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「免疫の意味論」「生命の意味論」との併読をお薦め。
『免疫学個人授業』 (1997/11 新潮社) 新潮文庫 ['00年]
南伸坊氏が免疫学者・多田富雄氏から受けた講義を通して、免疫学の基本や多田氏の「スーパーシステム」の概念をわかりやすく説いている本です。
免疫学の専門用語などが段階を追ってマスターできるので、読み終えたらせっかくですから、多田氏の『免疫の意味論』('93年/青土社)、 『生命の意味論』('97年/新潮社)に読み進まれることをお勧めします。
免疫システムを無目的に複雑化するシステム(スーパーシステム)と捉え、言語や都市、官僚システムにも同じ性質があるという類推は、『生命の意味論』などでも著者が展開した独自の考察ですが、たいへん面白いと思い、また本書ではより噛み砕いて述べられています。
多田氏が新種のT細胞を発見したときの秘話や、実験台に使った自分の背中の写真なども興味深いものでした。
歴史的発見にいたるまでの気の遠くなるような努力と科学者としての探求心のスゴさを感じますが、そうしたことを淡々と語る人柄にも惹かれます。
【2000年文庫化[新潮文庫]】