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読者の質問に3人の泰斗が答える『物理質問箱』、図説が豊富な『物理現象を読む』。


『物理質問箱: はて、なぜ、どうして (ブルーバックス 305)』['76年]/『物理現象を読む―身近な出来事を見直し、考えよう (1978年) (ブルーバックス)』
読者の質問に答える本。日常、当然だと見過ごしているような事柄に対して疑問をもち、探究してゆくことから科学がはじまる。「地球はなぜ丸いのか」「宇宙に果てはあるのだろうか」「ガラスはなぜ光を通すのか」「鏡にうつる像はなぜ左右だけ反対になるのか」「虹はどうして半円形になるのか」。素朴なだけに本質的でやっかいなこのような質問に、それぞれの専門家が回答する―。(『物理質問箱』版元口上)
『物理質問箱』は、ブルーバックス編集部が読者に「科学に関する質問」を編集部に寄せるようお願いしたところ、それに応えて約1200名から総数およそ4000もの質問が寄せられ、その際に、物理関係に質問が特に集中したため、物理関係に絞って本にしたとのことです。96の質問を選んで、3人の専門家が回答しています。
その3人とは、都筑卓司(1928年生まれ。東京文理大物理学科卒業。横浜市立大学物理学科教授。大学では一般物理と量子力学を講義。『四次元の世界』や『マックスウェルの悪魔』などの著書でブルーバックスの著書多し)、宮本正太郎(1912年生まれ。京都大学理学部宇宙物理学科卒業。京都大学理学部教授、同附属花山天文台台長を経て、京都大学名誉教授。専門は太陽物理学、惑星天文学、恒星分光学だが、特に月に関する研究では国際的に有名。ブルーバックス『宇宙とはなにか』ほか著書多数。1992年逝去)、飯田睦治郎(1920年生まれ。日本大学工業化学科卒業。気象研究所予報研究部主任研究官を経て、現在、(株)ウェザーニューズ気象研究センター所長。『気象の未来像』ほか著書多数)。
天文関係を宮本正太郎、気象関係を飯田睦治郎。その他を都筑卓司という役割分担。宮本正太郎は国際的にも有名な学者で、飯田睦治郎は素人に対するわかりやすい解説には定評があり、都筑卓司も『四次元の世界』や『マックスウェルの悪魔』などのブルーバックスの著書が多い人。まさに「泰斗」3人が並んだ印象で、昔読んで解説が分かりよかった印象がありますが、それは今読んでもかわりません。
「まだ分かっていない」としていることも多いです。質問25で「地球の気候は今後熱くなるのですか、寒くなるのですか」との問いに、「熱くなるのか、寒くなるのかまったくわからない」というのが現状としています。
また、問28の「セメントはなぜ水を加えないとかたくならないのですか」との問いにも、「正直なところ、このことについては現在でもはっきりした説はないのである」としていますが、コレ、昨年['23年]12月9日放送のNHK「チコちゃんに叱られる!」でやっていたのではないでしょうか(あの番組は結構な割合で最近判明したことを紹介している)。
イラスト:ウノ・カマキリ
『物理現象を読む』の方は、下に挙げた目次でも分かるように、またサブタイトル通り、「身近な物理現象」について解説してくれています。こちらも『物理質問箱』同様、一般の人にも分かりやすいようにと数式はほとんど使わず、その代わり、力学、波動(音・光学)、電磁気、原子などについて、その現象を説明するための簡単な実験とか身近な現象を豊富な写真や解説図付きで説明してくれています。
著者は物理学者の藤井清(1922年生まれ。東京文理大物理学科卒業。和光大学の物理と情報科学の教授)と中込八郎(1921年生まれ。東京高等師範学校卒業。物理現象の写真を撮る専門家)。
カラーの折り込みを含め、ほとんどの見開きページに図説があり、実際に物理実験をする機会が無いような人(高校物理の授業を受講中の生徒や理科系の専門学生を除いては、ほとんどがそうではないか)には、大いに理解の助けになるかと思います。
共に昭和50年代の前半の刊行という古い本ですが、「新書」版でありながら、今読んでも参考になる部分が多いというのは、ブルーバックスというレベールの質の高さを表しているとも言えます。
《読書MEMO》
●『物理現象を読む』目次
1 あなたは、アリストテレス派?それともガリレイ派? - 運動の法則の追求
2 基本的な運動の観察 - マルチストロボ写真の見方
3 静止衛星のからくり
4 身のまわりの力学問題を解こう
5 スポーツの科学
6 動物の動き四題
7 "目にもとまらぬ"現象を見る
8 水と空気
9 光の足跡を追う-幾何光学の話
10 光の正体-波動光学入門
11 色を見るページ
12 音の世界
13 静電気現象
14 電気と生活-磁気作用
15 原子の世界をさぐる




これで思い出すのが、岩波新書のアインシュタインとインフェルトの共著『物理学はいかに創られたか(上・下)』で、1939年10月刊行という岩波新書が創刊された翌年に出た本ですが、こちらも、数式を一切使わずに、一般性相対理論や量子論まで展開される物理学の世界がコンパクトにまとめられています。
共著者のレオポルト・インフェルト(1898-1968)はユダヤ系ポーランド人の物理学者で、アインシュタインはインフェルトのポーランドからの救出を米国に嘆願したものの、すでに何人ものユダヤ人の脱出を援助していたため効力が弱く、そこで、インフェルトとの共著でこの物理学の一般向けの本を書き、推薦書の代わりにしたとのことです。アメリカに渡ったインフェルトは1936年からプリンストン大学の教職に就き、アインシュタインの弟子となって、必ずしも数学が得意ではなかったアインシュタインに対して多くの数学的助言をしたとのことです(ブルーバックスに『


東野 圭吾 氏(大阪府立大学工学部電気工学科卒)
サブタイトルの「東京スカイツリーの展望台からどこまで見える?」というのは、ナルホド、地球の中心から地表までの距離(地球の半径)にスカイツリーの展望台の高さ(450m)を足した直線と、地球の中心と展望台から見える最遠方の地点(地表)を結んだ直線(地球の半径)と、スカイツリーの展望台とそこから見える最遠方の地点を結んだ直線(求めるx)の、3辺から成る直角三角形を描いて「三平方の定理」で求めるわけだ。
もう一つのサブタイトルである「携帯電話をアルミホイルで包むとどうなる?」というのは、週刊誌(「週刊文春」)に出ていた、着信があると自動的に電源が入ってしまう「キッズケータイ」を巡っての特急電車の優先席での子どもとお爺さんとの間のトラブル話に材を得たもので、これを見ていた物理学者らしい男が、子どもが食べたおにぎりを包んでいたアルミホイルを使って―。



1996(平成8)年3月に刊行された科学絵本ですが、1ページめくるごとに10分の1ずつに小さい世界になり、微生物、DNAの世界を経て、分子、原子、素粒子の世界へ入っていくというアイデアがいいです。
最後に辿り着いた一番小さなものが(原始の)「宇宙」だったという〈逆説〉も、ロマンがあっていいです。
