【3466】 ○ ジョン・フィッチ/マックス・フレンゼル (ローリングホフ育未:訳) 『TIME OF―働き方に"生産性"と"創造性"を取り戻す戦略的休息術』 (2023/03 クロスメディア・パブリッシング) ★★★★

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より良い仕事をするためには「休息」が必要。その証左としての賢人たちの箴言集。

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TIME OFF 働き方に"生産性"と"創造性"を取り戻す戦略的休息術』['23年]ジョン・フィッチ(ビジネス・コーチ、エンジェル投資家、ライター)
『TIME OFF』1.jpg 本書は、世界の賢人35人(発明家、革命家、ノーベル賞受賞者、思想家、億万長者、アーティスト、ギリシャの神々、そして〝普通〟の人たち)の言葉やエピソードを通して、睡眠、運動、旅、遊びといった様々な面から、「休息」に関する考えや休息術を紹介したものです。

 個人的に印象に残った箴言やエピソードを挙げると―

 「私は真剣に訴えたい。現代人が仕事を美徳と信じるあまり、どれほど大きな害が及んだかを。そして、仕事を減らすことこそ、幸せと繁栄の道なのだということを」(p74)(バートランド・ラッセル(英国の数学者・哲学者))

 「燃え尽きるまで働かないと成功できないなんて、みんなで信じ込むのはもうやめよう。」(p86)(アリアナ・ハフィントン(米国「ハフポスト」創業者・作家))

 「仕事や読書、散歩の邪魔をする客人が来ないと思いと晴れ晴れした気分になるよ」(p108)( ピョートル・チャイコフスキー(ロシアの作曲家)チャイコフスキーは毎日2時間以上散歩しないと悪いことが起きると信じていた。)

 「バカげたことのなかでももっともバカげているのは、忙しくすることだ」(p158)( セーレン・キルケゴール(デンマークの哲学者))

 「かならず8時間以上眠る」(p192)( レブロン・ジェームズ(米国のバスケットボール選手))

 「たったひとりで旅に出る」(p240)(エド・"ウディ"・アレン(英国の音楽プロデューサー))

 「わずかな時間について気に病み、忙殺されることに人生の意味を見出すことは、言うまでもなく、喜ぶにとってのいちばんの敵だ」(p332)(ヘルマン・ヘッセ(ドイツの詩人・小説家))

 「週に1日、デバイスの電源を切る」(p396)(ティファニー・シュライン(米国の起業家・映画監督))

 このほかにも、「数学と科学の世界を変えた発見を、旅行中に思いついた数学者」(アンリ・ポアンカレ(フランスの数学者・物理学者))、「会社を1年休業したにもかかわらず成功したデザイナー」ステファン・サグマイスター(米国人グラフィックデザイナー))等々が紹介されています。

 「サウナで頭がすっきりしているとゾーンに入りやすくなる」(テリー・ルドルフ(オーストラリアの量子物理学者))、「"余暇"の状態になれる能力こそ、人間の魂の基本的な能力なのだ」(トマス・アクィナス(イタリア人カトリック教会博士))、「デスクにいないと最高の仕事ができないなんて、すごく古臭い考え方だ」(リチャード・ブランソン(起業家、「ヴァージン・グループ」創設者))などといったものもあります。

近藤小室2.jpg『TIME OFF』3.jpg 著者らは親日家なのか、日本版語版の序文も書いており、日本人も「カレンダーの中身を片付ける」(近藤麻理恵(片付けコンサルタント))、「あなたの人生を評価するのは会社ではなく、あなたの家族です」(小室淑恵(株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長))など何人か紹介されています。

 著者らによれば、彼らは「タイムオフを〝したのに〟成功した」ではなく、「タイムオフを〝したから〞成功した」人たちだそうです。仕事から逃れるためではなく、より良い仕事をするためには「休息」が必要だと。また、ただじっとしているだけが休息ではなく、創造的であることや、時には活動することもまた、変化を求める脳にとっては「休息」となるとのことです。

 このように、賢人たちの箴言をただ羅列するのではなく、著者ら自身の「休息」哲学を論じつつ、その証左としてそれらを引いているという作りになっているのが良いと思いました。 
 
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