【3213】 ○ 西谷 弘 (原作:東野圭吾) 「沈黙のパレード (2022/09 東宝) ★★★☆

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映画を観て、改めて疑問に思った点や、新たに納得できた点があった。

「沈黙のパレード」2022.jpg「沈黙のパレード」01.jpg 「沈黙のパレード」02.jpg
「沈黙のパレード」(2022)福山雅治/柴咲コウ/北村一輝
「沈黙のパレード」03.jpg 物理学者・湯川学(福山雅治)の元に、警視庁捜査一課の刑事・内海薫(柴咲コウ)が相談に訪れる。行方不明になっていた女子学生が、数年後に遺体となって発見された。内海によると容疑者は、湯川の友人で内海の先輩刑事・草薙俊平(北村一輝)がかつて担当した菊野商店街の料理店「なみきや」の店主・並木祐太郎(飯尾和樹)と真智子(戸田菜穂)夫妻の長女・並木佐織(川床明日香)殺害事件で、完全黙秘を貫き無罪となった男・蓮沼寛一(村上淳)。蓮沼は今回も同様に完全黙秘し、証拠不十分で釈放され、被害者の住んでいた町に戻って来た。町全体を覆う憎悪の空気...。そして、夏祭りのパレード当日、その蓮沼が殺される。女子学生を愛していた、家族、仲間、恋人...全員に動機があると同時に、全員にアリバイがあった―。

東野 圭吾 『沈黙のパレード』.jpg 原作『沈黙のパレード』('18年/文藝春秋)はガリレオシリーズ第9作で、長編としては第4作。同シリーズではシリーズ第3作『容疑者Xの献身』('05年/文藝春秋)が'08年に、シリーズ第6作『真夏の方程式』('11年/文藝春秋)が'11年に映画化されていて、3度目の映画化作品です(何れも監督は西谷弘)。因みに原作は、「週刊文春ミステリーベスト10」(国内部門)で、作者の作品としては'85年の『放課後』、'99年の『白夜行』、'05年の『容疑者xの献身』、'09年の『新参者』に続いて5度目の第1位となっています。

「沈黙のパレード」p2.jpg 改めて容疑者の数が多いと思いましたが、映画のパンフレットを見たら、作者はアガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』を意識したとあり、ナルホドと思いました。ある種、倒叙法的であり、主眼も謎解きではなく、事件に関わった人々の心情に置かれているように思いました。ただし、原作にある多くの登場人物のひとり一人を深掘りし、過去と現在が交錯する内容を全部映画に反映させるには時間的制約があり、その代わり、断片的な描写を細かく入れる形で人間関係や過去と現在の部分を圧縮する手法を取っています。

「沈黙のパレード」p3.jpg 『オリエント急行殺人事件』とちょっと違うなと思ったのは、いわば"チーム・リーダー"がメンバーをコントロール仕切れなかった点で、事態の急変によりリーダーが計画中止を決断するも、思い入れの強い実行犯が暴走してしまったということだったのだなあと改めて思いました。

 ほかに改めてこれどうなの?と思ったのは、過去の出来事で、並木佐織(川床明日香)と新倉留美(檀れい)が公園で揉み合い、並木佐織が頭を打って倒れ、新倉留美は気が動転してその場から走り去り、線路に飛び込もうとしてフェンスを登れず転倒し、正気に戻って公園に戻ったら並木佐織がいなかったという―本当に自分が殺害したなら死体はそこにあるわけで、そこに死体が無いということは生きている可能性があるわけだから、なぜ警察に届けなかったのかなあと(結果的に遺棄致死傷罪になることを怖れた?)。

 一方、原作を読んで疑問に思ったのが映画を観て納得したのは、原作を読んだ時、「普通の部屋」においてこんな理科実験的な仕掛けで犯行を完成させることが出来るのかなあと思ったのが(この点が個人的には妙に引っ掛かった)、映画で見ると本当に穴蔵みたいな部屋で、これなら中毒死もありかなと思った点です。映画「真夏の方程式」('11年)の"ペットボトル・ロケット実験"もそうでしたが、映像化作品を観て納得できた点もありました。

 一応、原作が既読でありながらも最後まで一定の集中をもって観ることができたので、評価は〇としました(甘いかな)。

「沈黙のパレード」p1.jpg「沈黙のパレード」p4.jpg「沈黙のパレード」●制作年:2022年●監督:西谷弘●製作:鈴木吉弘/大澤恵/山邊博文●脚本:福田靖●撮影:山本英夫●音楽:菅野祐悟/福山雅治●原作:東野圭吾●時間:130分●出演:福山雅治/柴咲コウ/北村一輝/飯尾和樹/戸田菜穂/田口浩正/酒向芳/岡山天音/川床明日香/出口夏希/村上淳/吉田羊/檀れい/椎名桔平●公開:2022/09●配給:東宝●最初に観た場所:TOHOシネマズ日比谷(22-09-26)(評価:★★★☆)

TOHOシネマズ日比谷.jpgTOHOシネマズ日比谷(2018年オープン)
スクリーン 座席数(車椅子用) スクリーンサイズ デジタル音響
SCREEN 1 456+(3) 19.8×8.3m TCX® カスタムオーダーメイドスピーカー
SCREEN 2 98+(2) 8.2×3.4m デジタル5.1ch
SCREEN 3 98+(2) 8.1×3.4m デジタル5.1ch
SCREEN 4 339+(2) IMAX®レーザー イマーシブ・サウンド
SCREEN 5 395+(2) 16.5×6.9m TCX® DOLBY ATMOS(対応作品のみ) VIVEオーディオ

TOHOシネマズ日比谷2.jpgSCREEN 6 98+(2) 6.3×2.6m スカルプトサウンド
SCREEN 7 151+(2) 11.8×4.9m VIVEオーディオ
SCREEN 8 120+(2) 8.8×3.7m VIVEオーディオ
SCREEN 9 257+(2) 12.9×5.4m スカルプトサウンド
SCREEN 10 98+(2) 8.5×3.6m デジタル5.1ch
SCREEN 11 98+(2) 9.1×3.8m デジタル5.1ch
SCREEN 12 489+(2) 15.0×6.2m VIVEオーディオ
SCREEN 13 106+(2) 7.1×4.1m デジタル5.1ch
13スクリーン 2,803+(27)

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