【3493】 △ 桃野 泰徳 『なぜこんな人が上司なのか (2024/03 新潮新書) ★★☆

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「上司ガチャ」でなく「上司学」の本だが、話があちこちに飛び、体系が見えない。

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なぜこんな人が上司なのか (新潮新書 1035) 』['24年]

 責任は取らず、手柄は自分のものに。失敗の本質を見抜けず、数字も時代の変化も読めず、無駄な努力を続ける。見当違いの対策を無理強いする―そうした無能な上司、経営者らの抱える問題と、そうならないためにどうすればよいうかを説いた本であるとのことです。

 第1章「人望を失うリーダーがやっていること」では、「私がいたからこそ成功した」と言う上司の問題を指摘する一方、「負けない組織」を作った栗林中将のリーダーシップや、ロシアが伝統的に弱い理由について述べています。

 第2章「組織を壊しているのはリーダーである」では、最凶のパワハラは「無駄な仕事」であるとし、また、AIの時代でも問われるのは経営者の資質であるとしています。さらに、ビッグモーター事件から何が部下を壊すのかを探り、80代現役ホステスが教えてくれる経営の真髄についても述べています。

 第3章「成功したリーダーの共通点」では、「部下が言うことを聞かない」と嘆く前にすべきことを説き、「好きを仕事にする」のは失敗するとも言っています。さらに、新聞社が衰退した理由はスマホのせいではないとし、自衛隊の「任務分析」というものを紹介、器の小ささが混乱を招くとしています。

 タイトルから「上司ガチャ」系の本かと思いましたが、むしろ「上司学」的な本でした。ダメな上司の話と同じくらい、立派な上司の話も出てきます。それらの中には、著者と親交がある陸海空自衛隊の将官や元最高幹部など、著者に近い人も出てきます(著者は国防ライターでもあるらしい)。

 ただし、書かれていること1つ1つは尤もかもしれませんが、上述のように話があちこちに飛んで、読んでいて体系というのが見えてこないのが難点でしょうか。「体験談的」リーダーシップ論であり、「昭和型」のリーダーシップ論のように感じました。こういうのって合う人には合うけれど、自分はイマイチでした。

 Amazonのレビューの評価は「素晴らしい」「読む価値あり」など総じて高いようですが、個々にレビューを見ていくと「読みずらいし、言いたいことが浅い」或いは「読みやすい本だけど主観」というのもあって、「飲み会で聞く話としてはライトだし、楽しく盛り上がれそうな内容だなと思った」と。個人的にもこれらに近い印象でしょうか。ぎりぎり×にはしないけれど△です。

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