「●し 篠田 節子」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 「●し 司馬 遼太郎」 【2528】 司馬 遼太郎 『ビジネスエリートの新論語』
男性が主人公のものは侘しさがあり、女性が主人公のものの方に「強さ」を感じた。


『田舎のポルシェ』
"今どきの人生"を感じさせるロードノベル3編を収録。収録短篇は、いずれも「オール讀物」に初出掲載されたもの。「田舎のポルシェ」は2020年9・10月合併号に、「ボルボ」は2020年2月号に、「ロケバスアリア」は2021年1月号に、それぞれ掲載された作品です。
「田舎のポルシェ」... 実家の米を引き取るため大型台風が迫る中、強面ヤンキーの運転する軽トラで東京を目指す女性。波乱だらけの強行軍だったが―。
「ボルボ」... 不本意な形で大企業勤務の肩書を失った二人の男性が意気投合、廃車寸前のボルボで北海道へ旅行することになったが―。
「ロケバスアリア」...「憧れの歌手が歌った会場に立ちたい」。70歳を迎えたおかんである私の願いを叶えるため、コロナで一変した日本をロケバスが走る―。
「田舎のポルシェ」は、軽トラになぜか米を満載にして東京から岐阜に向かう話(都会から地方へ行くということで、最初は状況が掴みにくかった)。農家の事情や登場人物の家族、生い立ち、行く手に立ちはだかる台風などの諸要素がにうまく組み合わせられていて、手練れの技という感じ。文芸評論家の斎藤美奈子氏と書評ライターの細貝さやか氏の対談で「アラフィー女性に読んで欲しい本」の1冊として挙げられていたように思いますが、作者の「女たちのジハード」系の作品とも言えるかも。
「ボルボ」は、大企業を辞めた60代の男同士が知り合うのってこんな感じかなあと。主人公が長年頑張ってきたボルボに自分を重ねているのがよく分かって切なかったです。自分も、車で北海道に行ったとき、八戸から苫小牧行きのフェリーニに乗ったので懐かしかったです(1等がとれず、2等を予約して乗船してから1等のキャンセルをゲットした)。でも、なんで斎藤氏はわざわざ妻の仕事場へ行ったんだろなあ。
「ロケバスアリア」の主人公は孫の運転で浜松のホールへ行くわけで、それはホールで歌うという彼女の秘めた決意があるため。この決意の意味が最後に読者に分かるようになっているのがミソで、書評ライターの細貝さやか氏も、生きる尊さを感じさせる中編で、主人公のコロナ禍の決意に勇気をもらったとしてました。やっぱりラストが効いているかな。
3編ともロードノベルであるという共通点と併せて、いずれも、単なる運転手で主人公とはまったくの他人同士であったり、元は主人公とは他人同士だったのが最近付き合い始め、今回初めて一緒に旅行する関係だったり、古希の主人公とかつて引き取る機会があった孫だったり、これも主人公にとってはまったくの他人の録音ディレクターだったり――といった主人公と"他者"との関係性がモチーフになっている点が同じで、その両者の距離感が、物語の始まりと終わりで変化している(より密になっている)と言えるかと思います。
そうした関係性の変化を描くことで、人生というものを炙り出しているところがうまいなあと。男性が主人公の「ボルボ」は侘しさがあり、女性が主人公のものの方に「強さ」を感じられた点は、やはり作者らしいのかも。
【2023年文庫化[文春文庫]】





2009(平成21)年度・第22回「柴田錬三郎賞」受賞作。
本書を読んで高橋和巳の『
これ、意外と傑作でした(原作はビートたけし)。この映画にも、教団をビジネスと考える者(ビ
ートたけし、岸部一徳)とそこに真実を求める者(玉置浩二)が出てきますが、映画ではむしろ後者に対する揶揄が込められています(オウム真理教による松本サリン事件の約半年前、地下鉄サリン事件の1年半前に作られたという点では予見的作品でもある)。


ビートたけし/下絛正巳/国舞亜矢/山口美也子/もたいまさこ/南美江/津田寛治/寺島進●公開:1993/11●配給:東宝(評価:★★★★)
た。そしたら、最終回で一気に「それ」になったという感じで、視聴者からも演者の凄まじい熱量に感服する一方、「まさかの展開」的感想も多かったようだ。これはこれで、演出サイドの狙いだったのか。青柳翔と大東駿介はまずまずの嵌り役だった。
「仮想儀礼」●脚本:
港岳彦/江頭美智留●演出:岸善幸/石井永二/森義隆●音楽:岩代太郎●原作:篠田節子●時間:50分●出演:青柳翔/大東駿介/石野真子/美波/河井青葉/松井玲奈/川島鈴遥/奥野瑛太/齋藤潤/宮地真史/峯村リエ/尾美としのり/目黒祐樹/石橋蓮司●放映:2023/12~2024/02(全10回)●放送局:NHK-BSプレミアム4K/NHK BS



