を集中的に解説しているのが本書のメリットで(事前に全体の流れの方は大まかなところ知っておいた方がよいということにもなるが)、ただ、20の謎と言っても、それほど新鮮と言うか、突飛なものは無かったようにも思います。

徳川軍を2度にわたって撃退した上田城

 「犬伏の別れ」などについても詳しくは書かれていますが、他書にもある記述が大半を占めます。研究され尽くしているのでしょうか。大河ドラマなどは、原作無しの三谷幸喜氏の脚本(実質、三谷幸喜氏が原作者)ということもあってか、むしろ結構大胆な解釈を採り入れていたような...(三谷氏は新聞の連載コラムで、時代考証者と相談して、'可能性のあるもの'を採用しているといった趣旨のことを書いていたように思うが、'可能性のある'という言葉が微妙)。

 ただ、本書は読み物としても読み易く、新書で250ページ超ですが、楽しく最後まで読めました。「謎」の深さはともかく、「謎」を解き明かすというスタイルで、一応読者を引っ張っていき、無理やり奇抜なところに落とし込むのではなく、オーソドックスに纏めているという感じでしょうか。「幸村」中・上級者には全く物足りないと思いますが、自分のような初心者には有難い本です。

20160904 上田城櫓前2.JPG 2016.9 撮影:和田泰明

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