【3437】 ○ リンダ・グラットン (池村千秋:訳) 『リデザイン・ワーク 新しい働き方 (2022/10 東洋経済新報社) ★★★★

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○経営思想家トップ50 ランクイン(リンダ・グラットン)

新しい働き方を再設計(リデザイン)する前提となるコンセプトと手順を説く。

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リデザイン・ワーク 新しい働き方』['22年]再来日したリンダ・グラットン教授 2023/1/22(読売新聞オンライン)

 共著『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』(2016年/東洋経済新報社)で人生100年時代の生き方を問うたロンドン・ビジネススクール教授である著者が、単著である本書では、コロナ禍で普及したテレワークは働き手の自由度を高める一方で、人的交流を減らしイノベーションを停滞させる可能性もあるとした上で、社員の幸福と企業の競争力向上を両立するには、仕事のあり方を根本から設計し直す(リデザインする)必要があると説いています。

 第1章では、仕事をリデザインするためのプロセスには、①理解する、②新たに構想する、③モデルを作り検証する、④行動して創造する、の4段階があるとして、以下の各章でそれぞれ解説しています。

 第2章「理解する」では、自社における生産性を支える行動と能力は何か、知識の流れと人的ネットワークの仕組みはどうなっているか、社員が仕事と会社に期待することは何か、現場で何が起きているか、を理解する必要があるとしています。

 第3章では「新たに構想する」では、「働く場所」と「働く時間」について新たに構想するべきであり、場所についは、オフィスは「協力」の場となるように、自宅は「活力」のもとになるようにすべきであり、時間については、課題に「集中」する時間を設ける一方で、よりよい「連携」(バーチャルな連携も含め)のための時間の設け方も検討すべきであるとしています。

 第4章「モデルをつくり検証する」では、自社の仕事の在り方を設計し直して、社員がいつ、どこで、どのように働くかというモデルを作った際には、新しいデザインは未来にも通用するか、テクノロジーの変化に即しているか、公平で正義にかなうものかの3点を検証せよとしています。

 第5章「行動して創造する」では、優れたマネジャーの果たす役割を考察し、リーダー層が大きな視点と戦略を示し、それを全社の知見やエネルギーを組み合わせる「コ・クリエーション」のプロセスを試してみることを推奨し、さらに、リーダーがストーリーを描くことで人を動かす「語り力」の重要性を説いています。そして、戦略上の「パーパス」の強化に向けて、これまで述べてきた4つのステップを実践した企業例を紹介しています。


 長引くコロナ禍で、人々の働き方や働くということへの意識に変化が見られるのは間違いなく、企業も今「新しい働き方」を模索しているところではないかと思います。本書の場合、これを仕事の在り方を設計し直す絶好のチャンスと捉えている点が特徴的です。

 また、働き方の再設計の前提となるコンセプトとして、働く人を大切にする職場こそ人は集まり、人間的な豊かさが成果につながるという考えに立ち、その上で、仕事というものを再設計する際の手順を示した本であると言えます。

 かなりコンセプチュアルな説明となっている部分も多いですが、一方で、企業事例も多く紹介されています。また、第2章から第5章までの4章は、各章4節、全16節から成り、それぞれの節の末尾に「新しい働き方のアクション」がまとめられています。そのため、啓発書ではありますが、同時に実践の書とも言えるものになっています。

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