【3396】 ○ 斉藤 徹 『だから僕たちは、組織を変えていける―やる気に満ちた「やさしいチーム」のつくりかた』 (2021/11 クロスメディア・パブリッシング) ★★★★

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これからの組織変革の方向と実行のための知的ヒント、組織論の「今」を知る。

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だから僕たちは、組織を変えていける --やる気に満ちた「やさしいチーム」のつくりかた【ビジネス書グランプリ2023「マネジメント部門賞」受賞!】

 本書は、「組織を変える」ことを目的に、社会のパラダイムシフト、これからの組織の在り方、リーダーの在り方、チームを動かす原動力、やる気のあるチームの作り方、組織を変えるための影響の輪の広げ方などについて書かれた本です。

 第1章では、「時代」ということについて、21世紀に入り人類は、テクノロジーによる「デジタルシフト」、リーマンショックによる「ソーシャルシフト」、そして新型コロナウイルス流行による「ライフシフト」という3つのパラダイムシフトを経験し、これらの変化により、ビジネスにおいては「場所や情報よりも、アイデア」「個人の努力よりも、人とのつながり」「ワークライフバランスよりも、ワークとライフをともに楽しむこと」が重要になったが、こうした時代や価値観の変化があったにもかかわらず、多くの企業は、いまだに旧態依然とした仕組みのままだとしています。

 第2章では、「組織」ということについて、この3つのパラダイムシフトによって、知識社会に必要となる組織特性として、①環境から学び続ける「学習する組織」、②社会とのつながりを大切にする「共感する組織」、③メンバーが自ら考え、共創する「自走する組織」を挙げて、3つ組織を実現するためのエッセンスや、組織を変えるリーダ像(「学習する組織」→サーバント・リーダーシップ、「共感する組織」→オーセンティック・リーダーシップ、「自走する組織」→シェアド・リーダーシップ)を示しています。

 第3章では、「関係」ということについて、「心理的安全性」こそがチームを変えていくとし、心理的に安全な場をつくるためのプロセスとして、①共感デザインと②価値デザインの2つを挙げて解説し、心理的安全性のためにリーダーがやるべきことや留意すべきことを挙げ、リーダーは強がりの仮面をはずし、安全に対話できる場をつくるべきで、「関係性」は組織の土壌であるとしています。

 第4章では、「思考」ということについて、サイモン・シネックを引いて、すべてはWHYからはじまるとし、社会にとっての「仕事の意味」、自分にとっての「仕事の意味」を考え、仕事を楽しむことからはじめよう、チームを動かす北極星(目的)を見つけよう訴えています。

 第5章では、「行動」ということについて、組織のモチベーションをアップデートすべきだとし、メンバーの「自律性」をとりもどし、「有能感」を満たし、「関係性」を育むにことが、「内発的な動機」を生むことになるとして、やる気のあるチームをつくるにはどうすればよいかを説いています。

 第6章では、「変革」ということについて、変革のアクションを7段階に分けて解説し、まず一歩を踏み出すことからはじめ、共感をつなぎ「影響の輪」を広げていくまでを具体的に解説しています。

 リーダーシップは肩書ではなく行動であり、組織変革は現場最前線にいるスタッフ一人からでもはじめられるとして、そうした行動への勇気を促し、また実行する際の知的なヒントを与えてくれる本であるように思いました。

 多くのリーダーシップ論、経営論、組織論が、最新のものも含めて紹介されていて、普通であれば読んでいて"お腹いっぱい"になりそうなところですが、イラストと図解を多用することで、無理なく理解できるよう工夫されています。人事パーソン、ビジネスパーソンとして知っておきたいものが多く、組織論の「今」を知るという意味でもお薦めです。

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