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全体としてはオーソドックスだが、経営幹部の転職が前提となっている面も。
『定年前後の「やってはいけない」』['18年]
プロ経営幹部の紹介・派遣を行う会社を経営する82歳の現役のビジネスマンで、これまでに3000人以上の再就職をサポートしてきた人材紹介のプロであるという著者が、定年前後に「やってはいけない」ことを説いた本です。したがって、「定年」が60歳定年を指すのか、65歳の再雇用期間終了を指すのかはともかく、年齢がいっても働き続けるにはどうすればよいかということが、前提となっています。
第1章では、世の中「働かない老後」から「働く老後」へと変化してきている一方、「働きたくても働けない」定年後の現状もあることを示しています。第2章から本論という感じで、定年前後に「やってはいけない」を挙げていきます。
まず、定年前の肩書や年収にとらわれるのは不幸であるとし、肩書面で言うと偉いのかもしれないけれど、現場では使えなかったりすると。「年の功」が生かせる仕事で活躍すべきだとしています。
働き続ければ、新しいチャンスも生まれるとし、ただし起業だけは「やってはいけない」としているのは、「人生の第2ハーフ」で起業することのリスクを著者が実際に(数は分からないが)ある程度見てきているからでしょう。ただ、第2ハーフに入ってから新たに資格試験へチャレンジすることなども断定的に否定していますが、これは人によりけりではないでしょうか。
第3章は暮らしの見直し方についてで、生活水準は上げるな、老後資金は「貯める」より「稼ぐ」 こと、「定年前」の人脈は使わないこと、義理と礼を欠くのは高齢者の特権。同窓会に行く・行かないも個人の自由...などとしています。参考になる部分もあれば、「言われなくとも...」という部分もありました。
この本は結構売れたようですが、(著者の立場もあり)働き続けることを後押しする姿勢であること、働き方からライフプランニング、老後の生活まで広く網羅していることなどが売れた理由ではないでしょうか。
全体としてはオーソドックス(その分、目新しさはない)。ただ、これも著者の仕事柄、プロ経営幹部の転職が前提となっていて、一般のビジネスパーソンには一概に当て嵌まらない面もあったように思います。