一方、本書『自閉症入門―親のためのガイドブック』('97年/中央法規出版)は、ウィングの改訂版出版に先駆けて'93年に原著刊行されたもので、それまでの紆余曲折があった研究成果を総括した基本入門書ですが(原題は"Autism: The Facts")、やや大部な『自閉症スペクトル』(邦訳で342ページ)に比べると167ページと半分程度のボリュームで、易しく書かれていて図版も多く、手に取りやすい入門書という点では一押しです。
London-based artist Stephen Wiltshire travels to Tokyo where he views the city
from above and below and draws the buildings and skyscrapers in 7 days, all from
memory.
《読書MEMO》
●自閉症の子どもに見られる特徴
①社会的関係と社会性の発達に障害
②通常の対人コミュニケーションの発達が見られない
③関心と行動が、柔軟性や想像力に乏しく、限定的かつ反復的
●自閉症の人の脳に高値に存する化学物質「セロトニン」(69p)
●アンとサリーの実験『心の理論』(78p)
「カスパー・ハウザーの謎」●原題:JEDER FUR SICH UND COTT GEGEN ALLE●制作年:1974年●制作国:西ドイツ●監督・製作・脚本:ヴェルナー・ヘルツォーク●撮影:ヨルグ・シュミット・ライトワイン/クラウス・ウィボニー●音楽:パッヘベル/オルランド・ディ・ラッソ/アルビノーニ/ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト●時間:110分●出演:ブルーノ・S/ワルター・ラーデンガスト/ブリジット・ミラ/ハンス・ムゼウス/ミカエル・クロエシャー●日本公開:1977/01●配給:欧日協会●最初に観た場所:青山・ドイツ文化センター (84-10-07)(評価:★★★☆)●併映:「ノスフェラトゥ」「ヴォイツェック」(ヴェルナー・ヘルツォーク)
ペーター・キュルテンは処刑の日の朝の様子は、「彼は、朝食―カツレツ、ポテトチップス、白ブドー酒―をおいしそうに食べ、お代わりを要求した。そしてベルク教授に向かい、最後の望みは、自分の血がしたたり落ちる音を聞くことであると言った。彼はギロチンにかけられたが、首が胴体を離れる時間まで愉快そうに見えた」ということです。漫画家・手塚治虫は、キュルテンの事件を題材にした短編「ペーター・キュルテンの記録」を1973(昭和48)年に発表しています(『時計仕掛けのりんご-The best 5 stories by Osamu Tezuka 』('94年/秋田文庫)所収)。
本書『邦画ベスト150』には、赤瀬川順・長部日出雄・藤子不二雄A氏らの座談会や、映画通が選んだジャンル別のマイベスト、井上ひさしの「たったひとりでベスト100選出に挑戦する!」といった興味深い企画もありますが、メインの「ベスト150」は、1位が「七人の侍」で、以下「東京物語」「生きる」「羅生門」「浮雲」と続く"まともな"ラインアップとなっています。また、井上ひさしの「たったひとりでベスト100選出に挑戦する!」も、第1位が「七人の侍」で、あと「天国と地獄」「生きる」と黒澤作品が続きます(因みに「七人の侍」は、1954年度「キネマ旬報ベストテン」第3位だったが、本書の10年後発表の「キネマ旬報オールタイムベスト・ベスト100日本映画編(1999年版)」では第1位(下段参照))。 Shichinin no samurai(1954) 「七人の侍」('63年/東宝)
「風と共に去りぬ」●原題:GONE WITH THE WIND●制作年:1939年●制作国:アメリカ●監督:ビクター・フレミング●製作:デヴィッド・O・セルズニック●脚本:シドニー・ハワード●撮影:アーネスト・ホーラー/レイ・レナハン●音楽:マックス・スタイナー●原作:マーガレット・ミッチェル●時間:231分●出演:ヴィヴィアン・リー/クラーク・ゲーブル/レスリー・ハワード/オリヴィア・デ・ハヴィランド/トーマス・ミッチェル/バーバラ・オニール/ハティ・マクダニエル/イヴリン・キース/アン・ラザフォード/ハリー・ダベンボート/ローラ・ホープ・クルーズ/キャロル・ナイ/オナ・マンスン/カミー・キング●日本公開:1952/09●配給:MGM日本支社●最初に観た場所:池袋文芸坐(78-06-03)(評価:★★★★)
「月世界旅行」(げつせかいりょこう)●原題:THE TRIP TO THE MOON(Le Voyage dans la Lune)●制作年:1902年●制作国:フランス●監督・製作・脚本:ジョルジュ・メリエス●原作:ジュール・ヴェルヌ/H・G・ウェルズ●時間:14分●出演:ジョルジュ・メリエス/ブリュエット・ベルノン/ ジュアンヌ・ダルシー/ヴィクター・アンドレ/アンリ・デラヌー●日本公開:1905/08●配給:MGM日本支社●最初に観た場所:杉本保男氏邸(81-01-31)(評価:★★★?)
「月世界旅行&メリエスの素晴らしき映画魔術 Blu-ray」['12年] 2010年彩色版
「ペーパーチェイス」●原題:THE PAPER CHASE●制作年:1973年●制作国:アメリカ●監督・脚本:ジェームズ・ブリッジス●製作:ロバート・C・トンプソン/ロドニック・ポール●撮影:ゴードン・ウィリス●音楽:ジョン・ウィリアムス●時間:118分●出演:ティモシー・ボトムズ/リンゼイ・ワグナー/ジョン・ハウスマン/グラハム・ベケル/エドワード・ハーマン/ボブ・リディアード/クレイグ・リチャード・ネルソン/ジェームズ・ノートン/レジーナ・バフ●日本公開:1974/03●配給:20世紀フォックス(評価:★★★☆)
ところが、これを否定し、調査委員会まで設置して「クーパーズタウン伝説」を強引に「事実」にしてしまったのが、往年の名投手でスポーツ用品メーカーの創立者としても知られるアルバート・G・スポルディング(Albert Spalding)で、本書前半部では、こうしたベースボールの成り立ちと歴史の"捏造"過程が描かれていて興味深く読めます。 Albert Spalding (1850-1915)
ベースボールは、英国のクリケットなどとの差異において、ナショナル・スポーツとしての色合いを強め、実業家スポルディングが、ベースボールを通じて「ミドルクラス・白人・男性」のイメージを「アメリカ人」のあるべき姿と重ね(これが後に排他的人種主義にも繋がる)、ミドルクラスを顧客としたビジネスとして育て上げていく、そうした中、それを体現したような選手・打撃王タイ・カップが現れ、さらに彼がコカ・コーラの広告に登場するなどして、商業主義とも結びついていく―。 Tyrus Raymond "Ty" Cobb (1886-1961)
それから野球映画で言えば、フレッド・スケピシ監督の「ミスター・ベースボール」('92年)というのもありました。「スリーメン&ベビー」のトム・セレックが中日ドラゴンズに助っ人でやってきた元メジャー・リーガー役。星野仙一と広岡達朗をモデルにしたという中日ドラゴンズの監督役・高倉健との共演はまずまずでしたが、日本にやって来た外国人のカルチャー・ショックというワンパターンにはまった?(評価★★★)。女流監督ペニー・マーシャルが撮ったトム・ハンクス主演の「プリティ・リーグ」('91年)というのもありました。原題は"League of Their Own"。これは良かった。実話がベースになっているというのはやはり強いです(評価★★★★)。
こうした今まで観た映画のことを思い浮かべながらでないと、歴史的イメージがなかなか湧かない部分もありましたが、個人的には、例えば、アフリカ系とアングロサクソン系の混血であるデレク・ジーターが、ここ何年にもわたり"NYヤンキースの顔"的存在であり、アメリカ同時多発テロ事件の後はニューヨークそのものの顔になっていることなどは、ベースボールが人種差別という歴史を乗り越え、近年ナショナル・スポーツとしての色合いが強まっているという意味で、何だか象徴的な現象であるような気がしています(メジャーリーグでは近年ラティーノと呼ばれる中南米出身者が占める比率が高まりつつある)。 Derek Jeter(New York Yankees)
「メジャーリーグ2」●原題:MAJOR LEAGUE II●制作年:1994年●制作国:アメリカ●監督・脚本:デヴィッド・S・ウォード●製作:ジェームズ・G・ロビンソン/デヴィッド・S・ウォード●脚本:R・J・スチュワート●撮影:ビクター・ハマー●音楽:ミシェル・コロンビエ●時間:105分●出演:チャーリー・シーン/トム・ベレンジャー/コービン・バーンセン/マーガレット・ホイットン/ジェームズ・ギャモン/スティーブ・イェーガー/ デニス・ヘイスバート/レネ・ルッソ/オマー・エップス/石橋貴明/ミシェル・バーク/アリソン・ドゥーディ●日本公開:1994/06●配給:東宝東和(評価:★★)
「ホット・ショット2」●原題:HOT SHOT! PART DEUX●制作年:1993年●制作国:アメリカ●監督:ジム・エイブラハムズ●製作:ビル・バダラート●脚本:ジム・エイブラハムズ/パット・プロフト●撮影:ビル・バトラー●音楽:シルヴェスター・リヴェイ●時間:89分●出演:チャーリー・シーン/ロイド・ブリッジス/ヴァレリア・ゴリノ/ブレンダ・バーキ/リチャード・クレンナ●日本公開:1993/06●配給:20世紀フォックス(評価:★★★)
トム・ハンクス/ジーナ・デイヴィス/ マドンナ 「プリティ・リーグ」●原題:A LEAGUE OF THEIR OWN●制作年:1991年●制作国:アメリカ●監督:ペニー・マーシャル●製作:ロバート・グリーンハット/エリオット・アボット●脚本:ババルー・マンデル/ローウェル・ガンツ●撮影:ミロスラフ・オンドリチェク●音楽:ハンス・ジマー●時間:116分●出演:トム・ハンクス/ジーナ・デイヴィス/マドンナ/ロリー・ペティ/ロージー・オドネル/ジョン・ロビッツ/デヴィッド・ストラザーン/ゲイリー・マーシャル/ビル・プルマン/ティア・レオーニ/アン・キューザック/エディ・ジョーンズ/アン・ラムゼイ/ポーリン・ブレイスフォード/ミーガン・カヴァナグ/トレイシー・ライナー/ビッティ・シュラム/ドン・S・デイヴィス/グレゴリー・スポーレダー●日本公開:1992/10●配給:コロンビア・トライスター映画社(評価:★★★★)
「星の王子 ニューヨークへ行く」●原題:COMING TO AMERICA●制作年:1988年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・ランディス●製作:ジョージ・フォルセイ・ジュニア/ロバート・D・ウォッチス●脚本:デビッド・シェフィールド/バリー・W・ブラウスティン●撮影:ウディ・オーメンズ●音楽:ナイル・ロジャース●時間:117分●出演:エディ・マーフィ/アーセニオ・ホール/ジェームズ・アール・ジョーンズ/ジョン・エイモス/マッジ・シンクレア/シャリ・ヘッドリー/ヴァネッサ・ベル/フランキー・フェイソン/サミュエル・L・ジャクソン●日本公開:1988/12●配給: UIP(評価:★★★)●最初に観た場所:名古屋・毎日ホール(88-12-30)●併映(同日上映):「3人のゴースト」(リチャード・ドナー) エディ・マーフィー ...「アキーム王子」以外に3役(クラレンス(床屋の主)、ランディ(歌手)、ソール(床屋の常連)) アーセニオ・ホール ...王子の友人「セミ」以外に3役(ブラウン牧師、ニューハーフの大柄な女性(クラブのシーンに登場)、モーリス(床屋)) サミュエル・L・ジャクソン...バーガーショップの強盗