2019年11月 Archives

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雑学本としてオーソドックス。雑学にも「定番」がある?

IMG_7873.JPG大人の最強雑学1500.jpg  大人の博識雑学1000.jpg
大人の最強雑学1500』['19年]『大人の博識雑学1000 (中経の文庫)』['16年]
 チコちゃんに叱られる.jpgことば、生き物、地球・宇宙、地理、歴史、ワールド、人体、ライフ、文化・習慣、食べ物、スポーツ、芸術・娯楽、モノ・企業の13のジャンルから1500の雑学を集めたもの。NHKの「チコちゃんに叱られる!」が人気番組となったせいか、はたまた教養ブームのせいか、ここのところ雑学本が結構多く出版されているようですが、本書はその中でも「雑学総研」というところの本だけあってか、オーソドックスなものであるように思いました。

NHK「チコちゃんに叱られる」

 単行本を文庫化したものでないのでタイムリーな話題も織り込まれている一方、かたちの上では文庫の改版でないとはいえ、同じ雑学総研の『大人の博識雑学1000』('16年/中経の文庫)とはかなり項目がダブっているので(実質的には同文庫の「増補改訂版」?)、『大人の博識雑学1000』を買ってしまった人は留意しておいた方がいいと思います(実はこれ、自分のことなのだが、3年経つと殆ど内容を忘れてしまうものだなあと)。

 珍談奇談の部類から、学術的に検証されているものまで、種々雑多な話題を分かりやすく提供してくれていて、ページ数も680ページ強と大部であるため、暇潰しにはもってこいという感じです。ことばの由縁などで諸説あるものはちゃんとそのことも記されていて、このあたりの丁寧さはNHKの「チコちゃんに叱られる!」などと似ている?

 そう言えば、以下は、それぞれの強調ポイントがやや違っていたりするかもしれませんが、「チコちゃんに叱られる!」でも取り上げられていたような記憶があります。

移動式銭湯.jpg●お風呂のことを「湯船」と呼ぶのは、船による「移動式銭湯」が江戸時代にあったため(473p)
シューマイとグリーンピース.jpg●「松竹梅」は中国の「歳寒三友」(冬の寒い季節に強いもの)に由来し、優劣は表さない(507p)
●シューマイとグリーンピースの組み合わせは昭和42年の日本の学校給食が始まり(538p)
●板チョコに溝があるのは、冷却する際に金型に接する面積を増やして早く固めるため(542p)
●サトーハチロー作詞「うれしいひなまつり」の「お内裏さまとおひなさま」は誤用である(597p)

homepage1.nifty.com

チコちゃんに叱られる 木彫りの熊.jpg 番組を全部チェックしているわけではないですが、それでもこれだけあるということは、雑学にも「定番」がある? ということなのでしょうか(それとも番組の出題担当者が本書をネタ本として使っているせいか)。
(今月['19年11月]29日放送の「チコちゃんに叱られる!」で、早速に下記が登場。やっぱり番組の出題担当者が本書をネタ本に使っている?)
●なぜ北海道で木彫りの熊が名物なのか。その誕生の起源は尾張徳川家が冬の生活の糧としてスイスから持ち込んだから(186p)
「チコちゃんに叱られる!」('19年11月29日放送)

  
《読書MEMO》
ガイ・フォークス.jpg●「ナイスガイ」の「ガイ」の起源は「アノニマス」で知られるガイ・フォークス(38p)
●「灯台下暗し」の「灯台」は「燭台」のこと(60p)
●「ターシャ」という繊細過ぎて自殺してしまうことがあるサルがいる(74p)
●食用豚の体脂肪率は14~18%で、人間ならモデル並み(82p)
●明治5年の第1回人口統計で全国一位の人口は広島県だった(178p)
天津甘栗 露店.jpg●「兄弟都市」ではなく「姉妹都市」というのは「都市」が女性名詞だから(278p)
●日本の玄関ドアが外開きなのは靴を脱ぐ習慣があるため(西洋は内開き)(455p)
●海外のワインは750ml瓶が一般的なのに対し日本は720ml瓶(日本酒の4合瓶に由来)(504p)
●「天津甘栗」は天津産ではなく、「天津港から出荷された栗」だった(505p)
●「スルメ」を「アタリメ」というのは「擦る目」を嫌った江戸時代の博徒の験担ぎから(526p)
ローソン.jpg●サイゼリアのキッチンには包丁が無い(ステーキもサラダもすべて加工済みのため)(645p)
●ローソンの看板にミルク缶が描かれているのは、起源がローソン氏の牛乳屋だったから(652p)
●化粧品製造・販売の「DHC」は、前身の翻訳業会社「大学翻訳センター」の略(661p)

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「作品の質×下水道が出てくる度合」で見ると「地下水道」が一番、「第三の男」が二番。

下水道映画を探検する.jpg  「地下水道」ド.jpg 「第三の男」es.jpg
下水道映画を探検する (星海社新書)』「地下水道 [DVD]」「第三の男」オーソン・ウェルズ

 下水道が出てくる映画ばかり59本を集めた映画ガイドで、日本で唯一の下水道専門誌「月刊下水道」で人気を博した連載の「まさかの新書化!」とのことです。ユニークな切り口というか、そもそも「月刊下水道」などという月刊誌があることを知りませんでした(Amazonで検索したらあった!)。

 著者(1954年生まれ)は下水道に関わる技師だったとのことで、2015年に名古屋市の下水道局を定年退職していますが、2009年より「スクリーンに映った下水道」を「月刊下水道」に連載開始、本書刊行時点で('16年)まだ毎月続いているそうです。

 「ネズミ編」「災害編」「モンスター編」「逃走路編」「強奪編」「隠れ家編」「脱獄編」「歴史編」と分かれていて、それでも名作映画、娯楽映画、アクション映画、パニック映画、モンスター映画といった異種映画が隣り合わせで並んだりするのが、「下水道」を切り口にした本書ならではの特徴かも。マニアックながらも、「下水道」について読者にもっと認知してもらいたいという著者の気持ちも伝わってきます(著者の肩書は「水PR研究家」となっている)。

「地下水道」 vhs.jpg 取り上げられている作品の中では、個人的には、アンジェイ・ワイダ監督の「地下水道」('56年/ポーランド)が「作品の質×下水道が出てくる度合」で見たら一番ではないかなと思います。著者も解説で、執筆にあたり参考にした文献を3冊挙げていて、力が入っている印象です。自分もそうでしたが、著者自身、過去に何回か観たときは、本物の下水道で撮影されたと信じて疑わなかったそうですが、諸資料に当たってみると、セット撮影だったと分かったそうです(プロでも見抜けなかったということか)。
地下水道 [VHS]」(カバーイラスト:安西水丸

第三の男
第三の男2.jpg第三の男 観覧車.jpg これと並ぶ傑作がキャロル・リード監督の 「第三の男」('49年/英)で、「下水道が出てくる度合」は「地下水道」より低いけれども、映画の重要なポイントで使われているように思います(これも参考文献3冊!)。本書によれば、主演のオーソン・ウェルズは、当初は役に気乗り薄で、下水道に降りると悪臭と冷気で肺炎になると嫌悪し、「この役はできないよ!」と叫んだそうな。監督にそこに立つだけでいいと懇願されて、それがカメラが回り始めると、10回も撮り直すほど撮影にのめり込んだというエピソードも貴重でした。

「レ・ミゼラブル」ジャン・ギャバン
les_miserables11jw.jpg ビクトル・ユーゴ―の『レ・ミゼラブル』を原作とする映画「レ・ミゼラブル」は4作品で下水道が描かれているそうで(ジャン・バルジャンは娘コゼットの想い人マリユスを下水道伝いに背負って救い出す)、個人的には、ジャン・ギャバン版('57年/仏・伊)、リーアム・ニーソン版('98年/米)、ヒュー・ジャックマン版('12年/英)を観ましたが、この中ではジャン・ギャバン版がストーリー的にも「下水道」的にもよく描かれていて、リーアム・ニーソン版はストーリー作品としては食い足りないが(ジャン・バルジャンの最期まで描かれていない)、下水道の映像は美しいとのことです。ヒュー・ジャックマン版は個人的には良かったけれども、下水道は暗すぎて良く分からなかった?

逃亡者 1993   01.jpg逃亡者 (1993年の映画) 02.jpg その他、ハリソン・フォード主演の「逃亡者」 ('93年/米)でもリチャード・キンブルが下水管(正しくは排水管だそうだ)から飛び降りるシーンはあったし、ショーン・コネリー主演の「ザ・ロック」('96年/米)でも、元イギリス情報局秘密情報部員のメイソンたちは下水管(これも正しくは排水管)を伝ってアルカトラズ島内に入っていくけれども、映画の中に占める比重はそう高くなかったように思います。

 文章は読みやすく、各章の末尾にその作品で下水道が写っているシーンをちょこっと載せているのも親切です(これ集めるの、結構手間ではなかったか)。ただ、どうしても、「アリゲーター」('80年/米)みたいなネワニとかネズミとかが出てくる動物パニックものとかが多くなってしまうので、その分、マニアック度が高くなってしまったきらいはあります。

 全体を通して、「作品の質×下水道が出てくる度合」で見たら「地下水道」が何といっても一番、「第三の男」が二番、ジャン・ギャバン版の「レ・ミゼラブル」がこれに続く三番という印象でしょうか。

地下水道 [DVD]
地下水道 [DVD].jpg地下水道.png地下水道.jpg「地下水道」●原題:KANAL●制作年:1956年●制作国:ポーランド●監督:アンジェイ・ワイダ●製作:ダリル・F・ザナック●脚本:イェジー・ステファン地下水道(米国版DVD).jpg・スタウィニュスキー●撮影:イェジー・リップマン●音楽:ヤン・クレンズ●原作:イェジー・ステファン・スタウィニュスキー●時間:96分●出演:タデウシュ・ヤンツァー/テレサ・イジェフスカ/エミール・カレヴィッチ/ヴラデク・シェイバル/ヤン・エングレルト●日本公開:1958/01(1979/12(リバイバル))●配給:東映洋画●最初に観た場所:新宿アートビレッジ (79-04-10) (評価:★★★★☆) ●併映:「灰とダイヤモンド」(アンジェイ・ワイダ)
Kanal [DVD] [Import] (2003)米国版DVD

第三の男.gif第三の男 ポスター.jpg「第三の男」●原題:THE THIRD MAN●制作年:1949年●制作国:イギリス●監督:キャロル・リード●製作:キャロル・リード/デヴィッド・O・セルズニック●脚本:グレアム・グリーン●撮影:ロバート・クラスカー●音楽:アントン・カラス●原作:グレアム・グリーン●時間:104分●出演:ジョセフ・コットン/オーソン・ウェルズ/トレヴァー・ハワード/アリダ・ヴァリ/バーナード・リー/ジェフリー・キーン/エルンスト・ドイッチュ●日本公開:1952/09●配給:東和●最初に観た場所:千代田映画劇場(→日比谷映画) (84-10-15) (評価:★★★★☆)

レ・ミゼラブル ポスター.jpgレ・ミゼラブル-2.jpg「レ・ミゼラブル」●原題:LES MISERABLES●制作年:1957年●制作国:フランス・イタリア●監督・製作:ジャン=ポール・ル・シャノワ●脚本:ルネ・バジャベル/ミシェル・オーディアール/ジャン=ポール・ル・シャノワ●撮影:ジャック・ナトー●音楽:ジョルジュ・バン・パリス●原作:ヴィクトル・ユゴー●時間:186分●出演:ジャン・ギャバン/ダニエル・ドロルム/ベルナール・ブリエ/セルジュ・レジアニ/ブールヴィル/エルフリード・フローリン/シルヴィア・モンフォール/ジャンニ・エスポジート/ベアトリス・アリタリバ/フェルナン・ルドゥー/マーティン・ハーヴェット●日本公開:1959/06●配給:中央映画社(評価:★★★★☆)

THE FUGITIVE s.jpg「逃亡者」●原題:THE FUGITIVE●制作年:1993年●制作国:アメリカ●監督:アンドリュー・デイヴィス●製作:アーノルド・コペルソン●脚本:デヴィッド・トゥーヒー/ジェブ・スチュアート●撮影:マイ逃亡者 (1993年の映画) last.jpgケル・チャップマン●音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード●原作:ロイ・ハギンズ●130分●出演:ハリソン・フォード/トミー・リー・ジョーンズ/ジェローン・クラッベ/セーラ・ウォード/ジュリアン・ムーア/アンドレアス・カツーラス/ジョー・パントリアーノ/ダニエル・ローバック/L・スコット・カードウェル/トム・ウッド/ジェーン・リンチ●日本公開:1993/09●配給:ワーナー・ブラザーズ(評価:★★★☆)

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「絵のある」岩波文庫という切り口がユニーク。古典文学へのアプローチの一助となるかも。
「絵のある」岩波文庫への招待.jpg 絵のある 岩波文庫への招待 :.jpg  モーパッサンの『脂肪の塊』.jpg
「絵のある」岩波文庫への招待』(表紙版画:山本容子) モーパッサン『脂肪の塊』(水野 亮:訳)挿画
                            モーパッサン『脂肪のかたまり』(高山 鉄男:訳)挿画
モーパッサン『脂肪の塊』挿画.JPG 「絵のある」、つまり文中に挿し絵や図版を挿入されている岩波文庫―というユニークな切り口で、岩波文庫を約120タイトル、冊数にして約190冊ほど紹介したもの。まえがきによれば、「絵のある」岩波文庫の8、9割には達したのではないかとのことで、岩波文庫は実は「傑作挿し絵」の「ワンダーランド」であると―。

 かつて岩波文庫の古典文学は字が小さくて、同じ作品を読むなら新潮文庫で読んで、後で岩波文庫の方には挿絵があったことを知ったりしたこともあったりしました。絵があるのなら、最初から岩波文庫で読めば良かったと、買い直したりしていました。

 本書は2段組み350ページ強と大部ですが、文学評論というより「本の紹介」であり、文章はエッセイ風で柔らか目です(岩波文庫の堅いイメージを解きほぐそうとしたのか?)。切り口はまちまちで、時々話が脱線したりもしますが、一方で随所に、挿絵を介してみた作品に対する著者の鋭い分析がありました。これだけの作品を先に手元に集めて一気に読むとなると、結構たいへんな作業かも。労作と言っていいのかもしれません。

小出 龍太郎『小出楢重と谷崎潤一郎 小説「蓼喰ふ虫」の真相』['06年/春風社]
小出楢重と谷崎潤一郎_.jpg蓼喰う虫2.jpg 思い出深いところでは、谷崎潤一郎の『蓼食う虫』の小出楢重の挿画などは良かったなあ。人形浄瑠璃を桝席で鑑賞する図(36p)なんて、挿絵が無いと現代人は想像がつかないでしょう。本書にもありますが、小出楢重の挿画は、小さい頃からの楢重の地元である関西を舞台にしたこの作品において、関東大震災後に関西に移り住んでまだ5年しか経っていなかった谷崎の文章とちょっと張り合っている印象があります。小出龍太郎『小出楢重と谷崎潤一郎―小説「蓼喰ふ虫」の真相』['06年/春風社]によれば、小出楢重と谷崎潤一郎は双方に刺激し合って(むしろ谷崎が楢重に励まされる感じで)この作品を作り上げていったようです(谷崎作品では『』の棟方志功の版画もいいが、これは「中公文庫」。本書では時々中公文庫をはじめ岩波文庫以外の挿画入り文庫も出てくる)。

「絵のある」岩波文庫への招待200_.jpg モーパッサンの『脂肪の塊』の挿画も分かりよかったです。「ブール・ド・シュイフ」(脂肪の塊)と呼ばれた主人公がどんな風だったのかイメージ出来ます(122p)。本書の表紙にも中央やや右下に描かれていますが、文庫の挿絵と比べ反転しています(カバー挿画は、赤い表紙の本がそれぞれピンポイントになっているように、原版のコピーでは山本容子.jpgなく、山本容子氏のオリジナル版画だそうだ。表紙を見ているだけでも、どの作品の挿画かとイメージが掻き立てられるなどして楽しい)。因みに、モーパッサンは『メゾン テリエ』も挿画入りです。

濹東綺譚(ぼくとうきだん) 永井荷風.jpg また日本に戻って、永井荷風の『濹東綺譚』の木村荘八の挿絵。主人公とお雪が雨宿りしたところで出会う場面(162p)などは、もうこの作品のイメージを完全に形作ってしまったという印象で、タイトルに「現代挿画史に残る不朽の名作」とあるのも納得です。

 読んだことのない作品の方が圧倒的に多いものの、この作品にこんな挿画が使われているのかということを新たに知ることが出来て良かったです。実際、読めるかどうかは分かりませんが、まだ読んだことがない本への関心が高まったのは事実であり、古典文学へのアプローチの一助、その方法の一種となるかもしれないと思いました。

「絵のある」岩波文庫をご紹介.png六本木「アカデミーヒルズ」エントランス・ショーケース展示「絵のない本なんてつまらない!~「絵のある」岩波文庫」(2018年9月)

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