「●プレゼンテ-ション」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 「●広告宣伝・ネーミング」【1206】 土屋 耕一 『コピーライターの発想』
「●PHPビジネス新書」の インデックッスへ
分かり易いけれど物足りない?
『勝つプレゼン 負けるプレゼン (PHPビジネス新書)』['11年]
「準備6割、本番3割、振り返り1割」―これが、プレゼン成功と上達の秘訣であるという考えの下に、何がプレゼンの良否を分けるのかが分かり易く解説されています。
プレゼンにおける基本的なことをよく網羅しており、とりわけ「準備」にフォーカスして書かれていますが、「何を感じてほしいか」 をよく考え、「準備で目的を明確にする」ことは確かに重要だなあと。流暢に話すことばかりに気を取られるなという考えには共感しました。
そうした「準備」の段階でのコンセプチュアル・ワークのポイントについて、「本番」での質疑応答などを想定しながら解説しているのは、一つの解説の「方法論」として分かり良かったように思います。
ビジネスの場では、日々の業務で他者と関わる行為の全ておいてプレゼン能力が求められるとしながらも、タイトルからも窺えるように、新製品や企画の提案・コンペティション(他社競合)といった"勝負所"を想定して書かれているように思いました。
その割には、「本番」の解説などは、かなり初歩的なレベルだったかも。管理職昇進試験などで、普段やったことのないプレゼンをやることになった人には応用的に役立つかも知れないけれど、広告代理店などで常日頃から競合プレをやっている人などにとっては、特に目新しい知識や見方は得られないかも知れません(「知っている」というのと「出来ている」というのは違うことであるとは思うが)。
目新しいことに奔る前に、まず基本を押さえるということは大事なことなのだろけれども、プレゼンの際の服装などの解説は、殆どビジネスマナーの世界のような気もしました。
基本書としては良書だと思いますが、そうした意味では物足りない感じもあり、著者は「研修女王」と呼ばれているそうですが、どちらかと言うと、著者自身が「コンペティション型」「企画提案型」というより「セミナー講師」型ではないでないかとの印象を受けました。