「●退職金・企業年金」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【042】 北見 昌朗 『図解 小さな会社の退職金の払い方』
退職給付会計の仕組み、小企業向けの簡便法などがよくわかる!
『図解 ひとめでわかる退職給付会計』 ['00年/東洋経済新報社] 『2時間でわかる図解 退職給付会計早わかり (2時間でわかる図解シリーズ)』 ['00年/中経出版]
新会計基準の主な柱の1つである「退職給付会計」は、経理・財務担当者にもよくわからないという人が多いようですが、それは、今まで企業年金会計が会社のバランスシートにおいてオフバランスであり、財務諸表作成において考慮する必要がなかったのと、個人としても自社の企業年金制度の仕組みに関心があまり無かったり、ゆえによく知らなかったりするためだと思います。
中小企業などでは、企業年金の運用管理は人事・総務部門の所轄になっていることが多いようですが、人事・総務部門の担当者側からすると、今度は会計のことがよくわからなかったりする...。
しかし、企業にとって「退職給付会計」が大きな経営問題である以上、「主体的な判断」をするための最低限の知識は企業内部に蓄積・共有されるべきです。
この問題に対して金融機関やコンサルタントなどの外部者は、サゼッションすることはあっても指示はできないのですから。
自分自身、退職給付会計を理解する上で類書も何冊か読みましたが、本書が最もわかりやすかったです!
PBO(退職給付債務)の概念、バランスシートなどへの影響、会計基準変更時差異と遅延認識、退職給付信託などのポイントが、図解と併せてよく理解できます。
とりわけ、年金数理計算の仕組みについての説明部分は、説明資料を作る際にエクセルで本書と同じものを作ってみましたが、PBOの概念を理解する上で大きな助けになりました。
発行されて少し時間のたっている本ですが、小企業などこれから新会計基準(退職給付会計)に移行するところにとっては、小企業向けの「簡便法」の説明も、会社退職金、企業年金にわけてわかりやすく書かれていて、参考になるかと思います。
本書以外では、『時間でわかる図解 退職給付会計早わかり』('00年/中経出版)がわかり易かったです。
「2時間で」というのは少し無理がありますが、3日ぐらいかけて少しずつ読めば、概要はかなりつかめるかなという感じ。
「簡便法」のところなどは、前著と併せ読むと、より理解し易いかも知れません。
ただ、縦書きであることが、そうした計算式の出てくるようなところでは、ややツライかも。