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「●日本の国境問題」の インデックッスへ
やはり何となく煽らないと本が売れないというのがあるのか。

『2014年、中国は崩壊する (扶桑社新書)』 『尖閣を獲りに来る中国海軍の実力: 自衛隊はいかに立ち向かうか (小学館101新書)
』
『2014年、中国は崩壊する』は以下の4章構成。
第1章 尖閣諸島で敗北した中国
第2章 日本人が知らないメンツ社会
第3章 中国経済の問題
第4章 中国崩壊とその後
第1章では、尖閣諸島問題において日本が中国に押され気味であるという一般認識に対し、むしろ大敗北を喫したのは中国(より正確に言えば中国共産党政権)であって、この問題によって中国は国際的信用を下落させ、軍事的、経済的な損失も計り知れないものがあると。そこには地方政府を御しきれていない中央政府の「脆さ」が窺える一方で、「尖閣諸島は中国の領有である」と主張した以上、それを言い続けなければならない中国の国内事情(他に多くの国境問題を抱えているという)もあるとのこと。
そして第2章では、中国が頑なに尖閣諸島の領有権を主張する背景には、中国人のメンタリティと社会構造も関係しているとし、自らのビジネス経験もベースにして、中国の社会や慣習が「メンツ」を重んじるものであることを解説しています。
第3章では、中国の経済について述べており、政治システムと経済システム(改革開放システム)が全く噛み合っていない中で起きている現在のバブル経済の危うさを指摘しています。中国は「資産そのものが通貨発行の基準」であるため、常に国家資産を増やさなければ通貨が発行できない仕組みであり、つまり、共産党の保有している資産が多くなればその限度まで通貨を発行できるが、通貨発行が限度に達すると、どこかの資産を奪い取らねば通貨を発行できなくなる―これが尖閣の資源を狙う最大の理由であると指摘しています。
また、中国の経済は下層社会における地下経済が大きなウェイトを占め、中国共産党も下層民衆の経済は制御できていないと。社会主義といいながら資本主義化し、力のある下層民衆を制御しきれていない中で、現在のバブル化した経済が崩壊した際には、経済システムだけばく、政治システムも崩壊することになると。
第4章では、中国崩壊はどのようして何時ごろ起こり、その後はどうなるかを述べていますが、下層社会にうずまく不満が、経済成長が限界に達した時に爆発し、下層民衆の反乱によって中国は崩壊するとし、それが起こるのは習近平体制が発足して1年後の2014年であり、その後のことは予測がつかないとしています。
個人的には、尖閣諸島問題については、中国の内部事情と絡めた一つの分析として興味深く読めましたが、中国の地下経済についてはかなり漠たる記述内容という印象でしょうか(どの本を読んでも大体そうなのだが、まだ、富坂聰氏の『中国の地下経済』('10年/文春新書)などの方が具体的)。
中国の崩壊の過程についても、下層民衆の反乱が起こるとしつつもそう具体的なシナリオが示されているわけでもなく、「2014年」というのも、どちらかと言うと「2014年に起きる可能性もある」といったニュアンスで、その後のことは予測がつかないとなると、ますます歯切れが悪くなり、ブックレビューなどで高い評価を得ている本のようですが、個人的には、やや煽り気味で具体性の乏しい週刊誌記事を読んだような印象でした(富坂氏は元「週刊文春」記者なのだが)。
因みに、尖閣諸島問題については、元海将補の川村純彦氏(より以前には対潜哨戒機のパイロットでもあった)が『尖閣を獲りに来る中国海軍の実力―自衛隊はいかに立ち向かうか』('12年/小学館101新書)で、この問題は資源問題や経済問題などではなく、純粋に軍事問題であるとしており、人によって様々だなあと(元ビジネスマンと元自衛官の立場の違いか)。
川村氏は、尖閣諸島を巡って今すぐに中国側から戦争を仕掛けてくる可能性は少なく、但し、将来は台湾を領有することで東シナ海、南シナ海を自国の"庭"とし、(原子力潜水艦で移動しながら核ミサイルを発射することを可能にすることで)米国と拮抗する軍事大国にならんがために、中国はいつの日か"尖閣を獲りに来る"と。但し、現時点での"中国海軍の実力"は、航空母艦はウクライナから購入して改修した「遼寧」1隻のみで、艦載機の離発着(所謂"タッチ・アンド・ゴー")の実績も無く(この点について'12年11月に離発着訓練に成功したとの中国海軍の発表があったが)、中国が空母を運用していくには未だかなりの課題が残っているようです。
そのような現況において中国側から攻撃を仕掛けてくる可能性はまず無いとしながらも、漁民に変装した中国特殊部隊による尖閣諸島占領を契機に日中間に戦争が勃発した際の推移をシュミレーションし、最終的には自衛隊の圧勝で締め括られる結末を描いてみせています(なんだ。自衛隊の宣伝本だったのか)。
やっぱり、この辺りのレーベルの新書となると、何となく煽らないと本が売れないというのがあるのかなあ。



今回の中国艦船による「レーダー照射事件」などは、まさにその勢いでやったという印象。「照射しただけでしょう。戦争にはなりませんよ」「正当な私たちの国家の防衛的行動だと思います」という"北京市民の声"が報じられています。


山田 吉彦 氏(日本財団)
全4章構成の内の書第1章で、「海洋国家日本」の基礎知識を概説し、第2章で、著者自らが訪ねた国境の地として沖ノ鳥島、石垣島、大東諸島、根室・羅臼について述べ、第3章で領土紛争の焦点にある尖閣諸島、対馬、竹島、北方領土について述べるとともに、第4章で「日本の海」を守るにはどうすればよいかを考察しています。
第1章を読むと、日本の国土面積は38万平方kmで世界59位であるのに対し、日本の排他的経済水域は447万平方kmで(接続水域を含む)、世界で6位であることが分かり、個人的には、これだけでも新知識として参考になりました。
沖ノ鳥島は東西4.5km、南北1.7km、周囲約10 kmの島ですが、高潮時には16cmだけ海上に頭を出すだけであり、但し、この「島」があることで日本は日本全体の排他的経済水域の約1割にあたる40万平方kmの水域を確保しているとのこと。