【395】 ○ 稲沢 潤子 『LD(学習障害)の子どもたち―障害を知る本⑧』 (1998/11 大月書店) ★★★★

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絵本のようなスタイルで、子ども向けにLDをわかりやすく解説。

LD(学習障害)の子どもたち.jpgLD(学習障害)の子どもたち (子どものためのバリアフリーブック―障害を知る本)』〔'98年〕 

Tom Cruise and Dustin Hoffman together.jpgTom Cruise.bmp 本書でも紹介されていますが、自閉症者を描いた映画「レインマン」で弟役を演じたトム・クルーズは、自らがLD(学習障害)だったためにこの映画へ是非出たいと申し出たとのこと。
 彼は子ども時代、識字障害のため特殊な学級で学んだ(bとd、pとqの区別がつかず、教科書が読めなかった)とのことですが、あのアインシュタインもエジソンも実はLDで、学校に行かなかったり、大学は無試験のところを選んだりしている―。
 では、LDとは何なのか、それを子ども向けにわかりやすく解説したのが本書です。

 絵本のようなスタイルで40ページに満たない本ですが、LDの意味やその特徴、知的障害や自閉症との違いやそれらとの関係が、図やイラストで要領よく解説されています。

 LD(Learning Disabilities)は「知能」障害ではなく、「認知」機能の一部の障害に起因するもので、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」などの、ものごとの学習に必要な基礎的なところで、それらの幾つかにおいて躓きを生じるものであることがわかります。
 脳を知識の整理ダンスだとすると、その引き出しの内、学習に使う一部の引き出しが使いにくくなっているのがLDであるとの説明はわかりやすいものです。

 早期発見のポイントや勉強の教え方などにも触れられており、また、1クラスに1人はいるというLDの子どもとの、友達としての接し方も述べられています。

 米国などではこうした"児童書"が多く出版されていて、以前から学校の図書館などに配置されていますが、日本ではまだまだこうした本は少ないのではと思います。
 最後の方にLDを乗り越えてテニスコーチになった青年の話がありましたが、読む者に勇気を与えるとともに、ああ、やはり米国で障害児教育を受けた人だったのだなあ(仕事も現地でやっている)という思いはありました。

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