【3305】 △ 郡山 史郎 『定年前後「これだけ」やればいい―人生後半40年に差がつく習慣』 (2019/03 青春新書INTELLIGENCE) ★★★

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前著同様にオーソドックスだが、「仕事=人生」みたいな「昭和的」価値観も感じられた。

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定年前後「これだけ」やればいい (青春新書インテリジェンス) 』['19年]『定年前後の「やってはいけない」』['18年]

 前著『定年前後の「やってはいけない」』('18年/青春新書インテリジェンス)に続く第2弾で、著者は84歳にして現役の人材紹介会社社長とのこと。版元の口上によれば、「定年前後の転職成功者の事例も紹介した、ベストセラー『定年前後の「やってはいけない」』待望の実践編」とのことです。

 第1章で、「定年後」はもはや「人生の残り」でも「余生」でもなくなったとして、再就職がうまくいく人の行動習慣などを挙げ、この部分は前著のおさらいになっていました。

 第2章では、人生の後半からの働き方を説いています。前著と同様、ここでも、定年後の起業だけは「やってはいけない」としています。この辺りは一般論的であり、改めてこの著者の書くものは、オーソドックスかもしれないれど、起業されるよりは転職してもらった方が有難いという著者の"商売"も関係しているのではないかという穿った見方もしたくなります。

 第3章が言わば本論で、定年前後うまくいく人の「10の習慣」を挙げています。それを見ていくと、習慣1:自分で動いて仕事を探す、習慣2:なるべく早く定年後の準備に取りかかる、習慣3:「望む仕事はない」と頭を切り替える...といったように「習慣」と言うより「心構え」的なものが多く、本当に意欲がある人は言われなくともそうするだろうと思われるものが多かったです。第4章は、シニアの再就職の成功例ですが、まさにそういった人の例が紹介されているように思いました。

 最終第5章で、「人生100年時代の働き方モデル」として、「30代の働き方」から「80代以降の働き方」まで年代別に、キャリアの作り方を指南しています。「70代の働き方」のところで「まだまだ動き回れる!」とあるように、働く意欲がある人への励ましの書になっていて、著者自身が84歳の現役経営者であることが説得力を持たせるものになっています(書き出しで、自分が84歳になっても長距離通勤する理由を、(老化という)自然現象に負けないためとしている)。

 一方で、「仕事=人生」みたいな「昭和的」価値観も感じられました。Amazonのレビューに、「年配者(終身雇用世代)が書いた本」というものがありましたが、まさにそんな感じ。筆者はずっと「一生働く」ことを推奨しており、そう言えば、前著にも、「最も大切な要件は、『働く』こと以外に存在しないとさえ思っている」(170p)という記述がありました。まあ、それはそれでいいけれど、人にそれを押しつけるものでもないでしょ。

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