【3448】 ◎ サミュエル・スマイルズ (竹内 均:訳) 『自助論』 (2003/02 三笠書房) ★★★★★(○ (中村正直:訳) 『西国立志編』(1981/01 講談社学術文庫)《 (中村正直:訳/金谷俊一郎:現代語訳) 『現代語訳 西国立志編』(2013/03 PHP新書)》 ★★★★)

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自己啓発書の名著。リーダーシップ論、マネジメント論としても読める。

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自助論』['03年] 『西国立志編 (1981年) (講談社学術文庫)』['81年]『現代語訳 西国立志編 スマイルズの『自助論』 (PHP新書)』['13年]
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・竹内 均:訳『自助論―人生を最高に生きぬく知恵』(1985年/三笠書房)
・竹内 均:訳『自助論―人生を最高に生きぬく知恵』(2002年/三笠書房・知的生きかた文庫)
・竹内 均:訳『スマイルズの世界的名著 自助論』(2012年/三笠書房・知的生きかた文庫)
・竹内 均:訳『自助論』(2003年/三笠書房)
・竹内 均:訳『自助論:「こんな素晴らしい生き方ができたら!」を実現する本』(2013年/三笠書房)
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・久保美代子:訳『新・完訳 自助論』(2016年/アチーブメント出版)
・夏川賀央:訳『今度こそ読み通せる名著 スマイルズの「自助論」』(2016年/ウェッジ)
・三輪裕範:訳『超訳 自助論 自分を磨く言葉 エッセンシャル版』(2023年/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
・竹内 均:訳『自助論:「まんがで人生が変わる! 自助論: 感動的に面白い世界的名著!!』(2013年/三笠書房)
・『マンガでわかる サミュエル・スマイルズの自助論~成功する「考え方」と「習慣」』(2017年/マイナビ出版)

 原著が1858年に刊行された『自助論(セルフ・ヘルプ)』は、世界10数ヵ国語に訳されたベストセラーの書で、日本では1871(明治4)年、『西国立志編』として中村正直により翻訳刊行されています。講談社学術文庫所収されていて、PHP新書に現代語訳版が所収されていますが、翻訳は現在訳されている『自助論』とかなり異なり(底本が異なる?)、立身出世志向の色合いが強いものとなっています。ただし、今日目にする『自自論』自体も、多くの偉人の成功談を集め、自助の精神を説いた自己啓発の古典的名著であり(中村正直訳を見ると「成功本」の奔りでもあると思わされるが)、冒頭の「天は自ら助くる者を助く」という言葉は特に有名です。

 第1章「自助の精神」では、「天は自ら助くる者を助く」とし、外部からの援助は人間を弱くし、自分で自分を助けようとする精神こそ、その人間をいつまでも励まし元気づけるとしています。そして、最高の教育は日々の生活と仕事の中にあるとしています。

 第2章「忍耐」では、何をするにしても、常識や集中力、勤勉、忍耐のような平凡な資質がいちばん役に立ち、天賦の才は不要であり、天才と称される人物ほど、必ずといっていいくらい、粘り強い努力家であったとしています。ニュートンは業績の秘訣を問われた際「いつもその問題を考えつづけていたからだ」と答え、フランスの博物学者ビュフォンは「天才とは、一つの問題に深く没頭した結果、生まれるものだ」と言ったと。

 第3章「好機は二度ない」では、勤勉の中にこそ「ひらめき」は生まれるものであり、ありふれた事物の背後にある本質を理解する観察力は、人間に大きな差をつけるとしています。ニュートンにしてもガリレオにしても、膨大な科学的知識を土台に、常に本質を探求する観察力や洞察力で、大きな功績を残したと。そして、チャンスをとらえ、偶然を何かの目的に利用していくところに成功の大きな秘密が隠されているとしています。

 第4章「仕事」では、割に合わない仕事にも注意深く心をこめて取り組むべきで、常に最善をつくし、前の仕事より一歩でも二歩でも前進しようと努力することが大切であるとしています。成功を決意し、努力の結果に自信を持つことが大事で、仕事は自分の才能を伸ばす最高の"栄養剤"であると。

 第5章「意志と活力」では、「世間」という学校にしっかり学ぶことが大事で、意志の力さえあれば、人は自分の決めた通りの目標を果たし、自分がかくありたいと思った通りの人間になることができるとしています。自分を方向づけるのはまさに「意志の力」であり、それによって"何も生まない生活"と訣別すべきであると。また、誠実に生きることの大切さを説くとともに、旺盛な活力と不屈の決意さえあれば、この世に不可能なことはないとしています。

 第6章「時間の知恵」では、どんなビジネスにも、それを効率よく運営するのに欠かせない原則が6つあり、それは、注意力、勤勉、正確さ、手際のよさ、時間厳守、そして迅速さであるとしています。また、今日の仕事を明日に延ばすと、二倍時間がかかるとしています。時間を正しく活用すれば、自己を啓発し、人格を向上させられるが、仕事に身を入れず、怠惰な時間を過ごしていると、心に雑草をはびこらせると。1日15分の使い方が人生の明暗を分け、時間にルーズな人は成功のバスに乗り遅れるとも言っています。

 第7章「お金の知恵」では、金を人間生活の第一の目的だなどと考えるべきではないが、聖人ぶってお金を軽蔑するのも正しくないとしています。実際、人間の優れた資質のいくつかは、金の正しい使い方と密接な関係があり、寛容、誠実、自己犠牲などはもとより、倹約や将来への配慮といった間の美徳と密接に関わっているとしています。いちばん大切なのは、正直な手段で金を得て、それを倹約しながら使うことであり、身の丈を超える借金は絶対にしてはいけないとしています。財産を相続した若者は、安易な生活に流されがちであり、望むものが何でも手に入るため、かえって生活に飽き飽きしはじめ、彼のモラルや精神力は、いつまでも眠りから覚めることがないと。

 第8章「自己修養」では、最良の教育とは、人が自分自身に与える教育であり、確固たる目的や目標を持っていれば、勉強も実り多いものとなると。また、仕事を通してしか生まれない実践的「知的素養」というものがあり、"自学自習"で勝ち取った知識は応用がきくとしています。人間は、困難や失敗を克服することで、自己を高めていくものであり、困難に立ち向かわなくても済むようになるのは、人生が終わり、修養の必要もなくなった時だけだと。

 第9章「出会い」では、よき師、よき友は人生の最大の宝であり、人間性を育てる際の成否は、誰を模範にするかによって決まり、われわれの人格は、周囲の人間の性格や態度、習慣、意見などによって無意識のうちに形づくられるとしています。また、「人生を変える一冊」「自分を奮い立たせる一冊」を持つことも大切であり、特に真の人生を生きた人の伝記は、現在に通ずる優れた知恵であるとしています。

 第10章「信頼される人」では、立派な人格は人間の最良の特性であり、人格者は社会の良心であり、同時に国家の原動力となるとしています。教養や能力に乏しく財産の少ない人間でも、立派な人格さえ持ち合わせていれば他人に大きな影響を与えられると。また、言行一致は、立派な人格のバックボーンを成すとしています。真の人格者は、力や才能に驕らず、成功しても有頂天にならず、失敗にもそれほど落胆せず、他人に自説を無理に押しつけたりせず、求められた時にだけ自分の考えを堂々と披瀝し、人の役に立とうという場合でも、恩着せがましいそぶりは微塵も見せないものだと。

 本書はキャリアの入り口にいる若い人向けの自己啓発本と思われている面もありますが、どの世代にも通用する普遍的な自己管理論で、リーダーシップ論、マネジメント論として読める要素も多くあり、中堅・ベテランの人事パーソンの教養書としてもお薦めできる内容です。当ブログには「自己啓発書」というカテゴリーが無いため、リーダーシップ論、マネジメント論として扱いました。


【2298】 ○ 水野 俊哉 『明日使える世界のビジネス書をあらすじで読む』 (2014/04 ティー・オーエンタテインメント)

【2713】 ○ 日本経済新聞社 (編) 『リーダーシップの名著を読む』 (2015/05 日経文庫)

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