2012年8月 Archives

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入門書として分かり易く書かれているが、ちょっと「天才」たちの名前(&エピソード)を挙げ過ぎなのでは?

岡田 尊司 『アスペルガー症候群』  .JPGアスペルガー症候群 幻冬舎新書.jpg 『アスペルガー症候群 (幻冬舎新書 お 6-2)』['09年]

 アスペルガー症候群の入門書として基本的な部分を網羅していて、記述内容も(一部、大脳生理学上の仮説にも踏み込んでいるが)概ねオーソドックス、既に何冊か関連の本を読んで一定の知識がある人には物足りないかもしれませんが、純粋に入門書として見るならば分かり易く書かれていると思いました。

 以前に著者の『パーソナリティ障害―いかに接し、どう克服するか』('04年/PHP新書)を読んで、例えば「演技性パーソナリティ障害」では、チャップリン、ココ・シャネル、マーロン・ブランドの例を挙げるなど各種人格障害に該当すると思われる有名人を引き合いにして解説していたのが分かりよかったのです。

 ただ、今回気になったのは、読者がよりイメージしやすいようにとの思いからであると思われるものの、ビル・ゲイツ、ダーウィン、キルケゴール、ジョージ・ルーカス、本居宣長、チャーチル、アンデルセン、ウィトゲンシュタイン、アインシュタイン、エジソン、西田幾多郎、ヒッチコック...etc.と、ちょっと「天才」たちの名前(&エピソード)を挙げ過ぎなのではないかと。

 これも以前に読んだ、正高信男氏の『天才はなぜ生まれるか』('04年/ちくま新書)などは、ハナから、「天才」と呼ばれた人には広義の意味での学習障害(LD)があり、それが彼らの業績と密接な関係があったという主張であって、その論旨のもと、エジソン(注意欠陥障害)、アインシュタイン(LD)、レオナルド・ダ・ヴィンチ(LD)、アンデルセン(LD)、グラハム・ベル(アスペルガー症候群)、ウォルト・ディズニー(多動症)といった偉人の事例が出てくるわけですが、本書は一応「入門書」という体裁を取りながらも、アスペルガー症候群に関して同種の論を唱えているようにも思われました。

 勿論、アスペルガー症候群の子どもの強み、弱み共々に掲げ、強みを伸ばしてあげる一方で、社会性の獲得訓練などを通して弱みを補うことで、大人になって自立できるように養育していく努力の大切さを説いてはいるのですが、これだけ「天才」の名が挙がると、(話としては面白いのだが)読んだ人の中にはそっちの方に引っ張られて、子どもに過剰な期待し、現実と期待の差にもどかしさを感じるようになる―といったことにならないかなあ(まあ、養育経験者はまずそんなことにはならないだろうけれど、一般の人にはやや偏ったイメージを与えるかも)。

 自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害の専門家や臨床医が書いた入門書や、或いはこの分野の権威とされる人が監修したガイドブックなどにもエジソン、アインシュタインなどはよく登場するわけですが、本書の場合、冒頭から「本書を読めば、テレビでよく見かける、頭がもじゃもじゃのあの先生も、今をときめく巨匠のあの先生も、ノーベル賞をとったあの先生も、このタイプの人だということがおわかり頂けるだろう」といったトーンです。

益川敏英.jpg 結局、この3人の内の最後の人などは、本文中に物理学者・益川敏英氏として登場し、アスペルガー症候群特有のエピソードが紹介されたりもしているのですが、確かに、あの人のノーベル賞受賞会見などを見て、ぴんとくる人はぴんときたのではないかと思います(その意味では、分かりよいと言えば分かりよいのだが...)。
 ただ、一方で、著者自身が直接益川氏を診たわけではなく、従って、メディアを通しての著者個人の"見立て"に過ぎないとも言えます(前著『境界性パーソナリティ障害』('09年/幻冬舎新書)では、「依存性パーソナリティ」の例として某有名歌手を取り上げるなどしていた)。

 解説部分がオーソッドクスなテキストである分、こうした事例の紹介部分は本書に"シズル感"をもたらしていますが、そこが著者の一番書きたかったことなのではないかな(この著者には、ある意味、"作家性"を感じる。同じようなことを感じる精神科医は前述の正高信男氏をはじめ、他にも多くいるが)。

 著者自身にもその自覚があるからこそ「アスペルガー症候群入門」とか「アスペルガー症候群とは何か」といったタイトルを使わず、本書を単に「アスペルガー症候群」というタイトルにしているのではないでしょうか。

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精神状態ではなく「行為」を指し、その行為は虐待であって犯罪だと。潜在的には数的にかなりある?

代理ミュンヒハウゼン症候群.jpg 代理ミュンヒハウゼン症候群 image.jpg image
代理ミュンヒハウゼン症候群 (アスキー新書)

 アイキャッチ的な帯に対して、内容はかなりかっちりした本。個人的には、本書を読む前までは、海外医療ドラマなどにもよく登場する、大袈裟な演出によって病気を装い、難しい検査や痛みを伴う治療を受けたがる人が「ミュンヒハウゼン症候群」で、リストカットなどの自傷行為が自分の子へ転嫁されるのが「代理ミュンヒハウゼン症候群」であるという漠たる理解で、何となく両者が繋がらなかったのですが、法医学者による本書読んでみて、その意味や特徴についてより理解を深めることができたように思います。

 「代理ミュンヒハウゼン症候群」(MSBP)とは、子どもの世話をする人物(多くは母親)が、自らではなく「子どもを代理として」病気の状態を作り出し、それによって医療機関に留まろうとする虐待のことを指すとのことです(医療機関が彼らにとって避難所・安息の場であることは「ミュンヒハウゼン症候群」と同じ)。

 健康状態を損なわせたわが子を病院に繋ぎ止め、本来は不必要であるはずの苦痛を伴う医療措置を受けさせつつも、献身的に介護する―本書の第一のポイントは、これが虐待であり、犯罪行為であるということ、つまり、「代理ミュンヒハウゼン症候群」とは、「行為」の症候群を指すということです。

 子どもに危害を加えることなく、病院側に「様子がおかしい」と訴えるだけでも、そこで本来は不要な検査や"治療"を受けさせることに繋がれば虐待であるし、実際に子どもに危害を加えて生命の危険に晒す、或いは死なせることになれば、これはもう虐待に加えて殺人未遂または殺人ということになります。

 「代理ミュンヒハウゼン症候群」が一般の虐待と異なるのは、虐待する母親が自らの感情をコントロールし、沈着冷静に自分の行為の意味をよく分かった上で、求める結果を得るために慎重にこうした行為を行うという点で、その結果、子どもが入院した際には、多くの場合、医療スタッフから「すごくいい母親」であると賞賛を得ることで、情緒的満足を得るとのこと、う~ん、これが目的かあ、恐ろしいなあ。

 本書では、「代理ミュンヒハウゼン症候群」の海外の事例が多く紹介されていますが、日本では1995年から2004年までの10年間で21症例とのこと、但し、これは氷山の一角に過ぎないと思われると著者は述べています。

 海外ではそうした事件を巡る裁判もあって、一方で、普通の事故に対して「代理ミュンヒハウゼン症候群」の疑いがかかったりして、いろいろ話題になったり議論されたりしているようですが、日本でももっとあっておかしくないような気がするけれども、看過されてしまっているのではないかなあ(通常の児童虐待についても、報告例が急増したのは2000年以降になってからでしょう)。

 そうした中、日本で起きた、幼い子ども3人を死傷させた母親の不可解な行動を巡る(実は、汲み置いておいた水道水や飲み残しのスポーツ飲料を子どもの点滴回路に混入させていた)「点滴汚染水混入事件」の、2010年5月に裁判員制度のもとで行われた裁判の傍聴の記録と解説・分析がなされています。

 この事件も、その母親から「五女」の様態がおかしいとして持ち込まれた病院の医師が、家族歴を調べて「次女から四女までが亡くなっている」のは変だとして疑いを持ち、病室に監視カメラを設けたことが発覚に繋がり、この母親は自分の子が亡くなる度に、代わりとなる次の子を産んでいたわけで、誰かが気づかないとこうしたことは繰り返されてしまうものなのかも(実際にそうであると考えると恐ろしい)。

 「代理ミュンヒハウゼン症候群」(MSBP)は「行為」を指すため、そうした精神状態にあっても、行為に及ばなければ(踏みとどまれば)それには該当しないとうことになりますが、そうでありながら一方で、精神状態(子どもとの関係性)が定義付けの要件となっているところがややこしいと思いました。

 しかも、事件を起こした当事者は平然とそうした行為を成し、「動機」が本人から語られることはまずないため、「動機不明」のまま、「故殺」かどうか(こうした行為が殺人になるという認識があったかどうか)を客観的に立証しないと、本来は「殺人」であるものが「過失致死」でしか問えなかったりもするようです(遺族関係者が厳罰を望まないという傾向もあるし)。

 MSBP行為をする母親の精神状態に、「演技性人格障害」など、幾つかの人格障害との関連が見られることも多いということですが、このあたりも一般認識をややこしくしている要因か(MSBPは行為を指すわけだから、それ自体は「病気」でも「人格障害」でもない)。
 
 前述の裁判例で裁判員たちが、限られた時間に慎重かつ真剣に同件を審議したことを著者は評価しつつも、裁判員だけでなく裁判官までもが、MSBPが「行為者の精神状態」であり、それによって「行為制御能力が低下していた」という思考パターンから最後まで抜け切れていないことが窺えたのを、著者は残念に思ったようです(これだけMSBPは「行為」であると言っているわけだからね)。

 医師も裁判官も、今後この方面の理解をより深める必要があるように思いましたが、本書刊行時には少し話題になったものの、意外とその後が続いていないようにも感じます(著者の如く、法医学という学際的な素養を持った人がこのような一般向けの本を著すケースは少ないのかも)。

 極めて冷静かつ客観的な視点から書かれつつも、こうした目に見えない虐待によって、苦しみつつ短い生を終えるに至った幼い命に対する思いが感じられる本でもあります。

ニコ生「これはひどい!児童虐待の実態」 ひろゆき×南部さおり

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「超新星爆発」の本。爆発メカニズムや「加速膨張」宇宙発見の契機になったことが分かる。

野本 陽代 ベテルギウスの超新星爆発.jpg                            宇宙は何でできているのか3.jpg
ベテルギウスの超新星爆発 加速膨張する宇宙の発見 (幻冬舎新書)』/村山斉『宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)

ベテルギウスの超新星爆発 加速膨張する宇宙の発見2.jpg この著者の本は分かり易くて何冊か読んでいるのですが、本書に関してはネットのブックレヴューで、標題の「ベテルギウスの超新星爆発」について述べているのは冒頭だけで、後は一般的な宇宙論の入門書である、といったコメントがあり、ああ、編集部の方でつけたアイキャッチ的なタイトルなのかなあと思いましたが、読んでみたら必ずしもそうでもなかったように思います。

 本書刊行と同時期にNHK-Eテレの「サイエンスZERO」でベテルギウスの超新星爆発に特化した番組(「爆発が迫る!?赤色超巨星・ベテルギウス」(2011年11月26日 放送))をやっていたから、そうしたものが期待されたというのもあるのかも知れません。

 「冬の大三角形」の一角を成し、オリオン座の左上部に位置するベテルギウスは、大きさは太陽の1000倍、地球から距離は640光年。「ベテルギウスが2012年に超新星爆発を起こすかもしれない」という噂が天文ファンの間で囁かれた「2012年」という言葉が出てきたのは2011年1月のことで、オーストラリアの物理学者が、「もし超新星爆発が起きたら、少なくとも二週間は二つの太陽が見られることになり、その間は夜はなくなるだろう」「場合によってはもっと先かもしれないが、2012年に見られる可能性がある」と言ったことに起因しているそうです。

ベテルギウスの超新星爆発 加速膨張する宇宙の発見3.jpg サイエンスライターである著者によれば、超新星爆発を起こした星は太陽の何億倍、何十億倍の明るさで輝くけれども、ベテルギウスとの640光年という距離からすると、一番明るくなったときでも満月より明るくなることはないと。また、ベテルギウスが超新星爆発の兆候を示していることは確かだが、それは明日かもしれないし、10万年後かもしれないとのこと。また、近年、過去15年間でベテルギウスの大きさは15%縮小したという海外の研究発表があり、これを聞くと「いよいよか」と思ってしまうけれど、日本の研究者によれば、ベテルギウスの表面のガス状の部分の変動は近年大きいものの、核の部分の大きさの変化は見られないとのこと。

 赤色巨星であるベテルギウスが爆発すると、色は青くなって、1時間後にはリゲル、2時間後にはシリウスより明るくなり、3時間後には半月ぐらいの明るさになって、明るさのピークに達するのは7日目、その後、ほぼ同じ明るさが3ヵ月続くということなので、見てみたいことは見てみたいけれどね(向こう10万年以内ということは、あと10年内に起きる可能性は1万分の1?)。

 「サイエンスZERO」では爆発3時間後に満月の100倍のまぶしさになると言っていたけれど(この番組にはサイエンスライターで自身が物理学者でもある竹内薫氏が出演していた)、結局、取材先(学者)によって諸説あるということなのかな。

 第2章で星の誕生と進化について、第3章で星の終末について解説していますが、随所にベテルギウスにテーマを絡め、超新星爆発が起こる際のメカニズムを素粒子物理学の観点から詳しく解説しているのもタイトルに沿っていると言えるのでは(サブタイトル「素粒子物理学で解く宇宙の謎」との対応も含め)。

 第4章で、人間は宇宙の謎をどのように解き明かしてきたかを、第5章で、その結果、今現在において宇宙はどこまで分かっているかを解説し、この辺りの分かり易い解説は著者の得意と言えば得意とするところ、定番と言えば定番。

 但し、第6章で「加速膨張する宇宙の発見」にフォーカスしていて、これはベストセラーとなった村山斉氏の『宇宙は何でできているのか-素粒子物理学で解く宇宙の謎』('10年/幻冬舎新書)でも注目すべき近年の発見とされていましたが(それまでは減速膨張論が宇宙物理学の一般的解釈だった)、超新星がその発見の鍵となったことを、村山氏の著書以上に詳しく書いています。

 超新星爆発には、Ⅰ型(小質量星の核爆発)とⅡ型(大質量星の重力崩壊)があるとされてきましたが、その後更に細かく分類されるようになり、連星系の白色矮星の爆発をⅠa型と呼ぶそうですが、このⅠa型の超新星の明るさが予測データより暗かったことから、何だかわからないものが宇宙をどんどん拡げているらしいという結論に達したとのこと(発見者3名は2011年のノーベル物理学書を受賞した)。

 宇宙論を解説しながら、最後、ちゃんと「超新星爆発」オチになっている...。

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分かれば分かるほど、分からないことが増える。「宇宙論」って奥が深い。

宇宙は何でできているのか1.jpg宇宙は何でできているのか2.jpg 宇宙は何でできているのか3.jpg  野本 陽代 ベテルギウスの超新星爆発.jpg  宇宙論入門 佐藤勝彦.jpg
宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)』 野本 陽代 『ベテルギウスの超新星爆発 加速膨張する宇宙の発見 (幻冬舎新書)』 佐藤 勝彦 『宇宙論入門―誕生から未来へ (岩波新書)

 村山斉氏の『宇宙は何でできているのか―素粒子物理学で解く宇宙の謎』は、「宇宙はどう始まったのか」「私たちはなぜ存在するのか」「宇宙はこれからどうなるのか」という誰もが抱く素朴な疑問を、素粒子物理学者が現代宇宙物理学の世界で解明出来ている範囲で分かり易く解説したもので、本も売れたし、2011年の第4回「新書大賞」の第1位(大賞)にも輝きました。

 分かり易さの素は「朝日カルチャーセンター」での講義が下敷きになっているというのがあるのでしょう。但し、最初は「岩波ジュニア新書」みたいなトーンで、それが章が進むにつれて、「ラザフォード実験」とか「クォークの3世代」とかの説明に入ったくらいから素粒子物理学の中核に入っていき(小林・益川理論の基本を理解するにはいい本)、結構突っ込んだ解説がされています。

 その辺りの踏み込み具合も、読者の知的好奇心に十分応えるものとして、高い評価に繋がったのではないかと思われますが、一般には聞きなれない言葉が出てくると、「やけに難しそうな専門用語が出てきましたが」と前フリして、「喩えて言えば次のようなことなのです」みたいな解説の仕方をしているところが、読者を難解さにめげさせることなく、最後まで引っ張るのだろうなあと。

 本書によれば、原子以外のものが宇宙の96%を占めているというのが分かったのが2003年。「暗黒物質」が23%で「暗黒エネルギー」が73%というところまで分かっているが、暗黒物質はまだ謎が多いし、暗黒エネルギーについては全く「正体不明」で、「ある」ことだけが分かっていると―。

 分からないのはそれらだけでなく、物質の質量を生み出すと考えられている「ヒグス粒子」というものがあると予言されていて、予想される量は宇宙全体のエネルギーの10%の62乗―著者は「意味がさっぱり分かりませんね」と読者に寄り添い、今のところ、それが何であるか全て謎だとしています。

 しかしながらつい最近、報道で「ヒッグス粒子」(表記が撥音になっている)の存在が確認されたとあり、早くも今世紀最大の発見と言われていて、この世界、日進月歩なのだなあと。

 小林・益川理論は粒子と反粒子のPC対称性の破れを理論的に明らかにしたもので、それがどうしたと思いたくもなりますが、物質が宇宙に存在するのは、宇宙生成の最初の段階で反物質よりも物質の方が10億分の2だけ多かったためで、このことが無ければ宇宙には「物質」そのものが存在しなかったわけです(但し、それがなせ「10億分の2」なのかは、小林・益川理論でも説明できていないという)。

 本書はどちらかというと「宇宙」よりも「素粒子」の方にウェイトが置かれていますが(著者の次著『宇宙は本当にひとつなのか―最新宇宙論入門 (ブルーバックス)』('11年)の方が全体としてはより"宇宙論"的)、最後はまた宇宙の話に戻って、宇宙はこれからどうなるかを述べています。

 それによると、10年ばかり前までは、減速しながらも膨張し続けているという考えが主流だったのが(その中でも、膨張がストップすると収縮が始まる、減速しながらも永遠に膨張が続く、「永遠のちょっと手前」で膨張が止まり収縮もしない、という3通りの考えがあった)、宇宙膨張は減速せず、加速し続けていることが10年前に明らかになり、そのことが分かったのは超新星の観測からだといいます(この辺りの経緯は、野本陽代氏の『ベテルギウスの超新星爆発-加速膨張する宇宙の発見』('11年/幻冬舎新書)にも書かれている)。

 加速膨張しているということは、膨張しているのにエネルギーが薄まっていないということで、この不思議なエネルギー(宇宙の膨張を後押ししているエネルギー)が「暗黒エネルギー」であり、その正体は何も分かっていないので、宇宙の将来を巡る仮説は、今は「何でもアリ」の状況だそうです。

 分かれば分かるほど、分からないことが増える―それも、細部においてと言うより、全体が―。「宇宙論」って奥が深いね(当然と言えば当然なのかもしれないけれど)。

 そこで、更に、著者が言うところのこの「何でもアリ」の宇宙論が今どうなっているかについて書かれたものはと言うと、本書の2年前に刊行された、佐藤勝彦氏の『宇宙論入門―誕生から未来へ (岩波新書)』('08年)があります。

佐藤 勝彦.jpg この本では、素粒子論にも触れていますが(『宇宙は何でできているのか』の冒頭に出てくる、自分の尻尾を飲み込もうとしている蛇の図「ウロボロスのたとえ」は、『宇宙論入門』第2章「素粒子と宇宙」の冒頭にも同じ図がある)、どちらかというとタイトル通り、宇宙論そのものに比重がかかっており、その中で、著者自身が提唱した宇宙の始まりにおける「インフレーション理論」などもより詳しく紹介されており、個人的にも、本書により、インフレーション理論が幾つかのパターンに改変されものが近年提唱されていることを知りました(著者は「加速的宇宙膨張理論の研究」で、2010年に第100回日本学士院賞を受賞)。
佐藤 勝彦

  第4章「宇宙の未来」では、星の一生をたどる中で「超新星爆発」についても解説されており、最後の第5章「マルチバースと生命」では、多元宇宙論と宇宙における生命の存在を扱っており、このテーマは、村山斉氏の『宇宙は本当にひとつなのか―最新宇宙論入門』とも重なるものとなっています(佐藤氏自身、『宇宙はわれわれの宇宙だけではなかった (PHP文庫)』('01年)という著者もある)。

 『宇宙論入門』は、『宇宙は何でできているのか』よりやや難解な部分もありますが、宇宙論の歴史から始まって幅広く宇宙論の現況を開設しており、現時点でのオーソドックスな宇宙論入門書と言えるのではないかと思います。

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歴史資料・教科書として充実した内容。図鑑としては最高レベルのレイアウト。

戦争の世界史大図鑑.jpg 戦争の世界史大図鑑1.bmp      世界で一番美しい元素図鑑.jpg
戦争の世界史 大図鑑』(30.2 x 25.2 x 3.2 cm)(2008/07 河出書房新社)      『世界で一番美しい元素図鑑』(2010/10 創元社)

 最近『世界で一番美しい元素図鑑』('10年/創元社)という本を閲読して、写真は綺麗だけれど、全体のレイアウトがややどうかと思われました(写真をただ置いているという感じ)。一方、本書は、理系と文系の違いはありますが、個人的には図鑑としては最高レベルのレイアウトではないかと思っている本です(「美しい」図鑑の条件としては、レイアウトの要素の方が写真そのものの綺麗さよりも重要だったりするのでは)。

戦争の世界史大図鑑2.jpg 古代紀元前2450年頃メソポタミアのシュメール王朝初期に起こった「ラガシュとウンマの抗争」、そして紀元前1468年頃にエジプト軍とパレスティナ軍が戦った「メギドの戦い」から現代のコソヴォ紛争やイラク戦争、テロ攻撃まで、世界史上の主要な戦争を、オールカラー編集で多数の写真や絵画、地図その他多数の資料を駆使しつつ解説したものです。

 歴史家R・G・グラントの編著による本書の原題はずばり"Battle"(日本語版総監修は樺山紘一氏)、古代から現代までの5000年にわたる戦争の歴史を取り上げる中に、日本の戦国時代における合戦(桶狭間の戦いから大阪夏の陣まで)なども紹介されています。

戦争の世界史大図鑑3.jpg 全体が「古代の戦争」「中世の戦争」「近代の戦争」「帝国と革命」「世界大戦の時代」という大括りされた中で、例えば「近代の戦争」の章における「権力と宗教」という節では「フランスによるイタリア戦争」「宗教戦争」「三十年戦争」「イングランド内戦」「王家の戦争」「大北方戦争」という項目立てがあり、「年表」的と言うより「教科書」的であると言えます。

 更に例えば「イングランド内戦」の中では「マーストンムーアの戦い」から「タンバーの戦い」まで5つの戦闘を地図や図版と併せて解説していて(こうなると一般の「教科書」よりずっと詳しいか)、また、ここにおいては、当時の戦闘で用いられた「大砲」にフォーカスして、見開き、写真・絵入りで解説しているという―この丁寧さ、取り上げる戦闘及び付帯事項も含めた解説のきめ細かさ。

戦争の世界史 大図鑑4.bmp 古戦場の遺跡や当時使用された武器等を写真も豊富で、特に武器には力を入れていて、古代・中世から近代戦争まで節目ごとにフューチャーしており、「武器史」としての充実度も高く、そうしたことがまた、名前しか聞いたことのなかった戦闘の実像を、活き活きとしたイメージでもって見る者の脳裏に再現させるシズル感効果を醸しています。

 多くの情報量を一冊に盛り込むために、図版と文字を少しずつ重ねたりもしていますが、そのことによって読みにくくはなっておらず、レイアウトに細心の注意と工夫が施されていると思いました。

 本書序文は、編著者R・G・グラントとは別の人が書いていますが、「戦争が人間の常態であった」とし(本書を概観するとつくづくそう思う)、本書はそうした戦争をロマン視も理想化もせず、素顔のまま紹介していると評価しており、樺山紘一氏も日本語版序文で、「戦争についての冷静な記述として、類書のうちで最も信頼できるもののひとつ」としています。

 一方で樺山氏は、「ただし、ここで基調となっているのは、いうまでもなくアングロサクソンの視線である」ともしており、そのことは、序文執筆者が、毛沢東の「政治とは、流血を伴わぬ戦争である。一方、戦争とは、流血を伴う政治である」という一文を引用し、アリストテレスの「我々は平和のためには戦争をも辞さない」という言葉を引いて序文を締め括っていることなどとも関係していると思われます。

 本書の緻密さは、"兵器オタク" のような人を満足させるに足るレベルまで達しているかも知れませんが、随所にある武将や軍人に対する記述などを見ても編著者自身が戦争に迎合的であるような気配は無く、あくまで、歴史資料・(歴史事実を知るという意味での)教科書として読んでいい本であり、また、詳細なだけでなく、分かり易いと言う点で一級品であるように思いました(『元素図鑑』より1万円以上高い価格は妥当か)。

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レイアウト的にはそれほど「美しい」というほどでもないが、各元素の利用のされ方を知ることできる。

世界で一番美しい元素図鑑.jpg 『世界で一番美しい元素図鑑』.jpg
世界で一番美しい元素図鑑』(25.6 x 25.6 x 3 cm)(2010/10 創元社)

世界で一番美しい元素図鑑1.jpg どうやって"美しい"「元素図鑑」とするのかと思ったら、ナルホドね、118個の元素のそれぞれの写真を載せていて、酸素などは液体化したもので、アルゴンなどもそうですが、青く光っていて綺麗。一方、後半の重い元素は結晶化したものの写真などが載っていて鉱物図鑑を眺めるような感じ。1つの元素の写真で左1ページ、ドーンと使っているのが大胆です。

 もう片面右1ページには、そうした元素が我々の日常生活等においてどのように利用され、どんなところで使われているかが、、製品や加工品をいくつの紹介する形で載っていて、へえー、こんなふうに利用され、こんな所に使われているのかと思うと、今まで全くイメージすら湧かなかった元素が急に身近に感じられたりして、こちらの面の方がむしろ関心を引きました。

 左ページの写真は綺麗だけど右ページの写真の配置が雑多で、全体としては、レイアウト的にはそれほど「美しい」というほどでもなく、但し、何れもこの図鑑のために撮ったオリジナルの写真のようで(写真自体は専門のカメマンが撮っている)、そのあたりの努力と言うか執着は買いたいと思います。

Theodore Gray.bmp 原著タイトル"The Elements: A Visual Exploration of Every Known Atom in the Universe "。著者のセオドア・グレイは化学者でも教育者でもなく、一応は副業としてサイエンスライターをしているけれども、本業はプログラマーだっらとのこと。むしろ「素人」の方がこうした本作りの発想が浮かぶのかもしれないけれど、この人、ただの素人ではなく、相当な「元素オタク」という感じで、そのことは、各元素に寄せている解説が「リンは嫌われものです」とか元素をキャラクター化していることからも窺えます(勿論、分かり易さを考えての、ライターとしての工夫でもあるかと思うが)。

Theodore Gray

 しかし、一昨年('10年)発売で15万部売れたというからスゴイね(カレンダーや下敷きにもなっている。下敷きは子どもの学習のために買うのか)。本書が売れた背景には、iPad版が先行販売されて、それが人気を博して事前に注目集めていたということがあるようですが(本書のiPad/iPhone版アプリは全世界で25万本、日本でも5万本売り上げたという)、携帯端末で見てイイと思った人が、この重さ1.4キログラムの「非携帯的」な本の方も購入しているとすれば、ある意味、面白い現象かも。

 創元社はこの本のヒットで『世界で一番美しい花粉図鑑』『世界で一番美しい種子図鑑』と次々に刊行、一方、著者は本国で、日本でいうところの「でんじろう先生」みたいな理科実験教室で引っ張りだこのようです。

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「宇宙塵」を通して宇宙や星、地球などの誕生の謎に迫り、更には生命誕生の謎にも。

星のかけらを採りにいく.jpg    矢野 創.bmp 矢野 創・慶應義塾大学院特別招聘准教授
星のかけらを採りにいく――宇宙塵と小惑星探査 (岩波ジュニア新書)』['12年]

 ある意味、2010(平成22)年6月に地球に大気圏再突入した「はやぶさ」の"偉業"達成効果の流れで刊行された本であり、著者自身「はやぶさ」プロジェクトにおいてカプセル回収・科学輸送斑の責任者であったわけですが、「プロジェクトX」風の本が多い中、本書は、宇宙のチリである「宇宙塵」とういうものを通して、そこに秘められた宇宙や星、更に地球などの誕生の謎に迫ることができることを解説した科学入門書に近い内容。

 その上で、「星のかけら」を採りにいくことの意義を改めて理解させてくれる本でもあり、ジュニア新書らしい切り口ですが、内容のレベル的には大人向けと言っていいかも(まあ、知識欲旺盛な中高校生もいれば、そうでない大人もいるが)。

 「宇宙塵」というものは日々地球に降り注いでいるわけで、でも大気圏通過の際に変質したり、地球に到達してからもやはり地球の大気などの影響で変質したりするし、そもそもどこから来たものかが殆どの場合不明であるから、結局、オリジナルを星に獲りにいくのがいいわけなんだなあと。

 今まで探査機が訪れた小惑星は幾つもあるようですが、2011年にNASAが到達したヴェスタは直径530km、それに対し「はやぶさ」が到達したイトカワは最大直径0.5kmと、1000倍以上の大きさの差があるとのこと。日本は随分小さな小惑星をターゲットに選んだものですが、これは打ち上げスケジュール上の地球とのその時点での小惑星の位置関係の問題などもあったのでしょう。

 本書で興味深かったのは、「生命前駆物質」である有機物や水が、宇宙塵に乗って地球に降ってきて、それが地球における生命誕生の始まりとなった可能性も考えられるということで、地球に到達する宇宙塵には火星などからのものも相当あるとのことで、そうなると、地球生命の起源はもしかして火星にあったりして...。

 火星の地質探査などが今話題になっていますが、一番の注目はそこに有機物の痕跡があるかどうかということ(かつて水があったことは、今世紀に入ってほぼ明らかになっている)―それが何億年も前の地球生命のルーツかも。

 火星の筋状の表面から運河を空想し、知的生命がいるかも知れないとのイマジネーションのもとSF『宇宙戦争』を書いたのがH・G・ウェルズですが、まあ90年代後半にアメリカが火星に送った「マーズ・パスファインダー」の探査車(マーズ・ローバー)は運河も火星人も映し出さなかった―でも、「有機物の痕跡」となると、可能性はゼロではないかもしれません(X線分光計でデータを地球に送るよりは、試料を直接持ち帰った方がいいのだろうけれど、アメリカの場合、それが出来るのであれば、いっそのこと火星旅行(有人飛行)ということになるんだろうなあ)。

 本書を読むと、宇宙探査には①フライバイ、②ランデブー/オービタ、③着陸、④ローバー、⑤サンプルリターンの5種類があり、①から⑤まで全て無人探査機でできて、最も難しくハイリスク・ハイリターンなのが⑤の試料を地球に持ち帰るサンプルリターン。日本の「はやぶさ」プロジェクトは、だからこそサンプルリターンにこだわったということがよく分かりました。

 各章末に、著者自身の生育史、研究者としての歩みがエッセイ風に織り込まれていて、著者の人となりなども窺え、親近感が持てました。

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突っ込んだ科学的解説だがカラー図説で分かりやすく、当事者ドキメントとしてのシズル感も味わえる。

カラー版 小惑星探査機はやぶさ.jpg   小惑星探査機はやぶさ.jpg はやぶさ/小惑星イトカワ     川口淳一郎『「はやぶさ」式思考法』.jpg
カラー版 小惑星探査機はやぶさ ―「玉手箱」は開かれた (中公新書)』['10年] 『「はやぶさ」式思考法 日本を復活させる24の提言』['11年]

 2003(平成15)年5月に打ち上げられ、2005(平成17)年夏に小惑星イトカワに到達し、2010(平成22)年6月に地球に大気圏再突入した小惑星探査機「はやぶさ」の企画、研究開発から帰還までをドキュメント風に追ったもので、著者は「はやぶさ」計画のプロジェクトマネージャーを務めていた人。

 「はやぶさ」の偉業のスゴさが脚光を浴び、世間に浸透するにつれ、その技術解説、宣伝・広報の「顔」的な存在となり、その後も『「はやぶさ」式思考法-日本を復活させる24の提言』('11年2月/飛鳥新社)など著者の名の下に多くの本が刊行されていますが(今年('12年)とうとうJAXAの事務局に異動になった?)、そうした中では最も早く刊行された部類の本であるとともに、「中公新書」らしく、新書にしてはある程度の専門レベルにまで踏み込んだ内容かと思われます(一般向け新書の中で科学・技術面の解説が最も詳しくなされているのは、著者監修の『小惑星探査機「はやぶさ」の超技術―プロジェクト立ち上げから帰還までの全記録』('11年3月/講談社ブルーバックス))。

 本書は、手抜きしていない分やや難しかった面もありましたが、カラー版ということで、図説や写真も多く、素人でもシズル感を感じつつ読み進むことができ、また、著者の「はやぶさ」への思い入れが随所に滲み出ているというか、目一杯表されている点でも、自ずと感情移入しながら読めました(本書の後に多く出された「はやぶさ」関連本は、上記2冊を含め著者による「監修本」が殆どだが、本書は純粋に著者の「単著」と言える)。

 著者によれば、人類の作ったものが地球の引力圏外まで行って着陸し、再び戻ってきたのは、「はやぶさ」が有史以来初とのこと。アポロ司令船は月面着陸したのではなく、40万キロメートル先まで行って戻ってきただけで、一方、「はやぶさ」カプセルは、イトカワの表面に着陸し、片道30億キロ、往復60億キロの旅をして戻ってきたわけだなあ。読んでみて、とにかくトラブル続きで不測事態の連続だったことを改めて知りました。

 以前、アイザック・アシモフの本で、「冥王星に直接行こうとすれば47年かかるが、木星経由だと25年ですむ」(宇宙船が木星の引力で加速される)というのを読みましたが、これが「スウィングバイ」の原理。本書の前の方にその解説がありますが、著者は、科学衛星ミッションにおけるスウィングバイのスペシャリストであるともに、「はやぶさ」ミッションにおいて電気(プラズマ)推進の特性を生かした航法を考案したのも著者。こうした複数の専門性を有する人がやはりリーダーになるのでしょう。

 「はやぶさ」は、当然のことながら、打ち上げに成功してから命名されたわけですが、「イトカワ」は、さらにその後に命名されたとは知りませんでした。

 ラッコに似た形のイトカワに目鼻を書き加えて「イトカワラッコ」と呼んだり、帰還する「はやぶさ」がカプセルを切り離した後、本体は大気圏再突入の際に燃え尽きてしまうことについて「はやぶさ、そうまでして君は」という文章を寄せるなど、思い入れたっぷりですが、これだけの長期に渡って一つのプロジェクトに携わり、しかもその過程が平坦なもので無いとすれば、こうした著者の思い入れも分かろうというもの。

 サンプルリターンにこだわり抜いて「玉手箱」を開けたら見た目はカラだったため、キュレーション(試料取り出し・分配・保管)担当が真っ青になったというのは分かるなあ(微粒子レベルでの試料採取に成功していたことが分かったのは帰還の翌月)。

 因みに、この「はやぶさ」帰還の物語は、「はやぶさ/HAYABUSA」('11年・20世紀フォックス/竹内結子主演)、「はやぶさ 遥かなる帰還」('12年・東映/渡辺謙主演)、「おかえり、はやぶさ」('12年・松竹/藤原竜也)と立て続けに3本の映画になりましたが、観客動員数は今一つ伸びなかったみたい...。やはり、似たようなのが3作もあるとなあ。

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人類はなぜ戦争をするようになったのか。96歳の老ジャーナリストの自伝的エッセイ風社会批評。

希望は絶望のど真ん中に.jpg 『希望は絶望のど真ん中に (岩波新書)』 [10年]

 著者(武野武治氏)は1915年秋田県生まれで、本書執筆時点(2011年)で96歳。自伝的エッセイ風社会批評とでもいうか。一見して最近の世の中を大いに悲観しているようで、実はその中に無限の未来を見出そうとしていて、例えば、「ジャーナリズムは死んだか」という問いに対し、ジャンーナリズムはとっくにたばっており、それを生き返らせるために皆で命がけで頑張ろうというスタンス。まさにタイトル通り、希望を失わない楽天性がこの人の本質なのかも。

 著者は東京外国語学校を卒業し、報知新聞社秋田支局に入社した2年後に盧溝橋事件から日中戦争が始まり、東京支社社会部記者として北京から内モンゴルを取材した際に、中国民衆は日本に屈服することはなく、日本軍に勝利はないと確信したとのこと(但し、そんなことは記事には書けない状況だった)。

 中国から帰国後に報知新聞を辞めると朝日新聞社から声が掛かり、1940(昭和15)年に同社会部の遊軍となり、2年後にジャカルタ支局に異動、ジャワ上陸作戦に従軍するなどしますが、終戦を迎え、戦時にジャーナリズムが軍事国家の先鋒を担いだ反省から、自らにけじめをつけるべく朝日新聞を退社し、秋田に戻ります。そして1948(昭和23)年に横手市で週刊新聞「たいまつ」を創刊し、30年間にわたり主幹を務めるも、1978(昭和53)年に経営難により休刊(63歳)、その後も執筆・講演活動を通じて30年以上にわたりジャーナリストとして活動してきた人です。

 先ず「人類はなぜ戦争をするようになったのか」ということを、独自の人類史観から考察していて、人類の歴史は700万年前まで遡るが、約2万5000年前にひとつの系統のみが生き残り(言語を話すホモ・サピエンスの系統)、農耕が1万年前に始まり、5500年前にチグリス河流域に都市文明(国家)が発生、最も手っ取り早い富の拡大手段として戦争が始まったとのこと。

この辺り、クニの原初形態が「国際」となる過程が詳しく説かれていて興味深く、以下、大航海時代から帝国主義時代、20世紀へと、戦争と国家の関係史を追っていますが、戦争は国家間の権力抗争の決め手となるもので、戦争は人間の本姓であるとか、戦争は消費を促進し不景気対策の必要悪だとかいうのは、みんな支配者の嘘であるとのこと、これは、先の太平洋戦争でも同じことが言えるようです。

 続いて「人類に未来はあるのか」ということを考察していて(テーマがデカイね)、人類の余命は、世界中で大戦争が起り、核兵器で人類が死滅するとすればあと40年ほど、地球の寿命であるガス星雲化するまでとすればあと40億年あるとのことで、40年か40億年かは人類次第だという―確かに。

 著者の批判は日本の現状に向けられ、東日本大震災後の福島第一原発事故対応で明らかになった産業構造の腐敗、政治の無責任、科学技術者の退廃を糾弾するとともに、戦後の日本社会は過ちばかりが目立ち、日本人は真摯な反省と真面目な努力をどこに忘れてしまったのとしつつも、大局的に見れば「ヒューマニズム」そのものは人類が国家をつくるまでには存在していたが、国家が形成され欲望を達成しようとした5500年前に戦争が始まってヒューマニズムは地に堕ち、爾来、人類は戦争ばかりやってきたのを「進歩」したと錯覚していると―国家権力と結びついた金融経済もまた謀略と戦争を孕んでおり、資本主義の綻びはいつも戦争で償われてきたが、2008年のリーマンブラザーズの破綻は恐慌を予感させる危険な兆候であり、新自由主義の行き着く先は労働者の貧困化と奴隷化であって、あと一歩で国民の奴隷化に行き着くだろうとしています。

 そうした中、労働から疎外された若者は、同じ苦しみや悲しみを背負う若者とは協力する方向へ努力せず、秋葉原事件などを起こしたりして自滅する方向へ流れるのはなぜか―こうしたことを皆の問題として受け止め取り組もうと、若者と触れ合ってきた著者は、この問題を、希望と絶望、学習、コミュニティに分けて論じています。

 先ず絶望すべき対象にはしっかり絶望し、それを克服する努力を重ねて希望に転化してゆこう、希望は絶望のど真ん中に実在している。みんなで学習する時は対等に隔てなく意見を述べ合うことが大事である―というのが著者の結論であり、後半は啓発的であるともにやや抽象的なメッセージになっていますが、96歳にして、大いに絶望しつつもその絶望を突きぬけて、そこから前向きなメッセージを発信しているそのパワーが、そもそもスゴイなあと思いました。

 個人的には、終戦を迎えた際の朝日新聞社内の様子などの記述が興味深かったです(う~ん、日本人の国民性としての当事者意識の無さがよく分かる。新聞記者だって宮仕えなんだなあと)。
むのたけじ.jpg 全体としてはやや牽強付会なところもありますが、何せ96歳ですから、目の前で話されたらもう大人しく聴くしかないかも。この人、所謂"優秀老人"と言うか、ボケないタイプなんだろなあ。「書く」という行為は、ボケ防止にいいのかも。喋りもスゴクしっかりしている...。
むのたけじ「希望は絶望のど真ん中に」刊行記念講演(2011年)

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国際的に普遍か。いじめには四者のプレーヤーがいる。「イタリアの懲罰事件」は興味深い事例。

森田 洋司 『いじめとは何か』.jpgいじめとは何か―教室の問題、社会の問題(中公新書)』['10年] 森田 洋司.png 森田洋司 氏 

大津市中学生いじめ自殺事件.jpg 昨年('11年)10月、滋賀県大津市で市立中学2年の少年が自殺した事件が、今年になって事件の概要が明るみに出て日本中が心を痛めていますが、加害者側の少年たちやその保護者らの無反省な態度や、責任逃れの発言を続ける学校側や教育委員会の対応に、国民感情は悲しみかが怒りに変化しつつあるといった様相でしょうか。確かに、大津市教育長の一連の記者会見、学校長もそうですが、この市教育長の自らの責任の回避ぶりは目に余ってひどいあなと。これで責任をとって辞めるでもなく、任期満了まで教育長の座に居座り続けるつもりのようですが。

鹿川裕史君自殺事件.png 本書によれば、日本でいじめ問題が最初に社会問題化したのは80年代半ばで、特に'85年は14名がいじめによって自殺したとされ、翌年'86年には、この時期の代表的ないじめ事例として知られる「葬式ごっこ」による鹿川裕史君自殺事件が発生しています。

 一方、本書によれば、世界で初めて子どもたちの「いじめ」問題に気付き、研究を始めたのはスウェーデンの学校医ハイネマンだとされ、60年代から70年代のことで、それがノルウェーとデンマークでも関心を呼び(ノルウェーでは'82年に3人の少年が同一加害者グループのいじめにより相次いで自殺する事件が発生し、社会問題化した。日本とノルウェーはいじめ問題の先進国だそうだ)、更にいじめ問題への関心はイギリスに飛び火し、90年代半ばにヨーロッパ全域に広がる一方、その頃アメリカでもいじめ自殺が多発して、重大な社会問題とみなされるようになったとのこと('99年に発生した、多くの生徒が犠牲になったコロンバイン高校銃撃事件は、背景にいじめがあったとされている)、本書ではそういたいじめ問題に対する各国の対応と日本のそれを国際比較的に解説していますが、結局、いじめ問題というのは国際的に一定の普遍性を有するものなのだなあと。

大河内清輝君自殺事件.jpg 日本では1994年に、愛知県の大河内清輝君自殺事件を契機に、いじめによる深刻な被害が再びクローズアップされ、社会問題化するという「第二の波」が訪れ、更に、2005年、2006年にいじめ自殺が相次いで「第三の波」が発生したとのこと。本書では、そうした「波」ごとの国や社会の対応を社会学的見地も交え分析していますが、そこからは、理想と現実のギャップが窺えるように個人的には思いました(現実が理想通りに運べば、第二、第三の波、或いは今回の(第四の波を起こしている?)大津市の事件のようなことは起きないはず)。

大河内清輝君自殺事件で鹿川裕史君の父親・鹿川雅弘氏(青少年育成連合会副理事長)が大河内家を弔問(1994) 

 日本におけるいじめ問題への対応は、全体を通して一つの流れとして、加害者側の行為責任を問うべきとする意見が早くからあったにも関わらず、大河内清輝君の事件ぐらいまでは、報道も被害者の状況に向けられ、2000年代になってやっと「社会的責任能力」の育成や「学校の抱え込み」の問題などが具体的に検討されるに至っているようです。

 こうした流れで見ると、今回の大津市の事件は、被害者の氏名は伏され、一方、アクシデントによるものとは言え、加害者側の氏名はネットに流出し、バッシング現象を引き起こしていて、国民感情がこの流れを先取りしている観はあります。

 本書後半は、いじめとは何かを社会学的に分析し(著者の専門は教育社会学、犯罪社会学、社会病理学。評論的な発言をする社会学者と違って、「いじめ問題」が専門の学者と言える)、その解決の糸口を探っていますが、内外の研究者の見解や諸外国の取り組みなども紹介しながら中立・客観的立場で論を進めており、同じ中公新書に池田由子氏の『児童虐待―ゆがんだ親子関係』('87年)という「児童虐待」に関する準古典的テキストがありますが、本書は「いじめ問題」において同様なポジショニングを占める本であると言えるかもしれません(共に中公新書らしいかっちりした内容)。


 本書によれば、いじめにおいては「加害者」「被害者」「傍観者」「観衆」の四者のプレーヤーがいて、「傍観者」は見て見ぬふりをする者で、「観衆」は面白がって観ている者であり、ここに「仲裁者」が出てくれば「被害者」は救われるが、「傍観者」や「観衆」は、「仲裁者」が出にくい環境を作ったり、「加害者」を容認したりすることがあり、かなり影響力を持つとのことです。

 また、いじめを見て見ぬふりする「傍観者」は、ヨーロッパの国々でも日本と同じように小学校の学年が上がるごとに増え続けますが、中1・中2あたりを境にして減り始め、いじめの仲裁しようとする「仲裁者」が増え始めるのに対し、日本では中学生になっても、一貫して「仲裁者」は減り続け、「傍観者」が増えつづける傾向があるとのことです。


 紹介されている海外の事例の中に、新聞記事(日経)からの引用ですが「イタリアの懲罰事件」というのがあって、イタリアで2006年に子どもの自殺を契機にいじめが社会問題化する中、中学校で同級生の男子生徒を「ゲイ」呼ばわりして男子トイレに入れさせなかった生徒に、罰として「僕は馬鹿だ」とノートに100回書かせた女性教員を、父親が「過剰懲罰」だと告訴、2万5000ユーロの賠償請求をしたのに対し、検察庁は教員に懲役2ヵ月を求刑したが、裁判所は無罪の判決を下したとのこと。

 この時イタリアの新聞には「親に『私は馬鹿だ』と一万回書かせろ」「この親にしてこの子あり」という教員に同情的な投書が相次いだとのことで、著者は、「保護者は養育の第一義的責任を負う主体であると、社会から常に期待されている」「教師へ無罪判決が下されたのは、教師の責任と主体性を尊重する判決が示されたことを意味する」としています。

 著者は、事件には固有の背景があり、そのまま一般化するには慎重を要すとしながらも、「権限と義務、さらに責任についての意識が希薄になりがちな日本の教育現場にとっては、参考にすべき点が多い」としていますが、今回の大津市の事件を通して見ると、まさにその通りだと言える、興味深い事例のように思いました。

大津いじめ・民事訴訟第2回口頭弁論.png

《読書MEMO》
●大津市中2いじめ自殺事件、元同級生の加害者2人に約3700万円の賠償命令(2019年2月19日Yahoo!ニュース)
大津市中2いじめ自殺事件1.jpg大津市中2いじめ自殺事件2.jpg 2011年10月に大津市の市立中2年の男子生徒=当時(13)=が自殺したのはいじめが原因だとして、遺族が加害者側の元同級生3人と保護者に慰謝料など計約3850万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大津地裁(西岡繁靖裁判長)は19日「いじめが自殺の原因になった」と判断し、元同級生2人に請求のほぼ全額となる計約3750万円の支払いを命じた。

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興味深い切り口。国家間の経済力格差などについて結構考えさせられる。

世界の国1位と最下位2.jpg世界の国1位と最下位1.jpg
世界の国 1位と最下位――国際情勢の基礎を知ろう (岩波ジュニア新書)

 同じく岩波ジュニア新書にある著者の前著で、宇宙史、地球史、生命進化史、人類進化史を全部繋げて1冊に纏めたとでも言うべき本『人類が生まれるための12の偶然』('09年、監修:松井孝典)が個人的にはスゴく面白かったので、本書にも同様に期待しましたが、そこそこに楽しめた―と言うより、国家間の貧富の格差などについて結構考えさせられたという印象でしょうか。

 面積、人口、GDP、税金、軍事力、石油・天然ガスの生産、輸出、貧困率、食糧自給率、進学率の各項目について、世界で最高の国、最低の国を挙げ、その背景や問題点を説明するとともに、それぞれの項目における日本の位置なども解説していますが、やはりこの著者の持ち味は、こうしたユニークな切り口でしょうか。

 読んでみて大方の予測がつくものもあったけれど、知らなかったこと(特に「最小」の方)、意外だったことも結構あったなあと思った次第で、その幾つかを挙げると―、

 国土面積がバチカン(0.44平方キロ)、モナコ(2平方キロ)に次いで小さい国は、ニューギニア東方中部太平洋の島国ツバル(21平方キロ)、その次はツバルの傍のナウル(26平方キロ)。人口がバチカン(800人)に次いで少ないのも(モナコは除かれ)ツバル(9700人)、ナウル(1万1000人)。更に経済規模(国民総所得=GNI)が一番小さいのも(バチカンも除かれ)ツバル、ナウルの順。

 ツバルは、地球温暖化で水没してしまうのではないかと危惧されていると本書にもありますが、その兆候は今のところないという話も(しかし、国内の最高標高が5mだからなあ)。

ナウル 重量挙げ.jpg 一方ナウルは、ロンドン五輪に出場したその国の重量挙げのイテ・デテナモ選手のことが新聞に出ていたなあ。最重量級で14位に入っていたのは立派(2012年8月9日付朝日新聞)。地下資源の涸渇で経済的に困窮していて、その選手も現在失業中。新聞にはトンガに次ぐ肥満大国ともありました。

イテ・デテナモ(重量挙げ、ナウル)[朝日新聞デジタル:ロンドンオリンピック2012]

 税と社会保障の国民負担率が最も大きな国はアフリカ南部のレソト(51.5%)。続いてフランス(44.5%)、ハンガリー(43.6%)...。GDPに対する国家財政の累積債務比率が最も高いのはジンバブエ(220%)。但し、先進国で断トツ「は日本(170%)。

 世界一の産油国はロシア。但し、埋蔵量ではサウジアラビア、カナダ、イラン、イラクなど7カ国がロシアを上回る。

 一人当たりのGDPが最も少ない最貧国は、アフリカのブルンジ(1万4000円)。因みに最大はルクセンブルグ(930万円)。

 高等教育への進学率が最も高いのはキューバで109%(!!)。高等教育への進学年齢(日本で言えば18歳)を分母とした場合、社会人になってからの進学者が分子に入ってくると、理論上100%を超え、キューバは実際にそうなっている。

 まあ、こうやって国名や数字を見ていくだけでも興味深いですが(数字には年代と共に変化していくものも多くあるが)、本書ではそれぞれの解説において更に突っ込んで、こうした数字の背景にある諸問題を浮き彫りにしてもいます。

 数値データだけなら、『朝日ジュニア学習年鑑』(前身は『少年朝日年鑑』)の「統計編」のようにもう少しグラフを使ったりした方が分かりやすいかもしれませんが、本書はあくまで「調べること、見せること」より、」 1位と最下位」をキーワードとして「読ませること」を主眼としたものと言えるでしょう。

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映画と日付との関連はやや強引。それにこだわらず、単に作品解説としてならば楽しめる。

ビデオ大好き.JPGブラザー・サン シスター・ムーン チラシ.jpg ブラザー・サン シスター・ムーン パンフレット.jpg ロミオとジュリエットp.jpg
ビデオが大好き!365夜―映画カレンダー (文春文庫―ビジュアル版)』「映画チラシ「ブラザー・サン シスター・ムーン」」「映画パンフレット「ブラザー・サン シスター・ムーン」」/「ロミオとジュリエット」

 洋画の名作・傑作を1年間の日付や季節と関連付けてカレンダーに沿って1月から12月まで紹介し、ビデオ観賞に利用してもらおうという試みで、発想はなかなか面白いと言うか"風流"と言うか...。ただ、編集する側も、企画を思いついてこれはいいと思ったものの、それなりの名作を取り上げることを前提にそれをやってみたら結構たいへんだったというのが本音ではないでしょうか。すべてを1年間365日に1日ずつ関連づけようとすると、映画そのものより付随するエピソードの方を日付と結びつけたりすることにもなりがちで、やや強引な面もあるように思いました(「モダン・タイムス」('36年/米)が2月5日にきているのは米国での公開が1936年2月5日だったからとか、「ゴジラ(海外版)」('56年/東宝)が11月3日にきているのはの日本での公開が1956年11月3日だったからとか)。

バングラデシュ・コンサート ボブ・ディラン  2.jpg 「バングラデシュ・コンサート」 ('71年/米)が8月1日にきてい狼たちの午後2.jpgるのは実際コンサートがあったのが1971年8月1日であったからとか、「狼たちの午後」('75年/米)が8月22日にきているのは1972年8月22日にニューヨークのブルックリン区で発生した銀行強盗事件を題材にしているから、「荒野の決闘」('47年/米)が10月26日にきているのはOK牧場の決闘が1881年10月26日にあったから、などというのはいいとして、例えば「スタア誕生」('55年/米)が3月26日にきているのは3月下旬がアカデミー賞授賞式シーズンであるからとか、「エデンの東」('55年/米)が4月6日にきているのは、死んだと思ったEast of Eden.jpg母親の実像を弟キャル(ジェームズ・ディーン)により無理矢理知ることになったアーロンが捨て鉢になって徴太陽はひとりぼっちs2.jpg兵に応じた第一次世界大戦にアメリカが参戦した日であるからとか、アニメ「不思議な国のアリス」('53年/米)が4月15日になっているのは東京ディズニーランドの開園日が1983年4月15日だからとか、「太陽はひとりぼっち」('62年/伊・仏)(原題「日蝕」)が8月3日にきているのは、次の日蝕が見られるのは2017年8月であるからとか―。

ベニスに死す 3.jpg 当てモノをするような楽しみも無きにしも非ずですが、むしろ、解説の一つ一つがカレンダーの「日付」に厳密に関連づけるというよりも、そのポセイドン・アドベンチャーsb.jpg「季節」や(「ベニスに死す」('71年/伊・仏)が8月12日にきているのは1911年の夏のヴェネツィアが舞台であるからとか。原作でも日付は特定されていない)、乃至は「時期」「時間」に関係づけているものも多くあるように思いました。結果として、その映画の名場面が想起されたりし、その点が本書のいいところなのかもしれません。1月2日ある愛の詩022.jpgのところにある「ポセイドン・アドベンチャー」('72年/米)はニューイヤーを迎えた日から1月5日までの出来事だったのだなあとか(思っていたより長丁場だった)、「ある愛の詩」('72年/米)でオリバー(ライアン・オニール)とジアパートの鍵貸します1.bmpェニー(アリ・マックグロー)の二人がセントラル・パークに行ったのは1月4日だったのかあとか(その2週間後にジェニーは白血病で亡くなる)。1月13日のところにある「アパートの鍵貸します」('60年/米)は、1959年11月1日に話が始まり、翌年の1月中旬にバクスター(ジャック・レモン)とフラン(シャーリー・マクレーン)が結ばれるという約3カ月の恋の物語だったのだなあとか、その「特定の日」と言うよりも、映画内の時間感覚を改めて感じることができたりしました。

 よく知られている作品、映画ファンなら外せない名作を多く選んでいるのもそうした狙いがあるのではないかと思います。タイトルからも窺えるように、当時ビデオで鑑賞可能であることが取り上げる前提となっていますが、名作・傑作揃いであるため、今はほとんどDVD化されているように思われます(中には例外もあるかもしれないが)。

BROTHER SUN SISTER MOON poster.jpg 四季ごとに4人の映画評論家が、それぞれの季節に関連する映画への自らの思いを寄せていて、「春」のところで北川れい子氏が「エデンの東」などの幾つかの作品を取り上げる中で(要するに「青春」の「春」というわけだ)、"春、青春、男の子"の極めつけけとしてフランコ・ゼフィレリレッリ監督が、13世紀イタリアの、最もキリストに近い聖人だったと言われる聖フランチェスコの青春時代を描いた「ブラザー・サン シスター・ムーン」('72年/英・伊)を取り上げていましたが(作品中のも厳しい冬のシーズンから雪解けの春に移る季節の転換場面がある)、映像も音楽も美しい映画だったと思います。

ブラザー・サン シスター・ムーン o1.jpg この作品で一番目を引くのは、主演のグレアム・フォークナーのフランチェスコへの「なり切り感」であり、フランコ・ゼフィレリレッリ監督は、「ロミオとジュリエット」('68年/英・伊)でもまだ16歳だったオリビア・ハッセーを上手く使っているし(この作品公開後のオリビア・ハッセーの日本での人気の高騰ぶりはスゴかっTHE CHAMP22.jpgた)、「チャンプ」('79年/米)では子役リッキー・シュローダーに世間をして「天才」と言わしめるほどの演技をさせていますが、結局、これら全て監督の演出力だったのだろうなあ。改めてその力量を感じます。因みに、本書で「チャンプ」が6月22日にきているわけは、大体この頃が「父の日」(6月の第3日曜)に当たるからとのことです。
    
ブラザー・サン シスター・ムーン dvd.jpgBROTHER SUN SISTER MOON1.jpg「ブラザー・サン シスター・ムーン」●原題:BROTHER SUN SISTER MOON●制作年:1972年●制作国:イギリス・イタリア●監督:フランコ・ゼフィレッリ●脚本:フランコ・ゼフィレッリ/スーゾ・チェッキ・ダミーコ/ケネス・ロス/リナ・ウェルトミューラー●撮影:エンニオ・グァルニエリ●音楽:ドノヴァン●時間:135分●出演:グレアム・フォークナー/ジュディ・バウカー/リー・ローソン/アレック・ギネス/ヴァレンティナ・コルテーゼ/アドルフォ・チェリ●日本公開:1973/06●配給:パラマウント=CIC●最初に観た場所:中野武蔵野館 (77-10-29)●2回目:中野武蔵野館 (77-10-29)(評価:★★★★)●併映:「ジーザス・クライスト・スーパースター」(ジノーマン・ジュイスン)
ブラザー・サン シスター・ムーン [DVD]

「ロミオとジュリエット」.jpg「ロミオとジュリエット」●原題:ROMEO AND JULIET●制作年:1968年●制作国:イギリス・イタリア●監督:フランコ・ゼフィレッリ●製作:ジョン・ブレイボーン/アンソニー・ヘイヴロック=アラン●脚本:フランコ・ゼフィレッリ/フランコ・ブルサーティ/マソリーノ・ダミコオリビア・ハッセー.jpg●撮影:パスクァリーノ・デ・サンティス●音楽:ニーノ・ロータ(歌:グレン・ウェストン)●時間:138分●出演:レナード・ホワイティング/オリヴィア・ハッセー/マイケル・ヨーク/ジョン・マケナリー/ミロ・オーシャ/パット・ヘイウッド/ロバート・スティーヴンス/ブルース・ロビンソン/ポール・ハードウィック/ナターシャ・パリー/アントニオ・ピエルフェデリチ/エスメラルダ・ルスポーリ/ロベルト・ビサッコ/(ナレーション)ローレンス・オリヴィエ●原作:ウィリアム・シェイクスピア●日本公開:1968/11●配給:パラマウント映画●最初に観たOlivia Hussey RPT.jpg場所:三鷹オスカー (81-03-15)(評価:★★★☆)●併映:「ハムレット」(ローレンス・オリヴィエ)/「マクベス」(ロマン・ポランスキー)  Olivia Hussey(オリヴィア・ハッセー)

「Romeo and Juliet(ロミオとジュリエット)」(1968年)
theme music:「What Is A Youth」
作曲:Nino Rota(ニーノ・ロータ

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'97年は「もののけ姫」ヒットの年。宮崎駿監督のお陰で映画産業界は底を脱した?
  
映画イヤーブック 1998.jpg もののけ姫 1997 dvd.jpg もののけ姫 0.jpg となりのトトロ dvdes.jpg
映画イヤーブック (1998) (現代教養文庫)』「もののけ姫 [DVD]」「となりのトトロ [DVD]」('88年/東宝)

映画イヤーブック.JPG 1997年の劇場公開作品、洋画344本、邦画191本の計535本の全作品データと解説を収録し、ビデオ・ムービー、未公開洋画、テレビ映画ビデオのデータなども網羅、このシリーズは8冊目となり、巻末に'91年版から'98年版までの全巻を通しての索引が付いていますが、結局このシリーズはその後刊行されることなく、2000年代に入って版元の社会思想社は倒産しています。

 本書での最高評価になる「四つ星」作品は、「シャイン」「イングリッシュ・ペイシェント」「浮き雲」「コンタクト」「世界中にアイ・ラブ・ユー」「タイタニック」の6作品、邦画は、「うなぎ」(今村昌平監督)「もののけ姫」(宮崎駿監督)「バウンズ ko GALS」(原田眞人監督)「ラヂオの時間」(三谷幸喜監督)などの4作品。

 トム・クルーズ主演の「ザ・エージェント」('96年)やブルース・ウィリス主演の「フィフス・エレメント」('97年)、ハリソン・フォード主演の「エアフォース・ワン」('97年)、トミー・リー・ジョーンズ主演の「メン・イン・ブラック」('97年)と、ハリウッド・スター映画もそれなりに頑張っていたけれど(本書評価は何れも「三つ星」)、この頃からビデオ化されるサイクルがどんどん早くなってきたので、個人的にもこうした作品はビデオで観てしまうことが多くなりました。

もののけ姫.jpg 世間一般でもこうした「ビデオで観る」派が増えて、'96年の映画館の入場者数が1億1,957万人と史上最低だったわけですが、翌年は、この年'97年7月公開の「もののけ姫」('97年/東宝)のヒットを受けて、邦画の映画館入場者数は前年比2千万人増、さらに12月公開のジェームズ・キャメロン監督の「タイタニック」('97年)のヒットが、翌年の洋画の映画館入場者数を前年比2千万人以上押し上げ、映画業界は何とか底を脱したかたちになりました。

 ちなみに、'90年から'98年までの年度別映画興行成績(配給収入)ベストワンは、  
  1990年 「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」 (UIP) 55.3億円  
  1991年 「ターミネーター2」(東宝東和) 57.5億円   
  1992年 「紅の豚 」(東宝) 28億円   
  1993年 「ジュラシック・パーク」 (UIP) 83億円   
  1994年 「クリフハンガー」 (東宝東和) 40億円  
  1995年 「ダイ・ハード3」 (20世紀フォックス) 48億円   
  1996年 「ミッション:インポッシブル」 (UIP) 36億円  
  1997年 「もののけ姫」 (東宝) 113億円
  1998年 「タイタニック」 (20世紀フォックス) 160億円
となっています。
Sen to Chihiro no kamikakushi (2001)
Sen to Chihiro no kamikakushi (2001).jpg 2001年には宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」が304億円、2003年には「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」が173.5億円、2004年には宮崎駿監督の「ハウルの動く城」が196億円、2008年には同じく宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」が155億円、2010年にはジェームズ・キャメロン監督の「アバター」が156億円と、それぞれ年間で150億円以上の興行成績を打ち立てていますが、この(社)日本映画製作者連盟による統計のとり方は、90年代までは「配給収入」をみていたのが、2000年以降は海外(米国)の基準に沿って「配給収入」ではなく「興行収入」でみています

 「興行収入」は映画館の入場料の総和そのもので、「配給収入」はそこから映画館(興行側)の取り分を差し引いた、配給会社の収益ですので、「興行収入」の方が「配給収入」よりも数字は大きくなり(配給収入=興行収入×50~60%、洋画メジャー大作の場合は×70%)、2000年代に入り、数字上は100億円超の"興行成績"を収める映画が出やすくなっているというのもあります。

 そうした観点からしても、90年代の"100億円"映画というのは大ヒット作ということになり(「もののけ姫」を「興業収入」でみると193億円になる)、90年代後半にそうした作品が出てきたところで、本書のような評論家による作品評価やマイナー作品の映画情報も入った「総合映画事典」的な文庫の刊行が途絶えたことはやや残念。

 確かに、一発「お化けヒット」した作品が出れば映画業界は活気づくけれども、皆が皆、宮崎駿やジェームズ・キャメロンの監督作品、或いは「ハリー・ポッター」シリーズ(このシリーズも殆どが興行収入100億円超)に靡いて劇場の前に列を作るというのもどうかと―(と言いつつ、自分もこの頃にはすでにあまり劇場に行かず、専らビデオで映画を観ることが多くなっていたのだが)。

もののけ姫2.jpg 「もののけ姫」は、それまでの宮崎駿監督の作品の集大成とも言える大作で、作画枚数は14万枚以上に及び、これは後の「千と千尋の神隠し」の11.2万枚をも上回る枚数です。時代の特定は難しいですが、室町後期あたりのようで、室町時代にしたのはこれ以上遡ると現実感が希薄になって自分自身もイメージが湧きにくくなるためだというようなことを、宮崎監督が養老孟司氏との対談で言っていました(『虫眼とアニ眼』 ('08年/新潮文庫))。自然と人間の対決というテーマは「風の谷のナウシカ」('84年)にも見られましたが、こちらはより深刻かつ現実的に描かれているような気もします。バックボーンになっているのは明らかに網野善彦(1928-2004)の展開する非農業民に注目した日本史観であり、映画全編を通して様々な要素が入っていて、その解釈となると結構難解もののけ姫 1.jpgな世界とも言え、歴史学の知識に疎もののけ姫e.jpgい身としては、その辺りが今一つ解らなかったもどかしさもありました(その網野善彦からは、当時の女性は皆ポニーテールだったとの指摘を受けている)。「となりのトトロ」('88年)みたいに、深く考えないで観た方が良かったのかも。

天空の城ラピュ dvd.jpgKaze no tani no Naushika (1984).jpg 因みに、スタジオジブリはこの「もののけ姫」からプロデューサーに鈴木敏夫氏を据え、企画、宣伝、興行全てを鈴木プロデューサーが取り仕切り、徹底的なメディア戦略を行ったそうです。そのことにより、先に述べたように作品はヒットし、初期作品「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」の15倍から18倍の観客を動員しています。「千と千尋の神隠し」となると、更にその1.5倍ほどの差になるわけですが、だからと言って、「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」が「風の谷のナウシカ」や「天空の城ラピュタ」や「となりのトトロ」より優れているということには必ずしもならないでしょう。

Kaze no tani no Naushika (1984)

千と千尋の神隠しド.jpg千と千尋の神隠し 01.jpg 「千と千尋の神隠し」が記録的な興行成績となったのは、第75回アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞し、海外でも評価されたということで、普段アニメを観ない人も映画館に行ったという事情もあったのではないで千と千尋の神隠し アカデミー.jpgしょうか。但し、米国アカデミー賞受賞は、先に第52回ベルリン国際映画祭で「金熊賞」を受賞したことと(アカデミー賞外国映画賞がその典型だが、アカデミー賞が外国映画に与えられる場合、すでに海外の映画祭などで賞を獲って高評価を得ているものに与えられることが多い)、もう1つ、宮崎駿監督の友人である映画監督ジョン・ラセターの尽力によって北米で公開されたということが大きな要因としてあったように思います。内容は"夢落ち"ですが、予めそのことが示唆されていて、観ていてだまされたという感じはしません(「もののけ姫」みたいに網野史観が分からないと映画が読み解けないといったプレッシャーもない?)。

となりのトトロes.jpg 「風の谷のナウシカ」が出たての頃、この作品にすごく注目していた友人がいて、薦められてその友人の家でレーザーディスクで観たことがありますが(彼は当時パイオニアに勤務していた)、彼は先見の明があったのかもしれません。また、「となりのトトロ」については、この作品が出た時期に限らず、その後もビデオやDVDの普及で繰り返し多くの家庭で観られ、幅広い世代の幼年期の記憶に残ったのではないでしょうか(個人的には「となりのトトロ」がスタジオジブリの最高傑作だと思っている)。こうした初期作品の方が好きな人も結構いるように思います。

「となりのトトロ」('88年/東宝)

もののけ姫  .jpgもののけ姫11.jpg「もののけ姫」●制作年:1997年●監督・脚本:宮崎駿●製作:鈴木敏夫●撮影:奥井敦●音楽:久石譲(主題歌:米良美一「もののけ姫」)●時間:133分●声の出演:松田洋治/石田ゆり子/美輪明宏/渡辺哲/小林薫/森繁久彌/田中裕子/佐藤允/森光子/上條恒彦/島本須美/名古屋章/近藤芳正/飯沼慧●公開:1997/07●配給:東宝 (評価:★★★☆)

風の谷のナウシカ1.jpeg風の谷のナウシカ DVD.jpg「風の谷のナウシカ」●制作年:1984年●監督・脚本・原作:宮崎駿●製作:高畑勲●撮影:白神孝始●音楽:久石譲●時間:116分●声の出演:島本須美/松田洋治/榊原良子/家弓家正/永井一郎/富永み~な/京田尚子/納谷悟朗/辻村真人/宮内幸平/八奈見乗児/矢田稔●公開:1984/03●配給:東映●最初に観た場所:下高井戸京王(84-08-25)(評価:★★★☆)●併映:「未来少年コナン」(佐藤肇)
風の谷のナウシカ [DVD]

となりのトトロ 1.jpgとなりのトトロ DVD.jpg「となりのトトロ」●制作年:1988年●監督・脚本・原作:宮崎駿●製作:原徹●撮影:白井久男●音楽:久石譲(主題歌:井上あずみ「となりのトトロ」)●時間:88分●声の出演:日高のり子/坂本千夏/糸井重里/島本須美/高木均/北林谷栄/丸山裕子/鷲尾真知子/鈴木れい子/広瀬正志/雨笠利幸/千葉繁●公開:1988/04●配給:東宝 (評価:★★★★☆)
となりのトトロ [DVD]

千と千尋の神隠し 03.jpg千と千尋の神隠し 02.jpg「千と千尋の神隠し」●制作年:2001年●監督・脚本・原案・原作:宮崎駿●製作:鈴木敏夫●撮影:奥井敦●音楽:久石譲(主題歌:木村弓「いつも何度でも」)●時間:124分●声の出演:柊瑠美菅原文太 千と千尋の神隠し.jpg菅原文太 .jpg/入野自由/夏木マリ/中村彰男/玉井夕海/内藤剛志/沢口靖子/神木隆之介/我修院達也/大泉洋/小野武彦/上條恒彦/菅原文太●公開:2001/07●配給:東宝 (評価:★★★☆)

釜爺(声:菅原文太
     
《読書MEMO》
●ジブリ作品の興行収入(1984-2011) 
作品 公開年度  興行収入   観客動員
「風の谷のナウシカ」  1984年 14.8億円 91万人
「天空の城ラピュタ」   1986年 11.6億円 77万人
「となりのトトロ」  1988年 11.7億円 80万人
「魔女の宅急便」  1989年 36.5億円 264万人
「おもひでぽろぽろ」   1991年 31.8億円 216万人
「紅の豚」  1992年 47.6億円 304万人
「平成狸合戦ぽんぽこ」 1994年 44.7億円 325万人
「耳をすませば」  1995年 31.5億円 208万人
「もののけ姫」  1997年 193億円 1,420万人
「千と千尋の神隠し」  2001年 304億円 2,350万人
「猫の恩返し」  2002年 64.6億円 550万人
「ハウルの動く城」 2004年 196億円 1,500万人《読書MEMO》
「ゲド戦記」  2006年 76.5億円 588万人
「崖の上のポニョ」  2008年 155億円 1,200万人
「借りぐらしのアリエッティ」2010年 92.5億円 750万人
「コクリコ坂から」  2011年 44.6億円 355万人

森卓也.jpg森卓也(映画評論家)の推すアニメーションベスト10(『大アンケートによる日本映画ベスト150』(1989年/文春文庫ビジュアル版))
○難破ス物語第一篇・猿ヶ島('30年、正岡憲三)
くもとちゅうりっぷ('43年、正岡憲三)
○上の空博士('44年、原案・横山隆一、演出:前田一・浅野恵)
○ある街角の物語('62年、製作構成:手塚治虫、演出:山本暎一・坂本雄作)
殺人(MURDER)('64年、和田誠)
○長靴をはいた猫('69年、矢吹公郎)
ルパン三世・カリオストロの城('79年、宮崎駿)
うる星やつら2/ビューティフル・ドリーマー('84年、押井守)
○天空の城ラピュタ('86年、宮崎駿)
となりのトトロ('88年、宮崎駿)
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森卓也(映画評論家)の日本アニメ映画ベストテン(『オールタイム・ベスト 映画遺産 アニメーション篇』(2010年/キネ旬ムック)
○難船ス物語 第一篇・猿ヶ島(1931)
○くもとちゅうりっぷ(1943)
○上の空博士(1944)
桃太郎 海の神兵(1945)
○長靴をはいた猫(1969)
○道成寺(1976)
○ルパン三世 カリオストロの城(1979)
○うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984)
となりのトトロ(1988)
○東京ゴッドファーザーズ(2003)

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'96年は映画館入場者数最低年。「スパイ大作戦」とは別物の「ミッション:インポッシブル」。

『映画イヤーブック 1997』.JPGミッション:イン ポッシブル 1996 dvd.jpg ミッション:イン ポッシブル 1996 01.jpg  「スパイ大作戦」シーズン2 dvd.jpg
映画イヤーブック〈1997〉 (現代教養文庫)』「ミッション:インポッシブル [DVD]」「スパイ大作戦 シーズン2(日本語完全版) [DVD]

 1996年に公開された洋画379本、邦画175本、計554本の全作品データと解説を収録し、ビデオ・ムービー、未公開洋画、テレビ映画ビデオのデータなども網羅しています。

過去.png '96年の映画館の入場者数は1億1,957万人とのことで1億2千万人を割り込みましたが、本書の編者・江藤努氏は編集後記において、レンタルビデオによる映画鑑賞が定着し、〈映画人口〉というより〈映画館人口〉が減少したとみるべきだろうが、やはり憂慮すべき事態であるとしています。また、シネマ・コンプレックス建設ブームで映画館自体の数は52館増えたので、小劇場化の流れが定着したところで、この凋落傾向の底が見えるのではないかともしています。

 この予想は長期的に見て概ね当たり、短期的には、翌年'97年には「もののけ姫」('97年7月公開)、更に'98年には「タイタニック」('97年12月日本公開)という、それぞれ興行収入(配給収入)100億円を超えるメガヒット作品があったりもして、過去20年間の映画館入場者数を振り返ってみれば、洋・邦画トータルではこの'96年という年が最低の入場者数だったことになります。

 本書での最高評価になる「四つ星」作品は、「セブン」「ビフォア・ザ・レイン」「アンダーグランド」「イル・ポスティーノ」「デッドマン・ウォーキング」「ザ・ロック」「ファーゴ」「秘密と嘘」の8作品、一方邦画は、「Shall We ダンス?」(周防正行監督)「ガメラ2」(金子修介監督)「キッズ・リターン」(北野武監督)「学校Ⅱ」(山田洋次監督)などの6作品。

ミッション:イン ポッシブル 1996 00.jpg 個人的には、トム・クルーズがプロデューサーとしてブライアン・デ・パルマを監督に指名した「ミッション:インポッシブル」('96年)に注目しましたが、それなりに楽しめたけれども、オリジナルの「スパイ大作戦」とは随分違った作りになったなあと。

 リーダーのフェルペス以外は全て映画用のオリジナル・キャラクターで、しかもチームワークで事件に当たるというよりは、完全にトム・クルーズ演じるイーサン中心(トム・クルーズは「ザ・ファーム/法律事務所」('93年)にしても、後の「マイノリティ・リポート」('02年)にしてもそうですが、組織内にいて、その組織に裏切られたり組織から追われたりするという脚本が好きなのかなあ。

「スパイ大作戦」.jpg その点でも鉄壁の組織内チームワークを誇った「スパイ大作戦」とはえらい違いですが、このパターンで「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」('11年)まで4作続けて、これはこれで「スパイ大作戦」とは別モノとしての一つの流れを完全に作ったなあと思いました。

 そうした意味では成功作なんだろうけれど、デ・パルマ監督が撮らなくとも、大体こんな映画になったのではないか(ジョン・ウー監督の「ミッション:インポッシブル2」('00年)の方が、監督の個性が出ていたかも)。

ミッション:インポッシブル1.jpgミッション:インポッシブル2.jpg「ミッション:インポッシブル」●原題:MISSION:IMPOSSIBLE●制作年:1996年●制作国:アメリカ●監督:ブライアン・デ・パルマ●製作:トム・クルーズ/ポーラ・ワグナー●脚本:デヴィッド・コープ/ロバート・タウン/スティーヴン・ザイリアン●撮影:スティーヴン・H・ブラム●音楽:ダニー・エルフマン●原作:ウィンストン・グルーム●時間:110分●出演:トム・クジョン・ヴォイト ミッションインポッシブル.jpgルーズ/ジョン・ヴォイトエマニュエル・ベアール/ジャン・レノ/ヘンリー・ツェーニー/ダニー・ エルフマン/クリスティン・スコット・トーマス/インゲボルガ・ダクネイト/ヴィング・レイムス/ヴァネッサ・レッドグレイヴ/ヘンリー・ツェニー/アンドリアス・ウイスニウスキー/ロルフ・サクソン/マーセル・ユーレス/デイル・ダイ●日本公開:1996/07●配給:パラマウント=UIP(評価:★★★☆)
ジョン・ヴォイト(ジム・フェルプス)

スパイ大作戦 サウンドトラック 1967.jpg「スパイ大作戦」 Mission: Impossible (CBS 1966~1973) ○日本での放映チャネル:フジテレビ(1967~)/スーパーチャンネル(現Super! drama TV)(2011~) テーマスパイ大作戦 ピーター・グレイブス.jpg
曲:ラロ・シフリン
ピーター・グレイブス(ジム・フェルプス)

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'95年はトム・ハンクスが洋画界を牽引? 「フォレスト・ガンプ」の底にある「愛国心」。

『映画イヤーブック 1996』.JPGフォレスト・ガンプ 一期一会  ポスター.jpg フォレスト・ガンプ dvd.jpg  フォレスト・ガンプ 一期一会 スコア.jpg
映画イヤーブック〈1996〉 (現代教養文庫)』「フォレスト・ガンプ 一期一会」ポスター「フォレスト・ガンプ 一期一会 スペシャル・コレクターズ・エデション [DVD]」(2008)「フォレスト・ガンプ~一期一会 オリジナル・スコア集

 1995年に公開された洋画330本、邦画184本、計518本の全作品データと解説を収録し、ビデオ・ムービー、未公開洋画、テレビ映画ビデオのデータなども網羅しています。

 本書での最高評価になる「四つ星」作品は、「フォレスト・ガンプ/一期一会」「クイズ・ショウ」「レオン」「ショーシャンクの空に」「ブロードウェイと銃弾」「アポロ13」「恋する惑星」「エドワード・ヤンの恋愛時代」「エド・ウッド」「マディソン郡の橋」「スモーク」の11作品、一方邦画は、「東京兄妹」(市川準監督)「ガメラ」(金子修介監督)「Love Letter」(岩井俊二監督)「KAMIKAZE TAXI」(原田眞人監督)「午後の遺言状」(新藤兼人監督)「幻の光」(是枝裕和監督)の6作品と、比較的邦画も頑張った年でしたが、編者の江藤努氏に言わせれば、邦画は洋画に比べて作品の質が興行成績に繋がらなかったとのことで、確かに、ややマイナー感はあるラインアップ。

Sally Field FORREST GUMP.jpg ロバート・ゼメキス監督の「フォレスト・ガンプ/一期一会」('94年)はアカデミー賞6部門(作品・監督・主演男優・脚色・視覚効果・編集)独フォレスト・ガンプ 一期一会01.jpg占で、トム・ハンクスは「フィラデルフィア」('93年)に続いてアカデミー賞主演男優賞2年連続受賞、さらにこの年公開の「アポロ13」('95年)にも出演していて、当時は洋画界を一人で牽引しているような勢いがありましたが、アカデミー俳優トム・ハンクス主演ということで、これらの作品を観に映画館に足を運んだ人も多かったのではないでしょうか。

フォレスト・ガンプ 一期一会02.jpg 「フォレスト・ガンプ」は50年代から80年代にかけてのアメリカ現代史を駆け抜けていったIQが人並みに至らない男ガンプの話ですが、彼は俊足を買われて大学で全米アメフト代表選手となってケネディ大統領に祝福され、ベトナム戦争では戦友の命を救ってジョンソン大統領から栄誉を授かる一方、全米卓球チームのメンバーになって「ピンポン外交」特使としてジョン・レノンとテレビ共演するほど有名になり、さらにエビの事業で成功して大金持ちになるといった具合に、アメリカン・ドリームを絵に描いたような道を歩みます。

フォレスト・ガンプ 一期一会03.jpg 但し、そうした"お目出度い"話ばかりでなく、彼の人生と交錯する人びとの挫折や苦悩も描いており、ガンプ自身も幼馴染みの恋人に何度か去られ、最後にやっと愛を成就できたかと思ったら、その彼女に死なれてしまうなどして人生の寂寥感を味わい、それでも彼女が遺した自分の息子に出会うことで未来への希望を抱くという、ラストシーンで空を舞う羽根のように、ふわ~っと心に滲み入る作品でした。

フォレスト・ガンプ 一期一会04.jpg 原作は、1985年にウィンストン・グルームが発表した小説 Forrest Gumpで、ガンプのモーレツぶりは、ジョン・アービング原作、ジョージ・ロイ・ヒル監督、ロビン・ウィリアムズ主演の「ガープの世界」('82年)の登場人物らに通じるものを感じましたが、「ガープの世界」がアービングの自伝的小説であるのに対し、グルームの原作では、主人公のガンプは宇宙飛行士やプロレスラー、チェスのチャンピオンになるといったエピソードもあるとのことで、映画においても、「ガンプ」はシンボライズされたキャラクターと見るのがスジでしょう。

 では、アメリカ現代史を駆け抜けたガンプは何の象徴なのかと言うと、やはりアメリカ国民そのものの象徴であり、見方によってはアメリカという国そのものの象徴ということにもなるのかもしれません。

Forrest Gump (1994).bmp 映画ではアメリカ現代史の様々な映像が合成SFXでガンプの物語に織り込まれており(ゼメキス監督は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でも見せたとおり、特撮が持ち味。ガンプがケネディ大統領と握手し、「おしっこしたい」と言うシーンは笑える)、それもこの作品の一つの見所ですが、個人的には、ウォーターゲート事件にしてもベトナム反戦運動にしても、ガンプの純粋さを媒介としてある種戯画化されて描かれているように思いました。

 この映画がアメリカで「ガンプ現象」と言われるほどのブームになったのは、アメリカ人のヒーローに対する愛着、純粋無垢なモーレツさへの憧憬だけでなく、いろんなことを乗り越えてもアメリカ人は前を向いて走り続けることができる国民なのだという「愛国心」(本書でこの作品の解説を担当している東敬一氏もこの言葉を用いているが)の裏返しのようなものが、作品の底にあるためであるように思いました(すごく自己肯定的だけど、所謂ナショナリズムとは少し違うんだよなあ)。

チャンス.jpg この作品を観て思い出すのは、ハル・アシュビー監督の「チャンス」('79年/米)で、知的障害がある庭師のチャンスが、余命いくばくも無い財界大物を夫に持つ美しい貴婦人が乗る高級車に轢かれ、屋敷に招かれることになったのをきっかけに、その言葉に実は深い意味があると周囲から勝手に解釈されて、世間の注目を集めテレビ出演までするようになり、国民的な人気を得ることになりますが、彼自身は全くそんなことには無頓着でいるというもの。この作品で、ピーター・セラーズ(1925-1980)が演じるチャンスは次期大統領候補にまでなる一方で、ラストはチャンスの死を暗示させて終わりますが、ピーター・セラーズ本人もこの映画の日本公開前に心臓発作で急逝、彼の遺作となった作品であるということでも知られています。

チャンス ラスト.jpg ジャージ・コジンスキーの脚本のベースになっているのはニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』であり、原題の"Being There"は、ドイツの哲学者マルティン・ハイデッガーの未完の主著『存在と時間』からきているとのことで、「ただそこにある(もの)」という意味ですが、「チャンス」という主人公の名前を邦題にしてしまったため、「どんなハンディキャップがある人にもチャンスがある」という話と捉えられている向きがあるように思います。

 個人的には、そうした解釈でもいいと思うし、実際、「アメリカとはそういう(誰にでもチャンスのある)国だ」という意図のもとに作られた作品ととれなくもないですが、ちょっと違うような気がする。。。だからと言って、正しい解釈はこうだと言い切れるものが自分としてもイマイチ明確にないのですが。

Forrest Gump(1994).jpg 「フォレスト・ガンプ/一期一会」の「一期一会」は要らなかったように思いますが、内容的にはこちらの方がスンナリ受け止めることができました。「チャンス」は、コメディとしては秀逸であることは間違いないですが(シャーリー・マクレーン、メルヴィン・ダグラスなど一流の演技達者が"脇を固めている"というのがスゴイ)、原題通り「ビーイング・ゼア」としてくれた方がこの作品の象徴性について(自分も世間も)より深く考える契機になったような気がします。最近、かなり再評価されているようですが、当時としては、そんなタイトルでは観客受けしないと思われたのでしょうか。もともと、本国公開から日本公開までの間に1年以上もの間隔があった作品でした。

Forrest Gump(1994)[IMDbスコア 8.8]

サリー・フィールド(ミセス・ガンプ) 
フォレスト・ガンプes.jpgSally Field in FORREST GUMP.jpg「フォレスト・ガンプ/一期一会」●原題:FORREST GUMP●制作年:1994年●制作国:アメリカ●監督:ロバート・ゼメキス●製作:ウェンディ・フィネルマン/スティーヴ・ティッシュ/スティーヴ・スターキー●脚本:エリッゲイリー・シニーズ Forrest_Gump.jpgク・ロス●撮影:アーサー・シュミット●音楽:アラン・シルヴェストリ●原作:ウィンストン・グルーム●時間:142分●出演:トム・ハンクス/ロビン・ラフォレスト・ガンプ 一期一会 dvd.jpgイト/サリー・フィールドゲイリー・シニーズ/ミケルティ・ウィリアムソン/ハーレイ・ジョエル・オスメント/マイケル・コナー・ハンフリーズ/ハンナ・R・ホール●日本公開:1995/02●最初に観た場所:有楽町・日本劇場(95-03-12)●配給:UIP(評価:★★★★)フォレスト・ガンプ 一期一会 ― スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]」(2001)
日劇1.jpg有楽町マリオン 阪急.jpg日本劇場 1984年10月6日「有楽町マリオン」有楽町阪急側11階にオープン(1,008席)、2002年~「日劇1」(948席)、2006年10月~「TOHOシネマズ日劇・スクリーン1」(上写真:「日劇1」館内) 2018年2月4日閉館
トム・ハンクス in「フォレスト・ガンプ 一期一会」('94年)/「アポロ13」('95年)
フォレスト・ガンプ  トム・ハンクス.jpg アポロ13 トム・ハンクスapollo13.jpg

BEING+THERE+1.jpgBillionaire Benjamin Rand (Melvyn Douglas) takes on Chance (Peter Sellers) as a trusted advisor.メルヴィン・ダグラス(億万長者ベンジャミン・ランド)アカデミー助演男優賞・ゴールデングローブ賞助演男優賞・ニューヨーク映画批評家協会賞助演男優賞・ロサンゼルス映画批評家協会賞助演男優賞受賞

「チャンス」●原題:BEING THERE●制作年:1979年●制作国:アメリカ●監督:ハル・アシュビー●製作:アンドチャンス_m.jpgリュー・ブラウンズバーグ●脚本:ジャチャンスes.jpgージ・コジンスキー●撮影:キャレブ・デシャネル●音楽:ジョニー・マンデル●原作:ジャージ・コジンスキー●時間:130分●出演:ピーター・セラーズ/シャーリー・マクレーン/メルヴィン・ダグラス/ジャック・ウォーデン/リチャード・ダイサート/リチャード・ベースハート/ルチャンス dvd.jpgス・アタウェイ/デイヴィッド・クレノン/フラン・ブリル●日本公開:1981/01●最初に観た旧丸の内ピカデリー  .jpg場所:有楽町・丸の内ピカデリー(81-02-09)●配給:松竹=富士映画配給(評価:★★★★)チャンス [DVD]」(2005)
丸の内松竹(初代).jpg旧・丸の内ピカデリー 前身は1925年オープンの「邦楽座」(後の「丸の内松竹」)。1957年7月、旧朝日新聞社裏手にオープン(地下に「丸の内松竹」再オープン)。 1984年10月1日閉館。1984年10月6日後継館「丸の内ピカデリー1・2」が有楽町センタービル(有楽町マリオン)西武側9階にオープン。

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