【3311】 ○ サイモン・シネック/デイビッド・ミード/ピーター・ドッカー(島藤真澄:訳) 『FIND YOUR WHY―あなたとチームを強くするシンプルな方法』 (2019/01 ディスカヴァー・トゥエンティワン) ★★★☆

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個人だけでなく組織をも対象としていることで、組織開発的な内容に。求められるファシリテーション能力。

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 『FIND YOUR WHY あなたとチームを強くするシンプルな方法』['19年] Simon Sinek

サイモン・シネック2.jpg 本書の著者の一人サイモン・シネックは、2009年に行ったTEDトークにおいて、「WHY」(個人や集団の存在意義、組織が何を表しているか)という概念の重要性を説き、反響を呼びました。その概念をさらに掘り下げたのが、前著『Start with WHY』(邦題『WHYから始めよ!』('12年/日本経済新聞出版社))であり、本書はその実践編とでもいうべきものです。

 TEDトーク以来の彼の主張は、社会を巻き込む力をもつリーダーに共通するのは、思考を「WHAT(何をするのか)」からではなく「WHY(なぜそれをやっているのか)」から始めるという点であるというものでした。「本物のリーダー」は、私たちに「WHY(理念と大義)」を語り、それこそが組織の内外の人たちのやる気を起こさせるが、「形式上のリーダー」は「WHAT(結果)」だけを語ってしまうと指摘しています。

WHY2012.jpg 本書では、まず第1章で、TEDトーク及び『WHYから始めよ!』で示したゴールデン・サークル(WHY―HOW―WHAT)という概念モデルで、WHYから始めることのインパクト、WHYを知ることの利点を説明し、第2章で、WHYを見つけるためにはどのようなプロセスを踏めばよいのか、3つのステップを解説しています。さらに第3章では、<個人>が自分自身のWHYを見つけるための段階的プロセスを、7つのステップごとに説明しています。

 第4章では、、<組織>のためのWHYの見つけ方として、その準備としてのユニット(グループ)アプローチについて解説しています。続く第5章では、実際にワークショップを実施するための具体的な手順を解説しています。ここでは、WHYを見つけるプロセスにおいて、グループをどう導けばよいかを述べています。

 第6章では、WHYを現実のものとするための行動、HOWについて書かれています。WHYは目的地であり、HOWはそこへたどり着くための経路を意味します。第7章では、自分のWHYを生き始め、実行するにはどうすればよいかを説明しています。

 リーダーを目指す人にとって啓発的な内容であるとともに、個人だけでなく組織をも対象とすることで、本書自体が<組織開発>的な内容となっているのが興味深いです。個人に応用するにはまずパートナーを見つけることから始め、組織に応用するにはまずファシリテーターを見つけることが最初のステップになるということですが、個人や組織をそのWHY(存在意義)に導いてくれるパートナーやファシリテーターを見つけたり、育成したりするのが、ややハードルが高いようにも思いました。とは言え、ワークショップの進め方などは、これまでの組織開発におけるホールシステムの手法などに通じるところがあったようにも思います。

 要所ごとにパートナー・セッションやファシリテーター・セッションといった解説があり、巻末にもパートナー、ファシリテーターのそれぞれに対するアドバイスが付されていることからも窺えるように、本書を読んだ人がまず自らパートナーやファシリテーターになってみることを推奨しているのでしょう。ただ、個人的には、読んでみて、若干もやっとした印象も残りました。

 米国などでは、エンカウンターグループなどの歴史が連綿と今日にまで繋がっていますが、日本はそうしたものが高度経済成長期に行われた感受性訓練(ST)などをもっていったん途切れた観もあり、そもそも日本人はグループで集まって自分の本心を語るということが苦手なような気もします。一方で、「組織開発」は今また何十年かぶりに注目を集めているとも言われています。こうした個人や組織の根本的な存在意義(「WHY」)を問い、それを共有化するという啓発的なワークショップが、今後どれくらい日本に浸透するのか注目したいと思います。


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This page contains a single entry by wada published on 2024年1月16日 04:05.

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