2011年3月 Archives

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一気に読ませるエンタテインメント性と、陪審制度の脆弱性批判を兼ね添えた佳作。

陪審評決 単行本.jpg 陪審評決 文庫 上.jpg 陪審評決 文庫下.jpg  ニューオーリンズ・トライアル dvd.jpg ジ―ン・ハックマン.jpg
陪審評決』『陪審評決〈上〉 (新潮文庫)』『陪審評決〈下〉 (新潮文庫)』「ニューオーリンズ・トライアル/陪審評決 プレミアム・エディション [DVD]

The Runaway Jury.jpg 夫が肺癌で死んだのは、長年の喫煙が原因だとして、タバコ会社を相手どって未亡人が訴訟を起すが、結果次第では同様の訴訟が続発する可能性もあり、原告・被告双方の陪審コンサルタントによる各陪審員へのアプローチが開始される。そうした中、選任手続きを巧みにすり抜け、陪審団に入り込んだ青年がいた―

 1996年発表のジョン・グリシャムのリーガル・サスペンスで、この"陪審団に入り込んだ青年"の意図はある程度読み進む内に明らかになりますが、いかにもエンタテイナーの作者らしい設定―但し、現実にこうしたことがあるかと言うとやや疑問で、ただ可能性として、やろうと思えば出来なくもないという意味での、陪審制度の脆弱性の批判になっているように思えました。

 但し、陪審制度への批判の眼目はむしろ、陪審員の選任に関与する陪審コンサルタントの暗躍に対して向けられているように思われ、こちらもかなりサスペンスフルな味付けはされていますが、実際問題として、大企業が陪審コンサルを雇って企業訴訟を有利に導いたり(タバコが肺癌の原因になったという製造物責任訴訟では、タバコ会社側が多額の裁判費用をつぎ込んで敗訴を免れているとの批判が米国法曹界にある)、或いはO・J・シンプソン裁判ではないですが、資力のある被告が自らに同情的な考えを持つであろうと思われる陪審員を揃えることがあったりするようです(シンプソン事件の刑事裁判では"ドリームチーム"と呼ばれた弁護団が結成され、陪審員12人のうち9人が黒人だった)。

 振り返ってわが国の裁判員制度を見れば、裁判員の除外要件は限定列挙的にあるものの、最終的にどういった人を適任としてスクリーニングしているのかよく分からず、なぜ裁判の当事者や一般の国民がそのあたりを突っ込まないのか不思議な気もします(陪審コンサルが暗躍するよりはいいと思うが)。

 結末が『法律事務所』(映画ではなく原作の方)とやや似てはいますが、グリシャムらしい一気に読ませるエンタテインメント性と、制度の脆弱性批判を兼ね添えた佳作だと思います。

 グリシャム作品は、デビュー作の『評決のとき(A Time to Kill)』 ('89年発表) から『ザ・ファーム/法律事務所(The Firm)』 ('91年発表)、『ペリカン文書 (The Pelican Brief)』('92年発表)、『依頼人(The Client)』 ('93年発表)あたりまでは、原題・邦題と映画化作品の原題・邦題がほぼ同じですが、『処刑室(The Chamber)』 ('94年発表) や『原告側弁護人(The Rainmaker)』 ('95年発表)は、映画化作品の邦題は小説の原題をそのまま使用しており、この『陪審評決(The Runaway Jury)』は、映画化作品の原題が"The Runaway Jury"と小説の原題通りであるのに対し、邦題は「ニューオーリンズ・トライアル」となっています。

ニューオーリンズ・トライアル(はっくまん).bmp トライアルは日本における刑事事件の公判に近いものですが、米国では刑事事件・民事事件共通の手続きであり、陪審トライアルだけでなく、陪審無しの裁判官によるトライアルもあり、そもそも刑事・民事ともそこに進む前に司法取引がなされたり和解が成立したりすることが多いため、トライアルにまでいく裁判は少ないとのこと―従って、陪審制(陪審トライアル)の下で行われる事件は実は全体のほんの一部に限られているということですが、映画邦題にこの言葉を選んだのは、リーガル・サスペンスの邦訳タイトルに似たものが多く、とは言え、原題の"The Runaway Jury"(「暴走した陪審員」と「楽勝の陪審員」の二重の意味?)を邦題にしても、日本人にはぴんと来にくいためでしょうか(映画が公開された時、原作がグリシャムとは気付かなかった自分としては「陪審評決」のままでも良かったと思う。「トライアル」でもぴんと来にくいことには変わりない)。

ニューオーリンズ・トライアル(ホフマン).bmp 映画化作品は(タバコ訴訟ではなく、銃乱射事件の被害者が銃器製造会社を訴えるという設定に改変されている)、陪審員に潜り込んだ男にジョン・キューザック、陪審コンサルにジーン・ハックマン、正義を貫こうとする原告側弁護士にダスティン・ホフマンという取り合わせで、映レイチェル・ワイズ ニューオーリンズ・トライアル.jpg画だと三者の細かい遣り取りはどうしても端折りがちにならざるを得ず、むしろ陪審員のプロファイリングに際してFBI顔負けのハイテク機器をも駆使するジーン・ハックマンのやり手ぶりが強調されていたように思います。

評決の値段を"交渉"する2人。ジーン・ハックマンとレイチェル・ワイズ

ニューオーリンズ・トライアル(トイレシーン).bmp ダスティン・ホフマンはやや脇に回った感がありますが、ジーン・ハックマンとはお互いの無名時代に、ホフマン夫妻がハックマン夫妻のアパートに転がり込み居候していた時期があったという古い友人同士で、この作品が初共演。一旦クランクアップした後に、そのことに思い当たったゲイリー・フレダー監督が2人を再度召喚し、裁判所のトイレで2人が本音でやり合うシーンを撮ったとのことですが、2人がサシで言葉を交わすのはこの場面しかなく、迫力ある2人の衝突はまさに"共演"と言うより"競演"、レイチェル・ワイズ、ジョアンナ・ゴーイングといった個性派美女も出演している作品ですが、やはりこの二大俳優の激突シーンの迫力が一番印象に残りました(この場面、原作には無いわけだが)。

レイチェル・ワイズ/ジョアンナ・ゴーイング
レイチェル・ワイズ.jpgジョアンナ・ゴーイング.jpg「ニューオーリンズ・トライアル」●原題:THE RUNAWAY JURY●制作年:2003年●制作国:アメリカ●監督:ゲイリー・フレダー●製作:ゲイリー・フレダー/クリストファー・マンキウィッツ/アーノン・ミルチャン/スティーヴン・ブラウン●脚本:ブライアン・コッペルマン/デヴィッド・レヴィーン/マシュー・チャップマン/リック・クリーヴランド●撮影:ロバート・エルスウィット●音楽:クリストファー・ヤング●原作:ジョン・グリシャム「陪審評決」●時間:128分●出演:ジョン・キューザック/ジーン・ハックマン/ダスティン・ホフマン/レイチェル・ワイズ/ブルース・デイヴィソン/ジェレミー・ピヴェン/ブルース・マッギル/ジョアンナ・ゴーイング/ヘンリー・ジャンクル/ニック・サーシー/セリア・ウェストン/ディラン・マクダーモット●日本公開:2004/01●配給:東宝東和)(評価:★★★☆)

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鮎川版・英語版ともに、原著からのイラストが豊富(各約200点・365点)。2冊並べて読む?

ホームズ大全2.JPG ホームズ大全.JPG Original Illustrated Sherlock Holmes.jpg  鮎川信夫.jpg 鮎川信夫(詩人・翻訳家、1920 - 1986/享年66)『シャーロック・ホームズ大全』『Original Illustrated Sherlock Holmes

 かつて講談社文庫に収められていた鮎川信夫(1920 - 1986)訳のシャーロック・ホームズ・シリーズの復刻版で(ソフトカバー、1986年9月刊行)、「大全」とありますが、ホームズ・シリーズの短編集5冊、長編4冊、計60作品の内、第5短編集『シャーロック・ホームズの事件簿』12編と、最後の長編『恐怖の谷』の13作品は未収録です。

 「大全」と称しながら未収録作品があるのは、訳者の鮎川信夫氏がホームズ・シリーズの全作品の翻訳を目指しながらも途中で逝去したためであるとの話もありますが(実際に氏が亡くなったのは'86年10月17日、甥の家で甥の家族とスーパーマリオブラザーズに興じている最中に脳出血で倒れ、その日に亡くなった。本書刊行の翌月である)、シリーズ完訳でないとは言え、『シャーロック・ホームズの冒険』『シャーロック・ホームズの回想』『シャーロック・ホームズの帰還』『シャーロック・ホームズの最後の挨拶』の4短編集、『緋色の研究』『四つの署名』『バスカビル家の犬』の3長編を1冊で読めるのは有難いことです。

 イラスト(挿絵)が初出時の原著からふんだんにとりこまれているのも魅力で(2段組み約600ページの中に約200点のイラストがある)、難点は、活字が小さくなったことと、本が重くなってしまったことか。字を大きくすれば、ますますページ数が増えて本は重くなるし(まあ、最初から携帯用としては想定されていないわけだが)、これは仕方がないか。

 同じようなタイプで、1991年に米国で刊行された英語版のハードカバー『Original Illustrated Sherlock Holmes』(Castle; Facsimile edition版)も手元にあり、こちらは、『シャーロック・ホームズの冒険』『シャーロック・ホームズの回想』『バスカビル家の犬』『シャーロック・ホームズの帰還』を所収し、イラストは同じく原著から365点も拾っています。

 英語版は日本の鮎川版に比べ、短編集は3/4、長編は1/3(全作品でみれば、鮎川版は7/9、英語版は4/9)所収していることになりますが、英語版の方は、これで636ページ超ですから、鮎川版がいかにコンパクトに、というか"ぎちぎちに"詰め込んだものであるかがわかります。

 英語版の方は、秋の夜長などに、英語の勉強のため読むにはいいかも。
 英語版にある作品は、鮎川版でカバーされているため、不確かなところがあれば、鮎川版で確認できます。

 個人的には一番最初に読んだ『シャーロック・ホームズの冒険』が一番面白いと思いますが、永らく再読していない...ちょうど2010年に深町眞理子氏の新訳が創元推理文庫から出たので、そちらで読むかも。
 こちらも、従来の他の文庫版のホームズ・シリーズに比べるとイラストは比較的豊富だし、別にでかい本を2冊机の上に並べなくとも、英語版と文庫の付き合わせで読んでも構わないわけか。

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「十二人の怒れる男」と一味違った構成。江戸川乱歩の解説がネタバレかと思ったらラストに―。

Verdict of Twelve .jpg十二人の評決 ハヤカワミステリー1600番突破記念函入り.jpg十二人の評決  2.jpg 十二人の評決 ポストゲート.jpg
Raymond W. Postgate.gif"Verdict of Twelve (British Library Crime Classics) (English Edition)"『十二人の評決 (1954年) (世界探偵小説全集)』(ハヤカワミステリ1600番突破記念函入り)['54年/黒沼健:訳]『十二人の評決 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)』['99年/宇野輝雄:訳]表紙絵:勝呂忠(1926‐2010)(旧版・新版とも)
Raymond W. Postgate(1896-1971)

 第1部「陪審」― 1930年代後半の英国で、ある殺人事件を裁くために選ばれた12人の陪審員たちの、職業や経歴、思想などが描かれ、彼らの中には誰にも知られてはいけない秘密を持つ者もいる―。
 第2部「事件」― 審議の対象となった事件―莫大な遺産を相続した11歳の少年とその後見人の叔母は、日頃から折り合いが悪かったが、孤独な少年が唯一愛する1匹の兎を叔母が殺したことを契機に異様な殺人事件が起きる―。
 第3部「公判と評決」― 証言ごとに揺れ動く陪審員たちの心理がメーターの針で図示され、最後に評決に至る―。

Vintage Novel Verdict of Twelve Raymond Postgate.jpg十二人の評決 裏表紙.bmp 左翼系ジャーナリストであり、小説家、伝記作者、政治経済評論家、社会学者でもあったレイモンド・ポストゲート(Raymond W. Postgate 1896-1971)が1940年に発表した作品で(原題:Verdict of Twelve)、ハヤカワ・ミステリ(1954年初版)では江戸川乱歩が解説をしています。

 第1部の12人の陪審員の人物の来歴が面白く、過去に巧妙な完全犯罪(殺人)を成し遂げた老婆、狡知により下層階級から成り上がった詐欺師男、年老いたギリシャ学者、寡男の酒場の亭主、ある日突然信仰に目覚めた熱烈なクリスチャン、ユダヤ人として迫害され夫をチンピラに殺された女性、労働組合の書記長、社会主義詩人、美容院助手、二流どころの俳優、百科事典のセールスマン、小新聞の編集長―と、やや作者の経歴寄りの"布陣"のような印象も受けますがそれでもバラエティに富み、12人のプロファイリングの後半の方はやや端折り気味であるものの、この第1部で全体の半分近くを占めます。

 第2部で展開される事件がまた謎に満ちていて、ここは通常の推理小説における問題提起部分と言え、更に第3部で事件の公判の模様が描かれ、いよいよ陪審員たちが審議に入りますが、彼らは一生懸命考えているような、いないような―結局その判断は、自らの出自や経歴に強く影響を受けていることを如実に窺わせるものとなっています。

 シドニー・ルメット監督の「十二人の怒れる男」('57年/米)が、審議を通して12人の陪審員らの人間性が次第に露わになっていくプロセスが描かれていたのに対し、この作品は、先に12人のプロファイリングがあり、審議においてはその思想や偏見がアプリオリに各自の判断を誘引しているものの、それがそのまま明確な判断に結び付くとも限らず、他者の発言によって微妙に揺らいでいる様が描かれているといっていいのではないでしょうか(それを作者はバロメータ表示している)。

 12人の陪審員の中で一番振れ幅が大きいのは、完全殺人の経験者である老婆で、「あなたは殺人に対してどんな知識を持っているのです?」と問い詰められて有罪支持から無罪支持に転じますが、ホントは殺人というものを知っている..何せ経験者だから(自らの保身のために意見を変えた)。

 解説の江戸川乱歩は、中心題目である殺人事件に最も関心を抱いたようで「可憐なる残虐」と評していますが(乱歩の解説が裏表紙に要約されて掲載されている)、こうした形容はややネタバレではないかと思いつつ読みながらも、第4部「後記」で示された"ドンデン返し"的な展開で楽しませてくれます。

フィクションとしての裁判.jpg事件.bmp この小説は、作家の大岡昇平(1909‐1988)と弁護士から最高裁判事になった大野正男(1927-2006)の対談集『フィクションとしての裁判―臨床法学講義』('79年/朝日出版社)の中で大岡昇平が紹介していたことで知りましたが、結末は、大岡昇平の『事件』('77年/新潮社)と似てなくもないです(但し、『事件』の主人公のラストの告白は懺悔に近いが、こちらの問題の人物の告白は自己弁護に近い)。

 【1954年新書化[ハヤカワ・ポケットミステリ(黒沼健:訳)/1999年改訳[ハヤカワ・ポケットミステリ(宇野輝雄:訳)】

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コロンボがどこで確証を得たかを考え始めると、結構何度も楽しめるシリーズ初期3作。

刑事コロンボ/二枚のドガの絵 vhs.jpg 構想の死角 vhs.jpg 刑事コロンボ/パイルD-3の壁 vhs.jpg 刑事コロンボ パイルD-3の壁.jpg
特選「刑事コロンボ」完全版~二枚のドガの絵~【日本語吹替版】 [VHS]」「刑事コロンボ~構想の死角~ [VHS]」「特選 刑事コロンボ 完全版「パイルD-3の壁」【日本語吹替版】 [VHS]」「刑事コロンボ 完全版 Vol.5 [DVD]」フォレスト・タッカー
刑事コロンボ/二枚のドガの絵 2.jpg二枚のドガの絵 タイトル.jpg二枚のドガの絵2.jpg 美術評論家デイル・キングストン(ロス・マーティン)は、叔父の絵画収集家ランディ・マシューズを射殺し、画家志望の恋人トレイシー(ロザンナ・ハフマン)に、銃声を発するとともに2枚のドガの絵を盗み出させて、絵画強盗刑事コロンボ  二枚のドガの絵.jpgの仕業に見せかけるよう工作、更にそのトレイシーをも殺害し、その罪を叔父の遺産を相続人である元妻エドナ(キム・ハンター)に二枚のドガの絵3.bmp被せることで、遺産を独占しようとする―。

 第6話(シリーズ化の前に作られた"パイロット版"を含んだカウント)「二枚のドガの絵」は、「刑事コロンボ」の中でも「サプライズオープニング&エンディング」と評される作品で、冒頭、何の前ぶれも無く殺人が起き、ラストは、「なるほど」と思った瞬間に終わってしまうというもので、とりわけラストが鮮やかです。

二枚のドガの絵.jpg コロンボが「この絵にはあたしの指紋がある」と言ったところで、犯人が第2の犯行から戻ってきた際の、待ち受けていたコロンボとの"あの時"のやりとりが思い浮かび、「そっか」という感じはあるのですが、直後の犯人の反駁に対してコロンボが無言でしてみせたことには、犯人ならずとも「参った」という感じ。

 「あっ」と思った瞬間に終わることで、つい今しがたコロンボが愛車のポンコツ・プジョーを降りてエドナ邸に入るまでのロングショットや、着いてからの所作を観る者に思い出させようとする、その辺りが上手いなあと思いました。

Kim Hunter colombo.jpg それにしてもコロンボは、"あの時"偶然絵に触ったことを、後で思い出したのか、それとも最初からわざと指紋をつけたのか。これは、わざとでしょうね。
 ということは、次がぶっつけ本番のラストの決着だとすると失敗は許されないわけで、それでは犯人の確証をどこで得たのか―。

猿の惑星1.jpg 犯人役のロス・マーティンはピーター・フォークの演技の師匠でもあり、"スペシャル・ゲストスター"として招かれ、被害者マシューズの元妻エドナを演じたキム・ハンター(1922-2002/享年79)は「欲望という名の電車」の舞台版でピューリッツァ賞、映画版(1951)でアカデミー助演女優賞を受賞した名女優(映画「猿の惑星」シリーズでの猿の女科学者ジーラ役でもお馴染み)、弁護士役のドン・アメチーもいい味を出しているなど、役者陣も充実しており、シリーズ屈指の傑作と言えるかと思います。

 「刑事コロンボ」は90年代の「新・刑事コロンボ」よりも、70年代の旧シリーズの方がより傑作が多いように思われ、この"初期コロンボ"は全部で45話ありますが、「シーズン1」では、リー・グラント主演の第2話「死者の身代金」(シリーズ化を前提にした"パイロット版")や無名時代のスティーヴン・スピルバーグが監督した第3話「構想の死角」などが傑作。

構想の死角2.jpg構想の死角1.bmp  第3話であり、シリーズ第1作でもある「構想の死角」は、ジム・フェリスとケン・フランクリン(ジャック・キャシディ)という2人のミステリ作家がコンビを組んでミステリー・シリーズを発表し、ベストセラー作家として名声を手に入れていたが、実は、彼らの作品のすべての原稿はジムが書いたものであり、ケンは交渉やPRをやっていたに過ぎず、ジムがこれからはシリアスな小説を書きたいとコンビの解消を言い出したため、ケンはマズいと考え、また互いに生命保険をかけていたことから金目当てもあって、ジムを殺害するというもの。

構想の死角4.jpg 連続殺人に発展し、コロンボは、作家が殺された最初のトリックは見事だが、第2の殺人のトリックはお粗末であると犯人の前で評価をしますが、最初の殺人のトリックは被害者によるメモがあり、これは被害者の筆跡。最後に自白を迫られた犯人のケンは、あれは自分のアイデアをジムがメモに書きとったものだと明かし、比較的弱い状況証拠しか無かったにも関わらず、犯人のコンプレックスから来る意地のようなものが自白を促したと取れるところが、皮肉が効いています(犯人の畢生の傑作トリックだったわけだが、コロンボ自身は犯人の自白を聞くまで、犯人自身のアイデアとは思ってなかった?)。

スティーブン・スピルバーグ5Q.jpg 何だか脚本家の内輪ネタにも似た話ですが、脚本そのものはスピルバーグではありません。スピルバーグはTV映画「激突!」('71年)の監督オーデションへの応募に際して、それまでの自分の仕事の中で自信作としてこの作品を挙げて監督の座を射止めています(つまり「激突!」も先に脚構想の死角3.jpg本はあったということか)。「構想の死角」では途中で変わった形をしたホットドッグ屋が出てきますが、こういうのを映し込むアイデアはスピルバーグの発案なのかもしれません。因みに、犯人役のジャック・キャシディは、このシリーズの第22話「第三の終章」、第36話「魔術師の幻想」でも犯人役として出ています(計3回)。

パイルd-3 1.jpg 傑作と言えば、ピーター・フォーク自身が監督した第9話「パイルD-3の壁」などもそうではないかと。

パイルD-3の壁.jpg 事業家ウィリアムソン(フォレスト・タッカー)が行方不明になり,彼の前妻ゴールディー(ジャニス・ペイジ)からの捜索依頼を受けたロス市警が捜査に乗り出すが、ウィリアムソンの現在の妻ジェニファー(パメラ・オースチン)や建築家のエリオット・マーカム(パトリック・オニール)は、彼は仕事でロスを離れたのだろうと言い、ウィリアムソンの車も空港で発見される。しかしコロンボは、その車を他人が運転していた形跡を見つけ、殺害の線で捜査を開始する―。
BLUEPRINT FOR MURDER.bmpBLUEPRINT FOR MURDER2.bmp 被害者の死体捜しが鍵となっているこの作品は、ストーリー的にはパイルd-3 2.jpg単純な方かと思われますが、そのことによって、「人間心理の逆を突いた犯人の更に逆を突くコロンボ」という構図がよりハッキリ浮かび上がる作りになっているように思いました(原題は「殺人の青写真(Blueprint for Murder )」。「青写真」と設計図の「青焼き」を懸けたものだが、今の時代においては邦題の方がいいかも)。

BLUEPRINT FOR MURDER1.jpgBlueprint For Murder 3.bmp コロンボは、被害者の遺体が埋められていると思われる場所を掘り返す許可を得るため役所に行き、さんざん盥回しにされてやっと許可が下りたかと思ったら(この"苦労"も推理の伏線になっているところが上手い)、死体が出なかった―その際のがっくりきたコロンボの様は、あれは犯人に対するフェイクではなく、ホントにがっくりきていたのかなあ(前妻役ジャニス・ペイジに慰めのキスをされていた)。いや、やはりあれは、犯人に死体の隠し方法を示唆することで死体を引っ張り出せるためのフェイクとみるのが筋(スジ)でしょう。被害者のクルマにあったクラシック音楽のカセットと犯人がクラシック音楽好きであることから、早期にホシであると目をつけていたことは、ラストでコロンボ自身が犯人に明かしていることでもあるし。

 コロンボが直感のレベルを超えて、容疑者が犯人であるとの確証をどの時点で得たかを考え始めると、結構何度も楽しめる作品が多いです。
 
「あなたが選ぶ!思い出のコロンボ ベスト20」(NHK-BSプレミアム)2018年
1位:別れのワイン(ANY OLD PORT IN A STORM)
2位:二枚のドガの絵(SUITABLE FOR FRAMING)
3位:忘れられたスター(FORGOTTEN LADY)
4位:溶ける糸(A STITCH IN CRIME)
5位:パイルD-3の壁(BLUEPRINT FOR MURDER)
6位:祝砲の挽(ばん)歌(BY DAWN'S EARLY LIGHT)
7位:ロンドンの傘(DAGGER OF THE MIND)
8位:構想の死角(MURDER BY THE BOOK)
9位:歌声の消えた海(TROUBLED WATERS)
10位:逆転の構図(NEGATIVE REACTION)
11位:殺しの序曲(THE BYE-BYE SKY HIGH I.Q. MURDER CASE)
12位:殺人処方箋(しょほうせん)(PRESCRIPTION:MURDER)
13位:秒読みの殺人(MAKE ME A PERFECT MURDER)
14位:権力の墓穴(A FRIEND IN DEED)
15位:策謀の結末(THE CONSPIRATORS)
16位:死者のメッセージ(TRY AND CATCH ME)
17位:意識の下の映像(DOUBLE EXPOSURE)
18位:魔術師の幻想(NOW YOU SEE HIM)
19位:美食の報酬(MURDER UNDER GLASS)
20位:死の方程式(SHORT FUSE)


刑事コロンボ/二枚のドガの絵 5.bmp刑事コロンボ/二枚のドガの絵 1.jpg「刑事コロンボ(第6話)/二枚のドガの絵」●原題:SUITABLE FOR FRAMING●制作年:1971年●制作国:アメリカ●監督:ハイ・アヴァバック●製作:リチャード・レヴィンソン/ウィリアム・リンク●脚本:ジャクソン・ギリス●音楽:ビリー・ゴールデンバーグ●時間:76分●出演:ピーター・フォーク/ロス・マーティン/ロザンナ・ハフマン/キム・ハンター/ドン・アメチ/ジョアン・ショーリー/バーニー・フィリップス/カート・コンウエイ●日本公開:1972/10 (NHK-UHF)(評価:★★★★)

刑事コロンボ(第3話)/構想の死角23v.jpg「構想の死角」.bmp「刑事コロンボ(第3話)/構想の死角」●原題:MURDER BY THE BOOK●制作年:1971年●制作国:アメリカ●監督:スティーヴン・スピルバーグ●製作:リチャード・レビンソン/ウィリアム・リンクズ●脚本:スティーブン・ボッコ●音楽:ビリー・ゴールデンバーグ●時間:76分●出演:ピーター・フォーク/ジャック・キャシディ/マーティン・ミルナー/ローズマリー・フォーサイス/バーバラ・コルビー/リネット・メッティー/アニトラ・フォード●日本公開:1972/11●放送:NHK-UHF(評価:★★★★)

刑事コロンボ(第9話)/パイルD-3の壁.bmp刑事コロンボ/パイルD-3の壁.bmp「刑事コロンボ(第9話)/パイルD-3の壁」●原題:BLUEPRINT FOR MURDER●制作年:1972年●制作国:アメリカ●監督:ピーター・フォーク●製作:リチャード・レヴィンソン/ウィリアム・リンク●脚本:スティーヴン・ボチコ●音楽:ギル・メレ●時間:75分●出演:ピーター・フォーク/パトリック・オニール/フォレスト・タッカー/ジャニス・ペイジ/パメラ・オースティン/ジョン・フィードラー/ジョン・フィネガン/ロバート・ギボンズ/ベティ・アッカーマン/クリフ・カーネル●日本公開:1973/02(NHK-UHF)(評価:★★★★)

刑事コロンボ完全版 DVD-SET 1.jpg刑事コロンボ完全版 DVD-SET 1 【ユニバーサルTVシリーズ スペシャル・プライス】
刑事コロンボ 1シーン.jpgDisc1 (1) 殺人処方箋: 約99分 (2) 死者の身代金: 約95分
Disc2 (3) 構想の死角 :約76分 (4) 指輪の爪あと:約76分
Disc3 (5) ホリスター将軍のコレクション :約76分 (6) 二枚のドガの絵: 約76分
Disc4 (7) もう一つの鍵: 約75分 (8) 死の方程式 :約75分
Disc5 (9) パイルD-3の壁: 約75分 (10) 黒のエチュード: 約96分

「刑事コロンボ」Columbo (NBC 1971~1978/ABC 1989~2003) ○日本での放映チャネル:NHK-UHF・NHK(1972~1981)ほか

「刑事コロンボ」のテーマ(作曲:ヘンリー・マンシーニ

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5人の女性警官の物語。TVドラマでは描かれないリアリティ。前半の短篇に鋭い切れ味。

あなたに不利な証拠として hpm1.jpg あなたに不利な証拠として jpg あなたに不利な証拠として 文庫.jpg Anything you say can and will be used against you by Laurie Lynn Drummond.jpg Laurie Lynn Drummond.jpg Laurie Lynn Drummond
あなたに不利な証拠として (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)』['06年] 『あなたに不利な証拠として (ハヤカワ・ミステリ文庫)』['08年] Anything You Say Can and Will Be Used Against You: Stories by Laurie Lynn Drummond

Anything you say can and will be used against you.jpg ルイジアナ州バトンルージュ市を舞台に、キャサリン、リズ、モナ、キャシー、サラの5人の女性警官のそれぞれを主人公にした短篇集で、2006 (平成18) 年度「週刊文春ミステリー ベスト10」(海外部門)第1位、並びに、2007(平成19) 年「このミステリーがすごい!」(海外編)第1位作品(原題:Anything you say can and will be used against you)。

 ミステリと言うよりは女性警察官たちの職務上の体験を通しての人間ドラマであり、2004年にこの第1作品集を発表したローリー・リン・ドラモンド(Laurie Lynn Drummond)自身が、バトンルージュ市警で5年間女性制服警官として勤務した経験の持ち主であるということもあって、退職後12年間かけて書き上げたという10篇の作品群は、ずっしりとした読後感を読者に与えるものとなっているように思いました。

サード・ウォッチ.jpgフェイス・ヨーカス.jpg 確かに「サード・ウォッチ」や「The Division 5人の女刑事たち」といったTVドラマなどでも女性警官は活躍していますが、この作品はそうしたTVドラマでは見られない現場(及び現場の外)のリアリティに溢れています(但し、「サード・ウォッチ」は高質の警察ドラマであり、女性警官フェイス・ヨーカスは、この作品の女性警官達に通じるものがあると思う)。

 10篇中、最後のサラの物語(「生きている死者」(Keeping the Dead Alive)と「わたしがいた場所」(Where I Come From)が最も長く、2篇で1つの物語となっていて全体の半分を占め、これが最もストーリー性がありますが、前半部分の短篇の方が、鋭い剃刀の刃のような切れ味があったように思いました。

 キャサリンの3つの物語のうち、「完全」(Absolutes)では、警官になりたての頃に被疑者を射殺した経験が、脳裏にこびり付いて離れない様が1人称で語られ、「味、感触、視覚、音、匂い」(Taste,Touch,Sight,Sound,Smell)では、すでに新人警官を教える教官という立場になっている主人公が、酸鼻な惨殺死体のある現場に踏み込んだ後、体や衣服に染みついて離れない死体の匂いのことなどを独白的に語っていて、何れも、こんなの今までの警官小説にもTVドラマにも無かったなあと(むしろ、意識的に避けてきた部分か)。
 それが、「キャサリンへの挽歌」(Katherine's Elegy)になると、警察学校の訓練生が語る3人称に近い文体に変わり、キャサリンという"伝説的"な女性警官がいかなる人物であったかが、彼女が殉職した事件までを含めて書かれています。
 たった3つの短篇の連なりの中で、新人―教官―殉職という主人公の立場の違いによって時制や語り手の視点が変化するのが、たいへん新鮮な構成に思えました。

 リズの2つの物語の内、「告白」(Lemme Tell You Something)は10ページに満たない短篇で、警官自身の話ではなく、女性警官の自宅隣りに越してきた、かつてベトナムで戦った経験のある57歳の男の"告白"譚ですが、それを聞かされた女性警官の反応も含めて傑作(この作品は短篇ながらストーリー性がある)、もう1つの話「場所」(Finding a place)では、主人公が警官を辞めた理由が語られていますが(交通事故なんだなあ)、死亡事故の現場というのは、殺人事件でも交通事故でも、悲惨であることには変わりがないということを感じさせられました。

 モナの2つ物語のうち、「制圧」(Under Control)では、被疑者と銃を向け合って対峙するという緊迫した場面が1人称の現在進行形で描かれているかと思いきや、「銃の掃除」(Cleaning Your Gun)では、独り拳銃の掃除をする女性警官に対して、第三者的視点からその心境に語りかけるように描かれていて(結局、ここで語りかけているのは"モナ自身")、ここでも、語り手の視点のバリエーションの多様性が見られます。

 キャシーの物語は「傷痕」(Something About a Scar)の1篇のみで、この作品はアメリカ探偵クラブ賞の最優秀短篇賞を受賞しており、かつて警察官だったキャシーとロビロはある事件で見解が対立したことがあったが、その2人が夫婦となった今、6年前の事件が再捜査となるというもの―警官とは、辞めても"警官"であり、夫の妻となっても"警官"なんだなあと。

 文芸的サスペンスと言うより、文学作品そのものに近い印象を受けるのは、ストーリー性を要しないリアリティの重さもさることながら、語り手の視点の多様性など実験的な要素がふんだんに盛り込まれていることもあるのでしょう。

 個人的には、主人公別でみれば、キャサリンの物語が一番気に入りました。
 彼女は性的に放埓であったともとれますが、身を挺して危険な職務に就いていたからこそ、生きている時間の一瞬一瞬を大事にしていたのだろうなあ。
 それにしても、「あなたは伝説の女と寝たのよ」と自分で言えるところがスゴイね(生きているうちから"伝説"だったわけだ)。

サード・ウォッチ 1シーン.jpgサード・ウォッチ・ファースト.jpg「サード・ウォッチ」Third Watch (NBC 1999/09~2005) ○日本での放映チャネル:WOWOW(2000~2006)/スーパー!ドラマTV

サード・ウォッチ 〈ファースト・シーズン〉 コレクターズ・ボックス(6枚組) [DVD]


 【2008年文庫化[ハヤカワ・ミステリ文庫]】

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『評決』の続編。本格リーガル・サスペンスだが、エンタメ要素もふんだんに。

決断 バリー・リード.jpg  評決 dvd.jpg 評決 ニューマン チラシ.jpg 『評決』(1982) 2.jpg
決断 (ハヤカワ文庫NV)』['97年]/「評決 [DVD]」/映画「評決」チラシ/「評決」の1シーン

 アル中から立ち直った弁護士フランク・ギャルヴィンは、今や一流法律事務所で出世街道をひた走っていたが、ある日、若い女性弁護士ティナから巨大製薬会社の薬害訴訟の被害者側の弁護を依頼される。しかし、その訴訟は勝目が無い上に、その製薬会社はギャルヴィンの所属事務所の大手顧客であったため、彼は弁護を断わり、代わりに恩師の老弁護士モウ・カッツを紹介する。訴訟は提訴され、ギャルヴィンは図らずも製薬会社側の弁護を命じられ、恩師と女性弁護士、更には事務所を辞めたかつての部下らと対峙することになる―。

 1980年にデビュー作『評決』(原題:The Verdict、'83年/ハヤカワ・ミステリ文庫)を発表したバリー・リード(Barry C. Reed 1927-2002)が、11年後の1991年に発表した、『評決』の続編で(原題:The Choice)、医療ミスに関する訴訟を扱った前作の『評決』は、「十二人の怒れる男」のシドニー・ルメット監督、「明日に向かって撃て!」のポール・ニューマン(1925-2008)主演で映画化('82年/米)され、アル中のため人生のどん底にあった中年弁護士ギャルヴィンの、甦った使命感と自らの再起を賭けた法廷での闘いが描かれていました。

"The Choice" Barry C. Reed (Paperback 1992)

 本作『決断』では、弁護士として功名を成したギャルヴィンは、専ら大企業の弁護をするボストンの一流法律事務所のパートナー弁護士になっていて、その分刻みでのビジネスライクな仕事ぶりに、最初はすっかり人が変わってしまったみたいな印象を受けますが、やはりギャルヴィンはあくまでギャルヴィンであり、最後どうなるか大方の予想がつかなくもありませんでした。

 中盤までは、法律事務所の仕事ぶりや裁判の経緯がこと細かく描かれていて、バリー・リード自身が医療ミス事件としては史上最高額の評決を勝ち取ったことがある法律事務所に属していた辣腕弁護士であっただけに、本格的なリーガル・サスペンスという感じで、同じ弁護士出身の作家でも、『法律事務所』(1991年発表、'92年/文藝春秋)のジョン・グリシャムのよりも、弁護士としての実績では遥かにそれを上回る『推定無罪』(1987年発表、'88年/文藝春秋)のスコット・トゥローの作風に近い感じがしました。

 結末の方向性は大体見えているし、審理の過程を楽しむ"通好み"のタイプの作品かなと思って読んでいたら、『評決』同様乃至はそれ以上に終盤は緊迫したドンデン返しの連続で、一時は法廷を飛び出してスパイ・ミステリみたいになってきて、相変わらず女性との絡みもあり、大いに楽しませてくれました。

 映画化されたら「評決」と同じかそれ以上に面白い作品になるのではないかとも思いましたが、やはり、主人公がどん底から這い上がって来て、人生の逆転劇を演じるような作品の方がウケルのかなあ(『決断』は映画化されていない)。

 但し、こうした作品が映画化される場合、「評決」の時もカルテの書き換えとそれに関する偽証に焦点が当てられていたように、細かい箇所は端折って、どこか一点に絞ってクローズアップされる傾向にあり、リーガル・サスペンスとしての醍醐味は、やはり原作の方が味わえるのではないかと思います。

 振り返れば、女性の使われ方が『評決』とやや似かよっていて、また、証人の証言に比重がかかり過ぎているようにも思えましたが、後半からラストまでは息つく間もなく一気に読める作品でした(読んでいて、どうしてもギャルヴィンにポール・ニューマンを重ねてイメージしてしまう。映画化されていないのは、続編が出るのが遅すぎて、ポール・ニューマンが歳をとりすぎてしまっていたこともあるのか?)。

評決 ペーパーバック.jpg評決 ポール・ニューマン.jpg 映画「評決」は、当初アーサー・ヒラー監督、ロバート・レッドフォード主演で制作が予定されていたのが、アーサー・ヒラーが創作上の意見不一致を理由に降板、ロバート・レッドフォードもアル中の役は彼のイメージにそぐわないとの理由で見送られ、企画は頓挫し、脚本も途中で何回も書き直されることになったそうです。

 結局、監督はシドニー・ルメットに(彼が選んだ脚本は一番最初に没になったものだった)、主演は「明日に向かって撃て!」でレッドフォードと共演した評決 新宿ロマン1.jpg評決 新宿ロマン2.jpgポール・ニューマンになり、そのポール・ニューマン自身、「自分の長いキャリアの中で初めてポール・ニューマン以外の人物を演じた」と述べたそうですが、そうした彼の熱演もあって、リーガル・サスペンスと言うより人間ドラマに近い感じに仕上がっているように思いました。

評決 ニューマン.jpg ちょうどアカデミー賞の受賞式を日本のテレビ局で放映するようになった頃で、ポール・ニューマンの初受賞は堅いと思われていましたが、「ガンジー」のベン・キングズレーにさらわれ、4年後の「ハスラー2」での受賞まで持ち越しになりました。映画の内容の方は、より一般向けに原作をやや改変している部分もありますが、ポール・ニューマンの演技そのものにはアカデミー賞をあげてもよかったのではないかと思いました。

The Verdict (1982).jpgThe Verdict (1982)
評決」●原題:THE VERDICT●制作年:1982年●制作国:アメリカ●監督:シドニー・ルメット●製作:リチャード・D・ザナック/デイヴィッド・ブラウン●脚本:デイヴィッド・マメット●撮影:アンジェイ・バートコウィアク●音楽:ジョニー・マンデル●時間:129分●出演:ポール・ニューマン/シャーロット・ランプリング/評決 ジェームズ・メイソン.jpg評決 ブルース・ウィリス.jpgジャック・ウォーデン/ジェームズ・メイスン/ミロ・オシア/エドワード・ビンズ/ジュリー・ボヴァッソ/リンゼイ・クルーズ/ロクサン・ハート/ルイス・J・スタドレン/ウェズリー・アディ/ジェームズ・ハンディ/ジョー・セネカ新宿ロマン.png/ケント・ブロードハースト/コリン・スティントン/バート・ハリス/トビン・ベル(ノンクレジット)/ブルース・ウィリス(ノンクレジット)●日本公開:1983/03●配給:20世紀フォックス●最初に観新宿ロマン劇場2.jpgた場所:新宿ロマン劇場(83-05-03)(評価:★★★☆) [上右]ブルース・ウィリス(傍聴人)

新宿ロマン劇場 明治通り・伊勢丹向かい。1946年新宿松竹館→新宿大映→新宿ロマン劇場 1989(平成元)年1月16日閉館

「新宿ロマン劇場閉館」
「FNNスーパータイム」1989(平成元)年1月17日放送(アンカーマン 逸見政孝・安藤優子)
新宿ロマン劇場閉館.jpg

【1997年文庫化[ハヤカワ文庫NV]】

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乾いた演出と映像詩のようなトーンが新鮮な「スト・パラ」。ラストが爽やかな「ダウン・バイ・ロー」。
ストレンジャー・ザン・パラダイスdvd.jpg 『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)2.jpg ダウン・バイ・ローdvd.jpg DOWN BY LAW01.jpg
ストレンジャー・ザン・パラダイス [DVD]」 「ダウン・バイ・ロー コレクターズ・エディション [DVD]

ストレンジャー・ザン・パラダイス1.jpg ニューヨークに住むウィリー(ジョン・ルーリー)は、クリーブランドに住む叔母が入院する間、ハンガリー出身の16歳の従妹エヴァ(エスター・バリント)を預かることになり、エヴァ、ウィリー、ウィリーの賭博友達エディ(リチャード・エドソン)の3人の奇妙な生活が始まる―。
 最初、ニューヨークを舞台にする「The New World」が短編作品として制作され、ヴィム・ヴェンダースに才能を認められたジム・ジャームッシュが彼から生フィルムを譲り受け、ジョン・ルーリーとの共同脚本で、続くクリーブランドを舞台とする「One Year Later」、フロリダを舞台とする「Paradise」を撮影したという、3部作で1つの作品になって、カンヌ国際映画祭で新人監督賞に該当する「カメラ・ドール」、ロカルノ国際映画祭でグランプリに該当する「金豹賞」を受賞しています。

ストレンジャー・ザン・パラダイス2.jpg ジム・ジャームッシュ監督の前作「パーマネント・バケーション」('80年)もそうですが、自主制作フィルムの雰囲気を保っていて、それを3本繋ぎ合せたという感もあり、ストーリーはあって無いようなシンプルなものです。

『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984).jpg 一応はロード・ムビーのような体裁をとっていて(途中からか)、ウィリーとエディがエヴァを誘って雪のエリー湖に行ったり、南国フロリダに行ったりしていますが、ストーリーよりも3人の、ぎこちないようで自然体でもあるように見える不思議な関係を、淡々としたモノクロームのカメラワークで描いており(殆どワンシーン・ワンショットで撮られている)、その演出と映像のトーンそのものが新鮮でした(時に映像詩のような印象も)。

 映画データベースで「コメディ」に分類されていましたが、確かにドッグレースや競馬などに入れあげる男2人は浮いたり沈んだりで、一方で、エトランゼであるエヴァの下にひょんなことから大金が入るというのは確かに可笑しい。でも、最初からストーリーで見せようという作品ではなく、3人の演技しているのか演技していなのかよく分からないような遣り取りの細部においてクスッと笑わせるような作品であり、何とも言えない不思議な仕上がりです。それでいて、ウィリーのエヴァに寄せる仄かな想い(妹を想いやるような感情)が伝わって来て、観終わった後の余韻もいいです。

 次作「ダウン・バイ・ロー」('86年)もモノクロでしたが、3人の刑務所仲間の男の脱獄劇をユーモラスに描いていて、こちらの方がストーリー性は前面に出ている分(映画らしくなった分?)、原石の魅力はやや減少しましたが、これはこれでファンキーな味わいがあります。

ダウン・バイ・ロー1.jpg タイトルは「はみ出し者仲間」の意。刑務所仲間の超ノン気な脱獄道中で、今回も音楽も担当のジョン・ルーリーが演技でも相変わらず良く、そのジョン・ルーリーと、映画初出演のシンガーソングライター、トム・ウェイツのクールな2人に、後に「ライフ・イズ・ビューティフル」('98年)を監督・脚本・主演し、アカデミー賞主演男優賞・外国映画作品賞を受賞する、ロベルト・ベニーニが陽気に絡みます。

ダウン・バイ・ロー2.bmp 登場人物の行動が行き当たりばったりだったり、予期せぬ偶然に流されたりするのと、登場人物相互の関わり合いがカラッと乾いた感じで描かれているのは「スト・パラ」と同じで、最後に男達が、ごく当たり前のようにそれぞれの道へ別れていくのは、日本映画ではちょっと考えられないようなドライ且つ爽やかなエンディングでした。

ジョン・ルーリー.jpg ジョン・ルーリー(イイ男にも見えるし、ハ虫類系の顔にも見える)も、本職は役者ではなくサックス奏者で、両作品の音楽も担当していますが、多才な人だなあと。90年代にライム病という難病を発症して生死の境を彷徨い、音楽活動からは身を引きましたが、画家としての活動に創作意欲の捌け口を見出し、昨年('10年)には日本でも個展が開かれています(作品は夢の世界を描いたような水彩画が多く、画風は子供の描いた絵のように見えるものもあれば、幽玄な水墨画に近いものもある。やはり、大病したためただろうか)

Stranger Than Paradise(1984).jpg「ストレンジャー・ザン・パラダイス」●原題:STRANGER THAN PARADISE●制作年:1984年●制作国:アメリカ・西ドイツ●監督:ジム・ジャームッシュ●製作:サラ・ドライヴァー●脚本:ジム・ジャームッシ/ジョン・ルーリー●撮影:トム・ディチロ●音楽:ジョン・ルーリー●時間:90分●出演:ジョン・ルーリー/エスター・バリント/リチャード・エドソン/セシリア・スターク/ダニー・ローゼン/ラメルジー/トム・ディチロ/リチャード・ボーズ/ロケッツ・レッドグレア/ハーヴェイ・パー/ブライ新宿文化シネマ2.jpgアン・J.バーチル/サラ・ドライヴァー/ポール・スローン●日本公開:1986/04●配給:フランス映画社●最初に観た場所:新宿文化シネマ2(86-08-23)(評価:★★★★☆)●併映「真夏の夜のジャズ」(バート・スターン) Stranger Than Paradise(1984)
新宿文化シネマ2 2006(平成18)年9月15日閉館、2006(平成18)年12月9日〜文化シネマ1・4が「新宿ガーデンシネマ1・2」としてオープン(2008(平成20)年6月14日「角川シネマ館」に改称)、文化シネマ2・3が「シネマート新宿1・2」としてオープン

スバル座.jpgDOWN BY LAW02.jpg「ダウン・バイ・ロー」●原題:DOWN BY LAW●制作年:1986年●制作国:アメリカ・西ドイツ●監督・脚本:ジム・ジャームッシュ●製作:アラン・クラインバーグ●撮影:ロビー・ミューラー●音楽:ジョン・ルーリー●時間:107分●出演:トム・ウェイツ/ジョン・ルーリー/ロベルト・ベニーニ/ニコレッタ・ブラスキ/エレン・バーキン●日本公開:1986/11●配給:フランス映画社●最初に観た場所:有楽町・スバル座(86-12-14)(評価:★★★★)

「●張藝謀(チャン・イーモウ)監督作品」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【2616】 張藝謀 「あの子を探して
「●「ベルリン国際映画祭 金熊賞」受賞作」の インデックッスへ(「紅いコーリャン」) 「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ 「○都内の主な閉館映画館」の インデックッスへ(旧ユーロスペース・シアターN渋谷)「○存続中の映画館」の インデックッスへ(有楽町スバル座) ○ノーベル文学賞受賞者(莫言(モー・イェン))  

"赤"を基調としたダイナミックな映像美の張藝謀(チャン・イーモウ)初期作品2作がいい。

紅高梁 (中国版DVD).jpg RED SORGHUM1.jpg RED SORGHUM2.jpg 紅高梁
紅高梁 (中国版DVD)   コン・リー(鞏俐)(中央)
紅いコーリャン .jpg紅いコーリャン.jpg 1920年代末の中国山東省。私(語り手)の祖母・九児(チウアル)(鞏俐(コン・リー))は、ロバ一頭と引き換えに父に売られるように、親子ほども年の離れた病気持ち(ハンセン病)の造り酒屋の男に嫁ぐことになるが、御輿で嫁入りに向かう途中、強盗たちに襲われ、御輿の担ぎ手・余占鰲(ユイチャンアオ)(姜文(チアン・ウェン))に救われる。実家への里帰りの帰路でも、再び強盗が彼女を襲うが、強盗は余占鰲であり、互いに惹かれ合っていた2人は、コーリャン畑で結ばれる。やがて夫が行方不明となり、造り酒屋を継いだ九児は余と結婚、子供も生まれ、幸せな日々が続くのだが、やがてそこに日本軍が侵攻する―。「紅いコーリャン [DVD]

「紅いコーリャン」 チャン・イーモウ.jpgコン・リー(鞏俐)/チャン・イーモウ(張藝謀)
コン・リー.jpgチャン・イーモウ(張藝謀).jpg 1988年・第38回ベルリン国際映画祭のグランプリ金熊賞を受賞し、チャン・イーモウ(張藝謀)の名を世界に知らしめた作品で、神話的な雰囲気をも携えた骨太のストーリー、この作品がデビュー作でもあるコン・リー(鞏俐)をはじめとする役者陣の演技、"赤"を基調とした映像美等々の何れをとっても一級品であり、「中国映画にしては」といった上から目線での評価が入り込む余地がありません。
 "神話的"である一方で、日本軍の侵攻が始まってからの悲劇はリアルに描かれていて、抗日運動をしていた造り酒屋の番頭さんが、見せしめのため生きたまま頭皮を剥がされ、それを九児らは黙って見ているしかないという残酷なシーンもあり(江戸時代の刑罰より酷いなあ)、その際に強盗の頭目も並んで同様のやり方で処刑されるという、もう日本軍のやることは無茶苦茶という感じ。そうした日本軍を倒すために余らも立ち上がるが―。

 プロパガンダ的と言うよりも人間そのものをしっかり描いている感じで、度重なる悲劇に屈せず前向きに生きようとする主人公が、「風と共に去りぬ」のスカーレットみたいであり(たまたまこれも"赤系統"の名前だが)、赤を主体とした強烈な色彩美が印象的。ダイナミックなカメラワークも含め、この監督が将来、「HERO」('02年)のような娯楽映画を撮る予兆が、既にこの作品にもあったかも(ワイヤーアクションを駆使するところまでいくとは思わなかったが、実は「紅いコーリャン」もワイヤーにカメラを吊るして撮っているシーンが幾つもある)。

菊豆(チュイトウ) .jpg菊豆 dvd.jpg菊豆 dvd us版.bmpJUDOU.jpg
コン・リー(鞏俐)「菊豆 [DVD]」/輸入版DVD Ju Dou(1990)

菊豆1.bmp菊豆2.jpg 「紅いコーリャン」では、それまでの中国現代映画にはないくらい大胆に"性"を描いていますが、「菊豆<チュイトウ>」('90年)はそれ以上であり、更には、現代に近い時代を扱った作品ではタブーとされてきた"不倫"を描いています(第43回カンヌ国際映画祭「ルイス・ブニュエル賞」受賞)。

菊豆3.jpg これも「紅いコーリャン」と同じように金で買われて旧家の染物屋に嫁入りした菊豆(チュイトウ)(鞏俐(コン・リー)が主人公で、彼女は夫のDV(性的サディズム)に苛まれた末に、同居の使用人の若い男を引き込んでその男と結ばれ、病に倒れ身体の自由がきかなくなった夫に代わって次第に家庭内での実権を握っていきますが、男との間に生まれた子供が実の子でないことを知った父親(菊豆の夫は実は不能だった)は子供を邪険にする―。

Ju Dou (1990).jpg 子供がダミアンみたいな悪魔っ子で、かなり怖いです。当初辛くあたっていた父親がやがて愛情をかけるようになったにも関わらず、誤って染料の壺に落っこちて今まさに溺死しようとしている父を見て、この子は助けようともせず不気味な笑みを浮かべています(殆どホラー・ムービーの世界)。

 この後、更にこの子の悪魔っ子ぶりはエスカレートし、実の父親をも―といった具合に"不倫"をしたことに対する「因果応報」的なストーリーになっているのがやや気になりましたが、原作は農家が舞台だそうで、それを染物屋に置き換えることで、「紅いコーリャン」以上に強烈に"赤"を前面に押し出している作品であり、そうした"映像"を見せることが主眼であり、ストーリーはそのためのモチーフに過ぎないという感じがしなくもない作品でした(それぐらい強烈な映像美)。

 かつて中国本土では、チャン・イーモウのこれらの初期作品は度々上映禁止になっていたそうですが、その知名度が世界的に広まったこともあって、'08年の「北京オリンピック開会式」や'09年の「建国60周年記念パレード」の演出を任されるなど、今や"国家的"なディレクターになってしまっている(体制にとり込まれた?)―それに伴って、初期の頃の斬新さは弱まり、ハリウッド映画のような作品を撮るようになってしまったという印象はします。

Hong gao liang(1987)   コン・リー(鞏俐)
Hong gao liang(1987).jpgコン・リー(鞏俐).jpgHONG GAO LIANG .jpg「紅いコーリャン」●原題:紅高梁(HONG GAO LIANG) /RED SORGHUM●制作年:1987年●制作国:中国●監督:張藝謀(チャン・イーモウ)●製作:呉天明(ウー・ティエンミン)●脚本:陳剣雨(チェン・チェンユイ)/朱偉(チュー・ウェイ)/莫言(モー・イェン)●撮影:顧長衛(クー・チャンウェイ)●音楽:趙季平(ヂャオ・チーピン)●原作:莫言(モー・イェン)「紅高梁」「高梁酒」●時間:91分●出演:鞏俐(コン・リー)/姜文(チアン・ウェン)/滕汝駿(トン・ ルーチュン)/劉継(リウ・チー)/錢明(チェン・ミン)/計春華(チー・チュンホア)●公開:1989/01●配給:ユーロスペース●最初に観た場所:渋谷ユーロスペース(89-02-18)(評価:★★★★☆)
シアターN渋谷.jpg旧・渋谷ユーロスペースシアターN渋谷 1982(昭和57)年渋谷駅南ユーロスペース1・2.jpg渋谷ユーロスペース.jpgシアターN.jpg口桜丘町にオープン、2005(平成17)年11月移転のため閉館。2006(平成18)年1月から渋谷円山町「Q-AXビル」に再オープン。旧ユーロスペース跡地には2005年12月3日「シアターN渋谷」がオープン(2012年12月2日閉館)

菊豆<チュイトウ> .jpg「菊豆<チュイトウ>」●原題:菊豆 JUDOU●制作年:1990年●制作国:中国・日本●監督:張藝謀(チャン・イーモウ)●製作:徳間康快●脚本:劉恒(リュウ・ホン)●撮影:顧長衛(クー・チャンウェイ)●音楽:郭峰(クオ・フォン)●原作:劉恒(リュウ・ホン)「羲、伏羲」 ●時間:94分●出演:鞏俐(コン・リー)/李保田(リー・パオティエン)/李スバル座_2.jpg有楽町 スバル座内.jpg緯(リー・ウェイ)/張毅(チャン・イー)●日本公開:1990/04●配給:大映●最初に観た場所:有楽町スバル座(90-05-26)(評価:★★★★)
有楽町スバル座 1946年12月31日オープン後1953年火災により閉館、1966年有楽町ビル2Fに再オープン
 
莫言1.jpg莫言2.jpg《読書MEMO》
莫言(ばく げん、モー・イエン、1955 - )
2012年ノーベル文学賞受賞

雑誌「環球人物」/WEB NEWS「新华视点」

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思っていた以上に良かった「トゥームストーン」。ちょっと長過ぎる「ワイアット・アープ」。

トゥームストーン ポスター.jpg TOMBSTONE movie 1993.jpg トゥームストーン dvd.jpg   ワイアット・アープdvd.jpg

「トゥームストーン」ポスター/「トゥームストーン [DVD]」/「ワイアット・アープ 特別版 〈2枚組〉 [DVD]

トゥームストーン1.jpg トゥームストーンへ平穏な暮らしを求めやって来た元保安官のワイアット・アープ(カート・ラッセル)は、町がクラントン兄弟や凄腕のガンマン、ジョニー・リンゴ(マイケル・ビーン)らカウボーイズと名乗る無法者集団に牛耳られていることを知る。ワイアットは旧友ドク・ホリデトゥームストーンes.jpgイ(ヴァル・キルマー)と再会したが、彼は結核に冒されていて、恋人のケイト(ジョアンナ・パクラ)が彼の生き方を全うさせようと寄り添っている。一方ワイアットは、舞台女優のジョセフィーヌ(ダナ・デラニー)と知り合う。カウボーイズの無法ぶりを抑えようと、ワイアットの兄と弟は保安官となり、アープ兄弟は一味からOKコラルでの決闘を申し込まれるが、ドクの加勢を得て勝利する。しかし、敵の報復により兄が重体に、弟が殺されるに及んで、ワイアットは再び保安官のバッジを付け、ドクと共に立ち上がる―。

トゥームストーン_V1_.jpg 「トゥームストーン」('93年/米)の監督は「ランボー 怒りの脱出」のジョージTombstone(1993).jpg・P・コスマトスで、あまり期待していなかったけれども、観てみたら、カート・ラッセルのワイアット・アープもまずまずで、思っていた以上に良かった作品。史実に忠実に作られているとのことで、僅か約2分間のことだったというOKコラルでの決闘を、実際の時間通りに描いているほか、服装や小道具なども丁寧に再現しているようですが、何といっても初めて知ったのは、カウボーイズ一味との銃撃戦は1回ではなかったということでした。
Tombstone(1993)

トゥームストーン ヴァル・キルマー.jpg この作品でみると、敵役のリンゴなどはワイアット・アープの手に余る相手で、ワイアットを助太刀したのがドグ・ホリディという構図になっているのが興味深いです(一番の拳銃使いはドグ・ホリディということか)。

Val Kilmer (Doc Holliday) in Tombstone (1993)

 最初はワイアット・アープ(カート・ラッセル)もドグ・ホリディ(ヴァル・キルマー)もちょっと線が細いかなと思いましたが、2人の心の交流やものの考え方を丁寧に描いて成功しているように思われ、娯楽映画としてもテンポ良く、アープらに宿を提供する牧場主の役でチャールトン・ヘストンが出演していたりします(現時点['11年3月]でDVDが廃盤になっているのが惜しい)。


ワイアット・アープ コスナー.jpg 同じ頃に公開された「ワイアット・アープ」('94年/米)は、「シルバラード」のローレンス・カスダン監督ということで期待しましたが、こちらは完全にケヴィン・コスナーの映画という感じ。ケヴィン・コスナーはやりたかったんだろうなあ、この役を。

Kevin Costner in Wyatt Earp (1994)

ワイアット・アープ 001.jpg こちらも「史実に忠実」が謳い文句で、同じくOKコラルの決闘の後にもう一度、ワイアット・アープ(ケヴィン・コスナー)とドグ・ホリディ(デニス・クエイド)はカウボーイズ一味を相手にワイアットの弟の弔い合戦をやっています。

ワイアット・アープ デニス・クエイド.bmp デニス・クエイドのドグ・ホリディは、ヴァル・キルマーより更に線が細い、というより病的。事実、結核病みだったから、リアルと言えばリアルなのかも(自分の頭の中にある「荒野の決闘」('46年)のヴィクター・マチュアのイメージが強すぎるのか。何せ、「サムソンとデリラ」のサムソンをやった役者だったからなあ)。

ワイアット・アープ-7.jpg 3時間11分の大作になっているのは、ワイアット・アープの生涯を通しで描いているためで、若い頃に身重の妻を病気で喪って酒浸りの日々を送り、馬泥棒で留置所に入れられたりもしたのだなあと(よくぞ立ち直った)。但し、決闘に至るまでがあまりに長く(これはある種「伝記映画」か?)、ケヴィン・コスナーの熱演(?)にもかかわらず(コスナーはこの作品で「ゴールデン・ラズベリー賞」の最低主演男優賞を受賞している)冗長な感は否めませんでした(この人が製作に関わった作品は、長尺になる傾向がある。カットするのが惜しい?)。

「トゥームストーン」('93年/米).jpg「トゥームストーン」●原題:TOMBSTONE●制作年:1993年●制作国:アメリカ●監督:ジョージ・P・コスマトス●製作:ジェームズ・ジャックス/ショーン・ダニエル/ボブ・ミシオロウスキ●脚本:ケヴィン・ジャール●撮影:ウィリアム・A・フレイカー●音楽:ブルース・ブロートン●時間:130分●出演:カート・ラッセル/ヴァル・キルマー/サム・エリオット/ビル・パクストン/ダナ・デラニー/ジョアナ・パクラ/パワーズ・ブース/マイケル・ビーン/チャールトン・ヘストン/ジェイソン・プリーストリー/マイケル・ルーカー/ビリー・ゼーン/ロバート・ミッチャム●日本公開:1994/05●配給:東宝東和(評価:★★★★)

Wyatt Earp(1994)     ジーン・ハックマン
Wyatt Earp(1994).jpgワイアット・アープ ジーン・ハックマン.jpg「ワイアット・アープ」●原題:WYATT EARP●制作年:1994年●制作国:アメリカ●監督:ローレンス・カスダン●製作:ケヴィン・コスナー/ ジム・ウィルソン/ローレンス・カスダン●脚本: ローレンス・カスダン/ダン・ゴードン●撮影:オーウェン・ロイズマン●音楽:楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード●時間:191分●出演:ケヴィン・コスナー/デニス・クエイド/ジーン・ハックマン/イザベラ・ロッセリーニ/マイケル・マドセン/デヴィッド・アンドリュース/リンデン・アシュビー/トム・サイズモア/ビル・プルマン/マーク・ハーモン/ジェフ・フェイヒー/アダム・ボールドウィン/アナベス・ギッシュ/メア・ウィニンガム/ジョアンナ・ゴーイング/キャサリン・オハラ/ジョベス・ウィリアムズ/アリソン・エリオット/ベティ・バックリー/ジェームズ・カヴィーゼル/ランドル・メル/レックス・リン/ルイス・スミス/トッド・アレン●日本公開:1994/07●配給:ワーナー・ブラザース映画(評価:★★★)

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ヘンリー・フォンダ、ヴィクター・マチュアが良く、モノクロの味わいがある「荒野の決闘」。

my-darling-clementine.jpg 荒野の決闘 dvd.jpg     GUNFIGHT AT THE O.K. CORRAL.jpg OK牧場の決斗 dvd.jpg
「荒野の決闘」輸入版ポスター/「荒野の決闘 [DVD] ヘンリー・フォンダ/「OK牧場の決斗」輸入版ポスター/「OK牧場の決斗 [DVD]」バート・ランカスター/カーク・ダグラス

Henry Fonda in My Darling Clementine.bmp 牛追いの旅の途中で逗留した墓場の町トゥームストーンで、牛を盗まれ末弟を殺されたワイアット・アープ(ヘンリー・フォンダ)ら兄弟は、犯人を捜すべく町に留まり保安官職を引き受けるが、町には賭博師ドク・ホリディ(ヴィクター・マチュア)がいた。ワイアットは根っからの悪人ではないドクに一目置き、友情を抱く。やがてドクを追って東部からクレメンタイン(リンダ・ダーネル)という女性が来て、ワイアットは密かに恋心を抱くも彼女のドクへの想いを知り、その希望を叶えるためにも酒浸りのドクに酒を控えるよう忠告するが、は自らが病気であることを悟るドク、彼女につれない態度をとる―。
ヘンリー・フォンダ/リンダ・ダーネル

my darling clementine.jpg『荒野の決闘』(1946).jpg 「荒野の決闘」は1946年のジョン・フォード作品ですが、ヘンリー・フォンダの映画と言ってもいいかも(そもそも、ジョン・フォードがジョン・ウェインを使わずヘンリー・フォンダを起用している点が興味深い)。もの静かながらも正義感と責任感を裡に秘め、武骨ながらも時にユーモアも見せるヘンリー・フォンダ独特のワイアット・アープ像が印象的でした。

 '82年リヴァイバル公開時の「いとしのクレメンタイン」というタイトル(実はこれが原題)からしても、メロドラマ的要素の強い作品のように思われていますが、ワイアット・アープとドク・ホリディの男の友情(精神的なホモ・セクシュアルに近い感じも)が軸となっている作品であるとも言えるのでは。

 弟を殺した犯人がクラントン一家と分かり、残されたアープ3兄弟はドク・ホリディと共に、牧場主クラントンと4人の息子兄弟を相手に戦うことになりますが、これが有名な「OK牧場の決闘」―。

My Darling Clementine (1946).jpg この作品の他にも「OK牧場の決斗」('57年/ジョン・スタージェス監督、バート・ランカスター、カーク・ダグラス主演)をはじめ何度か映画の素材になっており、90年代に入ってもトゥームストーン('93年/ジョージ・P・コスマトス監督、カート・ラッセル、ヴァル・キルマー主演)、ワイアット・アープ('94年/ローレンス・カスダン監督、ケヴィン・コスナー、デニス・クエイド主演)と続きましたが、比べると細部においてそれぞれ筋立てが異なる部分があって興味深いです。

 実際には「決闘」ではなく、保安官が銃所持者を武装解除しようとした際に牧舎付近で発生した突発的な銃撃戦だったそうですが(タイトル的には「OK牧場の決斗」の原題(Gunfight at the O.K. Corral)が正しく、僅か2分間で決着したという点は「トゥームストーン」が史実に忠実に作られている)、但し、それまでにアープ兄弟やドク・ホリディとクライトン一家の間で様々な確執があったのは事実のようです。

ビクター・マチュア.jpg 「荒野の決闘」では、ワイアット・アープとドグ・ホリディは酒場で出会って意気投合し、ドク・ホリディに惚れていた酒場の女が銃で撃たれる事件が起きて、ドクがその時に彼女の手術をしたために、彼が元医者であることが初めて皆に知れるというようになっていますが、「OK牧場の決斗」「トゥームストーン」「ワイアット・アープ」では2人は以前から親友だったことになっています。

ビクター・マチュア

 この他に、「荒野の決闘」では、町の酒場で酒ですっかりダメになった役者が荒くれ男たちに絡まれて無理矢理「演劇芸」をさせられるものの「ハムレット」の台詞を忘れて絶句したところ、ドグ・ホリディがつぶやくように後を続けるという場面があり、彼が東部で教育を受けたインテリであることが示唆されています(西部育ちの武骨なワイアット・アープは、只々茫然とそれを見遣る)。

 「荒野の決闘」のワイアット・アープが憧憬を抱いたクレメンタインのような清楚なキャラクターの女性は、「トゥームストーン」でもドグに寄り添う恋人が一応は登場しますが「OK牧場の決斗」には登場せず、代わりに「OK牧場の決斗」ではドグ・ホリディの"情婦"ケイト(ジョー・ヴァン・フリート)が登場し、これはかなりのあばずれ女(「荒野の決闘」の酒場女がこれに該当か)、一方のワイアット・アープの方も、「OK牧場の決斗」では美貌の女賭博師ローラ(ロンダ・フレミング)と、「トゥームストーン」では聡明な舞台女優と、「ワイアット・アープ」では町の美しい踊子と結ばれており、この辺りにくるとどれが本当の話かよく分かりませんが、少なくともドグ・ホリディの恋人に想いを馳せるといった三角関係のようなことは他の3作にはありません。

お楽しみはこれからだ―映画の名セリフ.jpg 何よりも「荒野の決闘」が他の作品と異なるのは、この決闘でドク・ホリディが自らの命をあっさり投げ出してしまうことで(ジョン・フォードによって美化されている?)、実在の彼は21歳で肺結核に罹り、医師から余命数カ月と宣告されていたため"死に場所"を探していた可能性は高いですが、ホントは「決闘」 後6年間生きていて、享年は36歳、と言うことは、「決闘」時は30歳。一方ワイアット・アープは、「決闘」時は33歳で、80歳まで生きています。

和田 誠 氏3.jpg 和田誠氏は『お楽しみはこれからだ―映画の名セリフ』('75年/文藝春秋)の中で「OKコラルの決闘は明治14年、ドグ・ホリディが死んだのは明治20年、ワイアット・アープが死んだのは昭和4年だそうである」と、いつ頃のことか想像し易いよう和暦に置き換えて書いています。
お楽しみはこれからだ―映画の名セリフ

「OK牧場の決闘」チラシ
OK牧場の決闘 チラシ.jpgGunfight at the O.K. Corral2.jpg 「OK牧場の決斗」も西部劇の傑作には違いなく、アクション味やカタルシスの度合いは「荒野の決闘」より上かも知れませんが、個人的には「荒野の決闘」の静かな雰囲気の方が好きかなあ(モノクロームの味わいもある)。

バート・ランカスター/カーク・ダグラス

OK牧場の決斗09.jpg "娯楽作品"vs."文芸作品"という感じで、比較するのにOK牧場の決斗7.jpg無理があるかも知れませんが、ワイアット・アープ像は、保安官然とした「OK牧場の決斗」のバ―ト・ランカスターよりも、じわっと人間味が出ている「荒野の決闘」のヘンリー・フォンダの方Dennis Hopper  in Gunfight at the O.K. Corral .jpgカーク・ダグラス.jpgが上、ドグ・ホリディは誰が演じても受ける"映画向き"のキャラクターという気はしますが、これもヴィクター・マチュアの存在感が、カーク・ダグラス(これも、この作品でのバ―ト・ランカスターと比べると悪くはないが)を上回っているように思います(但し、先に挙げた和田誠氏の『お楽しみはこれからだ―映画の名セリフ』によると、この「荒野の決闘」でのヴィクター・マチュアの一般的評価はあまり高くないようだ)。

カーク・ダグラス

デニス・ホッパー/バート・ランカスター

 因みにワイアット・アープは晩年ジョン・フォードと親交を持ち、そのことがフォードの映画作りにも影響しているようであり(結局、「荒野の決闘」が最も創意を含んでいる?)、この作品のワイアット・アープ、と言うよりヘンリー・フォンダは、「アメリカ的騎士道」の体現者といった感じがしました(「駅馬車」('39年)のジョン・ウェインにもそれが当て嵌まる。タイプは"動"のジョン・ウェインと"静"のヘンリー・フォンダで異なるが)。

OK牧場の決闘 ディミトリ・ティオムキン.jpg 「荒野の決闘」のテーマ曲「いとしのクレメンタイン」は、歌詞に"a miner, forty-niner"とあるように、ゴールドラッシュ時代を回顧したアメリカ民謡で、"Clementine"は亡くなった恋人(抗夫の娘)の名、日本では探検・登山家の西堀栄三郎が作詞した「雪山讃歌」として知られています。

 一方の「OK牧場の決斗」のテーマ曲も、同じくジョン・スタージェス監督の「荒野の七人」('60年)のテーマ曲などと並んで、西部劇のテーマ曲としては超有名で、フランキー・レイン(連続TVドラマ「ローハイド」のテーマもこの人が歌っていた)の歌が作中の場面の変わり目に何度か挿入され、歌詞がドラマの語り手のような役割を果たして効果をあげています。
Frankie Laine :Gunfight At The OK Corral 

「荒野の決闘」パンフレット
リンダ・ダーネル.jpg荒野の決闘 パンフレット.jpgMY DARLING CLEMENTINE.jpg「荒野の決闘(いとしのクレメンタイン)」●原題:MY DARLING CLEMENTINE●制作年:1946年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・フォード●製作:サミュエル・G・エンゲル●脚本:サミュエル・G・エンゲル/ウィンストン・ミラー●撮影:ジョー・マクドナルド●音楽:シリル・モックリッジ/アルフレッド・ニューマン●原-自由ヶ丘劇場2.jpgヒューマックスパビリオン自由が丘.jpg作:サム・ヘルマン/スチュアート・N・レイク●時間:97分●出演:ヘンリー・フォンダ/ヴィクター・マチュア/リンダ・ダーネル/キャシー・ダウンズ/ ウォルター・ブレナン/ウォード・ボンド/ティム・ホルト/ジョン・アイアランド/ジェーン・ダーウェル/アラン・モーブレイ/ラッセル・シンプソン/メエ・マーシュ/フランシス・フォード●日本公開:1947/08●配給:20世紀フォックス=セントラル●最初に観た場所:自由が丘・自由が丘劇場(85-02-17)(評価:★★★★)●併映「わが谷は緑なりき」(ジョン・フォード)
自由が丘劇場 自由が丘駅北口徒歩1分・ヒューマックスパビリオン自由が丘(現在1・2Fはパチンコ「プレゴ」)1986(昭和61)年6月閉館

「OK牧場の決闘」パンフレット
ロンダ・フレミング1.jpgOK牧場の決斗 パンフレット.jpg「OK牧場の決斗」●原題:GUNFIGHT AT THE O.K. CORRAL●制作年:1957年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・スタージェス●製作:ハル・B・ウォリス●脚本:レオン・ウーリス●撮影:チャールズ・ラング・Jr●音楽:ディミトリ・ティオムキン●原案:ジョージ・スカリン●時間:122分●出演:バート・ランカスター/カーク・ダグラス/ロンダ・フレミング/ライル・ベトガー/ジョン・アイアランド/Gunfight at the O.K. Corral(1957).jpgジョー・ヴァン・フリート/リー・ヴァン・クリーフ/アール・ホリマン/デニス・ホッパー/ケネス・トビー/デフォレスト・ケリー/ジャック・イーラム/ブライアン・ハットン/フランク・フェイレン/マーティン・ミルナー/オリーヴ・ケリー/テッド・デ・コルシア●日本公開:1957/07●配給:パラマウント映画(評価:★★★☆)
Gunfight at the O.K. Corral(1957) 

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