【1250】 ○ 井田 茂/中本 泰史 『ここまでわかった新・太陽系―太陽も地球も月も同じときにできてるの? 銀河系に地球型惑星はどれだけあるの?』 (2009/09 サイエンス・アイ新書) ★★★☆

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岩石惑星・ガス惑星・氷惑星の区分で同類型とされる惑星同士でも、それぞれに違いがあることがよく分かった。

ここまでわかった新・太陽系.jpg ここまでわかった新・太陽系 カバー無し.jpg 『ここまでわかった新・太陽系 太陽も地球も月も同じときにできてるの?銀河系に地球型惑星はどれだけあるの? (サイエンス・アイ新書)』 ['09年]
ここまでわかった新・太陽系 図.jpg
 同じソフトバンククリエイティブの"サイエンス・アイ新書"の『宇宙の新常識100―宇宙の姿からその進化、宇宙論、宇宙開発まで、あなたの常識をリフレッシュ!』('08年)(こちらもサブタイトルが長い!)を先に読んで、その中でも特に、太陽系に関しては近年いろいろなことが判ってきたということ(例えば、太陽系の大きさは、従来考えられていたより100倍から1000倍大きいことが分かったとか)を知り、本書を手にしました。

 このシリーズ、思わず"ジャケ買い"してしまいそうな表紙のものが多いのですが、この"宇宙モノ"は『宇宙の新常識100』もそうでしたが、図版のグラフィックがNASAの専属CGグラフィック・アーティストのものを多く掲載していて綺麗で、しかも、中身も充実しています。

ここまでわかった新・太陽系2.jpg 太陽系の惑星は、岩石惑星(地球・水星・金星・火星)とガス惑星(木星・土星)、氷惑星(天王星・海王星)に分類されますが、同類型とされる惑星でもそれぞれに違いがあることがよく分かり、また小惑星や彗星、外縁天体、衛星など惑星以外の天体もそれぞれに"個性的"であるなあと、何だか不思議な気持ちに。

 さらに解説は太陽系以外の惑星系にまで及び、太陽系では太陽から近い順に小型の岩石惑星、巨大なガス惑星、中型の氷惑星と並びますが、太陽系以外の惑星系の中には、"ホットジュピター"と呼ばれる、巨大惑星でありながら「水星」より小さな軌道で中心星の周りを回っている惑星もあるとのこと。
 また、"エキセントリック・プラネット"という、丁度、太陽系における「彗星」のような、中心星に一番近い時と遠い時で30倍も距離が変わる楕円軌道の惑星もあるとのこと。
 こうしたユニークな系外惑星は比較的最近に発見されたようですが、これらがまた、惑星系の誕生の秘密を解く鍵になるようです。

 サイエンスライターによって書かれた『宇宙の新常識100』に比べると、こちらは専門家2人の共著であり、テーマを太陽系に絞っていることもあって、やや専門性が高くなっているように感じられ("噛み砕き度"が若干劣る?)、解説を読んでも咀嚼するまでに時間を要する箇所もありましたが、文章自体は読み易く、またビジュアルの助けもあって、ストレスにはなりませんでした。
 
カラー版ハッブル望遠鏡 宇宙の謎に挑む.gif人類が生まれるための12の偶然.jpg 但し、サブタイトルの「銀河系に地球型惑星はどれだけあるの?」といった地球外生命の存在の可能性に対する問いや太陽系外の惑星の発見状況については、眞淳平氏の『人類が生まれるための12の偶然』('09年/岩波ジュニア新書)野本陽代氏の『カラー版 ハッブル望遠鏡 宇宙の謎に挑む』('09年/講談社現代新書)などの方が、丁寧に答えているように思いました。

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