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高校生による「ウクライナ戦争」についての座談会記録。取り組みは素晴らしい。
『10代が考えるウクライナ戦争 (岩波ジュニア新書 963)』['23年]
若い世代の感性が、この戦争をどう受け止めたかという生の声が聴けるのがいいです。みんなしっかりした意見を持っているなあと思いました。ただ、ファシリテーターの力量にもよるのかもしれませんが、やや整理しきれないまま拡散気味に討議が終わってしまった印象のものもあったように思います。良かったのは、最初の東京都立国際高校と、最後の玉川聖学院でしょうか。
国際高校の場合、学校の性質上、10人ほどの討議参加者の中に、ウクライナから避難民として来た転入生や、さらに外国人やハーフの生徒もいて、個々の発想が多角的で、若い人の間にもさまざまな考え方があることに気づかされました。
一方、玉川聖学院は女生徒5人ほどでの討議でしたが、ひとりひとりの知識と意識が深かったように思います(ここもメンバーのうち1人は外国人)。学校のホームページを見ると、教育の3つの柱として「かけがいのない私の発見」「違っているから素晴らし」といった言葉が見られました。
巻末に、ロシア文学者の奈倉有里氏の「ウクライナ情勢をどう見るか―学問と文化の視点から」があり、さらに、ジャーナリストの池上彰氏の「21世紀の理不尽な戦争をどう考えるか」が付されていて、どちらも本書の要を得た解説になっています(また、最後に、「戦争と平和を考えるためのブックガイド」が付されおり、この中に『同志少女よ、敵を撃て』('21年/早川書房)などもある)。
池上彰氏は、高校生諸君はいずれも優秀で(自分もそう思った)、さまざまな状況をしっかり把握しているが、戦争を理解する上での「正解」はなく、「正しい答え」を追い求める発想にとらわれているいうに感じたとしており、さすが池上氏だなあと。外国人が討議メンバーにいる高校と、日本人生徒のみの高校で、後者の方が参加者の意見が均質化しているように、個人的には思いました。
ただ、こうした取り組みは素晴らしいことであり、直接こうした討議に参加する機会が無くとも、本書を通じて、この戦争についてより深く考える若い人が増えることも考えられるので、大変いいことではないかと思います。
《読書MEMO》
●目次より
はじめに
いま、私たちにできること.........東京都立国際高等学校
歴史を学ぶ、言葉を学ぶ.........早稲田佐賀高等学校
ウクライナ人少女との交流から.........愛知県立豊田南高等学校
この戦争とどう向き合うか.........渋谷教育学園渋谷中学高等学校
知ることが大事.........玉川聖学院高等部
ウクライナ情勢をどう見るか――学問と文化の視点から.........奈倉有里
二一世紀の理不尽な戦争をどう考えるか.........池上 彰
