【1923】 ○ ニコラス・コラサント 「刑事コロンボ(第10話)/黒のエチュード」 (72年/米) (1973/09 NHK-UHF) ★★★☆ (○ ジェレミー・ケーガン 「刑事コロンボ(第12話)/アリバイのダイヤル」 (72年/米) (1973/06 NHK-UHF) ★★★☆)

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分かり易いけれど難点もある。シリーズ全体の中ではまあまあ佳作の部類の2作。

黒のエチュード vhs.jpg ETUDE IN BLACK 001.jpg アリバイのダイヤル vhs.jpg THE MOST CRUCIAL GAME 001.png
特選 刑事コロンボ 完全版「黒のエチュード」【日本語吹替版】 [VHS]」ジョン・カサヴェテス「特選 刑事コロンボ 完全版「アリバイのダイヤル」【日本語吹替版】 [VHS]」ロバート・カルプ

黒のエチュード 02.jpg黒のエチュード タイトル.jpg 交響楽団の指揮者アレックス・ベネディクト(ジョン・カサヴェテス)は楽団のピアニストのジェニファー(アンジャネット・カマー)と不倫関係にあり、彼女はアレックスに妻のジャニス(ブライス・ダナー)と離婚するように迫る。ジャニスの母は楽団の会長をしており、ジェニファーとの不倫がバレてジャニスと離婚することになればアレックスは追放され地位も名誉も失うことになる。そこでアレックスはジェニファーの殺害を計画、コンサート当日、楽屋に籠っていると見せて、こっそり抜け出し、ジェニファーの家で彼女の後頭部を殴って気絶させ、キッチンのガス栓を開いて自殺に見せかけて予めタイプしておいた遺書も残しておく―。

黒のエチュード01.jpg黒のエチュード00.jpg 前年の大ヒットを受けて制作された第2シーズンの第1作(第10話)であり、"インディペンデント映画の父"と称されるジョン・カサヴェテスが犯人役ですが、ピーター・フォークと仲が良かったこともあっての出演だそうで、そのジョン・カサべテスの演技も悪くなく、クラシック音楽もいろいろ聴けるし、野外音楽ホール「ハリウッドボウル」を舞台背景に使うなど映像的にも綺麗。

黒のエチュード カサヴェテス.jpg 一方、プロット的には、犯人がコンサート指揮の時に胸に付けるカーネーションを犯行現場に落としてしまい、演奏会の後でそれをまた取りにいくという―これがコロンボが犯人を追いつめる契機となるわけですが、分かり易くはあるけれど、犯人の大チョンボという感じで、犯行に使った車も、事前に修理工場に預けるというカムフラージュをしたばかっかりに逆に走行距離メーターからコロンボに怪しまれてしまうという...結構、穴だらけの犯人像ではあります。

 但し、こういう分かり易いのは個人的には好きな方。シーズン1が傑作揃いなので、それらとの比較するとやや物足りないけれど、シリーズ全体の中では佳作と言えるのではないかと。
アリバイのダイヤル タイトル.jpg そうしたことは、同シリーズ第3作(第12話)「アリバイのダイヤル」にも言えるのではないでしょうか。

アリバイのダイヤル01.jpg フットボールチーム「ロケッツ」のゼネラルマネージャー、ポール・ハンロン(ロバート・カルプ)は無能な2代目オーナーのエリック(ディーン・ストックウェル)がまるで経営に興味がないのを歯痒く思い、彼を殺害して会社を自分のものにしようと計画、試合の日に専用観戦ボックスから抜け出して用意していたアイスクリーム販売車でエリックの自宅に向かい、途中、公衆電話からエリックに電話して彼がプールにいることを確認、試合中継のラジオをエリックに聞かせて自分はスタジアムにいると思わせ、エリックの自宅に着くと氷の塊でエリックを撲殺し、すぐにスタジアムに戻る―。

アリバイのダイヤル02.jpgアリバイのダイヤル09.jpg ロバート・カルプは第4話「指輪の爪あと」(1971)に続く登場で、第21話「意識の下の映像」(1974)でも犯人役を演じるなど3年連続での犯人役を演じていますが(更に、新シーズンの「殺人講義」(1990)(通算第56話)で犯人である学生の父親役でも登場している)、そうしたこともあって、このシリーズの犯人役としてはまさにハマっている印象のある俳優です。

 置時計の時刻を告げる音がテープに無かったという分かり易いオチで、そこでスパッと終わるのもいいし、誰もいない広大なフットボールスタジアムの観客席で一人黙考するコロンボなど、これも映像的にも綺麗な場面があります。

THE MOST CRUCIAL GAME.jpg 細かいことで難点を言えば、犯人の犯行動機にやや"読み"を要するのと(オーナーの妻との関係も絡んでいる?)、警察がエリックはプールへのダイビングに失敗しての事故死だと早々に結論を出してしまうのが不自然な点でしょうか(後頭部を打撲していたなら分からなくもないが)。こうした弱点はあるけれど、これもシリーズ全体の中ではまあまあ佳作と言えるのではないかと。

 再見してみて、エリックの父の代からの弁護士キャネル(ディーン・ジャガー)がポール・ハンロンの野心に気付いてハンロンの自宅とエリックの自宅の電話を盗聴していて、ハンロンはそのことを知っていて公衆電話からエリックの家に電話したということだったのだなあと、改めて気付きました。

ディーン・ストックウェル.jpgヴァル・アヴェリー.jpg 被害者エリック役のディーン・ストックウェルは第29話「歌声の消えた海」では、女性歌手殺害の濡れ衣を着せられたバンドのピアニスト役で登場、盗聴器を仕掛けた私立探偵ダブス役を演じたヴァル・アヴェリーは、第5話「ホリスター将軍のコレクション」の貸しボート屋の主人役に続く登場で、この後も、第25話「権力の墓穴」(最終的にはコロンボと"タッグを組み"犯人を挙げることになる宝石泥棒役)と第34話「仮面の男」(ベリーダンスを見せる酒場の元警察官のバーテンダー役)のに登場しています。
 
ピーター・フォーク&ジョン・カサヴェテス
フォーク&カサべテス.jpg「刑事コロンボ(第10話)/黒のエチュード」●原題:ETUDE IN BLACK●制作年:1972年●制作国:アメリカ●監督:ニコラス・コラサント●製作:ディーン・ハーグローブ●脚本:スティーブン・ボッコ●ストーリー監修:ジャクソン・ギリス●音楽:ディック・デ・ベネディクティス●時間:95分(短縮版73分)黒のエチュード ダナー.jpg●出演:ピーター・フォーク/ジョン・カサヴェテス/ブライス・ダナー/マーナ・ロイ/ジェームズ・オルソン/アンジャネット・カマー/ドーン・フレイム/ジェームズ・マクイーチン/ウォレス・チャドウェル/マイケル・フォックス/パット・モリタ●日本公開:1973/09●放送:NHK-UHF(評価:★★★☆)

アリバイのダイヤル カルプ.jpg「刑事コロンボ(第12話)/アリバイのダイヤル」●原題:THE MOST CRUCIAL GAME●制作年:1972年●制作国:アメリカ●監督:ジェレミー・ケーガン●製作:ディーン・ハーグローブ●脚本:ジョン・T・デュガン●ストーリー監修:ジャクソン・ギリス●音楽:ディック・デ・ベネディクティス●時間:73分●出演:ピーター・フォーク/ロバート・カルプ/ヴァル・アヴェリー/ジェームズ・グレゴリー/ディーン・ストックウェル/スーザン・ハワード/バレリー・ハーパー/ディーン・ジャガー/ドン・キーファー/リチャード・スタール/アイヴァン・ナランホ/クリフ・カーネル●日本公開:1973/06●放送:NHK-UHF(評価:★★★☆)

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