【330】 ○ 石原 千秋 『秘伝 中学入試国語読解法』 (1999/03 新潮選書) ★★★★ (○ 三田 誠広 『パパは塾長さん―父と子の中学受験』 (1988/10 河出書房新社) ★★★☆/○ 高橋 秀樹/牧嶋 博子 『中学受験で子供と遊ぼう』 (2000/07 日本経済新聞社) ★★★★)

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中学入試国語読解問題を気鋭の国文学者とともに解く「石原本」。

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石原 千秋『秘伝 中学入試国語読解法 (新潮選書)』/三田誠広 『パパは塾長さん―父と子の中学受験』〔'93年増補版〕/高橋秀樹『中学受験で子供と遊ぼう (文春文庫)』 〔03年〕

 中学受験を親子で乗り切った体験記というのは多いのですが、中学受験率が20パーセントに迫る昨今、売れ筋の本というのは毎年出ています。
 その中で一定の評価が定まっているものに、
 ◆三田誠広 著 『パパは塾長さん―父と子の中学受験』('88年('93年増補版)河出書房新社)、
 ◆高橋秀樹 著 『中学受験で子供と遊ぼう』('00年/日本経済新聞社)、
 ◆石原千秋 著 『秘伝 中学入試国語読解法』('99年/新潮社)
 があります。
 三田本、高橋本、石原本などと呼ばれていますが、いずれも父親が書いている点が共通していて、子どもは目出たく志望校に合格します。
 私立"御三家"と呼ばれるのが開成・麻布・武蔵ですが、これらの本での合格校は、順に駒場東邦、武蔵、桐朋となっています(ただし、駒場東邦も桐朋も"新御三家"と呼ばれる難関校)。
 個人的には、芥川賞作家の書いた「三田本」や大学教授の書いた「石原本」より、テレビ局社員の書いた「高橋本」に親近感を覚えました。

 3冊とも、受験教育の現状を無批判に肯定しているわけではないのですが、まず子どもを希望のところへ入れてやりたいという親心は伝わってきます。
 ただしこの「石原本」には大きな特徴があって、約400ページある本の後半230ページが、中学入試国語読解問題の例題を気鋭の国文学者(夏目漱石研究などで有名)である著者が解いていくという内容になっているのです。
 これが結構スリリング。読みながら一緒に解いてみて、たいへんいい読解訓練になりました。ホントに。
 中には、解答が特定できないものもあります。
 また出題者の意図を読むうちに、国語教育が子どもに求めているものも朧気ながら見えてきます。
 その辺りの画一性が著者の言いたいポイントなのですが、同時に試験問題を解くカギにもなっています。
 読者は試験問題のあり方を「批判」するよりも、子どもを「順応」させることを先ず考えるのではないでしょうか。

 それにしても難問揃い! 専門分野の大学教授さえ四苦八苦するものを小学生に解かせているのが、有名校の受験問題の実態です。

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