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読みたい人が読めばいい本で、人に押しつけて読ませる本ではない。
『上司が「鬼」とならねば部下は動かず―強い上司、強い部下を作る、31の黄金律』
単行本は'00年の刊行ですが、発売当初ベストセラーになり、'04年には"「新潮文庫」入り"を果たしています。
タイトルはキツイけれども、言っていることは、部下に甘い上司はダメだということもさることながら、上司は会社のことを常に考えろとか、変化を嫌ってはいけないとか、「対部下」よりも「対自分」の話が結構多いです。
上司は命令者であり、優れた上司とは優れた命令を出すことの出来る人であり、優れた命令とは、言語明瞭で、内容に過不足なく、論理的相手を納得させるものであると。
おっしゃるとおりですが、階層化された日本の企業で、管理職が単独で即断できることというのは、ある程度限られているのではという気もします。
上司としての威厳さえあれば、やさしい口調で命令しても、部下は従うと...。
上司の威厳って何?と思わず突っ込みたくなります。
結局のところ"硬軟取り揃え"で、帰結するところが"精神論"だったりして、社長に無理やりこの本を読まさせられた幹部とかは、かえって混乱するかもと、少し意地悪く考えたりもしました。
コーチングという観点から見れば、あまりに旧来の上司・部下という概念に囚われ過ぎていている感じがしましたが、著者がこのシリーズの近著で、「社員道」というものを「武士道」に模して説いているのを見ると、「ああ、むべなるかな」という感じです。
ところどころ良いことも書いてあり、書かれていることを全否定するつもりはないけれど、読みたい人が読めばいい本で、人に押しつけて読ませる類の本ではないと思います。
【2004年文庫化[新潮文庫]】