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自己啓発本の名著。成功の方法やリーダーシップについて実践的・現実的に書かれている。。
『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』['13年]
1989年に原著の初版が刊行された本書は、自己啓発本の名著とされる本であり、成功の方法やリーダーシップについて実践的・現実的に書かれたビジネス書でもあります。
第1部「パラダイムと原則」では、「個性主義」なものはあくまで二次的なものであって、まずは「人格」を磨かなければ真の成功は得られないとするとともに、問題の見方を「自分が変わらなければ周囲も変化しない」という「インサイド・アウト」という考え方にパラダイム・シフトすべきであるとしています。そして、「7つの習慣」は人格を磨くための基本的な原則を具体的なかたちにしたものであり、その原則を守ることで、自らが変わり結果を引き寄せていく、という新しいパラダイムを手に入れることができるとしています。
また、「7つの習慣」とは、「依存」から「自立」、「相互依存」へと至る、成長の連続体を導くプロセスでもあり、そのプロセスは3段階に分類できるとして、以下、第2部で私的成功の習慣(第1〜第3の習慣)、第3部で公的成功の習慣(第4〜第6の習慣)、第4部で再新再生の習慣(第7の習慣)についてそれぞれを解説しています。
私的成功の習慣
第1の習慣として「主体的であること」を挙げています。主体的であるということは、「今の自分の人生は自分の選択の結果だ」と考え、「それゆえにこれからの人生も自分で選択していくことができる」という考えであり、私たちは人間に与えられた「想像、良心、意思、自覚」という能力によって、何が自分の身に降りかかってこようとも、それが自分に与える影響を自分自身で決定することができるとしています。
第2の習慣は「終わりを思い描くことから始める」です。何事においても「終わりをイメージ」しておくことはとても重要であり、なぜなら「終わりをイメージ」しておくことによって、「最終的に自分がどこに辿り着きたいか」が自ずと見えてくるからで、この習慣を身につけるためには、個人のミッションステートメントを書くのが効果的で、どのような人間になりたいか(人格)、何をしたいか(貢献・功績)、自分の根底にあるもの(価値観)を羅列していくとよいとしています。
第3の習慣は「最優先事項を優先する」です。自分のミッション・ステートメントに照らし合わせて自ら行うことを決め、最優先事項から優先的に行動せよと述べています。具体的には物事を①緊急で重要なこと、②緊急ではないけれど重要なこと、③緊急だが重要ではないこと、④緊急ではなく重要でもないことの4つに分け、そして「緊急ではないけれど重要なこと」を優先して行うことが自分自身の成長につながるとしています。
公的成功の習慣
第4の習慣は「Win-Winを考える」であり、第1〜第3の習慣が身につくと、人と協力しながらより大きな成功を目指せるようになるが、「Win-Winを考える」とは、全ての人間関係で自分も相手も利益になることを考えるということであり、この習慣が身につくと、競争よりも協力することに眼が向くようになり、関わった人との間に信頼が積み重なり、協力を得やすくなるとしています。
第5の習慣は、「まず理解に徹し、そして理解される」です。より深い信頼関係を構築するためにはお互いに理解し合う必要があり、高度な信頼関係を構築するためにも、自分を理解してもらおうとする前に相手を理解することに徹することが重要で、話を聞く時も、相手の身になって親身に話を聴き、相手の言葉にしっかりと耳を傾けていることが伝われば、その後で自分のことも理解してもらいやすくなるとしています。
第6の習慣は「シナジーを創り出す」です。シナジー(相乗効果)とは、全体の合計が個々の総和より大きくなることを指し、バラバラに仕事をしている人が協力し合うことで、個人では達成できない大きな結果を生み出せるとしています。
再新再生の習慣
第7の習慣は「刃を砥ぐ」です。これは、自分自身の価値をより高めていく習慣です。人間には、肉体・精神・知性・社会・情緒という5つの刃があるとし、これら5つの刃を日頃からバランスよく磨いていくことで、自分自身の価値をより高めることが可能であるとしています。
本書は、人事パーソンの間でも推す人の多い本。「7つの習慣」は生きている限りいくらでも高めることができるものと言えるものであり、本書は定期的に読み返したい本の一冊です。
【2203】 ○ ジャック・コヴァート/トッド・サッターステン (庭田よう子:訳) 『アメリカCEOのベストビジネス書100』 (2009/11 講談社)
【2298】 ○ 水野 俊哉 『明日使える世界のビジネス書をあらすじで読む』 (2014/04 ティー・オーエンタテインメント)